グローバル人材育成とは?時代が求める人材の要件
近年、国内企業の海外進出は著しく、それによって「グローバル人材」の需要も高まっています。
グローバル人材はビジネスレベルの語学力だけではなく、コミュニケーション能力やマネジメントのスキルも兼ね備えていなくてはいけません。
そんなグローバル人材を確保するため、即戦力を「採用」するだけでなく、自社で「育成」することが注目されています。
グローバル人材を育成するには、どのような方法があるのでしょうか?
グローバル人材の定義といった基本情報から、ベストな育成方法まで詳しく解説していきます。
目次[非表示]
- 1.グローバル人材育成とは
- 2.グローバル人材の定義
- 3.グローバル人材が注目されるようになった背景とは
- 4.グローバル人材に求められる要件とスキル
- 4.1.1.異文化対応力
- 4.2.2.語学力
- 4.3.3.コミュニケーション力
- 4.4.4.経営基礎力
- 4.5.5.ビジネススキル
- 4.6.6.マインド
- 4.7.7.マネジメント
- 4.8.8.リーダーシップ
- 4.9.9.リベラルアーツ
- 5.なぜ今、グローバル人材の育成が必要なのか?
- 6.グローバル人材の育成方法とは
- 6.1.1.企業内研修
- 6.1.1.オンライン研修も実施
- 6.2.2.グローバル人材能力要件定義コンサルティング
- 6.3.3.語学力強化
- 6.4.4.プログラムの活用
- 7.グローバル人材育成なら「アルー」へ
- 8.まとめ
グローバル人材育成とは
グローバル人材とは、国内に留まらず海外でのビジネスにおいても成果を出すことができる人材のことです。
仕事のスキルだけではなく、語学力や他文化への理解といったコミュニケーション能力の高さが重視されます。
現在、国内市場の低迷や少子高齢化による影響を受け、日本企業の多くが海外への事業拡大を進めています。そんな中で、グローバル人材という存在は、今後ますますニーズを高めていくことでしょう。
しかし、語学力も仕事のスキルも兼ね備えた優秀な人材を探して採用するのは容易ではありません。そこで、研修やコンサルティング、育成プログラムを活用してグローバル人材を自社で育てる、「グローバル人材育成」が注目されているのです。
グローバル人材の定義
グローバル人材育成を進めるにあたって、まずはその定義から理解していきましょう。
文部科学省では、グローバル人材を以下のように定義しています。
文部科学省による「グローバル人材」の定義
「世界的な競争と共生が進む現代社会において、日本人としてのアイデンティティを持ちながら、広い視野に立って培われる教養と専門性、異なる言語、文化、価値を乗り越えて関係を構築するためのコミュニケーション能力と協調性、新しい価値を創造する能力、次世代までも視野に入れた社会貢献の意識などを持った人間」 |
総務省によるグローバル人材の定義は以下です。
総務省による「グローバル人材」の定義
「日本人としてのアイデンティティや日本の文化に対する深い理解を前提として、豊かな語学力・コミュニケーション能力、主体性と積極性、異文化理解の精神等を身につけたさまざまな分野で活躍できる人材」 出典元:総務省「グローバル人材育成の推進に関する政策評価 <結果に基づく勧告>」 |
日本人としてのアイデンティティと広い視野の両立
文部科学省、総務省どちらの定義においても、一つの領域に特化した能力ではなく、幅広い要素・スキルを持ち合わせた人物をグローバル人材として認めていることがわかります。
また、どちらでも言及されている「日本人としてのアイデンティティ」を前提とした幅広い視野を持っていることが、優秀なグローバル人材に求められる要素でしょう。
グローバル人材がただの「語学が堪能な人」「海外で働きたい人」というわけではないということが、この定義によって具体的に理解できたのではないでしょうか。
グローバル人材が注目されるようになった背景とは
では、そんな特別な「グローバル人材」がなぜ注目を浴びるようになったのか、その背景を2つの視点から詳しく解説いたします。
1. 少子高齢化による海外市場への開拓
2. ICTの普及によるビジネスのグローバル化海外事業の拡大
3. ICTの普及とリモートワーク定着による多国籍なメンバーとの協働
1.少子高齢化による海外市場への開拓
現在の日本が抱える社会問題である「少子高齢化」や「人口減少」も、ビジネスのグローバル化に影響を与えています。
長期的に見て、日本国内のマーケットは縮小の傾向にあります。企業にとって小規模な国内市場でシェアの奪い合いをするよりも、海外マーケットを開拓する方が将来性があると判断する場合が多いのです。
