若手社員の育成ポイント|若手社員の特徴と課題とは
若手社員の育成は、企業の未来を担う重要な課題です。しかし、若手社員の個性や特性を理解し、適切な育成方法を見つけることは簡単ではありません。
本記事では、若手育成の課題や解決法、若手育成のために管理職が持つべきスキルや、外部研修の活用方法など、若手育成に役立つ情報をご紹介します。
目次[非表示]
若手社員の育成が重要な理由
将来の予測が不可能で、先の見えないVUCA時代では、若手社員自身が内発的動機から自律的に考えてキャリアを積み上げていく必要があります。
しかし、これまで多くの企業では若手社員には与えられた仕事を指示通り進めることが求められていたこともあり、自律性を引き出しにくかったり、経験やスキルが足りないために無力感を感じてしまったりして、離職につながることも多いです。
少子高齢化で人手不足が進む中で、若手社員が離職することは企業にとって大きな痛手となるでしょう。
ここでは、若手社員の育成が重要な理由についてご紹介します。
早期の即戦力になる
若手社員は、新しい知識やスキルを吸収する能力に優れています。若手社員を積極的に教育することで、より早く生産的なメンバーに成長させることができるでしょう。若手社員が早期に生産的なメンバーになることで、企業はより効率的に業務を行い、成果を上げることができます。
人材の定着化を図りやすくする
若手社員にとって、将来の成長やキャリアアップの可能性は、職場での定着力に直結しています。若手が適切な育成やトレーニングを受け、成果を上げることで、自信ややりがいを感じることができます。その結果、若手社員は職場に定着しやすくなり、企業にとっては成果を上げられる優秀な人材の確保に繋がります。
近年の若手社員の課題
若手社員が直面する課題は多くあります。
代表的な課題は、以下の3つです。
- 業務について理解したと勘違いし、飽きてしまう
- 仕事の進め方を更新できない
- 自ら機会を見出そうとしない
それぞれ詳しく解説いたします。
業務について理解したと勘違いし、飽きてしまう
入社から3年ほど経つと、社員はある程度業務経験を積み、仕事をそつなくこなせるようになることが多いでしょう。しかし、業務に慣れてくると、自分が仕事内容を全て理解していると勘違いし、飽きてしまうことがあります。
この場合、若手社員自身では「自分は仕事ができる」と認識していますが、周囲は「仕事の幅や難易度の高さをまだ知らないのに、勘違いしているな」と感じているケースが多いです。周囲と若手社員の間に認識の相違が生まれているのです。
このような状況では、成長やキャリアアップに必要なスキルや知識を習得できず、長期的な職場での定着力も低下してしまいます。
仕事の進め方を更新できない
時代の変化や、新しいテクノロジーの導入に対応するためには、仕事の進め方を柔軟に更新することが必要です。しかし、業務に慣れてきた若手社員は、新しいやり方に挑戦することを嫌がり、自分のやり方に固執してしまうことがあります。自分のやり方が通用しないと分かっても、やり方を改善していこうという言動が見られないケースがあります。
このような傾向があると、周囲は「これ以上難易度の高い仕事は任せられない」と感じてしまい、若手社員自身も新しい業務に取り組みづらい環境になってしまいます。
自ら機会を見出そうとしない
若手社員が自分のキャリアを積極的に考え、自ら機会を見出そうとしないことも課題の一つです。「仕事を任せてくれない会社や環境が悪い」と周囲のせいにして、今ある業務にだけに集中してしまうことがあります。
若手社員が中堅社員、管理職とステップアップしていくためには、自分から組織の課題を見つけてアクションを起こしたり、苦手な分野の仕事にも挑戦していくことが求められます。
「自ら機会を見出そうとしない」という課題を持った若手社員は、ステップアップが難しいのが実情です。
その他、近年の若手社員の傾向については、以下の記事で紹介していますので、併せてご確認ください。
『【2022年最新】新入社員の特徴といまどき新入社員の成長を促すポイント』
若手社員の育成が上手くいかない理由・課題
ここまで、若手社員の課題についてご紹介しました。
では、若手社員の育成が上手くいかない理由や課題は、どのようなものがあるのでしょうか。
若手社員の育成が上手く行かない理由・課題は、以下の4つが挙げられます。
- 若手社員の価値観が多様化している
- 育成方針・研修計画がしっかりと立てられていない
- 育成担当のスキル不足
- 成長に対するフィードバックがない
一つずつ解説していきます。
若手社員の価値観が多様化している
