1on1ミーティングの効果的な導入方法と事例を紹介
「1on1ミーティングという言葉はよく聞くが、具体的にどのような効果があるのか知りたい」
「1on1ミーティングを実施したいが、実際どう進めればよいのかわからない」
こんな悩みを抱える人事担当者の方も多いでしょう。1on1ミーティングを実施すれば、部下の成長支援や自律的キャリア形成の支援といった様々な効果が見込めます。この記事では、1on1ミーティングを導入する目的や効果について、実際に導入した企業の事例なども交えながら紹介します。
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1on1ミーティング導入の目的は?
1on1ミーティングを実施する目的は、「上司と部下の間での信頼関係を醸成する」「経験学習サイクルの促進」「部下の視座の上昇」といったものがあげられます。さらには、1on1によって部下の成長が支援できる、自律的なキャリア形成を支援できるといった点も挙げられます。1on1ミーティングを導入する目的について、代表的なものを紹介します。
部下の成長を支援するため
普段の仕事に集中していると、なかなか個別にアドバイスするのは難しいものです。一方で1on1ミーティングを実施すれば、上司は日頃の仕事ぶりや成果について集中的にフィードバックできます。
「部下の成長を支援する」という点は、1on1ミーティングを導入する主な目的の一つです。上司から直接アドバイスを受けることによって、部下は「成長のために何を行えばよいのか?」を明確化できるため、個人としてさらに実力を伸ばすことができます。
自律的キャリア形成を支援するため
VUCAとも呼ばれる先の見えない現在では、部下が自分自身でキャリアについて考えることが欠かせません。一方で、自分自身の目指す将来像が曖昧で、キャリア形成といっても何から取りかかればよいのかピンとこないという社員が多いのも現状です。
1on1ミーティングは、部下のキャリアアップを促進する重要な手段でもあります。上司は、部下のスキルや能力を評価した上で、部下が自律的なキャリア形成ができるように支援してあげましょう。キャリアプランの策定やキャリアアップに必要な知識を身につける方法について話し合うのもおすすめです。
自律的なキャリアについて詳しくは以下のページをご覧ください。
『【事例あり】キャリア自律とは?企業が支援するメリット・デメリット』
評価の納得性の向上のため
「評価の納得性を向上させる」という点も、1on1のミーティングの重要な役割の一つです。1on1ミーティングという場で上司と部下が直接話し合えば、上司は部下に対する評価の些細な点まで補足することができます。
また、1on1ミーティングという場で評価に関する部下からの疑問点に上司が直接答えることで、さらに評価の透明性は向上します。また、1on1ミーティングで上司が部下に自己評価を行わせて上司からの評価とのすり合わせを行えば、部下は自分の成果や課題についてさらに深く理解できるでしょう。
▼評価面談のポイントについて詳しくは以下の資料をご覧ください。
エンゲージメントの向上のため
エンゲージメントとは、組織に対して抱く「愛着」のことです。エンゲージメントが高いほど従業員は自らの仕事に意義を感じやすくなり、主体性やパフォーマンスが向上すると言われています。
1on1ミーティングで部下と上司が直接対話すれば、部下のエンゲージメントを向上させることも可能です。部下の意見を上司が直接ヒアリングするのも効果的ですし、反対に上司が自分たちの会社やチームのビジョンや目標を共有し、会社の方向性を浸透させるのも有効です。
上司・部下間の信頼関係の醸成
仕事を進める上で、上司と部下の間の信頼関係は極めて重要です。縦の信頼関係がしっかりと醸成されていれば、指示もスムーズに通るようになりますし、トラブルが発生した場合も部下は安心して相談できるようになります。
