ダイバーシティ研修とは?目的や理解を深めるゲームを解説
多様性という意味を持つ「ダイバーシティ」は、誰もが働きやすい社会に向けて多くの企業が推進している考え方です。ダイバーシティによって幅広い人材が活躍できる企業になると、革新的なアイディアやイノベーションが生まれやすくなります。
ダイバーシティを推進するために役立つのが、ダイバーシティ研修です。この記事ではダイバーシティ研修について、おすすめの内容やオンラインで実施できるワークなどを解説します。
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ダイバーシティ研修とは
ダイバーシティ研修とは、ダイバーシティを実現するために必要な考え方や価値観を身につけたり、異文化理解などを促進するために行われる研修のことです。
企業経営において多様性が重視されるようになってきた昨今、ダイバーシティは今やすべての企業にとって欠かせない考え方となっています。ダイバーシティ研修を実施することで、多様性を受け入れるのは「自分が取り組むべき課題」であることを社員に認識させる効果が期待できます。
実際の企業がダイバーシティ推進の取り組みを行った事例は『ダイバーシティの取り組みとは? 推進するメリット・企業の事例10選』で詳しく紹介しています。
ダイバーシティ&インクルージョンという考え方
企業が目指すダイバーシティは単体ではなく、「ダイバーシティ&インクルージョン」という呼び方をするケースが多いです。
この「ダイバーシティ&インクルージョン」とはどういった考えを指すのでしょうか。
ダイバーシティは「多様性」、インクルージョンは「包括・受容」という意味です。つまり、「多様性を認めて受け入れ、それを活かす」ことがダイバーシティ&インクルージョンです。
人は誰しも、性別や国籍といった属性が異なります。さらに、喜怒哀楽を感じるポイントや、価値観、強みや弱みなども人それぞれです。そのような中で、
- 必ずしもお互いの相性が良いとは限らない
- 必ずしも全員が同じ価値を発揮できるとは限らない
こういった多様性を受け入れるダイバーシティ&インクルージョンは、視点を変えると波風が立ちやすい状態であるとも言えます。
そのため、ダイバーシティ&インクルージョンだけではなく「エクイティ」も付帯した考え方が重要です。
エクイティとは
エクイティ(Equity)とは、日本語にすると「公平」という意味です。互いに異なる条件も考慮して、全員の力を等しく活かしていくという考えのことを指します。ただ多様性を受け入れるのではなく、多様性を尊重して全員が活躍できるように底上げを行うことでエクイティは実現できます。
なお、対になる概念は「平等」を意味するエクオリティ(Equality)です。互いに異なる条件を考慮せず、同じスタートラインで戦うという考え方を指します。
つまり、社員全員の力を活かすインクルージョンを実現するには、エクオリティ(平等)ではなくエクイティ(公平)である必要があるのです。
ダイバーシティ研修の狙い
ダイバーシティ研修の最も重要な狙いは、組織における多様性の理解を深め、受講者一人ひとりがその価値を実感することです。多様性とは、年齢、性別、国籍、雇用形態など、さまざまな価値観や働き方を受け入れることであり、ダイバーシティ研修ではその意義をしっかりと伝えます。
全社員が研修を受けることで「誰もが働きやすい環境」を整えることができます。
マネージャーや管理職だけでなく、一般社員もこの研修に参加することで、組織全体で多様性を活かす意識が醸成されます。
ダイバーシティ研修を通して多様な価値観を受け入れる風土が醸成されれば、多様な人材がそれぞれの強みを発揮し、チームの創造性や生産性の向上にも繋がるでしょう。
ダイバーシティ研修で実施する内容の種類
ダイバーシティ研修には様々な種類があります。ここでは、代表的な4つの研修をご紹介します。
女性活躍推進
日本政府が企業向けに女性管理職や役員の比率を高める目標値を設けていることもあり、該当する企業は女性管理職比率の向上、女性役員比率の向上を含めた女性活躍推進が求められています。その一環として、女性管理職向けの研修や、管理職一歩手前の女性社員向けのキャリア研修、事務職から総合職へ転換する職掌転換研修など、さまざまな女性活躍に関する研修を行うことは有効です。また、研修だけでなく、先輩女性社員との交流なども効果的です。スキル研修、マインドセット研修、キャリア研修はもちろんのこと、社内・社外の女性ネットワークを構築する交流会、ワークショップも検討しましょう。
