研修アンケート項目事例・実施方法やポイントをご紹介
研修アンケートは、研修の改善点を探る上でとても重要です。
今回の研修で分かりやすかった点や分かりにくかった点をアンケートで聞けば今後の改善点も見えてきますし、研修後に提供するフォローアップの参考にすることもできます。
そこでこの記事では、研修アンケートを実施する際に盛り込む項目例や研修アンケートの実施方法、さらには研修アンケートを実施する際のポイントについて解説します。
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研修アンケートを実施する目的とは
そもそも、研修アンケートを実施する目的とは何でしょうか。
研修アンケートを実施する目的は、主に「研修の質を改善する」ことです。研修アンケートは、「受講者から見た研修の質の向上」という問題解決を効率的に行うための情報収集ツールとしての役割を果たします。
研修アンケートですべての課題解決を行おうとするのではなく、あくまでも問題の所在を特定し、論点のあたりをつけたり、議論のとっかかりを得たりするためのツールとして捉えることが重要です。
研修アンケートの項目例
研修アンケートでの質問は、以下の図のように3ステップで考えるとよいでしょう。
第一に、総合満足度を質問する定量項目で問題の有無を確認します。その後、問題点を絞り込み、原因を絞り出していくという流れです。
ここからは、研修アンケートへ具体的に盛り込みたい項目例を見ていきましょう。
研修参加前の課題はなんでしたか?
研修によって得られた効果を測定する際には、研修実施後の状態のみが重視されがちです。しかし、個人は研修実施前の段階で一人ひとり異なるスキルや知識を持っているため、研修実施前について情報収集しなければ研修の効果を正しく測定できません。
研修アンケートに盛り込む項目例として、「研修参加前の課題は何でしたか?」というものがあります。この質問をすれば、研修前後での能力の伸びを的確に把握できるほか、普段抱えている課題を引き出すことができるため、研修で何が解決したのかを考えやすくなります。
研修を通して学んだことはなんですか?
研修を通じてどのようなことを学んだのかも、ぜひ聞いておきたい項目です。「良かった」「悪かった」という抽象的な聞き方をせず、「何を研修で学べたのか」を具体的に聞くようにしましょう。
この質問をすれば、受講者は研修で学んだ内容を言語化することになります。言語化する過程で、研修で学んだ内容が受講者の頭の中で今一度整理され、知識の定着を促すことが可能です。また、講師側も研修で狙った学びが実現できているかを確認できます。
研修の満足度を5段階評価で教えてください
研修の満足度を5段階評価で教えてもらうのも、研修アンケートに取り入れたい項目です。
先程解説したように、研修アンケートでは3ステップに分けて課題解決の糸口を探る必要があります。研修の満足度を5段階で評価してもらう質問は、3ステップのうち一番始めの「問題の有無を確認する」段階にあたります。
例えばここで1や2といった低評価が目立った場合は、研修内容を大幅に見直す必要があるかもしれません。まずは研修に課題があるのかどうかを確認していきましょう。
講師の進め方はいかがでしたか?
講師の進め方に対する満足度を聞くのもおすすめです。この質問は、受講者の学びを促すというよりも、次回以降の研修の質を改善する点に重きが置かれています。
講師の進め方について聞く際には、まず講師の進め方に対する満足度を選択式や点数式で定量的に評価してもらいます。その後、理由を自由記述で定性的に把握していきます。研修の講師の進め方について何か受講者から提言があった場合は、ぜひ次回以降の研修に取り入れてみましょう。
研修講師の選び方や求められるスキルについては、以下の記事で詳しく解説しています。
『研修講師に求められるスキルとは。講師の選び方や研修を成功させるポイント』
教材は分かりやすかったですか?
研修の学びを深めるためには、教材の質がとても大切です。研修内で使用したテキストについてはもちろん、事前学習としてeラーニングを活用した場合は動画教材の分かりやすさについてもアンケートで確認するとよいでしょう。事前学習として取り組んでもらう動画教材の質が、研修全体の学習効果を大きく左右するといっても過言ではありません。
研修アンケートでは、教材が分かりやすかったかどうかについても聞きましょう。ただし、受講者の事前知識によって、同じ教材でも評価にばらつきが生まれる可能性があるため注意が必要です。この項目も、まずは定量的に数値で評価してもらったあと、何が分かりやすくて何が分かりにくかったのかを定性的に聞くのが効果的です。
受講環境は整っていましたか?
研修をオンラインで実施する際には、ネットワーク回線やパソコン、タブレット端末などの機器といった受講環境も大切です。研修における学びをストレスなく行うためには、まず受講環境を整えることが書かせません。
受講環境が整っていたかどうかをアンケートで把握すると、次回以降の研修の質の改善につながります。この項目についても、数値で定量的に評価してもらったあと、「具体的に何が整っていなかったのか」を記述式で書いてもらうようにしましょう。
研修の時間は十分でしたか?
