新入社員にIT研修が必要な理由とおすすめの研修・注意点を解説
新入社員研修でよく扱われるIT研修。ExcelやPowerPointといった基本的なソフトの使い方はもちろん、SNSのルールやネットリテラシーなど、社会人としての基礎となる幅広いトピックを扱っています。
効果的なIT研修を実施するためには、アプリ開発などアウトプットの場を用意したり、ついていけない人がいないかフォローしたりするのが大切です。新入社員研修におけるIT研修について、目的やおすすめのカリキュラム、ポイントなどを解説します。
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新入社員研修の目的
新入社員研修を実施する目的は、学生から社会人への意識改革や基本的なビジネスマナーの習得、さらには企業に対する理解の促進などが挙げられます。
入社したばかりの新入社員に対して、これから企業で活躍していくために必要な基本事項をまとめて習得してもらうのが新入社員研修の狙いです。
特に最近では新入社員研修の中でIT研修を実施して、Office系ツールの使い方やネットリテラシーなどを身につけてもらう企業が増えています。さらに、企業によってはAIやプログラミング、データ分析といった発展的な話題を取り扱う場合も多いです。
新入社員研修の目的について詳しくは『新入社員研修の目的とは?目標の決め方や必要なカリキュラムを紹介』をご覧ください。
新入社員にIT研修が必要な理由
新入社員研修でIT研修を行う企業が増えてきているとお伝えしましたが、そもそもなぜ新入社員研修でIT研修を実施するのでしょうか。
新入社員にIT研修を行う理由はいくつか考えられますが、中でも業務効率化や情報セキュリティ意識の向上などが主な狙いです。新入社員研修でIT研修を実施する理由をご紹介します。
業務効率化につながるため
今やIT技術は、職種や業界を問わずビジネスにとって身近な存在です。これまでFAXなどで送受信していた購買データを電子化したり、手書きで記入していた顧客データをインターネット上で管理したりする企業はますます増えてきています。
ほとんどの業務にITは密接に関わっているため、ITについて基本的な理解がなければ業務効率は大幅に低下してしまいます。こうした事態を防ぎ、新入社員がスムーズに業務を進めるため、新入社員研修でITについてまとめて学んでもらう必要があるのです。
情報セキュリティの重要性を知るため
最近では「バイトテロ」と呼ばれるようなSNS投稿が社会問題となっていることからもわかるように、企業にとって情報セキュリティは重要な課題です。
新入社員が学生時代の意識のままSNSを使ってしまうと、企業内部の機密情報を外部へ流出させてしまい、企業へ大きな損害を与えてしまう可能性もあります。
こうした背景から、情報セキュリティの重要性を学んでもらう機会としてIT研修を実施する企業も多いです。後述するようにSNSの使い方やルールなどをIT研修で伝えれば、情報セキュリティに関するトラブルを未然に防ぐことができます。
社会のIoT化が進んでいるため
IoTとはInternet of Thingsの略で、社会のさまざまな「モノ」がインターネットと結びつくことを指します。ここ10年近くでIoTの流れは一気に加速しており、もはやIT技術は当たり前のものとなっています。これまでITとは馴染みが薄いと言われていた現場でも、多様な形でITが活用され始めるでしょう。
社会のIoT化に対応するために、新入社員研修でIT研修を実施する企業も多いです。
現在ITを利用しているかどうかに関わらず、会社の将来を担う新入社員へITに対する知識を深めてもらうことは重要といえます。
DX推進人材を育成するため
DXもIT技術に関連する重要なトレンドワードの一つです。これまで紙ベースで管理していた情報をITで一元管理すれば、これまで以上に業務を効率化できます。一方でITに関する深い知識を持った人材の育成は社会的にも進んでおらず、こうしたDXを推進できる人材は多くの企業で不足しているのが現状です。
このような状況を打開してDXを推進できる人材を育成するため、新入社員研修でIT研修を実施する企業も増えてきています。入社後のできるだけ早い段階からDXのための土台を作っておけば、現場での実践を通じて一層DXに対する理解を深めてもらうことができるでしょう。
DX人材に必要なスキルについて詳しくは『DX人材に求められるスキル・マインドとそのレベル』をご覧ください。
新入社員にIT研修を行う方法
新入社員にIT研修を行う際には、どのように実施すればよいのでしょうか。
もちろん社員に講師を依頼して研修を実施するのも一つの方法ですが、研修を実施する際には多くの手間がかかりますし、何より講師を担当する社員に大きな負担をかけてしまいます。新入社員にIT研修を行う際におすすめの方法を2つ解説します。
