MECEとは?論理的思考の基礎となるMECEの概念や活用方法
MECE(ミーシー)は、論理的思考法の基本を築く重要なフレームワークです。本記事では、MECEの概念やその具体的な活用方法について詳しく解説します。MECEを正しく理解し、ビジネスに活かす方法を学びましょう。
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MECEとは何か?
MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)とは、物事を重複なく、漏れなく分類する方法を指します。それぞれ、Mutually(お互いに)、Exclusive(重複せず)、Collectively(全体に)、Exhaustive(漏れがない)という意味を持ちます。
ある物事全体を複数の要素に分割する際に、以下の2つの条件を満たすことを指します。
- 相互排他的: 各要素が互いに重複しない
- 包括的:全ての要素を組み合わせると、全体を漏れなく網羅することができる
例えば、日本の都道府県を分類する場合、MECEの原則に従うと、以下のようになります。
- 北海道
- 東北地方(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県)
- 関東地方(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)
- 中部地方(新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県)
- 近畿地方(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)
- 中国地方(鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県)
- 四国地方(徳島県、香川県、愛媛県、高知県)
- 九州地方(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県)
- 沖縄県
このように、各要素は重複することなく、かつ全ての要素を組み合わせると日本の都道府県を漏れなく網羅しています。この状態がMECEの状態であり、「漏れなく、ダブりなく」とも言われます。
MECEはロジカルシンキング(論理的思考)の基礎であり、情報を抜け漏れなく整理するために重要なツールです。
ロジカルシンキングの基礎をなすMECE
MECEは、ロジカルシンキング(論理的思考)の基礎をなす重要な考え方です。ロジカルシンキングとは、直感的に物事を捉えるのではなく、情報を構造的に整理し、筋道を立て矛盾がないように論理に基づいて思考するスキルです。MECEは、ロジカルシンキングを行う上で、情報を漏れなく網羅的に分析するために不可欠な考え方です。MECEを用いて漏れなくダブりなく問題の要素を分解することにより、問題の所在を見抜き、効果的な解決策を導き出すことができます。
※関連記事『ロジカルシンキングとは?メリットや基本的な考え方・鍛え方について紹介』
MECEが必要な理由
MECEの考え方を身につけることにより、全体像を把握した上で課題を明確にしたり、最適な解決策を見つけたりできるようになります。また、論点や根拠が整理されるので、説得力のある説明がしやすくなります。MECEは、顧客との商談や上司への報告など、あらゆるビジネスシーンで活用できるでしょう。
ここからは、MECEが必要な理由を詳しく解説していきます。
全体を俯瞰し、課題を明らかにするため
ビジネスにおいて問題解決を行う際には、問題全体を把握し、要素を整理することが必要です。MECEにより、全体を俯瞰し、各要素の課題を明確にすることで、問題の本質を見抜き、効果的な解決策を導き出すことができます。
例えば、企業の売上減少という課題があった場合を見てみましょう。MECEを用いると、売上減少の所在を以下の要素に分解することができます。以下の例は飲食店の売上減少をMECEに分解した例です。
- 客数の減少
- 新規顧客の減少
- 既存顧客のリピート率減少
- 客単価の減少
- 商品単価の減少
- 購入数の減少
上記例をさらにMECEで分解すると、「新規顧客の減少」を、「時間別」、「性別」、「年齢層」などに分解することで、売上減少の本質的な要因を判断できます。
ここで重要な点は、どの切り口でMECEに分解するかです。例えば、新規顧客の減少を時間別で分析しても変化がない場合は、性別または年齢層などで別の軸で分解してみましょう。別の観点で分解すると、減少しているという問題の所在が見えるかもしれません。
このように、課題発見の際にMECEでとらえることを意識すると、全体的な視野を持ちながら、見落としのない課題発見を行うことができるようになります。
