ナショナルスタッフに教育の機会を!スキルアップと横同士のつながりを実現
TANAKAホールディングス株式会社 導入事例

左から駒木根、椎葉様、増子様、鈴木様
田中貴金属グループロゴ

TANAKAホールディングス株式会社
従業員数 : 5,355人(令和5年3月31日 現在)
事業内容 : 田中貴金属グループの中心となる持株会社として、グループの戦略的かつ効率的な運営とグループ各社への経営指導

TANAKAホールディングス株式会社では、海外拠点のナショナルスタッフの選抜者を対象としたマネジメント研修を実施しました。アルーは、日本語クラス、英語クラスの双方において研修設計、当日運営、振り返りなどを支援いたしました。教育機会の少なかったナショナルスタッフに対して、どのように満足のいく研修を実施したのでしょうか。TANAKAホールディングス株式会社とアルーの取り組みをご紹介します。

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課題

  • ナショナルスタッフに対する明確な教育体系がなかった
  • 日本語での研修しか提供できていなかった
  • 拠点をまたいだ横のつながりが少なかった

目的

  • ナショナルスタッフにグループの一員だという認識をもってほしい
  • マネジメントスキルを学び、各拠点に還元してほしい

効果

  • ナショナルスタッフが部下のキャリアを考えるきっかけとなった

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人事総務部
ヘッドマネージャー
鈴木 章悟 
人事総務部 国際人事セクション
チーフマネージャー
増子 揚子 
人事総務部 国際人事セクション
リーダー
椎葉 栄介 

ナショナルスタッフにグループの一員だと実感してもらうことが目的

-まず、貴社の事業内容と人事総務部国際人事セクションの役割を教えてください。

鈴木様(以下、敬称略):田中貴金属工業は、貴金属に特化した工業用製品の開発・製造および貴金属地金の卸、BtoCの宝飾品事業を行っている企業です。われわれ人事総務部国際人事セクションは、その持株会社であるTANAKAホールディングスに所属しています。
国際人事セクションは元々、海外で働く仲間たちの支援を目的とした組織でした。駐在員サポートや海外拠点サポートが主な業務です。20201年にチーム体制を増強し、現在は会社全体のグローバル化を促進するチームとして、教育や人材開発にも力を入れています。

その中で、私は現在、人事全体のデータ管理や給与計算を担うチームと国際人事セクションを統括しています。

増子様(以下、敬称略):私と椎葉は、2020年までは海外拠点の教育や人事を担当していました。その後、国際人事セクションに異動し、ナショナルスタッフや拠点長、駐在員に対する教育の企画・運営を担っています。
それ以外にも、国内の社員向けに英語力や中国語の強化なども行っており、グローバル化に向けた様々な教育を企画運営をしています。

椎葉様(以下、敬称略):私は増子と共に研修や教育の分野と、人事制度の改革を手がけています。

鈴木:国内から海外への駐在や異動はもちろん、海外から国内への異動・駐在など、「国際」という要素が絡むところで我々の出番があります。ただし、教育に特化しているわけではなく、「国際」とついたら何でもやる部署です。

-今回、アルーと実施した「ナショナルスタッフ向け研修」はどのような内容でしたか?

増子:実は、本社でナショナルスタッフ向けの研修を企画・運営するのは今回が初めてだったため、研修内容については非常に悩みました。受講対象者も同様です。
コミュニケーション研修にするべきか、リーダーシップ研修にすべきか、それともマネジメント研修にするべきか……。
この段階からアルーと相談し、まずはマネジメント初級者向けの研修にしようということになりました。マネジメント初級者が、弊社では一番多い層だからです。
まずはマネジメント初級から始めて、反応を見て次の研修を考えていく予定です。

研修の対象者としては、海外拠点のナショナルスタッフの中から約20名を選抜しました。アジアやアメリカ、ヨーロッパなど、弊社が拠点をおく全てのエリアが対象です。中国のナショナルスタッフにも参加してほしかったのですが、新型コロナウィルスの影響で叶わず、この点はすごく後悔が残っております。
様々な拠点のナショナルスタッフが参加するため、研修は日本語と英語の両方で実施しました。

-どのような観点で20名を選抜したのでしょうか?

