OJTとOFF-JTの違いは?それぞれのメリットや組み合わせ方を紹介
OJTは、ほとんどすべての企業で実施されている研修手法です。OJTは実践的な知識を手早く身につけられる一方で、教育の質が指導担当に大きく依存してしまいます。OJTのデメリットを補う上で最近人気の高まりを見せているのが、実際の業務を離れて行うOFF-JTです。
この記事では、OJTとOFF-JTの違いや特徴、両者の組み合わせ方などについて解説します。
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OJTとは
OJTとは、”On-the-Job Training”の略です。OFF-JTとは反対に、業務の中で必要な知識を身につけていく育成施策のことを指します。厚生労働省がまとめた能力開発基本調査によると、計画的なOJTを行っている企業は61.8%で、半数以上の企業がOJTを取り入れています。
OJTを実施する際は、経験豊富な上司や先輩が実際の業務を題材にしながら、若手社員や後輩へ必要な知識を伝えていきます。OJTを実施することで、若手社員は学んだ知識のアウトプットを繰り返しながら知識を定着させていくことができるのが大きな特徴です。
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OFF-JTとは
OFF-JTとは、”Off-The-Job Training”の略語です。職場を一時的に離れて行う教育訓練の総称で、研修・セミナーの受講や通信教育、eラーニングなどを通じて業務に必要な知識を身につけることができます。外部から講師を招いた講演形式や、ロールプレイングなどを交えたグループワーク形式で行うことも多いです。
OFF-JTはOJTと並んでメジャーな育成手法の一つであり、OJTと上手く組み合わせることで最大限の効果を発揮すると言われています。最近はOFF-JTのニーズが高まっており、令和3年に厚生労働省が実施した調査によるとOFF-JTを実施した事業所の割合はおよそ70.4%にも及びます。
OJTとOFF-JTの違い
OJTとOFF-JTは育成内容や育成効果、育成コストにおいてそれぞれ違いが存在しています。両者の違いを表で整理すると、以下のようになります。
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OJTは、業務を実施するにあたって必要な実践的な知識を学ぶのに適しており、対象者のスキルや業務内容に応じてケースバイケースに対応することができます。実際に業務を行いながら知識を身につけていくため、アウトプットの機会が多くなるのが特徴です。そのため、知識を実務へ活かすコツも同時に学ぶことができます。また、社内業務での学習が中心になるので、金銭的コストがなく、自社で育成を完結することができます。
OFF-JTは、業界やビジネスの理論についてなど、体系的に整理された知識を習得するのに適しています。対象者へ均一に学びを提供するので、学習内容に個人差が生まれにくいです。概念やフレームワークのような汎用性の高い知識を身につけるのに適していると言えるでしょう。多くの場合数日間で完了するため、時間コストの面で優れています。外部講師に研修を委託すれば、社内で指導に時間を割く必要がない点も特徴の一つです。
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OJTとOFF-JTのメリット・デメリット
OJTとOFF-JTにはそれぞれ以下の図のようなメリットとデメリットがあります。
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OJTのメリット
OJTのメリットとして、座学やマニュアルだけではなかなか身につかないような実践的な知識を効率的に身につけてもらえるという点が挙げられます。先輩社員が長年の勤務で身につけた業務のコツなど、OFF-JTでは伝えづらい知識を直接若手社員に身につけてもらうことができます。社員はその場で知識の実践を行うことができるため、身についた知識の定着も速いです。
また、OJTのメリットは研修を受ける側だけにとどまりません。指導者となる先輩社員も、OJTを通じて自身が持っている知識を改めて整理することができます。後輩社員とのコミュニケーションを行う機会が増えるため、縦のつながりが強化されるという点も大きなメリットです。
OJTのデメリット
OJTのデメリットとしては、指導担当によって育成の幅に差が生まれてしまうという点が挙げられます。OJTの指導担当となる先輩社員は、仮にプレイヤーとして優秀な社員だとしても、必ずしも高い指導力を身につけているとは限りません。OJTを実施する際は、OJTの担当となる社員を対象に予め指導方法を教育するなど、教育の質にムラが生まれてしまわないような対策を行う必要があります。
加えて、指導担当に負担がかかってしまうというデメリットもあります。教育を実施する中堅社員やベテラン社員は社内の中心的な業務を担っていることも少なくありません。繁忙期にOJTを実施することが難しいなどのケースもあるかもしれません。
