新入社員によくある12の課題例と育成方法【最新レポートから読み解く】
「新入社員への対応が分からない」「コストをかけて育成してもすぐ離職してしまう」
こうした悩みを抱える人事担当者の方も多いのではないでしょうか。今までの世代にはない特徴を多く持つZ世代の新入社員を効果的に育成するためには、今の時代にあわせた教育手法へ転換する必要があります。
そこでこの記事では、新入社員育成でのありがちな課題例と、育成のポイントを解説します。ぜひ参考にしていただき、人材育成を成功させてください。
2024年度新入社員研修の企画担当者の方必見! |
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より深く知るための『オススメ』お役立ち資料
- 2024年度新入社員レポート~Z世代と働くヒント~
- 新入社員に「主体性を持て」と伝える時に、人事が考えるべき3つの問い
- 新入社員がリモートワーク環境下での陥りがちな状況・悩みと伝えておきたい3つの対策
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新入社員が抱える課題の例
入社したばかりで右も左も分からない新入社員は、多くの課題に直面しがちです。ここでは、「企業規模に関わらず共通する課題」と「大手企業の内定者によくみられる課題」の2つに分けて、新入社員にありがちな課題例を解説します。
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企業規模に関わらず共通する課題
まずは、企業規模に関わらず共通する課題です。企業規模に関わらず共通する課題としては、在宅勤務によるコミュニケーション不足や人間関係の悩みがよく挙げられます。特に学生時代もオンラインで授業を受けたZ世代にはその影響が顕著です。
企業規模に関わらず共通する、新入社員にありがちな課題を見ていきましょう。
手の届く情報で満足し、自己完結しがち
最近の新入社員にありがちな課題として、「手の届く情報で満足し、自己完結しがち」というのも挙げられます。与えられた情報だけで問題を解決しようとする傾向が高く、自分から相手に質問をして情報を得ようとする姿勢があまり見られません。
実際、アルーが提供する行った新入社員研修内演習では、「相手がどのように思うか」といった視点での質問が極端に少なく、全く質問にこないグループもありました。
さらに、トップを目指そうという意識も高くないため、演習成果物のブラッシュアップに意識が向かず、自己完結で満足しているように見える行動も多くなりがちです。
周囲からどう見られるかを意識できない
最近の新入社員には、「周囲からどう見られるかを意識できない」という課題が挙がることもあります。アルーが研修講師やオブザーバーに対して行ったアンケートによると、「新入社員のマナーに反した言動が目立つ」といったコメントが散見されました。
例えば、「足を組む、肘をつくなど、パソコンの画角外に対する配慮がない」「オンライン研修中に勝手に離席してしまう」「言葉遣いが稚拙」などのコメントが散見されています。
新入社員は周囲からどうみられるかを意識できないため、指摘されたことも考えたこともなかった、ということも多いので、細かな部分でも指摘し、新入社員のうちから直してもらうことが必要になるでしょう。
他者から抜きん出ようとする行動をしない
自発性に欠けるという項目とも重なりますが、新入社員には「他者から抜きん出ようとする行動をしない」というのもよくある課題です。
▼2024年度新入社員の傾向トップ3・ワースト3
出展元:2024年度新入社員レポート~Z世代と働くヒント~
アルーが行った調査では、2019年以降、他者に対する競争意識は低いまま推移しています。
これには、仕事に対する考え方が変化しつつあり、出世キャリア形成が必ずしも人生のゴールではないという価値観が一般化しつつあることも関係しています。新入社員の教育を行う場合には、こうした点を意識しながら関わることが必要です。
▼Z世代の実態調査の結果はこちらの資料でご覧いただけます。
在宅勤務が増えたことによるコミュニケーション不足
新入社員が抱えがちな課題として、在宅勤務が増えたことによるコミュニケーション不足が挙げられます。
新型コロナウィルスの影響により、様々な業界でテレワークが一般化しました。テレワークは移動の手間が削減できたり柔軟な働き方ができたりと便利な面もありますが、コミュニケーションが不足しがちなのも事実です。
最近では徐々にテレワークを撤廃する企業も増えてきていますが、まだまだ在宅勤務によるコミュニケーション不足の影響は随所で見られます。コミュニケーション不足は、最近の新入社員が経験しがちな悩みの一つです。
人間関係の悩み
新入社員が抱えがちな課題として、在宅勤務であろうとオフィス勤務であろうと人間関係の悩みが挙げられます。現在の新入社員は特に、入社後も継続してテレワークでの勤務となるケースもあるため、気軽にだれかに声をかけられる状況でなかったり、誰に声をかければいいかわからず、緊張して上手くコミュニケーションが取れなかったりすることも多いでしょう。
その結果、新入社員は悩みを一人で抱え込んでしまう、上司や同僚と積極的に会話しようとしなくなってしまう、という課題を持ちやすいです。
ビジネスマナーがなかなか身につかない
ビジネスマナーは、ビジネスにおける信頼関係を構築し、お互いに仕事を気持ちよく進める上で必要不可欠です。ですが、新入社員は完璧なビジネスマナーが備わっていないため、最初のころは失敗してしまうことも多いでしょう。
