DX人材とは?必要なスキルや人材獲得方法をわかりやすく解説
最新のデジタル技術やデータを活用することで、企業の課題を解決を図り、ビジネスモデルを変革する「DX推進」が、さまざまな企業で重要視されるようになりました。
同時に、DX推進を担う人材の確保や育成に課題を抱える企業も増えてきています。
この記事では、DX人材の概要とDX人材に必要なスキル、人材確保の方法など、詳しく解説します。
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DX人材の定義とは
DX人材とは、デジタル技術を活用してビジネスモデルや製品、組織、プロセスの変革を推進する人材のことです。変化の激しいビジネス環境において、新しい価値創造や顧客ニーズへの対応することがDX人材には求められています。
多様化する顧客ニーズを正確に把握するためや、少子高齢化による人手不足に対応するためにもあらゆる業界でDX推進が急務となっており、現在ではDX人材のニーズが高まっています。
DX人材には大きく分けて次の4つのセグメントがあります。
- デジタルプロ人材
- デジタル企画人材
- デジタル活用人材
- デジタル入門人材
デジタルプロ人材は、データサイエンス、エンジニアリング、UXデザインの各領域における高レベルの専門スキルを持った人材です。デジタルプロ人材は専門部署の設置や外部人材の活用によって人材を確保することが一般的です。
デジタル企画人材は、デジタル活用した商品・サービス・業務プロセスの企画など、中核となってDXを推進し、デジタル施策を牽引する役割を持つ人材のことです。各事業部や事業会社の企画部門や、DX推進部といった専門部署がその役割を担うことが多いでしょう。
デジタル活用人材は、デジタル企画人材やデジタルプロ人材がつくった各種ツールを活用する役割を担っています。現場だからこそ持ちうる知識(ドメイン知識)とデジタルを活用する力の両面を駆使して、提供するサービスの改善、現場の意見の反映を行ないます。専門部署ではなく、現場の社員全員がデジタル活用人材となることが理想的です。
デジタル入門人材は、DXの重要性、必要性の理解にとどまる人材のことです。全ての社員が最低でもデジタル入門人材になることが、これから求められるでしょう。
4つのセグメントの中で、デジタルプロ人材の獲得、デジタル企画人材・入門人材の育成は既に実施している企業が多いでしょう。しかし、多くの企業では一般社員が「デジタル活用人材」となるには至っていません。今後、DX研修を行う際には、現場の社員が「デジタル活用人材」となるための施策が必要となります。
DXの定義
経済産業省の「デジタルガバナンス・コード2.0」によると、DXはこのように定義されています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
DXというと、IT技術を活用した業務プロセスの効率化を想像しがちですが、効率化に留まらず、付加価値向上や新規ビジネスの創出などの抜本的な変革のことを意味します。
DX人材と従来型IT人材の違い
DX人材とデジタル人材の違いは、役割と目的にあります。DX人材は、企業全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、業務プロセスやビジネスモデルを革新することが求められます。デジタル技術を活用して、企業の競争力を向上させる役割を担います。一方、デジタル人材は、デジタル技術そのものに精通し、データ分析やAI、クラウドコンピューティングなど、具体的な技術分野での専門スキルを活かして業務を遂行します。
デジタル人材についての詳しい解説は以下の記事をご覧ください。
『デジタル人材とは?求められるスキルや育成方法をわかりやすく解説』
また、DX人材には自律的学習力や周囲を巻き込む力、失敗を恐れず挑戦するマインドが求められます。DX人材が果たすべきは組織やビジネスの変革であり、どの程度変革できたのかを成果指標として持つことが求められています。そのためには、自らが最先端のデジタル技術について精通し、且つ周囲と協業しながらチャレンジしていくことが必要です。
従来型IT人材の中には、DX人材としての素養を備えている人材が多いでしょう。しかし、必ずしもすべての従来型IT人材がDX人材として活躍できるとは限りません。従来型IT人材にDX人材の役割を求めるのであれば、マインド面の成熟もサポートすることが求められます。
DX人材が求められる背景
現代では、グローバル化や顧客ニーズの多様化など、ビジネスの環境はこれまでにない速度で変化しています。