外部講師に依頼する
一つ目が、外部講師へ依頼するという方法です。ITに関する研修を専門としている外部講師に依頼すれば、自社にはないノウハウを取り込むことができるメリットがあります。 さらに、外部講師は研修での説明にも慣れているため、新入社員にとってわかりやすい解説をしてくれるでしょう。 ただし外部講師の質はさまざまなため、依頼先は慎重に検討する必要があります。研修を依頼する前に外部講師の実績などを必ずチェックするのがおすすめです。
外部講師に委託すべきなのかや、選定ポイントについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
『研修は外部委託すべき?委託している割合や委託先選定のポイント』
eラーニングの導入
二つ目の方法が、eラーニングを導入するというものです。 eラーニングを導入すれば、社員はいつでもどこでも自分のペースで学習を進めることができます。 特に新入社員の間で知識に差のつきがちなIT研修を実施する際には、相性の良い手法といえるでしょう。
新入社員研修でのeラーニング活用について詳しくは以下の記事をご参照ください。
『新入社員研修でeラーニングを活用するメリットとデメリットと対策をわかりやすく解説』
eラーニングを行う際には、LMSと呼ばれる学習管理システムを導入する必要があります。
アルーの提供するLMSである「etudes」は、以下のページからご覧ください。
etudes
新入社員におすすめのIT研修カリキュラム
新入社員研修でIT研修を実施する際には、以下のような内容を扱うのがおすすめです。
- 情報基礎リテラシーやSNSの利用法などのITリテラシー
- ExcelやWordなどのOAスキル
- Webマーケティングやプログラミングなど、職種別に必要なスキル
新入社員研修で実施するIT研修の、具体的なカリキュラムについて解説します。
ITリテラシー
ITリテラシーとは、ITを使う際に必要とされる基本的な能力のことです。一言でITリテラシーといっても、その中には以下のような多くのスキルが含まれます。
- 情報基礎リテラシー
- コンピューターリテラシー
- ネットワークリテラシー
- SNSの利用法など
こうしたITリテラシーはビジネスでITを活用する際の基本事項となるため、新入社員研修など早い段階で身につけてもらうのがおすすめです。それぞれの内容について、さらに詳しく見ていきましょう。
情報基礎リテラシー
最近ではSNSやフェイクニュースなど、真偽不明の膨大な数の情報がインターネット上で飛び交っています。こうした中から正しい情報を自分なりに識別して、うまく活用するのが情報基礎リテラシーです。
新入社員向けのIT研修では、情報基礎リテラシーについて扱うとよいでしょう。具体的には、以下のような能力を伸ばしてもらいます。
- 情報を検索したり、取捨選択したりする力
- 得た情報が本当に正しいのか、自分で真偽を見極める力
- 情報を正しく理解して、分析する力
- 情報を正しく整理して、発信する力
IT研修でこうした能力を伸ばすことで、インターネット上に氾濫する様々な情報を適切に活用できるようになるでしょう。
コンピューターリテラシー
コンピューターリテラシーとは、コンピューターを使いこなすための基本的な能力のことを指します。広い意味ではコンピューターが動作する原理の理解などもコンピューターリテラシーに含まれますが、IT研修で扱う内容としてはパソコンやマウスの基本的な操作方法や、タイピングなどの基礎スキルがメインです。
IT研修では、コンピューターリテラシーを扱うのもおすすめです。Z世代と呼ばれる最近の新入社員は、学生時代からスマートフォンやタブレット端末などが身近にあった世代でもあります。パソコンをほとんど使ったことがないというケースもあるため、新入社員のレベルに合わせて丁寧に教えるのがよいでしょう。
ネットワークリテラシー
ネットワークリテラシーとは、インターネット上に溢れる様々な情報を適切に活用して、インターネットを安全に正しく使う能力のことを指します。情報リテラシーと似たような意味ですが、ネットワークリテラシーでは情報活用に加えてインターネットを安全に使う能力が大切です。
新入社員研修では、インターネットリテラシーについて取り上げるのもよいでしょう。例えば適切なプライバシー保護やセキュリティ対策がされているサイトの見極め方や、公共のWiFiを仕事で使う危険性など、インターネットを安全に活用するための基礎知識を身につけてもらうのが大切です。
SNSの利用法やルールについて