鈴木
ナショナルスタッフの中から、部下を初めて持つ方、もしくはこれから持たせたい方を拠点毎に1-2名選抜してもらいました。

増子:選抜は海外拠点長にある程度お任せしていました。
我々からは選抜の観点として、「長く在籍してほしいナショナルスタッフを選んで頂きたい」とお伝えしていました。弊社としては、社員には家族のような存在として長く在籍してほしいという思いがあるためです。

椎葉:海外拠点長からは、選抜にあたって色々と相談がありました。この研修に対して真摯に向き合い、真剣に考えていただいていたのだと思います。

-ナショナルスタッフ育成についてはどのような課題を感じていましたか?

増子:海外拠点での採用も東京本社での採用も、採用した方は弊社の社員だということに変わりはありません。にもかかわらず、日本採用の社員向けにあるような明確な教育体系がナショナルスタッフ向けにはありませんでした。また、国によって教育体系の整い方も異なるため、このような状況の中で何ができるかというのを考える必要がありました。

椎葉:ナショナルスタッフ向けの研修があったとしても、日本語が話せるスタッフしか参加できない状況でした。ナショナルスタッフの中には、「私は日本語ができないから、研修に参加するチャンスは回ってこないだろう」と諦めてしまう方も多かったのです。ナショナルスタッフの方はみんな優秀なのに、教育の機会がないということで悲しい思いをさせたくないと感じ、日本語だけでなく英語でも研修を実施することにしました。

鈴木:ナショナルスタッフへの教育を以前から行っている海外拠点もありましたが、ほとんど教育機会のない拠点もありました。教育機会のない拠点では、ナショナルスタッフに「手を動かせばいいよ」というメッセージしか伝わっていない可能性があり、その点を問題視していました。そこで、ホールディングスとしてグループ全体で同じような教育機会を提供できるようにしたいと考え、2021年以降、国際人事セクションの体制も強化したわけです。

増子:研修の機会を十分に提供できていなかったということ以外にも、国内で勤務する社員が英語に慣れておらず、海外拠点とうまくコミュニケーションがとれていないという課題もありました。たとえば、海外拠点のナショナルスタッフが日本国内に電話した際、英語が分からないからという理由で電話を切ってしまうということがありました。これではナショナルスタッフ側もストレスが溜まってしまいます。
そこで、ナショナルスタッフ向けの研修と同時に、国内側でも英語力を向上させる企画も実施しています。

鈴木:拠点をまたいだ横どうしの繋がりは薄かったですね。事業毎に見ればある程度はあったのですが、グループ全体での横同士のつながりはほぼありませんでした。

-そのような課題を持っている中で、今回のナショナルスタッフ向け研修の目的はどこに置いたのでしょうか?

鈴木:一番の目的は、ナショナルスタッフに弊社の一員だという実感を得ていただき、長く一緒に働いてもらうことです。それも、特定の「〇〇拠点の一員」ではなく、従業員数5,000名を超える日系企業の一員なのだという認識を持ってもらう必要があると考えていました。そのためには、今回のような拠点をまたいだ全社的な育成プロジェクトが継続的に行われていることが重要です。
また、田中貴金属グループにいれば成長できる、新しい経験を得られると思ってもらえれば、優秀な人材が長く弊社で働く動機にもなると思っています。

もう一つの目的は、有望株である研修選抜者がスキルを身につけ、各拠点で存分に活躍することです。そのため、研修コンテンツの中身についても充実させる必要があります。

-受講者には具体的にどのような知識・スキル習得や行動変容を望んでいましたか?

鈴木:初級マネジメントを行う立場として身につけるべき知識やスキル全般は身につけてほしいところでした。今回の研修コンテンツはアルーと一緒に作りましたが、満足したものになっていたと思います。

-今回の研修のベンダー選定にあたって、重視した点を教えてください。

増子:今回のナショナルスタッフ向け研修では、殆どの受講者が母国語でない難しい講義を受けさせ、疲れさせてしまうという事態は避けたいと思っていました。まずは受講者同士が楽しくコミュニケーションをとって、横のつながりの形成につなげることが大事だと考えたのです。各社の企画案を拝見し、この点を上手に企画してくれているかどうかを重点的に見ていました。

鈴木:あとは、日本語と英語の二言語で同一コンテンツをスムーズに実施してもらえることが絶対条件でした。アルーはその点は全く問題ないと仰っていただき、実際に研修後の様子を見ると日本語クラスも英語クラスも非常に評判がよかったです。