また、ビジネスマナーがなかなか身につかないのも、最近の新入社員にはありがちな課題です。ビジネスマナーが身につかない原因としては、ビジネスマナーの必要性が伝わっていないということや、新型コロナウィルスによる外出自粛期間中に大学時代を経験したため、対面でのアルバイトの経験が少ないといったことが挙げられます。
自発的に行動できない
新入社員にありがちな課題の一つに、自発的な行動が不足しているという点も挙げられます。
最近の新入社員の一般的な傾向として、言われたことを忠実にこなす能力は高い一方で、「我こそは」と周りから抜きん出て何かに取り組む気概に欠ける、ということがよく指摘されます。自発的な行動ができないと、チャレンジングな仕事に取り組む機会も減ってしまい、今後も成長も抑圧されてしまいかねません。なるべく新入社員時代の早い段階から、自発性を磨く教育を行う必要があるのです。
周りに比べて自分はできていないと思うことが多い
当然のことではありますが、知識の身につくスピードには個人差があります。同じ内容を同じ時間だけ教えても、すぐに内容を飲み込める社員となかなか内容を理解できない社員がでてくるのは自然なことです。
しかし、最近の新入社員はこうした理解のスピードの差を過度に気にしすぎてしまう傾向があります。周りと比較して「自分は出来が悪い」と感じてしまうことも多いです。企業側はポジティブなフィードバックを多めに提供して、新入社員のモチベーションを保つ必要があります。
大手企業の内定者によくみられる課題
大手企業の内定者には、大手企業以外の内定者にはあまり見られない独自の課題が発生するケースもあります。
組織よりも自分らしさを優先したり、あるいは目の前の仕事の意義が分からなかったりと、大手企業の内定者には一定の傾向が見られます。大手企業の内定者によく見られる課題を見ていきましょう。
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組織よりも自分らしさを優先する
大手企業の内定者にありがちな課題としては、第一に「組織よりも自分らしさを優先する」という点が挙げられます。
これはZ世代に共通して見られる価値観ですが、特に企業規模が大きく全体に対する貢献意識が希薄になりがちな大手企業の内定者では顕著な傾向です。実際アルーのアンケート調査では、従業員数が1000名を超える大企業の内定者は組織よりも自分らしさを優先する傾向があることが明らかになっています。
例えば仕事に取り組んでもらう際にも、「この仕事で開発部の業務効率が20%アップする」といったアピールはあまり響かないかもしれません。「これに取り組めば君に〇〇のスキルが身につくよ」「この仕事は君のキャリアにとって重要だよ」といったように、個人に対するメリットをアピールする伝え方が効果的です。
目の前の仕事への意義付けができない
アルーの行ったアンケート調査によると、従業員数が1000名を超える大企業の内定者には「社会問題や環境問題への関心が高い」という特徴が明らかになっています。
出展元:2023年度新入社員レポート
SNSを通じて多くの社会問題や環境問題へ触れているZ世代の新入社員にはある意味で必然ともいえる傾向です。
しかし、これによってZ世代の社員は目の前の仕事に対する意義を見失ってしまうケースがあります。外部環境に対する意識の高さが裏目に出てしまい、身近な物事の意義といったミクロな視点を見失ってしまいがちです。
組織を動かすような大きな仕事への意欲が低い
アルーが新入社員約300名を対象にして実施したアンケートでは、大手企業の内定者のうち「組織を動かして、スケールの大きな仕事や責任のある仕事がしたい」と回答した社員は全体の25.1%にとどまっています。一方、従業員が1000人未満の企業の内定者が同じ選択肢を選んだ割合は41.1%です。
出展元:2023年度新入社員レポート
大企業の内定者は、組織を動かすような大きな仕事への意欲が低いという課題もあります。組織が大きいため自分が組織全体を動かすビジョンが見えず、結果的に大きな仕事への意欲が低下しがちです。
▼Z世代の実態調査の結果はこちらの資料でご覧いただけます。
新しい仕事や困難な仕事への意欲が低い
大手企業内定者には、新しい仕事や困難な仕事への意欲が低いという課題もあります。
上述したアンケートにおいて、「人が避けるような困難な仕事や高い目標にもあえて挑戦したい」と回答した大手企業の内定者は、わずか4.1%にとどまりました。一方で同じ選択肢を選んだ大手企業以外の内定者の割合は17.7%となっており、大手企業内定者の実に4倍以上の数値です。
自発性や周囲を出し抜く意識の低さが、チャレンジングな行動意欲の減少につながっており、強い安定志向やリスク回避志向が見られる結果となっています。
新入社員が抱えるリアルな悩みを知りたい方は以下の記事もご参照ください。
Z世代7,000人分のデータを基に、育成施策のデザイン方法や
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新入社員の育成を成功させるポイント
Z世代の新入社員には、これまでの世代の社員とは異なる様々な課題があることがわかりました。それでは、こうした課題へアプローチするためにはどういった点に気をつければよいのでしょうか。
新入社員の育成を成功させるために意識したいポイントを解説します。
新入社員の特性を理解して対応する