学習には、受講者それぞれのペースがあります。学ぶ内容量に対して研修時間が短いと受講者に負担がかかり内容がうまく定着しませんし、極端に時間が長いと受講者の集中力やモチベーションを下げてしまう原因になりかねません。
研修の時間が十分だったかどうかをアンケートで聞くのもおすすめです。選択式や点数式で定量評価してもらったあと、「具体的にどの部分が足りなかった(長かった)と感じたか」などを記述してもらうとよいでしょう。
本日の研修で学んだ〇〇は実践できそうですか?
研修アンケートでは、研修の目的が達成できたかどうかを把握するための質問を盛り込むことが必要です。「本日の研修で学んだ〇〇は実践できそうですか?」という内容を入れると、研修目的が達成できたかを把握できます。
例えば「問題解決のフローを実践できるようになる」という目的の研修を実施した場合、「実務で問題解決のフローを実践できそうですか?」といった質問をしましょう。回答は基本的に「はい」「いいえ」の選択式か、5段階評価などにして、定量的に評価してもらうのがポイントです。
研修に対する意見や要望を教えてください
研修実施後、受講者側から何か提案や改善点が出るかもしれません。受講者目線での改善点は、今後の研修の質を改善するためのヒントとなります。
「研修に対する意見や要望を教えてください」という質問をすれば、これからの研修の質の改善につながるポイントを直接把握できるでしょう。研修当日のスタッフの動きや研修会場といった研修運営など、細かな改善点が見つかることも多いです。
今後研修を行ってほしいテーマはありますか?
「今後研修を行ってほしいテーマはありますか?」という質問もおすすめです。この質問によって、これからの研修に対するニーズを把握できます。
受講者全体のニーズを把握すれば、今後の研修のテーマを考える際の参考となるでしょう。また、受講者のニーズと調和した研修テーマを実施すれば、研修に対するモチベーションを高めることにもつながります。
【監修者からひとこと】 |
アンケートで受講者の理解度や課題を把握しておけば、次回以降の研修企画を効率的に進めることができます。効率的な研修企画・運営のコツについて詳しくは、以下のページをご参照ください。
『社内研修を効率化させるためには?方法や外注のメリットをご紹介』
研修アンケートのテンプレート
ここまでの内容を踏まえた研修アンケートのテンプレートを用意しました。研修アンケートを実施する際のテンプレートとしてご活用ください。
【監修者からひとこと】 |
研修アンケートを実施する目的とは
そもそも、研修アンケートを実施する目的とは何でしょうか。事前アンケートと事後アンケートに分けて解説します。
事後研修アンケート
研修アンケートを実施する目的は、主に「研修の質を改善する」ことです。研修アンケートは、「受講者から見た研修の質の向上」という問題解決を効率的に行うための情報収集ツールとしての役割を果たします。
研修アンケートですべての課題解決を行おうとするのではなく、あくまでも問題の所在を特定し、論点のあたりをつけたり、議論のとっかかりを得たりするためのツールとして捉えることが重要です。
【監修者からひとこと】 |
研修アンケートの実施方法
研修アンケートを実施する方法としては、主に研修後に紙でアンケートを実施する方法と、Web上でアンケートを入力してもらう方法の2つがあります。
紙でアンケートを配布して回収する方法は確実ですが、管理にコストがかかってしまいます。一方Web上でのアンケートは、研修運営側の管理コストが大幅に削減できる点が魅力です。
研修後にアンケート用紙を配布する
研修アンケートの実施方法として、研修後にアンケート用紙を配布するというものがあります。これは従来からよく行われてきた方法で、確実に回収できる点や、スマホなどのデバイスを持っていない社員でも回答できる点がメリットです。また、その場でアンケート用紙を回収すれば、回答率を大幅に高めることができます。
ただし、紙のアンケートを印刷する手間や、配布して回収し、データ化するコストなどは大きいです。アンケートの内容分析にも手間がかかるため、大規模な研修には向きません。
Webでアンケートを入力してもらう
Webでアンケートを入力してもらう方法もあります。研修終了時などにWebアンケートへのURLやQRコードを配布して、期日までにWeb上で回答してもらうようにする方法です。
Webでアンケートを入力してもらうようにすれば、印刷や回収といった手間をかけることなくスムーズにデータを収集できます。また、データのグラフ化を始めとした分析も容易です。ただし、企業のセキュリティレベルによってはアンケートツールが使用できない点や、紙のアンケートをその場で回収する場合と比べて回収率が低下しがちな点には注意しましょう。
【監修者からひとこと】 |
研修アンケートを実施するポイント
研修アンケートを実施する際には、いくつかの注意点があります。
研修アンケートの効果を最大限に引き出すために意識しておきたい、研修アンケートのポイントについて解説します。
問題の有無を確認する質問と問題を絞り込む質問を織り交ぜる
