人材育成における8つの課題と解決策・成功させるポイント
「人材育成に取り組んでいるのに、思った通りの効果が出ない」「なかなか社員が計画通りに育たない」こういったお悩みをお持ちの人事担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
人材育成にはさまざまな理論やフレームワークがありますが、単にそれらを活用するだけでは思い通りの成果が出ないことも少なくありません。
この記事では、人材育成においてありがちな課題8選と、それらの解決策を解説します。人材育成を成功させるポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。
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目次[非表示]
- 1.人材育成とは
- 2.人材育成が課題となった背景
- 3.人材育成における8つの課題
- 4.階層別の人材育成の課題
- 5.人材育成の課題に対するゴールとは?
- 6.人材育成に効果的な手法
- 7.人材育成の課題解決への流れ
- 8.人材育成を効果的に行うポイント
- 9.アルーの人材育成成功事例
- 10.人材育成の課題解決ならアルーへお任せください
- 11.まとめ
人材育成とは
人材育成とは、企業が経営目標を達成し業績を向上させるために社員を育成していくことです。職種や役職、年次などで対象者を分け、必要とされるマインドやスキルの習得を目指します。
生産性向上やモチベーションの向上、自律的キャリアの促進などを目的に実施されることが多いです。OJTやOff-JT、自己啓発支援など、様々な手法で社員の能力開発やマインドセットの獲得を促します。
人材育成について詳しくは以下の記事をご参照ください。
『人材育成とは?5つの大切なことと、4つのよくある課題』
人材育成が課題となった背景
人材育成が課題となっている背景は、日本における働き手人口の減少です。
厚生労働省が公表している資料『人材育成制作の現状と課題について』によると、日本では2065年に総人口が9000万人を割り込み、高齢化率は38%を超えると予測されています。
15〜64歳の人数を表す生産年齢人口も減少傾向で推移しており、どの業界においても新規人材を採用するコストは高いです。
こうした働き手不足の状況では、企業に在籍している限られた人材の能力を伸ばすことが重要です。そのため、人材育成によっていかに企業の業績を最大化するかが問われています。
参考リンク:厚生労働省『人材開発政策の現状と課題について』
人材育成における8つの課題
人材育成においては、「人材育成に充てる時間が足りない」「人材育成のリソースが足りない」など、さまざまな課題があります。また、人材育成そのものが目的化していたり、社内の協力体制が不十分だったりするケースも少なくありません。
ここからは、人材育成においてありがちな8つの課題を解説します。
人材育成に充てる時間を確保できない
人材育成において最もありがちな課題が、「人材育成に充てる時間が十分に確保できない」ことです。
社員が日常業務で忙しい場合、わざわざ業務の時間を割いてまで研修へ参加する雰囲気が醸成されません。そのため、人材育成や能力開発が後回しになり、さらに生産性が低下してしまう悪循環に陥ってしまうのです。若手社員や中堅社員にも見られるケースですが、マネジメント業務に追われる管理職が特に直面しやすい課題といえます。
育成する側の育成スキルが低い
育成する側に十分な育成スキルが身についていない場合も、人材育成施策の失敗につながりやすいです。
人材育成には対象者の上司やOJTトレーナー、メンター、研修講師など多くの人が関わります。中には、育成や指導の経験がない人もいるでしょう。育成する側の社員を教育し、質の高い人材育成が行えるようにすることは人事部の役割です。
育成する側への教育方法としては、マネジメント研修やOJTトレーナー研修、コーチング研修などがおすすめです。人材育成にあたっての心構えや基本の教え方、育成計画の立て方などを学んでもらいましょう。
研修講師に求められるスキルや、講師の選び方については、以下の記事で詳しく紹介しています。
『研修講師に求められるスキルとは。講師の選び方や研修を成功させるポイント』