最近の新入社員は、言われたことを忠実にこなす能力が非常に高いです。指示に対する解像度が高いため、必要性を感じたらすぐに行動へ反映させることができます。ですが、言われないと気付かない・気付けないというのも新入社員の特徴の一つです。
新入社員の育成を成功させるためには、こうした最近の新入社員の特性を踏まえた対応が必要です。例えば言われたことはこなせるが、自分では動こうとしない自発性の低さが見られる場合には、全てを伝えるのではなく、「これはどう進めたらいいと思う?」「これをやるとお客さんはどう思うかな?」など、自分で考えさせる力をつけると良いでしょう。
例えば、会議の資料をコピーしてほしい時に、「今回の会議には今のところ10人が参加予定なんだけど、これから参加者が増える可能性もあるんだよね。」などと伝えることで、新入社員は「余分に資料をコピーしておいた方がいいのかな?」と考えることができます。
「最大で何人が参加しますか?」など、新入社員に質問してもらい、考えさせることが大切です。
心理的安全性を与える
心理的安全性とは、「この組織では何を言っても大丈夫だ」という安心感のことを指します。心理的安全性の高い組織では自由闊達な意見交換が行われるため意思決定の質が高く、メンバーのストレス度も低いです。
新入社員の育成を成功させるためには、組織の心理的安全性を高めるのも効果的です。右も左もわからない新入社員は、仕事を進める中で様々な疑問が出てくるでしょう。組織の心理的安全性を高めておくことで、こうした疑問解決がスムーズになり、周囲からの支援を受けけられているという実感も得られやすくなります。
基本欲求を満たし内発的動機づけをする
内発的動機づけとは、新入社員自身の価値観や気持ちなどから巻き起こる、「自分は純粋にこれをやりたい」という動機のことです。対義語は外発的動機づけで、「周囲から指示されたからやる」といった動機が該当します。
新入社員の育成を成功させるためには、内発的動機づけを引き出すことが重要です。内発的動機づけは、以下の3つの基本欲求が満たされることで初めて生まれます。
- 自律性:自分で自分の意志を決定できるという感覚
- 有能感:自分に十分な能力があるという自信
- 関係性:自分以外の他者とつながっているという実感
以上の3点を意識して、内発的動機づけを促進しましょう。
可能な範囲で仕事の進め方に創意工夫を発揮させる
基本欲求の3つのうち、自律性を高めるためには進め方に創意工夫の余地を与えるのが有効です。仕事の進め方に対する裁量が大きければ、「自分で自分の行動を決めている」といった意識が高まります。
新入社員の育成を成功させるためには、仕事の進め方に創意工夫の余地を与え、新入社員の自律性を引き出すとよいでしょう。なお、創意工夫の余地をもたせる際には新入社員の力量やその時の状況を見極め、適切なゴールを設定するのが大切です。新入社員が無理なく創意工夫を発揮できるよう、トレーナー側がマネジメントする必要があります。
ポジティブな側面に目を向けて積極的に声掛けをする
入社したばかりの新入社員は、仕事でつまずく場面も多いでしょう。また、当たり前ですが社内の誰よりも経験が少ないため、「自分は先輩社員と比べて出来が悪い」といった劣等感を抱きがちです。こうした新入社員のネガティブな感情が溜まるとパフォーマンスが一層低下してしまい、悪循環に陥りかねません。
新入社員が劣等感を抱かないようにするため、ポジティブな側面に目を向けた声掛けが有効です。「できないこと」を指摘する前に必ず「できること」「上手くいったこと」を褒めるようにするなど、本人の成長に目を向けたフィードバックを心がけるとよいでしょう。
双方向のコミュニケーションの機会を意識的に増やす
新入社員の抱えがちな課題として、在宅勤務によるコミュニケーションの希薄化がありました。コミュニケーションが少なくなってしまうと社内でのつながりが薄れ、仕事の効率が悪くなってしまいます。また、新入社員が孤立を深めた結果、離職を選択するケースも出てくるかもしれません。
こうしたデメリットを防ぐため、双方向のコミュニケーションの機会を意識的に増やすのもおすすめです。週に1回30分の1on1ミーティングを行う、ランチでコミュニケーションを取るなど、様々なコミュニケーションの場を意識的に設けましょう。
1on1ミーティングについては、以下の記事で詳しく解説しています。
1on1ミーティングの導入効果・目的とは?導入企業の事例や導入方法
新入社員のパフォーマンスに応じて施策を設計する
新入社員の育成施策を設計する場合、「好調グループ」「標準グループ」「不調グループ」の3つに分けて実施すると効果が上がりやすいです。
3つのグループを用意する場合は、それぞれのグループに適した課題を設定し、施策を実施するタイミングを分けます。新入社員を3つのグループに分けて育成施策を実施する際のポイントを解説します。
好調グループへの育成のポイント
好調グループは、3つのグループの中でも最も育成がうまくいっているグループです。内発的動機づけも順調で、12月頃には精神的成熟も完了しているでしょう。年末までには成長に向けた土台も固まってきているため、徐々に次の役割を見据えたマインドセットやスキル習得の研修を進めていくのがおすすめです。
好調グループは能力成長も早いため、応用的なスキルもどんどん身につけてもらいましょう。ただし、トレーナー側が期待感を伝えすぎるあまり、本人へプレッシャーを与えないよう注意が必要です。
標準グループへの育成のポイント