近年の若手社員は、従来のような終身雇用や安定志向といった価値観にとらわれず、ワークライフバランスやキャリアアップへの期待など、多様な価値観を持っています。そのため、企業が育成方針や研修計画を立てる際に、若手社員の多様な価値観に対応する必要があります。
多様な価値観に対応するには、多様性を認める風土を醸成することが大切です。具体的には、若手社員を教育する管理職の価値観の変容などが求められるでしょう。
▼アルーが行っている管理職に向けた部下育成力研修については、以下のページをご確認ください。
育成方針・研修計画がしっかりと立てられていない
若手社員を育成するには、育成方針や研修計画が必要です。しかし、中小企業などでは育成方針が不十分であったり、研修計画が適切に立てられていなかったりすることがあります。また、育成方針や研修計画が存在していても、現場の実務に即していない場合があります。
若手育成を行う場合には、若手社員をどのように育成したいのか、現場とすり合わせを行いましょう。若手社員の現在のスキルや課題を把握し、そのニーズにあわせた研修プログラムを作成することが必要です。
育成担当のスキル不足
若手社員を育成するには、育成担当者のスキルも重要です。しかし、育成担当者が育成のためのスキルや知識を持たない場合、育成がうまくいかないことがあります。特に中小企業などでは、人員や予算の限られた中で育成を行うことが多く、育成担当者のスキル向上が課題となっています。
育成担当のスキルを向上させるには、育成担当者向けの研修を行うことや、育成担当者へ若手育成の重要性を知ってもらうことが大切です。
「若手社員を育成する管理職が身につけたいスキル」の見出しでお伝えする内容を参考に、教育プログラムを導入すると良いでしょう。
成長に対するフィードバックがない
上司や育成担当者から成長に対する適切なフィードバックがない場合、若手社員は自分が成長しているかどうかを判断することができず、モチベーションの低下や転職への動機付けにつながることがあります。
若手社員の成長に対するフィードバックが不足している場合は、まずはマネージャーや上司がフィードバックを行うことが重要です。具体的には、定期的に1on1ミーティングを設定し、業務上の成果だけでなく、若手社員の成長や課題にも目を向けたフィードバックを行うようにしましょう。
また、若手社員同士でのフィードバックを促す場を設けることも有効です。定期的なグループミーティングや、社内SNSを活用したコミュニケーションなどが挙げられます。フィードバックを受ける側も、自ら成長に向けた取り組みを積極的に行い、フィードバックを活かして自己成長につなげることが大切です。
若手社員の育成には、企業と若手社員自身の双方が協力し、長期的な視野で取り組むことが必要となるでしょう。
若手社員の育成を成功させるポイント
若手社員の育成を成功させるためには、以下のようなポイントが重要です。
- 若手社員の特徴・傾向に合わせた指導をする
- 若手社員個人の習熟度に応じた研修を設計する
- 多様な学習手段を検討する
- スキルだけでなく価値観の変容も促す
- 仕事・研修の意義や目的を伝える
- 褒める・期待をかけるなどポジティブなフィードバックをする
- 具体的に指示を出し、フォローに徹する
- 研修後のフォローアップを行う
これらのポイントについて、一つずつ解説いたします。
若手社員の特徴・傾向に合わせた指導をする
毎年若手社員の研修は同じものを行っているという場合は注意が必要です。若手社員の育った時代背景や、社会情勢などによっても、価値観はそれぞれです。人事担当者は、若手にはどのような特徴・傾向があるのかをおさえておく必要があるでしょう。
若手社員の特徴については、以下の記事で詳しく解説しております。
『【2022年最新】新入社員の特徴といまどき新入社員の成長を促すポイント』
若手社員個人の習熟度に応じた研修を設計する
次に、若手社員個人の習熟度に応じた研修を設計することが重要です。研修計画を決定する際には、若手社員の現状のスキルや知識、成長に必要な要素を把握し、段階的に難易度を上げたり、クラス分けをしたりしてプログラムを用意する必要があります。
以下は、メンター制度についての研修を行う際のレベルにあわせた目的の例です。
レベル |
現状 |
目指す姿 |
初心者~初級レベル |
「メンターについてイメージできない」
|
「イメージを明確に持つ」
|
中級レベル |
「頭ではわかっているが、できない」 「経験はあるが自信があるわけではない」
|
「安定的に対応できる」
|
上級レベル |
「安心して対応をすることができる」
|
「よりよくできる」
|
