多様な「個」の特性や能力を活かし、部下の成長を支援するマネージャー育成
「ハイコンテクストなチームのマネジメント」から「多様な価値観を持ったメンバーのマネジメント」へ
Wismettacグループ 導入事例

右からWismettacグループ 馬場様、菊井様、アルー株式会社 嶺

西本Wismettacホールディングス株式会社

従業員数 : グループ連結 2,047人(うち国内446人)2023年6月30日時点

事業内容 : アジア食グローバル事業 / 農水産商社事業 / アメニティ&小売事業

Wismettacグループでは、組織風土変革の一環として、22年度から毎年マネジメント研修を実施しています。マネジメント研修に取組みはじめた背景と、マネジメント研修の施策内容をご紹介します。

※本記事の内容は2023年10月取材時の内容となります。

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課題

  • 2017年に上場し、新しいビジネスの展開を加速する中、より多様な人材をマネジメントしながら世の中の変化へ対応していくことが求められるようになった

  • これまでOJTが中心で、人事主導の研修を十分に行えていなかったため、各管理職は自身の経験に基づいた自己流のマネジメントをしていた

  • 各管理職の自己流のマネジメントを、最新のベストプラクティスを反映した、共通言語に基づくマネジメント手法にアップデートする必要があった

成果

  • これまではタスク遂行偏重での業務アサインが主流だったが、“部下の成長支援”の視点もかけあわせた業務アサインやフォローができるようになった

  • 管理職間で、期待される役割やマネジメント手法についての共通言語ができた

  • 部下に対するコミュニケーションが変化した

展望

  • 社員一人ひとりが自ら、その時々に必要なスキル・マインドをアップデートし、自己を高め、互いに高めあっていく風土を作っていきたい

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西本Wismettacホールディングス株式会社
執行役員 人事統括部長

馬場 竜介 
Wismettacフーズ株式会社 
人事総務部

菊井 直子 

組織として強くなるために、中間マネジメント層という組織の中心から改革をはじめた

-事業内容を教えてください

馬場様(以下、敬称略):当社は「食」と「グローバル」というキーワードでビジネスを行っています。日本食を中心としたアジア食を海外へ輸出し現地で販売したり、海外のフルーツを現地生産者と交渉して輸入しています。また、海外のお菓子や加工食品の輸入、季節商品の企画販売をしています。100年以上続けてきたビジネスの知見を活かして、食と新しいテクノロジーやデジタル技術をかけあわせた新規事業の展開にも注力しています。

-お2人の担当されている役割を教えてください

馬場:Wismettacグループの中で、グローバル全体の人事と、日本国内の人事総務領域を担当しています。

菊井様(以下、敬称略):私は、人材育成・人材開発を担当しています。全社員向けの集合研修や、eラーニング、社内勉強会などの企画・運営を行っています。

-アルーに依頼したマネジメント研修について簡単に教えてください

菊井:2022年度から2年連続でマネジメント研修の設計を依頼しました。22年度は、マネジメント向け「共創型のリーダーシップ」の研修をオンラインで実施し、23年度は、22年度と同じマネジメント層を対象に「メンバーの成長課題と業務アサイン」を集合研修で実施しました。

-マネジメント研修を導入された背景を教えてください

馬場:ここ10年程、当社では様々な優先順位の中で必要最低限の研修しかできておらず、マネジメントに関しては、それぞれの管理職が、各チームで自身の経験に基づいた自己流のマネジメントをおこなっている状況でした。しかし時代の変化とともに、世の中のマネジメントの考え方やマネジメントに求められるレベル感が変化する中、当社の管理職も一般的なマネジメント手法を体系的に学びレベルアップしていかなければならない、という課題意識がありました。

2017年に上場し、新しいビジョンを持って新しいビジネスを展開し、新しいチームが生まれ、外部から新しい人材が入ってくる中で、従来の自己流マネジメントでは通用しない部分があると感じていました。「同じバックグラウンドや価値観を持った“ハイコンテクスト”なチームのマネジメント」から「多様な価値観を持ったチームのマネジメント」にシフトする必要があり、2年前からマネジメント研修の優先度を上げて取り組みはじめました。研修を行う前には、自社が求める人材像の再定義や職階基準の見直しをし、その中で共創型のリーダーシップのあり方や重要性を認識してもらう機会として22年度の研修を実施しました。


-マネジメント研修を実施した目的は何ですか?

