【2024年最新】職場で起こるハラスメントの種類一覧表。対策も解説
職場で起こるハラスメントには、さまざまな種類があります。
パワーハラスメントやセクシャルハラスメントといった代表的なものから、最近では溜息ハラスメント、カラオケハラスメント、ロジカルハラスメントなど、数多くのハラスメントが話題になっています。
そこで本記事では、2024年最新のハラスメントについて種類別に解説します。
また、ハラスメント防止策や対応策についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
▼ハラスメント防止に役立つ研修3選
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ハラスメントとは?
ハラスメントとは、言葉や行動などで相手に不快な思いをさせたり、人間としての尊厳を傷つけたりすることです。
広い意味で「いじめ」や「嫌がらせ」と同義の言葉ですが、「相手を傷つける意思」や「悪意」がなくても、受け取る側が不快な感情を抱けばハラスメントとして成立します。
たとえば、上司から部下に対する嫌がらせや先輩から後輩に対する嫌がらせなど、上下関係を背景としたパワーハラスメントや、男女問わず性的な嫌がらせをするセクシャルハラスメントなどが代表的です。
これ以外にも、さまざまな場面でありとあらゆる種類のハラスメントが生まれています。
ハラスメントを考える上では、行った側にハラスメントの意思はなくても、相手側が苦痛を感じたり不利益を被ったりした場合はハラスメントに該当することを理解することが大切です。
職場で発生する代表的なハラスメントの種類
職場におけるハラスメントとは、職場や就職活動の場で行われるハラスメントを指します。
以下のようなハラスメントが代表的です。
- パワーハラスメント
- セクシャルハラスメント
- マタニティハラスメント
- カスタマーハラスメント
- 就活ハラスメント
- モラルハラスメント
- 不機嫌ハラスメント
職場で発生しやすいハラスメントにはさまざまな種類があり、それぞれ定義が異なるため、一つ一つ理解することが大切です。
どんなハラスメントがあるのか、詳しく確認していきましょう。
パワーハラスメント
職場におけるパワーハラスメントに該当するのは以下の条件です。
- 職場において行われる
- 優越的な関係を背景とした言動である
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものである
- 労働者の就業環境が害されるものである
「業務上必要かつ相当な範囲を超えたものである」とは、具体的には「社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、またはその態様が相当でないもの」を指し、判断は個々の事案ごとに変わります。
たとえば、単なる注意にとどまらず、「相手に暴力を振るう」「人格を否定する発言」などが該当します。
パワハラと指導の違いについては、以下のページで詳しく解説しています。
『パワハラと指導の違いとは?適切な指導方法・パワハラを発生させない対策を紹介』
セクシャルハラスメント
職場におけるセクシャルハラスメントに該当するのは以下の条件です。
- 職場において行われる
- 労働者の意に反するものである
- 性的な言動である
- 労働者が労働条件について不利益を受け、就業環境が害される
代表例としては、「必要なく相手の身体を触る」「性的な体験を聞く」「執拗に食事やデートに誘う」などが挙げられます。
その他にも、「男らしい・女らしい」「男は外で働き、女は家庭を守るべき」といった性別役割分担意識に基づいた発言も、セクシャルハラスメントの原因や背景となるので注意が必要です。
また、セクシャルハラスメントは異性に対するものだけでなく、同性に対する性的な言動も該当します。同性だから問題ないということはありません。
マタニティハラスメント
マタニティハラスメントに該当するのは以下の条件です。
- 職場において行われる