しかし、海外市場への挑戦は一朝一夕でできるものではありません。実際に海外を相手にビジネスを行うグローバル人材を採用・または育成することは最優先で進めるべきでしょう。
これまで海外進出は視野に入れていなかった企業も、グローバル人材の獲得に向けて動き始めたことで、グローバル人材はより注目を集めるようになりました。
2.ビジネスのグローバル化と海外事業の拡大
すでに海外市場に進出している企業の多くは海外売上比率の拡大、海外利益率の拡大など海外マーケットの拡大を中期経営計画や中長期ビジョンに掲げています。海外比率が高まれば高まるほど、より多くのエリア、国でのビジネス展開に加え、より多くの国籍、文化、価値観を持つ社員のマネジメントを担うグローバル人材が求められています。
3.ICTの普及とリモートワーク定着による多国籍なメンバーとの協働
ICTは「Information and Communication Technology(情報通信技術)」の略称で、通信技術を利用したコミュニケーション全般を指します。メールや、クラウド式のデータ送受信もICTに含まれます。
ICT技術の発展はめざましく、遠く離れている国同士でもほとんどタイムラグ無く大容量データのやりとりが可能です。これによって、国をまたいだグローバルなビジネスが行いやすくなりました。
どんなに高度なICTを導入しても、実際に他国との商談やマネジメントをする人物が母国語しか話せなかったり、他国への差別意識などを持っていたらビジネスはうまくいきません。
そこで、グローバル人材が求められるのです。
このような人材を自社で育成することで、製品やサービスを深く理解し、正しい言語とリスペクトを持って海外ビジネスを進めることができるベストなグローバル人材となるでしょう。
グローバル人材に求められる要件とスキル
グローバル人材の定義と、注目される背景がわかったところで、続いてグローバル人材に求められる9つの要件とスキルをご紹介していきます。
1. 異文化対応力
2. 語学力
3. コミュニケーション力
4. 経営基礎力
5. ビジネススキル
6. マインド
7. マネジメント
8. リーダーシップ
9. リベラルアーツ
一つずつ、詳しく解説いたします。
1.異文化対応力
グローバル人材とは、海外の企業とビジネスのやりとりを行うだけが仕事ではありません。冒頭でも説明した通り、国内外問わずビジネスで「成果を上げる」ことができる人物がグローバル人材です。
成果を上げるには、優れた語学力だけではなく、様々な文化・価値観を持つ顧客や同僚と良好な関係を築けるスキルが求められます。
また、グローバル人材は海外支社や協力会社に派遣し、現地でマネジメント業務などを行う場合もあります。日本では信じられないような行動を目の当たりにした際に、日本の価値観を押し付けずに、派遣先の文化や生活スタイルを受け入れて、パフォーマンスを落とすことなく業務を遂行できる異文化対応力も必要です。
もし、これまで日本で働き、初めて海外に派遣する予定のある社員がいる場合は、多様な価値観、働き方をする海外の方と協働体験できるプログラムによって派遣前に異文化対応力を養うことができます。
2.語学力
当然のことですが、グローバル人材には語学力が必要不可欠です。日常生活レベルではなく、ネイティブとの商談が可能なビジネスレベルの語学力が求められるでしょう。
語学力をはかるには、一般的な語学テストの点数や学歴ではなく、「グローバル人材としてビジネスレベルの優れた語学力を持っているかどうか」の見極めが大切です。
グローバル人材を自社で育成する場合は、グローバル人材のための語学強化プログラムを実施しましょう。
3.コミュニケーション力
国をまたいだビジネスにおいても優秀な成果を上げられるグローバル人材には、他言語でのコミュニケーション能力の高さが求められます。
海外の取引先企業や協力会社と、良好なビジネス関係を築けるかどうかは、グローバル人材のコミュニケーション能力にかかっていると言っても過言ではないでしょう。
他言語でロジカルに話せるだけでなく、相手を攻撃せずに自分の主張したいことを伝えるアサーティブなコミュニケーション、ビジョンを伝える際にストーリーを用いて相手の感情に届くストーリーテリングなど様々なコミュニケーションスキルが求められます。
グローバル人材を育成するための語学強化と合わせて、他言語でのコミュニケーションスキルを磨く実践プログラムを行うことで自信が身につくはずです。
4.経営基礎力
