幹部候補の育成方法とは?選抜方法や人事が知っておくべきポイント
会社の将来を牽引する存在となる幹部候補の育成について、悩みを持つ人事担当者や経営者の方は多いのではないでしょうか。
幹部候補を選抜して育成するということは、会社の将来の業績を左右するほどの重要な施策です。
この記事では、幹部候補の概要や幹部候補の育成方法、育成する際のポイントなどについて詳しく解説します。
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幹部候補とは
幹部候補とは、企業や組織において将来的に幹部となることが期待される人材を指します。
企業や組織によって名称は異なり、「幹部候補生」や「次世代リーダー」といった名称で呼ばれることもあります。
幹部候補には、経営戦略の立案や実行、組織運営の改善など、企業の経営に必要不可欠である高度なスキルや知識を持った人材が選ばれる場合が多いです。
幹部候補の育成に力を入れれば経営のかじ取りを担える人材が育つため、企業の存続にも大いに貢献できます。
幹部とは?
幹部とは、組織のトップ層のことです。
取締役や執行役員、部長などが主に幹部と呼ばれます。
幹部は、上述した幹部候補の業務に加え、社員のマネジメント、外部との交渉など、企業の経営において中心的な役割を担う存在です。
幹部は企業の中核的な存在であるため、高い専門性や経験、戦略的な思考能力、リーダーシップといった幅広い能力が求められます。
そのため、早い段階から幹部候補を育成することは、将来の優秀な幹部を育成するうえでは重要な施策です。
管理職との違い
幹部とよく混同して用いられる言葉に、「管理職」があります。
先ほども解説した通り、幹部とは組織のトップ層に位置する人物で、経営戦略の立案や実行に関与することが求められます。
一方で管理職は、部下のマネジメントや業務の遂行などを担当する立場を指します。
一般に「管理職」といった場合、部署内の部下を管理することや、自分の担当している業務を最適化することが多いでしょう。
また、企業のトップである幹部は組織全体を俯瞰した視点が求められますが、幹部以外の管理職は自分が所属する部署や課の業務に集中することが多いです。
幹部候補が必要な理由と背景
経済産業省が公表した「企業価値向上に向けた経営リーダー人材の戦略的育成についてのガイドライン」によると、経営リーダー人材候補の育成に取り組んでいる企業は52.6%と5割強であり、そのなかでも係長クラスを育成を行っている企業は23.5%となっています。
このことからも、若手の段階から幹部候補を育成している企業はそれほど多くはないということが伺えます。
業種や業界を問わず、将来の経営のかじ取りを担う存在である次世代リーダーを「幹部候補」として早期から育成することは極めて重要です。
幹部候補が必要とされている理由や背景はいくつか存在しますが、なかでも代表的なものを2点解説します。
経営のかじ取りを行う人材を補うため
企業における幹部は上記でお伝えした通り、経営戦略の立案や実行をはじめとした企業の中核的な業務を幅広く担当します。
しかし、実際に幹部になった後は業務に追われるため、経営陣の育成のための時間を確保するのは容易ではありません。
そこで重視されるようになったのが、早期からの幹部候補の育成です。
早い段階から幹部候補を選抜して集中的に育成すれば、幹部となったあとも経営陣が直接担当する業務をスムーズに引き継ぎ、企業の存続にもつながります。
経営のかじ取りを担う人材の世代交代を円滑に行うという点が、幹部候補を育成する主な目的の一つです。
若手人材の育成が重視されるようになったため
最近では、従来の年功序列型の雇用体系から脱却し、年齢に関係なく実力主義で待遇やポジションを決定する動きが出てきています。
これまで、年功序列型の日本企業では40歳前後から管理職になり経験を積み始めるケースが多く見られました。一方、海外では20~30代の早いうちにマネジメント経験を積み始めるケースが多く、さらに先進的なグローバル企業では20代社員の選抜を行い、自社の企業理念を徹底させたり経営リテラシーの教育を行ったりしています。これが同じ年齢の日本人と外国人を比較したときに経験に大きな差が出る要因となっていました。
