Global One HR を実現するためのコミュニケーションの土台となる関係構築を図った Conference
-御社の事業内容、お2人の所属する部署とその役割を教えてください
前川様(以下、敬称略):ミズノ株式会社は、グローバルにスポーツ品の製造販売をしています。
所属するグローバル人事総務部では、グローバルな人事制度・総務・施設といった課題に対して取り組んでいる部署になります。私はその中のグローバル人財課の課長として、主にグローバルの社員を含めた人事政策・タレントマネジメントを推進する役割を担っています。
舞原様(以下、敬称略):私はグローバル人事総務の担当次長として、グローバル人財課ではグローバルの人事政策や駐在員の支援、また人事課では人事制度の設計・運用をしています。
-今回の Global One HR Conference を実施するに至った背景を教えてください
前川:以前、海外赴任を経験したときに、海外子会社と日本本社間のコミュニケーションが少なく関係性が薄いことに気付き、ミズノというブランドで一つになりきれていないと感じました。
今後、グローバル市場で戦っていくにはグローバルな情報の共有が重要になります。日本本社が情報を持っていても、海外子会社との協力依頼や情報共有がうまくできないと、グローバル市場で遅れを取ってしまいます。ミズノが目指しているのは、「会社としてグローバル全体で強い人財を作ること」です。そのため、ミズノというブランドで一つになれていないことを課題と捉えていました。
舞原:これまでのコミュニケーションは属人的なものでした。しかし、属人的なコミュニケーションでは、その人がいなくなると業務が進まなくなることがあります。そのため、グローバルにメッシュネットワークをつなげたコミュニケーションが必要だと考えました。
-課題に対してこれまで研修・ワークショップなどの施策を行ってきましたか
舞原:去年 DNA Workshop を実施、また月に1回 One HR Meeting を行っています。
会社の経営計画・経営戦略として、「国内事業の強化」「新規事業の開発」「グローバル事業の強化」という3本柱があり、その中の「グローバル事業の強化」では、特に「人」の強化に重点を置いていました。2019年から、グローバル人事強化のためにグローバル人事担当が編成され、「人」の強化には共通の思いが大切であり、同じ方向を見据えて取り組む体制を作る必要があると考え、DNA Workshop を実施しました。
DNA Workshop では、ミズノというブランドで一つになるために、グローバル社員に会社の理念・思想を理解してもらい、考えの統一を図りました。
前川:去年の DNA Workshop は、アジア3カ国を対象としオンラインで実施しました。ワークショップの実施に至った理由は、グローバル社員が日本企業に務める動機として「日本を好意的に思っていること」がヒアリングから分かっていたため、会社の理念・思想を共有し、「人」を強化しようと考えたためです。
他にも、欧米豪など、英語圏を中心に One HR Meeting を月に1回オンラインで実施しました。しかし、DNA Workshop や One HR Meeting を通じて、オンラインだけでは伝わらない部分があると感じました。コロナが明けたということと、2022年8月に新しくイノベーションセンターを建設したことも相まって、今回、日本本社に集まって Global One HR Conference を実施することになりました。
3日間の Conference を実施する前に「Day 0」を設けたことが成功の鍵となった
-今回の Global One HR Conference の施策内容について教えてください
前川:海外子会社のHRのマネージャー以上を日本に集めて3日間のカンファレンスを実施しました。
1日目は、参加者が10カ国から集まっているため言語の壁がありましたので、ゲームを通じてお互いを知る時間を設けました。
2日目は、グローバル人事総務部で掲げているMVVを共有しました。
3日目は、グローバルで取り組んでいるプロジェクトについての深堀りをしました。プログラムの最後に、それぞれの人事担当者と帰国後の落とし込みについて考える時間を設けました。
また、カンファレンス中の仕掛けとして、ミズノグループの社長とのセッション、新しいイノベーションセンターの見学、日本に親しみを持ってもらうような仕組みを入れました。
カンファレンスは3日間のプログラムでしたが、カンファレンスの前日、日本に到着してすぐに「Day 0」を設けました。弊社のフラッグシップストアで日本限定の商品を見てもらい、その後はウェルカムディナーをしました。
舞原:アルーさんからのご提案で「Day 0」を実施しましたが、「Day 0」を設けたことによって1日目をとても良い雰囲気で始めることができたと思います。
やりたいことが盛りだくさんで、コンテンツを詰めたスケジュールになってしまいましたが、参加者の状況を見ながら柔軟に運営してもらえたので良かったです。
海外と日本、双方の心理的な壁を取り除いたコミュニケーショントラスト
-今回の Global One HR Conference を実施した目的は何ですか?
