
OJTトレーナーや教育係に向いていない人の特徴6選! 失敗しない育成策は?
OJTとは、「職場内訓練(On the Job Training)」と呼ばれる人材育成手法の一つです。
実務を通して学ぶ訓練を意味しており、主に新入社員が入社するタイミングで実施されることが多い傾向にあります。
また、近年では異動などの仕事内容の変更に伴ってもOJTが行われています。
そのOJTの効果を十分に発揮するためには、教育を行うトレーナーの能力や人柄が非常に重要です。
この記事では、OJTトレーナーとして向いていない人の特徴や失敗しないための選出方法、OJTトレーナー就任後に「向いていない」と感じてしまう人への支援策などを解説します。
OJTについての詳細は以下の記事をご覧ください。
『OJT教育とは?指導やマニュアル作成のコツ、メリット・デメリット』
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OJTトレーナーに向いていない人の特徴6つ
OJTは、経験豊富な上司や先輩などがトレーナーとなり、実際の業務を遂行しながら実務を教えていくという社員育成方法です。
OJTを活用することでより実践的に学習することができ、即戦力としての能力も身に付けられるため、比較的短期間で現場に順応できるという点が最大のメリットといえます。
しかし、経験豊富であれば誰がトレーナーでも良いというわけではありません。
下記にて、具体的にどのような社員がトレーナーに向いていないかを解説します。
まず否定から入る
まず否定から入る人はOJTトレーナーに向いていません。 新入社員や後輩が業務に取り組んだ際、最初にその努力や取り組みを評価せず、いきなりミスや不足している点を指摘するトレーナーは、指導を受ける側にとって大きなストレスとなります。 否定的なフィードバックが続くと、受け手は「自分はできていない」「失敗してばかりだ」という感覚に陥り、モチベーションが低下します。 また、トレーナーとの信頼関係が築きにくくなり、相談や質問をしにくい環境になってしまいます。
自分のやり方を押し付ける
OJTにおいて、トレーナーが自分なりの業務のコツについてレクチャーすることは非常に良いことです。 新入社員はそれらを参考にすることで、効率良く業務を進められるようになります。 しかし、コツを教えるというわけではなく、やり方を無理に押し付けるようなことをしてしまうと、新入社員は「本当にこれで良いのだろうか」「やり方が自分に合わない」と不安になってしまう場合があります。 OJTの場合、あくまでも規定通りの業務方法を教え、そのうえでコツを伝えるに留めることが大切です。自分のやり方を押し付けたり、自分のやり方以外を許容できない社員はOJTトレーナーには向いていない可能性が高いです。
指導内容が曖昧
OJTを成功させるには、指導内容が明確になっていることが大前提です。 何を指導したいのか、どういったことを教えたいのかが曖昧だと、新入社員にうまく伝わらない可能性があります。 そうすると、新入社員は指導内容を理解するまでに時間がかかってしまい、成長が鈍化してしまうかもしれません。 そのため、指導内容を把握できず、的確に指導できない社員は、トレーナーに向いていないといえます。
OJTの目的を理解していない
OJTトレーナーに向いていない人の特徴の一つは、OJTの目的を理解していないことです。
なぜOJT教育を行わなければいけないのかを理解していないため、やらされ感が出てしまい、新入社員や後輩が学び、成長するためのサポートを提供する意識がもてません。
結果として、トレーニングが効果的に行われず、新入社員が自信を持って業務を遂行できるようになるまでに時間がかかることがあります。
OJTを行う上では、新入社員の現状のレベルや課題を把握し、計画的に知識やスキルを習得させることが重要です。トレーナーがOJTの目的を理解していないと、体系的な指導ができず、トレーニング内容が場当たり的になりがちです。
コミュニケーションが苦手
OJTトレーナーにはまず、コミュニケーション能力が必要です。相手の意見や考えなどをしっかりと聞いてくみ取れる力や、伝えたい内容を正しく伝えられる力が求められます。
また、新入社員が職場に慣れ、先輩社員を信頼し、悩みや考えていることを打ち明けるまでには時間がかかります。
そういった場合は、実務以外でコミュニケーションを取ってお互いの性格や特性などを理解することで、業務がスムーズに進められるようになるでしょう。
そのため、コミュニケーション能力が低く、伝える力がなく言いたいことが伝わらない人や、聴く力がなく相手の意見を聞けない人は、OJTトレーナーには不向きです。