標準グループは、6月〜10月を一区切りとして、10月までは研修で学んだ基本行動やスキルの定着を中心にフォローするとよいでしょう。10月以降は好調グループと同じように、徐々に応用的なスキルの習得へとシフトしていきます。
なお、標準グループのトレーナーの支援実感は11月〜12月頃から低下する傾向にあります。この時期からトレーナーに対して役割確認をしたりOJTの軌道修正をはかったりするなど、育成施策を見直す機会を設けるのが重要です。
標準的グループは、精神的成熟もまだまだ伸ばせる余地があります。目標と本人の意志を両立する方法を学んでもらうなど、能力育成と同時に内発的動機づけを促進する支援も行いましょう。
不調グループへの育成のポイント
不調グループは、まず内発的動機づけに課題があるケースが多いです。そのため、不調グループに対してはまず内発的動機づけが低い段階を脱するような支援を中心に展開していきます。
能力開発に関しては、あまり急がないのがポイントです。先に精神的成熟に向けた支援を通年で続けて成長に向けた土台を作り上げ、後から能力獲得を支援していきましょう。不調グループではトレーナー側も課題感を抱きがちなので、人事部とトレーナーが積極的に連携して、トレーナーに対する育成支援も同時に実施するのがおすすめです。
アルーが行っているOJTトレーナー研修は以下のページをご確認ください。
OJTトレーナー研修
新入社員への有効な働きかけの例
新入社員を育成する際の働きかけはいくつか考えられますが、育成を成功させるためには特にどういった働きかけを意識すればよいのでしょうか。
新入社員への有効な働きかけの例を見ていきましょう。
Z世代7,000人分のデータを基に、育成施策のデザイン方法や
個社事例をまとめました▼
場の活性化に向けた働きかけ
新入社員育成時の課題として、「積極的な発言が少ない」というのはありがちです。特にグループ内の人数が多くなってくると発言するハードルが上がり、新入社員一人ひとりの自発性が低下するケースも多いでしょう。
人数に合わせてグループを分けて実施するなど、場の活性化に向けた働きかけが有効です。またオンライン研修の場合、音声での発言ではなくチャット形式での発言にすることで、一気に意見が出てくる場合もあります。
マナーの必要性を知ってもらう働きかけ
先程も解説したように、Z世代の社員はマナーの重要性を理解できていない傾向が強いです。「そもそもマナーは必要なのか」と疑問に感じている社員も決して珍しくありません。
ビジネスマナーやそれに関連する研修を実施する際には、マナーの必要性を知ってもらう働きかけを行いましょう。例えばビジネスマナー研修の前に、以下のように伝えることで納得度が高まります。
「海外に行ったらそこの文化を知って、適応してみようと考えるよね。ビジネスの世
界にもそれまで形成されてきた文化があって、それをまず知って、適応するやり方
を考えてみよう」
そもそもどうしてビジネスマナーを学ぶのか、といった観点に立ち返り、必要性を丁寧に説明するのが重要です。
チャレンジを促す働きかけ
新入社員の一般的な傾向として、チャレンジに消極的だという点もあります。特に大手企業の内定者にはこの傾向が顕著で、そもそも難しい仕事に挑戦したいという意識を持っていない新入社員がほとんどです。
新入社員の育成を成功させるためには、チャレンジを促す働きかけも有効です。「失敗してもいいし、フィードバックを次に活かせればいい」「ただし、自分から行動しないとフィードバックは得られないよ」といったように伝え、新入社員のチャレンジ精神を引き出しましょう。
とは言え、実際の仕事の場面でチャレンジをすることにハードルを感じる新入社員も多いと思います。そのような場合、新入社員研修の場で失敗できるチャレンジの場を用意するとよいでしょう。
たとえば、グループごとに自社の企業理念についてまとめ、部長や経営陣に向けてプレゼンする研修などがおすすめです。この際、中間レビューの機会を設け、周りからのフィードバックを受けられる状態にすることが重要です。自ら課題を見つけ、提案を作り、フィードバックを基にブラッシュアップするという経験を通し、失敗をしても何度もチャレンジする精神を育むことができます。
すぐに実践するための働きかけ
研修一般にありがちな課題として、「研修内容は一通り伝えたが、実践の方法をわかってもらえなかった」という点が挙げられます。特に現場での実践機会が限られる新入社員研修においては、こうした課題が多いです。
すぐに実践するための働きかけも、新入社員を育成する際には有効です。例えば「今日学んだことを次にどう活かすかを1ページの振り返りシートに記入してもらう」「新入社員同士で実践できているか確認しあう相互フィードバックを取り入れる」など、実践を促す取り組みを行いましょう。
また、研修にシミュレーションプログラムを取り入れることで、現場での実践機会が少ない新入社員も実践経験を得ることができます。
相手視点の必要性を促す働きかけ
組織よりも自分を優先しがちな新入社員に対しては、相手視点の必要性を促す働きかけも有効です。ただし、このとき「ビジネスでは自分よりも組織を優先するべき」などと頭ごなしに新入社員を否定してしまうと、新入社員に拒否感が生まれてしまいます。
「自分のことは自分の価値観に基づいて、自分で決められる」ということを強調した上で、「ビジネスの世界では『相手が成果を決める』という姿勢に共感するのが重要」と伝えるようにしましょう。自分と同時に相手を大切にする姿勢が身につけば、より相互の信頼関係を築きやすくなり、ビジネスでも成果を発揮しやすくなります。