人材育成が計画的・体系的に行われていない
計画的・体系的な人材育成が行われていないことも、人材育成の課題としてよく取り上げられます。毎年やっているからという理由で研修を実施したり、単発の研修を乱発してしまったりといったケースが見られます。
人材育成計画が立てられていないと、中長期的な視点に立った人材育成ができません。対象者にどのような姿を目指してもらいたいのか、そのためにどのようなスキル・マインドセットをどのようなスケジュールで習得してもらうのか、といった見通しがたたなくなってしまうのです。
人材育成計画の立て方について詳しくは以下の記事をご参照ください。
『【テンプレートあり】人材育成計画の作り方や計画書の事例を紹介』
育成される側(社員)の意欲が低い
育成される社員の意欲が低いことも、人材育成においてありがちな課題の一つです。
社員の中には、「研修へ参加する意義が見いだせない」と感じている人もいるかもしれません。こうした社員が多くなってしまうと、研修が有意義でなくなってしまいます。ディスカッションやグループワークを導入しても、なかなか議論が深まりづらいです。
育成される側の意欲を引き出すために、研修のメリットや目的を共有したり、研修のストーリー作りに力を入れたりする必要があります。
人材育成のリソースが不十分
人材育成がうまく進まない場合、リソースが不十分であるケースも考えられます。
例えば研修を実施する際には、研修会場の確保や講師への謝礼に費用が必要です。ツールを活用する際には、ツールの導入費や運用費も必要になるでしょう。人材育成に関する資金が十分に確保できていない場合、こうした費用を捻出できません。
また、人材面でのリソース不足も考えられます。人事部内に人材育成担当者が十分に在籍していなかったり、講師を担当できる社内人材が不足したりするケースも多いです。
人材育成の効果がわかりづらい
人材育成においてありがちな課題として、育成効果が分かりづらい点も挙げられます。
研修を実施する際には、研修前後でどのような能力の伸びが合ったのかを把握することが大切です。しかし、研修の効果は必ずしも目に見える形で現れるわけではありません。また、半年や1年といった長いスパンでモニタリングしなければ効果が現れない場合もあります。こうした背景を踏まえずに効果測定を行うと、「この施策は意味がなかったのではないか」と誤った結論を導いてしまうことになり、人材育成の方向性が見えなくなってしまうのです。
人材育成そのものが目的化している
人材育成そのものが目的化してしまっていることも、人材育成においてありがちな課題です。
例えば、「研修に参加するだけで満足してしまう」ケースがあります。どんなに研修内容を充実させていても、その後の現場での行動変容につながらなければ研修の意味がありません。
研修の目的を明確にしないまま施策をスタートさせてしまうと、「プログラムに問題はないはずなのになぜか効果が上がらない」という事態に直面してしまうでしょう。
社内の協力体制が不十分
社内の協力体制が不十分な場合も、人材育成が失敗に終わってしまいます。 人材育成の施策を効果的に実施するためには、現場からの協力が欠かせません。特に中長期に渡る研修を実施する場合には、上司側からのフォローや理解を得る必要があるでしょう。 研修の内容や目的が十分に社内周知されていない場合、こうした社内での協力体制が構築できません。また、質問対応や研修運営を行うスタッフが割り当てられておらず、研修運営が円滑に進まないケースもあります。
社内で人材育成を行う雰囲気が醸成できていない
社内で人材育成を行う雰囲気が醸成されていないことも、人材育成において直面しがちな課題の一つです。
社内で人材育成に対する前向きな雰囲気が醸成されていない場合、社員は「業務のほうが大切だから」「人材育成は後回しでも大丈夫だろう」といった思考になってしまいます。こうした状態で人材育成施策を実施しても、学習に前向きな姿勢は引き出せません。人材育成の目的や重要性をしっかりと共有し、人材育成に社員が一丸となって取り組む雰囲気を形成する必要があります。
階層別の人材育成の課題
人材育成において直面しがちな課題は、施策の対象となる社員の階層によっても異なります。ここからは、人材育成において直面しがちな課題を階層ごとに見ていきましょう。