外国人活躍推進
グローバル化が進み、外国人を日本で採用する企業や海外拠点の展開を強化する企業が増えています。外国人は日本の商習慣とは異なる価値観を持つことが多いため、日本人と外国人が良好な関係を構築しながら仕事を進めたり、コミュニケーションをとったりすることに課題を抱える企業もあるかと思います。
異なる文化や価値観を持つ外国人と良好な関係を構築しながら協働するために、日本人向けには異文化対応力やビジネス英語力、グローバルマインドを醸成する研修を行うと効果的です。外国人社員に対しては、日本の企業文化やビジネスマナー、日本人のコミュニケーションスタイルなどを知ってもらうだけでも、お互い気持ちよく働けるようになります。
また、日本人と外国人が相互理解を深めるような、チームビルディング研修も併せて行うこともおすすめです。お互いの考えの違いをシェアしたり、今後お互いがどうあると仕事がしやすくなるかを認識することにつながります。
シニア活躍推進
少子高齢化に伴い、今やシニア社員は労働力として欠かせない存在になっています。一部企業では、定年も引き上げられ、今後より一層シニア社員が増えていくでしょう。シニアの活躍を踏まえた人事制度に改訂する企業も増え始めています。
シニア社員に知識や経験を活かして活躍してもらうために、40代キャリア研修、50代キャリア研修というように年代別キャリア研修を行うことが効果的です。また、これまでシニア社員に求められていた期待役割と今後求められる期待役割が変化する企業では、シニア社員向けの意識改革を行う研修も効果的です。
障がい者活躍推進
障がいのある方ひとり一人に合わせた働き方ができるよう、企業や自治体が障がいのある方を雇用する制度として、障がい者雇用の制度があります。障がいのある方が安定して企業や自治体で働き続けることを目的に、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(以降:障害者雇用促進法)」によって定められています。そのため、企業や自治体は、社員のうち決まった割合で障がいのある方を雇用することや、障がいのある方への差別の禁止なども義務付けられています。
全社員向けに、障がいのある方に対する正しい理解や障がいの種類に応じた関わり方を学ぶ研修を行うと効果的です。
アルーのダイバーシティ研修ラインナップ
アルーでは、一般社員や管理職、女性社員など、様々な対象へのダイバーシティ研修をご用意してます。代表的な5つのプログラムをご紹介します。
ダイバーシティ研修
受講者一人ひとりが、「社内にダイバーシティを広げてより良い組織を作る」というマインドに転換することを目的としたダイバーシティ研修です。この研修では、自身とは著しく異なる相手を受け入れ、共通の目的に向けてお互いに協力し合える関係を築くことを目的としています。そのために、他人に対する自分自身の態度、行動を変えるためのきっかけを研修で作り出します。
▼ダイバーシティ研修の紹介資料はこちら
ダイバーシティマネジメント研修
ダイバーシティを持った組織に成果を発揮してもらうためには、マネジメント層の教育が欠かせません。アルーでは、ダイバーシティ組織のマネジメントを実現するための「ダイバーシティマネジメント研修」をご提供しています。 ダイバーシティマネジメント研修では、自分とは異なる価値観を持った部下とうまくコミュニケーションを取れないといった悩みを解決できます。豊富なケーススタディを用いながら、多様なメンバーを取りまとめつつ自身のマネジメントスタイルをブラッシュアップするスキルが身につくカリキュラムです。
▼ダイバーシティマネジメント研修の資料はこちらからダウンロードできます。
女性活躍推進研修
女性活躍推進を目的に、女性社員とその上司の両方を対象とした研修を提供しています。 女性社員向け研修の対象社員は、女性管理職候補の方々です。今後、管理職を目指していく上で、キャリアアップへの不安を解消し、今後の自身のキャリアを考えることに加え、役職、年次、職種を超えた女性社員同士のネットワークを作ることを目的として企画しました。 ネットワーク作りを取り入れたことで、ただ研修を受けて終わりではなく、研修と研修の間での職場実践や、女性社員同士の交流が職場内で促進されることに繋がりました。研修が終わった後も、女性社員自身で気づきを生み出す仕組みを作っています。 また、女性管理職候補の上長向けの管理職研修では、管理職自身が女性社員一人ひとりの違いを認識し、女性部下に対するマネジメントの在り方を考えるきっかけを作ります。これにより、管理職自身のこれまでの思い込みや先入観を発見・理解することにつながります。個々の違いを認知した上で、実際に行動するためのスキルを身につけることができるでしょう。
