グローバルリーダーとは?定義と求められるスキルをわかりやすく解説
グローバルリーダーとは、文化や価値観の異なる外国人と協働し、グローバル環境下でのビジネスをリードできる存在のことを指します。グローバルリーダーには語学力やリーダーシップ以外にも様々なスキルが求められ、育成にもコツが必要です。グローバルリーダーに必要なスキルや育成方法を解説します。
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グローバルリーダーとは
グローバルリーダーとは、自国以外の国や文化、言語、宗教など多様な価値観を持つ顧客やパートナー企業、自社の社員をマネジメントし、ビジネスを牽引するリーダーを指します。
グローバルリーダーと似た言葉に、「グローバル人材」や「グローカル人材」、「グローバルプレーヤー」、「グローバルマネージャー」などがあります。
グローバル人材とは、広義の意味で、グローバルリーダーやグローバルプレーヤー、グローバルマネージャーを含んでいます。自国以外の国や文化、言語、宗教など多様な価値観を持つ顧客やパートナー企業、自社の社員と良好な関係を構築し、ビジネスを牽引する人材の総称です。
グローバル人材について詳しくは以下のページをご参照ください。
『【企業事例あり】グローバル人材育成の取り組みとよくある課題への対策』
グローカル人材とは、グローバルな環境下で通用するスキルやグローバルな視点、経験を持ちあわせており、且つ、地域社会や経済の活性化、持続的発展に貢献することができる人材のことを指します。「グローバル」と「ローカル」を組み合わせた造語です。
グローカル人材について詳しくは以下のページをご参照ください。
『グローカル人材とは?必要なスキルや育成方法・事例をご紹介』
グローバルプレーヤーとは、自国以外の国や文化、言語、宗教など多様な価値観を持つ顧客やパートナー企業、同僚と良好な関係を構築しながら、主体的にビジネスを推進し成果を出せる人材です。
グローバルマネージャーとは、自国以外の国や文化、言語、宗教など多様な価値観を持つ部下をマネジメントしチームとして成果を創出できる管理職の人材です。
有名なグローバルリーダー
グローバルリーダーとして知名度が高い人物として、ソフトバンク株式会社の創業者・取締役である孫正義氏や元Apple最高経営責任者のスティーブ・ジョブズ氏が挙げられます。孫氏とジョブズ氏は「グローバル人材が選ぶ『上司にしたい有名人』」でも上位にランクインしています。
グローバルな視点やカリスマ性、統率力、先見性、明確なビジョンといった要素があると、グローバルリーダーとして評価されるようです。
グローバルリーダーが注目される背景
グローバルリーダーが求められるようになっている背景には国内市場の縮小に伴う海外事業の拡大の必要性や、ダイバーシティ推進に伴う社員の多様化、外部パートナー企業の外資化などが挙げられます。それぞれ詳しく解説します。
海外事業の拡大
海外事業の拡大を目指す企業が多いことが、グローバルリーダーが注目される一因です。JETROが2022年に行った調査によると、海外拠点を持つ企業の内43.5%が「今後3年程度でさらに海外展開の拡大を図る」と回答しています。また、現在海外拠点を持たない企業においても、「今後新たに進出したい」と回答した割合は40.9%です。
参照:2022年度|ジェトロ海外ビジネス調査 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査
海外進出のためには、グローバルマインドとスキルを併せ持ったグローバルリーダーが必要です。そのため、多くの企業でグローバルリーダーが求められているのです。
社員の多様化
外国人社員の採用が進み、海外ビジネスに直接関わらずに日本で勤務している社員でも、外国人と接する機会が増えてきています。外国人労働者が増えている現在では、同僚や上司、部下が外国人になる可能性があるのです。厚生労働省が2022年に発表した「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ」によると、外国人を雇用する事業所数は前年に比べて13,000か所以上増え、外国人労働者数も95,000人以上増加しています。
参照:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和4年 10 月末現在)
日本国内で勤務していたとしても、多様な国籍、価値観を持つ社員と協働できるグローバルリーダーとしての素質が求められているのです。
外部パートナー企業の外資化
外部パートナー企業の外資化が進んでいることも、グローバルリーダーが求められる理由です。取引先のパートナー企業が日本以外の国の企業であったり、海外企業の買収により現地会社が子会社化したりすることもあるでしょう。その際には、オンライン会議で外国人とコミュニケーションしたり、外国人社員をマネジメントする必要があります。グローバルリーダーとしてのスキルを持ち、外国人とのコミュニケーションやビジネスをリードすることが求められるのです。
