ロジカルシンキングの例題10選|解答例や学習方法を紹介
貴社には「上司や顧客へ伝えるべき内容が整理できず、話の要領を得ない」「調査する際にポイントが絞れず、何度も調べ直す」このような社員はいないでしょうか。これらの問題は、ロジカルシンキングを身につけることによって改善できる可能性があります。この記事では、ロジカルシンキングの基本的な手法やその例題・解答例をご紹介します。
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【例題ドリルプレゼント!】ロジカルシンキング例題10選
ロジカルシンキング研修などで使える例題を紹介します。演繹法、帰納法やMECEなど、手法別に例題をまとめました。
解答例や学習方法も紹介しています。ぜひダウンロードして、学習にお役立てください。
ロジカルシンキングの基本の考え方・手法
ロジカルシンキングとは、得られた情報を法則や枠組みに従って整理・分析し、そこから結論を導くスキルです。市場調査の分析や営業での提案など、仕事においてロジカルシンキングは非常に重要であるため、必ず身に付けておきたい能力だといえるでしょう。ロジカルシンキングの基本的な手法としては、次の4つの方法があります。
- 演繹法・帰納法
- ロジックツリー
- MECE
- ピラミッドストラクチャー
次から、詳しく解説していきます。
演繹法・帰納法
演繹法と帰納法は、ロジカルシンキングの最も基本的な手法です。
演繹法とは、一般的な法則から具体的な事実を導き出す方法です。一方、帰納法は演繹法とは逆に具体的な事実から一般的な法則を導く方法になります。
ロジックツリー
ロジックツリーとは、ある事象を構成している要素を大きな項目から小さな項目へと分解しながら木の枝状に書き連ねることで、問題点を見つけ解決法を導き出す手法です。
ロジックツリーには構造を把握するためのWhatツリー、原因分析するためのWhyツリー、課題解決するためのHowツリーの3種類があります。
MECE
MECE(ミーシー)はMutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの頭文字を取った略語であり、「漏れなく・重複なく」という意味になります。
ある事象を全て網羅的に把握するために必要な思考方法です。
ピラミッドストラクチャー
ピラミッドストラクチャーは、結論をピラミッドの頂点としてその下に根拠を重ねていくロジカルシンキングの方法です。結論から根拠を分解して示していくため、ロジックツリーと似通ったところがありますが、用いられる場面が異なります。
ロジックツリーが物事の構成要素を分解し、そこから問題や解決法を探っていく方法であるのに対し、ピラミッドストラクチャーは結論を証明するための根拠を並べていき、相手に対して説明や説得するためによく使われる方法です。
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演繹法・帰納法を使ったロジカルシンキングの例題
演繹法・帰納法は、ロジカルシンキングの中でも日常的によく使われている手法です。意識していなくても、実際に問題を解いてみると普段から使っている方法だと感じる人もいるかもしれません。
演繹法・帰納法はロジカルシンキングの基本になるため、まずは簡単な例題から解いてみて、考え方を確実に身に付けておきましょう。
問題文1
次の2つの事例から導き出される結論を述べなさい。
『一般的に、地球上では緯度が高い地域ほど気温が低い傾向がある』
『青森県弘前市は北緯40度、鹿児島県鹿児島市は北緯36度である』
解答例
『青森県弘前市は、鹿児島県鹿児島市より気温が低いと考えられる。』
演繹法を使った問題です。演繹法では、まずはじめにある前提条件へ次の条件を当てはめて結論を考えます。この例題の場合、何が前提条件になるかに着目すると、『緯度が高い地域ほど気温が低い』という点になります。
そのため、青森県弘前市と鹿児島県鹿児島市の緯度を比較すると青森県弘前市の方が高いので、気温は低いと考えられるという結論になります。
問題文2
『ある飲食店は、ホットコーヒー、ホットレモンティー、コーンスープ、ミネストローネの売上が好調である』
上の事例から、この飲食店では1年の季節のうちいつキャンペーンを行えば効果が高いか理由とともに答えなさい。
解答例
ホットコーヒー、ホットレモンティー、コーンスープ、ミネストローネのメニューに共通するのは『温かい飲み物』という点です。
この点と、「寒い時期には温かいメニューの売上が増える」という一般的な前提から考えて、この飲食店では1年のうち12月から2月にセット販売などのキャンペーンを行えば効果が高くなると考えられます。
この問題は、一般的な事象から具体的な法則を導く帰納法を使って考えています。
ロジックツリーを使ったロジカルシンキングの例題
ロジックツリーは、一つの大きな事象を分解し、構成する小さな事象に分けていくフレームワークです。仕事においては、課題への問題点を浮かび上がらせるためによく使用されます。
ロジックツリーのポイントは、分解するときに各要素を漏れなく挙げることにあります。
問題文1
「即席麺」というテーマを1段目として、ロジックツリーを3段形成してください。
解答例
2段目は「カップ麺」「袋麺」に分解することができます。3段目にはそれぞれの種類(しょうゆ味、味噌味など)が挙げられます。
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問題文2
「優秀な人材の離職を防ぐにはどうしたらよいか」をテーマとして、ロジックツリーを3段形成してください。
解答例
2段目には「教育体制を見直す」「フォロー体制を構築する」に分解されます。3段目以降は各対策(社内教育のためのツールを導入する、OJTを設定する)などが挙げられます。
MECEを使ったロジカルシンキングの例題
MECEはロジカルツリーやピラミッドストラクチャーを考える時に必要になる手法です。できるだけ漏れ落ちやダブりなく、全ての要素を挙げられるように丁寧に考えましょう。
問題文1
「日本人」の構成要素を2つの切り口からMECEに分解してください。
解答例
1,「0〜9歳、10代、20代、30代、40代、50代、60代、70代以降(年齢で分ける)」
