マネージャー研修の内容と目的、効果を高めるポイント
マネージャーは、組織のパフォーマンスを大きく左右する重要な存在です。
チーム内のマネジメントを強化することで仕事が円滑に回るようになり、チーム全体としてのパフォーマンスも大きく向上します。
マネージャーを成長させるためにさまざまな企業で実施されているのが、マネージャーを対象とした研修です。
この記事では、マネージャー研修を実施する目的や内容、さらには研修の効果を高めるためのポイントなどを詳しく解説します。
より深く知るための『オススメ』お役立ち資料
目次[非表示]
マネージャー研修とは
マネージャー研修とは、プレイヤー意識から脱却し、組織からの期待とメンバーの期待を客観的かつ俯瞰して把握し、それらを両立できるマネージャーになるために行われる研修です。マネージャー研修では以下のようなテーマを取り扱います。
- プレイヤーからマネージャーへの意識転換
- 与えられた資源を活かしてビジョン・戦略を実現するマネジメント
- 担当組織の業務目標の達成とメンバーの成長の両立を実現するマネジメント
- 短期課題と中長期課題を両立させた戦略と実行計画の立案
- 部下の人材育成
- マネージャー自身の変革・リーダーシップの発揮
マネージャー研修では、新任管理職となる課長や部長向けに行うこともあれば既存の管理職向けに行うことがありますので、対象者によってマネージャー研修の目的や内容が変わります。
マネージャー研修を行う目的・ねらい
研修というと新入社員や若手社員が対象となるイメージが強いですが、マネージャーに対しても研修を実施することは多くあります。
マネージャー研修を行う目的は、大きく「管理職の育成」「生産性の向上」「若手社員の成長」の3つに分けられます。
下記では、マネージャー研修を行う目的やねらいについて具体的に解説します。
マネージャーとしてのスキルやマインドを身につけてもらうため
マネージャーとしてのスキルやマインドを身につけてもらうことが、マネージャー研修を実施する目的の一つです。
先の見えないVUCAの時代といわれる現代において、マネージャーは適切な判断を次々に下す必要があります。
しかし、自分に与えられた役割やミッションを適切に理解しておらず、適切な判断が十分にできているとはいえないマネージャーがいることは否定できません。
マネージャーを対象とした研修を実施すれば、マネジメント手法を学べると同時に、マネージャーに期待されている役割を理解してもらうことができます。
マネージャ―・管理職の役割や育成方法については、以下の記事でも詳しく紹介しています。
『管理職の役割やあるべき姿とは?育成方法も紹介』
生産性向上のため
マネージャーは、組織のパフォーマンスに大きな影響を与えます。
たとえば、マネージャーが適材適所に人材を配置することで、組織のポテンシャルを最大限に引き出すことが期待できます。
また、仕事が上手く進まない場合、その原因をマネージャーが発見し解決できれば、組織としてスムーズに仕事をこなすことが可能です。
マネージャーを対象とした研修を通じて能力を底上げすることで、組織全体の生産性向上を図れるという点もマネージャー研修を実施する目的の一つです。
マネージャーへのファシリテーション研修を通じて、会議の生産性向上施策に取り組んだ事例は、以下のページから詳しく確認いただけます。
会議の生産性向上施策 - 旭化成株式会社様 導入事例
若手社員の成長のため
マネージャーの重要な役割の一つに、若手社員の育成が挙げられます。
育成を行う際には、ただ単に手本を見せるだけでは不十分です。
若手社員それぞれの持つ能力や特性を理解したうえで、適切な指導を行ったり、本人にとって成長につながる仕事を与えたりする必要があります。
マネージャーを対象とした研修を実施すれば、若手社員の育成のためのノウハウを学んでもらうことが可能です。
その結果、若手社員が成長しやすくなり、組織全体の将来性を改善できるでしょう。
マネージャー研修の内容・研修項目
マネージャー研修では、具体的にどういった内容を学んでもらうのが良いのでしょうか。
具体例としては、マネージャーとしての役割認識やリーダーシップ、部下育成などはマネージャー研修でよく扱われるトピックです。
そのほかにも、他部署との連携や経営視点の獲得なども研修に盛り込むと、より充実した研修を実現できます。
ここでは、マネージャー研修で扱う具体的な内容を見ていきましょう。
マネージャーの役割や必要性を理解する
第一に、マネージャーとしての役割やその必要性について学んでもらうのがよいでしょう。