OFF-JTのメリット
OFF-JTのメリットとして、業務に必要な知識の土台を作ることができるという点が挙げられます。業界やビジネスの型、ビジネスマナーといった内容をまとめて学習することで、体系的な知識を身につけることができるのが特徴です。
また、この他のメリットとして教育の質を均一化させやすいという点が挙げられます。後述するように、OJTは教育担当者によって教育の質にムラが生まれてしまいやすいです。一方でOFF-JTの場合は数十人の社員にまとめて知識を提供できるため、研修担当者によって内容に差が生まれる、といったことが起こりにくくなっています。
OFF-JTのデメリット
OFF-JTは理論的な内容や、ビジネスマナーといった「型」をインプットすることに向いているトレーニング形態です。数多くのメリットがあるOFF-JTですが、デメリットも存在します。
デメリットとしては、「実践的な知識が身につくとは限らない」という点が大きいです。実務を通じて必要な知識を学習するOJTとは異なり、OFF-JTでは主に知識のインプットを集中的に行います。実務へつながる研修を実施するには、学んだ知識をアウトプットしたり応用したりすることが必要です。
また、ケースバイケースで対応することが難しいという点もOFF-JTのデメリットです。例えば社内に存在する慣例や、細かな業務のコツといった知識はOFF-JTで伝えるのは難しいでしょう。知識を体系化しにくい事柄については、別途OJTと組み合わせてトレーニングする必要があります。
並んで用いられる自己啓発(SD)との違い
SDとは、”Self Development”の略で、自己啓発のことを示します。書籍を通じて学習したり、社内外のセミナーに参加したりするといった方法があり、実践形式は多岐にわたります。業務に関連する資格を取得する、語学のスキルを伸ばす、といった内容もSDの一環であり、最近では資格取得支援制度や通信教育の無償提供といった制度を用意している企業も少なくありません。
OFF-JTやOJTと異なるのは、SDの場合あくまでも企業は学ぶ場を提供するにとどまるという点です。SDの場合、実際に知識を身につけるかどうかは社員それぞれに委ねられており、企業はあくまでも学びの場を提供する、という役割にとどまります。
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OJT指導の4つの基本
OJT教育を進めていく上では、どのように新入社員に伝えれば良いのでしょうか。
アルーでは、「やってみせる」「言って聞かせる」「させてみる」「ほめる」の4段階にわたって教育をすることをおすすめしています。
やってみせる
最初の段階として「やってみせる」必要があります。OJTにおいて新入社員に業務を実践してもらう前に、まずはOJTトレーナーとなる社員が「実際に仕事をやってみせる」ようにしましょう。先輩社員が実際に仕事をこなす様子を見ながら、新入社員は業務をこなす方法やコツについて体得することができます。先輩社員が仕事を実践する様子を見ながら、仕事の全体像を把握することを心がけてもらうとよいでしょう。
言って聞かせる
2段階目として、「言って聞かせる」必要があります。業務をやってみせたあとは、仕事の内容やノウハウに関する説明を行いましょう。細かなコツやノウハウ、その仕事がどうして必要なのかといったバックグラウンドなどを伝えるようにしましょう。
「何かわからないことはないか?」「不安な点はないか?」など、実践へ進む前に丁寧なヒアリングを行いながら進めてください。
させてみる
3段階目として、「させてみる」必要があります。業務の説明を一通り伝えたら、いよいよ新入社員に自分自身で仕事へ取り組んでもらいます。新入社員が実際に仕事を行なうことで、知識の定着を図ることが可能です。また、「分かったつもりになっていた部分」を明確にすることもできます。
新入社員にとって初めての業務の場合、なかなか上手くいかない場面もあるかもしれません。しかし、OJTトレーナーとなる先輩社員は新入社員が一通り業務をこなすまでは口を出しすぎないことが重要です。新入社員が自分で業務をこなす前に口を出してしまうと、新入社員が業務を行ったという達成感が得られなかったり、自分で業務を行なうことによる気付きが得られなくなったりする可能性があります。
ただし、「放置されている」と新入社員に感じさせないよう、「疑問点にはいつでも答える」という姿勢を見せるようにしましょう。また、「失敗は責めない」ということも徹底することで、新入社員は安心して業務に取り組むことができます。
ほめる
4段階目として「ほめる」必要があります。新入社員による業務の実践が終わったあとは、OJTトレーナーが業務に対するフィードバックを実施します。もちろん初めての業務の場合は改善点が多々見つかるかもしれませんが、まずは新入社員が「実践できた」部分に焦点を当てて、できた部分を褒めてあげることが重要です。これまでの成長をOJTトレーナーとともに振り返ることで、新入社員は自分の仕事ぶりに自信を持つことができます。新入社員のモチベーションを維持してあげることで、新入社員は次の業務にもポジティブな気持ちで臨むことができるでしょう。
