旭化成株式会社様 導入事例

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事例紹介:会議の生産性向上施策

旭化成
会社名 旭化成株式会社
従業員数 (連結) 40,689人(2020年3月末時点)
事業内容 ケミカル・生活製品事業、繊維事業、電子部品事業、電子材料事業、医薬事業、医療事業、建材事業、住宅事業など、幅広い分野で事業を展開

施策概要

2017年から2019年まで、約2年半に渡り、旭化成株式会社パフォーマンスプロダクツ事業本部様では、生産性向上施策に取り組まれました。事業本部全体の施策として取り組み続けた結果、着実に成果を出しつつあります。
今回、具体的な成果や取り組みの工夫について、スパンボンド事業部の穂積様、青木様、機能材料事業部の田中様、佐藤様、人事部の尾形様、松浦様にお話を伺いました。
研修
施策概要
穂積 謙太郎 様
パフォーマンスプロダクツ事業本部
スパンボンド事業部
スパンボンド資材営業部
担当総括
穂積 謙太郎 様
(文中敬称略、穂積)
田中 剛 様
パフォーマンスプロダクツ事業本部
機能材料事業部
レオナ繊維技術推進部
課長
田中 剛 様
(文中敬称略、田中)
青木 和博 様
パフォーマンスプロダクツ事業本部
スパンボンド事業部
スパンボンド資材営業部
青木 和博 様
(文中敬称略、青木)
佐藤 祐介 様
パフォーマンスプロダクツ事業本部
機能材料事業部
レオナ繊維技術推進部
佐藤 祐介 様
(文中敬称略、佐藤)

多くの社員が問題意識を持っていたテーマだからこそ、現場での実践が進んでいる

Q 旭化成では、会議の実施頻度が高いのでしょうか?
穂積:会議実施の頻度は結構高いと思います。毎週月曜日の朝には2時間、朝会と呼ばれる会議が定例として必ずあります。月に1度の実施では事業部全体の課題を議論する会議や工場の生産計画を決める会議等があります。
田中:時間は有限であり、それを巻き戻しはできないので、その使い方は生産性の高いところに充てたい。会議の中には書類を見るだけで済むようなこともかなり多く、結構無駄なところがありました。


Q 研修を受講して良かったですか?
田中:よかったと思いますよ。今回は、研修単体の開催日時についての案内だけが来たわけではなく、働き方改革を背景にした生産性向上というところで、よく課題に上がる会議体について、まずアンケートが実施されました。社員が同じように課題に感じていることが明確になり、共有されたこともあって、会議の生産性向上というテーマの研修には大変意義を感じました。
佐藤:今回受講した研修は長い時間を使ったので、研修の全体像として取り組む時間がかなり必要そうだと感じておりましたが、事前事後の課題を含め、受講している中で新しい考え方などを学ぶことができたので、実際に会議の内容を改善しようと動いています。
インタビュー写真
穂積:研修はどれも同じだと思いますが、どれだけ裏に問題意識があるかが大事だと考えています。問題意識があり、解決策が提示された研修だったから、今回は職場での行動実践につなげることができました。
青木:私も同じ意見です。誰もが会議について問題意識を持っていましたが、「じゃあ、誰が変えるのか」といったところで二の足を踏んでいました。その武器を研修で学べたことが、行動することへの後押しになりました。
インタビュー写真
Q 研修後、具体的に実践されていることを教えていただけますか?
青木:そもそも会議をやるべきなのか、会議自体を簡素化できないか、複数に分かれている会議をまとめられないかなどを意識して、日々取り組んでいます。また、会議の生産性向上の議論では、“時間短縮”に焦点を絞られがちですが、会議を実施することにより、どれだけ利益につながる結果を導き出せたかが重要だと考えています。アイデア出しが目的なのか、意思決定が目的なのか。目的を明確にし、参加者を選ぶべきとも思いました。
佐藤:私は、開発進捗一覧表の改定と議題シートの新規作成を行いました。従来の開発進捗一覧表は、ある程度自由な書き方になっています。これはこれで非常に便利でした。ただ、最初は分かっていても、徐々に目的が不明瞭になる場合がありました。そのため、これを達成したらこのような状態になるという、ゴールの状態が見えるものを一つ作りました。それに対して、今の進捗状況を書く内容にしたところ、参加者のベクトルが合いやすい形にはなったと考えています。

改定資料
資料
新規追加資料
研修資料

継続的な改善活動が、さらなる成果につながる

Q 研修の成果はありましたか?
穂積:実際に会議の時間が短くなりましたので、成果は出ていると考えています。また、人事のアンケートにもありましたが、会議の参加者もより有意義な会議のためにどうすればよいかを意識する動きが見えてきました。
青木:忙しい中の研修、しかも事前事後の課題への取り組みもあると聞いて、はじめは積極的な姿勢になり切れなかったのが正直なところですが、改善のヒントを実践すると、次々に目に見えて成果が出てくる面白さを感じて、研修を受講した意義をすごく感じています。具体的には、実際に会議の時間が短くなり、無駄や惰性を感じることが無くなりました。
佐藤:この研修に参加していなかったら、間違いなく会議を変えていく取り組みを行っていませんでした。
田中:我々はまずお客様に満足していただくために仕事の成果を上げるというのが1番のミッションです。会議の生産性向上を図り、業務全体の生産性向上につながり、まさにお客様に満足していただくために費やす時間が増え、売り上げなどの数字に表れた時に、「成果はでていますよ」と言えるでしょう。この定義から見ると、正直に言って「成果がでているか?」と聞かれると答えに迷いますが、無駄を省く行動の実践としては、既に役に立っていることも多いと思います。ただし、当然のことながら行動の継続が重要なのだと考えています。