そこで、最近では若手人材を企業の成長や発展を担う存在として重要視して、継続的な育成に力を入れる企業も増えてきています。
こうした若手人材育成の取り組みの一環として、幹部候補の育成が役割を担っています。
人手不足で経営のかじ取りを担える人材が少ない近年は、将来的に経営を担える人材を早期から育成しなければ、企業の存続も危なくなる可能性があります。
そのため、幹部候補を選抜して育成する取り組みが注目を浴びているのです。
幹部候補に求められるスキル
アメリカの経済学者であるロバート・カッツ氏が提唱した「カッツモデル」によると、トップマネジメントを行う幹部に求められるスキルは、主に「コンセプチュアルスキル」と「ヒューマンスキル」の2つです。
具体的には、戦略の策定や実行力、経営スキルやコミュニケーション能力といったものが該当します。
コンセプチュアルスキルとヒューマンスキルについて詳しくは以下のページをご覧ください。
『コンセプチュアルスキルとは?高め方や具体例を一覧でわかりやすく解説』
『【研修事例】ヒューマンスキルとは?8つの要素一覧と高める方法』
ここでは、幹部候補に求められるスキルとして代表的なものを6つご紹介します。
自己を知る力
「自己を知る力」とは、自分自身の性格や能力、強みと弱み、価値観などを客観的に見つめ、自己理解を深める力です。
この力を早期から育成することで、幹部候補となる人材が自分自身の強みや弱みを把握でき、適切なポジションや役割を見極めることが可能です。
また、自己理解が深まることで幹部となるまでの自身の課題点も見えてきます。
具体例として、「コミュニケーションに苦手意識があるため、幹部となるまでに改善しよう」といったような自己改善に取り組むことで、幹部となった後の仕事をよりスムーズにできるというようなことが挙げられます。
戦略策定と実行力
幹部候補が実際に幹部となった際には、部署や組織全体のビジョンや目標を設定し、その実現に向けて計画を立てることが必要です。
また、チームのメンバーや部下を指導し、策定した計画を実行に移すことも求められる傾向にあります。
戦略力と実行力を高めておくことは幹部としての実力を磨くことに直結し、実際の幹部のそばで業務を進めるなど、実務に取り組むことで伸びやすいスキルです。
戦略策定に必要な経営スキル
先述したように、幹部には部署や組織のビジョンや方向性などを定める必要があります。
しかし、部署や組織の戦略を考える場合は、企業全体や業界を俯瞰できる経営スキルが必要不可欠です。
そのため、幹部候補に求められるスキルのなかでも、戦略策定に必要な経営スキルは特に重要といえます。
経営スキルと一口にいってもその中身は多彩で、企業の財務やマーケティング、人事管理など、さまざまな領域の知識と経験が必要です。
幅広い能力をしっかりと磨いておくためにも幹部候補の早期育成が求められるといえるでしょう。
組織を導くリーダーシップ
リーダーシップとは言葉の通り、自らが先頭に立って周りの人をけん引していく力のことです。
先導して業務などを進めるため、周囲からの信頼を獲得し、目的達成に向けてチームや部下を導くことが求められます。
幹部候補に求められるスキルの一つとして非常に重要ではありますが、一朝一夕で身につかないスキルですので、研修で基礎知識を学び、実践を続けることが大切です。
リーダーシップに対する考え方は人それぞれなので、会社としての考え方を社員に伝えるためには研修を活用しましょう。
研修は、リーダーとしての基礎知識を学んでもらうことと、リーダーシップに関する共通した価値観を持つことを目的に行なうことをおすすめします。
▼リーダーシップ育成のための研修については、以下から詳しくご覧ください。
コミュニケーション能力
幹部は、取引先や他部署の幹部、企業内外の関係者など、さまざまな場面でコミュニケーションを取る必要があります。
場合によっては幹部のコミュニケーション一つで、部署全体の方向性やビジネスに大きな影響を与えるということも少なくありません。
高いコミュニケーション能力があれば周囲と信頼関係を築くことができるため、組織全体の業務の円滑化につながります。
