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目標管理制度がうまくいかない要因を解説!時代遅れにならない運用方法

「目標管理制度(MBO)を導入しているが、時代遅れではないか?」

「目標管理制度が上手く機能していない……」

こういった悩みを抱える人事担当者の方も少なくないのではないでしょうか。目標管理制度は社員の評価を行う上で重要な取り組みですが、実は多くの企業で運用上の課題を抱えています。

そこでこの記事では、目標管理制度を運用する上でありがちな課題や、目標管理制度を成功させるためのポイントを解説します。目標管理制度が成功していないと感じる方は、ぜひチェックしてみてください。


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目次[非表示]

  1. 1.目標管理制度がうまくいかない理由・問題点
  2. 2.そもそも、目標管理制度とは
  3. 3.目標管理制度が向いている企業・向いていない企業とは
  4. 4.目標管理制度が時代遅れと言われる理由
  5. 5.目標管理制度を成功させる方法
  6. 6.目標管理制度の成功につながる評価者研修
  7. 7.まとめ


目標管理制度がうまくいかない理由・問題点

「目標管理制度がうまくいかない」といった悩みを漠然と抱える企業は多いです。それでは、目標管理制度に課題感がある場合、実際どのような点で問題が発生しているのでしょうか。

目標管理制度を成功に導くためには、まず現状の課題点を洗い出すことが重要です。目標管理制度を運用する上でありがちな課題や、問題点を確認していきましょう。


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特定の社員に管理工数がかかりすぎる

目標管理制度は、管理職がそれぞれの社員に対して個別にフィードバックを行います。そのため、目標管理制度を運用するとなると管理職の業務量が大幅に増え、負担が集中してしまうケースが多いです。

目標管理制度を運用する際には、特定の社員に負担が集中しすぎないように注意する必要があります。評価者への負担を考慮せずに運用した結果、評価者からのフィードバックや目標設定も現場の実情から離れたものとなり、結果的に制度自体の効果が低下してしまうケースも多いです。


適正な評価ができていない

評価の大原則として、公正であることがあげられます。公正とは、前提やルールが平等に適応されることを指し、評価の結果は人によって異なることが特徴です。

一方、実際の目標管理の現場では公正な評価が行われていないケースがあります。例えば忙しい上長が部下の行動を把握しきれないまま評価を下したため、評価が実情からかけ離れてしまう場合などです。公正でない評価が行われてしまうと、評価に対する納得度が損なわれ、社員のモチベーションを低下させてしまうため、目標管理制度が失敗してしまいます。


組織目標が短いスパンで変わる

目標管理制度では、多くの場合、半年~1年単位といった比較的長いスパンで目標を立てます。

一方で、企業を取り巻く経営環境は目まぐるしく変化します。最近では競合の台頭や新技術の開発などによって、企業の方針を柔軟に変えることも少なくありません。これによって、実際に目指している目標と、目標管理制度で立てている目標が乖離してしまうという場合があります。こういったケースでは、そもそも実際に目指している目的地と形式的な目標が異なるため、目標管理制度の意義が大きく低下してしまうでしょう。


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目標が企業の押し付けになってしまっている

目標管理制度では、個人が達成しなければならない内容(MUST)と、それぞれが達成したいと考える目標(WILL)との関連づけを支援することが大切です。企業側が両者のすり合わせを積極的に行うことで、初めて社員は納得感を持って目標達成に向けた取り組みを続けることができます。

MUSTとWILLのすり合わせができないと、「目標が個人のスキルアップにつながっていない」といった失敗を招いてしまいます。また、管理職がメンバーにうまく目標達成の意義を伝えられていないなど、管理職側に課題があるケースも少なくありません。


目標の振り返りができていない

目標管理制度を運用する際に、振り返りの機会が十分に設けられていないという場合もあります。目標を設定するだけで終わってしまい、定期的な達成度の確認や振り返りの面談を行っていない場合にも、目標管理制度は失敗してしまう可能性が高いです。

目標管理制度の目的は、社員を正しく評価することによってそれぞれの課題を抽出し、次期の活動の改善につなげていくことです。目標達成の結果を踏まえて、今後どう行動変革を行うのかを振り返る場を設ける必要があります。