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OJTがうまくいかない原因
OJT施策が上手くいかないと感じている人事担当の方も多いのではないでしょうか。ここでは、OJTを実施する上でよく起こる課題やその原因と、その解決方法をご紹介します。
トレーナーが多忙で、OJTに十分な時間が取れない
OJTトレーナーが多忙な場合、OJTに充分な時間が取れず、新入社員が放置されてしまうことが多々あります。このような場合は、人事担当者や上司が現場の状況を判断し、OJTトレーナーを一時的に変えたり、現場の仕事量の見直しを行なったりする必要があります。
新入社員が放置されていると感じてしまうと、モチベーションの低下につながり、最悪の場合退職に繋がってしまう危険性もあります。
特定の社員に負担が偏っている
OJTトレーナーを選定する際に一人で何人もの新入社員を見なければならず、業務が滞ってしまうことやトレーナーに負担がかかってしまうこともよくある課題です。特定の社員に負担が偏らないよう、現場の仕事量の見直しや、OJTトレーナーをフォローする社員を決めておくなど、負担を軽減させるような対策が必要になるでしょう。
計画的・体系的なOJTでなく、場当たり的な指導にとどまってしまう
OJTのデメリットとして、実務中心で教育を行うため、業務の全体像を把握したり、体系的な教育に向いていないというものがあります。計画的にOJTを進めていかないと、場当たり的な指導にとどまってしまう危険性があります。
そのため、OJTを行う前や実施中に、OFF-JTなどで企業全体の業務内容を知ってもらう機会を作ったり、共通の研修プログラムや資料を準備しておくなどの対策が必要です。
また、上司やトレーナーが事前にOJT計画を立てておき、場当たり的な指導にならないようにすることも重要です。
誰から学ぶかによって新人の成長に差が出てしまう
OJTは、OJTトレーナーの質によって新入社員の成長に差が出やすいことがデメリットです。そのため、均一の質で指導ができるようにトレーナーを育成することが重要になります。
研修やeラーニングなどでOJTトレーナーの育成を行ったり、OJTの成果をトレーナーの上司や人事担当者からフィードバックを行う機会を作ったりすることによって、トレーナーの成長を促すことができます。
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OJTを成功させるコツ
先述のOJTがうまくいかない原因も踏まえて、OJTを成功させるためにはどのようなポイントを押さえるとよいでしょうか。以下で詳しく解説いたします。
育成計画を立て、仕組みづくりをする
OJT実施時は、育成計画を立てて進めていくことが大切です。
OJTの計画を立てていないと、単発で発生した業務を場当たり的に行うだけになってしまい、「なぜこの業務が必要なのか」「なぜ自分がこの業務をやっているのか」が分かりにくくなってしまいます。
OJTの目的や計画は新入社員とトレーナー双方が理解していることが重要です。いつまでにどんなことができていればいいのか、OJTで学ぶべきことはどういったことなのかを理解した上で行うことによって、モチベーションの維持にもつながります。
OJTシートを使用する
OJTの育成計画を双方で理解するために、OJTシートを活用することも効果的です。
OJTシートには、「新入社員に伝えたいこと・知っておいてほしいこと」や、「新入社員の学習を促進するために行う工夫」、「OJTトレーナー自体の役割」「具体的な行動」「トレーナーの上司に行ってほしい事項」などを記入します。
シートを用いて可視化することによって、適切な指導ができ、効率的にOJTを進めることができるでしょう。
現場で放置せず、社内全体で取り組む
新入社員に任せた業務をやらせっぱなしにしない、育成をトレーナー任せにしないなど、社内全体でOJTに取り組むことが必要です。
「適切なフィードバックができているか」「トレーナーは新入社員とコミュニケーションが取れているか」「新入社員は社内の様々な人と関わって仕事を進められているか」などを確認し、トレーナー以外の社員もフォローできるようにしておくことが重要です。
OJTで放置してしまう危険性について詳しくは以下のページもご覧ください。
『OJTは放置することじゃない!退職されないためのOJTの方法とは』
トレーナーの育成をする
トレーナーによって教育の差が生まれてしまう場合には、トレーナーの育成を行うことも大切です。自分が分かっていることや自分にとっては当たり前のことも、新入社員にとっては難しい場合があることや、トレーナーとして働くことのメリットなどを理解しておく必要があります。また、指導を初めて経験するトレーナーの場合、教え方がわからない可能性もあります。効果的な業務指示の方法やモチベーションを落とさないためのコミュニケーションの方法なども学んでおく必要があるでしょう。