コミュニケーション力が高い人の特徴は以下のページで解説しています。
自分が忙しく、後輩を見る余裕がない
OJTでは、トレーナーは自分の抱える業務を遂行しながら新入社員の教育を行うのが前提です。自分の業務と新入社員の教育を並行で行うには、かなりの時間と労力がかかります。忙しすぎる社員がOJTトレーナーになると、教育のための十分な時間が取れず新入社員を放置してしまったり、業務も教育もどっちつかずになってしまい両方成果がでなかったりといった事態になりかねません. そのため、自身の抱えている業務量が多く、新入社員の教育まで手が回らないという社員は、OJTトレーナーには向いていないといえます。
OJTトレーナーに向いている人の特徴
では、どのような社員がOJTトレーナーに向いているのでしょうか。
ここからは、OJTトレーナーに向いている社員の具体的な特徴を解説します。
業務知識やスキルが豊富
トレーナーとして新人教育を行う際、業務に関する一定以上の知識やスキルを保有していなければ満足な指導はできません。
しかし、単純に一定以上の知識やスキルを持っていればトレーナーとして十分に能力を発揮できるかといえば、それもまた違います。
豊富な知識やスキルを保有した上で、コミュニケーションスキルやティーチングスキルを持った人が、トレーナーに向いているといえるでしょう。業務知識があることは大前提として、OJTトレーナーを選出しましょう。
自分の業務は抜かりなくこなし、新人教育の余裕がある
上述した通り、自身の抱える業務量が多く、忙しくて手一杯の社員はOJTトレーナーには向きません。
そのような社員は、時間はもちろんのこと、気持ちにも余裕がなくなってしまい、業務と新人教育を並行して行うのは難しいと考えられます。
そのため、自身の業務を無理なくこなせており、新人教育をする余裕がある社員はトレーナーに向いているといえます。
業務を無理なくこなすには、企業側でも業務の調整を行う、業務が忙しい時のために複数のトレーナーを任命しておくなどのフォローも必要になるでしょう。
率先して新人教育に取り組める
率先して新人教育に取り組める社員もOJTのトレーナーに向いているといえます。
企業側からトレーナーを任せられ、仕方なく担当するという社員では、新入社員を放置してしまったり、新入社員のモチベーションが低下してしまったりする危険性があります。
OJTを実施することによる企業側のメリットや、自分自身のメリットを見出し、率先して取り組める人材がOJTトレーナーに適しているといえるでしょう。
褒め方・叱り方・教え方が上手
OJTを行う際、「褒める」や「叱る」という部分は非常に重要です。
良かったところは積極的に褒めることで、新入社員のモチベーションにもつながります。
ただし、単純に褒めるのではなく、「○○がとても良かった」や「○○できていたところが良かった」など、明確かつ具体的な部分を褒める必要があります。
また、業務手順が間違っていた場合や人に迷惑をかけてしまった場合は、叱ることも必要になりますが、感情的に伝えてしまうと怒られていると感じてしまう方も少なくありません。
そのため、叱る際も言葉や態度などを考慮する必要があり、褒めるとき同様に具体的な改善点を伝える力が求められます。
さらに、教え方が上手であれば新入社員の呑み込みが早くなるため、OJTトレーナーに向いていると言えます。
周囲を巻き込むのが得意
新入社員の教育は本来、組織全体で行っていくものです。OJTトレーナー以外の社員が新入社員の教育に積極的でない場合、彼ら・彼女らの意識を新人教育に向けさせることもOJTトレーナーの役割の一つです。
OJTトレーナー以外が新入社員と関わるようになると、OJTトレーナーにとっても新入社員にとってもよい効果が生まれます。OJTトレーナーは新入社員の教育にかかる負荷を減らせますし、新入社員はOJTトレーナー以外の先輩社員とのつながりができ、職場や業務への順応が早まります。
周囲を上手に巻き込みながら仕事することで、新人社員や先輩とも良好な関係づくりができ、効率的に業務を進められて自分の負担を低減させることが可能です。
OJTにおいては、
- 自分が忙しい場合には新入社員にどう指示をしてほしいか他の社員に伝える
- 上司からのフィードバックを得て、OJTをブラッシュアップする
- 新入社員が組織に馴染めるよう、他社員も含めてコミュニケーションを取る
など、周囲を巻き込みOJTを成功に導くことが大切です。
そのため、上手に周囲を巻き込みながら業務を進められる社員は、トレーナーとして向いているといえるでしょう。
周囲を巻き込む力について詳しくは以下のページをご覧ください。
『巻き込み力とは?リーダーに必須の「迷惑でない巻き込み力」の鍛え方』