監修者からひとこと |
グローバルリーダーに求められるスキル
グローバルリーダーの定義と、求められる背景がわかったところで、続いてグローバルリーダーに求められるスキルをご紹介していきます。
- 異文化対応力
- 語学力
- コミュニケーション力
- 経営基礎力
- ビジネススキル
- マインド
- マネジメント力
- リーダーシップ
- リベラルアーツ
一つずつ、詳しく解説いたします。
1.異文化対応力
グローバル人材の仕事は、海外の企業とビジネスのやりとりを行うことだけではありません。国内外問わずビジネスで「成果を上げる」ことができる人物がグローバル人材です。
成果を上げるには、優れた語学力だけではなく、様々な文化・価値観を持つ顧客や同僚と良好な関係を築けるスキルが求められます。
また、グローバル人材は海外支社や協力会社に派遣され、現地でマネジメント業務を行う場合もあります。日本では信じられないような外国人部下の行動を目の当たりにした際に、日本の価値観を押し付けずに派遣先の文化や生活スタイルを受け入れて、パフォーマンスを落とすことなく業務を遂行できる異文化対応力も必要です。
海外で働いたことのない社員に対しては、多様な価値観・働き方をする海外の方と協働体験できるプログラムを実施するのがおすすめです。
アルーでは、短期海外派遣研修にて海外の人材との協働プログラムを提供しています。詳しくは以下のページをご参照ください。
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2.語学力
当然のことですが、グローバル人材には語学力が必要不可欠です。日常生活レベルではなく、ネイティブとの商談が可能なビジネスレベルの語学力が求められるでしょう。
語学力をはかるには、一般的な語学テストの点数や学歴ではなく、「グローバル人材としてビジネスレベルの優れた語学力を持っているかどうか」の見極めが大切です。
グローバル人材を自社で育成する場合は、グローバル人材のための語学強化プログラムを実施しましょう。
語学力について詳しくは以下のページをご参照ください。
『語学力とは?社員の語学力を高める方法』
3.コミュニケーション力
国をまたいだビジネスにおいても優秀な成果を上げられるグローバル人材には、他言語でのコミュニケーション能力の高さが求められます。
海外の取引先企業や協力会社と良好なビジネス関係を築けるかどうかは、グローバル人材のコミュニケーション能力にかかっていると言っても過言ではないでしょう。
他言語でロジカルに話せるだけでなく、相手を攻撃せずに自分の主張したいことを伝えるアサーティブなコミュニケーション、ビジョンを伝える際にストーリーを用いて相手の感情に届くストーリーテリングなど様々なコミュニケーションスキルが求められます。
また、海外では日本とは異なり、ローコンテクストなコミュニケーションが好まれる傾向があります。日本人同士のコミュニケーションでは、空気を読んだり、暗黙のルールに従わなければならないことも多いでしょう。日本人のコミュニケーションは言葉以外の情報から状況を察する必要があり、世界でもトップクラスのハイコンテクストなコミュニケーションなのです。日本では直接的な表現は好まれにくく、はっきりと発言する人を敬遠することも少なくないです。一方で、英語圏などでは話の文脈や事前の情報に頼らず伝えるべきことをすべて言語化し、直接的で分かりやすいコミュニケーションを取ることが求められます。
グローバル人材を育成するための語学強化と合わせて、他言語でのコミュニケーションスキルを磨く実践プログラムを行うことで自信が身につくはずです。
グローバル環境下で求められるコミュニケーション力について詳しくは以下のページをご参照ください。
『グローバルコミュニケーション研修とは|内容や目的・効果的に行うコツ』
4.経営基礎力
グローバルリーダーが海外に赴任すると、日本のポジションよりも1つ〜2つ高いポジションに就くことが多いです。そのため、海外現地法人での経営戦略・部門戦略・マーケティング戦略などの策定や組織マネジメント、人材マネジメントなど幅広い経営基礎力が求められます。
海外派遣する前に経営基礎力を身につけるプログラムを用意している企業が少ないかもしれません。グローバルリーダーが海外赴任した際になるべく戸惑うことのないよう、経営基礎力の研修プログラムも実施するのがおすすめです。
経営基礎力について詳しくは以下のページをご参照ください。
『経営に必要な基礎知識とは?経営者に向いている人の特徴や経営成功のコツ』
5.ビジネススキル