特に新しくマネージャーについた社員に対しては、プレイヤーからマネージャーへの意識変革が必要です。
マネージャーとして活躍するのであれば、プレイヤー時代のように自分自身が仕事に取り組んで成果を挙げるだけでは不十分です。
マネージャーは担当組織の業務目標の達成とメンバーの成長の両立を目指し、担当組織を丸ごと引き受ける意識を持つ必要があります。
こういったマネージャーに必要な役割認識を持ってもらうことが、マネージャー研修で扱うべき内容の一つでしょう。
管理職・マネージャーの役割は以下の記事も参考にしてください。
『管理職の役割やあるべき姿とは?育成方法も紹介』
リーダーシップを身につける
リーダーシップとは、組織が目標を達成できるように個人やチームを牽引する力のことです。リーダーシップというと天性のものだと思われがちですが、実際にはそうではありません。研修によってリーダーシップを磨けば、組織を牽引するリーダーを効果的に育成できます。
具体的には、各メンバーが感じているやりがいと組織の目標を結び付ける手法などを学んでもらいましょう。個人のやりがいと組織の目標をつなぐ意識を持てば、組織全体を効果的に牽引できるようになるでしょう。
マネージャーが持つべきリーダーシップに関しては、以下の記事で詳しく紹介しています。
『管理職が持つべきリーダーシップとは?マネジメントとの違いや研修事例』
部下育成ができるようにする
いくら現在の主力社員が優秀でも、若手社員の育成を怠ってしまってはチームの将来性は低下してしまいます。マネージャーにとって、部下育成は重要な課題の一つです。
マネージャー研修では、部下育成ができるようになるためのノウハウを学んでもらうとよいでしょう。
具体的には、OJTなどで仕事のやり方を伝える技術や、指導する際の心構え、伝え方などを学んでもらうことが重要です。マネージャーが部下を育成できるようになれば、組織に好循環を生み出せるでしょう。
アルーが行っている部下育成力研修は、以下のページでご確認ください。
部下育成力研修
チームの形成と活性化を行う
チームビルディングも、管理職にとって重要な仕事の一つです。
チームの形成や活性化を行うためのノウハウについても、マネージャー研修ではよく取り上げられます。
チームビルディングを行うためには、まずメンバー一人ひとりの経験やスキルを見抜く力を身につけてもらうとよいでしょう。
その上で、メンバーの能力を最大限に活かすためにはどういった人材配置が適切なのかを考えていきます。
マネージャーがチームビルディングを学べば人材の適材適所な配置が実現するため、チーム全体のパフォーマンスが向上するでしょう。
チームビルディングについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
『【事例あり】チームビルディング研修の目的やおすすめのゲームを紹介』
他部署・社外と円滑に連携できるようになる
マネージャーとして大きな仕事を引き受けるようになると、必ず他部署や社外と連携する必要が生まれてきます。そうした事態に備え、マネージャー研修では他部署や社外との連携手法についても学んでもらいましょう。
他部署や社外と連携する際には、時に利害が対立することもあります。
例えば「製品を少しでもアピールしたい営業部」「品質管理を徹底したい開発部」といった部署間での対立などです。こうした利害の一致しない状況でも健全な話し合いを行い、合意形成しながらプロジェクトを前に進める方法を学んでもらいましょう。
アルーが行っているネゴシエーション研修については、以下のページをご確認ください。
ネゴシエーション研修
▼ネゴシエーション研修の資料はこちらからダウンロードできます。
経営視点を身につける
経営視点とは、企業を経営する側の立場から物事を考え、行動することを指します。
組織の意思決定を担うマネージャーは、こうした経営視点を身につけることも大切です。
マネージャー研修では、経営視点を身につけるための内容を盛り込むとよいでしょう。経営視点を身につけるためには、自部署の置かれた状況だけにとらわれず、他部署の状況や自社全体の売上、さらには市場の状況や社会環境など、俯瞰的に物事を捉える姿勢が重要です。こうした感覚を獲得してもらい、さらに上位のマネジメントを行うための土台を整えていきましょう。
経営視点を身につけるための研修の資料は、こちらからダウンロードできます。
マネジメント基礎力を身につける
マネージャー研修では、マネジメント基礎力を身につけてもらうのもおすすめです。