海外に派遣すると日本のポジションよりも1つ~2つ高いポジションに就くことが多いです。そのため、海外現地法人での経営戦略、部門戦略、マーケティング戦略などを策定することが求められるだけでなく、組織マネジメント、人材マネジメントなど幅広い経営基礎力が求められます。
一方で海外に派遣する前に経営基礎力を身につけるプログラムを用意していない企業も多くあります。現時点ではまだ、経営に関するプログラムを用意していない、社員も経営に関する知識やマインドを持っていない……といった状況でも、海外派遣前にグローバル人材育成の一環として経営力を身につけることが可能です。
5.ビジネススキル
高い語学力とコミュニケーション能力があれば、海外企業とのやりとりは円滑に行えますが、そこから成果につなげるにはやはりロジカルシンキングやプレゼンテーション、問題解決スキルなど基本的なビジネススキルが必要です。ビジネススキルは国内外問わず共通で必要なスキルのため、必ずしもグローバル人材育成のためにプログラムを用意する必要はありません。階層別教育に取り入れることで全社員教育に繋げる企業もいれば、公募研修や自己啓発支援プログラムなどにビジネススキルを多く用意することで、必要としている社員が必要なタイミングに受けられるようにすることで、社員のビジネススキルを強化することが可能です。
6.マインド
グローバル人材は、国際的なビジネス競争に追いついていける人物でなくてはなりません。
国内で働く時とは異なるマインド、考え方が求められます。
新しいことにチャレンジする積極性や、変化に対する柔軟性、ビジネスチャンスを逃さないアンテナ感度の高さなどを持ち合わせている人物がふさわしいでしょう。
また、グローバル人材として活躍する上で、困難に直面することも必ずあります。その際に、トラブルや困難を乗り越えられるかどうかもマインドが大きく関わってきます。マインドのミスマッチにより当初予定していた海外派遣期間よりも短いうちに日本に帰国してしまい、ビジネスパフォーマンスが出ずに高いコストだけかかってしまうケースもあるため、
失敗をしないのではなく、失敗を乗り越えられるレジリエントなグローバル人材を育成しましょう。
7.マネジメント
「1.異文化対応」でも触れたように、グローバル人材はマネジメントを行う立場に就くことが多いです。そのため、マネジメント能力も求められます。
これまで説明した経営基礎力やビジネススキルといった要素が、このマネジメント能力につながっていきます。海外では日本と異なる商習慣・法律によって現地ならではのマネジメントに適応していく必要があります。その典型例の1つが職務等級制度、所謂ジョブ型雇用になります。ジョブディスクリプションを軸に人材を獲得しマネジメントするスタイルは日本の職能的なマネジメントや役割的なマネジメントスタイルとは別物になります。
グローバル人材となることで今よりも高いポジションになり、社員を率いる存在になるため、自らのマネジメントスタイルを現地に合わせて適応することで現地社員のやる気・モチベーションを上げられる人材が最適です。
8.リーダーシップ
グローバル人材は、ただ優秀なだけでは務まりません。リーダーシップも求められます。「リーダーシップ」と聞くと、経営者や、プロジェクトリーダーなどの行動規範のイメージが強いかもしれません。グローバル人材に必要なのはそれだけではなく、リーダーとして周囲の信頼や支持を得ることができる人物である、という意味でのリーダーシップでもあります。
周囲と良い関係を築きながら、目標に向かって率先して行動を起こす人物は、フィールドを問わず良い影響を与え続けます。海外に派遣されても、優秀なグローバル人材であればリーダーシップを発揮して成果を上げることができるでしょう。
9.リベラルアーツ
グローバル人材は、派遣先の国ではポジションが上がるため、現地のエグゼクティブの方と触れ合う機会も多くなります。現地のエグゼクティブとの会合などでは、経済、政治、文化、芸術などビジネスとは直接関係しないテーマで話すこともあります。その時に自社のリーダーが全く話せないとなると現地のエグゼクティブからは相手にされなくなることもあります。日本文化はもちろんのこと様々な教養を身につけることがグローバルリーダーには求められます。
なぜ今、グローバル人材の育成が必要なのか?
グローバル人材に必要な要件はさまざまで、育成は決して簡単ではないと言えます。
また、育成対象となる候補者選びで人選を誤ってしまうと、育成コストが無駄になってしまうだけでなく、社員のキャリアにも大きな影響を与えかねません。
それでも、現在多くの国内企業がグローバル人材育成に取り組んでいるのには、どのような理由があるのでしょうか?