※関連記事『課題発見力とは?課題の具体例やトレーニング方法、身につけるポイント』
納得感のある説明をするため
MECEは、相手に納得感のある説明をするためにも役立ちます。MECEによって、論理的な思考プロセスを可視化し、説明の根拠を明確にすることができるため、相手に理解してもらいやすくなるからです。
例えば、新規参入や新製品開発時に、自社がどの程度利益をあげられるか分析する場面を考えてみましょう。この際に必要なのは、競合や業界全体の状況と収益構造を明らかにすることです。
ここで、MECEで分解する際によく用いられる「5フォース分析」のフレームワークを活用してみましょう。フレームワークを活用すると以下のように抜け漏れダブりなく分析できるため、納得感のある説明をすることができます。
- 業界内での競争
- 業界への新規参入者
- 代替品の存在
- 買い手(顧客)の交渉力
- 売り手(サプライヤー)の交渉力
報告や説明、プレゼンなどで重要なのは、相手が必要としている情報を抜け漏れなく与え、納得感を抱いてもらうことです。情報に不備があると、「漏れがある」ということに聞き手の意識が向いてしまい、結果的に説得力が失われてしまいます。そのため、主旨を押さえたうえで、MECEにより漏れやダブりのない形で報告や説明を行うことが大切です。これにより、相手に理解されやすく、納得してもらいやすい説明が可能になります。
ビジネスシーンに有効なMECE
ビジネスシーンにおいて、MECEは様々な場面で活用されます。MECEによって、問題を明確に定義し、漏れなく網羅的に分析することで、より効果的な解決策を導き出すことができるでしょう。また、論理的な思考プロセスを可視化し、他者とのコミュニケーションを円滑にすることもできます。
具体的なMECEの活用場面としては、以下のようなシーンが挙げられます。
- 問題解決: 売上減少やコスト増加などの問題を分析し、効果的な解決策を導く
- 意思決定: 新製品の開発や投資判断などの選択肢を比較検討する
- 戦略策定: マーケティングや営業戦略などを策定するために市場、競合、自社の分析を行う
- プロジェクト管理: 計画、実行、評価、改善のプロセスを管理し、タスクやリスクを整理する
- プレゼンテーション: 提案や報告を論理的に構成し、相手に納得感を提供する
MECEは、問題の明確化や論理的思考の可視化、コミュニケーションの円滑化に役立つため、ビジネスパーソンが必ず身につけるべき考え方と言えるでしょう。
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MECEではない状態とは
ここでは、MECEではない状態について説明します。MECEを用いて思考する際の参考にしてください。
MECEの正しくない例として、以下の3つのパターンに分類されます。それぞれ日本の都道府県を分類する場合を例に、解説します。
- ダブりはないが漏れがある状態
- ダブりがあるが漏れはない状態
- 漏れもダブりもある状態
ダブりはないが漏れがある状態
MECEではない状態の一つである「ダブりはないが漏れがある」状態です。
- 東北地方
- 関東地方
- 中部地方
- 近畿地方
- 中国地方
- 四国地方
- 九州地方
- 沖縄
上記の分類では、北海道が漏れています。
ダブりがあるが漏れはない状態
「ダブりがあるが漏れはない」状態です。
- 北海道
- 東北地方(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県)
- 関東地方(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)
- 中部地方(新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県)
- 東海地方(静岡県、愛知県、岐阜県)
- 近畿地方(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)
- 中国地方(鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県)
- 四国地方(徳島県、香川県、愛媛県、高知県)
- 九州地方(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県)
- 沖縄県
この分類では、静岡県・愛知県・岐阜県が中部地方と東海地方の両方に存在し、重複しています。
ダブりも漏れもある状態
以下が「ダブりも漏れもある」状態です。
- 北海道
- 東北地方(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県)