コミュニケーション能力を高める際も、リーダーシップと同様に研修の活用が非常に有効です。
▼コミュニケーション研修については、以下をご覧ください。
マインド・志
「マインド・志」とは、管理職として求められる責任感や成長意欲、協調性など、組織に貢献するための心構えや姿勢のことです。
具体的には、以下のようなものが管理職としてのマインドとして求められます。
- 個人よりも組織を優先させる姿勢や考え方
- 逆境に立ち向かう力
- 最後までやり抜く力
- 当事者意識や高い主体性
これらを身につけていることは、幹部としての周囲からの信頼にも大きく影響するため、幹部候補の段階から育成することが極めて重要です。
幹部候補の選抜方法
幹部候補を育成する際には、まず幹部候補となる社員を選抜する必要があります。
実際に幹部候補を選抜する際、どのようなアプローチが有効なのでしょうか。
ここでは、幹部候補を選抜する方法について、代表的なものを4つご紹介します。
業績と価値観の2軸でマッピングする
幹部として重要な資質に、「業績」と「価値観」の2つがあります。
これらは、どちらかのみに偏っていると周囲から信頼される幹部とはなれません。
業績と価値観をバランス良く身につけてもらうことが、実力のある幹部を育成する近道です。
幹部候補を選抜する手法に、業績と価値観をそれぞれ3段階に分けて9マスのなかにプロットしていく「9ブロック」があります。
横軸を価値観、縦軸を業績とし、社員をそのなかにプロットすれば、幹部としての適性を可視化することが可能です。
この9ブロックで優秀な層を中心に、所属部署などのバランスを見ながら幹部候補を選抜するのが良いでしょう。
また、業績などに加えてパーソナリティの評価も重要です。
具体例としては、方針に順応して業績が高い「突出タイプ」や独自のアプローチで業績を上げる「変革タイプ」などが挙げられます。どれか一つのタイプに偏らないよう、様々なタイプの社員を選抜するとよいでしょう。
上司からの推薦
従来からよく行われているやり方として、幹部候補を上司から推薦するというものが挙げられます。
日頃からともに業務を行っている上司は、部下の能力や潜在力を把握しているため、的確に幹部候補を選抜することが可能です。
一方、上司からの推薦を行う際には、「選ぶ側の視点」に注意を払う必要があります。
例えば、その部署に優れた優秀な社員がいた場合、上司はその社員を現場に残したいという一心から推薦をためらってしまうかもしれません。また、ポテンシャルの高い社員を一時の低調によって見落としてしまう可能性もあります。
そうなってしまうと、幹部候補育成の妨げになってしまいます。
上司からの推薦で選抜を行う際は、こういったリスクがあることをあらかじめ理解しておきましょう。
経営層が選抜する
企業によっては、経営層が直接幹部候補を選抜する方法もあります。
経営層は、全社的な視点から幹部候補を選定することができ、候補者と会社の目指すビジョンとの一致や本人の経験、背景などを踏まえ、適切な候補者を選出できるでしょう。
経営層が選抜するデメリットとしては、実務の様子を見ずに選抜してしまう可能性が高いという点が挙げられます。
日頃から接する機会が少ない分、幹部候補一人一人の情報を現場からのヒアリングなどで補う必要があります。
社外の人材から選ぶ
社外の人材も幹部候補として選ぶことがあります。
社外の人材を幹部候補として採用する最大のメリットは、今の現場にはない新しい視点や経験を持った人材を発掘できるという点です。
業界外からの人材や異業種の出身者を採用することも一つの手段といえます。
社外から人材を選ぶ際には、中途採用で選ぶ手法とリファラル採用を行う手法の2つが存在します。
中途採用をする
中途採用により、ある程度社会人としての経験を持つ人材を幹部候補として採用するのも良いでしょう。
幹部候補に求められるスキルを既に身につけている人材であれば、早期に幹部として活躍できる可能性があります。
ただし、中途採用による候補者は社内人材と比較するとどうしても人材についての情報量が少ないため、面接や選考を通じて本人の実力や価値観をしっかりと見極める必要があります。