UberやNetflixなど、新しいビジネスモデルが既存ビジネスを破壊するデジタルディスラプションという現象も珍しくありません。
このようなビジネス環境の変化に対応するために、DX人材が各企業で重要視されるようになりました。
また、日本では深刻な少子高齢化が進み、人手不足が深刻化しています。
業務効率化や省力化のためにも、DXの推進が欠かせない状況です。
くわえて、「2025年の崖」問題も深刻です。日本企業がDXを推進しなければ、2025年以降、年間で最大12兆円(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性があるとされています。
「2025年の崖」について詳しくは以下のページをご参照ください。
『2025年の崖とは?経済産業省が示す現状の課題と対策をわかりやすく解説』
DX人材不足が問題視されている
各企業においてDX推進が急務となっているなか、DXを担うIT人材の不足が問題視されています。
平成31年に経済産業省が行った「IT人材需給に関する調査(概要)」によると、日本のIT人材は2030年には最大で79万人不足する可能性があります。
足元でも、IT技術職の求人倍率は2021年に約10倍(2022年5月29日日本経済新聞より)に達しており、ほかの職種と比較して高い状態が続いています。
各企業でDX人材の取り合い状態となっており、今後も採用競争が激しくなっていくことが見込まれます。
DX人材=IT人材ではありませんが、DXを推進するにはIT人材が欠かせないことは事実です。IT人材を始めとしたDX人材不足について詳しくは以下のページをご覧ください。
『DXの課題"DX人材不足"の現状と解決策。人事が取り組むべき施策』
DX人材が担う7つの職種
DX人材のなかには、ビジネスの上流過程で企画・立案を行う「ビジネスデザイナー」から、システムの実装や保守を担う「エンジニア・プログラマ」まで、幅広い職種があります。
IPA(情報処理推進機構)は「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査」のなかで、DXに対応する人材として以下の7つの職種を紹介しています。
- プロダクトマネージャー
- ビジネスデザイナー
- テックリード(アーキテクト・エンジニアリングマネジャー)
- データサイエンティスト
- 先端技術エンジニア
- UX/UIデザイナー
- エンジニア・プログラマ
DX人材が担う7つの職種についての詳細は以下の記事をご覧ください。
『DX人材とは?育成方法やスキルマップ、人材不足への対策法を解説』
DX人材に必要なスキル
DX人材には、職種別に専門的なデジタル技術に関する知識やスキルが必要であることはもちろんですが、データ分析などを活用してビジネス上の課題を発見する力や多くの人を巻き込んでプロジェクトを推進する力など、共通したさまざまなビジネススキルも必要とされます。
具体的には、以下の5つのスキルが求められるでしょう。
- 課題発見力
- デジタル理解力
- データ分析力
- プロジェクトマネジメントスキル
- 新規事業の企画力・構築力
DX人材に必要なスキルマップについての詳細は以下の記事をご覧ください。
『DX人材に必要なスキルは?担う職種やスキルマップ・マインドを解説』
DX人材に必要なマインド
DX人材にはデジタルに関する知識やビジネススキル以外に、マインドも必要です。
ここではDX人材に必要な7つのマインドを簡単に解説します。
自律的学習力
デジタル領域は、日々新たなツールや分析手法が生まれていく分野のため、常に自分の知識やスキルを最新のものへアップデートしていくことが求められます。そのため、自ら学び続けるための「自律的学習力」が必要です。
主体性をもって周りを巻き込む力
DX推進は、これまでのビジネスモデルや会社の風土・体制を抜本的に変革することもあるため、多くの人を巻き込む必要があります。DX人材には、主体性を持ってプロジェクトを推進していくことが求められます。
失敗を恐れず挑戦する力
DX推進は、これまでにないビジネスモデルや新規事業に挑戦するため、失敗してしまうケースが多くあります。しかし、失敗を恐れて挑戦しなければDX改革は進みません。失敗を恐れずに新しいことにチャレンジしていく力が必要といえるでしょう。
不確実な未来への創造力
予測の難しい不確実な未来に対応するためにも、DX人材は「取り組むべき領域を自ら定める」「新しい分野への取り組みに積極的になる」といった未来への創造力が必要です。 自分自身で在りたい未来を描き、未知の事柄にも積極的に挑戦するマインドセットを身につけましょう。
臨機応変/柔軟な対応力
