管理職がプレイヤー業務を担うデメリットとプレイヤー意識を取り除く方法
最近では、管理職がプレイヤー業務を担う「プレイングマネージャー」というスタイルを取り入れる企業も少なくありません。しかし、プレイングマネージャーはメリットばかりがあるわけではなく、デメリットも少なからず存在します。
この記事では、管理職がプレイヤー業務を担うデメリットや、プレイヤー意識を取り除く方法を解説します。管理職研修の事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
▼管理職のマインド醸成におすすめの研修3選
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管理職がプレイヤー業務も担う「プレイングマネージャー」とは?
管理職がプレイヤー業務を担うスタイルは、「プレイングマネージャー」と呼ばれています。プレイングマネージャーは、現場で業務を遂行する「プレイヤー」としての立場と、管理職である「マネージャー」としての立場を兼任していることが特徴です。例えば、営業担当者として職務をこなしながら、管理職として部署全体の管理や部下の育成指導を行う社員は、プレイングマネージャーの一例といえるでしょう。
人手不足が進んでいる最近では、現場でスタッフとして働きながらマネジメント業務を担うのは決して珍しいことではなく、プレイングマネージャーの数は増加傾向にあります。
プレイングマネージャーのメリット
プレイングマネージャーのメリットとして、スムーズに業務を遂行できる点が挙げられます。
すでに現場で活躍しているプレイヤーが引き続きプレイヤー業務を担うため、売り上げの減少や顧客トラブルといったリスクを軽減することができるのです。また、人手不足の職場では、優秀な社員が引き続きプレイヤー業務を担えるため、他のメンバーの負担を抑えられるというメリットもあります。
プレイングマネージャーのデメリット
プレイングマネージャーのメリットを紹介しましたが、プレイングマネージャーにはいくつかのデメリットがあるのも事実です。具体的には、以下のような点がプレイングマネージャーのデメリットとして挙げられます。
- 管理職が業務過多になる
- 管理職としての業務が疎かになる
- 部下が成長しない
- チームとしての生産性が向上しない
もしプレイングマネージャーを導入するのであれば、こうしたデメリットを事前に理解しておくことが重要です。プレイングマネージャーのデメリットを解説します。
管理職が業務過多になる
プレイングマネージャーのデメリットとして、管理職が業務過多になる点が挙げられます。
プレイングマネージャーを担うためには、プレイヤー業務とマネージャー業務を両立させる必要があります。そのため、プレイングマネージャー自身に膨大な負担がかかることも少なくありません。
また、プレイヤーとしての業務をこなしながら管理職としての責任を負うため、精神的なストレスも大きいです。業務過多が解消されない状態が続くと、最悪の場合は離職につながってしまうこともあります。
管理職としての業務が疎かになる
管理職としての業務が疎かになることも、プレイングマネージャーのデメリットです。
管理職には、戦略策定や計画のモニタリング、労務管理や部下育成など、さまざまな業務があります。また、職場環境の改善や他部署との連携なども、管理職の重要な業務です。
管理職がプレイヤー業務にかかりきりになってしまうと、こうした本来の管理職の業務がないがしろになってしまい、部署マネジメントが停滞する可能性があります。
また、プレイヤー業務と並行して管理職の業務をこなそうとした結果、プレイヤーとしても管理職としても中途半端になってしまう懸念もあるでしょう。
管理職に必要なマネジメントについて、より詳しくは以下のページをご覧ください。
『管理職に必要なマネジメントとは?リーダーシップとの違い・スキルを高める方法を紹介』
部下が成長しない
部下が成長しないことも、プレイングマネージャーのデメリットです。
管理職がプレイングマネージャーとなった場合、業務を自分で引き受けてしまうことが増えます。その結果、部下に重要な業務が回る機会が減少し、部下の成長機会が失われてしまうのです。
難しい案件やチャレンジングな業務がアサインされづらいと、部下の成長実感も乏しくなってしまいます。「成長できない環境だ」と思われてしまい、部下のモチベーションが低下するケースも少なくありません。
