DX人材に求められるマインドとそのレベル
DX人材とは、近年業種や業界を問わず重視されているDXを進めていく人材のことです。
DX人材としてデジタル改革を進めていくためには、スキルや知識だけでなくマインドも重要です。
この記事では、全社的なDXを推進していくDX人材にはどのようなマインドが必要なのか、どのようにマインドを身につけてもらえばよいのかについて解説します。
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DX人材とは
DX人材とは、デジタル技術を活用してビジネスモデルや製品、組織、プロセスの変革を推進する人材のことを指します。
デジタルに関する知識や技術を持ちあわせていることはもちろん、自社の業務理解やプロジェクトマネジメント力、リーダーシップなども必要です。
DX人材について詳しくは以下のページをご参照ください。
『DX人材とは?必要なスキルや育成の方法』
DX人材に求められる7つのマインドセット
DX人材にはさまざまなマインドセットが求められます。DX人材に必要といわれているマインドセットについて確認していきましょう。
自律的学習力
DX人材が専門とするデジタル領域では、日々新たなツールや分析手法が生まれていく業界です。
そのため、2〜3年前の技術や知識が時代遅れとなってしまうということも少なくありません。
変化の激しいデジタル領域についていくためには、自律的に学習を続ける「自律的学習力」が必要不可欠です。
専門知識を一度学んで終わりとするのではなく、「常に新しい技術や知見を得る」や「新しいことを試す」といった継続的に学習する姿勢が求められます。
不確実な未来への創造力
上述したようにDX人材は自ら課題を設定し、課題解決に向けたロードマップを策定することが必要です。
たとえデジタルに関する知見を保有していたとしても、「課題の発見ができない」「効果的な改善案を提示できない」という場合は意味がありません。
予測の難しい不確実な未来に対応するためにも、DX人材は「取り組むべき領域を自ら定める」「新しい分野への取り組みに積極的になる」といった未来への創造力が必要です。
自分自身で在りたい未来を描き、未知の事柄にも積極的に挑戦するマインドセットを身につけましょう。
臨機応変/柔軟な対応力
DXを推進する際、スケジュールや推進計画を策定することが基本ですが、必ずしも計画取りDXが進行するとは限りません。
特にプロジェクトや企業が大規模なものになればなるほど、予想外の事態が発生し、スケジュールが変更になるなどの事態は発生します。
DX人材は、計画通りにマネジメントが進まない場合でも臨機応変に対応できる柔軟性が求められます。
当初の計画にこだわりすぎず、外部の状況変化を踏まえた柔軟な意思決定ができる能力が重要です。
社外や異種の巻き込み力
企業は、技術職や営業職、研究職、デザイナーなど、さまざまな職種の人材が協力して成立しています。
場合によっては「DXに対する理解が得られない」や「今の業務の進め方にこだわるメンバーがいる」といった事態も発生するかもしれません。
そのため、DX人材には周囲のメンバーを積極的に巻き込む「巻き込み力」が求められます。
社員を巻き込むことはもちろん、取引先や関係者といった社外を巻き込むことが重要です。
社内外のメンバーとの関係構築を行うことにより、DXをよりスムーズに進められるようになるでしょう。
失敗したときの姿勢/思考
DXは必ずしも計画通りに進まないというのは、先述した通りです。
それ以外にも、「導入したITツールが現場に浸透しなかった」や「DXに対する現場の理解がなく、反発を招いてしまった」といったDX自体が失敗してしまうことも往々にしてあります。
DXに失敗はつきものであり、一時的な失敗は最終的な成功に向けた過程に過ぎません。
DX人材はこのことをよく理解したうえで、失敗を成長の糧とできるような考え方や姿勢を身につけることが大切です。
モチベーション/意味づけする力
DXを進めるうえで、「そもそもなぜDXを進める必要があるのか?」という問いが常に重要です。
DXを進める意味が明確化すれば、現場にDXの必要性を説明する際にも役立ちます。
企業レベルでの意思決定に携わることもあるDX人材は、課題に取り組みたいと自分自身で考えるモチベーションが何よりも大切です。
DXに自分自身で意味付けを行い、自分の言葉で必要性を説明できるような人材を育成しましょう。
いざというときの自身の突破力
DX人材は、ただ単にソフトウェアやITツールを導入するという役割ではありません。