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そもそも、目標管理制度とは

	MBO

ここまで目標管理制度にありがちな課題点や問題を解説しました。それでは、そもそも目標管理制度とはどういった制度で、何を目的として行うのでしょうか。

目標管理制度(Management By Objectives)とは、経営学者であったピーター・ドラッガーが1950年代に提唱した概念です。社員一人ひとりが自分で目標を設定することが特徴であり、社員幅広い企業で活用されています。ここからは、目標管理制度の目的やメリット、デメリットを見ていきましょう。

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目標管理制度の目的

目標管理制度の目的は、大きく2つあげられます。

1つめは、社員のモチベーションを向上させることです。社員が仕事でパフォーマンスを発揮したとしても、それが会社に評価されなければモチベーションが大きく低下してしまうでしょう。反対に、目標管理制度が上手く機能しており、自身のパフォーマンスが正当に評価されていると感じてもらえれば、自己肯定感や自己効力感を高めてもらうきっかけになります。

2つめに、社員のスキルアップや能力を可視化することによって、今後の成長への道筋を示すという点が挙げられます。目標という形で仕事のパフォーマンスを明確に評価すれば、社員は自分自身にどのような能力が不足していて、今後どういった努力が必要なのかを的確に把握できるようになるでしょう。


目標管理制度のメリット

目標管理制度のメリットとしては、社員の能力開発がスムーズになるという点が挙げられます。先述したように、目標管理制度によって社員のパフォーマンスを評価すれば、「自分自身にどのような能力があり、今後はどのような能力を身につけるべきなのか」を本人がしっかり把握できるようになるでしょう。その結果、資格取得や自立学習といった社員の能力開発が進み、会社全体としてのパフォーマンスが向上する効果が期待できます。

さらに、目標管理制度を正しく運用すれば、「企業から正当に評価されている」と社員に感じてもらえます。その結果、社員のエンゲージメントが高まり、離職率の低下といった効果も期待できるでしょう。


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目標管理制度のデメリット

目標管理制度のデメリットとしては、目標に縛られるあまり、本当に必要な行動を見失ってしまうという点が挙げられます。目標管理制度によって達成すべき目標が明確化すると、目指す方向がわかりやすくなる反面、「正しい方向へ努力しているのか?」という点を考えなくなってしまいがちです。結果として目標管理制度自体が形骸化してしまうケースも少なくありません。

また、目標管理を行う上司に負担が集中しやすいというデメリットも存在します。負担が集中し正当な評価ができなくなってしまうと、公正な評価という目標管理制度本来の意義が失われてしまうことにもつながります。


目標管理制度が向いている企業・向いていない企業とは

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目標管理制度は幅広い企業で活用されている手法ですが、すべての企業が活用すべき方法というわけではありません。目標管理制度には一長一短があるため、目標管理制度が向いている企業と、そうでない企業が存在します。

目標管理制度が向いている企業の特徴と、向いていない企業の特徴について見ていきましょう。


目標管理制度が向いている企業

目標管理制度が向いている企業の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。


  • 社員が仕事に対して自律的に取り組んでいる
  • 社員の主体性がすでに確立されている


すでに社員が仕事に対して主体的に取り組めている場合、目標管理制度によって社員の動きを体系的に管理できるようになります。しっかりと社員の目指す方向と会社の目指す方向のすり合わせを行えば、目標管理制度にありがちな形骸化といった問題も起こりにくいでしょう。


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目標管理制度が向いていない企業

反対に、目標管理制度が向いていない企業も存在します。目標管理制度が向いていない企業の特徴は以下の通りです。


  • 組織体制や経営方針が頻繁に変更される
  • 管理職に負担が集中している


組織体制や経営方針が頻繁に変更される企業の場合、組織の方向が変更されるたびに個人の目標を変更する必要があります。この点をなおざりにしてしまうと、目標管理制度が形だけのものとなってしまう可能性も高いです。また、すでに管理職へ負担が集中している場合も、上司によるきめ細やかな管理が難しくなるため、目標管理制度の失敗を招いてしまいます。


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目標管理制度が時代遅れと言われる理由

目標管理制度は、1950年代に提唱された概念です。提唱された当時とは企業の経営環境や仕事に対する考え方も大きく異なるため、「目標管理制度は時代遅れだ」といった意見も確かに存在します。