新入社員育成の課題
入社後間もない新入社員は、入社前に抱いていた期待と実際に取り組む業務の差を実感する「リアリティギャップ」に悩むことがあります。新入社員育成では、こうしたリアリティギャップを解消できず、十分に新入社員のモチベーションを引き出しきれないことが少なくありません。
また、初めて取り組む業務でミスが重なってしまい、モチベーションが低下してしまう場合もあります。新入社員の育成では、成長スピードは人それぞれだということを意識しながら、丁寧なフォローを提供することが大切です。
新入社員育成の際に心がけておきたいことについては、以下の記事で詳しく解説しています。
『新入社員の教育時に知っておきたい大切なこと・心がけとは?育成のコツを解説』
若手社員育成の課題
若手社員育成においては、若手社員の価値観の多様化に対応しきれないことが課題として挙げられます。従来のような終身雇用や安定志向といった価値観にとらわれない若手社員の価値観は人それぞれです。企業の育成方針や研修計画がこうした若手の多様な価値観に対応しきれないと、人材育成の効果はなかなか上がりません。
また、中小企業においては、若手社員育成のプログラムが十分に設計されていないケースもあります。若手の教育が現場任せになってしまっており、体系的な育成ができていないことも多いです。
若手社員を育成する際のポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。
『若手社員の育成ポイント|若手社員の特徴と課題とは』
中堅社員育成の課題
中堅社員育成においては、中堅社員のモチベーションが主な課題となります。
中堅社員は、キャリアへの不安や仕事のマンネリ化を感じやすい時期です。「何もかもが新鮮」という新入社員や若手社員とはマインドセットが異なるため、新しいことへ挑戦する意欲が低下している中堅社員もいるでしょう。そのため、研修を実施してもなかなか前向きに取り組んでもらえず、思うように効果が上がらないケースが多いです。
また、中堅社員は業務で中核的な役割を担うことも多く、日常業務が多忙で疲弊しており、研修に割く時間が捻出できないケースもあります。
中堅社員育成において課題になりやすいモチベーション低下の原因や解決方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
『中堅社員のモチベーション低下の原因や解決法を紹介』
管理職育成の課題
管理職育成においてありがちな課題は、「管理職への意識転換がうまくいかない」ことが課題の一つに挙げられます。
管理職として活躍していくためには、自分自身で仕事に取り組んで成果を出すプレイヤー時代とは異なる感覚が求められます。しかし、管理職への意識転換がうまくいかないと、「マネジメントを通じて成果を出す」という意識が醸成できず、チームを牽引できません。
また、部下とのコミュニケーションに困難を感じる管理職も多いです。
研修によっていかにコミュニケーション力やマネジメント力を伸ばすかが、管理職育成における主な課題といえます。
新任管理職の育成や課題解決については、オンボーディングが有効です。以下の記事では、管理職育成において人事が取り組むべき施策のヒントをご紹介しています。
『新任管理職の悩み解決にはオンボーディングが必須!人事が取り組むべき施策』
幹部候補育成の課題
幹部候補育成における課題としては、早期育成ができていないことが挙げられます。幹部として活躍するためには、経営に関する幅広い知識はもちろん、業務に関する多様で豊富な経験も必要です。しかし、幹部候補となる人材を早期に選抜できていないと、経営者として必要な経験を十分に積んでもらえず、育成が思うように進まなくなってしまいます。
また、「幹部候補育成に対する社内理解がない」ことも課題としてあります。幹部候補育成に対する社内理解が十分でない場合、事業部門が優秀な人材を抱え込んで手放さなかったり、上司からの支援を得られなかったりして、育成がスムーズに進みません。
幹部候補育成においての課題と解決策については、以下の記事で事例を交えて紹介しています。
『幹部候補の育成方法とは?選抜方法や人事が知っておくべきポイント 』
人材育成の課題に対するゴールとは?