1on1ミーティングは、上司と部下の間での信頼関係の構築を促進できます。お互いが感じていることや考えていることを共有して、信頼関係の醸成に努めましょう。ただし、お互いが率直に意見交換をするためにはあらかじめある程度の信頼関係があることが前提となるため、普段から信頼関係構築に繋がるような言動をとる必要があることには注意が必要です。
経験学習サイクルの促進
経験学習サイクルとは、社員自身の経験をもとに内省し、そこから得た教訓を基にさらなる経験を積んでいく好循環のことを指します。
社員が実際の業務にあたる中でどのような経験を得て、それをどのようなナレッジとして蓄積できるのかを考えることが、経験学習サイクルにおいては重要です。
1on1ミーティングを導入すれば、この経験学習サイクルを促進することもできます。上司が極力、部下が話をしやすいような環境や雰囲気作りができるかどうかが大きなポイントです。
経験学習サイクルについて詳しくは以下のページをご覧ください。
『経験学習サイクルとは?実践のコツや具体的な施策例』
部下の視座の上昇・視野の拡大
1on1ミーティングはあくまでも限られた時間で行う限定的な話し合いであるため、個別のスキルをこの場で高めるのは難しいです。一方、日々のフィードバックとして全般的な知見を上司が部下へ共有すれば、部下の視座の上昇が見込めます。また、上司が自分たちの考えや戦略を共有すれば、部下がより広い視野から企業全体のビジョンについて理解を深めることも可能です。
1on1のミーティングは、部下の視野を拡大させるための貴重な機会でもあります。また、視座の上昇・視野の拡大に取り組むことで、部下は自身の業務だけでなく、チームや組織全体の目標に対してより貢献しやすくなり、組織全体のパフォーマンスの向上にもつながるでしょう。
1on1ミーティングの導入が進んでいる背景
最近では、企業を取り巻くビジネス環境が激しく変化しています。その中で1on1のミーティングが導入されるようになった背景としては、「トップダウン型のマネジメントが通用しづらくなったこと」「リモートワークの増加で社員の行動を把握しづらくなったこと」が挙げられます。企業が1on1ミーティングに注目し始めた背景について見ていきましょう。
トップダウン型のマネジメントが通用しづらくなったため
1on1ミーティングの導入が進んだ背景として第一に、トップダウン型のマネジメントが通用しづらくなったことが挙げられます。従来の企業では上司が部下に指示を与え、部下がそれに従って業務をこなすというトップダウン型のマネジメントスタイルが主流でした。
一方、現代のビジネス環境は、働き方の多様化やジョブ型採用の浸透に伴って従来型の単純な指示スタイルでは上手くいきにくくなっています。そこで1on1のミーティングを実施すれば、上司は部下の状況を把握し、部下の意見やアイデアをヒアリングできます。上司が部下と協力して問題解決に取り組めば、トップダウン型のマネジメントでは対応しきれなかった複雑な問題にも対処できるようになるでしょう。
また、部下の意見やアイデアを聴くことで、部下の主体性発揮を促すことや、部下のモチベーション向上にもつながります。
リモートワークの増加で社員の行動を把握しづらくなったため
1on1ミーティングが注目されるようになった背景の2つめとして、リモートワークの増加で社員の行動を把握しづらくなった点が挙げられます。リモートワークは便利な反面、上司が部下の行動や様子を把握することが難しくなるのも事実です。オフィスでは直接上司が部下の様子を確認することで取り組んでいるタスクの進捗状況や、体調・メンタル面の状況などを確認できますが、オンラインではそれができません。
1on1のミーティングを実施すれば、上司は業務に関する情報や部下の状況を把握できます。また、部下も自分自身の状況や業務に関する課題などを上司に報告することできるため、業務の進捗管理やリモートワークで不足しがちなコミュニケーションの促進に役立つのです。
1on1ミーティングの導入方法