外国人活躍推進研修
外国人社員と日本人社員のチームビルディングとして、日本文化を用いたチームビルディング研修があります。受講者は生け花や水墨画といった日本文化を用いて自己表現を行い、相互理解を深めていきます。日系企業に勤める外国人社員の中には日本文化が好きな社員も多くいるため、一般的なチームビルディングではなく日本文化を用いたチームビルディング研修にすることで、社員間の相互理解だけでなく日本文化理解の促進にもなります。
詳しくは下記ページをご覧ください。 日本文化体験リベラルアーツ&チームビルディング
eラーニングで学ぶダイバーシティ
ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン
約2時間でダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを学べるeラーニングプログラムです。ダイバーシティに興味がある方や中堅社員、管理職向けのeラーニングとなっています。メンバーと管理職、どちらの立場にも立てる演習を設定し、様々な角度からダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの考え方を体感することができます。また、10分程度のモジュールに切り分けられているため、スキマ時間でいつでもどこでも手軽に学ぶことができます。
詳しくは下記ページをご覧ください。 ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン
異文化コミュニケーション、外国人部下マネジメント、日系企業での働き方
外国人社員と働く日本人社員向けの異文化コミュニケーションや外国人部下マネジメントを学べるeラーニングプログラム、外国人社員向けの日系企業の文化理解・ビジネスマナー・コミュニケーションを学ぶeラーニングプログラムなど、外国人活躍推進を目指した豊富なプログラムがあります。すべて2時間以内のプログラムのため、いつでもどこでも手軽に学ぶことができます。
詳しくは下記ページをご覧ください。 グローバルeラーニングセット
ダイバーシティ研修の内容
実際のダイバーシティ研修ではどのような内容を取り上げているのか、具体例を以下の4つのトピックでご紹介します。
- ダイバーシティの基本
- 異文化理解
- ユニバーサルな思考
- ダイバーシティ人材を活かすマネジメント
一つずつ詳しく見ていきましょう。
ダイバーシティの基本
ダイバーシティ研修を実施する際、社員がそもそもダイバーシティとは何かを理解しないまま研修を進めてもうまくいきません。また、ダイバーシティという言葉は知っていても、なぜダイバーシティが重要なのかを理解していない社員も多いです。 ダイバーシティ研修では、ダイバーシティの基本として
- ダイバーシティとはなんなのか
- なぜ今ダイバーシティが注目されているのか
を知ることから始めましょう。特に、「平等」と「公平」の違いなどを重点的に説明すると、具体的なダイバーシティの取り組みについて理解が深まります。
異文化理解
日本国内だけでなく海外市場に進出し、グローバルな事業展開を進める企業が増えてきています。海外拠点へ駐在する社員はもちろん、日本国内で働く社員も外国籍の社員と共に仕事をしたり、海外の取引先と交渉したりする場面があるでしょう。 このようなビジネスシーンでは、異文化理解の考え方が社員に定着しているかどうかが成功の鍵となります。 ダイバーシティ研修では、異文化理解について取り上げるのもおすすめです。異文化理解のプログラムでは、価値観や前提の異なる相手とどうコミュニケーションを取ればよいのかを学んでいきます。文化的背景の異なる相手と共に仕事をこなすために必要なポイントを身につけてもらいましょう。
アルーが行っている駐在員向けの異文化コミュニケーション研修は、以下のページから詳しくご確認いただけます。 駐在員向け異文化コミュニケーション力研修
