オンラインコミュニケーションのメリット・デメリットと課題解決方法を解説
新型コロナウィルス流行や働き方改革を機に、オンライン上でのコミュニケーションを導入している企業も多いのではないでしょうか。オンラインコミュニケーションは遠方の拠点とも手軽に打ち合わせができる点や社員が移動する手間が削減される点など、多くのメリットがあります。
一方でオンラインコミュニケーションが普及したことに伴い、オンラインならではの課題が見えてきたのも事実です。この記事では、オンラインコミュニケーションで発生しがちな課題とその解決策について解説していきます。
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オンラインコミュニケーションの種類
オンラインコミュニケーションとは、文字通りオンライン上で行われるコミュニケーションの総称です。ひとことで「オンラインコミュニケーション」といっても、その種類は大きく3種類に分けることができます。まずはオンラインコミュニケーションの3つの種類について確認していきましょう。
テキストコミュニケーション
テキストコミュニケーションは、文章を通じて行われるオンラインコミュニケーションのことです。具体的には例えば以下のようなものがテキストコミュニケーションの一例といえます。
- SMSやメール
- 業務用チャットツール
特に最近では複数の人が同時に会話できるチャットルームを活用して、特定のテーマについて話し合うことも多いです。ビジネスの現場ではもちろんのこと、個人的なコミュニケーションでも広く普及しているコミュニケーション手段と言えます。
ボイスコミュニケーション
ボイスコミュニケーションは、電話や音声チャットなどの形式で行われるオンラインコミュニケーションです。
ボイスコミュニケーションの最大の特徴は、相手の声を聞くことができるという点です。相手の声を通じて感情やニュアンスを把握できるため、テキストコミュニケーションでは難しかったきめ細やかなコミュニケーションができます。
ビジネスの現場では、音声チャットを使用したリモートでのミーティングや簡単な打ち合わせを実施する際に用いられます。
ビデオコミュニケーション
ビデオコミュニケーションは、Webカメラやスマートフォンなどを用いて、相手の顔を見ながらコミュニケーションを行う方法です。ビデオコミュニケーションでは相手の表情まで読み取れるため、ボイスコミュニケーションよりもさらに対面に近いコミュニケーションが取れます。
Zoomなどビデオコミュニケーション向けのアプリケーションも多く展開されており、リモート面接やミーティングといったさまざまな場面で活用されています。ただし、双方が通信環境を整える必要がある点や、遅延や画質の問題によってコミュニケーションの質が落ちることもあるため、注意が必要です。
公開型と非公開型がある
コミュニケーションツールは、その情報を全社員に公開すべきか、それとも限られたメンバーのみに公開するかによっても使い分ける必要があります。公開型と非公開型をうまく使い分けることで、業務を効率的に行うことが可能です。
公開型
公開型とは、オープンチャットのような組織内の全員がアクセスできるオンラインコミュニケーションのことです。情報を全ての人に公開することで、ハレーション・誤解が起きないようにすることができます。
たとえば、全社員が対応すべき業務の案内をする際、営業社員全員にとって役に立つ資料を共有する際に公開型のオンラインコミュニケーションを用います。全員が同じ情報を知る必要があったり、全員が閲覧権限を持つことで透明性が担保できる、役に立つ情報などが公開型コミュニケーションに適しています。
非公開型
非公開型とは限られたメンバーだけがアクセスできるクローズドチャットや電話・Webミーティングのことを指します。公式展開すべきではない情報や、個人的な会話などに利用します。そのメンバー内で完結しておきたい内容や、特定のメンバーで業務連携を行う時に利用します。
主なオンラインコミュニケーションツールと機能
ここでは主なコミュニケーションツールとその機能についてご紹介します。
- Zoom
- Slack
- Microsoft Teams
- Google Meet & Chat
- Discord
- LINE WORKS
- Chatwork
Zoom
チーム内ミーティングから大規模なセミナーまで可能なオンライン会議ツールです。
テキストコミュニケーション単体で使うことはできませんが、ミーティング中にチャットでテキストのやり取りは可能です。
Slack
テキストコミュニケーションとしての利用が多いツールですが、ボイスやビデオ機能も搭載されています。外部とのやり取り用やチーム用など大きな枠組みでワークスペースを作成し、その中にさらにタスク毎に個別にチャンネルを作りやり取りすることが可能です。
Microsoft Teams
マイクロソフト製のコミュニケーションツールです。テキスト、ボイス、ビデオいずれも利用可能です。カレンダー機能を使って参加者にインビテーションを送ることができます。
Google Meet & Chat
