新入社員とOJT担当者の両方の成長を図ったOJT担当者研修
近畿日本ツーリスト株式会社様 導入事例

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左から沼田様、西川様、雨宮様、嶺

近畿日本ツーリスト株式会社では、OJT制度を定めています。その制度の一環として、新入社員とOJT担当者の両者が成長できるOJT担当者研修を実施しました。OJT担当者の意識改革や指導スキル・指導方法を共通言語化した背景や施策内容をご紹介します。

課題・背景

  • 業務の多くは現場対応が中心でマニュアルが少なく、仕事を現場で覚えてもらう必要があるので、現場で仕事を教えるOJT担当者の教え方や意識を共通言語化させたい

  • OJT担当者の主観や経験則だけで指導するのではなく論理的思考力を併せ持った上で、指導できるように身につけてもらいたい
  • 新入社員がありたい姿に近づけるよう支援をして、周りの人を支援する姿勢を持ってほしい

実行施策

[ 研修対象者 ]

OJT担当者に指名された3~5年目の若手社員

[ 研修テーマ ]

新入社員とOJT担当者の成長

[ 研修内容 ]

  • 新入社員の指導育成方法と、ティーチングやコーチングのスキルを身につける
  • 論理的思考力の強化
  • ワークを多めに実施

成果

  • 受講者アンケートから、「情報や意識をアップデートできた」「横のつながりができた」「自身の教え方を見直す機会を持てた」「ワークでブラッシュアップできた」という声が上がっている
  • 横のつながりができ、悩みを共有する場を提供できた
  • 新入社員がOJT担当者のようになりたいと考えている
会社名 近畿日本ツーリスト株式会社
従業員数 1,781名(2023年10月)
事業内容 旅行業
KNT-CTホールディングス株式会社
コーポレート・コミュニケーション部
KNT-CTアカデミー

西川 美津子 
近畿日本ツーリスト株式会社
人事部 課長

雨宮 夕貴 
近畿日本ツーリスト株式会社
人事部

沼田 阿友美 

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文内、敬称略

-貴社の事業内容と部署の役割を教えてください

雨宮 近畿日本ツーリスト株式会社の事業内容は、旅行業になります。
私たちは人事部内にある人財育成チームに所属し、社員の教育や研修、資格取得補助等を担当しています。私は、採用チームと人財育成チーム双方を見ています。

西川 私は、新入社員から管理職までの社員全員を対象とした人材育成をメインで行っています。(現在は、KNT-CTホールディングスの新しい部署で、グループ横断の人材育成に携わっています。)

沼田 私は、人財育成チームの後方支援を行っています。研修の実施に向けての準備や、参加者のリスト作成、事前・事後課題やアンケートの集計などを担当しています。また研修の他にも、キャリア採用も担当しています。

課題・背景

マニュアルが少ない業務だから、現場で教えるOJT担当者の意識とスキルの共通言語化が大切

-OJT制度ができた背景とOJT担当者研修を行った背景を教えてください

西川 当社の業務は対人業務のため、マニュアルがあってもその時その時で細かい対応が異なるため、どのような場面でも共通するマニュアルを作ることは業界特性上難しいです。

雨宮 かつての当社の社風は「習うより慣れろ」でした。簡単なシステムの使い方などのマニュアルはありますが、特に添乗業務は対人業務なのでマニュアル通りにはいかないことが多く、その場で対応していく必要があります。現場で業務を繰り返し経験することで慣れていく必要がありました。

そのため、当社の中堅層はマニュアルなしで仕事を覚えてきましたので、最近の新入社員がマニュアルなしでは動けない様子に戸惑う社員も一部いました。OJT担当者研修を通じて、新入社員にとって分かりやすい教え方をしていく必要がある認識を共通言語化する必要がありました。

西川 そこで、新入社員には入社時導入研修で仕事内容に関する研修を実施するだけでなく、新入社員の配属先のOJT担当者の意識やスキルも共通言語化させることで、新入社員がどこに配属されても、なるべく会社が期待する共通の指導を受けられるようにしたいと考えました。
しかし、OJT担当となる現場社員も業務で多忙なため、新入社員に仕事を教えることを面倒と感じている社員も一部いましたので、新入社員だけでなくOJT担当者にとっても成長につながるOJT制度を導入することにしました。