特に新人のマネージャーには、マネジメントの基礎的な部分について一通り学んでもらうとスムーズにマネージャーとしての仕事をスタートできます。
なお、マネジメントをこなすためには人材配置や労務管理、メンバーのサポートや予算管理など非常に幅広い能力が必要です。もちろんこうした能力を一度に身につけるのは難しいため、初めは人材配置の基本的な考え方やサポート時の心構えなど、基本的なところから学んでもらうとよいでしょう。
新任管理職の研修については、以下の記事で詳しく紹介しています。
『新任管理職研修とは?目的やおすすめの研修内容、成功させるポイント』
マネージャー研修の種類
新任管理職研修
新任管理職研修とは、初めて管理職になる社員向けに行う研修です。これまでの実務担当者から管理職への役割の移行は「生まれ変わり」と評されるように大きな転換が求められます。新しい役割へ適応できるようになるには、ティーチングやコーチングに代表されるような部下育成スキルの習得だけでは不十分です。部門のビジョン、戦略策定から目標設定、実行管理、リーダーシップの発揮、意思決定などさまざまなことが求められるため、初めて管理職になる社員向けに求められるスキルやマインドを強化することを目的に行われます。
また、研修だけでなく、管理職としての業務を通して、自身のマネジメント観を見つめ直し、磨いていく必要もあります。例えば、自身が大切にする価値観や信念を自覚したり、時には、その価値観や信念がネガティブに作用する可能性もあることにも意識を及ばせる必要があります。研修という場はおなじ管理職である他の社員と意見交換ができるため、自分の価値観や信念を自覚するのに最適な場の1つとなりますので、現場での経験と研修を紐づけた設計にすると効果的です。
新任管理職の研修については、以下の記事で詳しく紹介しています。
『新任管理職研修とは?目的やおすすめの研修内容、成功させるポイント』
課長研修
課長研修には新任課長研修と既存課長研修があります。新任課長研修では、これまでのプレイヤー意識から脱却し管理職になるための研修です。新任課長に求められる期待・役割を理解し、求められる行動を発揮できるよう実践的なスキル習得を目的に設計します。既存課長研修では、会社のビジョンや戦略の転換によって、管理職のマネジメント方針が変更になるタイミングで課長の意識転換や課長に共通するスキル不足を解決するために行われる研修です。たとえば、これまでのトップダウン型のマネジメントからボトムアップ型のマネジメントに転換するために、課長に部下との対話を重視したマネジメントスタイルに変更させるなどがあります。既存の課長は自分なりのマネジメント観が醸成されているため、スキル付与だけでなく、課長の意識転換のために課長の適応課題に焦点を当てた研修設計が重要です。
課長研修については、以下の記事で詳しく紹介しています。
『課長育成が重要な理由|求められるスキルや役割・育成のポイント』
部長研修
課長研修には新任部長研修と既存部長研修があります。新任部長研修では、これまでの課長としてのマネジメント意識から脱却し、部長として求められる役割認識と行動発揮を目的に行われる研修です。例えば、部門最適だけでなく全体最適で事業の課題設定から課題解決を行ったり、メンバーマネジメントも対象が課長になりますので課長が課の目標達成ができるためのマネジメントに切り替える必要があります。一方で、既存部長研修では、既存の課長研修と同様に、会社のビジョンや戦略の転換によって、会社のマネジメント方針が変更になるタイミングで部長の意識転換や課長共通のスキル不足を解決するために行われます。
部長研修については、以下の記事で詳しく紹介しています。
『部長研修とは?内容や目的・事例を解説』
マネージャー研修の実施方法
ここでは、マネージャー研修の実施方法についてご紹介します。マネージャー研修の実施方法には主に、社内研修と外部研修、eラーニングの3つがあります。
社内研修
社内研修とは、研修を内製で実施する研修です。マネージャー研修を内製して社内研修で運用する際のメリットやデメリットをご紹介します。マネージャー研修を社内研修として実施するメリットは主に5つあります。
<マネージャー研修を内製にするメリット>
- 研修に対するノウハウを蓄積できる
- 研修を通して受講者・講師ともにスキルアップができる
- 研修の修正・改善がしやすい
- 業務に直結した研修を実施できる
- コストを抑えられる
一方で、社内研修として実施することによるデメリットもあります。
<マネージャー研修を内製にするデメリット>
- 研修設計から開発・運用まで社内の人的コストがかかる
