【事例あり】主体性研修とは|実施の目的や成功させるポイントを紹介
社員の主体性を高めれば、パフォーマンスやエンゲージメントの向上などさまざまなメリットが期待できます。社員の主体性を引き出すためには、主体性研修の実施が効果的です。
そこでこの記事では、主体性研修を実施する目的や研修の内容などを解説します。
実際の主体性研修の事例も紹介するので、主体性研修についてご検討の人事担当者の方はぜひ参考にしてください。
▼主体性向上におすすめの研修3選
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主体性とは
主体性とは、周囲からの自分の期待役割を常に自分で意識しながら、それに応えるための行動を自分で積み重ねることです。周囲から指摘されなくても「自分が何を期待されているか?」を理解して、実践できる力とも言えます。
主体性は、経済産業省が定義している社会人基礎力の中でも「前に踏み出す力(アクション)」の一つとして位置づけられている、社会人として重要な能力の一つです。激しい外部環境の変化を勝ち抜いていくために、社員の主体性を伸ばすことが求められています。
なお、主体性が必要とされている背景や主体性がある人の特徴、主体性を高める研修以外の方法は以下のページで詳しく解説しています。
『主体性とは?自主性との違いや主体性のある人の特徴・高める方法を紹介』
主体性研修の目的
主体性研修を実施する主な目的は、以下の4つです。
- 目的意識を持って仕事ができるようになる
- 主体的に動くことで生産性の向上につながる
- 仕事の意義や求められる役割を再認識する
- 自律的に成長できるようになる
有意義な研修を実施するためには、研修の目的を意識することが欠かせません。主体性研修を実施する目的を一つずつ見ていきましょう。
目的意識を持って仕事ができるようになる
主体性研修の目的の一つとして、目的意識を持って仕事ができるようになってもらうことが挙げられます。
普段、仕事に取り組む中で、いつのまにか「言われたことをやるだけ」の状態になってしまっている社員はいないでしょうか。自分の仕事の目的を意識せずに指示された仕事だけをこなしていると、モチベーションやエンゲージメントの低下につながります。
主体性研修を通じて社員の主体性を育成すれば、社員は目的意識を持って仕事に取り組めるようになります。その結果、仕事にやりがいを見出しやすくなり、モチベーションやエンゲージメントの向上が期待できるのです。
主体的に動くことで生産性の向上につながる
主体性を磨くことは、生産性の向上に直結します。
例えば、主体的な社員は日々の仕事の中の非効率な部分を自分で見つけることができます。もし改善できそうな点があれば、周囲へ「この部分を改善してはどうか」と具体的な提言を行ったり、自分自身で業務プロセスを改善したりして、生産性の向上につなげられるでしょう。
また、主体性の高い社員はいわゆる「指示待ち」状態になりません。そのため、常にテキパキと行動できるようになり、業務に無駄な時間がなくなります。
仕事の意義や求められる役割を再認識する
仕事の意義や求められる役割を再認識することも、主体性研修を実施する目的の一つです。
主体性研修では、主体性を引き出すために「どうしてこの仕事が必要なのか?」「あなたには何が期待されているのか?」などの点を深掘りします。こうした点を研修で再認識すれば、やりがいを持って業務に取り組めるようになるでしょう。
また、期待されている役割を正確に理解してもらうことで、「周囲の期待とズレた行動をしてしまった」などの事態が起こりづらくなります。
自律的に成長できるようになる
自律的に成長できるようにすることも、主体性研修を実施する目的の一つです。
グローバル化やIT化の進展によって外部環境が激しく変化しているVUCAの時代では、常に新しい学びを求める姿勢が重要です。従来のような「会社から提供される学び」だけに固執していると、外部環境の変化に追いつくことはできません。
研修で主体性を身につけてもらえば、自律的に成長できるようになります。「自分自身に必要な知識は何か?」という点を常に意識できるようになるため、変化に置いていかれることが減るでしょう。
主体性研修のカリキュラム例
主体性研修の具体的なカリキュラムとしては、経験学習サイクルやプロフェッショナルスタンス、リーダーシップ、キャリアデザインの4つが挙げられます。ここからは、具体的な主体性研修のカリキュラム例を解説します。
経験学習サイクル
経験学習サイクルは、自発的で継続的に成長するためのサイクルのことです。
経験学習サイクルを学ぶ研修プログラムでは、まず自分の現在地を理解したうえで、ありたい姿を描くワークに取り組みます。そのあと、自分の成長機会を自分で作る必要性をペアワークを通じて学び、最後にリフレクションの方法やエンジョイメントを見出す方法を学ぶ流れです。
テーマ |
概要 |
進め方 |
イントロダクション |