SNSの利用法やルールを新入社員研修で取り上げるのもおすすめです。学生時代はあまり意識せずSNSを活用していた新入社員も多いかもしれませんが、同じ意識のまま社会人としてSNSを利用すると様々なトラブルを招く可能性があります。
ルールとしては、例えば以下のようなものを共有するとよいでしょう。
- 社外秘の情報は投稿しない
- 会社の悪口や個人への悪口を投稿しない
こうした情報は、たとえ非公開アカウントであったとしても第三者に拡散されるリスクがあります。会社に損害を与えないためにも、ルールを徹底してもらうのが重要です。
ExcelやWordなどのOAスキル
データを分析する際などに活用するExcelや、文書を作成する際のWord、プレゼンテーションを行うためのPowerPointなどは、今やどの業界でも使用されているビジネスの必須ツールです。新入社員研修では、このようなソフトの使い方をはじめとしたOAスキルを身につけてもらうのもよいでしょう。
こうしたスキルを身につけてもらう際には、アウトプットの場面を設けるのが有効です。例えば最後にまとめとしてPowerPointで作成したプレゼンを実施してもらったり、Excelで簡単なデータ分析をしてもらったりして、ソフトに対する理解を深めてもらいましょう。
OAスキルはeラーニングで学んでもらうことも有効です。
OAスキルに関するeラーニングコンテンツについては、以下のページをご覧ください。
Excel:e-ラーニング教材 Microsoft Excel ベーシック編
Word:e-ラーニング教材 Microsoft Word ベーシック編
PowerPoint:e-ラーニング教材 Microsoft PowerPoint ベーシック編
職業別ITスキル
新入社員を対象としたIT研修では、ここまで紹介した一般的な内容のほかにも、職種別に求められるITスキルを扱うケースがあります。例えばマーケティング職を対象としたWebマーケティング手法や、エンジニアや技術職を対象としたプログラミングなどです。
ここからは、新入社員研修において職種別に実施するIT研修のカリキュラムについて解説します。
Webマーケティング
Webマーケティングは、マーケティングやプロモーションを担当する新入社員に対して実施するカリキュラムです。例えばWebマーケティングの基本知識や、業務遂行のために必要なツールなどを使いこなすスキルを身につけてもらうとよいでしょう。
また、ITツールを活用した広告宣伝やCRMが企業の業績を大きく左右する場合も少なくありません。広告宣伝やCRMのノウハウも扱いたいトピックの一つです。
プログラミング
プログラミングは、主にエンジニア職として採用された新入社員に対して行う研修です。エンジニア職として採用する場合はある程度プログラミングの知識などをコーディングテストで見ているかもしれませんが、入社後に今一度研修で基本的な知識をおさらいすることで足並みを揃えることができます。
具体的には、業務でよく使う言語やフレームワークの知識を伝えるようにしましょう。状況に応じて新入社員に対しメンターなどを配属し、実務などを通じて学んでもらうのも有効です。
Webデザイン
Webデザインは、主にデザイナー職として採用された新入社員に対して行うIT研修です。デザインの現場では、IllustratorやPhotoshopといったデザインのためのツールが当たり前のように使用されています。まずはこうしたツールの使い方などをIT研修で伝え、スムーズに業務へ馴染んでもらえるようにするのがおすすめです。このほか、必要に応じて動画編集のスキルや、基本的なCSSの書き方などを学んでもらうのもよいでしょう。
データ分析
AIは今や様々な業界で活用されている、ビジネスに必須のツールといっても過言ではありません。AIをはじめとした各種データ分析技術などについてIT研修で扱うのもおすすめです。
具体的には、データを分析する際によく用いられる言語であるPythonの知識や、データ分析を行う際に必要となる統計学に関する基本的な知識などを身につけてもらいましょう。プログラミングと同様に、実践的な演習を多く取り入れるのがおすすめです。
なお、アルーの提供するDX研修では、すべての社員がデジタルを活用できるようにするためのデータ分析力も取り上げます。
アルーの提供する新入社員向けのデジタル活用人材研修は以下のページをご覧ください。
DX・デジタル活用人材研修
新入社員にIT研修を行う際のポイント
新入社員研修にIT研修を取り入れる際には、いくつかの気を付けておきたいポイントが存在します。例えば最初に研修の目的を伝えたり、アウトプットの場を設けたりするのがおすすめです。
新入社員研修におけるIT研修を成功させるために知っておきたいポイントを解説します。
研修の目的を伝える
