グローバルマインド研修とは|目的や内容、事例をご紹介
テクノロジーの発展に伴い、世界がますますつながりを深めている現代社会では、国境を超えたビジネスが一般的になってきています。事業のグローバル化を進める上で欠かせないのが、研修による社員のグローバルマインドの育成です。
そこでこの記事では、グローバルマインド研修を実施する目的やプログラムの内容、研修の成功事例などを解説します。グローバルマインド研修の実施をご検討の人事担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
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グローバルマインドとは
グローバルマインドとは、海外での活躍を下支えするマインドセットのことを指します。具体的には、新しいことへ積極的にチャレンジする姿勢や、変化にも対応できる柔軟性、外国籍の人材ともスムーズにコミュニケーションを取ろうとする積極性などです。
海外では、国内では起こらないようなトラブルや困難に直面することも多いでしょう。グローバル人材として活躍するためには、さまざまな場面へ適切に対処できるマインド面の育成が必要不可欠です。
グローバルマインド研修が重要な理由
グローバルマインド研修を実施する企業は多いですが、どうして能力面だけでなくマインドの育成が重要なのでしょうか。
グローバルマインド研修が重要な理由として、企業の海外展開の加速に伴う意識転換の重要性や外国人社員の増加などが挙げられます。グローバルマインド研修を実施することの重要性を解説します。
海外展開を行う予定の企業が多いため
グローバルマインド研修が重要な理由の一つに、海外展開の加速が挙げられます。
JETROが2022年に行った調査によると、海外拠点を持つ企業の内66.9%が「今後3年程度でさらに海外展開の拡大を図る」と回答しています。また、現在海外拠点を持たない企業においても、「今後新たに進出したい」と回答した割合は47.1%です。「今後とも海外への事業展開は行わない」と回答した割合より多くなっています。
事業拡大先としてはアメリカやベトナム、中国が多いようです。市場規模や成長性が高いことを理由として挙げている企業が多く、日本国内の市場縮小の影響が表れていると言えるでしょう。
事業を海外展開する際には、海外での事業を支えるグローバル人材の育成が欠かせません。
海外では想定外のさまざまな困難に直面することもあるでしょう。マインド面でのミスマッチがあると、こうした状況を切り抜けることができません。海外で直面する多くのトラブルを乗り越えられるかどうかには、マインド面が育っているかどうかが大きく関わってくるのです。
参照:2022年度|ジェトロ海外ビジネス調査 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査
海外志向の高い新入社員のリテンション
最近では海外事業の拡大に伴い、新卒採用でもグローバル企業を謳って語学力の高い新入社員を募集する企業が増えてきています。また、海外への駐在を希望するような海外志向の高い新入社員が大手企業へ入社する場面も多いです。
グローバルマインド研修の重要性として、こうした海外志向の高い新入社員のリテンションが挙げられます。海外志向が高い新入社員でも、実際に海外へ配属されるまでには入社時点から数年〜10年ほどの時間が必要です。この間にグローバルマインド研修を実施することで、海外志向の高い若手社員の転職を防ぐことに繋がります。
海外志向が低い中堅・管理職の意識転換
海外事業の拡大に伴い、中期経営計画の重点領域としてグローバルを掲げる大手企業が増えてきています。こうした計画を着実に実現するためには、中堅社員や管理職層の意識転換を進めることが必要です。
海外志向の低い中堅社員や管理職層の意識転換も、グローバルマインド研修の重要性の一つです。中堅社員や管理職にグローバルマインド研修を実施すれば、ドメスティックな経験や思考から抜け出し、即戦力として海外ビジネスでの活躍を見込めます。
外国籍社員の増加
多様化の進んだ昨今では、外国人社員が増加しています。
厚生労働省が2022年に発表した「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ」によると、外国人を雇用する事業所数は前年に比べて13,000か所以上増え、外国人労働者数も95,000人以上増加しています。
参照:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和4年 10 月末現在)
こうした職場のグローバル化も、グローバルマインド研修を実施する重要性の一つです。
