コンセプチュアルスキルとは?15の構成要素と高め方【具体例あり】
近年では、人材育成におけるキーワードとして耳にするようになったコンセプチュアルスキルですが、具体的にはどんな人が当てはまり、どのように高めていけばよいのでしょうか。
この記事では、コンセプチュアルスキルの概要や高め方、具体例などを一覧でわかりやすく解説します。社員にコンセプチュアルスキルを高めてもらいたいと考えている人事担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
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コンセプチュアルスキルとは
コンセプチュアルスキルとは、知識や情報などを体系的に組み合わせ、複雑な事象を概念化することにより、物事の本質を把握する能力のことです。
ビジネスにおける重要なスキルとして、社員にコンセプチュアルスキルを磨いてもらう企業が増えてきています。ロジカルシンキングなどとしばしば混同される概念ではありますが、コンセプチュアルスキルは複雑な事象の共通項を見つけて分析するという点で、ロジカルシンキングより広い概念です。
「概念化」とは
概念化は、具体的な事象や情報を抽象的な概念に整理し、共通の特性やパターンを見つける能力です。概念化能力が高いと、複雑な問題を理解し、新たなアイデアを生み出すことができます。
たとえば、世間で起こったイノベーションの成功事例を分析し、共通するアプローチや原則を抽出するといったプロセスには概念化能力が必要です。これ以外にも、ビジネスの様々な場面で概念化のちからは求められます。
コンセプチュアルスキルとカッツモデル・ドラッガーモデル
以下の項目で、二つのモデルにおけるコンセプチュアルスキルを解説します。
- カッツモデルにおけるコンセプチュアルスキル
- ドラッガーモデルにおけるコンセプチュアルスキル
カッツモデルにおけるコンセプチュアルスキル
コンセプチュアルスキルは元々、経営学者であるロバート・カッツ氏が提唱した概念です。カッツ氏はビジネスに必要な能力をまとめた「カッツモデル」において、以下の3つのスキルを提唱しました。
- テクニカルスキル:業務を着実に遂行する上で必要な知識や技術、熟練度
- ヒューマンスキル:他者と信頼関係を構築し、スムーズに業務を進める対人能力
- コンセプチュアルスキル:複雑な事象を適切に分析し、本質を見抜く力
コンセプチュアルスキル以外の2つのスキルについて詳しくは、以下のページをご参照ください。
テクニカルスキル:『テクニカルスキルとは?3つの種類一覧と具体例・向上させるコツを解説』
ヒューマンスキル:『【研修事例】ヒューマンスキルとは?8つの要素一覧と高める方法 』
ビジネスの成果を上げるためには、テクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルの3つのすべてのスキルが必要です。しかし、職位や役職によってどのスキルがより求められるのかは異なります。特に管理職や経営層といった高い職位では、コンセプチュアルスキルの重要性が一段と高まります。
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ドラッガーモデルにおけるコンセプチュアルスキル
経営学者のピーター・ドラッカー氏は、先程のカッツモデルをベースに「ドラッガーモデル」を提唱しました。
ドラッガーモデルでは職位が上がるにつれて、テクニカルスキル、ヒューマンスキル、マネジメントスキルという順で優先順位が変遷していきますが、コンセプチュアルスキルだけは唯一どの階層でも一定の割合で求められるとされています。
グローバル化やIT化の進展により変化の激しくなった現代において、複雑な事象を解析するコンセプチュアルスキルの重要性はますます高まっているといえるでしょう。
コンセプチュアルスキルを構成する要素一覧と具体例
一言でコンセプチュアルスキルといっても、構成する要素は幅広いです。
例えばロジカルシンキングはコンセプチュアルスキルのベースとなりますが、それ以外にも問題解決思考やラテラルシンキング、戦略的思考やビジョン構想力などが求められます。代表的なコンセプチュアルスキルは以下の15個です。
- ロジカルシンキング
- ラテラルシンキング
- クリティカルシンキング
- 問題解決思考
- 仮説思考
- 戦略的思考
- ビジョン構想力
- 俯瞰力
- 多面的視野
- 知的好奇心
- 探究心
- 受容性
- 柔軟性
- 先見性
- 応用力
なお、こうした一つ一つの能力は社員の階層によって求められるものが異なります。若手から中堅はロジカルシンキングが、係長になるとロジカルシンキングと問題解決思考力が必要になるなど、階層別のコンセプチュアルスキルを確認しておきましょう。