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自分の現在地を知る |
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個人ワーク |
ありたい姿を描く |
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個人ワーク |
自分からストレッチを |
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ペアワーク |
自己成長につながる リフレクションをする |
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ペアワーク |
仕事にエンジョイメントを見出す |
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グループワーク |
総括セッション |
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経験学習サイクルを回せるようになれば、どんな仕事にも前向きに取り組めるようになるとともに、自分で成長の機会を作ることができるようになるでしょう。
経験学習サイクルの研修プログラムは、以下のページで詳しく解説しています。
「経験学習サイクル」研修プログラム
▼サービス資料をダウンロードする
相手の期待に応えるために自分で考えて行動するプロフェッショナルスタンス
プロフェッショナルスタンス研修は、相手の期待する成果を出すために必要な社会人としての姿勢を身につける研修です。
プロフェッショナルスタンス研修では、まず仕事のゴールを確認する重要性や、段取りの方法をグループワークで学びます。そのあと、チーム意識や報連相の方法について学び、最後に総合演習でまとめを行う流れです。
テーマ |
概要 |
進め方 |
イントロダクション |
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プロフェッショナル |
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ノック1本目 |
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グループワーク |
ノック2本目 |
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ノック3本目 |
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ペアワーク |
ノック4本目 |
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ノック5本目 |
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グループワーク |
ノック6本目 |
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まとめ |
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「相手からの期待に応える」という意識が形成されれば、自然と主体性も磨かれていきます。
弊社アルーが提供しているプロフェッショナルスタンス研修のプログラム詳細は、以下のページからご覧ください。
「プロフェッショナルスタンス」研修プログラム
▼サービス資料をダウンロードする
リーダーシップ研修
社員の主体性を引き出すのに役立つ研修の一つが、リーダーシップ研修です。リーダーシップ研修は、役職がない社員向けと、役職者向けの2つに分かれます。それぞれのプログラム例を解説します。
役職がない社員向けのリーダーシップ
役職がない社員向けのリーダーシップ研修は、主に若手社員が現場で主体性を発揮して仕事に取り組む姿勢を形成するための研修です。
リーダーシップは役職者のみに求められる能力だと思われがちですが、実際には役職を持たない若手社員にもリーダーシップが求められます。例えば指示された仕事だけに取り組んでいる状態では、なかなか周囲の期待に応えることはできません。
自分の期待役割を理解したうえで、周囲を巻き込みながら仕事を進める必要があります。リーダーシップ研修を通じて人を巻き込む姿勢を身につけ、業務推進力を高めてもらいましょう。
役職がない社員を対象としたリーダーシップ研修のプログラムは、以下のページからご覧ください。
自分から動くことで人を動かすリーダーシップ100本ノック
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役職者向けリーダーシップ
役職者向けリーダーシップ研修は、主に管理職や次世代リーダー候補を対象とした研修です。