企業のビジョンや戦略をよく理解している
企業が目指す方向性や長期的な目標を把握しているトレーナーは、その知識をもとに、トレーニング内容を効果的に組み立てることができます。
具体的には、新入社員や後輩に対して、依頼した業務が企業全体にどう貢献するのかを説明し、会社の一員としての自覚を持たせることができます。
また、企業のビジョンを理解していることで、企業ビジョンに則った指導方針を保つことができるため、迷いなく新入社員を育成できるのです。これにより、新入社員は会社の方向性を理解し、自分の役割に対して責任感を持ちながら成長できるでしょう。
そもそもOJTとは
OJTとは、”On-the-Job Training” の略で、業務の中で必要な知識を身につけていく育成施策のことを指します。厚生労働省がまとめた能力開発基本調査によると、計画的なOJTを行っている企業は61.8%で、半数以上の企業がOJTを取り入れています。
OJTを実施する際は、経験豊富な上司や先輩が実際の業務を題材にしながら、若手社員や後輩へ必要な知識を伝えていきます。OJTを実施することで、若手社員は学んだ知識のアウトプットを繰り返しながら知識を定着させていくことができるのが大きな特徴です。
▼OJTについては、下記の記事でも詳しく解説しています。
『OJT教育とは?指導の手法やマニュアル作成のコツ、メリット・デメリット』
OJTとOFF-JTの違い
OJTと同時に用いられることの多い教育手法がOFF-JTです。OFF-JTは職場を一時的に離れて行う教育訓練の総称で、研修・セミナーの受講や通信教育、eラーニングなどを通じて業務に必要な知識を身につけることができます。
OFF-JTは体系化された知識を学ぶ際に向いた教育手法であり、大人数を一斉に教育ができるので教育内容にムラが生まれづらいという特徴があります。一方、OJTは実践的な知識を身につけるのに向いています。指導者によって教育の質にムラが出やすい点がデメリットです。
OJTとOFF-JTの違いについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
『OJTとOFF-JTの違いは?それぞれのメリットや組み合わせ方を紹介』
OJTでよくある失敗例
ここまでトレーナーに向いていない社員と向いている社員について述べてきました。
適さない社員をトレーナーとして選出すると、教育の質が低下し、さまざまな失敗につながる恐れがあります。
ここでは、トレーナーに適さない社員を選出した場合に生じる失敗例を3つ紹介します。
ただの放置になってしまう
OJTは、実務経験を通じてスキルや知識を身に付ける教育方法であり、ただ仕事をさせればよいわけではありません。「OJT教育の手法とは?指導のコツを解説」の記事で紹介したように、「やってみせる」「言って聞かせる」「させてみる」「ほめる」というプロセスで指導することが求められます。
▼OJTの指導方法について詳しくはこちらの記事もご覧ください。
教育目的や教育方法をしっかりと理解していない社員がトレーナーになってしまった場合、「放置されている」と新入社員が感じる状況を作ってしまうことになりかねません。
「実際にやってみせない」「説明が不十分」「フィードバックをしない」といった状態が続くと、新入社員は不安に感じ、組織への信頼も揺らぐ可能性があります。
放置してしまうと、新入社員にスキルが身につかないだけでなく、組織へのエンゲージメント低下や早期離職に繋がります。
OJTで放置してしまうことの危険性や解決策は以下のページで解説しています。
『OJTは放置することじゃない!退職されないためのOJTの方法とは』
個人の成長度合いにばらつきが生じる
OJTは、基本的には同じ講師の指導を受ける研修やセミナーとは異なり、新入社員それぞれに異なるOJTトレーナーがつきます。そのため、OJTトレーナーの知識やスキル、考え方によって指導方法や指導内容にバラつきが生じる傾向にあります。
こうしたばらつきを軽減するためには、トレーナーになる方への研修やOJT用マニュアルを用意し、あらかじめトレーナーとしての指導スキルを向上しておくことが必要です。
OJTトレーナー(教育者)の負担が大きくなり業務がまわらない
OJTトレーナーは、自身が抱えている業務と並行して新人教育を行うことになります。
その結果、OJTトレーナーの負担が大きくなる傾向にあり、場合によってはOJTトレーナー自身の業務が回らないということも少なくありません。
トレーナーの負担が大きくなることを上司や先輩など、あらかじめ企業側が理解し、業務量の調整や他社員の協力を仰ぐなどのフォローが必要になるでしょう。
優秀なOJTトレーナーを選ぶためのポイント