1on1ミーティングを導入するメリットや、1on1ミーティングが注目を集めてきている背景について解説しました。それでは、1on1を実際に導入する際には具体的にどのようなステップで導入すればよいのでしょうか。1on1ミーティングの導入方法について、4つのステップに分けて解説します。
導入の準備をする
まずは、1on1のミーティングを導入するための準備を実施しましょう。まずは1on1ミーティングを取り入れるためのプロジェクトを立ち上げ、リーダーや担当者を決定する必要があります。
1on1ミーティング導入のためのプロジェクト体制が固まったら、次は導入の目的やタイミング、対象者や頻度などを明確化します。また、1on1ミーティングが部下と上司の双方にとって有益なものとなるよう、ミーティングの形式や内容についての検討も必要です。
テスト導入を行い、運用方法を決める
1on1ミーティング導入のための準備が終了したら、1on1のミーティングをテスト導入しましょう。テスト導入の段階では、前のステップで決定したミーティングの内容や形式、頻度などを試行錯誤しながら、運用方法を改善していきます。いきなり大規模に始めず、まずはスモールスタートを心がけることが大切です。
テスト導入を行う際には、実際に1on1ミーティングに参加した上司と部下の双方からフィードバックを得ることが重要です。フィードバックをもとに改善点を洗い出し、1on1ミーティングをより洗練させていきましょう。
ルールやマニュアルを決め、トライアル導入
テスト導入で得られた知見をもとに、1on1のミーティングのルールやマニュアルを確定しましょう。この段階では、ミーティングの実施時間や進め方、議題などについても詳しく決めていきます。前ステップの段階でアンケートなどを実施して、ミーティングの内容や形式などについて社員から意見を集めておくことが大切です。
ルールやマニュアルを作成する際は企画している1on1ミーティングが”誰の”何のため”の1on1ミーティングかをまず明確にしましょう。この前提によって、ルールもマニュアルも変わるためです。
例えば以下のように4つに分けられます。
上司のため |
部下のため |
|
キャリア・成長のため |
部下との1on1ミーティングでは行なわない。 |
上司は、部下のキャリア・気持ち・成長に対する問いかけと傾聴に徹する |
業務のため |
「目標達成のための業務状況の把握」と「介入支援を行うための問いかけ、傾聴、アドバイス」を使い分ける |
上司は、部下が業務や人間関係、調整関係に困っていることに対して問いかけ、傾聴とアドバイスを使い分ける |
1.部下のキャリア・成長のため
部下のキャリア・成長を目的とした1on1ミーティングの場合、1on1ミーティングの目的が部下のキャリアや成長のためであることを上司も部下も認識した上でミーティングに臨む必要があります。お互いが業務の話をしないという前提条件のもとで、上司は常に1on1のテーマを部下に決めてもらうほうがうまくいきます。1on1ミーティングの冒頭では上司からテーマを設定するのではなく、部下に「今日はどんなテーマを扱いたいですか?」といったようにその時その瞬間に部下が気になっているテーマを部下に選ばせるとよいでしょう。仮に、部下が成長やキャリアと関係なくプライベートな話題を選んだとしても、上司は傾聴と問いかけに徹することが重要です。
2.部下の業務のため
部下の業務を目的とした1on1ミーティングの場合、上司が聞きたい業務内容を指定するのではなく部下が相談したい業務、困っている業務をテーマとして選ばせることが重要です。そのためには、上司は部下に「今日の1on1ミーティングでは、どんな業務を扱いたい?」と質問するとよいでしょう。ここで上司が知りたい業務について上司から確認してしまうと、部下のためではなく上司のための1on1ミーティングになってしまうので注意が必要です。
3.上司の業務のため