役職者に求められるリーダーシップの形は、時代や環境に合わせて変化します。しかし、社員の中には「リーダーシップは〇〇であるべきだ」といった固定観念にとらわれている人も多く、こうした思い込みがリーダーシップを発揮する足かせとなっている場合も少なくありません。
役職者向けリーダーシップ研修で自分自身の強みを活かしたリーダーシップの発揮方法を発見し、職場で役立ててもらいましょう。
役職者を対象としたリーダーシップ研修の具体的なプログラムは、以下のページでご確認いただけます。
リーダーシップ研修
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キャリアデザイン
キャリアデザイン研修は、「キャリア未来地図」を描きながら「人生100年時代」のキャリアを見つめる研修です。
社員の中には、将来のキャリアプランが明確でない人もいるでしょう。また、将来に対する漠然とした不安を抱えている人も少なくありません。キャリアデザイン研修を実施すれば、こうした将来の不安を軽減し、会社で働くモチベーションを向上させることができます。さらに、「キャリアの実現には何が必要なのか?」を意識できるようになるため、主体性の向上が期待できます。
キャリアデザインを実施するアルーの研修は、以下のページからご確認ください。
キャリア未来地図デザイン研修
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主体性研修を成功させるポイント
主体性研修を成功させるためには、心理的安全性を担保したり、研修の目的や目標を明確にしたりすることが大切です。また、「考える余白」を作るといった、主体性研修ならではのポイントも存在します。
ここからは、主体性研修を成功させるために必ず意識しておきたいポイントを解説します。
心理的安全性を担保する
主体性研修を成功させるためには、心理的安全性を担保することが大切です。
心理的安全性とは、「この組織ならばありのままでいられるな」という、組織に対する安心感のことです。心理的安全性の高い組織では、社員が自分の意志に沿った行動を取りやすくなるメリットがあります。
どんなに社員の主体性を高めても、組織の心理的安全性が低いままだと遠慮や忖度が発生してしまい、主体的な行動が取れません。主体性研修と同時に組織の心理的安全性を高めるアプローチを並行して行うようにしてみてください。
また、研修当日の心理的安全性を担保することも重要です。そのために、「頭ごなしに批判しない」などグランドルールを作り、安心して研修を受けられる体制を整えておきましょう。
心理的安全性を高める方法や人事が行うべき施策は、以下のページで詳しく解説しています。
『心理的安全性とは?高める方法や人事が行うべき施策について』
研修の目的・目標を明確にする
研修の目的や目標を明確にすることも、主体性研修を成功させる際に意識しておきたいポイントです。
研修を実施する前に、「なぜ社員の主体性を高めるのか」「何が達成できたら研修のゴール到達なのか」といった点を明確化しておきましょう。研修の目標を設定する際には、具体的な数値を盛り込みながら、客観的に評価できる内容にすることが大切です。
あとから達成できたかどうかが明確にわかる目標を立てておくことで、研修の効果測定を実施しやすくなります。
考える余白を与える
主体性研修を実施する際には、「考える余白」を作ることを意識してみましょう。
グループワークなどを実施する際に、あれこれと細かく指示を出してしまうと、社員は受身の姿勢になってしまいます。あえて少しラフな説明にすることで、社員に「考える余白」が生まれ、自分の頭で考えるという主体性が生まれます。
グループワークに限らず、講師やファシリテーターからの説明を行う場面では「説明しすぎない」ことを意識してみましょう。
選択する機会を多く与える
選択する機会を多く与えることも、主体性研修を実施する際のポイントです。
例えば、席を自由に決める、グループを自分たちで編成するといった些細なことでも構いません。選択する機会があれば、社員は自然と自分自身で考える習慣が身につくようになります。研修で身につけたこうした習慣は、日常業務にも反映されるはずです。選択する機会をあえて多く設け、社員の主体性を発揮する場面を作り出しましょう。
経験の量の担保と失敗を許容する環境の醸成
主体性研修を実施する際には、経験の量を重視するとともに、失敗が許容される環境を作ってみてください。
主体性の発揮を阻む要因として、失敗に対する恐れが挙げられます。主体性を発揮しようとしても、「失敗して周囲から白い目で見られたらどうしよう」といった恐怖感が先行してしまい、主体性の発揮を躊躇してしまうケースです。
こうした恐怖感を取り除くためには、「経験の量を重視する」風土の醸成が大切です。上司側からも「失敗しても責めない」ことを積極的に伝え、主体性が発揮しやすい環境の整備を進めていきましょう。