人事インタビュー

尾形 知輝 様
人事部 人事室
(パフォーマンスプロダクツ領域)
課長
尾形 知輝 様
(文中敬称略、尾形)
松浦 理江 様
人事部 人事室
(パフォーマンスプロダクツ領域)
松浦 理江 様
(文中敬称略、松浦)
Q どのような背景から、今回の取り組みを開始されたのでしょうか?
尾形:働き方改革の取り組みを大阪・東京地区の旧繊維事業本部で進めていこうという動きがきっかけとなりました。会議に関して、働き方改革への取り組み以前から課題ありと認識していました。我々が行った会議に対する現状確認や問題認識のアンケートでは、事業本部の6割以上の社員が月間20時間以上、回数で言うと2、3回/週くらいの会議を行っており、その会議の内約7割が情報共有を主たる目的としていることが分かりました。
さらに、労使で働き方に関する課題を議論する中で、労働組合からも会議が長い・多い・決まらないといった課題があるという話を聞いていました。
現在の会議の課題を洗い出していき、会議をより良くしていくことは、生産性を高めること、すなわち働き方改革への取り組みそのものと考えて取り組みました。
Q 会議の生産性向上研修を成功させるために、人事としてどのような取り組みを行いましたか?
尾形:事業本部では働き方改革を推進しており、その中の一つの取り組みとして、会議の生産性向上施策がありました。それぞれの取り組みの中で注力したことは、 「経営陣の巻き込み」 、「事業本部全体の取り組みであることの発信」、「現場への寄り添い」と「継続性担保」です。
松浦:より多くの場面で実践していただきたかったので、会議の生産性向上施策に関して「現場への寄り添い」と「継続性担保」を重視しました。


働き方改革、会議の生産性向上施策において、人事が取り組んだ内容
実際のプログラム


虎の巻サンプル
サンプル
Q 本施策において、アルーの関わり方はいかがでしたか?
尾形:初年度は、会議をよりよく質を高めていくため研修の狙い・目的をシャープにしていくこと、つまり真因を追究していくことが改めて大事だということをアルーとの複数回の議論を通して認識できたことが、我々にとっては大きな気づきでした。会議の質の向上を図るため、研修効果を測定するうえでの定量化、KPIは、アルーからの積極的な提案があったからこそ実現できたと思います。簡単に妥協しない(笑)、とても有難いパートナーです。
松浦:毎回打ち合わせの際、私たちが思っていること、要望、考えを十二分にくみ取っていただき、丁寧でかつ迅速に、次回にはそれが全てクリアというか、私たちが伝えたものを一歩進んだ形でご提案いただけます。本当に信頼できる研修パートナーさんだなと思っています。
今後に向けて
尾形:会議のあり方に悩んでいる部署は、我々の部門のみならず、旭化成グループ全体でも多くあります。当社の中でもう少し大きな枠組みの中で、同じように取り組みを展開できたらと考えています。
また、今般の新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、各社で在宅勤務やリモートワークが拡大していると聞いています。今回の会議の生産性向上の取り組みは、リモートワークでも生産性を高めていく働き方の基礎の一つになる内容であると考えています。引き続き、強い組織づくり、人と組織の成長のために模索しながら組織力の向上に深く関わっていきたいと思います。

育成の成果

・第1回目の施策にて、研修後、会議の実施に関わる時間が平均して58分/人/週削減

・第2回目の施策にて、研修後、会議の実施に関わる時間が平均して53分/人/週削減

・事業本部全体へのアンケートから見ると、(1)会議のメンバーが目的を認識してから会議に参加することの重要性の理解が深まったこと、(2)会議のゴールに向けて時間を意識しながら会議を進めること、(3)合意形成からアクションプランにつなげられていることが成果として現れた

・一方、(1)出席者の人選、(2)会議参加者全員の発言、(3)議論の迷走・脱線については、これから改善の余地がある

研修成果① 研修前後で調査した受講者の1週間の時間の使い方の変化
研修の効果測定
働き方改革という取り組みであるため、仕事全般を把握するために様々な業務時間の実態について調査を実施。1週間を40時間とし、研修前後での時間の使い方がどのように変わったかをまとめた。
その結果、第1回目は平均58分/人/週の会議時間短縮となり、受講者54名分にすると、約52時間/週の時間削減に成功。
第2回目は平均53分/人/週の時間短縮となり、受講者25名分にすると、約22時間/週の時間削減の効果が出た。

研修成果② 事業本部全体に定期調査した会議の実態調査アンケート 一部抜粋
成果が見えたもの
研修の効果測定
今後、継続的に取り組みが必要なもの
研修の効果測定
事業本部全体に働き方改革の推進状況確認に関するアンケートを実施。5段階評価(一部項目で例外あり)で行い、「1そう思う」、「2どちらかといえばそう思う」の回答総計が6割を超えた場合、成果が出ていると定義した。
その結果、個々の努力で変えられること【(1)会議のメンバーが目的を認識してから会議に参加することの重要性の理解が深まったこと、(2)会議のゴールに向けて時間を意識しながら会議を進めること、(3)合意形成からアクションプランにつなげられていること】は短期的に大きく改善することができた。
一方、組織として改善が必要となること【(1)出席者の人選、(2)会議参加者全員の発言、(3)議論の迷走・脱線】については、一部には改善が見られたものの、まだまだ改善の余地があると考えられ、今後の注力課題と言えるだろう。

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