コンセプチュアルスキルを構成する要素の一覧と、それぞれの具体例を解説します。
ロジカルシンキング
ロジカルシンキングは、物事を深くスピーディに考えた上で、それをわかりやすく伝えるため、体系的に筋道立てて考える力のことです。それぞれの因果関係や論理関係を適切に把握しながら、結論に向けて論理的な思考を重ねることが求められます。
ロジカルシンキングは、コンセプチュアルスキルのベースとなる重要な要素です。コンセプチュアルスキルの要点である、「複雑な物事を解析すること」を実現するためには、物事の論理関係を素早く見抜かなければなりません。ロジカルシンキングを高めておけば、本質を見抜くコンセプチュアルスキルの実現に役立つでしょう。
ロジカルシンキングについては、以下の記事で詳しく解説しています。
『ロジカルシンキングとは?メリットや基本的な考え方・鍛え方について紹介』
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ラテラルシンキング
ラテラルシンキングも、コンセプチュアルスキルを構成する要素といえます。ラテラルシンキングとは、水平方向に発想を広げて考える思考法です。みんなが当たり前だと考えている固定概念や既存の枠組みにとらわれず、自由な思考を展開して新しい発想につなげていきます。
物事の本質を見抜くためには、無意識のうちに当たり前だと考えている前提から脱却することが大切です。ラテラルシンキングの考え方も、状況を正確に整理するという点においてコンセプチュアルスキルに深く関わっています。
クリティカルシンキング
クリティカルシンキングは、あえて疑いを持って批判的な思考を展開することです。むやみに誤りや欠点を見つけて批判すればよいというわけではなく、本来の目的に立ち返って建設的な観点を提供する必要があります。
物事の本質を的確に見抜くコンセプチュアルスキルを実現するためには、クリティカルシンキングの視点も必要不可欠です。「本当にこうなのだろうか?」「この方針でよいのだろうか?」と何度も批判的な問いを続ければ、物事の本質を見抜くのに役立てることができます。 クリティカルシンキング研修については、以下の記事で詳しく解説しています。
『クリティカルシンキング研修とは?目的や内容・ポイントをご紹介』
問題解決思考
コンセプチュアルスキルの要素として、問題解決思考も挙げられます。
問題解決を行う際には、現在直面している課題の根本となる原因を探り、その解決に向けた適切なアプローチを考えていく必要があります。困難に直面しても直感に頼った判断をせず、原因を精緻に検討していくための思考法が問題解決思考です。
問題解決思考を実現する際には、問題を発生させている部分を特定し、本質的なアプローチを提案することが大切です。複雑な状況でもこうした思考を着実に展開する力は、コンセプチュアルスキルにつながります。
アルーが行っている問題解決思考の研修については、以下のページでご確認いただけます。
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仮説思考
仮説思考も、コンセプチュアルスキルを構成する重要な要素といえます。
仮説思考とは、「おそらくこうなのではないか」「こういった原因があるのではないか」という仮説に基づいて思考を進めることです。ただ単に仮説を立てて考えればよいというわけではなく、質の高い仮説を立てたり、仮説検証のプロセスを適切に進めたりすることが求められます。
自分自身で的確な仮説を立ててそれを検証するという一連のプロセスは、物事の本質を見抜く際に大いに役立ちます。
アルーが行っている仮説思考の研修については、以下のページでご確認いただけます。
仮説思考研修のプログラム詳細
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戦略的思考
幅広い要素を的確に分析する戦略的思考も、コンセプチュアルスキルに直結する要素です。戦略的思考とは、幅広い要因や条件などの分析を通じて、戦略的で合理的な思考を展開することです。高い戦略的思考力があれば、日常業務やマネジメントの中で発生するさまざまな問題にも画期的な解決策を提供できるため、現場や経営において重宝されます。
問題解決に向けて必要な要素をまんべんなく分析する姿勢は、物事の本質を的確に見抜く際に役立つでしょう。
アルーが行っている戦略的思考研修のサービス資料は以下のページからダウンロードしていただけます。
ビジョン構想力
ビジョン構想には事業の現状や経営環境などを正確に分析することが求められるため、ビジョン構想力もコンセプチュアルスキルを構成する要素です。特に、管理職や経営層など、トップ層で仕事をこなす人材に必要な要素といえます。