アルーのOJTトレーナー研修について詳しくは以下のページをご覧ください。
OJTトレーナー研修
OFF-JTのニーズが高まっている理由
これまで多くの日本企業では、OJTが社員育成の中心的な役割を担ってきました。一方でOFF-JTの人気は徐々に高まりつつあり、近年になってOFF-JTとOJTを組み合わせて実施する育成方法が主流になったという経緯があります。
それでは、最近OFF-JTがここまで注目を浴びているのはなぜなのでしょうか。多くの企業がOFF-JTを必要としている理由について見ていきましょう。
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OJTは指導側の力量によって知識の差が出る
OFF-JTが必要とされている背景として、OJTで生まれやすい教育の質のムラをカバーする、という側面が挙げられます。OJTは業務に必要な知識を効率よく身につけてもらうのには向いている手法ですが、指導担当のとなる先輩社員の力量に教育の質が大きく依存してしまうという点がデメリットです。場合によってはOJTとは名ばかりで、後輩社員を放置してしまうことが常態化してしまっているケースもあります。
このため、全社員が共通して身につけることが求められるような普遍性の高い知識は、OFF-JTで均一に教育したほうが効率的です。OJTは実践的な知識を提供できますが、全社的な教育の質を担保することができるという面ではOFF-JTに分があります。
通常の業務をしながら指導をするのが難しい
OJTは社内で完結するトレーニング形態ですが、一方で指導担当となる先輩社員には大きな負担がかかってしまうのも事実です。いざOJTを実施するとなれば、先輩社員は育成計画の策定から始め、業務の量と質の調整、業務の支援など様々なことに取り組まなければいけません。知識が一過性のものとならないよう、OJT終了後も新人社員に継続的に知識の定着を促すことも必要です。
しかしながら、指導担当となる先輩社員は社内でも中核的な役割を担っていることがほとんどで、通常の業務を行いながらOJTも実施する、というのは困難な場合もあります。OFF-JTによってまとめて研修を実施することで、指導担当の負担を軽減することができます。
第三者が指導することで受講者に納得感が出る
Off-JTでは、社外の講師を招いて研修や講義を行ってもらうことが多くなります。社外の講師から客観的なフィードバックをもらうことは、受講者にとって理解や納得度合いが高まる効果があります。社内のOJTだけでは、担当者の知識に偏りがあったり、社内の業務ルールに則った指導しかなされなかったりり、評価されることを恐れて気軽に質問しにくいなどの様々な事情から、十分な理解ができない可能性もあります。その点、Off-JTでは、社外の講師を招いて、どの会社、場面でも通用する知識・スキルを体系的にフラットに学習することができるでしょう。
指示待ちではなく自走できる能力が育ちやすい
Off-JTで学習することで、現場の業務上必要なスキルだけでなく、ビジネスを推進するうえで、あらゆる場面で活用できるノウハウ・スキルを体系的に身に付けられます。目の前の業務に対しても、違う観点から考えられるようになったり、効率的な手段を考えられるようになるなど、スキルの引き出しが広がるので、自分で考えて行動できる人材が育ちやすくなります。
労働力人口が減少するなか、生産性を維持していかなければいけない現代において、必要な「指示待ちではなく自走できる」人材を育てることにつながります。
業務に必要な知識をインプットし、知識の土台を作れる
OJTを実施する際に、業界のことや基本的なビジネスマナーなどをイチから教えていては思うように研修が進みません。研修を効率的に進めるためにも、基本的な内容は、実践に入る前にOFF-JTで予め体系的に整理しておくことが必要です。
OFF-JTによって一度マニュアル的な知識を身につけておけば、実際の業務に取り掛かる際も、何から取り組めばよいのか分からないといった事態を防ぐことが可能です。OFF-JTで身につけた知識をOJTで改めて実践し、整理する、といった形態を取ることで、効率よく学んだことを実践できます。
今後のステップアップにつながる知識も学ぶことができる
OFF-JTの形態として、「階層別に実施する」「職能別に実施する」「目的別に実施する」といったものが挙げられます。個人の能力や階層ごとに別々の研修内容を用意することで、通常の業務で必要とされている内容よりも発展的な内容を学ぶことができます。業務ですぐには必要ではなくとも、今後のステップアップにつながる知識も学ぶことができるという点も、OFF-JTが必要とされている背景です。
将来的に必要となる知識についても、実際の業務を通じて学ぶOJTの形式より、OFF-JTで集中的に身につけてもらったほうが効率的です。
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OJTとOFF-JTはどう組み合わせる?
