管理職の平均年齢とは?役割・必要スキル・管理職を育てる方法を紹介
管理職は会社などの組織の中で一定の権限を与えられているため、適切な人材を配置しないと会社にとってマイナスの影響が出てしまう可能性があります。企業の人事担当者としては、管理職に適齢な年齢があるかどうかを把握し、今後の人事制度に役立てたいと考えるケースもあるでしょう。
この記事では、管理職の平均年齢と管理職の役割・必要スキル・管理職を育てる方法を紹介します。ぜひ参考にしてください。
▼管理職育成におすすめの研修3選
目次[非表示]
管理職の平均年齢とは?
管理職の平均年齢は、厚生労働省の調査で男性が48.8歳、女性が49.2歳となっています。ただあくまでも平均であって、本人の能力・会社の方針・規模によってさまざまです。課長職であれば、30代でもなっているケースがあります。
下記は厚生労働省が実施した「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」資料の抜粋です。
役職 |
男女平均年齢 |
男性年齢 |
女性年齢 |
部長級 |
52.7歳 |
52.8歳 |
52.1歳 |
課長級 |
48.8歳 |
48.8歳 |
49.2歳 |
係長級 |
45.4歳 |
45.3歳 |
45.8歳 |
会社規模による管理職年齢の違い
会社規模によって、管理職の年齢は異なってきます。一般的には、従業員が1,000人を超える大企業だと課長は40代以上、中小企業だと30代後半です。従業員数の多さから管理職のポジションが空かない、同年代の社員が多く昇進できないといった事情があります。一方で、会社の規模が小さい100人以下の企業であれば数年で管理職への昇進もあり得ます。大企業には年功序列制度が根強く残っているため出世が遅れる一方で、会社の規模が小さいほど昇進のスピードは速い傾向にあるのです。
ただ、大企業でも実力成果主義を取り入れる企業も増えており、優秀な人材の昇進は早くなってきています。
そして、上記は日系企業の従業員規模を前提としています。外資系企業では経験や能力を重視する傾向があります。例えば、アメリカでは課長昇進平均年齢が34.6歳、部長昇進平均年齢が37.2歳など、日系企業に比べて平均年齢も若いです。このように、活躍できそうな人材は即戦力として役職を与えられるケースは少なくありません。また、外資系企業には新興企業が多く、若い人材が多い傾向があります。
出展:リクルートワークス研究所「Works No.128」5カ国マネージャー調査
管理職の役割
管理職の仕事内容や役割は、具体的に以下の4つがあります。
- 企業理念・ビジョンの浸透
- 業務管理
- 問題解決・意思決定
- 人材管理
以下では、企業内において管理職がどのような役割を果たすかについて解説します。
企業理念・ビジョンの浸透
管理職には、経営トップが考えている企業理念や戦略、ビジョンを正しく理解し、部下へ浸透させる役割が求められています。企業理念やビジョンが抽象的な言葉で表現されているときは、具体化しわかりやすい言葉で表現し直すことが必要でしょう。また、自身が企業理念を体現し、部下の見本となることも管理職の重要な役割です。
企業理念やビジョンの浸透については、以下のページでより詳しくご覧いただけます。
『【事例あり】理念浸透の方法と成功のコツ』
業務管理
目標設定だけではなく、目標を達成するための業務全体を管理することも管理者の役割です。
具体的には、目標に対するKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)の進捗管理や業務の進捗管理が該当します。管理職は、目標達成に向けて責任を持つ必要があります。
<業務管理の例>
- 目標に対して進捗が遅れている場合:部下とともに原因究明し、問題解決のための対策を講じる
- 業務量に対して人手が足りていない場合:業務の適切な割り振りや、業務改善についてアドバイスする
問題解決・意思決定
業務に問題が発生すれば、問題解決のために動き、意思決定していくことも管理職の役割です。管理職はチームや部署の責任者という立場なので、最終的に責任をとることになります。そして、業務上の選択を求められた際には、適切な意思決定をしていかないといけません。たとえば、長時間労働が慢性化している場合には、業務の進め方に問題がないかを分析し業務フローを変更するなどの行動を起こす必要があります。的確な問題解決を行う際には、高い意思決定力が求められます。