ビジョン構想力は、その名の通り会社や組織の掲げるビジョンを効果的に策定する力のことです。ただ単にビジョンを決めることではなく、社員にとって魅力的で、なおかつ本質をおさえたビジョンを考える必要があります。
ミッション・ビジョン・バリューについての概要は、以下の記事で詳しく解説しています。
『MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは?わかりやすく解説』
俯瞰力
俯瞰力とは、物事や状況、思考を全体的に眺めることができる力のことです。高い位置から広い範囲を見下ろすことができるため、狭い視点では気づかなかった情報に気付くことができます。また、相手の立場を理解し、感情的にならずに物事を判断できるようにもなるでしょう。
俯瞰力は職場の問題解決をする際に役立つ能力です。目の前の問題だけでなく、その背後にある本質的な問題を見つけることができるためです。また、問題の解決策も幅広く出せるため、問題解決の質が向上するでしょう。
多面的視野
多面的視野とは、様々な角度から物事を見る力を指します。多面的視野を持っていると、単一の視点にとらわれず、複数の視座を組み合わせて物事を理解することができます。複雑な問題に対して柔軟でオープンな視点を持つことができるため、新たなアイデアや解決策を生み出しやすくなるでしょう。
知的好奇心
知的好奇心とは、知性が感じられる物事に対する関心を意味します。知的好奇心があれば、現状に疑問を持ち、「問いかけ」をすることができます。「なぜこうなっているのだろう?」「どうすればもっとよくなるだろう?」という問いを自ら立てられるため、主体的な問題解決を行なうことができるのです。
また、知的好奇心を持つ人は、学ぶことに対する意欲が高いです。新しい知識やスキルを習得することに喜びを感じるため、自律的に学ぶ力が高いことが特徴です。
探究心
探究心とは、物事について深い知識を得たり原因を解明したりしようとする気持ちのことを指します。
問題解決の際には、特にこの探求心が必要です。表層的な原因に捉われずに真の原因を探ることができるので、本質的な問題解決に繋げることができます。
受容性
受容性とは、状況や相手を受け入れる力のことを指します。受容性がある社員は、状況の変化にストレスなく対応できます。職場に新しいツールを取り入れたり、仕事の進め方を変えたりした際に、すぐに対応できるのです。
また、受容性が高ければ、自身とは異なる価値観や文化の相手を受け入れることもできるようになります。様々な価値観を取り入れて物事を考えられるため、アイディアやイノベーションを生み出しやすいのが特徴です。
柔軟性
柔軟性は、過去の経験や現在の状況に縛られずに柔軟に対応できる力のことです。柔軟性がある人は、これまでの仕事の進め方や成功体験に縛られることがありません。その時の状況に応じて、適切な方法を選択できるのが特徴です。
柔軟性があれば、トラブルが発生した際などに適切な対応をとることができます。現在の状況から複数の選択肢を出し、最適な解決へと導くことができるのです。
先見性
先見性とは、先を見通す力のことを指します。
先見性を持っていれば、将来起こり得るリスクやリターンを予測し、計画を立てることができます。新しいニーズや技術への感度も高く、数年先を見据えた問題解決に取り組めるでしょう。
応用力
応用力とは、既存の知識や事例を応用して、別の課題に対応する力のことを指します。応用力があると、以前のプロジェクトで得た経験や知識を別のプロジェクトでも活かしたり、営業職で得たスキルを企画職でも活かすようにしたりすることができます。
応用力があれば、状況が異なっていたとしても、過去の経験を活かして乗り越えることができます。一方、応用力がないと、過去の経験からの学びを反映できないため、新しい取り組みにおける成功率が下がります。
応用力はすべての職種、業種で必要とされるスキルだと言えるでしょう。
コンセプチュアルスキルの高め方
社員のコンセプチュアルスキルを高めるためには、まず物事を抽象化させる経験を積んでもらうことが大切です。また、物事の本質と定義を明確にしたり、物事を具体化させる練習を積むのもよいでしょう。コンセプチュアルスキルの高め方は以下の通りです。
- 物事を抽象化させる
- MECEを意識する
- 物事の本質と定義を明確にする
- 物事を具体化させる
以下の項目で詳しく社員のコンセプチュアルスキルを高める方法を解説します。
物事を抽象化させる
コンセプチュアルスキルを高めるには、物事を抽象化させる思考を鍛えることが重要です。 例えば、ケーススタディなどで具体的な事例を取り上げながら、そこから教訓やノウハウを得る練習を積んでもらうのがおすすめです。物事をうまく抽象化できるようになれば、コンセプチュアルスキルに必要な概念化の能力も向上していきます。
MECEを意識する