▼異文化理解・異文化コミュニケーション研修の資料はこちらからダウンロードいただけます。
ユニバーサルな思考
ユニバーサルとは、性別や年齢、国籍や障碍の有無に関わらず誰しもが活躍できるような状況のことを指します。性別や国籍の違いを乗り越え、分け隔てなく活用できるサービス・モノを生み出していくのに必要なのがユニバーサルな思考です。 ダイバーシティ研修では、ユニバーサルな思考について取り上げるのもよいでしょう。特に製品開発やサービス開発の現場では、誰しも無意識のうちにターゲットユーザーとして自分自身に馴染み深い属性を選びがちです。ユニバーサルな思考を通じてそうした偏りから脱却し、幅広い視野を持ってもらうとよいでしょう。
ダイバーシティ人材を活かすマネジメント
ダイバーシティを促進するためには、管理職がダイバーシティの視点を持つことが欠かせません。しかし、多様性のある人材を活用するノウハウを管理職が持たないままだと、組織に多様性があっても強みとして活かせなくなってしまいます。 ダイバーシティ研修では、ダイバーシティ人材を活かすためのマネジメント手法について学んでもらうのもおすすめです。多様なメンバーをどう配置して、困難をどう乗り越えていくのかを学び、多様性のある組織のマネジメントができるような人材を育成しましょう。
アルーが行っているダイバーシティマネジメント研修に関しては、以下のページから詳しくご確認いただけます。 ダイバーシティマネジメント研修
▼ダイバーシティマネジメント研修の資料はこちらからダウンロードできます。
オンラインでもできるグループワーク・ゲーム例
ダイバーシティ研修は対象となる社員が多いため、オンラインで実施されるケースも少なくありません。ここからは、オンラインでもできるグループワークとゲームの例をご紹介します。ダイバーシティ研修を特にオンラインで実施しようとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
現在の自組織のダイバーシティについて考える
オンラインでおすすめのグループワークの一つ目が、現在の自社のダイバーシティについて考えるというものです。社員の中には、「ダイバーシティ」という概念は理解できても、自分ごととして消化できない人もいるかもしれません。
そこで、まずは自分の組織にどういったダイバーシティが存在するのか考えてもらいましょう。性別や国籍といったわかりやすい属性以外にも、例えば価値観や経験による考え方の違い、長所や短所など、同じ組織の中にもさまざまな多様性があるはずです。
こうした自組織のダイバーシティに気づくことで、ダイバーシティを身近な話題として捉えられるようになります。
組織にダイバーシティが浸透することで、自社がどのように良くなるのか考える
ダイバーシティ研修のワークでは、組織にダイバーシティが浸透することによる自社のメリットについて考えてもらうのもよいでしょう。ダイバーシティの重要性やダイバーシティによるメリットがわからないままだと、ダイバーシティをわざわざ推進する必要性が理解しづらいためです。 このグループワークは、主にディスカッション形式で進めていきましょう。多様性が確保されることで生産性が向上したり、柔軟な発想ができるようになったりする、あるいはリスクマネジメントを強化できるといった意見が考えられます。
昇格に関する意思決定のケース演習
グループワークでは、昇格に関する意思決定についてケース演習するのもおすすめです。例えば「時短勤務をしている子育て中の女性社員の昇格についてどう考えるか」といった、実際に自社でありえそうなケースを設定します。 身近なテーマを設定してダイバーシティをより身近な視点で捉えてもらい、受講者にダイバーシティを自分ごととして捉えてもらえるようにすることがポイントです。こちらもディスカッション形式をメインとして、受講者間で議論を深めてもらうとよいでしょう。
ダイバーシティ研修で使えるゲーム
ダイバーシティ研修で使えるゲームとしては、NASAゲームが有名です。