研修を行う際に、研修のゴールが不明確のままでは「何のための研修なんだろう?」と思われてしまうかもしれません。IT研修を行う際には、最初に研修の目的を伝えるようにしましょう。
例えば具体的な内容の説明に入る前に、「今日の目的は、PowerPointの使い方を覚えて顧客を納得させられるプレゼンをできるようにし、成果につなげることです」といった研修の目的を述べるのがおすすめです。研修の目的を説明することで参加者が研修の意義を理解できれば、モチベーションの向上にもつながります。
アウトプットの場を設ける
IT研修では、さまざまなツールの使い方を説明します。
例えばエンジニア職向け研修の場合には、プログラミングの方法について解説するでしょう。
こうしたツールの使い方やプログラミングの方法は、よく「習うより慣れろ」と言われることからもわかるように、実践した方が知識の定着が早いです。はじめに基本的な事項を説明した後は、豊富なアウトプットの機会を設けましょう。ITリテラシーに関する研修を行う際も同様に、SNSの使い方に関するディスカッションを設けるなどアウトプットの場が重要です。
ついていけない人がいないかアンケートやテストを行って調査する
IT研修でありがちな失敗が、「途中から内容がわからなくなってしまい、置いてけぼりにされた」といったものです。特にツールの使い方などを説明する際は、一度説明に追いつけなくなると最後までわからなくなってしまいます。
IT研修を実施する際には、ついていけない人がいないかどうかをアンケートやテストなどでしっかりと把握するようにしましょう。ITに関する知識やスキルは、新入社員の間でも習得レベルに差が出やすい分野です。説明を丁寧に行ったり、その都度確認時間をとったりするなど、内容についていけない人に対する配慮が求められるでしょう。
アプリ開発をさせる
IT研修の総仕上げとして、アプリ開発に取り組んでもらうのもおすすめです。アプリ開発を行うことで、アウトプットの機会を提供できるため、IT研修で学んだ内容がより一層定着します。
アプリを開発してもらった後には、アプリの質に基づいて同期内でランキングをつけるのもよいでしょう。自分の作ったアプリが評価されることで内省を促せますし、アプリを作るモチベーションも高まります。
なお最終アウトプットとしてのアプリ開発を行うためには、導入研修期間中のインプットとなる研修が重要です。アプリ開発に必要なツールの使い方やデザイン手法などはしっかりと伝えておきましょう。
フォローアップ研修を行う
IT研修を実施した後に必ず行いたいのが、フォローアップ研修です。研修実施後2〜3ヶ月程度の期間を空けて再び研修を実施することで、IT研修で身につけた知識の定着度合いを測ることができます。
また、研修から時間が経っているため、研修で身につけたITに関するノウハウを現場で活用できているか知ることもできます。
フォローアップ研修で課題が見つかれば必要なサポートを実施することもできるため、IT研修を実施する際はぜひフォローアップ研修の実施を検討してください。
フォローアップ研修については、以下の記事で詳しく紹介しています。
『新人フォローアップ研修とは?目的やおすすめの内容を解説』
助成金を活用する
新入社員にIT研修を実施する際には、国や自治体が提供している助成金を活用できる可能性があります。助成金を活用すれば、研修の実施にかかる費用負担を軽減し、より質の高い研修を実施することができます。以下は2024年現在、研修や人材育成の際に使える助成金の一例です。
- 人材開発支援助成金【厚生労働省】
- キャリアアップ助成金【厚生労働省】
- スキルアップ助成金【東京都】
助成金の申請には、研修を企画し、管轄の労働局に要件を満たしているかを確認した後、申請書を提出し、研修を実施する必要があります。そして研修実施後、要項に従って必要な書類を提出し、助成金を受け取ります。
助成金を利用する際には、自社に適した助成金を選択し、申請方法や注意点をしっかりと確認することが重要です。不明な点がある場合は、顧問社労士に相談することをお勧めします。
助成金の活用について詳細はこちらの記事をご覧ください。
『【2024年最新】研修に使える助成金一覧|申請方法や注意点を解説』
新入社員へのIT研修はアルーにお任せください
アルーは人材育成を幅広く手がけている企業です。毎年2万人以上に実施している新入社員研修では、ITに関するトピックも数多く取り扱っています。
新入社員へのIT研修をご検討の場合は、ぜひアルーへお任せください。
新入社員研修の豊富な実績を持つアルーならではのノウハウを活かし、最新の新入社員の傾向を踏まえた効果的な研修の実施が可能です。研修の企画段階から伴走し、お客様の課題に最適な研修プランを柔軟に提案いたします。
アルーの新人研修に関して詳しく知りたい方は以下のサイトをご覧ください。
新入社員研修