“おかわり”したくなるような楽しく充実した研修になった

-ナショナルスタッフ向け研修を実施してみての感想をお聞かせください。

鈴木:まずはざっくりした所感を申し上げると、「おかわり!」という感じですね。とにかくもう一杯ほしい。それくらい満足しています。

増子:アルーには良い講師を選んでいただけたと感じています。
また、弊社からの様々な要望を受け入れ、企画を考え直してくれたり、調整してくれたりといった点がありがたかったと思っています。私としては、ナショナルスタッフが喜んでくれない施策は実施したくないので色々と要望を伝えましたが、諦めずに調整してくれたのではないでしょうか。

椎葉:ご提案の段階で、10年先、15年先の弊社の社員の成長のことを考えてくれていことがわかりました。打ち合わせをする度に、「次はこうしませんか」とワクワクする提案をしてもらえます。まさしく、おかわりをお願いしたい気持ちです。

-アルーの研修で特に良かったポイントを教えてください。

鈴木研修の早い段階で受講者のテンションを上げて、それを維持していただいたことがよかったですね。
研修では、どうしてもだらけてしまう瞬間があると思います。アルーの場合、もちろんそういった瞬間がゼロではないのですが、受講者のテンションがあがった状態をよくキープしてくれたのではないでしょうか。特に、体を動かすプログラムを取り入れていただいたのがよかったですね。このプログラムは非常に好評でした。

増子:研修後に海外拠点長に話を聞くと、そのプログラムの話ばかりでてくるくらいでしたね。

また、研修当日の柔軟な対応にも助けられました。研修初日に自己紹介の時間を取ったところ、一人ひとりが想定したより話す時間が長くなってしまい予定していた時間をオーバーしてしまいました。その際、私から「こうして会う機会は滅多にないので、自己紹介の時間はきちんと取りたい」とお願いしたところ、快諾いただき、その後の時間調整もしっかりとしてくれました。後日自己紹介の時間を取って貰えて良かった、という振り返りもできたため、次の企画もお互いに同じ認識を持った状態で進められると期待しています。

弊社とアルーはお付き合いが長いということも、研修企画によい影響を与えていると思います。アルーの営業担当が一度変わりましたがきちんと引継ぎをしてくれたので、後任の方も弊社のことを全部わかってくれていると感じます

椎葉:アルーは弊社の弱点を把握し理解してくださっています。ナショナルスタッフの場合、単調にアカデミックな講義をしても理解できず退屈だと感じてしまうメンバーもいます。
また、弊社のメンバーは国内海外問わず自分から手を挙げて意見を言わない傾向にあります。
そんな弊社の弱点を理解し、退屈に感じさせない工夫や意見を引き出す工夫をしっかり考えて研修に取り入れてくれていたと思います。
身体を動かすプログラムやロールプレイを取り入れたことも効果的でしたし、講師の話も上手でした。ご自身の経験から語っていただいたので、受講者にも響いたのではないでしょうか。具体例や他社事例を豊富に取り上げ、話しやすい雰囲気も作ってくれました。

-今回の研修の目的である、「TANAKAホールディングスの一員だと実感してもらう」「学んだことを各拠点で還元してもらう」という点については、どの程度達成できたと思いますか?

増子:受講者アンケートや研修後の拠点長からの報告を受けて、達成できたという実感を得ています。
研修後に各拠点に伺ったのですが、その際に拠点長から感謝とお褒めの言葉を多く頂きました。受講者が拠点長に対して、研修の内容や楽しかったという感想を細かく報告してくれていたようです。拠点長の方が私より研修内容を把握しているくらいで、すごく嬉しかったのを覚えています。受講者も私が拠点に行くと皆で出迎えてくれましたので、ナショナルスタッフもこの研修を喜んでくれたのだと実感します。

今までは研修後に報告書を提出してもらって成果を確認していたのですが、そういった報告書には本音は表れないと感じていたところでした。今回、報告書の提出は依頼しなかったのですが、拠点長や受講者の様子を見て成果があったと感じています。

学んだことを持ち帰ろうという意欲が受講者に見られた

-ナショナルスタッフ向け研修を実施し、受講者にはどのような変化がありましたか?