前川:今回の目的は、関係性の構築です。更には、関係構築をした上でビジョンを共有することだと思っています。今回のカンファレンスは3日間の実施でしたが、この3日間で、実際に対面して関係性を深めてもらえたので、ビジョンの共有についてはこれからだと思っています。
舞原:以前実施した、DNA Workshop や One HR Meeting によって、アジア・欧米・ウエスタンリージョンなど、それぞれのリージョン内でのコミュニケーションが行われるようになりましたが、リージョン間のコミュニケーションはありませんでした。今回、リージョン間のコミュニケーションを図るのも目的としてありました。
前川:もう1つ、日本と海外と分けずに関係性を構築することも目的としており、日本の国内子会社の人事責任者にも参画してもらいました。日本で良いものを作って海外で売る時代ではなく、グローバル全体の総合力をもって、グローバル市場に合わせる必要性があると考えているためです。
舞原:将来的には、本社は日本ですが日本中心の体制をなくしたいです。日本もアジアリージョンの中のジャパンリージョンであり、他のさまざまなリージョンが集まったグローバルな会社として成長していきたいと考えています。
-今回の目的である関係構築については達成にできましたか
前川:目的としていた関係構築については達成することができました。関係構築ができたことで、カンファレンス後にリージョン間での自発的なコミュニケーションが見られました。
また、日本中心のコミュニケーションではなくなったと実感しています。例えばチャットをするときに、カンファレンスで直接話をしたときの印象から、相手の雰囲気に合わせてコミュニケーションを行っていました。
それと同時に、日本側のマインドも変わったと感じています。日本国内のみで仕事をしていると海外とのコミュニケーションに壁を感じてしまいます。しかし、今回のカンファレンスで海外子会社の人事担当と挨拶や自己紹介という基本的なコミュニケーションを取り、一緒にお酒を交わしたり、完璧なコミュニケーションでなくてもなんとなく分かり合えるものがあったり、雰囲気に溶け込んで一緒に時間を過ごしたことで、心理的な壁を取り去ることが出来たと思います。
舞原:日本の社員が、日本もグローバルチームの1つだと認識してくれました。これまでは、グローバルで活動するときにグローバルチームを通して行っていましたが、日本から海外にダイレクトにコミュニケーションを取っていました。グローバルコミュニケーションが「0」だったものが「1」になり、関係構築のスタートを切れたと思います。
前川:コミュニケーションは仕事の効率性に関係していて、コミュニケーションがしやすくなると仕事のスピードも圧倒的に速くなると考えています。例えば、直属の上司との関係性が構築されていれば、何か問題が生じたときにすぐに相談をして、すぐ解決できてしまうことでも、関係性が構築されていないと言いづらいと感じて時間を要してしまいます。同じ文面を送っていてもスピード感や効率精度が変わってきますので、コミュニケーショントラストという、お互い信じ合えている関係性の構築というのが重要になってきます。
今回達成した関係性の構築を経て最終的に目指すのは「One Mizuno Culture」
-もっとこうだったら良かったと思うところはありましたか
舞原:前もってレベル感を揃える取り組みを設けるべきでした。MVVを初めて聞くというリージョンもありましたので、事前に簡単に伝えておく必要があったと思います。
前川:コミュニケーションを英語で行えば良かったと思いました。これからはグローバル市場で戦っていく必要があるので、共通言語として英語を少しずつ意識していかなければと考えています。今回のカンファレンスのようなコミュニケーションは、ステップアップの仕掛けの1つになるのではないかと思いました。
舞原:日本語しか喋れなかったメンバーが、カンファレンス中に英語に触れ、最終日には英語でコミュニケーションを取ろうとしている姿が見られました。グローバルで One Team になるには、共通言語は英語だと理解してくれたのだと思います。
-今後はどのようなことを実現していきたいですか
前川:今後は、この構築された関係性を維持していく必要があります。すでに取り組みはじめていて、カンファレンスの1カ月後にはオンラインでアウトプットの機会を設けました。今後もアルーさんのアドバイスをもらいながら進めていこうと思っています。
また、今後の課題として「役割の明確化」をする必要があります。会社全体の方針を出すことは本社の役割ではあるものの、海外社員の意見を反映させたものにしたいので、一緒に考え、すり合わせていきたいと思っています。
更には、グローバル人事総務部で掲げているMVVの一つである「One Mizuno Culture」を実現していきたいです。ミズノで働く従業員全員で「One Mizuno」であり、従業員を中心とした組織であるという「ピープルファースト」や、国ごとの線引きをなくした One Team であるという「ボーダーレス」という理念を、会社の文化として根付かせたいです。
舞原:今回は「One Mizuno Culture」の第一歩としてHRの関係構築を試みましたが、今後HRだけでなく会社全体で関係構築していこうと考えています。
アルーは「自社が本当に抱えている課題は何か?」を親身に、根気よく時間をかけて一緒に考えてくれる存在
-アルーに決めた理由を教えてください
舞原:アルーさんにはこれまでもいくつか研修やセミナーにも参加していたので親しみを持っていました。長い付き合いから、弊社の事情をよく理解してくれているため、アルーさんに決めました。
設計段階の打合せのときには、根気よく話を聞いていただきました。よくある会社さんだと、サービスの紹介だけされることもありますし、時間がかかる場合は付き合っていただけないこともあります。ですが、アルーさんは長い構想段階であったのにも関わらずお付き合いいただいて、結果良いものができたため満足しています。
前川:会社の「本当に抱えている課題が何なのか」を一緒になって考えてくれることろがアルーさんの強みだと思っています。契約を締結していざ打合せをしようとなったときに、事務的な手続きで終わってしまうことがよくありますが、アルーさんは親身になって、根気よく時間を掛けて向き合ってくれたのでアルーさんを選んで良かったと思っています。
-今後、アルーにはどのようなことを期待していますか
前川:今後もHRの取り組みについて一緒に考えていただきたいです。人事の領域には正解がなく、特にグローバルとなると、さまざまな価値観・バックグラウンドを持つ多様な人材の活用について考えていかなければならないので、専門的な知識をアウトプットしていただけることを期待しています。
舞原:アルーさんの特徴は、「一緒に考えていただけること」だと思ってます。さまざまな課題に対して、視点を変えた柔軟なアドバイスをくれたり、ミズノにフィットする方法を一緒に考えてくれるところがアルーさんらしい部分なので、今後もそのようなサポートを続けてほしいです。
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アルー営業担当からの一言