Google Meetはブラウザ上で利用できるビデオコミュニケーションツールです。Google Chatはブラウザ・アプリ両方で利用でき、主にテキストコミュニケーションで使われていますが、ビデオコミュニケーションも可能です。
Discord
ゲームユーザーのコミュニティで愛用されています。低遅延が特徴で、ボイスコミュニケーションツールとしてよく活用されていますが、テキストコミュニケーションツールとしても利用が活発です。Slackのワークグループに似た「サーバ」と、その中にチャンネルを作成することが可能です。
LINE WORKS
LINEをビジネス用途に特化させたのがLINE WORKSです。トークと呼ばれるテキストコミュニケーションの他、ボイス、ビデオも利用できます。その他にもタスク管理や、アンケート機能も実装されています。
Chatwork
日本製のオンラインコミュニケーションツールとして有名です。テキスト、ボイス、ビデオいずれも利用可能で、タスク管理やファイル管理機能も備えています。
オンラインコミュニケーションの課題
柔軟な働き方に対応でき、業務も効率化するとなると、オンラインコミュニケーションは良いことづくめなのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際にはオンラインコミュニケーションならではのデメリットや、オンラインコミュニケーションで生じがちな課題も存在します。オンラインコミュニケーションをビジネスに取り入れる上で気を付けておきたい課題について確認していきましょう。
関係性を築きづらいと感じる人もいる
画面を通して会話するオンラインコミュニケーションでは、対面でのコミュニケーションと比較するとどうしても相手との間に距離が生じがちです。中には「相手の様子が分からないため、今質問や相談をしてよいのかわからない」「対面と違って雑談がしづらい」などと、オンラインでのコミュニケーションに対して苦手意識を持つ社員もいます。 オンラインコミュニケーションを導入する際には、対面でのコミュニケーションよりも関係構築が難しいという点を頭に入れておきましょう。
テキストは真意が伝わりづらい
オンラインコミュニケーションの中でもよく用いられるのは、メールやSlackなどを通じて行われるテキストコミュニケーションです。テキストコミュニケーションは相手と時間を合わせることなくコミュニケーションが取れるというメリットがありますが、一方で真意が伝わりづらいというデメリットもあります。 どうしても文章だけでのコミュニケーションでは、相手の意図や感情を読み取りにくいものです。時には社員の間に誤解が生じてしまい、かえってコミュニケーションが非効率になってしまうこともあります。
感情や雰囲気が伝わりづらい
オンラインコミュニケーションでは、些細な表情の変化など、感情や雰囲気が伝わりづらいという課題もあります。そもそも相手の表情が見えないテキストコミュニケーションやボイスコミュニケーションはもちろんのこと、相手の顔を見ながらコミュニケーションを行うビデオコミュニケーションでも例外ではありません。 対面と比べるとどうしても声のトーンや表情、身振り手振りといったニュアンスが伝わりにくいことを意識し、大げさに発信したり、注意深く相手を観察したりする必要があります。
ネット環境が不安定だと質が落ちる
オンラインでのコミュニケーションは、安定したネット環境があることが前提です。特にZoomなどを用いたビデオコミュニケーションを行う際には、0.5〜1GBを超える通信量が発生することも珍しくありません。 ネット環境が不安定になってしまった場合、相手との間にタイムラグが生じたり、そもそも相手の声が聞こえにくかったりといったトラブルが生じてしまいます。コミュニケーションの質を落とさないためにも、ネット環境をしっかりと整えておくことが必要です。
テンポの良いコミュニケーションが取りづらい
オンラインコミュニケーションでは、テンポの良いコミュニケーションが取りづらいという問題もあります。特にチャット形式で行うテキストコミュニケーションの場合、相手が文章を入力している間に待ち時間が発生してしまうため、対面よりもコミュニケーションに時間がかかってしまいます。 また、先述したネット環境とも関連しますが、相手と自分の間にタイムラグが発生した場合は、双方にとって大きなストレスになるでしょう。オンラインを通じてコミュニケーションを取る分、どうしてもコミュニケーションのリアルタイム性は損なわれてしまいます。
オンラインコミュニケーションが重要になった理由
オンラインコミュニケーションは最近一躍注目を浴びており、積極的に活用する企業も増えてきています。それではなぜ、オンラインコミュニケーションが重要になってきたのでしょうか。
オンラインコミュニケーションが普及した背景として、第一に働き方が多様化したということが考えられます。出社時間や勤務地などの柔軟性が増したため、遠隔でも手軽にコミュニケーションが取れるオンラインコミュニケーションが重宝されるようになったのです。