リファラル採用をする
リファラル採用とは、現役社員や知り合いが自らの人脈から幹部候補を紹介して採用する手法です。
リファラル採用のメリットとしては、既に社員として働いている人物が紹介するため、人材の質が高いという点が挙げられます。
また、入社後のコミュニケーションもスムーズに進みやすいことや、人材紹介会社を利用する採用に比べ採用コストが低いという点も大きいです。
幹部候補の育成方法
幹部候補の育成のためには、幹部候補の育成方法を正しく理解することが重要です。
記事の前半でも登場した経済産業省公表の「企業価値向上に向けた経営リーダー人材の戦略的育成についてのガイドライン」でも取り上げられていますが、幹部候補を育成する際には大まかに分けて4つのステップが存在します。
下記にて、幹部候補の育成ステップについて具体的に解説します。
重要なポストおよび要件の明確化
幹部候補の育成において、企業がどのようなポストに幹部候補を配置し、どのような要件を求めるかを明確化することが必要です。
企業の経営戦略やビジョンなどを考えながら、将来的に必要となるポストや業務に対して、どのような特性を持った人材を求めるかを明確にしましょう。人物要件を定めたら、要件にあわせた人事評価制度を準備することも大切です。
短期的な戦略のみならず、10年後、20年後を見据えた中長期的な経営戦略も交えながら幅広く議論するのがポイントです。
幹部候補となりうる人材の把握と選抜
現在の社員から幹部候補となりうる人材を把握し、計画的に選抜しましょう。
まずは幹部候補となる人材がどれくらい存在しており、現実的な幹部候補の人数は何名程度存在しているのかを把握するのが大切です。
その後、「幹部候補の選抜方法」で解説した方法を参考にしながら、幹部候補を選抜していきます。
また、選抜・育成の体制・ルール作りや、幹部候補となる人材プールを選抜するにあたって、社員のスキルや能力について情報収集を行い、集約して管理できる体制作りも重要です。
幹部候補には、企業が求めるスキルや資質を持ち合わせた人材が選ばれるよう、社内外からの人材獲得も含めた公平な選考プロセスが必要です。
人材育成計画の策定・実施と育成環境の整備
幹部候補を選抜したら企業は幹部候補に対して育成プランを策定し、それらを実施していきましょう。
育成プランは、経営戦略やビジネスモデルの分析、マネジメントスキルなど、幹部として必要な能力を網羅する必要があります。
具体的には、以下のような取り組みが効果的です。
- 経営メンバーと対話する機会の提供
- メインの事業において、責任あるポストに就任させる
- 選抜型集合研修の実施
- アクションラーニングの実施
- 海外体験など困難な状況におかれる経験
- 新規事業などのプロジェクトへの参加
- 外部他流試合への参加や外部の有識者との対話
- 経営陣のかばん持ちなど、幹部のそばにつく経験
育成環境の整備としては、上司や先輩社員からの指導・アドバイスの機会を設けることや、フィードバックの提供などが考えられます。
また、育成施策を行うには、幹部候補の上司など周囲からの理解が必要です。そのため、幹部候補の人材育成計画について社内で共有する機会を設けるとよいでしょう。
幹部候補が自分自身でスキルアップして、成長していけるような環境を整備することが必要です。
育成成果の評価と施策の見直し
幹部候補の育成成果は、その後の企業経営に大きな影響を与えます。
そのため、人材育成計画を実施したあとは必ず育成成果の評価や施策の見直しを行いましょう。
育成成果の評価方法は、人事部門が人材育成の結果を評価し、それを経営陣や幹部が確認・承認するという流れになります。
育成目標の達成度合いを、定量的な観点と定性的な観点の双方から見極めることがポイントです。
また、育成成果の評価後には改めて幹部候補の育成計画を見直し、改善点を明確化することが重要です。
育成の成果を見ながら、常にプログラムのブラッシュアップを実施しましょう。
幹部候補の育成で重要なポイント
幹部候補を育成する際、単純にステップ通りに育成をすれば良いというわけではありません。
育成を効果的に行うためには、気をつけるべきポイントがあります。
