階層別に研修を実施することで
相応しい視座を獲得
自律型人材の育成を目指した取り組み
日本曹達株式会社様 導入事例
全体写真
右から日本曹達株式会社 井上様、香取様、アルー株式会社 嶺、朝倉

日本曹達株式会社では、自律型人材の育成のため、マインドセットに比重を置いた研修を実施しました。それぞれの役割・期待に応じた1段上の視座を獲得してもらうために実施した階層別研修の施策内容をご紹介します。

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課題

 

  • 階層別研修ではスキルよりマインドセットを行う必要があると感じていた

  • 最終的なゴールとして、自律型人材の育成をしていきたい

  • 1段上の視座を手に入れ、チャレンジしようというマインドセットになってほしい

  • 受講者が他のメンバーのお手本となり、組織全体によい影響を拡げていきたい

 

施策

 

  • 階層を細かく分けて研修を実施

  • アクションプラン実践支援サービスを導入し、研修後の実践を支援

 

成果

 

  • 自律型人材としての行動変容はまだまだこれからではある

  • 受講者が新たな取り組みを全社発信している様子を見かけた

  • 受講者の行動変容により、少しずつ「上司が良い人」で「周りに恵まれている」と感じる若手社員が増えている

会社名 日本曹達株式会社
従業員数 1,339人(2023年9月30日時点)
事業内容 アグリビジネス / 医薬品事業 / 機能性化学品事業 / 環境化学品事業 / クロールアルカリ事業
人事部人事課
副主幹

井上 修治 
人事部人事課
副主幹

香取 梓 様

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「社員もかがやく」ため、自律型人材の育成を目指し、マインドセットに比重を置いた

-事業内容と部署の役割を教えてください

井上様(以下、敬称略):当社は BtoB の化学メーカーとして、基礎化学品からファインケミカルまで、幅広い製品群を取り扱っています。中でも環境 ICT ヘルスケア、アグリビジネスのような SDGs に適合した事業を展開しています。人々の生活を支えたり、他の化学メーカーさんのものづくりを支えたりといった、縁の下の力持ちのような会社です。

人事部では、社員の成長に寄与するという役割があり、人材の教育・成長に重きを置いています。会社の規模はそれほど大きくないため、人と人との掛け合わせで「1+1」を「2」ではなく、「3」や「4」にしていく必要性を感じています。
また、人事部では「社員もかがやく。」というスローガンを掲げ、社員が生き生きと働き、輝けるような施策を行っています。これは、2030年に向けた長期ビジョンのスローガン「かがくで、かがやく。」を基にしたものです。

人事部の中で私は、技術系・理系職種の採用と教育を担当しています。他にも、エンゲージメントの向上などの役割も担っています。

香取様(以下、敬称略):私は文系職種の採用を担当し、新卒採用とキャリア採用のどちらも行っています。他にも、働きやすさ向上のための育児休業制度構築の役割を担っています。

-今回の階層別研修の内容について簡単に教えてください

井上マインドセットに比重を置いて、階層別研修(新任準主幹研修・新任1等級研修・新任2等級研修)を実施しました。ビジネススキルは「武器」であり、武器を扱う前には「心」を鍛える必要があります。社員が輝けるよう人事として人材の教育・成長をサポートし、当社の目指す社員像である「自律して主体的に考え、学び、行動する」自律型人材を育成していくため、マインドセットを重要視しました。
新入社員研修や入社3年目の若手研修も、マインドセットに比重を置いて実施しています。また、キャリア開発支援制度の社員面談でも、マインドセットを意識しています。

-マインドセット重視の階層別研修を実施した背景や課題を教えてください

井上:当社は少数精鋭で事業を行っていたため、管理職層であるライン長の多くがプレイングマネージャーでした。プレイヤーとして優秀だった人がライン長になっていたこともあり、マネジメントよりプレイヤーとしての業務に重きを置いてしまう社員が多かったのです。時代も変化していますので、マネージャーとしての役割に応じてマインドセットを変え、アップデートしてほしいと思いました。
また、等級によって持つべき視座も異なると考えています。担当職より1段上の準主幹職には、視座を少し高めてもらい、実働部隊のリーダーのような立ち位置を期待していました。さらに上の1等級には課や部の中心人物としての視座を持つこと、2等級には部以上の高さから見る視座を持ってもらいたいと考えていました。
そこで、階層別研修では各階層に求められるマインドセットを伝え、自律型人材の育成を実現するためのプログラムを実施することにしました。

当社では、数年前から管理職の複線化を行っており、リーダーコースとエキスパートコースを設けています。リーダーコースに進んだ人にはより広域なマネジメントの重要性を認識してもらっています。

-マインドセットに関して、これまでに何か施策を行っていましたか?

