
アンコンシャスバイアスとは?アンコンシャスバイアスの問題点や失敗しない研修のポイントを解説
ダイバーシティ&インクルージョンの研修を実施する際に、よく「アンコンシャスバイアス」が挙げられます。ダイバーシティ&インクルージョン推進を阻む要因のひとつとして、内閣府の「共同参画」2021年5月号でも特集として取り上げられました。
アンコンシャスバイアスは「無意識の偏ったモノの見方」のことで、「かくれた思い込み」「無意識の偏見」などとも表現されます。
このアンコンシャスバイアスをどうにかしようと、多くの研修が実施されています。
アンコンシャスバイアスが注目されるようになって10年以上経ちますが、皆さまの会社では、アンコンシャスバイアスは解決されましたでしょうか。今回は、研修選びで失敗しないために、アンコンシャスバイアスの基礎知識について紹介いたします。
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アンコンシャスバイアスの歴史
アンコンシャスバイアスの研究が盛んになったのは、1980年代のアメリカといわれています。その後、ずっと学問的な領域にとどまり、一般社会への普及は思うように進みませんでした。
2010年代に入り、GoogleやFacebookといったIT企業が、従業員の性別や人種の構成比を公表し、理想とする多様性の高い組織づくりの障害となっているものに、アンコンシャスバイアスがあると示唆したことをきっかけに、HR領域で注目されるようになりました。
2018年5月、スターバックスが全米約8,000店を臨時休業とし、全従業員に対してアンコンシャスバイアス研修を実施するなど、多くの研修がおこなわれてきました。
アンコンシャスバイアスを持っているのは誰か
- 女性の社会進出は必要だと思いますか?
- 女性への偏見はなくすべきだと思いますか?
などと聞かれたら、ほぼ間違いなく100%の人がYESと答えます。
では、女性や女性の社会進出に関するアンコンシャスバイアスは、既にないのでしょうか。聞き方を変えてみます。
- 育児中の営業社員に出張をさせるべきだと思いますか?
- 経営幹部の構成は男女同数であるべきですか?
と聞かれたら、あなたの企業はどうでしょうか。
このように少し質問を掘り下げると、アンコンシャスバイアスが顕在化します。これは、シニアや障がい者、国籍の違う方に関する質問でも同じことが言えます。これがダイバーシティ&インクルージョン推進を、総論賛成各論反対にしてしまう要因の1つです。
今の自分をつくっているのは過去の情報のため、人には必ず認知の歪みがあります。ですので、必ず全員がアンコンシャスバイアスを持っています。
組織におけるアンコンシャスバイアスの問題点
アンコンシャスバイアスは、過去の経験や見聞きしたことの影響を受けて、自然に作られていくもので、良いものとか悪いものとかいうものではありません。人や組織には、常にアンコンシャスバイアスが一緒にいるのです。
過去の経験や見聞きしたことがあるからこそ、人や組織は効率よく、また間違えることが少なく意思決定ができます。過去は未来への貴重な財産といえます。アンコンシャスバイアスにはポジティブに捉えられるべき一面もあるのです。
そして、アンコンシャスバイアスをネガティブなものに捉えて無くそうとしても、絶対に無くすことはできません。問題は、お互いのアンコンシャスバイアスの可能性に気づかないまま、コミュニケーションを終わらせてしまうことです。
「1歳の子どもがいるから、出張を指示するのをやめよう」というのは、女性活躍に関するアンコンシャスバイアスの事例でよく出ますが、これをネガティブに捉える人もいれば、「助かった」とポジティブに捉える人もいます。
全ての場面で女性活躍を推進しようと平等に指示を出すことが、従業員エンゲージメント向上や組織の成長に、プラスに働くわけではありません。それでは、別に不満が増えるだけです。
- 発言する側は決めつけずに一度確認してみよう
- 受け取る側は誤解されているかもしれないから伝えてみよう
となれば、コミュニケーションが活発になって、お互いの意見を言い合うことができます。問題の本質は、他にある可能性を見えるようにするためにはどうしたらいいか、ということです。
アンコンシャスバイアス研修の目標
アンコンシャスバイアスは、ジェンダーのような特定の場面だけでなく、日常のあらゆる場面にあるものです。「○○すべき」という考え方がいきすぎると硬直する方向にマインドセットされます。アンコンシャスバイアスを「なくすべき」という考え方も正しいのですが、それが目標にはなりません。