- 妊娠・出産し、育児休業などの利用に関する言動である
- 妊娠・出産した「女性労働者」や、育児休業などを申出・取得した「男女労働者である」
- 妊娠・出産した労働者の就業環境が害される
これらは女性労働者に限らず男性労働者も被害者になり得ることから、「パタニティハラスメント(パタハラ)」「ケアハラスメント(ケアハラ)」とも呼ばれており、まとめて「マタニティハラスメント」とされています。
ただし、育児休業などの利用に関する言動であっても、労働者の体調などを考慮した上でシフトや業務変更の依頼や相談をするなど、「業務上必要な言動」である場合はマタニティハラスメントには該当しません。
カスタマーハラスメント
カスタマーハラスメントに該当するのは以下の条件です。
- 顧客などからのクレーム・言動である
- 要求の内容の妥当性に照らして、要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものである
- 手段・態様により労働者の就業環境が害される
上記をすべて満たす行為は、カスタマーハラスメントに該当します。
たとえば、「労働者に対して暴力を振るう」「暴言を吐く」の行為はもちろん、「土下座の要求」「差別的な言動や性的な言動」「居座り続ける」などはカスタマーハラスメントです。
たとえ店側に過失がある場合でも、「何日もしつこく来店してクレームを言う」「毎日クレームの電話をかける」「店員を長時間責め続ける」などの行為は、明確にカスタマーハラスメントに該当するので注意しましょう。
就活ハラスメント
就活ハラスメントに該当するのは以下の条件です。
- 就職活動中・インターンシップ中の学生などに対するものである
- セクシャルハラスメントやパワーハラスメントに該当する
たとえば、「面接で性的な経験について質問する」「プライベートの食事に誘う」「性的な関係を迫る」などし、「断れば面接で落とすと脅す」「人格を否定する発言をする」などが該当します。
インターンシップに来ている学生に対し、他の学生よりも優遇することをちらつかせてしつこく誘ったり、拒否できない状況をつくってセクハラしたりする行為も就活ハラスメントの一つです。
モラルハラスメント
モラルハラスメントに該当するのは以下の条件です。
- 職場における行為である
- 倫理や道徳に反する行為である
- 労働者の人格や尊厳を傷つける
- 精神的に苦痛を与える
モラルハラスメントは、「他の社員の前で激しく叱責する」「陰口を叩く」「無視や嫌がらせをする」などの行為が該当します。
毎日のように「お前は仕事ができない」「低レベルなスキルしかないのによく毎日出社できるね」など、相手の自尊心を挫くような発言を繰り返すのもモラルハラスメントの一種です。
パワーハラスメントと似ていますが、優越的な関係が背景にあるか否かは関係ないという違いがあります。
たとえば、同僚同士などの優越的な関係がない場合でパワーハラスメントと同様の言動をされた場合は、モラルハラスメントに該当します。
不機嫌ハラスメント
不機嫌ハラスメントとは、自分が不機嫌であることを口調や態度に出し、相手に不快感や威圧感を与える行為です。
モラルハラスメントの一種で、「サイレント(無言)モラハラ」とも呼ばれています。
具体例としては、上司が部下に不機嫌な態度で接することで心理的圧迫感・威圧感を与え、無理難題を引き受けるように仕向けたり、隣の席の同僚に毎日きつい態度で接して相手に精神的苦痛を与えたりすることなどが挙げられます。
不機嫌ハラスメントの特徴は、直接的な暴言や攻撃などではなく、雰囲気で相手に不快感を与える点です。
そのため、被害が表面化しにくいという難点があります。
その他のハラスメントの種類
上記で挙げたハラスメントの他にも、最近はさまざまなハラスメントが類型化されるようになりました。
そこで、ここではその他のハラスメントとして17個を紹介します。
- スメルハラスメント
- カラオケハラスメント
- ブラッドハラスメント
- ハラスメント・ハラスメント
- ロジカルハラスメント
- 時短ハラスメント
- エイジハラスメント
- ジェンダーハラスメント