- 関東地方(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)
- 中部地方(新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県)
- 東海地方(静岡県、愛知県、岐阜県)
- 近畿地方(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)
- 中国地方(鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県)
- 四国地方(徳島県、香川県、愛媛県、高知県)
- 九州地方(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県)
この分類では、静岡県・愛知県・岐阜県が重複しており、沖縄県が漏れています。
MECEで考える際のアプローチ方法
MECEを活用し、考えを整理する上で基本となる2つのアプローチ方法について解説します。
トップダウンアプローチ
トップダウンアプローチとは、全体をまず大きく捉え、そこから目的に沿って要素を分解していく方法です。全体像を把握してから詳細な分析を行うため、問題の本質を見抜きやすくなります。
例えば、新製品のマーケティング戦略を立てる場合は、まずマーケティングに必要な要素を分析します。ここでは、「ターゲット市場の選定」、「価格戦略」、「販売チャネルの決定」、「プロモーション計画」と分類します。その後、それぞれの要素をさらに詳細に分析していくという流れになります。
伝えたいメッセージが定まっており、その説得力を高めたいときにおすすめの方法です。
ボトムアップアプローチ
ボトムアップアプローチとは、個々の要素から分析を始め、グループ化を行って全体像を把握していく方法です。詳細な分析から全体像を把握するため、より具体的な課題や解決策を見つけることができます。
例えば、顧客満足度向上という課題があった場合、まず顧客からの意見や要望を収集します。その後、収集した顧客情報をグループ化して全体的な傾向をつかみ、顧客満足度向上策を検討していきます。
多くの情報があり、考えを整理しながら進めたい場合におすすめの方法です。
MECEの基本的な考え方
MECEに分解していく際の基本的な考え方の切り口として、以下の4つが挙げられます。
- 要素分解
- 因数分解
- 時系列・ステップ分け
- 対称概念
要素分解
要素分解とは、全体を構成する要素に分解していくことです。MECEの原則に従って要素分解を行うことで、全体を漏れなく網羅的に分析することができます。
例えば、企業の売上を分析する場合、以下の要素に分解することができます。
- 製品別売上
- 顧客別売上
- 地域別売上
- 販売チャネル別売上
- 期間別売上
「売上」という全体像をより詳細な要素に分解することで、それぞれの要素に対する分析を深めることができます。
因数分解
因数分解とは、全体を構成する要素を、より小さな要素に分解していくことです。要素分解と似ていますが、因数分解は、要素をさらに細かく分解することで、より深い分析を可能にします。
例えば、利益を分析する場合、売上とコストに因数分解することができます。また、売上とコストをさらに因数分解していくことで、深い分析が可能になります。
- 売上
- 新規顧客売上
- 既存顧客リピート売上
- コスト
- 原価
- 販管費
- その他費用
- 法人税等
時系列・ステップ分け
時系列・ステップ分けとは、全体を時間軸またはプロセス軸で分割していくことです。
例えば、顧客の購買プロセスを分析する場合、以下のステップに時系列・ステップ分けすることができます。
- 注意・認知
- 関心
- 欲求
- 記憶
- 行動
このように、プロセスをそれぞれのステップに分解することで、それぞれのステップに対する分析を深めることができます。
対称概念
対称概念とは、対称的な概念を挙げて分解する手法で、「A or not A」とも言われています。例えば、「法人と個人」「メリットとデメリット」「固定費と変動費」などが挙げられます。他にも、「売上が上がった商品・売上が下がった商品」といった分け方もでき、比較的シンプルな分解方法となります。
MECEを実践するための11のフレームワーク
MECEを活用した11のフレームワークをそれぞれ解説します。
- 3C分析の活用法
- SWOT分析の活用法
- 4P分析の活用法
- 7S分析
- 5フォース分析
- PDCA
- PEST分析
- AIDMA(アイドマ)
- ロジックツリー
- バリューチェーン
- 製品ライフサイクル
3C分析