上述したことを踏まえ、より優秀なトレーナーを選びたいと思う方も多いのではないでしょうか。
ここではより優秀なトレーナーを見極めるためのポイントを4つ解説します。
新人と同世代を選ぶ
業務知識が豊富であり、効率的に業務を進められる方はトレーナーに向いているとお伝えしましたが、そのような社員の中には新入社員と年齢が離れている人もいるでしょう。
新入社員とOJTトレーナーの年齢が離れすぎてしまうと、新人社員がOJTトレーナーに対して遠慮をしてしまい、思うような教育効果が得られないということも少なくありません。
また、世代が違うことで価値観も異なり、上手にコミュニケーションを図ることも難しくなる場合もあります。
OJTトレーナーを任命する際には、新人社員と年齢が近い方を選ぶとコミュニケーションしやすいでしょう。
当事者意識を持っている人を選ぶ
OJTのトレーナーには、さまざまな物事を自分のことのように考えられる当事者意識の高さが必要不可欠です。
当事者意識が高いことで、トレーナーとしての役割に対する理解が深くなり、新人社員に対して的確な指導ができるようになります。
また、新人社員の悩みや疑問点などを自分のことのように受け止められることで、理解し合うことができ、良好な信頼関係を築くことができるでしょう。
柔軟性のある指導ができる人を選ぶ
柔軟な指導ができることもOJTトレーナーにとっては重要です。
現在はリモートワークでのOJTも進んでいることや、価値観の違う新入社員が入ってくることもあり、環境や人材の適性に併せて柔軟に指導することが求められます。
柔軟性があれば、研修環境や、新人社員の特徴や性格、課題に合わせて指導方法を変更することができ、一人一人に合った指導ができるようになります。
成長を見守ることができる人を選ぶ
OJTトレーナーの能力として、しっかりとした教育指導ができることが第一に重要です。
しかし、それだけではなく、新人社員の成長を信じ、見守ることができることも大切な資質の一つです。
仕事を覚えることやスキル習得などは個人差が大きくでるため、すぐに結果が出ないということも珍しくありません。
そのようなときでも焦らずにじっくりと見守れることが大切です。
また、人を信じられるような方がトレーナーを務めることで、新人社員が期待に応えようとし、信頼関係が生まれやすくなるでしょう。
OJTトレーナーは悩みを抱えやすい!企業ができる支援策とは
OJTのトレーナーは教育するという立場であるため、「業務との両立が難しい」「OJTトレーナーに初めて指名され、指導方法がわからない」などの悩みや心配事などを抱えやすい傾向にあります。
そのような場合、企業としてどのような支援ができるか気になる方も多いでしょう。
ここでは、企業側ができる支援策を3つ解説します。
OJTトレーナーの事前研修を行う
OJTトレーナーの事前研修を行うことが支援策の一つとして挙げられます。
OJTトレーナーが何をどう教育すれば良いのかを理解していなければ、OJT教育は成功しません。
そのため、あらかじめ指導するための研修を行い、マニュアルなどの整備を行っておくことでスムーズにOJTを進めることができます。
アルーのOJTトレーナー研修について詳しくは以下のページをご覧ください。
OJTトレーナー研修
▼サービス資料をメールで受け取る
OJTトレーナーの業務量を調節する
OJTトレーナーの多くは自分の業務と新人教育を両立して行わなければなりません。
そのため、OJTトレーナーの業務量を調整することも企業側ができる支援策の一つです。
OJTトレーナーが新入社員を教育しながら日々の業務を普段通りにこなせるほどの余裕があるのであれば問題はありませんが、時期によって業務量が増え、新人教育に手が回らなくなるということは少なくありません。
そのため、それらを事前に考慮し、OJTトレーナーが無理なくこなせる業務量に調整することで、より効果的な新人教育を行うことができます。
OJTの進捗を共有させてサポートする
OJTによる新人教育が進んだら達成度や進捗状況を共有してもらうことも支援策の一つです。
進捗を共有してもらうことで、「どの程度進んでいるか」や「予定通り教育できているか」などを把握することができます。
万が一、教育が滞っていたとしてもその原因や理由を分析することができ、改善するための手段として活用できます。
進捗を共有してもらう場合は、定期的に行うほうが良いでしょう。
OJTを成功させるためのポイント
OJTを成功させるポイントを2点ご紹介します。
育成計画を立て、仕組みづくりをする
OJTを効果的に進めるには、計画的な育成プランと継続的に運用できる仕組みが必要です。育成計画を作成することで、教育効果を最大化し、進捗管理や引き継ぎをスムーズに行うことができます。計画があることで、育成の全体像やゴールが明確になり、一貫性のある指導が可能です。