管理職に求められる意思決定力については、以下のページでより詳しくご覧いただけます。
『管理職の意思決定力を向上させるには?うまくいかない理由と必要なスキル』
人材管理
部下の労務管理などの人材管理をすることも、管理職の役割です。
具体的には、次のような内容の業務を行います。
- 部下の仕事内容や進捗状況を把握する
- 勤怠などの労働時間を管理する
- 部下のスキルやタスク量に応じて適正に仕事を振っていく
- 部下の特性を見抜き育成する
- 人間関係に関する悩みを解決できるように配慮する
以上のように、管理職は部下が働きやすい環境を整えていく必要があります。特に昨今では、管理だけでなく、部下が自律的な働き方ができる環境の用意も管理職に求められているのです。
管理職に必要なスキル
管理職になりたくても、誰でもなれるわけではありません。部下の上に立つ人物としてのスキルが備わっていなければ、部下からの信頼が得られず組織やチームが機能しなくなる可能性があります。管理職に求められる主なスキルは、下記の通りです。
- リーダーシップ
- ロジカルシンキング
- コミュニケーションスキル
- 問題解決力
- 人材育成能力
- 組織運営力
- 業務・専門スキル
- 責任能力
それぞれの項目について以下で詳しく解説します。また、管理職の役割については、以下のページでより詳しくご覧いただけます。
『管理職の役割やあるべき姿とは?育成方法も紹介』
リーダーシップ
管理職に必要なスキルとして、リーダーシップが挙げられます。
リーダーシップとは、指導力や統率力といった意味があります。
- 指導力:部下の成長や実力発揮をサポートするための力
- 統率力:多くの部下をまとめ、指揮する力
管理職には、目標達成のためのビジョンを示し、統率していく力が必要です。会社によっては年上の部下が在籍していることもありますが、部下の年齢に関係なくリーダーシップを発揮する必要があります。
リーダーシップについては、以下のページでより詳しくご覧いただけます。
『リーダーシップとは?種類やリーダーシップがある人の特徴、身につける方法』
ロジカルシンキング
ロジカルシンキングとは、物事を本質的に考え、体系的に筋道を立てて考えることです。ロジカルシンキングができれば経営トップの考えを論理的に理解でき、部下に落とし込めます。業務においても論理的に説得力のある説明や意思決定ができるため、部下も納得しながら業務に取り組むことができるでしょう。
ロジカルシンキングについては、以下のページでより詳しくご覧いただけます。
『ロジカルシンキングとは?メリットや基本的な考え方・鍛え方について紹介』
コミュニケーションスキル
管理職は社内の経営陣や部下、同僚たちのみならず、社外のクライアントなど多くの人と関わるため、コミュニケーションスキルが必要です。具体的には、傾聴力・正しく伝える力・相手の言っていることを理解する力などが該当します。コミュニケーションスキルは、社内・社外問わず、相手との信頼関係を築くために必要なスキルです。
コミュニケーションスキルについては、以下のページでより詳しくご覧いただけます。
『仕事に活きるコミュニケーション能力とは?鍛える方法や高い人の共通点』
問題解決力
業務中にはたくさんの課題が発生し、中には課題解決が困難なケースもあるでしょう。管理職には問題解決力も必要です。
問題が発生した場合、管理職は迅速に決断し問題解決しなければなりません。解決が遅くなると、大きな問題に発展してしまうこともあるでしょう。そのため管理職は、幅広い視野を持つことでさまざまな意見に耳を傾け、課題の解決を図ることが重要です。また、管理職には「設定型問題解決力」も必要です。「あるべき姿」を自ら設定して、その「あるべき姿」と「現状」のギャップを課題だと設定して解決に臨む姿勢が求められます。
問題解決力については、以下のページでより詳しくご覧いただけます。
『問題解決力とは|トレーニング方法・鍛えるメリット・基本の3ステップ』
人材育成力
管理職は、部下を育成する力も必要です。人材育成力とは、メンバー全員が、それぞれ最大のパフォーマンスを発揮できるようにサポートし、中長期的なキャリアを見据えた成長をサポートする力です。
部下のスキルに合わせて適切な業務を任せ、好ましくないクセを矯正したり、新たなスキル獲得をサポートしたりして、成長につなげていきます。たとえば、部下に必要なスキルを把握し、今後のキャリアプランを一緒に考えていくことなどが挙げられます。また、今後の業務に必要なスキルを習得するためのサポートや研修への参加促進、自律学習の促進などもよいでしょう。