なぜ目標管理制度が時代遅れと言われてしまうのか、その原因を詳しく見ていきましょう。


価値観の多様化により、組織と個人の目標が一致しなくなった

最近では、至るところで価値観の多様化が進んでいます。仕事やキャリアに対する考え方も人それぞれ異なり、家庭とキャリアの両立を目指す人やワークライフバランスを重視する人など、一つの企業の中にも様々な考え方を持った社員が存在するでしょう。

こういった価値観の多様化に伴い、組織と個人の目標が一致しなくなったという点が、目標管理制度が時代遅れと言われる理由の一つです。企業にはこれまで以上に、個々のキャリアプランや指向性、性格などをきめ細やかに把握した目標管理が求められています。


目標が企業の押し付けになってしまっている

目標管理制度を運用しているうちに、企業の目標を押し付ける形で個人の目標を決定するようになってしまったという点も挙げられます。終身雇用が前提で、転勤や異動も含めて社員は企業方針の実現に最大限努力するという時代では、確かにそのような運用でも上手くいくでしょう。

一方、最近では雇用の流動化や働き方の多様化が進んでいるため、企業の目的を一方的に押し付けるわけにはいきません。「社員の持つ人生ビジョン」と「企業の掲げる目標」という2つを両方とも尊重する姿勢が欠かせないのです。



目標管理制度を成功させる方法

ここまで、目標管理制度のメリットやデメリット、さらには時代遅れと言われる理由について見てきました。しかし、目標管理制度が時代遅れと言われてしまうのは、目標管理制度という概念自体に問題があるのではありません。運用のコツをしっかりとおさえれば、目標管理制度は価値観の多様化する現代でも十分効果を発揮する制度となります。目標管理制度における課題点を克服し、制度を成功させるためのポイントについて解説します。


会社の目標とメンバーの価値観をすり合わせる

目標管理制度を運用する際に、企業の目標を一方的に押し付けてしまうと社員のモチベーションが大きく低下してしまいます。上司と部下が目標を決める際には、部下に対して目標達成の意義や意味をしっかりと理解してもらうことが必要です。

目標管理制度を成功させるためには、会社の目標とメンバーの価値観を重点的にすり合わせるようにしましょう。「自分の部署は会社の中でどのような立ち位置を占めていて、どのような役割を期待されているのか」など、仕事の意義を正確に伝えることで、社員は納得感を持って目標達成に向けた行動を続けることができます。


メンバーの計画策定を支援する

目標管理制度を成功させるためには、上司が積極的にメンバーの計画策定を支援することが必要です。もし上司が計画策定を支援せずに部下の自主的な決定のみに任せてしまった場合、上司はどのタイミングで部下にサポートを提供すればよいのか分かりません。

上司が部下とともに計画を立てれば、計画のどの過程で問題が起こりそうか、どこでフォローが必要かを把握することができます。また、新入社員には丁寧に一から支援する一方で、入社後7〜10年目の社員には社員の立てた計画のレビューに留めるなど、社歴やスキルに合わせて介入の度合いを変化させるのも重要です。


メンバーが自己管理ができているか定期的に確認する

部下が目標達成に向けてどのような行動をしており、どういった課題を抱えているのかを把握できなければ、目標を立てた意味がありません。目標管理制度を成功させるためには、上司が部下の様子をモニタリングすることが重要です。

モニタリングを行う際には、部下の行動を捉えるアンテナとしてKPIを定めておくとよいでしょう。KPIがあれば、上司は期間中のメンバーの行動を数値としてトラッキングすることができます。また、上司がメンバーの行動を積極的にメモに残すのも有効です。


公正な評価をする

記事の前半でも触れましたが、「公正な評価」とは、前提条件やルールが平等に適用される評価のことを指します。公正な評価を下すことは、社員のモチベーションを保つ上で必要不可欠といえるでしょう。

「どういった観点から評価されるのか」が曖昧だと、評価自体もあやふやなものとなってしまいます。公正な評価を行うためには、まず評価項目と基準をすべて洗い出す必要があります。また、評価を行う際にはしっかりと根拠を言語化しましょう。さらに、複数人の評価を行う際には、全員分の評価が終了した後にざっと全体を眺めてみて、不平等な点がないかを確認することも大切です。


管理者の視点も忘れないようにする

上司が部下に評価を下す際には、どうしても情が入ってしまうものです。会社方針から外れた行動を行っていたメンバーにも「頑張っていたから」と高評価を下してしまうと、評価全体の公正性が損なわれてしまう可能性があります。