3C分析とは、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの要素を分析することで、環境分析をする際に用いるフレームワークです。
具体的には、以下のような観点で分析を行います。
- 顧客:ニーズや購買行動を分析し、ターゲット市場を理解する
- 競合:競合の強みや戦略を把握し、差別化ポイントを見つける
- 自社:自社の強みや弱み、リソースを分析し、競合や顧客ニーズに対応する
これにより、市場の状況を包括的に理解し、効果的な戦略を策定できるでしょう。
※関連記事『ロジカルシンキングのフレームワーク11選。思考方法や活用方法を解説』
SWOT分析
SWOT分析とは、自社の強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の4つの要素について分析するフレームワークです。これにより、戦略を策定する前に、取り巻く環境や状況など、自社の現状を適切に把握することができます。
- 強み(Strengths):自社の競争優位や活かせる強みを明確にする
例: ブランド力、技術力、リソースの豊富さなど - 弱み(Weaknesses):自社の改善点や克服するべき弱みを明確にする
例: 資金不足、認知度の低さ、技術力の欠如 - 機会(Opportunities):市場での機会、外部環境で活かせる好機を見つける
例: 新市場の開拓、技術革新、規制緩和 - 脅威(Threats):外部環境からのリスクや障害を特定する
例: 競合の強化、景気の悪化、規制強化
プラス要因・マイナス要因、内部環境・外部環境の観点から分析を行うことで、ビジネス機会を効果的に発見することができます。
4P分析
4P分析とは、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)の4つの要素を分析することで、マーケティング戦略を策定するためのフレームワークです。これにより、製品やサービスを効果的に市場に投入し、顧客にアピールする戦略を策定します。
- 製品(Product):どのような商品・サービスをターゲットに提供するか、与える価値を考える
例: 製品・サービスの機能、特徴、パッケージ、ブランドイメージなど - 価格(Price):ターゲットに対していくらで商品・サービスを販売するか決める。競合や顧客を考慮しながら、利益と需要のバランスを調整する
例: 定価、割引戦略、支払い条件など - 流通(Place):どのような形式で商品・サービスを流通させるのか、販売チャネルや流通方法を考える
例: 店舗販売、オンライン販売、流通パートナーなど - プロモーション(Promotion):ターゲットの認知をどのように獲得するのか、宣伝・広告活動を決定する
例: 広告、PR活動、セールスプロモーション、デジタルマーケティングなど
4P分析を使うことで、ターゲット市場に対して効果的なマーケティング施策を策定し、競争優位を確立できるでしょう。
※関連記事『ロジカルシンキングのフレームワーク11選。思考方法や活用方法を解説』
7S分析
7S分析は、企業には3つのハードな経営資源と4つのソフトな経営資源があり、それら7つの資源をもとに企業に最適な事業戦略を考えることができるというフレームワークです。マッキンゼー・アンド・カンパニーにより提唱されました。
7つの資源は以下の通りです。
ハード面(仕組み・組織構造・戦略)とソフト面(能力・人材・価値観・経営スタイル)に分けられます。
ハード面
- 戦略(Strategy):組織の長期的な目標やビジョンを達成するための計画やアプローチ方法
- 組織構造(Structure):組織の権限や責任の配分、部門の配置など、組織の構造
- システム(Systems):日常業務を支えるプロセスや手順、運営管理システム
ソフト面
- 共有価値(Shared Values):組織全体で共有される理念や価値観、文化
- スキル(Skills):組織や社員が持つ強みや専門的能力
- 人材(Staff):組織内の社員やその人材構成、採用・育成の方法
- スタイル(Style):組織のリーダーシップスタイルやマネジメントの方法、働き方の文化
7S分析では、7つの要素が互いにどのように関連しているかを理解し、バランスを取ることで、組織の成功や実行力を高めることを目指します。
5フォース分析
5フォース分析とは、企業が市場や業界における競争構造を分析し自社の戦略を策定するためのフレームワークであり、経営学者のマイケル・ポーターが提唱しました。5つの競争要因(フォース)に注目し、業界の収益性や競争の激しさを評価していきます。
-
新規参入の脅威
新規参入者が市場に参入することで競争が激化するリスク。参入障壁(初期投資コスト、規制、ブランド忠誠度など)が低い業界では、新しいプレーヤーが増え、価格競争やシェアの低下を招く可能性が高まる。 -