相手視点の必要性を知ってもらうためには、研修内にシミュレーションやロールプレイングのプログラムを取り入れることがおすすめです。講師や先輩社員を相手に、「相手にとって満足するアウトプットを出す」ことを目的に商談シミュレーションやプレゼンシミュレーションを行なってみましょう。講師や先輩社員からのフィードバックを通し、自分のアウトプットは相手視点ではどのように見えているのか、どうすれば相手に満足してもらえるアウトプットを出せるのかを学ぶことができます。
アルーではシミュレーションプログラムを取り入れた「社会人の基本100本ノック」研修を提供しています。
▼「社会人の基本100本ノック」のサービス資料はこちらからダウンロードいただけます。
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おすすめの新入社員研修の具体例と研修事例
新入社員研修を行う際には、それぞれの課題に応じた研修の実施が必要です。
ここからは、新入社員研修でありがちな課題と、それぞれに対応したおすすめの研修事例をセットで解説します。
ビジネスマナー研修
入社した直後で社会人経験に乏しい新入社員には、以下のような課題がありがちです。
- ビジネスマナーの必要性を理解していない
- ビジネスマナーが無駄なものだと考えている
- そもそも、ビジネスマナーに関する知識が全くない
こうした課題を解決するためには、ビジネスマナーの必要性や基礎知識を学んでもらうビジネスマナー研修を実施すると効果的です。ロールプレイングなどを交えながら、ビジネスマナーについての理解を深めてもらいましょう。
▼ビジネスマナー研修のカリキュラム例
テーマ |
概要 |
イントロダクション |
グランドルールと研修目的の確認 |
マナー理解度テスト |
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マナーを体現するための心構え |
社会人にとってのマナーとは何か、なぜ大事かを確認し、「一人ひとりが会社の代表として相手に信頼感・安心感を与える」というマナーの心構えについて理解する |
講義「印象管理」 |
身だしなみ、挨拶、表情、立ち居振る舞い、言葉遣いをテーマに、周囲から信頼感・安心感を持ってもらえる状態をどのように作るかを学ぶ |
実践演習「印象管理」 |
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講義「実務マナー」 |
職場ですぐに実践するマナーとして、名刺交換、電話応対、メール応対、来客・訪問・席次について学ぶ |
実践演習「実務マナー」 |
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講義「マナーと人間関係」 |
気持ちよく働くための環境づくりと、人間関係の構築として、会食・宴会でのマナーについて学ぶ |
実践演習「マナーと人間関係」 |
会食・宴会中に起こりえるアクシデントについて、自分ならどのように対応するかをテストする |
まとめ |
職場での実践に向けて研修での気付きをまとめ、目標を立てる |
アルーのビジネスマナー研修については、以下から詳しくご覧いただけます。
ビジネスマナー研修
▼ビジネスマナー研修について詳しくはこちらの資料もご覧ください。
社会人の基本・モラル研修
Z世代の新入社員には、以下のような課題もありがちです。
- 周囲の目線を意識できず、つい一線を超えてしまう
- 会社の許容範囲を理解できていない
- アルバイトなどの経験が少なく、社会人としての基本が身についていない
こうしたケースでは、社会人の基本やモラルについて学んでもらう研修の実施が効果的です。学生から社会人への意識改革や情報リテラシーなど、社会人の基本となる精神的成熟を促していきましょう。
▼社会人の基本・モラル研修のカリキュラム例
テーマ |
概要 |
進め方 |
イントロダクション |
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社会人の基本とは? |
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導入ワーク: |
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グループワーク |
ノック1本目 |
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ペアワーク |
ノック2本目 |
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ペアワーク |
ノック3本目 |
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ペアワーク |
ノック4本目 |
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グループワーク |
まとめ |
振り返り、行動指針の作成、質疑応答 |
学生から社会人への意識改革をテーマとした研修は以下のページをご確認ください。
社会人の基本100本ノック
▼「社会人の基本100本ノック」のサービス資料はこちらからダウンロードいただけます。
仕事の進め方研修
仕事の進め方については、以下のような課題がよくあります。
- 自分の視点だけで仕事を進めてしまい、相手の期待する成果からズレてしまう
- 言われたことだけをこなし、能動性に欠ける