井上:アルーの階層別研修以前にも研修を行っていましたが、ビジネススキルを学んでもらうことに比重を置いていました。しかし、ビジネススキルは部署や職種によって求められるものが異なり、集合研修で行うには効率的ではなかったように感じています。マインドセットは共通点が多いので、集合研修で効率的に習得できます。今ではマインドセットに 7割という比重を置いて階層別研修を行っています。

-今回の階層別研修で達成したいゴールを教えてください

井上自律型人材の育成が最終的なゴールですが、研修を数日やって変化があるものではありません。まずは「1段上の視座を手に入れようと思ってもらうこと」「視座を手に入れるためにチャレンジする意識を持ってもらうこと」をこの研修のゴールとしました。
具体的には、準主幹職には「なぜこの仕事が任されたのか」と考えたり、上司の立場になり「こういう仕事をしたらどうか」という提案をしてほしいです。1等級、2等級であれば、「次どうするか」について役員クラスの立場から考えてもらいたいです。

さらには、受講者がお手本となり後輩や同僚に刺激を与え、組織全体によい影響を拡げていきたいです。

香取:新しく昇格した人として、組織や所属を押し上げるような存在になってもらいたいと思います。

井上:後輩や部下から「かっこいい」と思われる上司や、お手本として憧れられる存在になってほしいです。

-今回の階層別研修をアルーに依頼した理由は何ですか?

香取:アルーは、当社の課題を言語化して表してくれました。特に「役割変化」の言語化が難しいと感じていましたが、期待役割や行動変容から分解して言語化してもらいました。さらには、言語化したものをカリキュラムに落とし込んでもらえたので、受講者にとってもわかりやすい研修を作れると感じ、安心してお任せすることができました。

また、提案時にきれいな資料を準備し臨んでくださったので、打合せの質が高かったと感じます。当社の意見をすごく聞いてくれるので「こちらもしっかり準備して臨まなければいけない」という気持ちになり、担当者としてスキルアップさせてもらえたと感じています。
最終的には当社の意見を反映したオーダーメイドの研修を作ってもらい、担当者としても研修に対する理解が深まりました。
談笑1

細かく階層を分け、段階的に研修を実施し、着実なステップアップを支援

-階層を細かく分けて研修を実施した理由を教えてください

井上:1段上の視座を獲得してもらうために、細かくマイルストーンを決めて階層別研修を実施しました。少数精鋭体制の当社が大手の他社と戦っていくためには、社員が今の役割より上の視座を持つことが求められます。しかし、あまり上を見過ぎても良くないと思っています。新入社員、3年目若手社員、準主幹、1等級、2等級という階層に分け、それぞれの役割・期待に応じた視座を意識してもらいました。

階層別研修を受けてすぐに視座が得られるわけではないので、常に「 1段上の視座を意識してもらう」ことが大事だと思っています。日ごろから1段上の視座を意識して、昇格したときにはその視座を持てるように、細かく研修を実施してマインドセットしてもらいたいです。

-今回、研修だけでなく当社のアクションプラン実践支援サービスも導入いただきました。アクションプラン実践支援サービスはいかがでしたか?

香取:通常業務に追われアクションプランの実践が難しかった受講者もいましたが、研修で学んで終わりではなく、アクションプランの実践期間だけでも継続してもらえたことは良かったと思います。

アクションプランとしては、研修後の 3カ月間、上司も巻き込んで研修で学んだことを実践してもらいました。受講者の多くが日常業務を抱えながらアクションプランに取り組んでいたため、3カ月間があっという間に感じたようです。
その中で、日常業務に紐付いたアクションプランを立てていた受講者は、プランを達成することができました。その方は、1等級研修の受講者で、「しっかり全員とコミュニケーションを取ること」について学んだことから、「必ず1人1人と話をする」というアクションプランを立てていました。
アクションプランを達成したという成功体験を得てもらうためにも、身近で取り組みやすいプランを考えることが大切だと感じましたね。
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周りにいい影響を与える受講者が増えることで、日本曹達はこれから変わっていく