効果的なアンケート作成のポイントとして、「問題の有無を確認する質問と問題を絞り込む質問を織り交ぜる」という点が挙げられます。
研修アンケートを実施する際には、「問題の有無を確認する」「問題の所在を特定する」「原因を探り出す」という3つのステップを意識するのが大切です。アンケートの質問項目を考える際には、今聞いている質問がそれぞれどのステップのものなのかを明確にして、設問ごとに目的の切り分けを行いましょう。
クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンを使い分ける
クローズドクエスチョンとは、「はい」「いいえ」で答えるような質問のことです。研修アンケートにおいては、数値での評価も含んだ定量的な設問がこれにあたります。一方で「オープンクエスチョン」は、二択では答えられないような記述式の設問です。
研修アンケートを作成する際は、これら2つの質問をうまく使い分けていきましょう。具体的には、「問題があるかどうか」「どこに問題があるか」という確認的な情報収集はクローズドクエスチョンで定量的に把握して、「原因は何か」「何を改善すべきか」という探索的な情報収集はオープンクエスチョンで収集するのがおすすめです。
アンケートで得たい情報を明確にする
研修アンケートは、なんとなく実施しても効果がありません。実施する際には、「このアンケートを通じて何を把握したいのか」「どのような情報を得たいのか」を必ず明確にしましょう。
「研修全体の満足度」「今回実施した研修の改善点」といったものが、アンケートで得られる情報の代表例です。何のための質問なのかを整理しておくことで、今後の研修の内容改善につながる有益な情報が得られる確率が高まります。
理解度テストとは別で実施する
研修実施後に、研修内容を理解できたかどうかをチェックする理解度テストを実施することもあるでしょう。
研修アンケートは、理解度テストとは別で実施することを意識してみてください。研修アンケートの主な目的は、あくまでも研修の改善点を探ることです。研修の内容を理解できたかどうかを聞く場合もありますが、あくまでもそれは主観的な評価であり、客観的なテストではありません。アンケートとテストはそもそも目的が違うため、切り分けて実施するのがおすすめです。
重要度の高い項目は前半に入れる
研修アンケートの中には、重要度の高い項目とそうでない項目が存在します。ある程度の分量があるアンケートになると、後半よりも前半の質問に丁寧な回答が集まりやすいのは自然なことです。
研修アンケートを作成する際には、重要度の高い項目は前半に入れるよう心がけましょう。例えば「研修で何を学びましたか?」「研修で実施した内容を実践できそうですか?」といった研修における学びの核心に関わる項目は、アンケートの前半で聞きたいところです。
設問数はできるだけ少なくする
研修アンケートを作成していると、次々と聞きたい内容が出てきてしまうかもしれません。しかし、あまりにも長い研修アンケートを実施すると受講側に負担がかかり、一つ一つの質問への回答がおざなりになってしまう可能性が高いです。
研修アンケートの設問数は、できる限り少なくするのがポイントです。研修内容や規模にもよりますが、具体的には自由記述の場合5〜7個程度がちょうどよいラインといえます。研修アンケートで明らかにしたい情報を集中的に聞くようにしましょう。
匿名で実施する
研修アンケートでは、できる限り受講者からの率直な意見を聞きたいものです。研修アンケートには記名式で実施するパターンと匿名で実施するパターンがありますが、基本的には匿名で実施するのがおすすめです。
記名式にした場合、改善点などを素直に書きづらい場合があります。特に社内講師を選抜して実施した研修の場合、記名式で講師である上司や先輩社員の改善点を指摘するのには抵抗がある社員も多いでしょう。匿名にして素直な意見を書いてもらう方が、研修の質を上げる際の有益なヒントが得られます。
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今回の記事で紹介したように、研修アンケートを実施する際には意識しておきたいポイントがたくさんあります。こうしたポイントを踏まえた上で効果的なアンケートを作成するのは難しいものです。
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【監修者からひとこと】 |
まとめ
研修アンケートに盛り込みたい質問内容や、アンケートを作成する際のポイントについて解説しました。研修アンケートは、なんとなく実施していてもあまり効果が上がりません。そのアンケートによってどんな情報を把握したいのかを明確に設定して質問を作ることで、初めて研修の改善につながる効果的なアンケートが実施できます。
ぜひ今回紹介した質問例も織り交ぜながら質の高い研修アンケートを作成し、受講者の行動変容につながる研修を実施していきましょう。
研修アンケートにおける受講者コメントの扱い方に関しては、以下の資料で詳しく解説していますので、是非ご一読ください。