- 仕事を進める上で相手視点が欠けている
こうした課題については、仕事の進め方に関する研修が効果を発揮します。G-PDCAサイクルによる行動習慣や、相手目線でのものの考え方など、仕事の基本的な進め方を学ぶことが可能です。
▼仕事の進め方研修のカリキュラム例
テーマ |
概要 |
進め方 |
イントロダクション |
グランドルールと研修目的を確認する |
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プロフェッショナル |
「G-PDCAサイクル」の行動習慣と、「相手の期待に応えるために、自分から考え、自分から行動する」という心構えについて解説する |
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ノック1本目 |
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グループワーク |
ノック2本目 |
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グループワーク |
ノック3本目 |
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ペアワーク |
ノック4本目 |
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ペアワーク |
ノック5本目 |
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グループワーク |
ノック6本目 |
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グループワーク |
まとめ |
振り返り、質疑応答 |
アルーの仕事の進め方研修については、以下のページをご覧ください。
プロフェッショナルスタンス
▼プロフェッショナルスタンス研修について詳しくはこちらの資料もご覧ください。
ロジカルシンキング研修
ロジカルシンキング研修で解決できる課題は、例えば以下のようなものが挙げられます。
- 顧客や上司への報告を行う際に、情報が整理できない
- なにかを検討する際の下調べが不十分で、何度もやり直している
- 報告書やメールの内容が情報の羅列になっており、なにを言いたいのかわかりにくい
ロジカルシンキング研修を実施すれば、論理的に明快で筋道だった考え方ができるようになります。ピラミッド構造やグルーピングといったフレームワークを用いて、論理的思考力の高い人材を育てることができるでしょう。
▼ロジカルシンキング研修のカリキュラム例
項目 |
概要 |
進め方 |
イントロダクション |
研修目的を確認する |
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アイスブレイク |
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ペアワーク |
ロジカルシンキングの原則を学ぶ |
ピラミッド構造と4つのルール(グルーピング、メッセージ、根拠付け、MECE)について学ぶ |
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ケーススタディ① |
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グループワーク |
ケーススタディ② |
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グループワーク |
ケーススタディ③ |
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グループワーク |
ケーススタディ④ |
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グループワーク |
ケーススタディ⑤ |
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グループワーク |
まとめ |
振り返り、質疑応答 |
アルーのロジカルシンキング研修は、以下のページからご確認いただけます。
ロジカルシンキング研修
▼ロジカルシンキング研修について詳しくはこちらの資料もご覧ください。
ホウレンソウ研修
新入社員にありがちな課題として、以下のようなものがあります。
- 忙しい上司や先輩社員にホウレンソウを躊躇してしまう
- 自分の状況を整理できず、ホウレンソウで何を伝えたいのかわからない
- 悪いとわかりつつ、つい報告を後回しにしてしまう
こうした課題の解決には、ホウレンソウのやり方や重要性を学ぶホウレンソウ研修がおすすめです。ホウレンソウ研修を実施すれば、短い時間で簡潔に要点を掴んだ説明ができるようになり、会社でのコミュニケーションがスムーズになります。
▼ホウレンソウ研修のカリキュラム例
テーマ |
概要 |
進め方 |
イントロダクション |
グランドルールと研修目的を確認する |
|
頭の体操 |
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ペアワーク |
講義 |
ホウ・レン・ソウの目的(仕事を前に進める、職場の全員が気持ちよく働く)と、心構え(チームの成功を第一に考えホウ・レン・ソウを行う)、ホウ・レン・ソウの7つの道具(場のすり合わせ、エレベータートーク、リクエストの明確化、リクエストの明確化、積極的傾聴、理解の確認、フィードバック)について学ぶ |