馬場:マネジメント研修の目的は、1つは「知識をアップデートすること」、もう1つは「気付きを与えること」です。この2つは一般的な研修でも当てはまることですが、さらに私たちが重視していたことは、「当社としての共通言語を作っていくこと」です。マネジメント研修を通じて、共通の体験をして、当社としての共通言語を作っていくことが、組織としての強さになると考えています。

菊井:最終的には、全社員に当社としての共通言語を浸透させていきたいと思いますが、今回の施策では、管理職でありながら現場に近く、またメンバーに一番身近で直接的な影響力もつ立場の「中間マネジメント」に優先して研修を受けてもらい、中間マネジメントを起点に、組織の風土や共通言語を浸透させたいと考えました。

馬場:これまであまり研修を行ってこなかったという背景から、まずは研修とはどんなものか、その有用性や必要性を認識してもらう必要もありました。参加者には、研修で気づきを得る体験や、学んだ内容が現場で活用できる体験をしてもらい、研修に賛同してもらうこと、そしてそれを部下に伝えてもらうことで、組織の中心から風土を変えていきたいという狙いがありました。研修設計では、有用性を実感してもらうための講義とワークのバランスも重視しました。

-マネジメント研修の実施に当たり、アルーを選んだ理由を教えてください

馬場:アルーには以前から新卒研修を依頼しており、当社の風土やビジネス、求めている人材像などを理解してもらっているので、この度マネジメント研修も依頼をすることにしました。研修提供会社としての専門家の立場から、マネジメントに対する新しいやり方や知見を提供してもらいました。

また、海外展開している日本企業への導入実績もアルーを選んだ理由の1つです。当社は歴史が長く、トラディショナルな日系カルチャーが強い会社ですが、一方でグローバルにビジネス展開しているため、外資に近いような風土もあわせ持っています。そのため、“日系企業でありながら海外展開している企業”へのサポートの実績が研修会社にもあるという部分は重視していました。

メンバーの「成長課題」を考えた「業務アサイン」ができる管理職を目指した研修

-今回実施した、23年度の中間マネジメント研修の具体的な内容を教えてください

菊井:23年度は、中間マネジメント向けに「メンバーの成長課題と業務アサイン」というテーマで研修を実施しました。

当社の人材育成方針でも掲げているのですが、ロミンガーの法則である「70:20:10モデル」でも言われているように、人の成長において大切な学びの7割は「業務経験」からくるものだと考えています。部下の業務経験の質や量は、管理職の業務アサインによって変わってきますので、メンバーの成長課題を考えた業務アサインの視点を持ってもらうプログラムにしました。
当社の中間マネジメントの多くはプレイヤーとして実績を築いてきた社員であり、またプレイヤーとしての業務を抱えたまま管理職になっています。メンバーに業務を割り振る際は、成長を支援するという視点を持たず、目の前の業務をいかに滞りなく捌くかのみにフォーカスされているケースも多く見られていました。「部下の成長課題をどう整理するか」「その成長課題と業務をどう結びつけて部下に納得感を持って取り組んでもらうか」などのコンテンツを入れ、受講者同士の意見交換の時間も作りながら、管理職に新しい視点を持ってもらう研修にしました。

馬場:同じ業務のアサインだとしても、伝え方ひとつで、メンバーの成長に繋がるポイントになるので、「どのように伝えたら成長できるのか」に気付きを与えるような内容も含めました。

菊井:また、業務アサイン後に管理職が適切なフォローすることも大切で、部下が思ったよりやる気が出ていない、業務がうまく進んでいないといった際に、部下の悩みに対する「フォローの選択肢を増やす」というコンテンツも入れました。例えば、任せる業務範囲を狭くするのか、その際どの部分を残すか、あるいは部下をフォローできる別の人を付けるのかなど、どのように手を差し伸べるかについて新たな視点を獲得してもらえるよう考えました。

-23年度の中間マネジメント研修後の受講者の反応はいかがでしたか?

菊井:今回受講対象者とした中間マネジメント層の管理職には、管理職歴が短い人から長い人までいて管理職の経験値に差があったため正直なところさまざまな意見がありました。

新任の管理職は、現場での課題に対して研修から解決のヒントを吸収したいという意識が高く、「まさに困っていることだったのでとても参考になった」という声を聞きました。会社として意欲の高い管理職を支援したいというメッセージも、新任の管理職にはきちんと伝わったようです。
一方で、経験の長いシニアの管理職にとっては、これまでの経験や自己流のマネジメントをしてきた中で既に知っていた内容だったという意見もありましたが、経験的に分かっていたことを体系的に整理できたので、今後は部下へ後輩指導を教える際に使いたい、自分の下にも伝えていきたいという声がありました。体系的に学び直す機会として、研修に参加した意義を感じてもらえた点はよかったと思います。

馬場:他にも、自分の上司にも受けさせたいという意見もあり、より多くのマネジメント層に共通言語を広げていく必要があることを認識しました。今回の研修でさまざまな意見や反応をもらえたことは、今後の人事施策を前に進める上でもプラスの効果であったと捉えています。

全社員が自己を高めていくという最終目標に向けて研修を続けていく

-23年度の中間マネジメント研修を実施して、目的は達成されましたか?