人材育成ではさまざまな課題が存在することがわかりました。それでは、何を達成できれば人材育成の課題を解決し、ゴールへ到達したといえるのでしょうか。
人材育成の課題に対する具体的なゴールを2つ解説します。
社内全体の生産性の底上げ
人材育成のゴールとして、社内全体の生産性の底上げが挙げられます。
そもそも、人材育成は企業の経営方針を実現できるような人材を社内に増やし、企業の業績を向上させるために行われる取り組みです。そのため、研修によって業績向上が実現すれば、ゴールは達成されたと言えるでしょう。
なお、具体的な成果の形は研修によって異なります。例えば生産性の向上が「新規事業の利益率向上」といった形で現れることもありますし、「グローバル事業の拡大」として実現することもあるでしょう。いずれにしても、研修によって生まれた行動変容で会社の業績に貢献することが大切です。
社員の定着率向上
社員の定着率向上も、研修における主要なゴールの一つと言えます。
記事の冒頭でも解説したように、近年の日本は働き手不足が深刻です。こうした状況で離職が発生してしまうことは、企業にとって大きな痛手となります。定着率の低い企業は求職者に不安な印象を与えるため、より一層新規採用が困難になるという悪循環に陥ってしまう可能性もあります。
こうしたリスクを避けるためには、研修によって社員のモチベーションやエンゲージメントを改善し、定着率を向上させることが大切です。
社員の定着率を上げる・離職防止のためには、研修によって業務の捉え直しを行うことも大切です。離職防止のための研修については、以下の記事をご確認ください。
『離職防止のための研修を効果的に行うコツ|成功事例や階層別の内容を紹介』
人材育成に効果的な手法
人材育成に効果的な手法は次の5つです。
- OJT
- Off-JT
- メンター制度
- MBO(目標管理制度)
- eラーニング
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社に合った手法を選択することが重要です。詳しく解説します。
OJT
OJTとは、「On the Job Training」の略で、現場での業務を通じて上司やトレーナーが指導し、知識・スキルを身につけさせる育成手法のことです。業務をやりながら学ぶことができるので、Off-JTより実践的なスキルが身につきます。上司やトレーナーがもっている独自のノウハウを伝えやすいのもOJTの特徴です。
ただし、上司やトレーナーに育成スキルがないとOJTはうまくいきません。放置することになってしまったり、計画通りにスキル習得が進まなかったりする可能性があります。
OJTについて詳しくは以下の記事をご参照ください。
『OJTとは?OFF-JTとの違いや効果的な方法をわかりやすく解説』
Off-JT
Off-JTとは「Off-The-Job Training」の略語です。OJTとは異なり、職場を一時的に離れて教育を受けてもらいます。
Off-JTのメリットは、体系的な知識を身につけやすく、さらにグループワークなどで受講者同士の交流の場も作れることです。新入社員に対して行うビジネスマナー研修や企業理念浸透研修、新任管理職向けのマネジメント研修などはOff-JTで行うことが多いでしょう。
一方デメリットとしては、受講者が受動的になりがちで職場での行動変容に至りづらいという点があります。研修プログラム内にワークを取り入れたり、研修後のフォローアップ施策を実施したりする必要があるでしょう。
Off-JTについて詳しくは以下の記事をご参照ください。
『OJTとOFF-JTの違いは?それぞれのメリットや組み合わせ方を紹介』
メンター制度
メンター制度とは、豊富な知識やスキルを持った先輩社員がメンターとして、後輩社員の業務やキャリアに関する支援を行う制度のことです。主に業務に関する指導を行うOJTとは異なり、キャリアやメンタルヘルスなど業務以外の面でも後輩社員をサポートします。
メンター制度は新入社員や若手社員、管理職候補の女性社員などに対して実施されることが多いです。
メンター制度を利用すれば、業務以外での相談をする相手ができたり、ロールモデルを見つけることができたりとメリットが多くあります。
メンター制度について詳しくは以下の記事をご参照ください。
『メンタリングとは?メリットや進め方、効果的に実施するポイントも解説』
MBO(目標管理制度)
目標管理制度(Management By Objectives)とは、社員一人ひとりが自分で目標を設定し、達成に向けて活動していく制度のことです。経営学者ピーター・ドラッカーが1950年代に提唱しました。