また、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回しやすくなるため、成長の進捗を確認しやすくなります。さらに、担当者の引き継ぎが容易になり、長期的な人材育成が実現できます。
OJTの効果を高めるためには、場当たり的な指導ではなく、明確な育成計画のもとで体系的な指導を行うことが重要です。
▼人材の育成計画については、下記の記事で詳しく解説しています。
『【テンプレートあり】人材育成計画の作り方や計画書の事例を紹介』
OJTシートを使用する
OJTを成功させるためには、OJTシートの活用もおすすめです。
OJTを効果的に進めるためには、新入社員とOJTトレーナーが育成の目的や計画を共有することが重要です。いつまでに何ができるようになるべきかを明確にすることで、モチベーションの維持や効率的な学習につながります。そのために、OJTシートを活用しましょう。
OJTシートには、「新入社員に伝えたいこと」「学習を促進する工夫」「トレーナーの役割」「具体的な行動」などを記入し、育成計画を可視化します。
これにより、指導内容が明確になり、新入社員も学ぶべきポイントを把握しやすくなるため、OJTの質が向上します。計画的で効果的な指導を行うために、OJTシートを活用しましょう。
▼OJTシートの書き方や活用方法については、下記の記事でも詳しく解説しています。
『OJTシートとは|メリットや書き方のポイントを紹介』
現場で放置せず、社内全体で取り組む
OJTでは、「これをやっておいて」「後で声をかけるね」と指示を出したまま、新入社員が放置されるケースが少なくありません。OJTトレーナーが忙しくフォローできないと、作業が中断し、長い待ち時間が発生してしまいます。この状況が続くと、新入社員は「放置されている」と感じ、意欲の低下につながる可能性があります。
この問題を防ぐためには、OJTをトレーナー任せにせず、社内全体で取り組むことが重要です。適切なフィードバックが行われているか、OJTトレーナーと新入社員のコミュニケーションが取れているかを確認し、他の社員もフォローできる体制を整えることで、新入社員が安心して学べる環境をつくることができます。
新入社員の成長を支えるために、職場全体でOJTに取り組む意識を持つことが大切です。
▼OJTの効果的な進め方やポイントについては、下記の記事でも詳しく解説しています。
『OJTとは?OFF-JTとの違いや効果的な方法をわかりやすく解説』
企業は新入社員への支援も忘れずに
OJTは基本的にトレーナーが行いますが、全て任せきりにするということは望ましくありません。
企業側としても新入社員に対する支援を行っておくことが大切であり、そのための環境を整えておくことが必要です。
ここでは、特に行うと良い支援について2つ解説します。
新入社員から話を聞く機会を設ける
定期的にトレーナー以外の人事担当者などが新入社員から話を聞く機会を設けると良いでしょう。
可能な限り話しやすい環境をつくり、1対1での面談などでOJTに関する心配や不安がないかの確認を行います。
そのなかでOJTの進め方の課題や改善点を見つけ、PDCAサイクルを回すことが大切です。
フォローアップ研修を受けさせる
OJTをはじめてある程度経ったタイミングでフォローアップ研修を受けさせるのも一つの手です。
フォローアップ研修を受けることで、自身を振り返ることができ、現在の自分の状況を確認することができます。
具体的には、「上手くできたこと」や「失敗したと思う部分」などが明確化されます。
自分自身にどのような傾向が見られるかを把握し、足りないと思うスキルや知識を補うことで自分の強みと今後の課題を踏まえたOJTの進め方を策定できるようになるでしょう。
アルーが行っているフォローアップ研修については、以下のページをご覧ください。
▼サービス資料をメールで受け取る
アルー株式会社の人材育成
アルーでは、 OJTトレーナーへの人材育成を行っています。
「OJTトレーナー研修」では、未来のトレーナーとなる方の第一歩として、指導力を身に付ける研修です。
新人社員との関係構築や指導方法などのトレーニングを行い、トレーナーの指導力を向上させることで、新入社員の成長を効率的に促すことを目標としています。
自社のトレーナーの指導力にばらつきを感じている場合や効率的に指導できずOJTが活用できていないという方は、アルーの研修をぜひご検討ください。
▼OJT教育に役立つ研修
OJT施策の成功事例