ここまで見てきたように、OFF-JTとOJTには教育内容や教育コストといった面でいくつかの違いがあります。それぞれの研修手法には特徴があるため、どちらかが優れている、というわけではありません。両者を目的別に使い分けるとともに、有機的に組み合わせることによって最大限の効果を引き出すことができます。OJTとOFF-JTの組み合わせ方について見ていきましょう。
OFF-JTで知識の土台を作る
いくら指導担当の先輩社員がいるからといって、いきなり新入社員に業務を任せると「何から手をつければよいのか分からない」といった状態を招いてしまいかねません。OFF-JTとOJTを組み合わせる際は、まず始めにOFF-JTを利用して基本的な知識を身につけてもらいましょう。
例えば、OFF-JTで顧客へ送るビジネスメールの作成方法やマナーを学んだ後、OJTで新入社員が作ったメールの文章をOJTトレーナーがフィードバックする、というような形で、OJTの知識の土台をOFF-JTで作ります。OFF-JTで基本的な知識を一通りおさらいすることで、OJTで実践的な業務をこなしてもらう前の足がかりとすることができます。
OFF-JTで交流することでオンボーディングにもつながる
OJTは単発的に実施すればよいというわけではなく、数週間から数ヶ月、長いときには年単位で実施する必要がある継続的な施策です。OJTを実施したもののマンネリ化してしまい、途中からほとんど効果が上がらなくなってしまったという声もよく聞きます。スムーズに組織へ馴染むオンボーディングを実現するためにも、OJTの合間にOFF-JTによる交流を挟むことが大切です。
例えば、OJTの途中に学んだ知識をもとにしたロールプレイング大会を実施した、という事例があります。OJTで学んだ事例の共有やロールプレイングといった施策を組み入れることで、社員間の交流につながる効果があります。
OJTで知識をアウトプットする
OFF-JTで必要な知識を身につけてもらったあとは、OJTで学んだ知識をアウトプットしてもらいましょう。OFF-JTで一度身につけた知識を実践するため、いきなりOJTに取り掛かるよりも早く実践できるようになることが期待できます。OFF-JTで身につけた知識が薄れてしまわないうちにアウトプットの機会を提供することが重要です。
インプットした知識をトレースしながら業務に取り組むことで、学んだ知識の定着を図ることができます。新入社員の自立を促すためにもまずは一人でやってもらい、そのあとにフィードバックを行うようにしましょう。
OFF-JTで次のステップの知識を得る
OJTで知識のアウトプットを行ったあとには、節目となるタイミングでOFF-JTを再度実施することがおすすめです。ここで実施するOFF-JTでは、まずOJTで実践した内容の振り返りを行います。業務の実践中にどのような問題が発生し、どのように対処したのかといった事例の共有や、指導担当からのフィードバックなどが主な内容です。
さらに、OJTで実践したスキルよりも一段上の内容をOFF-JTで身につけておくとよいでしょう。今後必要となる知識をあらかじめインプットしておくことで、社員に即戦力として活躍してもらうための知識の土台を作ることができます。
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OJT・OFF-JTのよくある質問
OJTとOFF-JTの違いや、これらの組み合わせ方について見てきました。両者には互いに異なる特徴があるため、教育したい内容に応じて柔軟に組み合わせたトレーニングを実施することが重要です。この記事の最後に、OJTとOFF-JTに関するよくある質問をまとめて紹介します。OJTとOFF-JTという枠組みの違いや、それぞれの最適な割合について、より深く理解しましょう。
OFF-JTを実施している企業は多いですか?