DX人材は、計画通りにマネジメントが進まない場合でも臨機応変に対応できる柔軟性が求められます。当初の計画にこだわりすぎず、外部の状況変化を踏まえた柔軟な意思決定ができる能力が重要です。
モチベーション/意味づけする力
DXを進めるうえで、「そもそもなぜDXを進める必要があるのか?」という問いが常に重要です。
企業レベルでの意思決定に携わることもあるDX人材は、課題に取り組みたいと自分自身で考えるモチベーションが何よりも大切です。DXに自分自身で意味付けを行い、自分の言葉で必要性を説明できるような人材を育成しましょう。
いざというときの自身の突破力
重要な意思決定や業務プロセスの改革を行うといったリーダーシップが求められる場面が多いのがDX人材の特徴です。困難な状況に陥ったときでも諦めず、さまざまな方法で解決を模索する「突破力」もDX人材に必要なマインドセットの一つです。
DX人材に必要なマインドの詳細は以下の記事をご覧ください。
『DX人材に求められるマインドとそのレベル』
DX人材を確保する方法
DX推進が企業にとって重要であることやDX人材は多くのスキルやマインドを必要とすることを解説してきましたが、DX人材を企業が確保するにはどうしたら良いのでしょうか。
ここからは、DX人材を確保する方法として、中途採用などの外部からの調達や社内での人材育成など4つの方法を紹介します。
新入社員をDX人材として育成する
DX人材を確保するためには、新入社員をDX人材として育成する方法があります。
新入社員教育の一環としてDX教育を行うことで、各職場に配属された新入社員がDX推進の担い手となってくれる可能性があります。
毎年の新入社員にDX教育を継続して行うことで、徐々に若手社員を中心にデジタルリテラシーの高い社員が増えていくでしょう。
一方で、新入社員は既存のビジネスを理解していないケースも多いため、できることが限られ、既存社員の協力を得られないとDX推進が進みにくいというデメリットもあります。
アルーでは、「新入社員向けのDX入門研修」をご用意しております。DX基礎知識や考え方を学ぶだけでなく、自社のビジネスを理解した上でDXを推進することの重要性も学べる研修になっていますので、新入社員をDX人材として育成する際におすすめの研修です。
DX人材の育成についての詳細は以下の記事をご覧ください。
『DX人材の育成ステップとポイントをわかりやすく解説【育成事例あり】』
▼DX人材育成研修についての資料はこちらです。
▼こちらのページでもご覧いただけます。
研修を行い既存社員をリスキリングする
DX人材を確保するためには、既存社員をリスキリングする方法があります。
ビジネスへの理解が深い既存社員をリスキリングすることで、自社に合ったDX推進を進められる可能性が高まります。
システム部門の社員だけでDXを推進するには限界があるため、現場の社員に対してもリスキリングを行うことが大切です。
現場社員のリスキリングによって、実際のビジネスに即したDX推進や身近な業務効率化などが推進できるようになります。
また、ビジネスデザイナーやプロジェクトマネージャーは、社内のビジネスや人脈に精通した人材が望ましいとされており、外部からの調達が難しい職種でもあります。
既存社員のリスキリングは、外部調達のような即効性はありませんが、長期的に見るとメリットの大きい方法といえるでしょう。
リスキリングには様々な方法がありますが、なかでも研修によるリスキリングが高い効果を得られます。
リスキリングを成功させるコツについては以下のページをご覧ください。
『【事例あり】リスキリングとは?何を学ぶかや導入の際のポイントを解説』
DX研修の内容やコツについて詳しくは、以下のページをご参照ください。
『DX研修とは?研修内容や研修の選び方を徹底解説』
▼現場社員のDX人材化に役立つ研修については、以下の資料で確認いただけます。
▼こちらのページでも詳細をご覧いただけます。
DX人材を中途採用する
DX人材を確保するためには、専門スキルを持った人材を中途採用する方法もあります。
特に人工知能(AI)やブロックチェーンといった先端技術の専門家を自社で育てるのは限界があるケースも多く、中途採用が効率的な方法です。
一方で、IT人材の獲得競争は年々厳しくなっているため、既存の制度にとらわれない柔軟な雇用形態や待遇を用意しなければ採用できない可能性もあります。
DX人材に選ばれる魅力的な職場環境の準備も、取り組むべき大切な課題といえるでしょう。
DX人材を採用するコツについて詳しくは以下のページをご参照ください。
『DX人材を採用するポイントとは?求めるスキルや採用市場の状況を解説』
外部コンサルタントに委託する