このように、個人の習熟度に応じて目標立てをし、本人が目的意識を持って研修に臨むことによってより高い教育の効果を得られるでしょう。
多様な学習手段を検討する
また、多様な学習手段を検討することも大切です。教室での講義やOJT、オンライン研修やeラーニングなど、若手社員が自分に合った学習手段で学べるようにすることが必要です。
若手社員研修では、導入は集合研修で行い、研修内容をeラーニングで復習・反復練習をして、集合研修で実践の振り返りやスキルアップをしていくといった、実践型の学習サイクルを作っておくと良いでしょう。
スキルだけでなく価値観の変容も促す
さらに、スキルだけでなく価値観の変容を促すことも重要です。
若手社員は、
- 上司・先輩は答えを持っているので、上司・先輩に仕事の目的・ゴールを確認すればいい
- 上司・先輩の考えの中に無自覚に付き従っている
- 仕事とは、上司・先輩から言われたことを行うことである
というような意識を持っていることが多いです。
上記のような意識を持っている場合には、新しく以下のような意識にすることが求められます。
- お客様に価値を提供するために、仕事の目的を押さえた上で、自らゴールを設定して、すり合わせながら実行する
- (内面的に)自分が仕事を掌握している・動かしている
- 仕事とは、「お客様の期待をつかみ、自らの想いを乗せて実現すること」である
若手の育成を成功させるには、このような価値観の変容にアプローチする必要があるでしょう。
仕事・研修の意義や目的を伝える
さらに、仕事や研修の意義や目的を伝えることも重要です。なぜ、このタイミングでこの内容の研修を行うのかを、「組織からの期待」と「本人にとってのメリット」をあわせて伝えておくようにしましょう。
例えば、ロジカルシンキングの研修をする際に、「ロジカルシンキングはさまざまな場面で必要な基本的な力であること」「今後、中堅社員になるうえでロジカルシンキングは無意識に使えるレベルになっていないとならない」「早くロジカルシンキングを使う習慣を身につけておくことで、将来大きな差になる」など、具体的に研修の意義や目的を伝えるとよいでしょう。
褒める・期待をかけるなどポジティブなフィードバックをする
自信を持って業務に取り組めるよう、上司や先輩社員からポジティブなフィードバックが必要です。例えば、仕事の成果を褒めたり、期待をかける言葉をかけたりすることで、モチベーションを高めることができます。また、成長したところを具体的に指摘し、次の課題につなげることで、若手社員のスキルアップを促すことができます。
ポジティブなフィードバックは、若手社員の自己肯定感を高めることにつながります。自信を持って業務に取り組むことで、成果を上げ、より一層成長していくことができます。ポジティブなフィードバックは、若手社員の育成に欠かせない重要な要素の一つです。
具体的に指示を出し、フォローに徹する
若手社員の成長を阻害する要因の一つに、若手社員の仕事を上司がやってしまうことがあげられます。
若手社員を成長させるには、仕事を代わりにやってしまうのではなく、仕事の進め方やポイントを丁寧に教え、必要に応じてサポートすることが大事です。
「自分がやった方が早いから」といって、若手社員の仕事をやってしまうことがないように、ゆとりをもったスケジュールで定期的に報告をしてもらい、必要なフォローして、新しい業務にも挑戦させて経験を積ませることが重要です。
研修後のフォローアップを行う
研修後、社員の成長を定量的・定性的に評価し、フィードバックを行うことが重要です。また、研修内容を忘れないように、定期的に復習する時間を設けることも有効です。さらに、研修で学んだことを現場で活かせるよう、上司や先輩社員がフォローすることが求められます。
若手社員の育成方法
若手社員の育成方法には、研修やOJT、1on1ミーティング、ストレッチな業務アサインなど、様々な方法があります。それぞれの方法について解説いたします。
若手社員向け研修
若手社員向けの研修は、業務に必要なスキルや知識を身につけるためのプログラムです。例えば、ビジネスマナーやプレゼンテーション、ロジカルシンキングなどが挙げられます。自社の若手社員に不足しているスキルを研修で身につけてもらうことにより、業務で活躍できるようになります。
アルーでは、若手社員向け研修をご提供しております。詳しくは以下のページでご確認ください。
OJT
OJTは、職場で実際の業務を通じて経験を積むトレーニング方法です。先輩社員から直接指導を受け、実際の業務を通じて、業務知識やスキルを習得します。また、実際の業務を通じて、会社の文化や価値観を理解することができます。
若手支援のOJTに関しては、若手社員を近くで見る管理職が相手に合わせた内省支援を行うことが有効です。