なぜ今グローバル人材の育成が必要とされているのかをご説明いたします。
海外ビジネスにおける社員一人ひとりの生産効率を上げる
日本が抱える少子高齢化は、市場を縮小させるだけではなく、働き方にも影響を与えています。多くの企業が、少ない人数で生産効率を上げることを望んでおり、そのための人材育成を実施しています。
かつての日本企業であれば、「通訳」として語学力だけで仕事が成り立ったかもしれませんが、今の日本が求めているのは「グローバル人材」です。
語学力だけではなくビジネススキルやコミュニケーション能力にも長けたグローバル人材を育成することによって、一人の社員による生産効率の向上が期待できます。
多様性のある視点が求められている
近年、日本国内の企業において、「日本企業でしか通用しないビジネス思想」からの脱却が進んでいます。つまりは、多様性のある「ダイバーシティ経営」のために、グローバル人材育成を行っている企業も多いのです。
ダイバーシティ経営とは、人種・価値観・宗教・性別などの枠組みを超えた人材採用をすることで、企業として多様な価値観への理解を深め、新たな価値を創造することです。
グローバル人材による多様性のある視点や意見は、企業を活性化させることでしょう。
グローバル人材育成によって企業としてもアップデート
グローバル人材を自社で育成することは、企業にとってビジネスの幅を海外に広げられるだけではなく、時代の流れにそった働きやすい企業としてのアップデートにもつながります。
グローバル人材を育成する理由が海外への事業進出であれば、古い考えや体制を捨て、時代に合った新しい価値観へのアップデートは必要不可欠です。
グローバル人材育成は、人だけではなく企業を育てるとも言えるでしょう。
グローバル人材の育成方法とは
さっそく自社でもグローバル人材の育成を始めるとなったら、どのような育成方法があるのでしょうか。
4つの方法をご紹介いたします。
1.企業内研修
自社で社内研修を行うのがまず第一の方法です。
研修内容は、語学強化や実務に合わせたコミュニケーション演習などを行います。
ただし、これからグローバル人材を育成するという企業にとって、自社のリソースだけで研修を実施するのは難しい側面があります。実績のあるグローバル人材育成会社などによる講師派遣型の研修サービスで自社に合った研修プログラムにカスタマイズして利用することをおすすめします。
オンライン研修も実施
新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、社員の多くが在宅勤務をしている、または研修場所の密を避けたいという企業も多いはずです。
その場合は、オンライン研修を実施しましょう。オンライン研修にすることで海外派遣前に行っていたプログラムを海外派遣後でも実施しやすくなりました。グローバル人材育成会社でも、オンライン研修に対応しているプラン・サービスを選ぶことができます。
2.グローバル人材能力要件定義コンサルティング
自社でどのように育成を行うべきか、まずはグローバル人材育成会社のコンサルティングを受けるという方法もあります。
グローバル人材育成会社によって一から研修を実施するのではなく、グローバル人材像定義から能力要件定義、研修体系の構築から育成のノウハウまで深い知識を活かしたサポートを受けることができます。
3.語学力強化
グローバル人材としての実務に特化した語学力強化も、育成の一環として実施しましょう。
一般的なビジネス英会話ではなく、グローバル人材を育成するための語学力強化であることが重要です。こちらも、グローバル人材育成会社の研修やe-ラーニングによる受講で一人ひとりのレベルに合ったカリキュラムを提供できるプログラムが最適でしょう。
4.プログラムの活用
グローバル人材を自社で育成するため、無駄なく研修を行うのであれば、グローバル人材育成会社が提供する目的別の育成プログラムを活用することがベストです。
駐在員やグローバルリーダーといった役職に合わせた豊富なプログラムを用意しています。
育成プログラムはパッケージ化されているわけではなく、自社の業務や育成対象者に合わせて柔軟にカスタマイズをすることができます。
グローバル人材育成なら「アルー」へ
グローバル人材の育成なら、アルーにお任せください。
アルーでは、海外で成果を上げられる「グローバル人材育成」の豊富なノウハウを活かした、プログラムと実績を有しています。
- 海外派遣型研修
- トレーニー育成
- 海外派遣オンラインプログラム
- グローバルリーダー選抜育成
- エグゼクティブリーダーシッププログラム
- 駐在員・海外派遣社員赴任前研修
- 語学力強化(ALUGO)
- 日本文化体験リベラルアーツ&チームビルディング
- ナショナルスタッフ育成
- グローバル人材育成コンサルティング
- eラーニングプログラム
ただ育てるだけではない、「育成の成果にこだわる」ことをコンセプトに掲げ、企業の海外人材育成に最適なソリューションを提供します。
まとめ
グローバル人材に求められる要素から、自社で育成をすべき理由まで解説いたしました。
海外で活躍し成果を上げられるグローバル人材は、今や大企業だけではなく中小企業でもニーズが高まっています。
グローバル人材は、ただ語学力があるだけでは務まりません。ビジネススキルやコミュニケーション能力、指示待ちをしない積極性、マネジメント能力などが求められます。
自社でグローバル人材を育成することは、海外でのビジネスチャンスを逃さない、世界に向けた事業展開の大きな一歩となります。
また、企業として多様な価値観を受け入れる「ダイバーシティ経営」へのアップデートも期待できるでしょう。
グローバル人材の育成をさっそく始めたいという企業は、ぜひ「アルー」にご相談ください。