グローバルマインド研修というと海外の駐在員向けと思われがちですが、実際には国内拠点で働く社員へ実施するケースも少なくありません。グローバルマインド研修を通じて多様性を受け入れる素地を形成しておくことで、外国人社員ともスムーズにコミュニケーションが取れるようになります。
グローバルマインド研修の目的
グローバルマインド研修を実施する目的としては、グローバル化を自分事として捉えてもらうことや、グローバルな環境で陥りがちなコミュニケーションのギャップをなくすことなどが挙げられます。グローバルマインド研修を実施する目的をいくつか解説します。
グローバル化を自分事として捉えてもらう
事業の海外展開を推し進める企業が増えている中、グローバル化はもはや誰しもが「自分事」として捉えるべき事柄です。グローバルマインド研修を実施する目的として、グローバル化を自分事として捉えてもらうことが挙げられます。
例えばグローバルマインド研修を通じて、事業や職場環境のグローバル化が自分自身にどのような影響を与えるのかを考えてもらいましょう。自社や市場がグローバル化することにより、自分の業務内容やキャリアにどのような変化が起こり得るのか、具体的にイメージしてもらうことが重要です。グローバル化を自分事として捉えられるようになれば海外志向も高まりますし、自分で海外のことについて勉強してみようというモチベーションも形成されます。
コミュニケーションのギャップを無くす
グローバルマインド研修を実施する目的として、コミュニケーションにおける日本と海外の間のギャップを知り、海外でのコミュニケーションを円滑にすることが挙げられます。
グローバルな環境でビジネスを進める際に直面する課題が、コミュニケーションのギャップです。結論を後回しにすることが多い日本と異なり、海外では結論ファーストが好まれる傾向があるなど、日本と海外のコミュニケーションスタイルにはいくらかのギャップがあります。
自分が当たり前だと捉えてきたコミュニケーションスタイルを見つめ直して、グローバルな環境でもスムーズに意思疎通できるようになることが重要です。
日本人に多い傾向を知り、自身のスタイルを把握する
日本人に多い傾向を知ることもグローバルマインド研修を実施する目的の一つです。
人は、誰しも自分自身が育ってきた環境や周囲の価値観に無意識のうちに影響を受けているものです。自分自身が育ってきた環境から離れてグローバルな環境で活躍するためには、こうした思い込みや傾向を自覚する必要があります。
自分自身がどのような価値観を持っているのか、あるいはどういったスタイルで仕事を進めているのかを客観視してもらいましょう。場合によっては、グローバル環境に適したスタイルへの転換を求めることも必要です。
多様性を受け止める力をつける
グローバルマインド研修を通じて、多様性を受け止める力をつけてもらうのも研修を実施する目的の一つです。
グローバルな環境でビジネスを進める上で重要なのが、多様性を受け入れる力です。これまで多様性を意識してこなかった社員がグローバルな環境へ直面すると、多様性を目の当たりにして当惑してしまう場合があります。
多様な環境がもたらすメリットや多様性を受け入れるためのポイントを知ってもらい、グローバルな環境で活躍するための下地を形成しましょう。
ダイバーシティ研修で使える内容やワークについては、以下の記事で詳しく解説しています。
『効果的なダイバーシティ研修とは?内容やオンラインでできるワークを紹介』
グローバルマインド研修の内容
ここまで、グローバルマインド研修を実施する重要性や目的についてお伝えしました。それでは、具体的にグローバルマインド研修ではどういった内容を扱うのがよいのでしょうか。
グローバルマインド研修におすすめの研修内容を、新人〜中堅社員向けと管理職向けの2つの階層に分けて解説します。
新人~中堅社員向け
新人〜中堅社員を対象としたプログラムでは、異文化理解や異文化コミュニケーション、グローバル人材としてのマインドセットなどを扱うのがよいでしょう。新入社員や中堅社員には海外志向の高い社員も多いため、そういった社員に対するリテンションという目的を意識するのがおすすめです。
日本・企業・自分を取り巻く環境を知る
グローバルマインド研修を実施する際には、日本や企業、自分を取り巻く環境を知るところから始めるのがおすすめです。グローバル化の渦中にある日本や企業、さらには自分がどういった状態になるのかを知ってもらいましょう。
そのためには、そもそもグローバル化とはどのような現象で、グローバル化によってどのような世界が生み出されているのかを学ぶのが効果的です。また、日本企業を取り巻く環境や日本企業におけるグローバル化の現状、さらには個人に迫るグローバル化の影響も扱うとよいでしょう。
異文化理解
グローバルマインド研修では、宗教や国別の文化、タブーなどの異文化理解を扱うとよいでしょう。