上司が部下の評価を行う際には、管理者としての視点を忘れないようにしましょう。管理職は企業の一員であり、あくまでも経営方針に基づいた評価を下す必要があります。評価軸をあくまでも会社の方針からずらさないことで、「会社の方針に則った評価を行う」という公正なルールを適用できるのです。


管理職がメンバーの状態を理解しようとする

管理職が目標を提示する際には、しっかりと目標の意義や意味を理解してもらう必要があります。それでは、どうしたら部下が納得するような説明ができるのでしょうか。

目標を説明する際に鍵となるのは、上司自身の部下に対する理解です。部下がどういった価値観を持っており、仕事で何を目指しているのかをしっかりと理解していれば、会社の目標を提示する際もそれに沿った説明ができるようになります。管理職がメンバーの状況を理解することで初めて、部下に理解させるための有効なアプローチが取れるようになるのです。「理解させるために理解する」という観点を忘れないようにしましょう。

管理職がメンバーを理解する際に必要な傾聴力については、以下のページでご確認いただけます。

管理職が傾聴力を高める育成方法とは?傾聴力を高めるメリットと目的


目標管理制度の見直しをする

ここまで述べてきた方法を実施しても目標管理制度がうまく機能しない場合、目標管理を行う手法そのものを見直すのもよいでしょう。

目標管理制度以外の目標管理としては、例えばOKRやノーレイティングといった取り組みが注目を浴びています。それぞれを詳しく見ていきましょう。


OKR

OKRとは、Objective and Key Results(目標と主要な結果)の略称です。GoogleやFacebookで採用されていることで大きな注目を浴びた手法で、現在では様々な企業で活用されています。

OKRにおいては、従来の目標管理制度と比べて高い頻度で目標の設定や追跡、再評価を行います。「シンプルで覚えやすい目標」と、「成果を定量的に測定できる主要な結果」の2つから目標を管理するのが特徴です。従来の目標管理制度ではカバーしきれないような、頻繁な経営方針の変更にも対応できるため、人気を集めています。


ノーレイティング

ノーレイティングとは、これまで企業が行ってきた「社員に対する格付け」を行わないようにする手法です。とはいえ、企業が社員を全く評価しないのは現実的ではありません。実際には、従来行っていたSランク〜Cランクといった格付けを廃止して、比較的自由度の高い新たな管理手法を取り入れる運用が多いです。

ノーレイティングを行えば、社員が一度決めた目標にとらわれることなくのびのびと活動できるようになるといった効果が期待できます。一方で管理職には高いマネジメント能力が求められるとともに、社員の自主自立が必要な手法です。


目標管理制度の成功につながる評価者研修

ここまで解説してきたように、目標管理制度を成功させるためには、管理職の評価者スキルを高める必要があります。

評価者スキルを身につけるには、評価者研修の実施がおすすめです。評価者研修を実施すれば、目標設定、計画策定、実行支援、評価、評価面談というそれぞれのステップで、管理職として必要な知識や心構えを学んでもらうことができます。

評価者研修は、新任管理職を対象に実施するのはもちろん、人事制度が変わったタイミングや、目標管理制度による課題が見えてきたときに実施するのがおすすめです。

アルーの行っている評価者研修は、以下で詳しく解説しています。評価者研修の実施にご興味をお持ちの場合は、ぜひチェックしてみてください。

評価者研修


まとめ

目標管理制度がうまくいかない原因や、目標管理制度のメリットとデメリット、さらには目標管理制度を成功させるポイントについて解説しました。目標管理制度は古くから様々な企業で活用されている管理手法ですが、運用方法によっては形骸化してしまうことも少なくありません。

目標管理制度を効果的に運用していくためには、この記事で解説したようなポイントを意識するとともに、管理職に評価者としてのスキルやマインドを身につけてもらうことが重要です。

目標管理制度をより効果的にしたい、どこから始めれば良いかわからない、という方は、ぜひ一度アルーにご相談ください。


アルー株式会社
アルー株式会社
20年以上、企業向けに人材育成コンサルティングや研修を提供してきた。新入社員・管理職といった階層別研修や、海外駐在員やグローバルリーダーなどのグローバル人材育成、DX人材育成に強みを持つ。その実績は取引企業総数1400社以上、海外現地法人取引社数400社以上に及ぶ。京都大学経営管理大学院との産学連携など、独自の研究活動も精力的に行っている。
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