重要な意思決定や業務プロセスの改革を行うといったリーダーシップが求められる場面が多いのがDX人材の特徴です。
困難な状況に陥ったときでも諦めず、さまざまな方法で解決を模索する「突破力」もDX人材に必要なマインドセットの一つです。
DX人材は高い責任感を持つとともに、周囲に信頼されるような人物であることが求められます。
DX人材が持っていると便利な資格
DX人材として働くうえで、特別な資格は必要ありません。しかし、ITに関する高度な知識や技術が求められる立場なので、以下のような資格を取得すると業務遂行に役立つでしょう。
- DX検定
- デジタルトランスフォーメーション検定
- +DX(プラスディーエックス)認定資格
- 統計検定
- 基本/応用情報技術者
- AI実装検定
- ITストラテジスト
- ITコーディネータ
- AWS認定
- プロジェクトマネージャ
- データベーススペシャリスト
- Python3エンジニア
- CIW JavaScript Specialist
- ネットワークスペシャリスト
DXに関する全般的な知識を身につけたい場合には、日本イノベーション融合学会の「DX検定」や一般財団法人 全日本情報学習振興協会の「デジタルトランスフォーメーション検定」、IoT検定制度委員会の「+DX(プラスディーエックス)認定資格」がおすすめです。
DX初心者におすすめの資格として、一般財団法人 統計質保証推進協会の「統計検定」も挙げられます。統計やデータサイエンスに詳しくない場合には、まず統計検定3級レベルの合格を目指すとよいでしょう。DXを進める上で重要なデータ分析の基礎を身につけることができます。
専門技術を要するITエンジニアや先端技術エンジニアのような職種の場合、「基本/応用情報技術者」や「Python3エンジニア」など、業務に直結する資格を取得するとよいでしょう。
DX人材としてのスキルを身につけてもらう方法
DX人材として必要なマインドセットを見ていきました。
実際にこれらの能力を持ったDX人材を育成するためにはどのような施策が有効なのでしょうか。
DX人材の育成を行う際、研修の実施や社内外との交流、さらにはOJT機会の増加といった取り組みが効果的です。
下記では、DX人材としてのマインドを身につけてもらう方法について紹介します。
研修を行う
DX人材を育成する際には、研修の実施が有効な方法です。
特にIT技術や数理能力・データ分析能力といった分野は座学の重要性が高く、研修による教育が効果を発揮するといえます。
研修実施方法は多岐にわたりますが、よく実施されるのはハンズオン講座形式での実施です。
実際にビッグデータを操作することにより、実務でDXを行うイメージを膨らませることができます。
そのほかにも、深い専門知識やユニークな経験を持った社外講師を招いた講演なども効果的です。
▼アルーのDX・デジタル活用研修に関しては、以下の資料をご確認ください。
▼こちらのページでも詳しく解説しています。
社内外でのつながりを広げる
日々技術がアップデートされている昨今においては、本や限られたメディアだけでは十分な情報収集ができません。
常に最新の知見を手にするためには、社内外との幅広いネットワークを構築するのが効果的です。
他社のDX人材やDXを手掛けている企業との関係構築を行うことで、必要な情報を効率的に集めることができます。
たとえば、「最新のITトレンドを共有している社外のコミュニティへ参加する」といった関係構築が考えられます。
また、近年ではTwitterやブログで最新情報を提供している開発者・研究者も多いため、各分野の第一人者のSNSをフォローするというのも良いでしょう。
OJTの機会を増やす
ITに関する知識を身につけるうえで座学は優秀な方法ですが、それだけではなかなか実務的な能力までは身につきません。
また、リーダーシップや学習姿勢といったマインドセットも座学で身につけることは難しいでしょう。
それらを打開するべく、OJTの機会を創出するというのはDX人材育成のうえで効果的な手法です。
OJTを定期的に実施することで、データ分析や業務プロセスの改善といった実務を体験でき、実行力や活用力を伸ばすことができます。
特におすすめなのが、「座学で学んだ知識をOJTによって実践する」という流れを作ることです。
その他、DX人材育成の方法やコツについて詳しくは以下のページをご覧ください。
『DX人材の育成ステップとポイントをわかりやすく解説【育成事例あり】』