ペアワーク |
ノック1本目 |
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ペアワーク |
ノック2本目 |
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ペアワーク |
ノック3本目 |
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ペアワーク |
ノック4本目 |
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ペアワーク |
ノック5本目 |
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ペアワーク |
ノック6本目 |
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ペアワーク |
ノック7本目 |
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ペアワーク |
ノック8本目 |
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ペアワーク |
まとめ |
1日のまとめ、質疑応答 |
アルーの実施するホウレンソウ研修については、以下のページをご覧ください。
プロフェッショナルスタンスコミュニケーション ホウ・レン・ソウ7つ道具編
▼ホウレンソウ研修について詳しくはこちらの資料もご覧ください。
会社理解研修
会社理解研修で解決できる新入社員の課題は、以下のようなものがあげられます。
- 自社の社員としてどのような行動が求められるか知らない
- 自社の理念と自分の価値観の共通点を見つけられていない
会社理解研修では、会社のミッション・ビジョン・バリューを伝えましょう。その上で、新入社員がミッション・ビジョン・バリューを自分なりに咀嚼し、自分の言葉で話せるように支援することが重要です。ワークショップなどで経験や価値観の棚卸を行い、会社のミッション・ビジョン・バリューと自分の価値観の重なりを意識してもらうとよいでしょう。
コミュニケーション研修
新入社員は、以下のようなコミュニケーションに関する課題も抱えがちです。
- 周囲へ相談するハードルが高く、悩みを一人で抱え込んでしまいがちである
- 仕事の進め方を質問するとき、なにに困っているのかが上司に伝わらない
- 新入社員同士の横のつながりが薄く、なんとなく雰囲気が悪い
コミュニケーション研修を実施すれば、ビジネスパーソンとして求められる基本的なコミュニケーションの心構えや手法が身につき、社内のコミュニケーションが活発化します。周囲とより良い関係構築ができるようになるため、社内の雰囲気も改善するでしょう。
▼コミュニケーション研修のカリキュラム例
項目 |
概要 |
進め方 |
イントロダクション |
研修目的を確認する |
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頭の体操 One Word Pass ゲーム |
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グループワーク |
ケーススタディ① |
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グループワーク |
ケーススタディ② |
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ペアワーク |
ケーススタディ③ |
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グループワーク |
ケーススタディ④ |
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ペアワーク |
ケーススタディ⑤ |
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ペアワーク |
ケーススタディ⑥ |
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ペアワーク |
まとめ |
振り返り、質疑応答 |
アルーのコミュニケーション研修は、以下のページをご覧ください。
コミュニケーション研修
アサーティブコミュニケーション研修
新入社員に関しては、以下のような課題もよくあります。
- 上司から頼まれた仕事をなかなか断れず、上司への苦手意識だけが募ってしまう
- コミュニケーションを取る際、つい相手を責めるような言い方をしてしまう
こうした状況を改善するためには、相手と自分をともに大切にするためのコミュニケーション手法であるアサーティブコミュニケーションを学ぶ研修を実施するのが効果的です。DESC法などアサーティブコミュニケーションのための基本的なフレームワークを学んだあと、豊富な実践を通じて自他ともに尊重するコミュニケーション技法を身につけることができます。
▼アサーティブコミュニケーション研修のカリキュラム例
午前 |
午後 |
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アルーのアサーティブコミュニケーション研修は、以下のページをご覧ください。