上司の業務のためを目的とした1on1ミーティングの場合、上司から訊きたい業務の状況を質問したり、ミーティングで部下が話すアジェンダを指定して部下に報告してもらう必要があります。また、部下にもこの1on1ミーティングは上司が部下の業務状況を把握するためのミーティングであることを認識してもらう必要があるため、そのためのルールを設けましょう。
4.上司のキャリア・成長のため
上司のキャリア・成長のための1on1ミーティングは部下とは行わず、外部コーチ、社内コーチ、メンター、上長と設けるようにし、部下との1on1ミーティングでは控えるようにしましょう。
このように「誰の」「何のため」の1on1ミーティングかによってルールが変わりますので、自社の目的に応じてルールやマニュアルを決めていく必要があります。ルールやマニュアルを決定したら、トライアル導入を行います。トライアル導入の様子を見ながら、ミーティングの形式などについて最終調整を行いましょう。
全社導入する
トライアル導入での課題点などを修正したら、全社導入に移行します。1on1ミーティングの対象となる全社員に対して1on1のミーティングの目的や内容、進め方などについて説明し、運用体制を確立しましょう。
なお、1on1ミーティングの目的を社員に共有できていないと、1on1ミーティングの効果は半減してしまいます。社員へ1on1ミーティングの内容を共有する際には、1on1ミーティングの目的について特に重点的に説明するのがおすすめです。また後述するように、定期的にフィードバックを集めて改善点を洗い出し、運用方法のブラッシュアップを行うことが重要です。
1on1ミーティングの具体的なテーマ
1on1ミーティングでは、普段は話し合わないようなテーマも含め、上司と部下が幅広いテーマについて意見交換することができます。中でも、現状の確認・ヒアリングやキャリア形成についてのヒアリングは様々な企業で取り上げられる、1on1の重要なトピックです。それぞれについて、詳しく解説します。
現状の確認・ヒアリング
1on1ミーティングで現状確認やヒアリングを行えば、部下の様子や課題点などを明確化できます。現状確認やヒアリングの具体的な内容としては、例えば以下のようなものが代表的です。
- 業務の具体的な進捗状況や、それに対する上司からの評価
- 日々の業務で抱えている疑問点や不安な点、困っている点など
- 健康状態は良好か
- ストレスや心理的負担はないか
これらについて部下へ直接ヒアリングすれば、上司は部署や企業が抱える問題や改善点を発見し、問題解決や業務改善につなげることができます。さらに、部下のストレスや不満点を把握することによって、職場環境の改善などの必要なサポートを実施できるでしょう。
キャリア形成についてのヒアリング
キャリア形成についてのヒアリングも、1on1ミーティングでよく取り上げられる主要なトピックです。具体的には、以下のようなポイントについて話し合うのがよいでしょう。
- 部下のキャリアに対する希望や目標
- 資格取得など、スキルアップの方向性
- 昇進や異動についての希望や計画
1on1ミーティングでキャリアについて話し合う際には、上司が部下に特定のキャリアを押し付けないように注意しましょう。あくまでも自律的に部下がキャリアを形成できるよう支援するのが、1on1ミーティングにおける上司の重要な役割です。
1on1ミーティングの導入企業と事例
1on1ミーティングは、業種や業界を問わず、今や様々な場面で活用されている取り組みです。1on1ミーティングを実際に導入前に1on1ミーティングの導入に成功した事例を学んでおけば、より効果的な1on1ミーティング実施の方法も見えてきます。1on1ミーティングを実際に導入した企業と事例を3つ、紹介します。
Yahoo!株式会社
Yahoo!株式会社では、人事部主導で1on1ミーティング導入のプロジェクトが始動しました。当初は「時間が捻出できない」「部下の愚痴のはけ口となるのではないか」といった声もあがったため、1on1ミーティングを導入する目的を明確にしました。「組織全体のマネジメント強化」といった1on1ミーティングの意義を社内に浸透させるとともに、経営陣にもコミットしてもらい、効果的な1on1ミーティングを実現しました。現在では約6,000人の社員が1on1施策を実施しており、今やYahoo!の社内文化として浸透しています。