2,「男性、女性(生物学的性別で分ける)」
問題文2
「学生」についてMECEに分解してください。なお、ここでは学生とは何らかの学校に所属して学習している人とします。
解答例
「小学生、中学生、高校生、高専生、大学生、専門学校生、大学院生」
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ピラミッドストラクチャーを使ったロジカルシンキングの例題
ピラミッドストラクチャーは、1つの結論を複数の根拠から裏付けるための考え方です。そのため、上から下に対しては「なぜそうなのか」、下から上に対しては「だから何だと言えるのか」という答えになるという関係が成り立ちます。
主張にとっての根拠を挙げることが大切なので、必ずしもMECEである必要はありませんが、根拠を考えるにあたって当てはまりそうな事象をもれなく考えることも重要です。
問題文1
「読書をすべきだ」という主張を頂点として、ピラミッドストラクチャーを3段形成してください。
解答例
2段目には根拠として「知識が増える」「文章の読解力が上がる」「文章を書く力が伸びる」などが挙げられます。3段目には、その裏付けになる理由を列挙します。
問題文2
新商品になるお菓子の魅力を、ピラミッドストラクチャーを用いて説明してください。菓子の概要については自由に考えてよいものとします。
解答例
例として、2段目には根拠になる「万人受けする味」「場所を選ばず食べやすい」「パッケージが目を引く」などが挙げられます。3段目には、その裏付けになる理由について列挙します。
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【応用編】フェルミ推定の例題
フェルミ推定は、一般的に数え上げたり測定するのが難しい数値を、与えられた情報や自分の持っている知識から仮定を定義しておおよその数を概算する方法です。MECEで当てはまる要素を抽出して考えるなど、ロジカルシンキングの複数の手法を組み合わせる必要があるため、研修などでは応用問題としてよく出題されます。
フェルミ推定では正確な数字を導き出すのが目的ではなく、問題解決に至る思考法が正しいかどうかが大切になります。
問題文1
日本にはコンビニエンスストアが何軒あるか計算してください。
解答例
はじめに、コンビニエンスストアは人の多い都市部では500メートル四方に1件あり、山などの自然が多くなる地方では件数が都市部の10分の1程度であると仮定します。
つまり、都市部では0.25平方キロメートルの面積あたり1件、地方では2.5Km平方キロメートルの面積あたり1件存在すると考えて計算します。
上の概算に加え、都市部・地方・ほとんど人が居住していない地域の割合と日本の国土面積を求めればコンビニエンスストアの数を計算できます。
都市部・地方・人がほとんど居住していない地域の割合は、日本の国土の7割が森林だという知識から1:9:20とします。
日本の国土面積は約37.8万平方キロメートルであるため、次のように計算できます。
378,000×1/30÷0.25+378,000×9/30÷2.5=50,400+45,360=95,760(店舗)
問題文2
家庭用冷蔵庫の市場規模を求めてください。
解答例
最初に、家庭用冷蔵庫は、一般的に1世帯1台保有していると仮定します。
冷蔵庫は耐久年数が長い商品なので、市場規模を計算するには次の式が考えられます。
冷蔵庫の市場規模=冷蔵庫の単価×冷蔵庫の台数÷冷蔵庫の耐久年数
冷蔵庫の単価は約15万円、冷蔵庫の台数は日本の世帯数と一致しているので約5000万世帯=5000万台、冷蔵庫の耐久年数は10年と仮定すると、次のような結果になります。
15万円×5000万台÷10年=7,500憶円
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ロジカルシンキングを鍛えるために人事ができること
仕事においてロジカルシンキングは欠かせないため、社員には必ず身に付けてもらいたいスキルです。しかし、ロジカルシンキングは一朝一夕で使いこなせるものではなく、日頃の積み重ねや経験が必要になります。
ここでは、社員のロジカルシンキングを鍛えるために人事ができることについて紹介していきます。
ロジカルシンキングの例題を出し、解いてもらう
初めて目にしたロジカルシンキングの問題は、どのような考え方で取り掛かればいいのかわからない場合が多いでしょう。はじめに例題を提示して取り組んでもらい、考え方を解説することで問題のパターンが理解できます。いくつか解いていけば、どの問題をどの手法で使って考えていけばよいかが身についてきます。
例題を出す際は、初めから難しい問題を出すのではなく、ごく簡単なものから出すのをおすすめします。簡単なものから基本を身に付け、積み重ねていくことで応用問題に取り組めるようになります。
ディベートを行う
一つの議題に対して賛成側・反対側に分かれて話し合うディベートは、ロジカルシンキングを養うのに最適な方法です。ディベートを行う際は進行役や司会を決め、賛成・反対は自分の意見から決めるのではなく、くじ引きなどで決めるのも良いでしょう。自分の意見とは異なる側に立つことによって、より論理的に相手を説得できる理由を考えるため、ロジカルシンキングを鍛えるのに役立ちます。
また、社内でディベートの場を設ける機会が持てない場合は、セルフ・ディベートの課題を出すのも一つの方法です。セルフ・ディベートでは、議題に対して自分自身で賛成意見と反対意見を考え、結論までまとめてもらいます。
セルフ・ディベートでは、自分自身で議題の問題点を発見し、解決方法を探って論理の修正を行っていく力が身につきます。
ロジカルシンキングをテーマとした研修を行う
ロジカルシンキングをテーマにして研修を行うことも効果的です。
ロジカルシンキングは新入社員研修でよく取り入れられるテーマです。しかし、中堅社員や管理職に対しても改めて研修を行うことで、仕事に対する生産性が向上したり、案件への判断が的確になる、部下への指示や指導がしやすくなるなどのメリットがあります。
▼アルーのロジカルシンキング研修について詳しくはこちらのページをご覧ください。
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