コンセプチュアルスキルを高める上では、MECEという考え方を重視しましょう。MECEとは、「漏れなく、ダブりなく」を意味する単語です。例えば「日本の季節」をMECEで表すと、「春、夏、秋、冬」となります。「春、夏、冬」では「秋」が漏れていますし、「春、梅雨、夏、秋、冬」などでは梅雨が夏と重複しています。 MECEはロジカルシンキングに重要な考え方の一つであるため、MECEを意識して考えるクセをつければ正確な概念化につながります。
物事の本質と定義を明確にする
コンセプチュアルスキルを高める際には、物事の本質や定義を明確にすることを意識しましょう。そのためには、自分自身が考えている際にわからない単語や曖昧な概念が出てきた際に、その場で調べたり人に聞いたりする習慣をつけるのが大切です。物事を概念化する際、概念化したい対象の定義や本質が曖昧なままだとうまくいきません。特に言葉の定義が曖昧なまま議論を進めてしまった場合、他人と議論が噛み合わなかったり、自分自身の意見と矛盾する結論を導いてしまったりします。
物事を具体化させる
コンセプチュアルスキルを鍛える場合は、物事を具体化する練習を積んでもらうのもよいでしょう。具体化とは、抽象化と反対の概念です。一般的な方法論やノウハウを、目の前にある特定の事象に当てはめて考える能力を指します。 一見すると前述した「抽象化」と矛盾するように感じますが、コンセプチュアルスキルを高めるためには具体と抽象を自由に行き来できるようになる必要があります。具体化とは、抽象化と反対の概念です。一般的な方法論やノウハウを、目の前にある特定の事象に当てはめて考える能力を指します。 具体的な側面と抽象的な側面の双方に目を向けられるよう、トレーニングを積んでもらいましょう。
コンセプチュアルスキルが高い人の特徴
コンセプチュアルスキルを構成するさまざまな要素を紹介しました。
こうしたコンセプチュアルスキルが高い人には次のような特徴があります。
- 効率的に仕事を進められる
- 話が分かりやすい・要約するのが上手い
- トラブルに冷静に対応できる
- 物事を俯瞰的に考えられる
コンセプチュアルスキルが高い人の特徴を知ることは、社員のコンセプチュアルスキル育成の方向性を決める上で役立ちます。
コンセプチュアルスキルが高い人の特徴をそれぞれ確認していきましょう。
効率的に仕事を進められる
コンセプチュアルスキルの高い人材は、効率的に仕事を進められるという特徴があります。業務で直面する課題の本質を素早く見抜くことができるため、効果的でない行動で時間を浪費することがありません。
また、日常業務を効率的に進められることはもちろん、問題解決も素早いのが特徴です。例えば「業務効率を向上させたい」という課題があった場合、コンセプチュアルスキルの高い人材は「日常業務の効率を低下させている原因はなんだろうか?」という問いに的確に答えることができます。そのため、本質をおさえた効果的なアプローチが実施でき、効率的に問題解決が進むのです。
話が分かりやすい・要約するのが上手い
コンセプチュアルスキルが高い人材は、複雑な状況を説明する際にも「何が勘所なのだろうか?」と考えることができます。そのため説明や要約が上手く、本質を捉えた話ができるという点が特徴です。論理的思考力が高いため、相手の納得しやすい筋道だった説明ができます。
複雑な状況を相手へわかりやすくするためには、何が現在の状況の本質なのかをしっかりと把握した上で、それを噛み砕いて説明する必要があります。物事を説明する際には、まず自分自身が対象を深く理解することが大切です。
トラブルに冷静に対応できる
コンセプチュアルスキルが高い人材は、困難なトラブルにも冷静に対応できるという特徴があります。問題解決力が高いため、その場の状況に応じた臨機応変な対応が取れるのです。
ビジネスを進める際には、必ず何らかの問題に直面するものです。問題が起こってしまった場合には、問題への対処がその後の状況を大きく左右します。しっかりと問題解決に取り組んでうまく状況を切り抜けられれば被害を最小限におさえられますし、問題解決がうまくいかない場合はより状況が悪化してしまうこともあるでしょう。
物事を俯瞰的に考えられる
難しい問題を考える際には、どうしても細部に着目したミクロな視点で考えてしまいがちです。細かい部分にしか目がいかない場合、問題全体の本質を見誤ってしまい、本質的なアプローチから遠ざかってしまうことがあります。
コンセプチュアルスキルの高い人材は、物事の全体像を的確に捉えるという俯瞰的な思考に長けています。複雑な状況に直面しても一部の些細な点にとらわれることなく、常に全体を見渡すことを忘れずに思考できるのです。
コンセプチュアルスキルを身につける方法
では、コンセプチュアルスキルを社員に身につけてもらうためには、具体的にどういった施策を実施するのがよいのでしょうか。おすすめする方法は以下の通りです。