楽天グループ株式会社
楽天グループでは、「勝てる人材、勝てるチームを作る」という”Back to Basics Project”の一環として、2017年に1on1ミーティングが全社導入されました。楽天グループの1on1ミーティングは自由度が高いことが特徴で、業務課題や進捗、キャリアプランなど幅広い話題についてそれぞれのスタイルで話し合うことができます。
1on1ミーティングによって上司からキーパーソンを紹介してもらった、疑問点や不安を解消できたといった声もあり、1on1ミーティングの代表的な成功例です。
クックパッド株式会社
2〜3名で一つのチームを作って仕事に取り組んでいるクックパッドでは、チーム力を高めるために1on1ミーティングを導入しました。1回の1on1面談は30分程度で行われ、日頃の仕事の成果や相談などについて幅広く話し合っています。
クックパッドでの1on1ミーティングの特徴として、形式にこだわらないカジュアルさが挙げられます。ときには散歩をしながら、ときにはランチをしながら行われる1on1ミーティングを通じて、双方がリラックスした雰囲気で話し合いを進めています。
「意味がない」といわれないための1on1ミーティング導入の注意点
1on1ミーティングという場で上司と部下が1対1の話し合いを行えば、信頼関係の構築や経験学習サイクルの促進といった様々なメリットが見込めます。1on1ミーティングの効果を最大限に引き出すためには、いくつかのポイントをおさえる必要があります。1on1ミーティングの導入を効果的に進める方法について、詳しく解説します。
アルーの1on1ミーティングに関する研修については、以下のページでご確認ください。
1on1ミーティングの基本
導入の目的を明確にする
1on1ミーティング導入の目的があやふやなままだと、1on1ミーティングで何を話せばよいのかわからず、雑談で終わってしまいます。1on1ミーティングを効果的に進める際には、そもそもなぜ1on1ミーティングを行うのかを明確にしておくことが極めて重要です。 1on1ミーティングを実施する際には、1on1ミーティングを導入する具体的な目的や、どのような成果が期待できるのかを社員に積極的に共有しましょう。これらをしっかりと社内に定着させることで、1on1ミーティングに対する社員の参加意欲も高まり、より効果的なミーティングが実現できます。
あくまで部下育成の手段として活用する
1on1ミーティングは上司と部下が直接話せる貴重な機会であるため、上司は1on1ミーティングを現場からの情報収集の時間としてしまうことがあります。しかし、1on1ミーティングはあくまでも部下のための時間です。意識して情報収集の時間とは切り分けることを心がけましょう。 また、1on1ミーティングはタスクの進捗管理の場ではありません。確かに案件の進捗状況を確認することは重要ですが、1on1ミーティングでそればかり議論していると、いつのまにか1on1ミーティングが「詰められる場」のようになってしまった、ということもありえます。 業務の進捗管理や評価を目的としてしまうと、1on1ミーティングに対する従業員のモチベーション低下やコミュニケーション不足を招く可能性もあります。これらを1対1形式の面談で実施したい場合は、別途1on1ミーティング以外の場を設けましょう。
慣れないうちは進行方法を事前に決めておく
1on1ミーティングを行う際には、慣れないうちは進行方法を事前に決めておくことが重要です。具体的には、議題の決め方や話し合いの進め方を決めておくことで、効率的なミーティングを実現することができます。 ただし、内容が固定化される可能性があり、1on1ミーティングの場が予定調和的になりやすいことがデメリットです。1on1ミーティング導入後、慣れてきたら、事前に決めた進行以外の方法でも1on1ミーティングを行なってみましょう。