- 社内講師を育成する必要がある
- マネージャー研修で取り扱う内容に詳しくない社員が講師となることで受講者が真剣に研修を受けない
このように、社内研修として実施する際にはメリット・デメリットがあるため、マネージャー研修の内容によって社内研修にするものと外部研修にするものを切り分けることをお勧めします。
社員研修を内製するポイントについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
『社員研修を内製化するメリット・デメリット|成功のポイントや流れを解説』
外部研修
外部研修とは、研修を外部の研修会社などに委託して実施する研修です。外部講師が派遣され研修を実施します。マネージャー研修を外部委託する際のメリット・デメリットをご紹介します。
マネージャー研修を外部委託するメリットは主に3つあります。
<マネージャー研修を外部委託するメリット>
- 専門的な内容の研修を受けられる
- 社内講師育成や内製で研修プログラムを作る必要がない
- 助成金が使える場合もある
一方で、外部研修として実施することによるデメリットもあります。
<マネージャー研修を外部委託するデメリット>
- コストがかかる
- 自社に合った研修プログラムがない場合もある
- 自社独自のノウハウを教えられにくい
このように、外部研修として実施する際にはメリット・デメリットがあるため、マネージャー研修の内容によって社内研修にするものと外部研修にするものを切り分けることをお勧めします。
研修を外部委託するポイントについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
『研修は外部委託すべき?委託している割合や委託先選定のポイント』
eラーニング
eラーニングとは、学びを電子化し、パソコンやタブレット、スマートフォンを使って学ぶ学習形態です。時間と場所を選ばないため働きながらでもひとり一人にあったタイミングで学べることが特徴です。マネージャー研修でもeラーニングを用いるのは効果を発揮します。
マネージャーは忙しいため、教室研修のように半日から1日を拘束されると負担が増加します。会議までの待ち時間や休憩時間の前後といった隙間時間を活用することが可能なため、業務の合間に学習しやすくマネージャーの負担も軽減されます。
ここでは、マネージャー研修をeラーニングで実施する際のメリット・デメリットをご紹介します。
マネージャー研修をeラーニングで実施するメリットは主に4つあります。
<マネージャー研修をeラーニングで実施するメリット>
- 業務の合間に学習がしやすい
- 効率的な学習が可能
- 幅広いスキルを身につけられる
- 研修のコストが抑えられる
一方で、eラーニングとして実施することによるデメリットもあります。
<マネージャー研修をeラーニングで実施するデメリット>
- 実技が必要な内容の学習には向かない
- インターネット環境やデバイスが必要
- 講師や他の研修生との人的ネットワークが作りにくい
- 仕事をしながらeラーニングを学習するながら学習で学びが身につかない
このように、eラーニングとして実施する際にはメリット・デメリットがあるため、マネージャー研修の内容によってeラーニングにするものと教室研修にするものを切り分けることをお勧めします。
管理職研修におすすめのeラーニングについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
『管理職研修におすすめのeラーニングコンテンツ6選。効果を高める方法』
マネージャー研修の効果を高めるポイント
マネージャー研修の効果を最大限に高めるためには、いくつかの気をつけておきたいポイントが存在します。「結局何ができるようになったのかよくわからない研修だった」と言われないためにも、研修実施前にこうしたポイントをチェックするのが重要です。
マネージャー研修の効果を高めるポイントを解説します。
研修の目的を明確にする
「そもそもなぜ研修を実施するのか」があやふやなまま研修をスタートさせてしまうと、研修の内容に一貫性がなくなってしまいます。
また、参加するマネージャーにも研修の目的をうまく説明できないため、研修の意義そのものが低下してしまいかねません。
マネージャー研修の効果を最大限に引き出すためには、研修の目的を明確にする必要があります。現場のマネージャーにはどういった課題があり、それをどう解決するための研修なのかを研修企画段階で明確化しておくことが大切です。