-研修を実施した所感を教えてください

香取:研修後のアンケートや人事面談では、「学びがとても多かった」「きっかけになった」という声があがっています。また、研修中のグループワークを通じて「社内に知り合いができてよかった」という話も聞いています。

2020年からアルーの研修を実施していますが、年々、受講者の反応がよくなっています。研修中の発言が積極的になったり、発言の内容も良くなっていると感じています。受講者が研修で学んだことを自分のチームに持ち帰って実践することで、会社全体に浸透してきているのだと思います。

-自律型人材の育成というゴールへは近づきましたか?

香取:まだ一部の社員に研修を受けてもらったところなので、自律型人材としての行動変容はまだまだこれからだと感じています。徐々に拡がっていくのを長い目で見ていく必要がありますが、受講者が自分のチームでインフルエンサーとして活躍してくれたら、浸透が早まっていくのではないかと考えています。

-階層別研修の受講者に変化はありましたか?

香取:研修後に、受講者が新たな取り組みを考え、社内掲示板で全社員に発信していました。研修で感じたことを生かしているのだと思いました。

また、受講者の部下である若手社員から「上司がいい人だ」「自分は人に恵まれている」という声を聴くことが増えています。受講者が周りにいい影響を与えていることは、これからだんだんと目に見える形で表れてくるのではないかと思います。

-今回の研修において、最も効果的だった要素は何ですか?

香取朝倉講師のファシリテーションがとてもよかったので、受講者にしっかり響いた研修になりました。アンケートでも「テキストを見ながら講師の話を聞くことで、理解が深まった」と書かれていました。他にも、「講師の話し方が参考になった」「講師のファンになった」など、講師への声が多くあがっていました。
研修中の質疑応答では、朝倉講師が受講者からの質問に対して的確な回答をしてくれていました。テキストにない内容の質問でしたが、ポイントをあげながら答えてもらえたことで、受講者にすごく刺さったようです。

-今回の研修において、想定外だった効果はありますか?

香取:受講者がみんなで集まることのメリットを感じていたことは想定外でした。アルーの研修を採用しはじめたときはオンライン形式で行っていて、「オンラインはワークライフバランスが取りやすい」という声があがっていました。そんな中、今年は対面で行ったのですが、「久しぶりに再会できて良かった」というポジティブな意見をもらいました。
定期的に顔を合わせて集まることも大事だと分かったので、節目ごとに対面形式での研修を実施していきたいです。内容によってはオンライン形式でしっかり集中してもらうことが効果的な研修もあります。対面形式、オンライン形式それぞれメリットがありますので、今後は組み合わせて実施していこうと思います。

-アルーの階層別研修で、もっとこうだったら良かったと思う部分はありますか?

香取:研修時間の確保が難しく、2日のところを 1日で実施をしてもらったため、内容が濃くなりすぎて消化不良になってしまう受講者がいました。午前中は一生懸命取り組んでいましたが、午後には頭がいっぱいになり覚えきれなくなってしまったようです。きちんと理解できている人と、追い付けなくなっている人との差が生じてしまうため、解決策を考えていく必要があります。

井上:ただ内容を薄めればいいという話ではなく、やりたいことを含みながら受講者に理解してもらえるような方法を検討していきたいです。

他にも、ワークとインプットのバランスについても検討していく必要があります。ワークの時間を十分とってはいたのですが、受講者の一部から「もっと交流したかった」という意見がでました。ただ、ワークの時間を増やすと、インプットの時間が減ってしまうので悩んでいます。
研修後に自主的に交流を深めてもらうことも一つの手だと考えています。実際、今回の研修後にも受講者同士が自主的に集まって仕事をしていたり、質問し合ったり、そういう取り組みがありました。
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自律型人材の育成に向けて、相談すれば的確な返答があり、勇気をくれるパートナー

-今後の人材育成において、実現したいことを教えてください

井上:自律型人材の育成のために、研修後もサポートしていく仕組みを作っていきたいです。アクションプランの実践期間だけでなく、複数回の研修実施や面談などで、持続的に意識してもらうことが自律的人材の育成に繋がると考えています。受講者の自主性に頼るだけでなく、人事からもサポートしていきたいです。
半年後研修や 1年後研修のような機会を設けられたらいいのですが、1等級や 2等級の階層となると、なかなか研修の時間が取れなくなってきます。まずは、面談やアンケートなどのライトな施策から行っていきたいです。