買い手の交渉力
顧客が持つ交渉力の強さ。顧客の選択肢が多い場合、価格の引き下げや、サービスの質の向上を要求する可能性があり、企業の収益に影響を与える。買い手の数や商品差別化の度合いが交渉力に影響する。 -
供給者の交渉力
供給者が価格や取引条件に影響を与える力。供給業者の数が少ない、または特定の資源・技術が独占的である場合、企業は仕入れコストの上昇や供給不足に直面するリスクがある。 -
代替品の脅威
同様のニーズを満たす代替製品やサービスの存在。代替品が豊富な市場では、顧客が容易に乗り換える可能性が高く、価格競争や収益の減少を引き起こす。 -
業界内の競争
競合他社との競争の激しさ。業界内の競争が激しいと、価格の引き下げ、広告費の増加、商品・サービスの差別化などが必要になり、収益が圧迫される可能性がある。競争の激しさは、業界の成長率、競合企業の数、商品・サービスの差別化の難易度等によって決まる。
新規市場への参入を検討する際などに、参入障壁の高さや、競合他社の競争力、市場における買い手や供給者の力を評価し、参入の可否を判断することができます。各競争要因が企業に与える圧力を理解することで、優位性を確保するための戦略を立てることができるでしょう。
PDCA
PDCAとは、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)の4つのサイクルを繰り返すことで、目標達成を目指すためのフレームワークです。PDCAサイクルはプロジェクト管理の基本的なフレームワークとして広く活用されています。
- Plan(計画):目標を設定し、達成するための具体的な計画を立てる。現状分析を行い、課題や改善点を把握した上で、達成すべき目標や行動計画、必要なリソースを決める。
- Do(実行):計画に基づいて行動を実行する。計画の内容を正確に実行できるかどうかが、次のステップに影響します。
- Check(評価):実行結果を評価・検証する。実行した成果として数値やデータを振り返り、計画通りに進んでいるかどうかを確認する。成果が出ていない場合は、その原因を分析し、改善策を考える。
- Act(改善):改善策を実行する。問題点が見つかれば、解決するための新たなアクションとして、次のサイクルで改善を進める。
以上のサイクルが継続的に回ることで、業務やプロジェクトの改善が持続的に行われます。PDCAサイクルは、業務改善や品質管理、組織改革などの多くの場面で有効な手法です。
PEST分析
PEST分析とは、企業が戦略を立てる際に、政治(Political)、経済(Economic)、社会(Social)、技術(Technological)の4つの要因から外部環境を分析するフレームワークです。外部の変化に対応した戦略を策定する際に有効です。
- Political(政治的要因):企業に影響を与える政治的な要因を分析する
例: 政府の経済政策、環境規制、労働法、消費者保護法、国際関係の変化など - Economic(経済的要因):経済状況が企業に与える影響を分析する
例: 消費者の購買力、景気変動、国際的な経済状況、財政政策など - Social(社会的要因):ビジネス環境に影響を与える社会的な要因を分析する
例: 高齢化社会、ライフスタイルの変化、教育水準、健康志向、ジェンダー平等など - Technological(技術的要因):技術的な要因がビジネスに与える影響を分析する
例: AIや自動化技術の導入、インターネット技術の発展、新しい生産技術など
市場の政治・経済・社会・技術環境を分析することで、リスクや成長機会を把握し、適切な戦略を立てることができるでしょう。PEST分析は、企業の長期的な成長を目指すために、外部環境を包括的に把握するのに役立ちます。
AIDMA(アイドマ)
AIDMA(アイドマ)とは、消費者が商品を購入するまでのプロセスを説明する購買行動モデルの一つであり、広告効果を測定するためのフレームワークです。以下の5つの段階で構成されています。
- Attention(注意):消費者が商品の存在に気づき、注意を向ける段階
例: テレビCMやインターネット広告で新商品の情報に触れる。 - Interest(興味):商品に対して興味を持ち、もっと知りたいと感じる段階
例: 商品のウェブサイトを訪れて特徴や価格を調べる。 - Desire(欲求):商品を欲しいと思い始める段階
例: 商品が自分の生活にどのように役立つかを具体的に想像し、購買意欲が強くなる。 - Memory(記憶):商品についての情報を記憶する段階
例: 購入を検討しつつ、商品情報を心に留めておく。 - Action(行動):実際に商品を購入する段階