- リモートハラスメント
- ソーシャルハラスメント
- スモークハラスメント
- 溜息ハラスメント
- セカンドハラスメント
- テクノロジーハラスメント
- リストラハラスメント
- アルコールハラスメント
- 就活終われハラスメント
大きく分類するとパワハラやセクハラ、モラハラに該当するものもあれば、リモートハラスメントやテクノロジーハラスメントなど、現代ならではのハラスメントも多いです。
それぞれの特徴をしっかりと押さえ、ハラスメントが起きないよう周知することが大切です。
スメルハラスメント
スメルハラスメントは、臭いによって相手に不快感を与えるハラスメントです。
「何日も風呂に入らない」「服を着替えない」など、不潔な状態で周囲に臭いをまき散らし、他の人に嫌な思いをさせる行為が該当します。
また、スメルハラスメントは不潔な臭いだけでなく、きつすぎる香水や柔軟剤の臭いを発することも該当します。
臭いに関しては該当者側が気づきにくく周囲も注意しづらいため、なかなか改善されにくいことが難点です。
カラオケハラスメント
カラオケハラスメントは、カラオケで歌うことを強要するハラスメントです。
カラオケでは誰が何を歌うのか、苦手で歌わないのかなどは自由です。
それにも関わらず、上司が部下にカラオケを歌うよう指示し、拒否されてもなお無理矢理歌わせようとする行為はハラスメントに該当します。
また、デュエットや一緒に踊って盛り上がることの強要や、歌い終わった相手に対して「下手だった」「オンチだね」などと貶すこともカラオケハラスメントです。
ブラッドハラスメント
ブラッドハラスメントとは、A型、B型、O型、AB型の4つの血液型で人の性格を判断し、差別的な言動をする行為を指します。
たとえば、「A型の人って神経質だよね」「B型の人とは合わないから嫌だ」など、血液型で人を判断し、ネガティブなことを言い相手を傷つける行為が該当します。
上司が「うちの課は真面目な人がほしいからA型以外の人はいらない」などといい、特定の血液型を排除する行為などもブラッドハラスメントです。
ハラスメント・ハラスメント
ハラスメント・ハラスメントとは、相手の行為に対してすぐに「ハラスメントだ」と決めつけて責めることです。
客観的にはハラスメントに当たらない行為に対しても過剰に反応し、「ハラスメントだ」と主張して相手を追いつめるなどの行為が該当します。
上司が遅刻の多い部下に対し、「これからは気をつけてね」と注意しただけで「傷ついた!ハラスメントだ!」と主張したり、新しい仕事のやり方を指導しただけで「パワハラだ!」といったりすると、ハラスメント・ハラスメントとなるので注意しましょう。
パワハラと指導の違いについては以下の記事で詳しく解説しています。
『パワハラと指導の違いとは?適切な指導方法・パワハラを発生させない対策を紹介』
ロジカルハラスメント
ロジカルハラスメントとは、相手を打ち負かす勢いで正論を突きつけ、不快な気持ちにさせる行為です。
会議などで異なる意見の相手に対し、「論破してやろう」「議論に勝とう」として正論で相手を攻め、不快にさせたり傷つけたりする行為が該当します。
ロジカルハラスメントは、言っていること自体は正しい場合が多いため、「何が悪いのか?」「正しいことを理解しない相手が悪い」など、行為者がハラスメントに至っていることに気づきにくいことが難点です。
時短ハラスメント
時短ハラスメントとは、労働時間を短くすることを強要することで生じるハラスメントです。
やるべき業務がたくさん残っているのにも関わらず、上司が「早く帰れ」「残業は禁止」などと、時短労働を強要することが該当します。
一見、ハラスメントのように感じないかもしれませんが、時短ハラスメントは近年の働き方改革の影響によって増加しています。
エイジハラスメント
エイジハラスメントとは、年齢を理由に差別的な発言をし、相手を傷つける行為を指します。
たとえば、「昭和生まれの人は考えが古くさい」「その年齢なら子どもが2人くらいいて当たり前」などといい、相手を不快な気持ちにさせることなどが該当します。