ここでは、幹部候補の育成を成功させるうえで知っておきたい8つの重要なポイントについて解説します。
経営層が本気でコミットする
幹部候補の育成を成功させるためには、経営層が本気で取り組むことが不可欠です。
ほとんどの経営層は、将来の幹部候補の育成が重要であると認識しています。
しかし、日々の業務に追われることも多い会社のトップ層はなかなか育成にコミットする機会が少なく、幹部候補の育成実施が人事部門任せになってしまっている企業が多いのも現状です。
そのため、「経営会議などで幹部候補育成を重要テーマとして取り上げ、役員や各部門の協力を引き出す」や「直接人材委員会に参加して幹部候補の評価に加わる」など、育成計画へ積極的に参加する必要があります。
人事部が戦略的人材育成を担う
幹部候補は、次世代の経営戦略の実行に向けて組織をリードしていく存在です。
そのため、将来の経営戦略実行に必要なスキルや能力、経験を幅広く備えている必要があります。
そのような人材を育成するためには、経営トップや事業責任者と積極的にコミュニケーションを取るなど、人事部が戦略的に人材育成を行うように心がけましょう。
表面的・形式的な労務管理だけでなく、現場と経営層の両方に積極的に関わりを持つことが重要です。また、現場に深く入り込むことで幹部候補のパフォーマンスを把握し、どのような育成や支援が必要なのかを把握する必要もあります。
人事部が先導を取って戦略的な幹部候補育成を行うことで、より質の高い幹部候補育成が実施できます。
社員のキャリア自律を促す
今までの日本企業では、社員のキャリアは会社にゆだねられており、社員個人の強い意志や覚悟はあまり必要とされてきませんでした。
しかし、幹部候補を明示的に選抜育成する場合、選抜された社員には今までより強い覚悟と意思が求められます。
また、会社としてはそれぞれの部門で強みを発揮するプロフェッショナルも必要となります。
社員が自身のキャリアについて自律的に考え、幹部候補としての道や現場のプロフェッショナルとしての道など、自分の意志と覚悟をもってキャリアを選択することが必要です。
そのため、若手のうちからキャリアデザイン研修を実施することをおすすめします。
▼アルーが行っている社員のキャリア育成については、以下のページでご確認ください。
現場での実践を早めに行う
優秀な幹部となるためには、幅広い能力が求められます。
また、幹部として実際に就任してみないと分からない些細なポイントや、幹部として働くことではじめて身につくスキルというのもあります。
例えば、新事業の立ち上げやベンチャー企業や投資先への出向、不採算事業の再建、海外子会社のトップなど、あえて困難なポストに幹部候補をつけることにより、知見や経験の幅を広げることにつなげることも重要です。
武者修行として社外への出稿などを通じて外部と接点を持つことで、個人の価値観を広げ、自分のキャリアを考えるきっかけにもなるでしょう。
早い段階から現場での業務に携わり、実際の問題解決や意思決定の場に身を置くことで幹部候補はリアルな経験を積み、成長につなげることができます。
定期的な面談・1on1ミーティングを実施する
幹部候補の育成は、単発で終わるものではなく、継続的・定期的な取り組みを通して徐々に幹部として必要な資質を身につけていくものです。
そのため、幹部候補の育成を実施する際は、定期的な面談や1on1ミーティングが欠かせません。
また、上司や育成担当者とのコミュニケーションを通じて、目標の確認や現状のフィードバックを行うことが重要です。
1on1ミーティングなどでの結果を見ながら幹部候補に必要なサポートを提供することで、さらなる成長を促せるでしょう。
長期的な育成計画を立てる
先程も少し触れましたが、幹部候補の育成には長い時間がかかります。
長期間にわたる研修を何の計画もなしに実施してしまうと、「研修の着地点やゴールが見えなくなってしまった」「気づいたら実務に必要のない内容ばかり身につけてしまっていた」といった失敗を招きかねません。
そのため、幹部候補の目標やキャリアプランを考慮しながら育成に必要なプログラムや業務経験のプランを策定し、幹部として必要な能力がバランス良く身につくように配慮することが大切です。