また、階層別研修はマインドセットに比重を置いていますが、マインドセット後のスキルアップもサポートしていきたいと思っています。外部のセミナーや公開講座をカフェテリアプランとして提供して、業務に必要なスキルやビジネスに必要な知識を獲得してもらう仕組みを作っていきたいです。
具体的には、アカウンティングやファイナンスの各種講座を準備しています。そういった講座を利用して、ビジネスマンとしての基礎スキルを獲得していってほしいです。

-貴社の展望を実現していくために、アルーにはどのような役割を期待していますか?


井上:研修後のサポートとして半年後研修や 1年後研修を採用する際には、今回実施した研修と 1本芯が通るように提案をしてもらいたいです。
昨年から、新入社員研修もアルーに依頼しています。マインドセットは一朝一夕で効果が得られるものではないので、新入社員、準主幹、1等級、2等級といった細かく分けた階層別研修の全体にも、1本芯を通した提案を期待しています。

他には、異業種や他社との交流の場を提供してもらえると嬉しいです。社内でも色々な部署が集まる研修を実施しており、他部署の考え方や状況を聞くことは気付きや学びが多いと感じています。それを他社や他業種に拡げていきたいと思っています。客観的な意見やいろんなアイデアを吸収することで、多様性を受け入れ、知見を深めてもらいたいです。

-貴社にとって、アルーはどのような存在ですか?

井上:アルーは「かけがえのないパートナー」だと思っています。当社の考えや悩みを言語化してもらったり、最近の流行りを教えてもらったり、こちらから投げかけをすると、必ずいい答えを返してくれます。その答えが生成 AI のように正確でまとまっていて、とても頼りにしています。

香取:アルーは、研修のプロフェッショナルとしての「良き相談相手」です。社内では社員研修をメインの業務としている人が他にはいないため、人事の担当者同士でしか相談できませんでした。アルーには最近のトレンドや、管理職や若手社員ごとの取り組み方法の違い、採用関連のアドバイスなど、研修だけでなく人事の周辺業務も相談しています。アルーを交えてディスカッションすることで、考え抜かれた回答を得られるので助かっています。

-もし、アルーを他社の人事に勧めるとしたら一押しのポイントはどこですか?

井上:朝倉講師の予定が取れなくなると困るので、正直あまり他社には勧めたくないっていうのが本音ですが、もし勧めるとしたら、当社の考えを言語化してくれるところです。人事担当として「こういう思いで、こういうことをやりたい」と伝えると、「それはいいですね」とか「こうするといいですよ」と答えてくれるので、勇気をもらうことができました。トレンドやプロの意見、世間の動向などを踏まえて回答をもらえるので、後ろ盾を得られた気持ちになります。自分たちの仕事に対して勇気を与えてくれるので、メンタルの面でも支えてもらっているという感覚がありました。

香取:私たちのちょっとした相談に対しても、いろんな提案を出してくれるので、自分たちの考えている方向性は間違っていないと励ましてもらえるように感じています。

-アルーへのメッセージをお願いします

井上:2020年からの付き合いで、100人以上の社員に研修を行ってもらいました。日本曹達の社員よりも日本曹達を感じていると思いますので、今後も、私たちでは見えない視点から、意見やアイデアをいただきたいです。

香取:研修当日だけでなく、事前準備や振り返りも細やかに対応してもらい、担当者だけでは対応しきれなかったのでとても助かっています。
また、朝倉講師のキャラクターや営業の嶺さんの話が場を和ませてくれているので、今後とも長くお付き合いしていきたいと思っています。
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アルー営業担当からの一言

	嶺さん
アルー株式会社
HRコンサルティング部
嶺 唯菜

次期管理職や管理職に向けて、段階的にご支援をさせていただいております。
よくある企画者の落とし穴として次年度まったく違う研修内容を企画してしまうケースがありますが、日本曹達様は各対象の役割期待を明確にしてマインドセットを行い、継続して同じ研修内容を実施しております。
その結果、社内での共通認識もでき始めていると感じます。
今後も段階的な育成の支援に尽力させていただきます。

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