NASAゲームは1チーム4~5名程度で行うコンセンサスゲームです。月に不時着したという設定で、遠く離れた母船に戻るためにどのようなアイテムが必要か優先順位をつけます。チームで優先順位を決めたのちに模範解答を確認し、差が最も小さいチームが優勝します。月に不時着という未経験、かつ想定外の事態に対して、どう行動するのがいいかを考えることになるので、グループ内で意見が対立しやすくなります。意見が対立した際にじゃんけんや多数決で決めるのではなく、異なる価値観を持つ相手と話し合って全員が合意する着地点に向かっていくことを大切にしたゲームです。 しっかり話し合うというプロセスの中で、一人ひとりがどのような考え方や価値観をもっていたかを振り返ることがとても重要です。
ダイバーシティ研修が求められる背景
最近では、企業研修の一環としてダイバーシティを取り上げる企業が増えてきています。それでは、ダイバーシティ研修が求められる背景にはどのようなものがあるのでしょうか。
- 雇用差別問題をきっかけに認知が広まる
- 労働人口の減少による意識の変化
- 女性比率の目標設定
- 障がい者雇用の目標設定
認知が広まったきっかけから、現在の企業が解決すべき課題まで、ダイバーシティが求められるようになった背景を詳しく解説していきます。
雇用差別問題をきっかけに認知が広まる
ダイバーシティの考えが普及したきっかけは、1980年〜1990年代の日本で注目された男女間の雇用差別問題にあります。当時の日本では、男女の雇用機会を平等にすることを目的として、
- 1985年に「男女雇用機会均等法」
- 1999年に「男女共同参画社会基本法」
がそれぞれ策定されました。
こうした法整備をきっかけに、男女の差別をなくし、人権を尊重していこうという考え方が徐々に普及していきました。この流れが、現在のダイバーシティという考え方につながっています。
労働人口の減少による意識の変化
ダイバーシティが注目されるようになった背景として、労働人口の減少による意識の変化が挙げられます。日本では少子高齢化が社会問題となっており、労働人口は減少傾向です。そのため、これまで通りの画一的な雇用を続けるだけでは人材の確保に課題を抱える企業が増えてきています。 また、縮小傾向にある日本市場ではなく海外へ目を向けようという企業が増えてきたこともダイバーシティが広まったきっかけです。女性社員や外国籍の社員といった多様性を確保しながら業績向上を目指すには、ダイバーシティの考えが欠かせません。
女性比率の目標設定
企業でダイバーシティが重要視されている背景として、政府の目標設定が挙げられます。政府が積極的にダイバーシティの推進、特に女性社員の活躍目標を設定しているため、企業はそれに合わせたダイバーシティへの対応が求められているのです。 なお、経団連からは採用段階で女性からの応募者を確保することや、若手女性社員の定着を促進するためのカルチャーの浸透などがサポートプログラムとして示されています。企業のトップが率先して女性活躍を推進するとともに、ボトムアップで女性が活躍しやすい組織風土を実現しようと取り組んでいるのです。
障がい者雇用の目標設定
政府は女性活躍を中心としたダイバーシティを推進していますが、もう一つのターゲットとなっているのが障害者雇用です。厚生労働省を中心に障がい者雇用対策に向けた様々な施策が進められており、企業側は対応を求められています。 具体的には、就業を希望する障がい者に対して支援を行う職業安定所の充実や、法定雇用数の設定などです。障がい者が活躍できる企業風土を実現するためには、全社員がダイバーシティに対して理解を深める必要があります。女性や障がい者の活躍といった政府目標に沿った企業を実現するため、ダイバーシティ研修を実施する企業が増加しています。
ダイバーシティ研修の目的
ダイバーシティ研修が求められている背景を解説しました。それでは、ダイバーシティ研修はどういった目的で実施されるのでしょうか。
ダイバーシティ研修の目的はいくつかありますが、中でも組織としての意識改革やハラスメントの予防などは重要です。ダイバーシティ研修を実施する目的を解説します。
組織としての意識改革
ダイバーシティ研修を実施する目的として、組織としての意識改革が挙げられます。
研修の一環として取り組むことで、ダイバーシティは他人事ではなく「自分ごと」であるという認識が定着するでしょう。社員一人ひとりがダイバーシティを正しく理解し意識を変えることで、組織そのものの多様性に対する考えが醸成されます。
組織全体の意識が変わることで、ダイバーシティ企業としてのイメージアップも期待できます。
ハラスメントの予防
ハラスメントは、企業の抱える大きなリスクの一つです。パワハラやセクハラといったハラスメントが発生してしまった場合、離職や訴訟リスクがあるほか、企業の社会的信用を損なう可能性もあります。