フォローアップ施策と合わせて導入・運用する
1on1ミーティングは、単発のイベントではありません。常に部下と上司の間で意見交換を繰り返す機会を設けることで信頼関係の構築などを目指す、継続的な取り組みです。1on1ミーティング導入後には、現場に対しフォローアップ施策を行うことを心がけましょう。 例えば、1on1ミーティング実施後にアンケートを実施して、ミーティングで話せなかったことはないか、ミーティングで悩んだり困ったりしたことはないか、などをヒアリングするのがおすすめです。これらのフィードバックに基づいて1on1ミーティングをさらに改善すれば、より成果に直結する1on1ミーティングが実施できます。
1on1ミーティングをする社員の育成をする
いきなり「1on1ミーティングを実施してください」と言われても、上司は何を話せばよいのかわかりません。また、1on1ミーティングは1対1で行われる数少ない話し合いということもあり、上司の何気ない態度が部下から圧迫的と捉えられてしまうこともあります。 1on1ミーティングを実施する際は、実施する上司に対して十分な育成を行いましょう。具体的には、コミュニケーション能力やフィードバックの方法、議題の設定や進め方などを伝えるのが重要です。上司が自信を持って従業員と有意義な議論を行えば、1on1ミーティングは双方にとって価値のあるコミュニケーションの場となります。
アルーの1on1ミーティングに関する研修については、以下のページでご確認ください。
1on1ミーティングの基本
1on1ミーティングツールを活用する
1on1ミーティングツールを活用すれば、1on1ミーティングでの話し合いをスムーズに進めたり、効果的なコミュニケーションを行ったりできます。代表的なものとしては、例えば以下のようなツールがおすすめです。
- Googleドキュメント
- Microsoft Teams
- BacklogやAsanaなどのタスク管理ツール
また、1on1ミーティングには1on1ミーティングの進捗や議題をまとめるシートが用いられることも多いです。さらに、匿名でフィードバックを募ることができるフィードバックアプリを用いるのもよいでしょう。
前回の内容を忘れない
1on1ミーティングは、毎週、あるいは隔週で行われることがほとんどです。そのため、意識してどこかに記録しておかなければ、前回の内容を忘れてしまうことがあります。しかし、前回の内容を忘れてしまうと、内容の把握に無駄な時間がかかるだけでなく、部下からの信頼を失うことも十分考えられます。 1on1ミーティングを実施する際には、議論の内容をシートやツールなどに記録しておくなど、前回の内容を忘れないような工夫を心がけましょう。信頼関係の構築という観点からも、前回の内容を忘れないような工夫を意識的に施すことが大切です。
1on1ミーティングに関するよくある質問
1on1ミーティングの導入方法や、導入する際の注意点などについて解説してきました。ここからは、1on1ミーティングを実施する際によくある質問をまとめてご紹介します。1on1ミーティングについて、さらに理解を深めていきましょう。
普段からコミュニケーションが取れていれば導入しなくても良いですか?
普段からコミュニケーションが取れていたとしても、1on1ミーティングを導入すればより深いコミュニケーションが取れる、上司と部下といった縦の信頼関係をさらに強化できる、といった効果が期待できます。コミュニケーションが取れていると感じている場合であっても、1on1ミーティングの導入は大きな効果があるでしょう。
また、組織内の何気ないコミュニケーションとは別に、1on1という集中的な話し合いの場を設けることで、普段のオフィスではなかなかないような率直なコミュニケーションも期待できます。
どのくらいの頻度で実施すべきですか?