適応課題と技術的課題の両方にアプローチする
適応課題とは、自分や組織の価値観や信念体系などを根本原因とする課題のことです。
例えば「部下は上司の言うことに従うべきだ」という価値観をマネージャーが持っていた場合、マネージャーが部下の話を聴く姿勢をもてないという課題が発生するかもしれません。
一方で技術的課題とは、知識や技術の不足に起因する課題で、「マネージャーが傾聴力のスキルを持っていないがゆえに、部下の意見を吸い上げられない」といった課題が一例です。
「マネジメントがうまくいかない」という課題は、上記のように適応課題と技術的課題の双方から捉えることができます。課題解決を行う際には、これら二つの観点から同時に捉えるのが有効です。マネージャー研修を実施する際には、この適応課題と技術的課題の両方にアプローチしましょう。
適応課題については、以下の記事で詳しく解説しています。
『適応課題と技術的課題の例を紹介。研修で適応課題にアプローチする方法』
理論中心のインプットにしない
マネージャー研修にありがちな失敗が、知識や技術の詰め込みに特化してしまうケースです。もちろんマネジメントを行う際には、マネジメントに関する最低限の知識や理論の勉強は必要です。しかし、それだけでは実践的なマネジメント能力は身につきません。
マネージャー研修を成功させる際には、理論中心のインプットにしないよう注意しましょう。
例えば研修で学んだマネジメントを実践する場を設けたり、積極的にディスカッションを設けたりするなど、アウトプットの場を用意するのがおすすめです。
研修後のマネジメント実践期間中の内省と持論化を促す
研修を実施した後は、マネジメント実践期間を設けてマネジメントに取り組んでもらいます。この時に、自分自身のマネジメントについて内省する機会を設け、持論化を促すことが大切です。
持論化とは、様々な理論や経験によって裏付けられた自分なりの理論を構築することです。マネジメントを実践する中で、研修の場だけでは見えてこなかった細かなノウハウや、組織特有のコツなども見えてくるでしょう。こうした経験を蓄積してもらい、質の高い持論形成を促すのが大切です。
行動変容を促す研修のポイントについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
『行動変容を促す社員研修のポイント|ステージ理論に沿った働きかけとは』
マネージャーとしてやらないこと・やめることも考えさせる
マネージャー育成を考える際には、どうしても「マネージャーは〇〇をするべき」「マネージャーは〇〇をやらなければならない」といった視点に陥りがちです。
しかし、トータルでの生産性を底上げするためには、「不要な作業や工程をカットする」という視点も同じぐらい重要です。
マネージャー研修を実施する際には、「やらないこと」や「やめること」について考えてもらう機会も設けましょう。具体的には、部署で取り組んでいる取り組みの中で効果が薄いものをリストアップしたり、メンバーの持つ役割で重要度の薄いものを削ったりといった作業が有効でしょう。
研修後の評価やフォローを行う
研修を実施した際に、「あとは現場で活用してください」とするだけでは不十分です。研修の内容をしっかりと活用してもらうためには、研修実施後のフォローが欠かせません。
マネージャー研修を実施する際には、研修後の評価やフォローを必ず行いましょう。研修後に振り返りの機会を設ければ、参加者が研修で扱った内容について復習するきっかけとなります。さらに、研修後の評価を次回以降の研修のブラッシュアップに活かせる利点もあります。
毎年研修内容を見直す
マネージャー研修を実施する際に、毎年同じ研修プログラムを使い回しているケースも多いでしょう。しかし、時代の変遷に伴って、マネージャーに求められる役割や期待されるマネージャー像は大きく変化しています。
時代の変化に対応するためにも、毎年研修内容を見直すようにしましょう。見直しを行う際には、「研修内容のうち現場で役立ったことと役立たなかったこと」を把握するとよいでしょう。先ほど解説した研修後の中長期的なフォローアップとあわせて意識しておきましょう。
研修体系の見直しについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
『研修体系の見直しの仕方|教育体系との違いや成功させるポイント』
外部研修も活用する
研修を実施する際には、どうしても研修実施側に負担がかかります。また、研修後のフォローアップや研修プランの見直しを毎年自社で行うのは、リソース的に難しいケースも多いでしょう。