ダイバーシティ研修を実施することで、他者を尊重する意識が定着し、ハラスメントの予防につながります。ダイバーシティの概念について社員が認識すれば、差別的な言葉や行動を取ることが減り、古い価値観から脱却した企業へと成長するのです。
ハラスメントを予防するための研修に関しては、以下の記事で詳しく紹介しています。
『【事例あり】効果のでるハラスメント研修とは?目的や内容を解説』
誰もが働きやすい職場へのアップデート
ダイバーシティというと、性別や国籍などに焦点が当てられがちです。しかし、ダイバーシティが対象とするのはそうした個人の属性だけではありません。人が誰しも持つ価値観の違いや、強みや弱みの違いなどを乗り越えて、ともに協力するのがダイバーシティの考え方です。
ダイバーシティ研修を実施する目的として、誰もが働きやすい職場へアップデートすることも挙げられます。ダイバーシティの考えを取り入れれば、性格や価値観の違いを活かしてありのままの自分で活躍できるようになります。特定のハンディキャップを持った社員のみでなく、社員全員が活躍しやすい環境を作るのがダイバーシティです。
生産性の向上
ダイバーシティ研修を実施すれば、互いの違いを乗り越えて協力する方法を学ぶことができます。そのため、ダイバーシティ研修はメンバーの多様な能力を活かす組織の実現につながります。
生産性の向上も、ダイバーシティ研修を実施する目的の一つです。ダイバーシティ研修によってそれぞれの能力を最大限に活かすノウハウを学べば、組織全体としての生産性が向上します。組織に多様な視点が含まれるようになるため、革新的なアイディアが出やすくなったり、リスクマネジメントがしやすくなったりするのです。
ダイバーシティ研修を効果的に実施するポイント
ダイバーシティ研修の機会を無駄にせず、効果的に実施するためには、以下のようなポイントを意識しましょう。
- 受け入れがたいものを受け入れる度量を育てる
- マネジメント層の理解を深める
- 演習やディスカッションの場を設ける
- 社外サービスを活用する
ダイバーシティ研修を効果的に実施するためのポイントを解説します。
受け入れがたいものを受け入れる度量を育てる
人間は誰しも、自分にとって嫌なことは受け入れがたいものです。例えば苦手な人と一緒に仕事をしたくなかったり、自分だけが損をする状況に納得がいかなかったりと、誰しもが受け入れたくないような状況はたくさんあります。
ダイバーシティを前向きに捉えてもらうためには、こういった嫌なことを無理やり押し付けるのではなく、「受け入れがたいものを受け入れる度量を育てる」のが効果的です。
嫌な状況に直面したとき、「目の前の世界がすべて」と思い込まず、物事には別の解釈が存在することを実感してもらいましょう。
こうした柔軟な考え方が身につくことで、徐々に自分とは異なる他者と共存するための精神的基盤が出来上がります。
マネジメント層の理解を深める
先述したように、多様性を持ったメンバーで構成される組織で成果を出すためには、ダイバーシティを持つ組織をマネジメントする力が欠かせません。しかし、マネジメント層は過去の成功体験や古い価値観によってダイバーシティを自分ごとと考えられない場合があります。
そのため、研修の対象者を設定する際には課長や部長など、マネジメント層のダイバーシティに対する理解を促進するよう注力するのもポイントです。
例えば、マネジメント層が一人ひとりにあったチャンスを与える重要性を理解できれば、メンバーの特性に応じた仕事を割り振れるようになります。採用時の判断をしたり、人事異動の検討をする際にもダイバーシティ研修で学んだ内容が活かせるようになるでしょう。
ダイバーシティマネジメント研修については、以下のページから詳しくご確認いただけます。
ダイバーシティマネジメント研修
▼ダイバーシティマネジメント研修の資料はこちらからダウンロードできます。
演習やディスカッションの場を設ける
研修全般に言えることですが、知識をインプットするだけではなかなか研修内容は定着しません。演習やディスカッションを通じて研修で学んだ知識をアウトプットすることによって、初めて知識を自分のものにできます。