グローバルな環境でビジネスを成功させるためには、相手の文化について知るのが重要です。文化を正しく理解すれば、相手がどのような価値観を持っていて、どのようなコミュニケーションスタイルが有効なのかも見えてきます。
異文化理解を学べるアルーの研修は、以下のページから詳しくご覧いただけます。
駐在員向け異文化コミュニケーション力研修のプログラム詳細
▼資料ダウンロードはこちら
異文化コミュニケーション
文化的な背景の異なる相手とコミュニケーションを取る際には、国内とはまた異なるコミュニケーションスタイルが必要です。グローバルマインド研修では、こうした異文化コミュニケーションの能力を身につけてもらいましょう。
研修中ではまず現地人の行動や言動の背景について知ってもらった上で、ロールプレイングなどを通じて実際にコミュニケーションを実践してもらうのが有効です。先程ご紹介したアルーの研修では異文化コミュニケーションも学べるため、詳しく知りたい方はぜひご確認ください。
駐在員向け異文化コミュニケーション力研修のプログラム詳細
▼資料ダウンロードはこちら
外国人とのワークショップ
グローバルマインドを獲得するためには、外国人と直接コミュニケーションを取る経験を重ねるのが有効です。グローバルマインド研修ではワークショップ等を通して、外国人と協働するプログラムを盛り込むのも良いでしょう。
例えば、短期海外派遣型研修を実施するのがおすすめです。海外での「修羅場」を乗り越える経験を積みながら、異文化対応力を鍛えてもらいましょう。
アルーでは、オフライン版とオンライン版でそれぞれ短期海外派遣型研修を実施しています。それぞれ、以下のリンクから詳しくご覧ください。
【オフライン版】
短期海外派遣型研修のプログラム詳細
▼資料ダウンロードはこちら
【オンライン版】
短期オンライン海外研修 Global Challenge Programのプログラム詳細
▼資料ダウンロードはこちら
グローバル人材としてのマインドセット
グローバル化を自分事として捉えるためには、グローバル人材としてのマインドセットの獲得が必要です。グローバルマインド研修では、グローバル人材として求められるマインドセットを扱うとよいでしょう。
例えば「言葉を使わず体で表現してみる」といったペアワークやグループワークなどを取り入れるのがおすすめです。文化や言葉の違いを恐れず、まずは挑戦してみるマインドを獲得させましょう。
グローバル人材としてのマインドセットが身につくアルーの研修は、以下のページからご覧ください。
グローバルマインド醸成研修(基礎編)のプログラム詳細
▼資料ダウンロードはこちら
グローバル人材育成に求められるマインドセットについて詳しくは、以下の記事をご参照ください。
『【企業事例あり】グローバル人材育成の取り組みとよくある課題への対策』
社内でのグローバルキャリアデザイン
グローバル人材として活躍するためには、グローバルなキャリアを描くことが欠かせません。グローバルマインド研修では、社内でどのようにグローバルなキャリアをデザインしていくのかを考えてもらうのもおすすめです。
その際には、実際にグローバルなキャリアを歩んでいる先輩社員に登壇してもらうのが効果的です。ユニークな体験談も交えつつ、説得力のある研修を実施できるでしょう。
新入社員・若手社員向けグローバルマインドセット研修のプログラム例
新入社員・若手社員向けのグローバルマインドセット研修のプログラム例をご紹介します。
▼グローバルマインドセット研修の全体図
入社3年目までの新入社員を対象にしたグローバルマインドセット研修です。
グローバル化を自分ごととして捉え、グローバルなビジネスシーンにおいて必要な心構えとスキルを身につけることと、アウェイの環境下でも自分から積極的に行動できるようになることを目的としました。基本スキルをゲームを交えて身につけ、アンケートや学習内容記録シートなどで理解度を可視化します。
研修後には現場での実践を行い、育成結果を上司や周囲によって評価し、今後の課題発見や次の育成につなげられるように支援を行っています。
管理職向け
管理職を対象としたグローバルマインド研修を実施する際には、海外志向をいかに高めるかを重視しましょう。そのためには、研修を実施するタイミングを工夫するのが大切です。例えば既存管理職を対象とした「グローバルマインド研修」のような研修を単発で実施しても、「とはいえ、私は海外駐在経験もなければ、今後も国内勤務であることは変わらないだろう」と思われてしまいます。
こうした事態を防ぐためには、新任管理職などを対象として、昇進タイミング時に自然とグローバルマインド研修を実施するのがおすすめです。管理職として求められる能力の一つとしてグローバルマインドを取り上げれば、管理職としてのマインドセットもしやすくなります。こうした実施タイミングも踏まえながら、管理職におすすめの研修内容を見ていきましょう。
役員講話