目標は、誰もが活躍できる環境づくりや従業員エンゲージメント向上、業績改善などのはずです。組織が今いるコンフォートゾーンから外れた先にある、新しい組織をイメージできるようにするために、その組織の事情に合わせたアンコンシャスバイアス研修が必要になります。
アンコンシャスバイアス研修ならアルーにお任せください
アンコンシャスバイアス研修なら、ぜひアルーへお任せください。
アルーでは、アンコンシャスバイアスに関する人材育成施策を豊富にご用意しています。例えば、管理職を対象にアンコンシャスバイアスに気づいてもらうことに加え対処法を学ぶ研修や、キャリアアップに前向きになれない女性社員に自身のアンコンシャスバイアスに気づいてもらう研修を実施することが可能です。また、全社員から経営層まで幅広い対象に研修を実施することもできます。
アルーでは研修の企画段階から丁寧に伴走し、それぞれの企業のニーズに応じて柔軟に研修内容をカスタマイズいたします。アンコンシャスバイアスに関することなら、お気軽にアルーまでご相談ください。
アルーのアンコンシャスバイアス研修事例
アルーでは、これまでにさまざまな企業でアンコンシャスバイアス研修を実施してまいりました。ここではそれらの中から特に参考となる事例を1つピックアップして紹介します。
管理職向けアンコンシャスバイアス研修事例
製造業A社様では、組織活性化を目指して活動をしていましたが、管理職と部下とのコミュニケーションが活発にならない部署があることに悩んでいました。
管理職の方は、組織活性化を求められていることを理解しているものの、部下に配慮しすぎて表層的な会話だけで終わってしまったり、何気なくハラスメントと取られかねない発言をしてしまうこともありました。
そこで本事例では、管理職の方を対象に、組織活性化を目指してアンコンシャスバイアスを切り口に、アンコンシャスバイアスへの対処法を学んでいただく研修を実施しました。
▼テーマ
管理職向けアンコンシャスバイアス研修
▼ねらい
- アンコンシャスバイアスとは何か&それによる悪影響を知り、自身の言動を振り返る
- 自分と部下のアンコンシャスバイアスに対処する方法を理解する
▼内容
①オリエンテーション
研修のねらいを説明し、研修参加のレディネスを醸成します。
②心のブレーキを踏んでしまうものに気づく
自分自身で思い込んだり決めつけていたものを振り返ります。そして例えば、
・血液型を聞いて〇〇なタイプな人だと思った
・あの人が言うなら間違いないと思った
のような誰にでもあり得るアンコンシャスバイアスとその種類について学びます。さらに、アンコンシャスバイアスは誰にでもあるものであり、それ自体が悪いわけではないことに気づきます。
③自分自身がどんな行動を起こしたいかを知る
今やってみたいと思っているものの、どうしても踏み出せないことや、過去に夢に描いたことがあるものの諦めたことなどを書き出します。これは、仕事でもプライベートでもOKです。例えば、
世界一周してみたい
本を出版したい
〇〇の資格を取りたい
のようなことを挙げます。
そして、なぜ踏み出せなかったか?なぜ諦めたのか?あなたの周りにあるドリームキラーワードやネガティブなセルフィードバックを書き出します。
④メンバーや組織のアンコンシャスバイアスを知る
日頃からメンバーが思い込んでいそうなセリフや場面を振り返ります。そして、そのセリフの背景にある、メンバーのアンコンシャスバイアスを想像します。
さらに、次回メンバーがアンコンシャスバイアスにとらわれていそうな場面があったら、どのように声をかけるかを書き出します。
⑤アンコンシャスバイアスを認識し組織を活性化する
自分もメンバーもアンコンシャスバイアスがあることを前提に、
- 発言する側は決めつけずに一度確認してみよう
- 受け取る側は誤解されているかもしれないから伝えてみよう
といった姿勢でコミュニケーションをとることで認識の相違を防げるようにします。また、そういったコミュニケーションを積み重ねることで信頼関係を築き、コミュニケーションを活発にし、お互いの意見を言い合うことができるようになることに気づきます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事では、アンコンシャスバイアスをテーマに、基礎知識や問題点、失敗しない研修にするためのポイントを解説しました。
アンコンシャスバイアスは、ダイバーシティ&インクルージョン推進を阻む壁として有名で、多くの取り組みがなされています。一方で、アンコンシャスバイアスに気づくことは簡単でも、うまく対処するのは難しいものです。
本記事を参考に、自社や自分に合ったアンコンシャスバイアスへの取り組みを検討しましょう。