組織運営力
管理職に必要なスキルとして、組織運営力も挙げられます。組織運営力とは、組織が掲げる目標の達成を目指して円滑に機能できるよう、組織の経営資源や運営をマネジメントする力のことです。組織運営の目的は、組織のパフォーマンスの最大化です。どんなに優秀な人材が集まっていても、人材配置や資金投入を最適化するマネジメントが機能していなければ、組織のパフォーマンスは上がりません。管理職は、社員の多様な働き方や価値観、スキルに合わせて個別に対応していく必要があります。
業務・専門スキル
管理職には、業務・専門スキルも必要です。業務遂行に必要な知識や専門スキルをしっかりと身につけましょう。管理職でもわからないことや知らないことは出てきますが、そのまま放置してしまうのでは部下からの信頼を失うことになります。すべての業務を完璧にこなすことは難しいですが、基本的なビジネススキル・業務スキル・専門スキルは身につけておきましょう。また、新しいツールなどが導入された際には積極的に活用し、業務への活かし方を考えましょう。
責任能力
管理職には、責任能力も必要です。管理職はさまざまな責任を負う立場になります。たとえば、経営数値に対しての責任や部下の労務管理、評価、育成に対しての責任などです。チーム・部署の責任者として、管理職は何があっても最終的な責任を持つという意識が大事です。責任能力があれば部下も安心して業務に取り組めるでしょう。
管理職に必要な能力を身につける方法
管理職に必要な能力を身につけるために、企業の人事担当者はどのような方法でサポートできるでしょうか。具体的には以下のようなものがあります。
- 管理職に必要な経験を積ませる
- eラーニングを活用する
- 必要な研修を実施する
以下の項目で一つひとつ詳しく解説します。
管理職に必要な経験を積ませる
いきなり管理職を任せるのではなく、OJTトレーナーや課長補佐・代理など管理職のサポートを任せて、管理職に必要な経験を積ませていきましょう。管理職としての資質を養う重要なステップになります。また、管理職に必要な経験を積ませることは、次世代リーダーの育成にもつながります。
次世代リーダーの育成については、以下のページでより詳しくご覧いただけます。
『【事例あり】次世代リーダー育成方法とおすすめ研修。よくある課題と解決策』
eラーニングを活用する
多忙な管理職を育成するには、eラーニングの活用がおすすめです。管理職研修にeラーニングの活用がおすすめな理由は、下記の通りです。
- 業務の合間に学習しやすく、隙間時間の活用が可能
- 一人ひとりのペースに合わせた学習が可能
- 管理職に必要なさまざまな能力を幅広く身につけてもらえる
- 集合研修と比べるとコストを抑えられる
eラーニングを活用してインプット中心に必要なスキルを身につけていき、研修や業務でアウトプットしましょう。
eラーニングについては、以下のページでより詳しくご覧いただけます。
『【簡単解説】eラーニングとは?企業研修で活用するメリット・デメリット』
必要な研修を実施する
リーダーシップ研修やマネジメント研修など、管理職となるために必要な研修を受講してもらいましょう。集合研修を実施すれば、受講者同士でロールプレイングもできるので実務に落とし込みやすくなります。
管理職研修におすすめの内容としては、「プレイヤーからマネージャーへの脱却」や、「自分らしさ」と「組織らしさ」をうまく調和させながら、本人ならではのやり方でマネジメントの手腕を発揮する「理感一致のリーダーシップ研修」、部下のなりたい姿や特性を正確に把握した上で、中長期的なメンバーの成長に目を向けた育成施策が打ち出せるようになる「中長期的なキャリアを見据えた育成研修」などが挙げられます。管理職として求められている役割を認識し、組織のパフォーマンスを上げるための力を磨いてもらいましょう。
管理職研修については、以下のページでより詳しくご覧いただけます。
『管理職研修におすすめの研修プログラム21選|研修選びのポイントや方法について』
管理職研修ならアルーにお任せください
一言で管理職といっても、その役割はポジションによって多彩です。課長時代はプレイヤー時代と異なる視点が必要で、部長時代は課長時代と異なるマネジメントが求められます。管理職の効果的な成長を促すためには、管理職に必要な経験を積ませたり、管理職研修を実施したりとこの記事で解説したような施策の実施が欠かせません。