管理職を対象としたグローバルマインド研修では、役員講話を取り入れるのがおすすめです。自社の役員に研修へ参加してもらい、自社のグローバル戦略や管理職に対する期待役割について語ってもらいましょう。
役員から自社の目指すグローバル戦略の方向性を直接聞けば、グローバル化を自分事として捉えるきっかけにもなりますし、自社が本気でグローバル化を目指しているのだ、という認識も形成できます。
日本・企業・自分を取り巻く環境を知る
ドメスティックな経験にとらわれてしまいがちな管理職を対象とした研修では、グローバル化の渦中にいる日本や企業、自分がどのような状態にあるかを学んでもらうのもおすすめです。新人〜中堅社員向けで解説した内容と同じく、グローバル化の概要やグローバル化によって生み出されている世界などについて理解してもらいましょう。
研修を通じてグローバル化がもたらす影響を知ることで、管理職としてグローバル化にどう向き合っていくべきなのかを考えてもらうきっかけとなります。
自身のグローバルマインド
管理職は、価値観や判断の軸がこれまでの経験にとらわれてしまいがちです。一方で、グローバル化という新たな波へついていくためには、新たに自分自身のグローバルマインドを形成することが欠かせません。
グローバルマインド研修では、管理職自身のグローバルマインドを形成することにも注力してみてください。過去の成功体験にとらわれず、これまでに形成された価値観や思い込みを意図的に棄却する姿勢が大切です。
これまでの価値観や思い込みの棄却には、アンラーニングのプロセスが有効です。アンラーニングに関して詳しくは以下の記事で紹介しています。
『【具体例あり】アンラーニングとは?やり方や注意点を解説』
部下のグローバルキャリア・グローバルマインドへの関わり
管理職は、自分自身だけでなく部下のグローバルキャリアやグローバルマインドについて考える必要があります。管理職へのグローバルマインド研修では、部下のグローバルへの意識をマネジメントする必要があることを伝えましょう。。
具体的には、部下へ効果的な海外経験を積んでもらう方法や、海外志向の高くない部下に対してどう向き合うかについて扱うのがおすすめです。
グローバルマインド研修の事例
人材育成を専門に手掛けているアルーでは、グローバルマインド研修を数多く実施した実績があります。ここからはアルーがこれまでに実施したグローバルマインド研修の中から、3つの事例を抜粋して紹介いたします。グローバルマインド研修の実施をご検討の際は、ぜひ参考にしてください。
帝人株式会社様
帝人株式会社様では、グローバルな環境での成功体験を積むとともに、外国人の行動や言動の背景を理解した上でビジネスを行える人材を育成するために、グローバルマインド研修を実施しました。
本事例では、タイや中国、ベトナム、インドネシアの計4カ国で海外派遣を実施しています。新入社員の段階で海外の文化や習慣を経験してもらっていることが大きな特徴で、早い段階から海外へ目を向けるグローバルなマインドセットを養うことに成功しました。
本事例についてさらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
異文化を受容し、自己成長を実現する(帝人株式会社)
株式会社ヤクルト本社様
海外展開において現地主義を貫いてきたヤクルト本社様では、グローバル人材の体系的な育成をアルーが支援いたしました。ヤクルト本社様では以前から単発のグローバル研修が実施されていましたが、グローバル人材の要件を策定した上でグローバル人材の育成施策を体系化し、研修の「点から線へ」を実現したのが本事例の特徴です。
本事例ではまず駐在員アンケートを実施したり、関連部署の部長クラスへヒアリングを実施したりして、育成体系の全体設計を行いました。その後、グローバル人材像を定義した上で育成計画を策定し、海外赴任前研修とフォローアップ研修を実施しています。
本事例についてさらに詳しく知りたい方は、以下のページからご覧ください。
「点」から「線」の育成へ。経営戦略に基づいたグローバル人材育成体系構築のポイント(株式会社ヤクルト本社導入事例)
▼事例資料ダウンロードはこちら
グローバルマインド研修ならアルーにお任せください
グローバルマインド研修の実施をご検討の場合は、ぜひアルーへお任せください。アルーはグローバル人材育成を得意とする人材育成の企業で、これまでに数多くのグローバルマインド研修を実施してまいりました。
特に、アルーではお客様の企業の課題に合わせた、一気通貫型の支援を提供していることが大きな特徴です。研修の企画段階から丁寧にヒアリングを重ね、個別最適化された効果的なグローバル人材育成施策を実施いたします。
アルーが行っているグローバルマインド研修について詳しくは以下のページでご確認いただけます。
グローバルマインド醸成研修(基礎編)のプログラム詳細