また、エイジハラスメントは若者が年上を揶揄するだけでなく、年上が年下に対して「Z世代は甘えてばかりで弱い」などと差別的な発言をすることも含まれるので注意してください。
ジェンダーハラスメント
ジェンダーハラスメントとは、性別に対する固定観念から差別的な発言をして相手を傷つける行為を指します。
たとえば、「女ならもっとしおらしくしろ」「男のくせに頼りがいがない」など、性別によって相手を差別する発言が該当します。
また、「女性だけにお茶くみや掃除をさせる」「女性を管理職にさせない」「男性に育児休暇を取らせない」などの行為もジェンダーハラスメントです。
ジェンダーハラスメントでは、女性差別に限らず男性差別も大きな問題となります。
リモートハラスメント
リモートハラスメントとはリモートワーク中に生じるハラスメントであり、「テレワークハラスメント」「オンラインハラスメント」とも呼ばれています。
Webカメラを通して見える相手のプライベート空間について指摘したり、家族や生活について聞いたりなど、業務に関係のない事柄を根掘り葉掘り尋ねることが該当します。
また、相手のネット環境に苦言を呈したり自費でネット環境を整備することを強要したりすることもリモートハラスメントです。
ソーシャルハラスメント
ソーシャルハラスメントとは、X(旧Twitter)やFacebook、InstagramなどのSNS上に職場の人間関係を持ち込み、相手に嫌がらせしたりストレスを与えたりする行為のことです。
たとえば、「業務時間外でもSNSを通して上司から部下に連絡が来て常に対応しなければならない」「SNS上の投稿を監視されていて投稿内容にいちいち指摘が入る」などが該当します。
業務上必要な範囲内でのやり取り中であれば問題ありませんが、相手のプライベートにまで侵食し、圧迫感やストレスを与えるようになるとソーシャルハラスメントとなります。
スモークハラスメント
スモークハラスメントとは、周囲や相手が嫌がっているにも関わらず無視して喫煙する、タバコの煙によって迷惑をかけるなどの喫煙に関する迷惑行為を指します。
タバコは非喫煙者にとっては煙や臭いだけで不快に感じることが多く、タバコの煙によって咳や頭痛、吐き気、めまいが生じることもあります。
さらには、受動喫煙による健康被害が生じるケースもあるため、周囲が困っているにも関わらず喫煙をやめない場合はスモークハラスメントに該当するため注意が必要です。
溜息ハラスメント
溜息ハラスメントとは、わざと過剰な溜息をつくことで相手に不快感や心理的圧迫感を生じさせる行為です。
たとえば、上司が部下のそばでわざと聞こえよがしに「ハーッ」と溜息をついたり、「チッ」と舌打ちをしたりして威圧感や不快感を生じさせる行為が該当します。
相手からすれば理由も分からないのに溜息や舌打ちをされることから、余計に圧迫感や不快感、ストレスを覚えることにつながります。
セカンドハラスメント
セカンドハラスメントとは、ハラスメントを受けた人がその被害を周囲に相談したことによって二次被害を受けるハラスメントのことです。
たとえば、「相談内容を勝手に広められてしまう」「相談者側が責められる」「バッシングや嫌がらせを受ける」などの二次被害が該当します。
また、ハラスメントに悩む人に対して、「それぐらい大したことない」「もっとつらい思いをしている人は他にもたくさんいる」などと、傷つけたり精神的に追い込んだりすることもセカンドハラスメントです。
セカンドハラスメントをしてしまう危険性が高いのは、部下からハラスメントの相談を受けることになる管理職です。管理職向けのハラスメント研修については以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
『管理職向けのハラスメント研修を効果的に行うポイント|内容や事例も解説』
テクノロジーハラスメント
テクノロジーハラスメントとは、ITについて詳しくない人や機器の操作が苦手な人に対して嫌がらせをする行為です。
パソコンやインターネットを使用する際に「そんなこともできないのか」「そんなレベルじゃこれからやっていけない」などと相手を馬鹿にする発言や、「機器の操作を教えない・教育しない」などの行為が該当します。