1on1ミーティングの頻度は、部下のニーズや業務の内容、上司と部下の関係性などによって異なりますが、概ね1ヶ月に1回程度は実施することをおすすめします。頻度が少ない場合、部下の成長に必要なサポートを十分に行えず、1on1ミーティングの効果が低下してしまいます。
一方、頻度が高すぎる場合は部下にとってミーティングが負担となってしまうこともあるでしょう。テスト導入などで適宜調整を繰り返しながら、適切なバランスを見つけることが重要です。
業務が忙しく、1on1ミーティングを行う時間がありません
日々の業務が忙しく、1on1ミーティングを行う時間がない場合は、業務の優先順位を見直すとよいでしょう。
部下の成長を支援することも上司の役割です。1ヶ月に30分、15分でも良いので、時間を捻出してみましょう。
また、1on1ミーティングを行うことで部下の成長を促すことができ、部下に一歩上の視座の仕事を任せることができるようになる可能性があります。そうすれば自分の時間も創出できるようになります。このように、柔軟に考えることが必要です。
本当に効果があるのかわかりません
1on1ミーティングの効果が見えない場合、まずは自社の課題点について1on1ミーティングがどのようにアプローチできるのかを考えてみましょう。例えばコミュニケーションに課題を感じている場合は、やや頻度や時間を増やし気味に設定してみるなど、自社の課題に合わせた1on1ミーティングにカスタマイズすることが大切です。
効果的な運用のためにも、自社の課題と1on1ミーティングがどう結びつくのかを考え抜くことが重要です。
アルーが行っている1on1ミーティングの導入を進めるための研修
アルーは、人材育成を長年手掛けてきた企業です。階層別研修やグローバル人材育成を中心に人材育成ソリューションを幅広く提供しており、1on1ミーティングの実施ノウハウも豊富に蓄積されています。アルーでは1on1ミーティングに関連する育成として、「1on1ミーティングの基本」「コミュニケーション研修」「生産性向上のための1on1シミュレーションプログラム」の3つを展開中です。それぞれについて、詳しくご紹介します。
1on1ミーティングの基本
1on1ミーティングを実施するときのよくある課題点として、
- 制度として実施はしているものの、いまいち必要性が社内に浸透していない
- 具体的な1on1ミーティング進行のプロセスが理解されていない
というものが挙げられます。1on1ミーティングを効果的に進めるためには、1on1ミーティングで話し合うべき内容や進め方、話の聞き方などについて基本的な知識を体系的に身につけるのが効果的です。
「1on1ミーティングの基本」では、そのような1on1ミーティングに必須の基本スキルについて網羅的に学ぶことができます。1on1ミーティングのクオリティを底上げしたい企業におすすめの研修です。
詳しくは、以下のページでご確認いただけます。
コミュニケーション研修
コミュニケーション能力は、1on1ミーティングを効果的に進める上で重要な能力です。高いコミュニケーション能力があれば、
- 部下の本音を上手く引き出せる
- 1対1でより深い議論ができる
- ネガティブなフィードバックを行う際も、極力相手に威圧感を与えないようにできる
といった様々な効果が期待できます。
アルーのコミュニケーション研修では、そういったコミュニケーションに求められる幅広い能力をバランスよく伸ばすプログラムをご用意しております。「若手社員向け」「中堅社員向け」「管理職社員向け」と階層別に細分化されているため、それぞれの立場で求められるコミュニケーション能力を効率的に学ぶことが可能です。
コミュニケーション研修に関しては、以下のページで詳しく紹介しています。
生産性向上のための1on1シミュレーションプログラム
1on1ミーティングを実施する際には、上司が部下の特性にあった指導を行う必要があります。また、部下の状況をしっかりと見抜き、必要なサポートや施策、業務改革を実施するのも上司にとって重要な役割です。
生産性向上のための1on1シミュレーションプログラムでは、1on1での指導の際に必要な幅広い能力を学ぶことができます。係長や課長クラスの社員を対象としているため、1on1ミーティングを行う上司側となる社員を育成する際にぴったりの研修です。
詳しくは以下のページをご覧ください。
まとめ
1on1ミーティングを導入する目的や、導入の際の具体的なステップ、導入時のポイントなどについて解説しました。効果的な1on1ミーティングを実施すれば、部下と上司の間の信頼関係が構築できる、部下の悩みや疑問点を素早くすくい上げることができる、といった様々なメリットが存在します。
一方、この記事で解説した注意点をないがしろにしてしまうと、形式だけの話し合いとなってしまい、1on1ミーティングの意義が半減してしまうことも事実です。そうなると、1on1ミーティングの導入が失敗だったと言われてしまいかねません。
1on1ミーティング制度の導入の際には、この記事でご紹介した1on1ミーティングに必要なポイントをおさえ、成果に直結する1on1ミーティングに繋げていきましょう。
アルーは上司向け1on1研修などでお客さまの1on1ミーティング制度の導入をご支援します。