社員が主体的に目標を設定するため、目標達成に必要なスキル・マインドセットの習得にも積極的に取り組んでもらえることが多いです。社員自ら考えて学びを深めていく「自律学習」にもつながるでしょう。
ただし、管理職が部下の目標をコントロールできなかったり、公平な評価ができなかったりと課題があることも事実です。
目標管理制度を成功させるコツについては以下の記事をご参照ください。
『目標管理制度がうまくいかない理由は?時代遅れと言われる理由や成功のポイント』
eラーニング
eラーニングとは、コンピューターとインターネットを活用した育成手法です。あらかじめ用意した動画教材などをインターネットを通じて受講者に配信し、研修や理解度テストを受けてもらいます。
eラーニングのメリットは、受講者の日常業務を妨げずに育成ができるという点です。Off-JTとは異なり、研修会場への移動時間が不要で、受講者の都合の良いタイミングで研修を受けることができます。業務の合間に少しずつ学ぶことも出来るので、業務が忙しい管理職以上にもおすすめ育成手法です。
一方、育成成果が受講者の学ぶ意欲に大きく左右されることがデメリットです。受講期日を設けたり、受講者同士の学び合いの場を用意したりといった工夫が必要です。
eラーニングについて詳しくは以下の記事をご参照ください。
『【簡単解説】eラーニングとは?企業研修で活用するメリット・デメリット』
人材育成の課題解決への流れ
人材育成の課題を解決するためには、以下の流れで進めていくと有効です。
- 自社の現状把握・人材育成の課題を洗い出す
- 人材育成の目標・目的を明確にする
- 人材育成にあてる時間を確保する
- 育成する側の育成スキルを養う
- 最適な人材育成手法を選び、実施する
- フィードバックや改善を随時行う
人材育成の課題を解決する際の流れを6つのステップに分けて解説します。
自社の現状把握・人材育成の課題を洗い出す
まずは、自社の現状を把握して、人材育成でアプローチする具体的な課題を明確化しましょう。
現状を把握する際には、現場へヒアリングを実施することが有効です。管理職などへインタビューを行って、現場でどういった人材が不足しており、研修でどのようなスキルを身につけさせるべきなのかを把握します。
また、経営層と方針のすり合わせを行うことも大切です。5年後、10年後の経営方針を念頭に置きながら、人材育成における課題の洗い出しを進めていきます。
人材育成の目標・目的を明確にする
次に、人材育成の目標や目的を明確化しましょう。人材育成のゴールがあやふやなままだと、人材育成施策に取り組むこと自体が目的となってしまい、効果につながりません。
具体的な目標としては、例えば「5年後のグローバル事業を成長させるために、社員の7割が英語をビジネスレベルで扱えるようにする」「新規事業の売上を1年で2倍に拡大するため、管理職の創造力を育成し新規事業提案数を今の4倍にする」といったことが挙げられます。KPIや数値を盛り込みながら、できるだけ具体的な目標を設定することが大切です。
人材育成にあてる時間を確保する
次に、人材育成にあてる時間を確保しましょう。
まずは人材育成の大まかなスケジュールを確定させます。何月から何月にかけて実施するのか、研修期間とフォローアップ期間はそれぞれ何日ずつなのかなどを、研修内容や目的を踏まえながら決めてください。
また、OJTを行う際には、OJTトレーナーや上司などの現場社員が指導に充てる時間を確保できるように業務量の調整をしましょう。
スケジュールが確定したら、講師や研修スタッフ、参加者の日程調整を行います。
業務に追われる繁忙期はできる限り避けるなど、研修を実施するタイミングの工夫も必要です。
育成する側の育成スキルを養う
人材育成を行う際には、育成する側の育成スキルを養うことも大切です。
例えばOJTを実施する際には、OJTトレーナーを対象とした研修を実施して、トレーナーを担当する先輩社員の指導スキルを伸ばしましょう。また、指導の際の心構えや、相手と信頼関係を構築するためのコミュニケーション方法などを学んでもらうことも効果的です。
OJTトレーナーを対象とした研修の具体的なプログラムは、以下のページからご覧ください。
OJTトレーナー研修
▼サービス資料をダウンロードする
最適な人材育成手法を選び、実施する
次に、最適な人材育成手法を選定し、研修を実施します。
人材育成手法には、OJTやOff-JT、eラーニングなどさまざまな種類があります。また、最近では越境学習や自己啓発支援など、従来の枠にとらわれない学習スタイルを活用する企業も多いです。研修の目的や内容に応じて適切な研修手法を選択し、実際に研修を実施してください。研修中は参加者の様子をモニタリングしながら、必要なフォローアップを随時提供することがポイントです。