こうした際に活用したいのが、外部研修です。外部研修を活用すれば、こうした研修実施に関連する負担を大きく削減でき、社内のリソースをコア業務に集中させることができます。さらに、外部研修では自社にないノウハウを取り入れられるため、自社のマネジメント能力を大きく改善できる可能性も高いです。
外部研修を利用するメリット・デメリットについては以下のページをご覧ください。
『研修は外部委託すべき?委託している割合や委託先選定のポイント』
アルーのマネージャー研修の特徴
アルーは、人材育成を専門に手掛けている企業です。新人研修や階層別研修、グローバル人材育成施策などを幅広く提供しています。
アルーのマネージャー研修では、この記事で解説した「プレイヤーからマネージャーへの意識転換」「時代に合わせた管理職像の実現」「経営視点の獲得」といった様々なトピックをバランスよく学習できるのが魅力です。
アルーの提供するマネージャー研修については、以下のページから詳しくご覧いただけます。
管理職研修
▼管理職研修の資料ダウンロードはこちらから
オンライン研修にも対応しています
最近ますます注目されているのが、オンラインでの研修実施です。従来の対面型研修では、会場の確保などに多大なコストがかかりました。また、研修に参加するために遠方から社員を招くケースも多く、日常業務で忙しいマネージャーを対象とした研修では特にこの点が課題でした。
オンラインで研修を実施すれば、会場確保のコストや研修参加までの時間を大きく節約できます。アルーでは、オンラインでの研修実施にも対応しています。オンラインならではのノウハウも多く蓄積されているため、質の高いオンライン研修を実施することが可能です。
オンライン研修のメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
『オンライン研修のやり方やメリット・デメリットをわかりやすく解説』
eラーニングも併用したブレンディッドラーニングも可能
最近ではオンラインでの研修実施と併せて、eラーニングを活用した研修も盛んに行われています。eラーニングを活用すれば、社員はいつでもどこでも学習を進めることができるため、業務量の多いマネージャー研修と相性の良い手法です。
アルーでは、このeラーニングと対面研修を並行して行うブレンディッドラーニングの実施も可能です。研修内容に最適化された、効果的なブレンディッドラーニングの実施プランを提案させていただきます。
管理職・マネージャー向けのeラーニングについては、以下のページをご確認ください。
管理職向けeラーニング
自社の悩みに合わせた内容で実施します
人材育成における課題は、企業や業界によってさまざまです。特に会社の意思決定を担うマネージャーともなると、抱える課題は会社それぞれで全く異なります。
アルーでは、自社の悩みに合わせた研修内容をオーダーメイドで実施することができます。抱えている課題のヒアリングを行った上で、研修内容の企画段階から伴走する一気通貫型の支援が可能です。個々の企業に最適化された研修内容だからこそ、本当に効果を発揮するマネージャー育成が実現できます。
マネージャー研修に関するよくある質問
この記事の最後に、マネージャー研修についてよくある質問をまとめて解説します。マネージャー研修の外部委託を検討している際には、ぜひ参考にしてみてください。
Q.マネージャー研修の費用相場は?
A.マネージャー研修の費用相場は、研修内容の内容や期間によって様々です。おおよその目安ではありますが、1クラス20~30人程度で、講師派遣型の教室集合研修の場合、1日で70万円~150万円程度を想定しておきましょう。ただし、依頼する講師のレベルや研修当日の運営サポートの有無、講師派遣型や公開講座型、eラーニングなどの参加形態によって金額は変わってきます。eラーニングであれば2,000円程度から受講できるプログラムもあります。
ただし、一概に上記金額以上だから高い、と考えるのではなく、料金の内訳を確認するようにしましょう。研修の費用には、講師費用、サポート講師費用、研修教材のカスタマイズ費用、受講費用(=一人当たりの受講費×受講人数×実施日数)、アセスメントツール使用料などが含まれます。
行いたい研修や、フォローの有無など、自社のやりたいことと合わせて考える必要があるでしょう。
費用を抑えたい場合はeラーニングの活用がおすすめです。マネージャークラス向けのeラーニングについて詳しくは以下の記事をご覧ください。
Q.オンラインで実施することはできますか?