厚生労働省が令和3年に実施した調査によると、OFF-JTを実施していると回答した事業所の割合は70.4%となっています。内訳としては「正社員のみ実施した」と回答した企業が最も多く40.6%となっており、次いで「正社員と正社員以外、両方実施した」と回答した企業が28.6%です。
実際に7割近い企業がOFF-JTを実施していることからもわかるように、近年OFF-JTの人気は高まりを見せています。特に新入社員に対してOFF-JTを実施した企業は57.2%と多くなっており、若手の社員をターゲットとしたOFF-JTがメジャーとなっています。
OJT・OFF-JTで使える助成金はありますか?
OJTやOFF-JTといった人材育成の施策を実施する際には、厚生労働省が用意している「人材開発支援助成金」を利用することができます。この助成金は、企業に人材育成へ力を入れてもらうことを主な目的として設置された助成金で、事業主が労働者に対して訓練を実施した場合に受給することが可能です。
助成される内容としては、研修にかかった経費や賃金の一部となっています。令和4年の9月から制度の見直しが行われ、より広い事業所が人材開発支援助成金を利用できるようになりました。
参考:人材開発支援助成金
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OFF-JT・OJTともにアルー株式会社にお任せください
アルー株式会社は、「育成の成果にこだわる」をコンセプトにした研修を実施している、人材育成の専門企業です。これからの時代を生き抜く人材の育成に力を入れており、数多くのOFF-JTやOJTの支援実績があります。
グローバルな人材の育成を始め、新入社員向けのOFF-JTからベテラン社員向けのOFF-JTまで、幅広く対応させていただきます。
また、eラーニングを活用した研修に使える学習管理システム(LMS)の「etudes」もご用意しております。
また、OJTトレーナーに対する研修については、以下のページや事例も参考にしてください。
▼中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京様で実施したOJT支援
【事例】OJTトレーナー年間プログラム 最終報告会を終えて(中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京株式会社)
▼OJTトレーナー研修について詳しくはこちらのページをご覧ください。
OFF-JTによる社員研修の実施をご検討の際は、ぜひアルー株式会社へお任せください。
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OJT・OFF-JTのよくある質問
OJTとOFF-JTの違いや、これらの組み合わせ方について見てきました。両者には互いに異なる特徴があるため、教育したい内容に応じて柔軟に組み合わせたトレーニングを実施することが重要です。この記事の最後に、OJTとOFF-JTに関するよくある質問をまとめて紹介します。OJTとOFF-JTという枠組みの違いや、それぞれの最適な割合について、より深く理解しましょう。
OFF-JTを実施している企業は多いですか?
厚生労働省が令和3年に実施した調査によると、OFF-JTを実施していると回答した事業所の割合は70.4%となっています。内訳としては「正社員のみ実施した」と回答した企業が最も多く40.6%となっており、次いで「正社員と正社員以外、両方実施した」と回答した企業が28.6%です。
実際に7割近い企業がOFF-JTを実施していることからもわかるように、近年OFF-JTの人気は高まりを見せています。特に新入社員に対してOFF-JTを実施した企業は57.2%と多くなっており、若手の社員をターゲットとしたOFF-JTがメジャーとなっています。
参考:厚生労働省 令和3年度「能力開発基本調査」
OJT・OFF-JTで使える助成金はありますか?
OJTやOFF-JTといった人材育成の施策を実施する際には、厚生労働省が用意している「人材開発支援助成金」を利用することができます。この助成金は、企業に人材育成へ力を入れてもらうことを主な目的として設置された助成金で、事業主が労働者に対して訓練を実施した場合に受給することが可能です。
助成される内容としては、研修にかかった経費や賃金の一部となっています。令和4年の9月から制度の見直しが行われ、より広い事業所が人材開発支援助成金を利用できるようになりました。
参考:人材開発支援助成金を利用しやすくするため 令和4年9月1日から制度の見直しを行いました
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まとめ
OJTとOFF-JTによる研修実施の方法や、それぞれの特徴についてまとめました。両者にはそれぞれ得手不得手があるため、教育したい内容に合わせて柔軟に使い分けるとともに、上手く2つを組み合わせることが重要です。特にOJTは社員育成の要として多くの企業で用いられている研修方法ですが、時にはマンネリ化してしまう可能性もあり、OJTだけでは効率的ではないこともよくあります。
OJTが持つデメリットを上手くOFF-JTで補ってあげることで、最大限に効果を発揮するトレーニングを実施することが可能です。ぜひこの記事の内容を参考に、効果を発揮するトレーニングを実施し、新人の戦力化を促進していきましょう。
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