アルーによるOJT施策の支援事例を紹介します。アルーでは各社の課題背景から、ゴール設計を行い、研修プログラムの設計から実施後の効果測定までをサポートしております。
中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京株式会社
中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京株式会社では、2014年にOJT制度を導入しました。2014年以前は歳の離れた管理職が新入社員を指導するなど、新入社員の受け入れ態勢に課題を感じていました。
そこでアルーでは、はじめてOJTに取り組むトレーナー向けの研修を実施しました。OJTの心構えや指導のコツなどを伝え、現場で使える「OJTハンドブック」も配布しています。
受講者の一人からは、このOJTハンドブックを何度も読み返し、OJT指導に活かすことができたとの声を頂いています。
中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京株式会社の導入事例については、以下のページをご覧ください。
【中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京株式会社様導入事例】OJTトレーナー年間プログラム 最終報告会を終えて
日揮ホールディングス株式会社様 指導員研修導入事例
日揮ホールディングス株式会社様では、OJTの指導員について下記の課題をお持ちでした。
- これまでの指導員研修は、不定期で実施しており、指導員同士の意見交換と交流が中心だった
- 指導員の役割に求められるマインドセット・スキルセットにバラつきがあった
上記の課題を踏まえ、「新入社員との関係構築について改めて考えるきっかけをつくり、更に良い関係構築に繋げる」という点を研修の最も重要な軸とすることとなりました。この軸から研修内容を紐解き、研修では指導員に向けて、関係構築スキルと指導スキルを習得することを目的とした実践ベースの研修を提供しました。
研修の成果として、受講者の多くが指導員研修で新しい気付きを得て、毎日新入社員とコミュニケーションを取っている指導員が8割以上に及んでいる点が挙げられます。また、受講者の声として「OJT指導者の責務を再確認できた」、「チームで育成する必要性を感じた」といった声も出ております。OJT指導員の現状のスキルを踏まえ、さらなるレベルアップのために指導スキル向上のための研修を導入した事例です。
本事例に関しては、以下のページで詳細をご覧いただけます。
指導員から新入社員に関わることで、新入社員との関係構築を重視した指導員研修
近畿日本ツーリスト株式会社様 OJT担当者研修導入事例
近畿日本ツーリスト株式会社様では、OJT担当者に指名された3~5年目の若手社員について、以下の課題をお持ちでした。
- 業務の多くは現場対応が中心でマニュアルが少なく、仕事を現場で覚えてもらう必要があるので、現場で仕事を教えるOJT担当者の教え方や意識を共通言語化させたい
- OJT担当者の主観や経験則だけで指導するのではなく論理的思考力を併せ持った上で、指導できるように身につけてもらいたい
- 新入社員がありたい姿に近づけるよう支援をして、周りの人を支援する姿勢を持ってほしい
上記の課題解決のため、「新入社員とOJT担当者の成長」というテーマを取り扱う研修の実施が最適解であると判断され、研修内容としてはティーチングやコーチングのスキルのほか、論理的思考力の強化のためのカリキュラムも盛り込むこととなりました。
成果として、受講者アンケートからは情報や意識のアップデートを実感できたことを示すようなコメントが多く見られたほか、「横のつながりができた」「自身の教え方を見直す機会を持てた」などの声が上がっており、研修設計では実践できるようになるためにワークを重視していたため、その狙いが受講者の声から聞くことができたという点で成果が見られました。論理的思考力を併せ持ったうえで指導できるような人材を育成するためにOJT担当者研修を導入した事例です。
本事例に関しては、以下のページで詳細をご覧いただけます。
新入社員とOJT担当者の両方の成長を図ったOJT担当者研修
▼事例資料をメールで受け取る
まとめ
OJTには豊富な知識や経験、スキルなどが必要不可欠であり、誰でもOJTトレーナーになれるというわけではありません。
また、コミュニケーション能力の高さや当事者意識なども必要な要素です。
そのため、これらの能力を保有していない方はOJTトレーナーには向いていないといえます。
OJTによる教育を成功させるためにも、この記事の内容を参考にし、適切なOJTトレーナーの選定とOJTトレーナーへの支援を行いましょう。