それだけでなく、高いITスキルを要する仕事をわざとパソコンが苦手な人に押しつけて困らせることも、テクノロジーハラスメントの一つです。
リストラハラスメント
リストラハラスメントとは、リストラ対象者に対して嫌がらせ行為を行ったり、不当な配置転換をしたりして自主退職するまで追い込むハラスメントです。
窓際部署に移動させたり、「無能だからリストラ対象者に選ばれたんだ」などと発言したりする行為が該当します。
また、リストラのほのめかしを相手が断ったからといって、「相手の席を別の場所に移動させる」「他の社員との接触を禁止する」「能力に見合わない単純作業ばかり押しつける」などもリストラハラスメントです。
アルコールハラスメント
アルコールハラスメントとは、飲み会などでお酒を飲むことを相手に強要することです。
職場の飲み会で上司が部下に「俺のついだ酒が飲めないのか?」「ソフトドリンクを飲むやつは空気が読めない」などと強要し、飲酒せざるを得なくすることなどが該当します。
飲み会に出席しないと不利益を与えるようなことを匂わせ、無理矢理出席させることもアルコールハラスメントに該当するので注意しましょう。
就活終われハラスメント
就活終われハラスメントとは、就職活動の場面で企業が面接者に対し、自社に来てほしいからといって他の企業の内定を辞退するよう迫ったり、自社を選ばないと不利益があるように思わせてプレッシャーをかけたりする行為です。
就職活動を早く終わらせるよう強要することからこの名称がつき、「オワハラ」と呼ばれることもあります。
面接の回数をわざと多くしたり間隔を延ばしたりして、他の企業を受けづらくすることもオワハラに該当します。
ハラスメントが発生しやすい職場の特徴
ハラスメントが発生しやすい職場には、以下の共通点があることが多いです。
- ハラスメントへの認識が低い
- 閉鎖的な職場
ハラスメントを防止するためには発生してから対処するだけでなく、職場の現状を理解して改善すべき点をしっかり改善していくことが求められます。
ここでは、ハラスメントが発生しやすい職場の特徴を詳しく解説します。
ハラスメントへの認識が低い
ハラスメントが生じやすい職場の大きな特徴に、社員のハラスメントへの認識が低い・薄いことが挙げられます。
ハラスメントが起きた際、被害者が身体的にも精神的にも大きく傷ついている一方で、加害者は悪気がないケースや、「冗談だった」「いじってやっただけ」などと楽しんでいるケースが多いです。
このように被害者と加害者でハラスメントに対する価値観が大きくズレていることが、ハラスメントを生む原因の一つとなっています。
この場合は加害者側が意識を改める必要があるため、企業が一丸となってハラスメントに関する教育を社員に施すように心がけましょう。
ハラスメント研修を効果的に行うポイントについては以下の記事で詳しく解説しています。
『【事例あり】ハラスメント研修とは?目的や内容を解説』
閉鎖的な職場
閉鎖的な職場とは、外部との人的交流が少なく、社員同士の風通しも悪い職場を指します。
こうした職場は、古い価値観や誤った人権感覚を是正する機会がないため、ハラスメントが横行しやすいです。
外部から見ると明らかにハラスメントに該当する行為が行われていても、閉鎖的な職場内では加害者も被害者もそれが間違った行為であると認識できません。
その結果、ハラスメント行為を注意したり相談したりすることができず、ハラスメントが常態化してしまいやすくなります。
閉鎖的な職場を改善するためには、上司の意識改革や相談系統の構築などが求められます。
以下のページでは、風通しの良い職場について詳しく解説しています。
『風通しの良い職場とは?コミュニケーションを活発にするアイデアを紹介』
厚生労働省が企業に対してパワーハラスメント対策を義務化
職場のハラスメントが深刻な問題として叫ばれる中、厚生労働省は事業者に対するパワーハラスメント対策を義務化しました。
具体的には、2019年6月に「女性の職業生活における活躍の推進等に関する法律等の一部を改正する法律」が公布されています。