また、新型コロナウィルス流行の影響もあり、テレワークが普及したこともオンラインコミュニケーションが普及した理由の一つです。オフィスに出社している社員と在宅勤務の社員の間でZoomミーティングを開催する、といった企業も増えてきています。また、テキストチャットやボイスチャットといったコミュニケーション方法が多様化し、オンラインでのコミュニケーションを受け入れる世代が増えてきたのも要因の一つです。
オンラインコミュニケーションのメリット
オンラインコミュニケーションは、今や幅広い業種・業界で活用されているコミュニケーションの手段です。オンラインコミュニケーションのメリットとしては、場所を選ばない点や多様な働き方に対応できる点、さらには効率の向上といった多くのポイントが存在します。
ビジネスの現場にオンラインコミュニケーションを取り入れるメリットについて整理しましょう。
場所を選ばずコミュニケーションができる
オンラインコミュニケーションを導入すれば、在宅勤務やフレックスタイム制といった柔軟な働き方にも対応できます。例えば、家庭と仕事の両立を目指す社員とのコミュニケーションをオンラインで行えば、職場と自宅を行き来する必要がなくなり、社員の負担を軽減できるでしょう。実際、子育てをしながらオンラインで在宅勤務を続けるといった社員も増えてきています。
さらに、最近では副業を解禁している企業も少なくありません。オンラインでコミュニケーションを行えば、場所の移動にとられる時間を削減できます。オンラインコミュニケーションは、社内ベンチャーや副業解禁といった新しい取り組みとも親和性が高い手法です。
効率性の向上
オンラインコミュニケーションのメリットとして、業務効率を向上できるという点も見逃せません。移動に時間的コストや金銭的コストの節約はもちろん、情報共有や意思決定もオンライン上の方がスムーズなことが多いです。
さらに、オンライン上で資料を配布しておけば、万が一会議で配布された紙の資料を紛失してしまっても「再び担当者に問い合わせ、印刷してもらう」といった手間が削減できます。オンラインでコミュニケーションを行えば、それぞれが必要に応じてテキストチャットやビデオ録画などの内容を確認できるため、情報共有が効率的になるのです。
オンラインコミュニケーションを円滑にする工夫
オンラインコミュニケーションで生じがちな課題をご紹介しました。それでは、オンラインコミュニケーションならではのこうした課題を解決するためにはどのようなアプローチが有効なのでしょうか。
オンラインコミュニケーションで生じる課題を解決するためにはさまざまな方法が考えられます。オンラインコミュニケーションを導入する前に知っておきたい、課題解決のための工夫について解説します。
自分から発信する
オンラインコミュニケーションを実践する際にまず気を付けておきたいポイントが、「自分から発信する」という点です。もちろんオンラインに限らず、ビジネスの現場では自発性が重要な場面が多々ありますが、特にリモートワークに取り組む場合などは自分から発信しないとなかなか気づいてもらえません。
具体的には、1on1の時に現在の仕事の状況や心身の健康について共有する、オンラインミーティングのときにこれから着手する業務の進め方や懸念点を発信する、といったことが考えられます。
相手の好むコミュニケーション方法を知っておく
オンラインコミュニケーションには、メールやチャット、電話などいくつかの手段があります。一方、これらのうちどのツールを好むかは社員によって千差万別です。
例えば「メールやチャットだと時間がかかってしまうから、できれば電話がいいな」と考える社員もいれば、「チャットだと流れてしまって見逃してしまうかもしれないから、重要な内容はメールで伝えてほしいな」と考える社員もいるでしょう。オンラインでのコミュニケーションの際には、相手がどのコミュニケーション方法を好むのかを事前に把握するのがおすすめです。
重要度と緊急度によってコミュニケーション方法を使い分ける
先述した内容とも重なりますが、オンラインコミュニケーションツールにはそれぞれに得手不得手が存在します。それぞれの特徴は、以下の通りです。
|
重要度 |
||
高 |
中~低 |
||
緊急度 |
高 |
対面やWeb会議 |
電話 |
低 |
対面やWeb会議 メール |
チャット |
こういったオンラインコミュニケーションツールの持つ特性を踏まえ、コミュニケーションの内容に応じて臨機応変に使い分けるのがポイントです。
言い回しや伝え方に気を付ける
日本語は文脈依存性が高く、曖昧な表現でも通じる言語だと言われています。例えば「大丈夫」という表現一つとっても、賛成しているのか遠慮しているのかが曖昧ではないでしょうか。
オンラインコミュニケーションを実践する際には、意識的にこういった曖昧な言い回しを避けることが重要です。例えば「例の書類をお願いします」ではなく「昨日の3時に届いた契約書の準備をお願いします」といったように言い換えるなど、前後の流れに依存しないローコンテクストな表現を心がけましょう。
関係性によって絵文字やスタンプを活用する
オンラインコミュニケーションでは表情がわかりにくく、ニュアンスや感情がなかなか相手に伝わりません。特にテキストコミュニケーションの場合は、何の気なしに返信した文章が「冷たくて怖い」「怒っているのかな?」といった受け取られ方をされてしまうこともしばしばです。