チームとしての生産性が向上しない
チームとしての生産性が向上しないことも、プレイングマネージャーのデメリットです。
プレイングマネージャーは、チームで成果を上げるのに適した体制ではありません。一人ひとりの頑張りだけで成果を上げる組織になってしまい、生産性の向上に繋がらない可能性が高いです。
また、人や資金を一括で管理する人が不在になるため、人材配置があべこべになったり、コスト配分が不適切になったりする可能性もあります。マネジメントが機能不全に陥り、組織の生産性が悪化することも多いです。
管理職のプレイヤー意識を取り除く方法
プレイングマネージャーには、さまざまなデメリットがあることがわかりました。しかし、管理職の中にはプレイヤー時代の意識が抜けきれず、意図せずプレイングマネージャーのような働き方になってしまう人がいます。
プレイングマネージャーの役回りから脱却するためには、管理職のプレイヤー意識を取り除くことが重要です。管理職のプレイヤー意識を取り除く方法を解説します。
新任管理職研修を行う
管理職のプレイヤー意識を取り除くためには、新任管理職研修を行うと効果的です。
管理職としての期待役割やマインドを磨いてもらい、「人に仕事を任せる」という意識を持ってもらいましょう。自分だけで成果を出すのではなく、「チームとして成果を出すことが求められている」と理解させることが大切です。
また、管理職研修では部下の育成方法を学んでもらうのもよいでしょう。プレイヤーとして培ってきたノウハウを部下へ伝達する意識を持つことで、自然とプレイヤー意識が解消されていきます。
新任管理職研修の目的や内容、ポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。
『新任管理職研修とは?目的やおすすめの研修内容、成功させるポイント』
アンラーニングとリスキリングを促進する
アンラーニングとリスキリングを促進することも、管理職のプレイヤー意識を解消する方法の一つです。
アンラーニングとは、これまで身につけてきた価値観や固定概念を意図的に棄却し、新しいスキルを身につける土台を作る方法です。リスキリングとは、今までの経験とはあえて異なる内容を学び、現在の期待役割に合わせたスキルを身につけることを指します。
アンラーニングとリスキリングは、どちらもプレイヤー時代の意識を取り除くのに役立つ方法です。これらを効果的に取り入れて、プレイヤー時代の意識からの転換を促してみてください。
アンラーニングとリスキリングの違いや、アンラーニングの詳細は以下のページで詳しく解説しています。
『【具体例あり】アンラーニングとは?やり方やリスキリングとの違いを解説』
また、リスキリングについてさらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
『リスキリングとは?注目される理由や導入方法、注意点をわかりやすく解説 』
適応課題にアプローチする
適応課題にアプローチすることも、プレイヤー時代の意識から脱却する方法です。
適応課題とは、現在持っている価値観や考え方に起因する課題を指します。反対は技術的課題で、こちらは現在のスキルや知識によって発生する課題のことです。
管理職を対象とした研修では、どうしてもコミュニケーション力やマネジメント力といった、技術的課題ばかりにフォーカスされがちです。しかし、プレイヤー時代の意識が抜けきれないままこうしたスキルを伸ばしても、なかなか管理職として理想の動き方は定着しません。
育成の際には適応課題にも積極的にアプローチして、管理職の精神的な成長を促すことを意識してみてください。
適応課題と技術的課題の例や、適応課題へのアプローチ方法は以下のページで詳しく解説しています。
『適応課題と技術的課題の例を紹介。研修で適応課題にアプローチする方法』
管理職研修ならアルーにお任せください
管理職研修なら、ぜひアルーへお任せください。人材育成を手掛けているアルーでは、管理職がプレイヤー意識から脱却するのに役立つ研修プログラムを数多くご用意しています。
アルーの研修は、技術的課題だけでなく適応課題にもフォーカスするのが特長です。管理職としての期待役割の理解や部下育成意識の獲得も含め、管理職として必要なスタンスを幅広く獲得します。
さらに、アルーの研修はアウトプット中心の研修設計となっているため、研修内容を徹底的に定着させることが可能です。研修実施後のフォロー施策も一貫して支援するため、現場での行動変容を効果的に引き出すことができます。