-OJT担当者研修を実施した目的・ゴールを教えてください

西川 新入社員の成長だけでなくOJT担当者自身の成長にも繋がることを目的に企画しています。
研修で重視しているゴールの1つ目は、時代の変化と共に新入社員の考え方も変わりますので、新入社員の価値観や考え方の変化に合わせて、指導者側の教え方やスタンスも見直すことです。

雨宮 2つ目は、論理的な指導スキル強化です。当社社員の特性として、添乗業務に従事することで、瞬発力は高いが、論理的思考力が足りていないという課題もありました。なので、OJT担当者研修では論理的思考力のカリキュラムも組み込んでもらい、指導するときには主観的な指導だけでなく、論理的な指導スキルを身につけることも目的としています。「習うより慣れろ」の育成ではなくて、新入社員にとってわかりやすい教え方、伝え方、引き出し方を論理的に行えるようにしています。

また、指導スキルだけでなくOJT担当者には、新入社員がありたい姿に近づけるよう支援をしてほしいです。もっと言うと、OJT制度とは関係なく、周りの人に対して目配りや気配りができるようになり、周りの人を支援する姿勢を持ってほしいと望んでいます。

西川 3つ目は、OJT担当者にとって研修は悩みを共有する場として活用してもらうことです。OJT担当者は、3~5年目の社員に担当してもらっていますが、支店の規模によってはベテラン社員のみの支店もあります。ベテラン社員からは「今の新入社員の気持ちは難しい」という声を聞いているので、新入社員との価値観の違いや最近の動向について、横のつながりを作り情報交換をしてほしいです。

沼田 私が新入社員で入社したときのOJT担当者は、2年目の先輩社員でした。「歳の近い先輩社員がOJT担当者で良かった」と感じていました。その先輩社員は仕事へのモチベーションが高い方で「2年目にして、もう仕事を教えられるのか」と実感しました。新入社員にとっては、OJT担当者が歳の近い社員であれば、「社会人としてのマナー」など真似しやすいのではないかと思いますが、箇所によって人数や年齢層もバラバラなので、どの社員がOJT担当者になっても、新入社員の気持ちに寄り添った指導をしてほしいと考えています。

西川 今の時代の若手を理解した上での指導育成方法やスキルを教えることに特化しつつも、OJT担当者自身の成長にもつながる研修にしています。

実行施策

新入社員だけでなく、OJT担当者の成長も見込んだ研修

-OJT制度の全体像とOJT担当者研修の概要を教えてください

雨宮 当社のOJT制度は、1年間で新入社員を一人前にすることを目的として、3~5年目の若手社員をOJT担当者に指名し、実施しています。OJT担当者は、3~5年目の若手社員だけでなく、今後、成長を期待される社員も含めており、新入社員の成長だけでなく、OJT担当者自身の成長にも繋がるようにしているため、「新入社員の育成」と「OJT担当者自身の成長」を期待しているOJT制度としています。

そのOJT制度の一環として、OJT担当者研修では2回の研修を実施しています。1回目の研修実施後、約6か月間のOJT実践期間を経た上で、2回目の研修としてフォローアップ研修を実施しています。
< OJT担当者研修の全体像 >
雨宮 1回目のOJT担当者研修では、新入社員の指導育成方法とティーチング、コーチングなどのスキルを身につけてもらいました。

西川 ティーチングやコーチングというスキルを身につけるためにも研修中は演習を中心として、アウトプットできる研修にしてもらいました。また、そのアウトプットから学びがあるようにワークも取り入れてもらいました。

一部のOJT担当者にはOJT経験が2回目の方も含まれるため、過去OJT経験がある担当者でも学びを持ち帰れる研修になるように考えました。

新入社員が配属してから約6ヶ月間は、実務を通じてOJTを行いました。
1回目のOJT担当者研修で学んだことを実践するだけでなく、OJT担当者から新入社員に「業務のこと」「1年後にどうありたいか」「社会人としてどうなっていたいか」などを対話し、業務面だけでなく新入社員のキャリアについても寄り添えるような関わりをしました。