DX人材を確保するためには、外部コンサルタントに委託する方法もあります。
社内の育成や採用には時間がかかるケースも多いため、一刻も早くDX推進を進めたい場合や先端技術を効率的に取り入れたい場合におすすめです。
一方で、外部コンサルタントに委託すると、自社ビジネスを理解してもらうことに時間がかかる、社内にDX推進のノウハウが蓄積されにくい、現場社員の理解や協力が得られにくいといったデメリットもあります。
DX人材の育成に成功した事例
アルーでは、多くの企業のDX人材育成に携わってきました。ここでは、3つのDX人材育成の成功事例をご紹介します。
メーカーA社で「管理職層向けのDX研修」を実施した事例
メーカーA社で実施した、管理職層向けのDX研修事例をご紹介します。
A社では、管理職層のDXに関する知識やスキル、認識が古く、DX推進が進まないという課題がありました。そこで、管理職に対し、DXに関する知識や認識を身につけ、自分ごと化することを目的とした研修を実施しました。
事前課題として、定量思考や仮説思考など、DX推進に向けて必要となる基礎知識を資料で読み込んでもらいます。また、世の中にあるITツールやサービスを調べてもらい、世の中にDXがどれほど浸透してきているかを実感できるように工夫しました。
研修当日には事前課題としていた定量思考や仮説思考について講義と演習を通じて学びます。また、実際の現場でどのような課題があるかを洗い出し、ITツールやサービスを通じて解決できるかどうか検討してもらいました。
知識習得と現場の課題解決を両方行うことで、管理職のDXに対する「自分ごと化」を促進できました。
管理職向けDX研修プログラムについて詳しくは以下のページをご覧ください。
DX入門研修 管理職向け
▼資料ダウンロードはこちら
インフラ業界B社で「DXリテラシー習得研修」を実施した事例
インフラ業界B社にご提供した選択型研修の事例です。
B社では既にDX人材育成に取り組んでおり、DX推進専門部署や各部門のDX推進担当への育成は成功していました。しかし、それ以外の多くの社員にはDXに関する知識やスキルがなく、全社的なDX推進の妨げとなっていました。
そこで、全社員を対象に、手挙げ式の研修としてDXリテラシー研修を提供しました。
DXリテラシー研修では、DXの必要性や基本的な流れ、必要なスキルを習得してもらった後、DXのリスクやデジタルツール・技術についても学んでもらいました。
まずはDXへのアレルギーをなくすことを目的に、基礎から丁寧に学べるプログラムになっています。
メーカーC社で「デジタル企画人材育成」を実施した事例
メーカーC社で実施したデジタル企画人材育成の事例をご紹介します。
デジタル企画人材とは、デジタル技術を活用した商品・サービスの開発や業務プロセスの革新などのテーマについて、中核となって推進していける人材のことを指します。
C社では、各部門が場当たり的にDXを推進しており、組織やビジネスモデルに対する真の改革に至っていないことが課題でした。そこで、各部門の中堅社員・管理職社員を対象に、自部門のビジネスモデルを踏まえたうえで、DX推進をどのように行なうべきか検討するワークショップを開催しました。
ワークショップでは、ビジネスモデルキャンバスを用いて自部門の変革店を見つけ、新たなモデルを描くことに挑戦しました。その後、描いた未来に向けて自身が始めたいことをアクションプランとして発表してもらい、職場での実践にもつなげています。
その他のDX研修事例については下記ページをご参照ください。
『DX人材の育成事例を6つご紹介!育成が進まない原因と推進の3つの段階を解説』
DX人材育成ならアルーにお任せください
「DX研修をしても職場のデジタル改革が進まない」「社員の多くがデジタルに苦手意識を持っており、学習意欲が低い」「研修で学んだ知識が定着せず、デジタル活用ができる状態まで到達しない」といったお悩みを持つ経営者・人事担当者の方は多いのではないでしょうか。
アルー株式会社のDX・デジタル活用人材研修は以下のような特徴を持ち、DX人材育成に悩む経営者・人事担当者の方を全力でサポートします。
- 現場社員のデジタル化に特化した研修プログラム
- ヤフー株式会社などIT企業との共同開発プログラム
- 中長期的な研修プログラムで知識の定着を促進
▼詳しい資料はこちらからダウンロードできます。
DX研修を検討している場合やDX人材育成について不安がある企業様は、ぜひアルー株式会社にご連絡ください。
▼アルーのDX・デジタル活用人材研修については、以下のページで確認いただけます。
豊富な経験をもとに、貴社のDX人材育成の課題解決をサポートいたします。