椎葉受講者がディスカッションの場で、相手に対してよく質問するようになりました
だれか一人が話すと、それに対して何でそう思ったのか、それはあなたの国特有のことなのか、など、積極的に発言するようになったのです。この点が研修の中で特に成長したと感じた点ですね。おそらく、その場の研修だけで終わったら駄目なのだと次第に分かってきたからではないでしょうか。研修を終えて各拠点に戻ったときに、学んだことをアウトプットしなければいけないという意識が鍵となり、成長したのだと思います。

ナショナルスタッフはこれまでも、自身のキャリア設計に対しては日々頑張っていたと思います。今回の研修を通して、その範囲を部下や同僚のキャリアにまで拡げるきっかけを作ることができました
職場には様々な人がいるため、100%好きだと言える相手ばかりという訳にはいきません。その中で、マネジメントをする立場の社員にはどのような役割が求められるのか、研修の中で意見交換ができたのが良かったと思っています。

-今回の研修を通して、受講者以外に何か変化はありましたか?

鈴木拠点長から、「試しに参加してもらったが、また是非やってほしい」と言ってもらえています。また、我々のマネジメントからも「とても良かった」という評価を頂き、今回呼べなかった中国やスイスの社員も含めてもっと手広く実施してほしいと要望をもらいました。ナショナルスタッフの育成について、「やってみよう」というレベルだったのが「ぜひやってほしい」というレベルへ引きあがったと感じています。

あとは、国内の社員が想定していたより協力的でした。
今回、研修プログラムとして日本の工場の見学を実施しました。すると、工場側が「勉強して満足して各拠点に帰ってもらおう」という意識で素晴らしい取り組みをしてくれました。これはとても嬉しい動きでした。

増子:みなさん、頑張って英語で資料を作ってくれていましたね。

鈴木:初めての取組みなので失敗してもよい、くらいの気持ちで取り入れたプログラムだったのですが、とてもよいコンテンツを用意してくれました。ナショナルスタッフを仲間として歓迎しようという国内の社員の意思が感じられましたね。

アルーにはプロの伴走者としてのサポートを期待

-グローバル人材育成の今後の展望を教えてください。

鈴木階層別に研修を行っていきたいと思っています。今回はマネジメント初級の研修を実施しましたが、今後はマネジメント上級も行いたいです。

-御社の今後のグローバル人材育成において、アルーにはどんな役割を求めますか?

鈴木:少しハードルを上げた伴走者になっていただきたいです。弊社からの期待を満たすだけでは弊社のペースも上がりませんので、弊社の期待値から115%くらいで引っ張ってくれるプロの伴走者としての役割を期待します。

増子:アルーは私たちのことを既に理解してくれていますが、より深掘りをして、「TANAKAさん、ここが足りませんよ」と提案してもらえると嬉しいですね。

また、教育体系も一緒に作ってほしいです。社員に対して、ここまで頑張ったらマネージャーになれる、というような展望を見せられるようになりたいと思っています。そのためには教育施策をもっと増やしていかなければいけないので、その点はぜひ相談させてください。

実施したい研修については、「点」ではたくさん思いついています。これから海外で働くことになる社員にも教育が必要ですし、海外拠点で長く働いている社員や拠点長の教育も欠かせません。こういった「点」でのやりたいことを形にしていくところから、一緒に取り組んでいきたいと思います。
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アルー営業担当からの一言

駒木根利哉
アルー株式会社
グローバルHRコンサルティング部
駒木根 利哉

3日間は研修の枠を超えて、真剣な学びに加えコミュニケーションイベントとして大変盛り上がっていました。受講者の皆さんだけでなく企画の3名を含めて、関係者全員が本当に楽しそうに過ごされていて“家族”の集まりのようでした。企画段階では、研修テーマ選び、演習の組み立て・設定、言葉の表現1つまでこだわり、研修では受講者の懐に踏み込むコミュニケーションや受講者の皆さんに喜んでもらいたいという気持ちがおもてなしとして伝わり、3日間につながったのだと思います。
研修中、田中 浩一朗社長から「TANAKAルネッサンスプラン」を受講者に語り掛けている姿やその内容が印象的でした。2085年に向けた大きな挑戦に取り組まれている中で、今後も人材育成を通じてお役に立ちたいと考えています。

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