その約6か月のOJT経験後に、フォローアップとして2回目のOJT担当者研修を設けています。フォローアップでは、「実際にOJTをやってみてどうだったか」「新入社員の成長と自身の教え方」などを振り返った上で、その後の半年間で「新入社員をどう育成していくか」「新入社員とどう関わっていくか」を言語化しました。

成果

OJT担当者は成長を実感でき、新入社員はOJT担当者のようになりたいと思えた

-OJT担当者研修を実施した効果を教えてください

雨宮 受講者アンケートから、「情報や意識をアップデートできた」ことがわかっています。他にも、「横のつながりができた」「自身の教え方を見直す機会を持てた」などの声が上がりました。また、「研修中にたくさんの演習やワークがあり、研修中に自身ができていないことをできるようにブラッシュアップできている」という声もありました。研修設計では実践できるようになるためにワークを重視していたため、その狙いが受講者の声からも聞けたので良かったです。

沼田 OJT担当者研修でOJT担当者同士の横の繋がりが広がり、悩みを共有する場を提供できたことはよかったです。受講者アンケートから、それまでOJT担当者たちは、新入社員に対する接し方や教え方などOJTでの悩みを周りに相談できず、1人で悩んでいた方が多いことがわかりました。

西川 2回目のフォローアップ研修では、コーチングのGROWモデルを提示してもらいました。受講者たちは、テキストを見て、なんとなく段階を踏むことを学びましたが、実際にやろうとしたらうまくできないことを体感してもらいました。
なんとなくコーチングするのではなく、コーチングにも論理的なプロセスがあることを知れたので、現場で活かせるようになりました。

また、多くの新入社員が、教えてくれたOJT担当者の先輩みたいに「自分も3年後には後輩を教えられるようになりたい」という声も出ており、新入社員にとっても良かったと分かります。
人事部として、新入社員が3年後にOJT担当者になれるような施策をしていきたいと考えています。

今後の取り組み

-OJT担当者の育成において、今後どのようなことを実現していきたいですか?

西川 支店全体でOJTを行えるようにしたいです。OJT担当者だけがOJTをするのではなく、OJT担当者が不在時にも、支店の社員が新入社員を支援できるように、支店全体を巻き込んで、新入社員を育成できるようにしたいです。

雨宮 OJT担当者研修では、人を巻き込んで問題を解決することを教えています。研修でOJT担当者同士の悩みの共有を行ったときに、あるOJT担当者の悩みに対して周囲より「いや、それはあなたが全部背負う悩みではなくて、周囲の人を巻き込んだ方がいい悩みだよ」という共有がありました。OJT担当者の中には、責任感が強くなんでも自分一人で抱え込もうとしてしまう方も一部います。しかし、その悩みの中にはOJT担当者の責任を超えるものもありますので、当人だけで背負い込むべきではない悩みは、周囲の人を巻き込んでOJTを行えるよう支店はもちろんですが、会社全体でサポートできるようにしたいですね。

沼田 OJT担当者は自身の仕事を抱えながら研修に参加してもらっています。そのため、周りを巻き込んで新入社員を育てることがすごく大事です。しかし、まだ周りを巻き込む力が足りない方もいますので、今後の研修では人を巻き込むスキルやスタンスも含めています。

-OJT担当者の育成に限らず、人事として実現したいことは何ですか?