OJTに関しては、以下の記事で紹介していますので、併せてご確認ください。
『OJTとは?OFF-JTとの違いや効果的な方法をわかりやすく解説』
1on1ミーティング
1on1ミーティングは、上司と社員が1対1で話し合うミーティングです。社員の業務の進捗状況や課題、成長について話し合い、社員の目標設定やキャリアアップについて考える場として活用されます。上司と社員の信頼関係を構築することができ、社員のモチベーションアップにもつながります。
1on1ミーティングに関しては、以下のページで詳しく解説しておりますので、併せてご確認ください。
『1on1ミーティングの導入効果・目的とは?導入企業の事例や導入方法』
ストレッチな業務をアサインする
ストレッチな業務とは、社員が今まで経験したことのない業務や、部門を超えた連携業務や変革への参加など、レベルの高い業務のことを指します。社員が自己成長するために必要な経験を積むことができるため、若手社員の成長に繋がります。
ただし、過剰な負担がかかることがないよう、適切なアサインとフォローが必要です。
若手社員を育成する管理職が身につけたいスキル
若手社員の育成で重要な役割を果たすのが管理職です。管理職が若手社員の成長を適切にサポートできれば、業務の成果にも大きく影響してきます。
ここでは、若手社員を育成するために必要なスキルである、
- コーチング
- ティーチング
- OJTトレーナーとしてのスキル
について説明します。
コーチング
コーチングとは、相手の自己解決能力を引き出し、自ら問題を解決する力を身につけさせる手法です。若手社員が直面する課題や悩みに対して、ただ解決策を提供するのではなく、相手自身が答えを導き出せるような質問を投げかけ、自己解決能力を高めることが目的です。
コーチングを活用することで、若手社員の成長を促し、自己成長意識を高めることができるでしょう。
アルーのコーチング研修に関しては、以下のページで詳しく紹介しています。
ティーチング
若手社員の育成において、ティーチングスキルも重要です。ティーチングとは、知識や技能を教えることであり、明確な目的を持って指導することが求められます。若手社員にとって、理解しやすいように教えることが肝心です。
ティーチングは、ただ教えるだけではなく、相手に理解してもらえるように説明することが重要です。また、若手社員の習熟度に合わせた教え方が必要です。
アルーのコーチング研修に関しては、以下のページで詳しく紹介しています。
OJTトレーナーとしてのスキル
OJTとは、On the Job Trainingの略で、仕事の現場で実践的な技能や知識を身につけるトレーニングのことを指します。OJTトレーナーとして、若手社員が業務に必要なスキルを身につけるための環境を整えることが重要です。
具体的には、業務のフローを整理し、適切なアサインやフィードバックを行うことや、OJTトレーナー自身が、若手社員の成長を促すためのスキルを身につけることが求められます。
アルーのOJTトレーナー向け研修は、以下のページで詳しく紹介しています。
若手育成は外部研修を利用するのも一つの手
若手社員の育成を実施する際には、外部研修を利用することも有効な手段の一つです。内部での研修だけではなく外部の専門的な研修を受講することで、より専門的な知識やスキルを習得することができます。
また、外部研修では新たな視点やアイデアを得ることもできます。自社だけではなく他社の取り組みや成功事例を知ることで、自社の若手社員の成長につなげることができます。
ただし、外部研修にはコストや時間の制約があるため、内部研修と組み合わせて最適な教育プログラムを作成することが必要です。
アルーでは若手育成の研修を行っています。外部研修をご検討の方はぜひご検討ください。
まとめ
若手社員の育成は、組織の未来にとっても重要な課題です。若手社員が成長し、将来の幹部候補として活躍してくれることが、組織の発展につながります。
そのため、管理職は若手社員を育成するスキルを身につけることが求められます。管理職に求められるスキルはコーチングやティーチング、OJTトレーナーとしてのスキルなど多岐にわたります。若手社員だけでなく、管理職の育成も必要になってくるでしょう。
若手社員や若手社員を育てる管理職を育成する際には、外部研修を活用することも有効です。しかし、研修だけでなく、ポジティブなフィードバックや具体的な指示、フォローアップなど、日々の業務の中での育成も欠かせません。
若手育成にお悩みの方は、ぜひ一度アルー株式会社にご相談ください。
アルーの若手社員向け研修は、以下のページで詳しくご確認いただけます。