A.研修を委託する企業にもよりますが、基本的にマネージャー研修はオンラインで実施することも可能です。マネージャーは日常業務で忙しいことも多いため、対面形式で実施するよりもむしろオンライン研修の方が向いているといえます。
ただしオンラインで研修を実施する際には、対面型の内容をそのままオンライン上で行えばよいというわけではありません。
対面型と比べると双方向的なコミュニケーションが取りづらいオンライン研修では、オンライン研修ならではのノウハウが必要です。研修を外部委託する際には、こうしたオンライン研修のノウハウがある企業を選択するようにしましょう。
アルーでは、マネージャー研修をオンラインで実施することが可能です。
eラーニングも併用したブレンディッドラーニングができますので、研修の効率化につながります。
オンライン研修のメリットについては以下のページをご確認ください。
『オンライン研修のやり方やメリット・デメリットをわかりやすく解説』
Q.カリキュラム内容は変更可能ですか?
A.研修を外部委託する場合、あらかじめ業者側に用意されている研修プランで研修を実施するケースと、オーダーメイドで研修プランを作成するケースの二つに分かれます。
カリキュラム内容を変更したい場合、後者のタイプを採用している企業に委託するようにしましょう。
なお、アルーでは研修カリキュラムの内容を柔軟に変更することが可能です。自社の課題に合わせた研修内容に変更したい場合などは、ぜひお気軽にご相談ください。
マネージャー研修の事例
アルーでは、業種や業界を問わずさまざまな企業へ研修を提供しています。
ここでは、アルーのリーダーシップ研修の事例として、東急株式会社、ポーラ化成工業株式会社、コスモ石油株式会社の3つを紹介します。アルーのマネージャー研修を導入する際の参考にしてみてください。
東急株式会社の研修事例
東急株式会社では、元々東急グループの経営者育成を目的とした「東急アカデミー」を開講されていました。しかし、社会や事業環境が大きく変化したことをきっかけに、アルーの研修を導入しています。
東急株式会社での経営者育成を目的としたリーダーシップ研修では、内側から外側へ内発的動機に基づいて動くインサイドアウトのリーダーシップを中心に扱いました。東急株式会社のDNAと自分自身のつながりを深く考えるプログラムを用いて、内発的な動機づくりに成功した研修事例です。
東急株式会社でのリーダーシップ研修実施事例は、以下から詳しくご覧いただけます。
経営人材の鍵は、矛盾を両立するインサイドアウトのリーダーシップ(東急株式会社)
ポーラ化成工業株式会社の研修事例
「女性の活躍を推進する組織風土の醸成」が人事計画の重点戦略の一つとして設定されていたポーラ化成工業株式会では、女性活躍を推進するために女性管理職向けにリーダーシップ研修を実施しました。
具体的には、育成委員会の選抜人材となっている生産系の女性約18人を対象に研修を実施し、リーダーシップを磨きました。複数回の研修と中間報告回を通じて、自己理解や部署間の相互理解を促進した研修事例です。
特に女性の管理職活躍というテーマに挑んだポーラ化成工業株式会社の事例は、以下からご覧ください。
女性活躍推進の風土づくりに「リーダーシップ」「チームワーク醸成」の重要性を理解する(ポーラ化成工業株式会社)
コスモ石油株式会社の研修事例
コスモ石油株式会社では、新任ライン長を対象としたリーダーシップ研修を実施しました。「他責から自責」といった、リーダーに必要不可欠な思考を磨いた研修です。
技術系の社員と事務系の社員をグループワークであえて混合させたため、ライン長同士の交流が促進できました。また、ライン長としてのプライドを抜きにした等身大で研修に臨んでもらうため、コスモ石油株式会社側からのリクエストに応え、あえてピリッとした雰囲気を演出して実施しています。
コスモ石油株式会社の研修事例は、以下から詳しくご覧ください。
信じて任せる。 人をマネジメントする 新任ライン長研修の意義とは。(コスモ石油株式会社)
まとめ
マネージャーを対象とした研修の目的や内容、さらには研修を成功させるためのポイントを解説しました。
マネージャーを対象として実施する研修では、マネージャーとしての意識転換や役割認識、マネジメントの基礎知識など、様々な内容を学んでもらう必要があります。こうした内容は一度に詰め込もうとするのではなく、アウトプットの機会を豊富に設けて、実践を通じて習得してもらうのが大切です。
ぜひこの記事で解説した内容を参考に質の高いマネージャー研修を実施して、マネージャーの育成を効率的に進めていきましょう。
アルーの提供するマネージャー研修については、以下のページから詳しくご覧いただけます。
管理職研修
※参考:マネジメント研修でおすすめの会社9選を比較!人気な研修の種類も紹介(株式会社アガルート)