人材育成の手法については、以下の記事で詳しく解説しています。
『【成功事例あり】人材育成方法|階層別のポイントや目標設定の仕方について』
フィードバックや改善を随時行う
研修が終了したら、フィードバックや改善を行います。
まずは研修の参加者に対して、どの能力がどの程度伸びたのかをチェックシートやテスト結果の形でフィードバックとして提供しましょう。上司から現場での実践状況をレポートしてもらうことも有効です。
そのあと、フィードバックの内容や研修アンケートの結果を参考にしながら、研修プログラムの改善を行います。
説明が不足していた点はなかったか、時間配分が甘かった点はなかったかなどを中心にチェックして、次回以降の研修に活かしましょう。
研修の振り返りについて詳しくは以下の記事をご参照ください。
『研修の振り返りは必ず実施しよう!人事向けパワポテンプレシートを公開』
人材育成を効果的に行うポイント
人材育成を効果的に実施するためには、社内全体に自社の課題を周知したり、階層別に研修を実施したりすることが大切です。また、研修を外部の企業へ委託することもよいでしょう。
人材育成を効果的に実施するために知っておきたいポイントを4つ解説します。
社内全体に自社の課題を周知させる
人材育成を行う際には、社内全体に自社の課題を周知させることを意識しましょう。社内全体に課題を周知させることで、人材育成施策に対する社内理解を得ることができます。
例えば、単に「DX研修を実施します」と周知するよりも、「日常業務でITツールの活用が進んでおらず、非効率な部分が多いためDX研修を実施します」と周知したほうが、社内の理解を得やすいでしょう。施策ありきで伝えるのではなく、自社の課題ベースで周知したほうが納得度も高まります。
階層別に行う
研修を実施する際には、階層別に行うことがポイントです。
若手社員や中堅社員、管理職といった各階層ごとに、直面する課題や必要なスキルは異なります。そのため、すべての社員を一度に研修で教育するのは非効率です。
若手社員や中堅社員、管理職など、階層別で研修プログラムを組み、それぞれに最適な内容を提供してみてください。場合によっては、階層内でもレベル別や職種別でクラス分けすることがおすすめです。
階層別研修の目的や内容、カリキュラム例は以下のページをご覧ください。
『階層別研修の目的や内容、体系図の作り方やおすすめカリキュラム例をご紹介』
効果測定を行う
効果測定を徹底的に実施することも、研修を成功させるためのポイントです。
効果測定を行うことで、育成施策の問題点が浮き彫りになります。その結果、次回以降の育成施策の内容を改善することができるでしょう。
また、研修の効果測定がしっかりと行われていれば、育成施策に対する社内からの理解も得やすいです。「〇〇研修によって社員の能力が10%上昇しました」「業務効率が1割改善しました」などの数値があれば、説得力も向上します。そのためには、研修前後での社員の能力をモニタリングする効果測定が必要不可欠なのです。
効果測定の具体的な方法やポイントは、以下のページをご覧ください。
『研修効果測定の方法とは|4つの評価レベルや効果測定のポイント』
外部に委託する
研修を実施する際には、外部の企業へ委託することも一つの手です。
最近では、さまざまな企業が研修を受託しています。外部の企業を活用して研修を実施すれば、自社にはないノウハウを取り込むことができるでしょう。経験豊富な講師が、最新のトレンドも交えながらわかりやすく説明してくれることも多いです。
また、研修にかかる時間的コストを節約できるため、運営の負担を最小限にできるメリットもあります。ただし、外部委託には多かれ少なかれ金銭的なコストは発生するため、事前に予算の調整が必要です。
研修を外部委託すべきかの確認や選定のポイントについては以下の記事で詳しく解説しています。
『研修は外部委託すべき?委託している割合や委託先選定のポイント』
アルーの人材育成成功事例
人材育成を手掛けているアルーでは、これまでにさまざまな業界で人材育成をサポートしてきました。ここではその中から特に参考となる事例を3つピックアップして紹介します。
効果的に課題を解決する人材育成施策の具体例を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
大同特殊鋼株式会社様