- OFF-JT
- OJT
- eラーニング
OFF-JTやOJT、eラーニングなど、コンセプチュアルスキルを獲得してもらうための方法を以下の項目で詳しく解説します。
OFF-JT
OFF-JTは、職場や通常業務から離れて実施する研修です。社員を研修会場に集めて講義を実施する研修や、グループワークやディスカッション、ロールプレイングなどを盛り込んで実施する研修もあります。 コンセプチュアルスキルを高めるためには、OFF-JTの実施が効果的です。コンセプチュアルスキルの概要や考え方について説明し、演習を積んでもらいましょう。 なおOFF-JTはインタラクティブなやり取りが得意な研修形態のため、ディスカッションなどを通じて実践的にコンセプチュアルスキルを磨いてもらうことがおすすめです。
OJT
OJTは、実際に仕事を進めながら能力開発を行う手法です。実施する際には先輩社員や上司などがOJTトレーナーとして配属され、後輩社員や部下の仕事の進め方を見ながら適宜フィードバックを行います。 OJTも、コンセプチュアルスキルを磨くのに有効な方法の一つです。OJTの強みとしては、座学やマニュアルなどで身につきづらい実践的なノウハウが習得できる点が挙げられます。コンセプチュアルスキルに関しても、OJTを活用すれば実際の業務でコンセプチュアルスキルを発揮する方法なども理解してもらいやすいでしょう。 OJTとOff-JTの違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
『OJTとOFF-JTの違いは?それぞれのメリットや組み合わせ方を紹介』
eラーニング
eラーニングは、LMSと呼ばれる学習管理システムを導入し、LMS上で配信される動画教材を通じて学習を進めてもらう研修手法です。社員は時間や場所を選ばず自分のペースで学習を進められるため、個々のスキルやモチベーションにあわせた教育を提供しやすいメリットがあります。 コンセプチュアルスキルを磨いてもらう際には、eラーニングを活用するのもおすすめです。eラーニングを活用した研修を実施すれば、コンセプチュアルスキルの概要を効率的に伝えられることに加え、研修実施側の負担も軽減できます。 eラーニングに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
『eラーニングとは?企業研修で活用するメリット・デメリットを解説』
コンセプチュアルスキルを育成するメリット
社員のコンセプチュアルスキルを磨くことには数多くのメリットがあります。
- 企業理念や経営方針が浸透しやすくなる
- 作業効率・生産性が上がる
- 新しいアイデアをもたらす人材が増える
- 環境の変化に対応できる
中でも、企業理念や経営方針が浸透しやすくなったり、作業効率や生産性が向上するという点は、企業の業績アップに直結するでしょう。
以下の項目でコンセプチュアルスキルを育成するメリットを詳しく解説します。
企業理念や経営方針が浸透しやすくなる
コンセプチュアルスキルを高めれば、社員は会社を取り巻く環境や、その中で企業が示す方向性がどういったものなのかを正確に理解することができるようになります。そのため、結果として企業理念や経営方針が浸透しやすくなるというのが大きなメリットです。
コンセプチュアルスキルの高い社員は、自社が成し遂げようとしている目標の意義や意味を正確に理解できるでしょう。企業理念や経営方針の実現に向けた前向きな行動も起こりやすくなります。
理念浸透については、以下の記事で詳しく解説しています。
『【事例あり】理念浸透の方法と成功のコツ』
作業効率・生産性が上がる
状況の本質的な部分にアプローチできるようになり、作業効率や生産性が上がるのがコンセプチュアルスキルを育成するメリットの一つです。こうした作業効率の上昇は、組織全体のパフォーマンス改善や会社の業績アップにもつながるでしょう。
さらに、コンセプチュアルスキルが高い社員は、問題解決に向けて的確なアプローチが取れるようになります。本質からズレた対策で時間を浪費することがないため、問題解決も迅速に進むでしょう。
新しいアイディアをもたらす人材が増える
コンセプチュアルスキルを向上させれば、今の慣行や既存の概念にとらわれない「本質的な観点」から思考できるようになります。その結果、社内に新しいアイディアをもたらす人材が増えるでしょう。
コンセプチュアルスキルを構成する要素のうち、特にラテラルシンキングやクリティカルシンキングはこうした斬新なアイディアの獲得に役立ちます。組織や社会に大きなインパクトを与えるイノベーションにもつながるため、こうした点を意識しながら育成するとよいでしょう。
環境の変化に対応できる