菊井:23年度のマネジメント研修テーマとしていた「メンバーの成長課題と業務アサイン」については、これから効果を見ていくことになりますが、研修を受けることに慣れていなかった管理職の方々の研修に対する意識の変容があったことはひとつの成果だったと思います。自分が研修を受けたいかに関わらず、定期的に研修を受けてスキルアップに繋げることが重要という認識を持ってもらいました。これからも研修を続けていくことで、組織の風土を変えていきたいです。

馬場:目的としていた業務アサインの変化はこれからですが、チームメンバーへのコミュニケーションに変化があった受講者がいるという話を部下の方から聞いています。

菊井:今まで高圧的で自分の価値観を押し付けるコミュニケーションを取っていた上司が、研修を受講した後、部下の意見をよく聞くようになったという声がありました。

-研修に対して、もっとこうだったらよかったと思うことはありますか?

菊井時間に対する研修の学びの密度について考えていく必要があると感じました。社員は日々の業務に追われているので、もっと参加しやすく、参加したら効果を実感しやすい研修の設計を考えていきたいです。

馬場:世間的にも効率的で効果的な運営に対する要求が強くなってきているように感じます。研修も効率性を重視したコンテンツ作りや構成を考えていく必要があります。知識のインプットは事前学習でしてもらい、研修時間中はロールプレイングやディスカッションに集中する場にするという方法があります。しかし、これは研修前に自学で知識習得することに慣れていないと運用が難しく最初から実現できることではありませんので、研修を毎年行っていくことで段階的にいろんな形の研修に慣れてもらい、効率性を高めていきたいです。

菊井:ここ10年程マネジメント研修が行われていなかったという当社の背景からも、事前学習は受け入れられにくかったと思います。22年度、23年度と2年続けて研修を行ってきたことで、受講者が研修内容の想定ができるようになり、予習するベースが出来てきました。

-今後どのようなことを実現していきたいですか?

馬場:人材育成の観点では、全社員が自己を高めていく組織風土を作っていきたいと考えています。受講者が研修での学びを周囲に広め、研修の効果を組織全体で共有していく文化にすることと、並行して、自己啓発や自主的な勉強会などで、自ら自己を高めていくことや、そうしたことに時間を使うことが当たり前の集団にしていきたいです。

菊井:こうした研修は今後も継続して提供し続けたいと思います。研修は当日学んで終わりではなく、学んだことを自分の中で昇華させ、実務に活かすことが何より大事になります。書籍やeラーニング含め、様々な情報から自ら学び、学んだことを自分の中で概念化し、概念化した学びを自分事化して実務で活用する力をつけてもらうことが必要で、それには、思考の慣れや習慣化が必要と思います。そうした学びのサイクルを自分で回せるようになることで、研修からはじまった学びの質が高まっていくと考えています。

アルーはWismettacグループのニーズに寄り添った、相談相手であり、信頼できるパートナー

-今後、アルーにはどのようなことを期待しますか?

馬場:組織としてのフェーズがあり、フェーズごとにニーズが異なりますので、アルーには当社のニーズに合わせた新しい提案をしてもらい、一緒に実施していくのが理想だと思っています。

また、これからも新しい手法が出てきたり、外部環境が変化したりと、世の中がアップデートするたびに、アルーにはその変化をいち早くキャッチアップしていただき、最新の情報を反映したご提案をいただきたいと考えています。

菊井:自社だけで考えようとすると前年踏襲の施策になってしまいがちなので、アルーの持っている事例や知識をもとに、今後も様々な提案をしてほしいです。また既存のラインナップだけでなく、今後当社で出てくるだろう新たな悩みに対して、新しいコンテンツを一緒に考えてもらえる相手としても協力をお願いしたいと思っています。

-アルーはどのような存在ですか?

菊井:実績や引き出しを多く持っているので、知識や事例を教えてくれる相談相手です。これから、社内のグローバル化に合わせた研修や、海外赴任前研修、ジュニア層の研修など、新しいニーズがあがってくると思いますので、今後も相談させてもらいたいです。

馬場:これまでお付き合いしてきて、信頼できるパートナーだと感じています。当社の育成に対する価値観と、アルーの価値観が近いのだと思います。今後も相談相手になってもらい、実行のパートナーとして信頼できる存在であり続けてほしいです。


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アルー営業担当からの一言

アルー株式会社
HRコンサルティング部
嶺 唯菜

マネジメント研修を企画されるタイミングからご支援させていただいておりますが、着実に段階を踏みながら学ぶことができていると考えております。研修中では実際に部下へ仕事のアサイン時を想定したロープレを実施しましたが「内容はとても良いことを伝えているのに顔が怖いです」のようなリアルなフィードバックも飛び交っており、気づきを自分事に落とし込んでいる受講生の方も多いようでした。なおかつすぐに改善しようとする姿はWismettacグループ様のマネジメント層の強みでもあると感じました。
今回の施策はまだ始まりにすぎませんが、今後も何かあった際にすぐ相談いただけるような存在になれるように尽力いたします。

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