雨宮 人事部として、社員の育成に役立つ支援をしていきたいです。採用を増やしていくことも大切ですが、今いる社員の育成をしていくことが大切です。人事部ではCustomerを社員に置き換え、一人ひとりの社員満足=ES(従業員満足:employee satisfaction)を高めていくことをミッションとしています。そこを支援できたらいいなと考えています。
たとえば、ひとり一人が自身の成長やキャリアに関する目標を持って業務に取り掛かれるような職場環境を作っていきたいです。現在当社には、OJT制度しかありませんが、メンター制度など他の制度や研修を用意することでひとり一人の目標を支えられるようにしたいです。OJT制度の見直しも行っていくことで、よりよいOJT制度にしていきたいです。
また、業務に必要なスキルを学ぶ研修だけでなく、いろんな制度や研修を用意し、マインドやスキルを高められる環境づくりを行い、社員が積極的に「研修を受けたい」と思えるようにしていきたいです。

西川 OJT制度も最初は内製の手探りで行っていました。「OJTとは何か」からはじまり、手挙げ制にしてみたり、必須にしてみたり、どうしたら「行きたい」「学びを現場で使いたい」と思える研修になるのかをずっと考えています。
人事部としてやれることには限度があります。しかし、私たちが何の為に制度や研修を実施しているのかというと、社員のみなさんの成長が会社の品質になり、社員1人1人が大事な資産だと考えているからです。人的資本を作るために私たち人事はいるので、試行錯誤をしながら社員に「良かった」と思える研修を企画していきたいと思います。

沼田 受講者アンケートから、研修に参加することに対して、前向きな意見もあれば、モチベーションが上がらないという意見もあります。研修に参加して、モチベーションを上げた状態で、現場の仕事に臨んでもらえるような研修設計をしていきたいです。自分から参加したいと思えるような施策を、メンバーと一緒に考えていきたいと思います。

アルーを選んだ理由

-アルーを選んだ理由は何ですか?

雨宮 研修会社選定の際に、当社の課題感を要件整理もできてないまま伝えました。それをきれいに整理してくださったのがアルーでした。アルーの提案内容にも納得をし、テキストもまとめられていて分かりやすいと感じたので、アルーを選びました。

西川 アルーは、以前から別の研修でも話をさせていただき、当時の「100本ノック」というプログラム名が印象に残っていました。

-アルーは皆さんにとってどのような存在ですか?

雨宮 アルーは、頼りになる相談相手です。アルーと話をしていると、当社のとりとめのない話を整理してくださります。すごくわかりやすく整理をした上に、「こういう打ち手があります」「こういう研修をやったほうがいいです」などの提案もいただけて、納得感もあります。論理的思考が不足していることにも気付かせていただき、頼りにしています。

西川 当社で新しい施策をはじめ、他社に声を掛けるとなったときに、思い浮かぶ存在になっています。相談しやすいので、まず聞いてみようと思える存在です。

私はアルーのオンラインセミナーやメルマガをよく見ていて、アルーが取り扱う領域が豊富だと感じています。その豊富な知見から、当社の話を整理し、それに対する打ち手を出しているのだと感心しています。

沼田 アルーと話をしていると研修に向けて頑張ろうという気持ちにさせてくれるので、モチベーションをあげてくれる存在です。初めて打合せをしたとき、当社のことを分かってくれていることにびっくりしました。研修ごとの課題感を把握していたり、研修後には分かりやすく整理をした振り返り資料をくださったり、レスポンスの早さや、相談しやすさなど、びっくりすることがたくさんありました。

また、打ち合わせの前のちょっとした話が面白く、和やかな雰囲気で始めてくださるので、いい雰囲気の中、仕事を進められるのがすごく楽しいです。
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アルー営業担当からの一言

アルー株式会社
HRコンサルティング部
嶺 唯菜

”新人は組織で育てる”OJT担当者制度のポイントの1つだと考えます。
とはいえよくある企業のお悩みとしては「OJTトレーナーの責任感が強いがゆえに一人で抱え込んでしまう」「上司もみんな忙しいので新人の育成の連携がとれていない」などの実態があると思います。
本研修では、基本的な指導のスキルはもちろん、「OJTトレーナーがハブとなって周囲を巻き込むためにはどうしたらいいか」「新人の成長を戦略的にデザインするためにはどうすれば良いか」を重点的に学びました
今後はOJT担当者が新人を戦略的に成長させるだけではなく、育成の経験を積むことでOJT担当者本人にとっても成長できる機会を一緒に作っていきたいです。

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