幹部候補に合った育成が必要になる
一言で幹部といっても、それぞれには得意とする分野や物事の考え方など、異なる特徴があります。
そのため、全員の幹部候補に均一なプログラムを提供するのではなく、個々の能力や資質に応じて、それぞれの幹部候補に合った育成をすることが必要になります。
例えば、「海外経験に乏しい幹部候補に海外経験の機会を設ける」や「営業には詳しいが開発部門とは関わりのなかった幹部候補に、開発部門で働く機会を設ける」といったものが考えられます。
幹部候補が必要なスキルや知識を身につけられるようにオンライン講座やセミナー、専門書の読書会など、幅広い教育プログラムを提供することが有効です。
フォロー体制を整える
幹部候補を育成する際のよくある失敗として、育成終了後にポストが用意されておらず、以前と仕事内容が変わらないというケースが挙げられます。
学んだことや身につけた力を発揮する場がなければ、育成を行った意味がありません。
そのため、幹部候補育成の際には、育成終了後のフォロー体制を整えることが必要不可欠です。
また、育成終了後に就任できるポストを確保することは、幹部候補育成に参加するモチベーションを高めることにもつながります。
そのほかにも、「さまざまな部署の幹部と話す機会を設ける」や「相談窓口を開設する」など、多様な観点からフォローを進めましょう。
幹部候補の育成には外部研修も検討すべき
最近では、幹部候補の育成に外部研修を検討する企業も増えてきています。
幹部候補の育成に外部研修を活用する利点としては、第一に「自社にはない専門知識を取り入れることができる」という点が挙げられます。
企業内で行われるトレーニングや研修では、どうしても身につく内容が企業内の知識や経験に限られてしまいます。
一方、外部研修に参加すれば、業界の最新動向や他社の事例などからより幅広い視野を持つことができるでしょう。
また、外部研修という社内とは違った環境で研修に参加することによって、モチベーションの向上や育成の質の向上するという効果も期待できます。
アルーが行っている幹部候補に向けた研修
人材育成を専門に手がけてきたアルーでは、課長や部長といった幹部候補育成のための研修プログラムを数多くご用意しております。
そのなかでも、管理職の成長を促すための研修である「管理職研修」は、幹部候補の育成を検討している企業におすすめの研修です。
課長や部長といった管理職としての立ち位置を細分化しているため、それぞれのポジションにぴったりな能力を身につけることができます。
▼アルーの管理職研修について詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。
幹部候補育成に関するセミナーや資料もご活用ください
アルーでは、幹部候補育成のための動画や資料も豊富にご用意しています。
「グローバルリーダー幹部候補育成セミナーアーカイブ動画」では、海外現地法人400社以上に人材育成サービスを提供してきたアルーならではの知見を活かし、グローバルな幹部候補を育成するためのさまざまな施策について解説しています。
また、人的資本経営の国際規格に基づいた幹部育成の手法について紐解いたセミナーアーカイブ動画「人的資本経営の時代、ISO30414が経営・管理職育成のあり方に投げかける問いとは」もご用意しております。
管理職育成の見直しを検討している企業、変化の激しい時代に適応できる管理職を育成したい企業におすすめの動画です。
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まとめ
幹部候補に求められるスキルや幹部候補を育成する際のステップ、注意点などについて解説してきました。
幹部候補は、会社の将来を担う重要な人材です。
しかし、幹部になってからは業務に追われることも多く、幹部としての素質を磨く機会を確保できないという企業も少なくありません。
ぜひ、この記事の内容を参考にしながら早期の幹部候補の教育施策を実施し、次世代の企業を担う優秀な幹部を育成してください。
▼幹部候補育成について動画で学びたい方はこちら