DX人材としてのマインドを身につけさせる際の注意点
研修の実施やOJTといったDX人材としてのマインドを身につけてもらうためのさまざまな施策を紹介しました。
そのなかで、DX人材を育成する際はどのような点に注意する必要があるのでしょうか。
ここでは、DX人材としてのマインドを身につけてもらう際に気を配っておきたい注意点を解説します。
(前提)なぜDXが必要なのかを明確にする
最近急速に注目を浴びている「DX」という言葉ですが、そもそもなぜDXを行うのかを明確に説明しているでしょうか。
DXは、IT技術を用いた業務プロセスの改善やビッグデータを活用した意思決定など、デジタルの力を用いた取り組み全体を幅広く指す言葉です。
ただ単に「DXを推進する」といってもその言葉の意味する内容は広く、社員には漠然としたイメージしか持ってもらえない可能性もあります。
人材育成に取り組む前に今一度、「そもそもなぜDXを行うのか」「DXによって具体的に解決したい問題は何か」という点を明確にしておきましょう。
丸投げはせず、会社全体で行う
DXは、「現場だけ」や「経営層だけ」といったような限られた取り組みではありません。
会社全体でDXが進展し、IT活用のレベルが底上げされることではじめてDXは本当に効果を発揮するようになります。
そのため、DX人材を育成する際には、現場に丸投げしないように注意することが大切です。
会社全体を取り巻く状況も踏まえながら、「中長期経営計画を達成するためにはどのようなDX人材が必要か?」や「成長セクションで活躍するDX人材を育成するためには?」など、俯瞰的な視点で考えることも重要です。
育成の優先順位をつける
DX人材を育成する際は、社員の中でどういった人材を先に育成すべきか、優先順位をつけて育成を進めていきましょう。
アルーでは、管理職やDXへの学習意欲の高い社員から優先して育成することをおすすめしています。
まず、管理職は職場の中核となる存在であり、管理職がDX・デジタル活用について理解を深めることで、周りのメンバーもDXについて興味関心を持ったり学んだりしてくれる可能性が高まります。職場でDX・デジタル活用を推進するリーダーとなり、職場全体のDX推進も期待できるでしょう。
また、DX研修で学ぶ内容は数学や統計など、多くの社員にとって馴染みのない内容です。これらを学び一定のレベルに達するには、研修に継続的に参加したり自律的に学習したりする必要があります。業務と並行して学び続けるためには、受講者側にある程度の学習意欲が求められるでしょう。
管理職や学習意欲の高い社員から育成し成功事例を出しながら、徐々に他の社員に対象を広げていくのがおすすめです。
身近な課題解決から始める
DX研修などによる育成で学んだことが身近な課題解決の役に立つことが分かれば、学びへの意欲を向上させることにつながります。
そのため、最初は
- いつも手作業でエクセルに入力している作業をマクロにしてみる
- チャットにメールの受信通知がくるようにしてみる
といった、小さな課題解決から実践してもらうことが重要です。
自分自身のできることから始めて行けば、成功体験を得ることができ、本人の学習意欲も湧くでしょう。
「自分の力でDXが成功した」といった経験を積めば、自信の獲得やモチベーションの向上も期待できるでしょう。
成功体験を社内でシェアする機会を設ける
DXで成功した体験を社内でシェアをする機会を設けることで、まだDXに意欲的でないメンバーや部署でも興味を持ちやすくなります。
一部の業務をデジタル化したことや、マクロなどを活用して自動化したことなどを社内でシェアすることで、「自分の部署でも使えるかもしれない」「業務の効率化につながるかもしれない」という成功のイメージを与えることができます。
また、経営層にもDX人材育成による成果が伝わるので、その後の継続的な育成施策を進めやすくなります。
DX人材のマインドセット研修ならアルーにお任せください
DX人材を育成するためには、デジタル技術に関する知識を身につけるだけでなく、マインドセットや課題発見力といった面も含め、バランス良く成長していく必要があります。
アルー株式会社は、人材育成を長年手掛けてきた企業です。
階層別研修やグローバル人材育成をはじめとした人材育成のノウハウが豊富に蓄積されており、DX人材の育成にも対応しております。
▼アルーのDX・デジタル活用研修に関しては、以下のページをご確認ください。
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