例: 店頭やオンラインで、実際に商品を購入する、もしくは購入を決断する。
AIDMAモデルを活用すれば、自社の商品ではどの段階のマーケティングが必要なのかを判断できます。Attention(注意)の段階であれば、商品の認知拡大のための広告キャンペーンを行うなど、消費者の購買行動に沿ったマーケティング施策の展開が行えるでしょう。
ロジックツリー
ロジックツリーとは、問題を分解し、論理的な関係をツリー状に表現することで、問題解決に向けた思考を整理するためのフレームワークです。ロジックツリーを使うことで、要素の漏れや重複を防ぎ、問題の本質や解決策を見つけやすくなります。ロジックツリーは、主に「親要素」と「子要素」に分かれ、親要素(大きなテーマ)を段階的に小さな要素に分解していきます。このプロセスを繰り返していくことで、問題の原因や解決策を深く掘り下げることができるのです。
※関連記事『ロジカルシンキングのフレームワーク11選。思考方法や活用方法を解説』
バリューチェーン
バリューチェーンとは、企業が価値を創造するプロセスを、一連の活動に分解し、それぞれにおけるコストや付加価値を分析します。マイケル・ポーターが提唱したもので、企業がどのように価値を創造し、競争優位を築くかを理解するために使用されます。
バリューチェーンは、企業の全体的なプロセスを「価値を加える活動(主活動)」と「価値を加えない活動(支援活動)」に分けることができます。
- 主活動:企業の製品やサービスが市場に出るまでの直接的な価値を生む活動
例:原材料の調達、製造、流通、マーケティング、販売サービスなど - 支援活動:主活動をサポートし、効率的に行うための活動
例:企業インフラ、人事管理、技術開発など
バリューチェーンを活用することで、各活動における他社との差別化や、コスト削減、価値創造の強化など、企業の競争力を高める戦略を策定する際に役立てることができるでしょう。
製品ライフサイクル
製品ライフサイクルとは、製品が市場に投入されてから廃棄されるまでの過程を示すモデルです。一般的には、以下の4つの段階で構成されています。
- 導入期:製品が新しく市場に投入される段階。マーケティング活動が集中的に行われ、製品の認知度を高めるためのプロモーションが行われる
- 成長期:製品の需要が増加し、売上が急成長する段階。競合が増え始める。マーケティング戦略は、製品の差別化と市場シェアの拡大に重点を置く
- 成熟期:市場が飽和し、売上の成長が鈍化する段階。競争が激化し、価格競争が起こることもある。顧客の維持と製品の改良、バリエーションの追加などに焦点を当てる
- 衰退期:製品の需要が減少し、売上が下降する段階。市場に新しい技術や製品が登場することで、古い製品が次第に廃れる。コスト削減や製品の撤退を検討し、場合によっては新製品への移行をする
製品ライフサイクルの理解は、マーケティング戦略や製品管理の計画に役立ちます。
MECEを活用する注意点
以下は、MECEを活用する上での注意点です。
- 分析する目的を忘れない
- 分類できない事象がある
- 要素の優先順位を明確にする
分析する目的を忘れない
MECEはあくまでも分析のためのツールであり、目的そのものではありません。分析する目的を明確に定め、その目的に合った分類を行うことが重要です。
分類できない事象がある
MECEは、あらゆる事象を完全に分類できる万能なツールではありません。複数の事象にまたがる要素が存在するなど、分類できない事象があることを認識しておくことが重要です。また、分類できない事象をどのように扱うか、事前に検討しておくことも必要でしょう。
要素の優先順位を明確にする
MECEによって、全体を複数の要素に分解することができますが、全ての要素が同じ重要度を持つわけではありません。分析の目的を達成するために、要素の優先順位を明確にすることが重要です。MECEで要素を洗い出した後は優先度を決めるなどして、重要性が低い要素に時間をかけすぎないようにしましょう。
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MECEを学べるロジカルシンキング研修の事例
MECEを学ぶには、ロジカルシンキング研修の実施がおすすめです。アルーが提供したロジカルシンキング研修の事例をご紹介します。
NTTコミュニケーションズ株式会社 ソリューション営業力強化研修事例
NTTコミュニケーションズ株式会社は、事業統合により、フィールドセールス未経験者が増え、多様な商材に対応する必要が生じました。そのため、営業スタイルを「御用聞き営業」から「ソリューション営業」に転換する必要がありました。
そこで、特に法人営業経験が浅い社員に対し、課題仮説や提案準備のスキルを強化したいと考えました。そのためアルーより、フィールドセールスの強化を目的としてソリューション営業力研修を提供いたしました。