大同特殊鋼株式会社様では、「つなげ。次の100年へ」というスローガンのもと、教育体制の再構築に取り組みました。経営理念や行動指針レベルから見直す抜本的な改革に取り組み、各階層で求められるスキルや期待役割、行動指針を明確化していることが特徴です。
また、社員のキャリア開発にも力を入れています。社内でのキャリアだけでなく、社員の人生を考えた育成施策を行ったことが特徴です。
本事例の詳細は、以下のページから確認いただけます。
つなげ。次の100年へ(大同特殊鋼株式会社導入事例)
ポーラ化成工業株式会社様
女性活躍を重点戦略に据えていたポーラ化成工業株式会社様では、9ヶ月に渡る長期の育成プログラムを実施しました。
本プログラムでは、社員の主体性向上やチームワークの醸成を目的に据えています。本事例は選抜された女性社員を対象に実施しており、ディスカッションやグループワークも活用しながら研修を進めたことが特徴です。9ヶ月という長期にわたり定期的に集まる機会を設けたことで、女性社員同士のつながりが形成されたり、自発性の向上が実現したりした成功事例です。
本事例の詳細は、以下のインタビュー記事からご覧いただけます。
女性活躍推進の風土づくりに「リーダーシップ」「チームワーク醸成」の重要性を理解する(ポーラ化成工業株式会社導入事例)
株式会社オカムラ様
社名変更を機に人材育成施策を全体的に見直していた株式会社オカムラ様では、自律学習を実現するための研修プログラムを実施しました。
本事例では、アルーの提供しているLMSである「etudes」を導入し、eラーニングを豊富に取り入れていることが特徴です。
eラーニングを通じて知識のインプットが効率的に進んだとともに、社内で互いに学び合う文化の醸成にも成功しています。
本事例の詳細は、以下をご確認ください。
社名変更を機に人財育成も問い直す。学ぶ意欲を喚起し、自律的に学ぶ文化を醸成。(株式会社オカムラ導入事例)
人材育成の課題解決ならアルーへお任せください
人材育成の課題解決なら、アルーへお任せください。アルーは、人材育成のプロフェッショナルとしてさまざまな企業で支援を行ってまいりました。
この記事の最後に、アルーの提供している人材育成施策の特徴を紹介します。
自社の課題に沿った研修を提供いたします
アルーでは、自社の課題に沿った研修を提案します。
外部環境が激しく変化するVUCAの時代では、企業が直面する課題の多様性が増してきています。そのため、どんなに優れた研修プログラムでも、すべての企業に有効であるとは限りません。
アルーでは研修の企画段階からヒアリングを実施するため、企業の抱える個別の課題に最適化された研修の実施が可能です。限られた時間を有効活用し、研修の効果を最大限に引き出します。
eラーニングやオンライン研修も活用いたします
アルーでは、eラーニングやオンライン研修の支援も積極的に実施しています。
eラーニングやオンライン研修は有効活用すれば非常に便利な研修スタイルです。しかし、eラーニングやオンライン研修のノウハウはまだまだ企業へ十分に浸透していません。
アルーではeラーニングやオンライン研修の特性を踏まえ、効果を最大限に引き出すプログラムを提供します。
なかなか研修時間が取れない管理職や経営層を対象とした研修も、効果的に実施することが可能です。
アルーの提供しているLMSである「etudes」は、以下のページからご覧ください。
etudes(エチュード)
研修企画~研修後の効果測定まで支援します
アルーでは、研修の企画段階から研修後の効果測定までをすべて支援いたします。
研修の企画段階では、企業の抱える人材育成の課題の明確化から問題定義、研修プログラムの立案などを丁寧にサポートします。研修の実施段階では、アルーに在籍する経験豊富な講師が、自身の経験なども交えながらわかりやすく説明することが特徴です。
効果測定では、育成効果を可視化するアルーのツール「Compath」を活用しながら、定量的な測定を支援します。
アルーの提供する効果測定ツール「Compath」は、以下のページから詳しくご覧ください。
Compath(行動変容にこだわる職場学習支援システム)
▼サービス資料をダウンロードする
まとめ
人材育成において直面しがちな課題について、それぞれの解決策や人材育成の際のポイントなどを徹底的に解説しました。
人材育成ではさまざまな課題が発生するため、施策に取り掛かる前に人材育成でありがちな課題を把握しておくことが非常に大切です。こうした課題解決の方法を知っているかどうかで、人材育成の成果は大きく左右されます。
ぜひこの記事で解説した課題解決の方法や研修のポイントなどを踏まえながら研修を実施して、社員の能力開発を効果的に進めましょう。