アサーティブコミュニケーション研修
ビジネス文書研修
新入社員がメールや日報といったビジネス文書を書く際は、以下のような課題がよくあります。
- メール文の敬語が不自然で、相手の印象を損なってしまう
- 取引先へのメールを見た上司から、「文章が冷たい」「攻撃的」と指摘されてしまう
- 会議の議事録を作成したとき、書かなくていいことを書いていると指摘されてしまう
新入社員にとって馴染みの薄いビジネス文書をうまく書き上げてもらうためには、ビジネス文書の書き方を学ぶビジネス文書研修の実施がおすすめです。グループワークでの相互評価などを通じて、メールや議事録、日報といったビジネス文書をわかりやすく作成できるようになります。
▼ビジネス文書研修のカリキュラム例
項目 |
概要 |
進め方 |
イントロダクション |
研修目的の確認をする |
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講義 |
ビジネス文書の大原則(相手にとって、わかりやすい文書を作成する)と、ビジネス文書の全体像(主要場面:メール、議事録、日報。ビジネス文書作成プロセス:①定める、②書く、③仕上げる)を学ぶ |
講義 |
ワーク① |
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個人ワーク |
ワーク② |
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グループワーク |
ワーク③ |
お客様とのアポイントをダブルブッキングしてしまった場面を想定 |
個人ワーク |
ワーク④ |
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個人ワーク |
ワーク⑤ |
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個人ワーク |
まとめ |
振り返り、質疑応答 |
アルーのビジネス文書研修は、以下からご覧ください。
ビジネス文書研修
▼ビジネス文書研修について詳しくはこちらの資料もご覧ください。
新入社員の課題解決ならアルーにお任せください
この記事で解説したように、新入社員は様々な課題を抱えがちです。特にZ世代の社員の教育を行う際には、これまでと異なる育成ノウハウが求められます。
新入社員の課題解決なら、アルーへお任せください。アルーでは研修実施の実績が豊富にあるため、最新の新入社員の動向を踏まえた最適な研修の実施が可能です。
アンケートで分かった新入社員の動向に合わせて研修を作成しています
2024年度、アルーは112社の約2.3万人を対象に新入社員研修を実施しました。アンケートなどを通じて新入社員の動向を詳細に把握した結果、Z世代の新入社員にはこの記事で解説したように、様々な特徴があることが分かっています。
アルーでは、こうした新入社員の最新の動向に応じた育成ノウハウを常に開発し続けています。新入社員の仕事観やキャリア観にあわせた研修を実施できるため、育成効果を最大限に引き出すことが可能です。
なお、アルーは新入社員研修中の様子から見えてきた、新入社員の傾向をまとめた「新入社員レポート」をご用意しております。2024年度新入社員レポートは、以下からご覧ください。
研修体系・育成プログラム作成から支援します
新入社員の育成を成功させる上で必要不可欠なのが、研修体系や育成プログラムの作成です。研修体系や育成プログラムを作成する際には、全体としてバランスが取れるよう配慮しながら、自社の戦略や現状を踏まえた判断が求められます。
アルーでは、研修体系や育成プログラムの作成から伴走いたします。企画立案段階から一気通貫型でサポートするため、お客様の企業にぴったりな研修の実施が可能です。研修体系や育成プログラムをまだ作成していない場合でも、お気軽にご相談ください。
オンライン研修にも対応しています
在宅勤務が一般化する中で注目を浴びているのが、オンライン研修です。オンラインで研修を実施すれば、新入社員の研修参加の負担を軽減できるほか、会場確保や交通費など研修を運営するコストも大きく削減できます。
アルーでは、オンラインでの研修実施にも対応いたします。オンラインで研修を行う際には、対面形式で実施する場合とは異なるノウハウが必要です。アルーではオンラインの研修実績も豊富なため、オンラインでありがちな「集中力が低下してしまう」「内容が身につかない」といった課題を解決できます。
Z世代7,000人分のデータを基に、育成施策のデザイン方法や
個社事例をまとめました▼
まとめ
新入社員が抱えがちな課題について、最新の傾向を踏まえて解説しました。
Z世代とも呼ばれる最近の新入社員は、学生時代にオンラインで授業を受けていたり、多様な働き方が身近になっていたりすることもあり、仕事に対する考え方が前の世代とは大きく異なります。新入社員の育成を成功させるためには、こうした最新の新入社員の動向を踏まえた育成施策の実施が欠かせません。
アルーでは、こうした最新の動向を踏まえた新入社員研修のプログラムを提供しています。世代ごとの特徴を踏まえた設計となっているため、自律的な人材を効果的に育成することが可能です。詳しくは、以下のページをご覧ください。
新入社員研修
▼新入社員研修について詳しくはこちらの資料もご覧ください。
ぜひこの記事で解説した内容を参考にして、新入社員研修を成功させていきましょう。