高い語学力とコミュニケーション能力があれば、海外企業とのやりとりは円滑に行えますが、そこから成果につなげるにはロジカルシンキングやプレゼンテーション、問題解決スキルなど基本的なビジネススキルが必要です。ビジネススキルは国内外問わず共通で必要なスキルのため、必ずしもグローバル人材育成のためにプログラムを用意する必要はありません。階層別教育に取り入れることで全社員に教育する、公募型研修や自己啓発支援制度を用意して社員が自分で選んで受けられるようにする、といった方法が考えられます。
階層別研修、公募型研修について詳しくはそれぞれ以下のページをご参照ください。
『階層別研修の目的や内容、体系図の作り方やおすすめカリキュラム例をご紹介』
『公募型研修とは|社内で浸透させる方法や効果的に行うポイント』
6.グローバルマインドセット
グローバル人材は、国際的なビジネス競争に追いついていける人物でなくてはなりません。そのため、国内で働く時よりも高いレベルのマインドセットが求められます。
自分で責任を取る意思決定の連続や、誰かから言われなくても新しいことにチャレンジする積極性、外部環境・内部環境の変化に対する柔軟性、ビジネスチャンスを逃さないアンテナ感度の高さなどを持ち合わせている人物がふさわしいでしょう。
また、グローバル人材として活躍する上で、自国では考えられなかったような困難に直面することも必ずあります。その際に、トラブルや困難を乗り越えられるかどうかにマインドセットが大きく関わってきます。マインドセットのミスマッチにより途中帰国することになってしまった、海外拠点で思ったようなパフォーマンスを出せなかったという失敗もよく聞きます。
グローバルリーダーとしてパフォーマンスを出してもらうためには、スキルだけでなくマインドセットも醸成することを意識しましょう。
グローバルマインドセットについて詳しくは以下のページをご参照ください。
『グローバルマインド研修とは|目的や内容、事例をご紹介』
7.マネジメント力
グローバル人材はマネジメントを行う立場に就くことが多いです。そのため、マネジメント能力も求められます。
これまで説明した経営基礎力やビジネススキルといった要素が、このマネジメント能力につながっていきます。海外では日本と異なる商習慣・法律があるため、現地ならではのマネジメントに適応していく必要があります。その典型例の一つが職務等級制度、いわゆるジョブ型雇用です。ジョブディスクリプションを軸に人材を獲得しマネジメントするスタイルは日本の職能的なマネジメントや役割的なマネジメントスタイルと全く異なります。
グローバルリーダーには、自らのマネジメントスタイルを現地に合わせて適応することで現地社員のやる気・モチベーションを上げられる力も必要です。
グローバル環境でのマネジメントについて詳しくは以下のページをご参照ください。
『グローバルマネジメント研修とは?目的や内容、事例をご紹介』
8.リーダーシップ
リーダーシップには様々なタイプがありますが、グローバル人材に必要なのは「リーダーとして周囲の信頼や支持を得ることができる人物である」という意味でのリーダーシップです。
周囲と良い関係を築きながら、目標に向かって率先して行動を起こす人物は、フィールドを問わず良い影響を与え続けます。価値観や文化の異なるメンバーからも信頼を得られるような人物が、グローバルリーダーにふさわしいでしょう。
リーダーシップについて詳しくは以下のページをご参照ください。
『リーダーシップとは?種類やリーダーシップがある人の特徴、身につける方法』
9.リベラルアーツ
グローバルリーダーは、現地のエグゼクティブの方と触れ合う機会が多くなります。現地のエグゼクティブとの会合などでは、経済、政治、文化、芸術など、ビジネスとは直接関係しないテーマで話すこともあります。その時に自社のリーダーが全く話せないとなると現地のエグゼクティブからは相手にされなくなることもあります。日本文化はもちろんのこと様々な教養を身につけることがグローバルリーダーには求められます。
監修者からひとこと |
グローバルリーダーの育成方法
グローバルリーダーを育成するには、以下の4つの方法があります。
- キャリア開発にグローバルリーダー育成を加える
- 語学を学ぶ制度を整える
- 海外支社との人材交換や国内支社に外国籍の労働者を採用するなど経験を積む環境を整える
- グローバルリーダー研修を実施する
自社の目指すグローバルリーダー像や、現在の社員のレベルによって、どの方法が適しているかは異なります。
グローバルリーダーの育成方法について詳しくは以下のページをご参照ください。
『【研修事例あり】グローバルリーダー育成を成功させる5つのポイント』
監修者からひとこと |
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【株式会社ヤクルト本社導入事例】「点」から「線」の育成へ。経営戦略に基づいたグローバル人材育成体系構築のポイント
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