現代のビジネス環境は、VUCAとも呼ばれる先の見えない状況が続いています。グローバル化やIT化の進展により、こうした変化の激しい状況は当面続くでしょう。こうしたビジネス環境で自社の優位性を確保し続けるためには、社員の対応力を磨くことが大切です。
コンセプチュアルスキルを高めれば、社員は本質を素早く見抜けるようになるため、複雑に変化する状況にもついていくことができるようになります。未体験の事態であっても、状況を見極めた適切な判断が下せるようになり、変化に強い組織を実現できるでしょう。
コンセプチュアルスキルを育成に活かすポイント
コンセプチュアルスキルを育成に活かす際、気をつけておきたいポイントをいくつか解説します。
- 階層別に研修を行う
- コンセプチュアルスキルの重要性を理解してもらう
- 人事制度の整備をする
以上の3つをおさえ、適切に育成していきましょう。
階層別に研修を行う
コンセプチュアルスキルを身につけてもらう際には、階層別に研修を実施するのがおすすめです。研修前に、コンピテンシーなどで階層別に求められるコンセプチュアルスキルとそのレベルを定義しておくと良いでしょう。
コンセプチュアルスキルを構成する要素は、ロジカルシンキングやクリティカルシンキング、ビジョン構想力や戦略的思考などさまざまなものに分解できます。一方、こうしたスキルはすべての階層に等しく求められるわけではありません。若手社員には基礎的なビジネススキルを中心に、管理職にはビジョン構想力などのマネジメントに直結するスキルを中心に学んでもらう必要があります。
階層別研修のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
『階層別研修の目的や内容、体系図の作り方やおすすめカリキュラム例をご紹介』
コンセプチュアルスキルの重要性を理解してもらう
社員の中には、コンセプチュアルスキルという単語にあまり馴染みのない人もいるでしょう。また、コンセプチュアルスキルという言葉自体は知っていても、その重要性や必要性について納得している人は少ないかもしれません。
研修に前向きな姿勢を引き出すためにも、研修実施時にはコンセプチュアルの重要性を理解してもらうようにしましょう。例えば、コンセプチュアルスキルが業務に活きる場面を、研修の冒頭で講師が紹介するといった方法がおすすめです。
人事制度の整備をする
コンセプチュアルスキル研修を実施する際には、併せて人事制度の整備も進めましょう。
例えば、評価項目の一つにコンセプチュアルスキルを設ける、上司がメンターとして部下のコンセプチュアルスキルを定期的にチェックする制度を作るといった取り組みが考えられます。
どんなに優れたコンセプチュアルスキルの研修を実施しても、コンセプチュアルスキルを継続的に意識できる仕組みが整っていなければ内容を忘れてしまいます。研修内容を理解できたからといって、それがそのまま日常業務に活かされるとは限らないため、人事制度の整備をすることをおすすめします。
アルーのコンセプチュアルスキル育成事例
人材育成のプロフェッショナルであるアルーでは、コンセプチュアルスキルの育成を数多く手掛けてきました。ここでは、これまでにアルーがコンセプチュアルスキルを鍛えるサポートをさせていただいた事例を、3つ紹介いたします。
コンセプチュアルスキルを高める研修の実施をご検討の場合は、ぜひ参考にしてみてください。
ロジカルシンキング研修
卸売・小売業のA社では、研修を担当する社内講師が「情報を整理する方法」「わかりやすく伝える方法」について体系的に学んだことがなく、研修の質に講師ごとのバラツキがあるといった課題がありました。
そこでアルーでは、結論と根拠をおさえた論理的なつながりを意識した伝え方ができるようになるためのロジカルシンキング研修を実施しました。
▼ロジカルシンキング研修のカリキュラム例
項目 |
概要 |
進め方 |
イントロダクション |
研修目的を確認する |
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アイスブレイク |
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ペアワーク |
ロジカルシンキングの原則を学ぶ |
ピラミッド構造と4つのルール(グルーピング、メッセージ、根拠付け、MECE)について学ぶ |
グループワーク |
ケーススタディ① |
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グループワーク |
ケーススタディ② |
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グループワーク |
ケーススタディ③ |
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グループワーク |