アルーの管理職研修の詳細は、以下のページから確認いただけます。
管理職研修
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アルーの管理職研修事例
アルーでは、これまでにさまざまな業界で管理職を対象とした研修を実施しました。
ここからは、それらの中からプレイヤー意識の脱却へフォーカスした事例を3つ厳選して紹介します。管理職の意識転換を行う研修の具体的な進め方や、研修を通じてプレイヤー意識の脱却を促す方法を知りたい方はぜひ参考にしてください。
コスモ石油株式会社 新任ライン長研修事例
コスモ石油株式会社様では、管理職として働くようになる新任ライン長を対象とした研修を実施しました。
本研修事例では、30名の新任ライン長を対象に、管理職として働く上で必要な心構えやスタンスを学んでもらっています。「他責から自責」をスローガンに掲げるなど、精神面での成長を促したのがポイントです。研修の雰囲気作りにも力を入れ、緊張感のある場で管理職のマインドの成長を実現しました。
研修後には、新任ライン長を起点としたコミュニケーションが活性化するなど、組織の風通し改善につながったという声が上がっています。
コスモ石油株式会社様の事例は、以下のページから詳しくご確認いただけます。
コスモ石油株式会社 新任ライン長研修 導入事例
製造業A社 管理職の役割を認識し、チームの目的に貢献する行動ができる管理職育成事例
製造業のA社では、中堅社員に昇格した人が、自身の期待役割の変化をうまく理解できていないという課題がありました。
そこで、アルーでは中堅社員がチーム内でリーダーシップを発揮する社員へと成長することをサポートするための研修を支援しています。研修では、リーダーシップの原則やゴールの設定方法、目的の持ち方などを幅広く学んでもらいました。ノック形式の豊富な演習を取り入れるとともに、期待役割の変化を理解するという適応課題へアプローチしたのがポイントです。
研修後には、「チームをうまく動かすためのコミュニケーションについて学習できた」など、参加者から好評の声が上がりました。
本事例の詳細は、以下のページをご覧ください。
管理職の役割を認識し、チームの目的に貢献する行動ができる管理職育成 施策事例
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サービス業D社 部下育成の強化と組織成果につなげるリーダー育成事例
サービス業界のD社様では、現場のリーダーである中堅社員が、チームを動かさずにプレイヤーとしての振る舞いにとどまっているという課題がありました。
そこで、中堅社員に役割変化を理解してもらうため、アルーでは意識転換を実現する研修を支援しています。
本研修は、まず期待役割の変化を理解するところからスタートし、その後自組織の理解や目標の共有方法、心理的安全性の確保方法などをピンポイントで学んでもらいました。
マネジメントに求められる領域をすべて扱うのではなく、組織で喫緊の課題を重点的に学んでもらい、成果創出につなげたのがポイントです。また、3人1組のバディを導入するなど、研修後の振り返り施策にも注力しました。
研修後には、「メンバーを動機づける重要性を理解できた」など、研修の狙い通りの学習ができたという声を多く頂いています。
本事例の詳細は、以下のページからご覧ください。
部下育成の強化と組織成果につなげるリーダー育成 施策事例
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まとめ
プレイングマネージャーのメリットやデメリット、プレイヤー意識から脱却する方法などを解説しました。
プレイングマネージャーには、マネジメントがうまくいかなくなったり、部下の成長が停滞したりするなど、さまざまなデメリットが存在します。こうしたプレイングマネージャーの働き方から脱却するためには、管理職にプレイヤー時代の意識を転換してもらうのが重要です。
アルーでは、管理職として必要なマインドを学ぶ管理職研修をご用意しています。アルーの管理職研修は、以下のページからご確認ください。
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ぜひ研修やアンラーニング、リスキリングを積極的に取り入れて、管理職の意識転換を効果的に進めていきましょう。