研修は営業経験者と未経験者に分けて行い、受講者のスキルレベルに応じた内容にカスタマイズしました。営業未経験者は、法人営業の基礎やヒアリング・提案の基本スキルの習得を目指します。営業経験者は、お客様の真の課題を解決するためのヒアリング力と提案スキルを強化します。
研修後には習熟度確認テストを実施し、知識の定着と自信の向上を図りました。
講師から直接フィードバックをもらえる機会を設け、受講者の理解を深めるように工夫しています。
研修後のアンケートでは、受講者の70%以上が「ソリューション営業を実施できる」と回答し、80%以上が営業スキルの向上を実感しています。合格率も高く、受講者の自信につながりました。
本事例の詳細は、以下のページからご覧いただけます。
NTTコミュニケーションズ株式会社 顧客の課題を解決するソリューション営業力強化研修事例
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アンファー株式会社 思考力強化研修事例
アンファー株式会社では、営業メンバーの思考力に課題を抱えていました。積極的に提案を行ってくれるものの、真因特定と打ち手の提案が十分ではなかったのです。そのため、基礎的な思考力を養うことで顧客の「真因」を特定し、適切な提案ができることを目指す必要性がありました。そこでアルーより、営業メンバー全員を対象に「営業部思考力強化研修」を提供しました。
研修では、論理的思考や仮説思考を体系的に学び、ロジックを明確に伝える力を育成しました。また、受講後には「MECE」などのフレームワークを共通言語化できたため、社員間のコミュニケーションに役立っています。
研修後、メンバーは自らの課題に向き合い、上司への報告内容を変えるなど、思考力向上の成果が見られました。営業部のコミュニケーションや報告の質が向上し、自己の価値を高める意識が醸成されたと評価されています。
本事例の詳細は、以下のページからご覧いただけます。
アンファー株式会社 顧客の抱える「真因」を特定するため、営業メンバー全員を対象とした思考力強化研修
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卸売・小売業A社 ロジカルシンキング研修事例
卸売・小売業のA社では、社内講師が「情報を整理する方法」「わかりやすく伝える方法」について体系的に学習したことがありませんでした。情報の読み取り方や伝え方を各社内講師が自己流で学んでおり、同じ研修でも内容に違いが生じる場合があるという課題を抱えていました。
そのため、社内講師自身が、研修内容を整理しわかりやすく伝えることができるために論理的思考法を学習する必要があると考え、ロジカルシンキング研修をアルーより提供しました。
当研修は、「情報の整理方法」と「わかりやすく伝える方法」(ロジカルシンキング)の基本的な思考プロセスとスキルを身につけることを目標に設計を行いました。eラーニングを使用した反転学習や、受講者同士のフィードバックを取り入れた実践中心の研修となりました。
研修後のアンケートでは、「実際の教材を使用することで、かなり理解が深まった」「実践につながる学びが多くあった」など、実際に活用するイメージが沸いたというコメントが多く見られました。
本事例の詳細は、以下のページからご覧いただけます。
【研修事例】研修デザインに必要なロジカルシンキングの基本的な思考プロセスとスキルを身につける
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まとめ
MECEは、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略で、「漏れなくダブりなく」という意味です。
MECEは、ロジカルシンキングの基礎をなす重要な考え方であり、問題解決、意思決定、戦略策定など、様々な場面で活用されます。MECEによって、問題を明確に定義し、漏れなく網羅的に分析することで、より効果的な解決策を導き出すことができます。論理的思考力を高めることができるMECEは、ビジネスにおいて必要不可欠であり、全ての社員が身につけるべき考え方と言えるでしょう。
MECEを身につけてほしい場合は、ロジカルシンキング研修の実施がおすすめです。
アルーでは、「情報のグルーピング」「メッセージの抽出」「メッセージの根拠づけ」「MECE」の4つのルール習得に特化したロジカルシンキング研修を提供しています。
詳細は以下のページよりご覧ください。
ロジカルシンキング研修
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