ケーススタディ④ |
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グループワーク |
ケーススタディ⑤ |
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グループワーク |
まとめ |
振り返り、質疑応答 |
ロジカルシンキングに必要な最低限の知識をeラーニングでインプットしたあと、ケース演習に取り組んでもらい、最後に実践テストを実施してロジカルシンキングを磨いてもらいました。
ロジカルシンキングを高めるためのアルーの研修について、詳細は以下のページからご覧ください。
ロジカルシンキング研修のプログラム詳細
▼資料ダウンロードはこちら
問題解決力研修
サービス業のB社では、自社の中長期ビジョンを実現するために、若手時代から戦略立案などの中核的な役割を担うポテンシャルの高い社員の育成を実現したいと考えていました。
そこで、アルーでは若手社員に対し選抜型で問題解決力を磨いてもらう研修を実施しています。本プログラムではまず問題解決の基本プロセスを理解してもらったあと、「塾の売り上げの回復」「英会話ビジネスを黒字化せよ」といった演習に取り組んでもらいました。演習などのアウトプットが豊富に含まれているため、実践的な問題解決力の獲得に成功した研修事例です。
▼問題解決力研修のカリキュラム例
1日目 |
2日目 |
課題形成力
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課題遂行力
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アルーの問題解決力研修の詳細は、以下のページで詳しく紹介しています。
仮説思考研修
化学・医療業のC社では、「自らの意思により変革と挑戦ができている人材」の育成を目指すための制度変更を行い、その一環としてコンセプチュアルスキルを高める研修の実施を検討していました。
そこで、アルーでは3年目の社員に対して仮説思考力を鍛える研修を実施。まずは実践的なノックで仮説思考の原則を学んでもらったあと、上司との面談を含む実践期間を経て学びの共有に取り組んでもらいました。
実践期間を間に挟むことで、より実務に即した仮説思考力を身につけてもらったのが特徴です。
▼仮説思考研修のカリキュラム例
項目 |
概要 |
進め方 |
イントロダクション |
研修目的を確認する |
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アイスブレイク |
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講義 |
講義 |
仮説検証サイクル(①仮説を立てる、②検証をする、③進化させる)と、仮説検証サイクルを効果的に回すための4つのポイント(①インプットベースで発想する、②ゼロベースで発想する、③クイックにぶつけてみる、④クイックに反映させる)を学ぶ |
グループワーク |
ワーク① |
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グループワーク |
ワーク② |
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グループワーク |
ワーク③ |
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グループワーク |
ワーク④ |
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グループワーク |
ワーク⑤ |
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グループワーク |
まとめ |
振り返り、質疑応答 |
アルーの実施している仮説思考研修は、以下のページから詳しくご覧ください。
仮説思考研修のプログラム詳細
▼資料ダウンロードはこちら
コンセプチュアルスキルを育成するならアルーにお任せください
コンセプチュアルスキルの概要や、コンセプチュアルスキルを高める際のポイントなどについて解説しました。コンセプチュアルスキルの向上施策なら、ぜひアルーへお任せください。
アルーは階層別研修やテーマ別研修を始めとした、豊富な研修の実績があります。お客様の企業の課題を丁寧にヒアリングして、内容をカスタマイズした研修を提供しています。
アルーの提供しているテーマ別研修は、以下のページから一覧でご覧いただけます。
テーマ別研修一覧
ぜひこの記事の内容を参考にコンセプチュアルスキルに対する理解を深め、社員のコンセプチュアルスキルを磨くための施策を進めていきましょう。