ダイバーシティ研修を行う際には、演習やディスカッションの場を設け、アウトプットの機会を確保しましょう。ディスカッションのテーマや演習の内容としては、先ほど紹介した「自組織のダイバーシティについて考える」「ダイバーシティによるメリットについて考える」といったものがおすすめです。研修中にアウトプットしてもらえば、現場での実践にもスムーズにつなげることができます。
社外サービスを活用する
ダイバーシティのような、意識の変革を目的とする研修を実施する際には、人材育成のプロによる社外サービスを活用するのもおすすめです。最近では、ダイバーシティに関する研修や人材育成に関する研修全般を受託している企業が増えてきています。
こうした社外サービスは企業向け研修を専門としているため、社員全員にとってわかりやすく、要点をおさえた説明をしてもらえるでしょう。
研修を外部委託すべきなのかや、選定のポイントについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
『研修は外部委託すべき?委託している割合や委託先選定のポイント』
特に、ダイバーシティに関する研修サービスに力を入れているのが「アルー株式会社」です。
アルーのダイバーシティ研修事例
ダイバーシティに関する研修に力を入れているアルー株式会社では、企業向けにダイバーシティ研修を数多く実施しています。
ここでは、アルー株式会社が支援したダイバーシティ研修の事例を3つご紹介します。
ダイバーシティ研修を検討している場合は、ぜひ参考にしてください。
【ポーラ化成工業株式会社】女性活躍推進研修
「女性の活躍を推進する組織風土の醸成」が人事計画の重点戦略の一つとして設定されていたポーラ化成工業株式会社では、女性活躍を推進するために女性管理職向けにリーダーシップ研修を実施しました。
具体的には、育成委員会の選抜人材となっている生産系の女性約18人を対象に研修を実施し、リーダーシップを磨きました。複数回の研修と中間報告回を通じて、自己理解や部署間の相互理解を促進した研修事例です。
女性の管理職活躍というテーマに挑んだポーラ化成工業株式会社の事例は、以下からご覧ください。
女性活躍推進の風土づくりに「リーダーシップ」「チームワーク醸成」の重要性を理解する(ポーラ化成工業株式会社)
【Wismettacグループ】多様な人材をマネジメントする力を身につけるマネージャー育成
Wismettacグループでは、2017年に上場後、新しいビジョンを掲げ、これまでのビジネスとは異なったビジネス展開を行っています。そのため、従来の組織にはなかった、新しいチームが組成され、かつ、外部から新しい人材が多く入ってきました。従来の「同じバックグラウンドや価値観を持った“ハイコンテクスト”なチームのマネジメント」から「多様な価値観を持ったチームのマネジメント」にシフトする必要がでてきたのです。そこで、管理職向けに多様な「個」を持つ部下の特性や能力を活かし、部下の成長を支援する管理職になるためのマネジメント研修を行いました。
企業の戦略・方針変革により多様な価値観を持つ社員が増えた際には、従来のマネジメント観から脱却し、多様な個を活かすマネジメントへシフトする必要があります。当テーマに取り組んだWismettacグループの事例は、以下からご覧ください。
多様な「個」の特性や能力を活かし、部下の成長を支援するマネージャー育成事例(Wismettacグループ)
管理職向け問題社員への対応力強化研修
A社では、体調不良の際に無断欠席を起こしたり、自らの評価に不満を持ち上司に苦情を言うなどの問題行動を起こす社員への対応に管理職が時間が取られるという課題を抱えていました。管理職が、問題行動を起こす社員の問題行動発生時の影響を最小限に抑えるために、管理職側の対応レベルを上げることを優先し、管理職向けに研修を実施しました。
社員の中でも問題を起こしがちな社員に対して、管理職の価値観や指導スタイルをアップデートさせた取り組みの事例は、以下からご覧ください。
ダイバーシティ研修はアルーにお任せください
ダイバーシティ研修の実施をご検討の場合は、ぜひアルーへお任せください。アルーでは、先ほど紹介したダイバーシティマネジメント研修だけではなく異文化理解を深める研修プログラムなど、ダイバーシティの実現に欠かせないさまざまな研修をご用意しております。
なお、アルーではお客様の組織の状況や課題にあわせて柔軟にカスタマイズした研修カリキュラムのご提案が可能です。育成計画の策定段階から丁寧にヒアリングを行い、一気通貫型の伴走支援をご提供いたします。