ポジティブフィードバック・リフレクションを行う
主体性研修を実施する際には、ポジティブフィードバックやリフレクションを積極的に実施してみましょう。
ポジティブフィードバックがあれば、社員は小さな成功体験を積み重ねることができます。こうした成功体験が、次の主体性の発揮につながる好循環を生み出すでしょう。
また、リフレクションを促すことで、自分の改善点を自分で見い出せるようになります。リフレクションが習慣化すれば、自分自身で成長し続ける成長サイクルが回せるようになるでしょう。
アルーが行っている主体性を向上させるための研修事例
人材育成を手掛けているアルーでは、主体性を向上させるための研修を数多く実施してまいりました。ここでは、それらの中から特に参考となる事例を3つピックアップして紹介します。主体性研修の具体的なプログラム例が知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
【ポーラ化成工業株式会社】女性社員研修
「女性の活躍を推進する組織風土の醸成」を重点戦略にかかげていたポーラ化成工業株式会社様では、女性社員の主体性を引き出す研修を実施しました。研修の対象者は、選抜された女性社員18名です。
本研修プログラムは、グループワーク中心の設計を行いました。メンバーが中心となるワークを実施したため、研修中に「考える余白」が生まれ、主体性を育むことに成功したのです。当初発言が少なかった社員も、研修の後半では積極的に発言するようになり、主体性の育成に成功した事例となっています。
本事例の詳細は、以下のインタビュー記事からご確認いただけます。
女性活躍推進の風土づくりに「リーダーシップ」「チームワーク醸成」の重要性を理解する(ポーラ化成工業株式会社)
【不動産業】新入社員研修
不動産業のA社では、新入社員が空気を読んでしまい、積極的に発言しないことを課題に感じていました。そこで、社会人として求められるプロフェッショナルスタンスを獲得する主体性研修を実施しています。
本プログラムでは、まず学生と社会人の違いについて重点的に説明し、社会人としての役割認識を深めました。そのあと、段取りやゴールの確認、チーム意識や報連相といった具体的なスキルを伸ばしてもらい、主体性を発揮するためのスキルを身につけてもらっています。
受講者からは、「実際にワークを使って講習をしたので、聞くだけの講習よりわかりやすく、覚えやすかった。今日の講習で学んだことを秋のフォロー研修までに実践、改善して今後に役立てて行きたい。」「前回学んだ基礎的なマナーがまだ身につけきれていないと言うことに気づいた。この経験についてPDCAサイクルを回し、同じことを繰り返さないようにしたいと思った。」などの声があがっています。ワークを使った研修を行うことにより、業務での活用イメージがつきやすくなり、今後の業務への取り組み方も明確になりました。
本事例のプログラム全体像は、以下のページからご覧いただけます。
【研修事例】相手に配慮しながらも主体的に行動できる新入社員を育成する
▼事例資料をダウンロードする
【システム会社 】若手社員研修
ジョブ型人事制度の導入を検討していたシステム会社のB社では、自律学習や主体性の向上を目標にかかげていました。そこで、若手社員を対象とした主体性研修を実施しています。
本事例では、まず事前課題で1年間の振り返りを行い、主体性を発揮するうえで重要な自分自身のモチベーションを見つめ直してもらいました。そのあと、研修では主体性を発揮する方法を学んでもらい、2年目以降の成長に必要なことを確認しています。最後に事後課題としてアクションプランの実践を行い、業務との接続を行いました。
受講者からは、「今後自分がどのような行動をしていく必要があるのか、具体的なイメージをもって考えられる機会となりました。」「二年目の姿としてどのようなことができるようになればいいのか、またその方法の見つけ方を知ることができ、勉強になりました。」などの声があがりました。2年目を迎える若手社員はどのようなモチベーションで主体的に業務に取り組むべきなのかを明確にすることで、自身の課題を見直したり目標を明確にしたりすることができたようです。
本事例の詳細は、以下のページからご覧ください。
【研修事例】仕事へのオーナーシップを持ち、ひとりだち意識を得る
▼事例資料をダウンロードする
主体性を高める研修はアルーにお任せください
主体性を高める研修なら、ぜひアルーへお任せください。アルーは人材育成を手掛けている企業であり、これまでに不動産業やサービス業を始めとするさまざまな業界で主体性研修をサポートしてまいりました。
アルーの提供する研修は、お客様の企業の抱えるビジネス課題に合わせて柔軟にカスタマイズされている点がポイントです。研修の企画段階から丁寧にヒアリングを実施するため、企業の課題や特徴を踏まえた効果的な研修が実施できます。主体性研修に関することなら、何でもお気軽にアルーまでご相談ください。