また、同月には労働施策総合推進法や男女雇用機会均等法、育児・介護休業法が改正されています。
この改正により、事業主が職場におけるパワーハラスメント防止のために必要な措置を講じることが「努力」ではなく義務となりました。
たとえば、「事業主に相談などをした労働者に対する不利益取扱いの禁止」や、「セクシャルハラスメントなどに関する国、事業主および労働者の責務の明確化」などが強化ポイントとして挙げられています。
企業が行うべきハラスメント対策
企業におけるハラスメント対策が義務化された昨今、具体的にどのような防止策を行えばよいのでしょうか。
主な対策法としては、以下の方法が挙げられます。
- ハラスメントに対する企業方針の明確化
- ハラスメント防止研修の実施
- ハラスメント相談窓口の設置
ハラスメントは発生してから対処するのではなく、一切の発生を防げるよう未然に防止策を徹底することが大切です。
ここでは、それぞれの対策法について詳しく説明します。
ハラスメントに対する企業方針の明確化
まずは、職場においてハラスメントは行ってはならないという方針を明確に示すようにしましょう。
ハラスメントが生じる原因の大きな一つに、社員一人一人の価値観や意識の相違があります。
そこで、全社員に対してどのような行為がハラスメントに該当するのかを具体例とともに示し、どのような重大な影響が及ぼされるかについてきちんと教育することが求められます。
また、万が一ハラスメントが生じた場合、企業としてどのような対応をするのかを具体的に提示することも重要です。
ハラスメントに対する企業方針は社員がアクセスできる場所に保管し、いつでも参考にできるようにすることをおすすめします。
ハラスメント防止研修の実施
全社員に対してハラスメント対策研修を実施することも必要不可欠です。
その中でも、特に管理職層に対して重点的に行うようにしてください。
職場のハラスメントの多くは上司から部下に対して行われており、また、管理職層は職場全体に与える影響が大きいためです。
また、管理職層がハラスメントをしてしまうと、部下もその部下に対してハラスメントを行うといった負の連鎖が生じやすいです。
そのため、ハラスメント対策研修では管理職層にしっかりハラスメントについて理解してもらうようにしましょう。
管理職層から一般の社員にハラスメント教育を施せるようになるのが理想です。
ハラスメント研修については、以下のページでも詳しく確認できます。
『【事例あり】ハラスメント研修とは?目的や内容を解説』
ハラスメント相談窓口の設置
職場でハラスメントが生じてしまった場合に備え、社内に相談窓口を設置することも忘れてはいけません。
ハラスメントが発生する原因の大きな一つに、心理的安全性の低下があります。
社員がハラスメントの被害に遭っても誰にも相談できる手段がなければ、ますますハラスメントが常態化して蔓延してしまうでしょう。
しかし、「何かあればいつでも相談できる場所がある」と安心感を持たせられれば、日々の業務に対するモチベーションやパフォーマンスの低下を防ぐことにつながります。
こうした事態を防ぐためにも、社内にハラスメント専用の相談窓口を設置し、社員がすぐに駆け込める体制を構築しておくことが大切です。
まとめ
現代において、ハラスメントにはさまざまな種類があります。
パワハラやセクハラなどの従来から問題となっているハラスメントだけでなく、リモートハラスメントやテクノロジーハラスメントなど、時代の変化によって新たに生まれたハラスメントも知っておくことが肝心です。
ハラスメントは、価値観の違いや相手への配慮の足りなさから生じることが多いです。
職場内のハラスメントを未然に防止するためにも、ハラスメントに関する知識を社員一人一人が理解する機会を設ける必要があります。
万が一、ハラスメントが生じてしまった場合は被害者がそれ以上苦しむことのないよう、相談窓口を設置するなどのケアができる体制を整えてください。
ぜひ本記事を参考に、ハラスメントが発生しない職場環境を創出してみてはいかがでしょうか。