管理職研修であれば、アルーにお任せください。アルーは、人材育成を専門に手掛けてきた企業です。管理職研修においては、ニューノーマル時代の管理職に求められる変化適応力を養うことに重きを置いています。管理職に求められるマインドセットや多種多様なスキルを身につけることが可能です。
アルーが提供する管理職研修については、以下のページでもさらに詳しく解説しています。
管理職研修サービス
▼サービス資料をメールで受け取る
アルーの管理職向けマネジメント研修事例
アルーでは、業種や業界を問わずさまざまな企業へ研修を提供しています。ここでは、アルーの管理職向けマネジメント研修の事例として、東急株式会社、Wismettacグループ、日本曹達株式会社の3つを紹介します。
東急株式会社 部長研修事例
東急株式会社では、元々東急グループの経営者育成を目的とした「東急アカデミー」が開講されていましたが、社会や事業環境の大きな変化をきっかけに、アルーの研修を導入しています。
東急株式会社での経営者育成を目的としたリーダーシップ研修では、部長層を対象に、内側から外側へ内発的動機に基づいて動くインサイドアウトのリーダーシップを中心に扱いました。
東急株式会社のDNAと自分自身のつながりを深く考えるプログラムを用いて、内発的な動機づくりに成功した研修事例です。研修を受けたことで組織の変化につながり、インサイドアウトを実務に落とし込めるようになったとの声をいただいております。
東急株式会社でのリーダーシップ研修実施事例は、以下から詳しくご覧いただけます。
経営人材の鍵は、矛盾を両立するインサイドアウトのリーダーシップ(東急株式会社)
Wismettacグループ マネージャー研修事例
Wismettacグループでは、組織風土変革の一環として、22年度から毎年マネジメント研修を実施していました。時代の変化と世の中のマネジメントの考え方の変化をきっかけに、アルーの研修を導入しています。
具体的には、メンバーの成長課題と業務アサインを目的としたマネジメント研修を実施しました。受講者同士の意見交換の時間も作りながら、管理職に新しい視点を持ってもらうことを研修目的としています。これまでは、タスク遂行偏重での業務アサインが主流でしたが、「部下の成長支援」の視点もかけあわせた業務アサインやフォローができるようになりました。管理職間で期待される役割やマネジメント手法についての共通言語ができた、など管理職の意識変容がみられた成功事例です。
Wismettacグループでのリーダーシップ研修実施事例は、以下から詳しくご覧いただけます。
多様な「個」の特性や能力を活かし、部下の成長を支援するマネージャー育成(Wismettacグループ)
▼事例資料をメールで受け取る
日本曹達株式会社 マネージャー研修事例
日本曹達株式会社では、ビジネススキルを学んでもらうことに比重を置いた研修を実施していましたが、時代も変化しているため、マインドセットの重要性を感じ、アルーの研修を導入しています。
日本曹達株式会社でのマインドセット重視の階層別研修(新任準主幹研修・新任1等級研修・新任2等級研修向け)は、それぞれの役割・期待に応じた1段上の視座を獲得してもらうことを目的としました。研修後には受講者が新たな取り組みを自ら考え、全社発信するなどの主体的な行動が見られるようになりました。
日本曹達株式会社でのリーダーシップ研修実施事例は、以下から詳しくご覧いただけます。
階層別に研修を実施することで相応しい視座を獲得(日本曹達株式会社)
▼事例資料をメールで受け取る
まとめ
管理職の平均年齢と管理職の役割・必要スキル・管理職を育てる方法を紹介しました。管理職の平均年齢は、男性が48.8歳、女性が49.2歳となっていますが、あくまでも平均で本人の能力・会社の方針・規模によって異なります。
企業内において管理職の役割は多岐にわたり、企業理念・ビジョンの浸透や業務管理、問題解決・意思決定や人材管理などがあります。管理職本人がしっかりと働くのみならず、部下が働きやすい環境を整えていくことも重要です。
管理職に必要な能力を身につけるためには、人事担当者は管理職に必要な経験を積ませるだけではなく、集合研修を活用することもおすすめです。管理職研修であれば、階層別研修や新人研修、グローバル人材育成研修などで幅広い実績があるアルーにお任せください。
以下のページでアルーが提供している管理職研修の概要をご覧いただけます。
管理職研修
▼サービス資料をメールで受け取る