テキストだけでは伝わりにくい感情を補うためには、相手との関係性によって絵文字やスタンプを利用するのが効果的です。もちろん使い過ぎは禁物ですが、友好的な印象を与えたい場合には積極的に活用しましょう。
普段よりもリアクションを大きくする
Zoomなどのビデオ会議ツールを用いたコミュニケーションでは、身振り手振りが伝わりにくいです。そのため、対面と同じ感覚でリアクションをとっていると、「リアクションが少し薄いな」と受け取られてしまうことがあります。
オンラインでコミュニケーションを取る際には、普段よりも意識的にリアクションを大きくすることが大切です。例えば相手が話をしているときには「そうなんですね!」「なるほど!」などと積極的にリアクションを取れば、相手が話を続けやすくなります。
声のトーンや大きさに注意する
オンラインコミュニケーションで重要となるのが、声のトーンや大きさです。ビデオ通話や音声通話を活用する際には、「自分の声がくぐもっていないか?」「相手にとって聞き取りやすい声量か?」といった点をよくチェックする必要があります。
特に、普段から発言を聞き返されがちな場合は要注意です。重要なプレゼンテーションなどをオンラインで実施する予定がある際には一度自分の声をマイクで録音してみて、想定通りの声量やトーンであるかを確認するのもよいでしょう。
要件は端的にまとめるようにする
同じ時間の会議であっても、オンラインの方が長く感じるという方も少なくないのではないでしょうか。オンラインコミュニケーションでは、対面でのコミュニケーションと比べると集中力が低下しがちです。
オンラインに限ったことではありませんが、必要以上に話を長く続けてしまうと、相手に「結局何が言いたかったのだろう?」と思われてしまう可能性もあります。オンラインでミーティングや面談を実施する際には、普段以上に要件を端的にまとめるよう意識してみてください。
意識的にアイスブレイクや雑談を入れる
相手の表情やニュアンスが読み取りにくいオンラインコミュニケーションでは、普段よりも距離感が出やすく、会話も硬くなりがちです。そこで効果を発揮するのが、相手と打ち解けることを目的としたアイスブレイクです。オンライン会議の本題に入る前など、要所要所で積極的にアイスブレイクや雑談を取り入れるのもおすすめです。
例えばビデオ通話の場合、最初に「今日のお昼は何食べた?」「最近のニュースで気になる話題は?」といった雑談を投げかけるのが効果的です。リラックスした雰囲気で会話できるよう、雰囲気作りに力を入れましょう。具体的なアイスブレイクの手法については、「本当は秘密にしておきたい! 新入社員研修で使えるアイスブレイク集」で詳しく解説しているため、気になる方はこちらもご覧ください。
オンラインコミュニケーションツールの活用
オンラインコミュニケーションを行う際には、オンラインコミュニケーション向けに作られたツールを活用するのがおすすめです。例えばビデオコミュニケーションを実施する際には、Zoomなどが人気の高いツールとなっています。Zoomには、会議の参加者を少人数に分けてディスカッションを行うブレイクアウトルーム機能や、相手のリアクションを補うリアクション機能など、オンラインコミュニケーションの欠点を克服できる機能が多く搭載されています。
Microsoft社が提供するTeamsも、オンラインコミュニケーションにおいて人気のツールの一つです。録画やアンケート機能などこちらも機能が充実しており、数日間にわたるオンライン研修などにも積極的に活用されています。
1on1ミーティング
1on1ミーティングは、社員と上司が1対1で話すミーティングのことです。日頃の仕事の進捗状況や成果、それに対する上司からのフィードバックなどについて話し合います。
1on1ミーティングを実施すれば、オンラインコミュニケーションで希薄化しがちな部下と上司との間の関係構築を促進できます。また、テキスト上では伝わりづらい、双方の率直な意見を交換することも可能です。1on1ミーティングの手法については、サービス資料をご用意しています。1on1ミーティグについて詳しく知りたい方は、以下の「1on1ミーティングの基本」をご覧ください。
▼「1on1ミーティングの基本」研修の詳しい資料はこちら
オンラインコミュニケーション研修のニーズは高まっている
コロナ禍の影響もあり、オンラインコミュニケーションが日常的になりました。そのため、社員にオンラインコミュニケーションのスキルを身につけてもらう必要性が高まっています。育成施策としてオンラインコミュニケーションに特化した研修企画を行う企業も増えてきています。例えば、エンタメ業界のA社では、テレワークでのミーティングの生産性をあげることに特化した研修を行いました。
ミーティングの生産性向上以外にも、管理職社員には、テレワークでの部下マネジメントやプロジェクトマネジメントのスキル強化を行ったり、若手社員にはテレワークでの仕事の進め方のコツを身につけてもらったりする企業が増えてきています。
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