デジタル人材とは?求められるスキルや育成方法をわかりやすく解説
デジタル技術の進展が著しい現代社会において、デジタル人材の確保と育成は、企業にとって重要課題となっています。AIやIoTなどの先端技術を駆使しながらイノベーションを起こすためには、知識と経験を兼ね備えたデジタル人材が必要です。本記事では、デジタル人材の特徴、必要なスキル・マインド、育成方法を紹介します。
▼デジタル人材育成におすすめの研修3選
目次[非表示]
- 1.デジタル人材とは?
- 2.日本におけるデジタル人材の状況
- 3.デジタル人材に必要なスキル
- 4.デジタル人材に必要なマインド
- 5.デジタル人材を育成する方法
- 6.まとめ
デジタル人材とは?
デジタル人材とは、デジタル技術を駆使して企業や社会のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していける人のことです。デジタル技術の進化が加速する中、企業はビジネスモデルの転換や業務プロセスの見直しを迫られています。そこで注目されているのが、AIやビッグデータ、ブロックチェーン、AR・VR、IoT、5Gなどの先端技術を活用できるデジタル人材の存在です。
デジタル人材は、これらの先端技術を業務に取り入れることで、生産性の向上や新たな価値創出を実現できます。単に技術を使いこなすだけでなく、デジタル時代にふさわしいアジャイル性や創造性、データ分析力なども重要なスキルとされています。
デジタル人材とIT人材との違い
IT人材は、中小企業庁が発表した「中小企業白書(2016年版)」によると、「ITの活用や情報システムの導入を企画、推進、運用する人材」とされています。つまり、ITツールの運用やシステム導入などが主な役割です。
一方、デジタル人材は、単にITスキルを持っているだけではなく、デジタル化によって企業に新しい価値を提供できる人材です。デジタル人材には、高度な専門スキルに加え、関係者を巻き込んでプロジェクトを遂行するためのプロジェクトマネジメント力やビジネススキルなども必要となります。
両者の違いをまとめると、下記の通りです。
項目 |
IT人材 |
デジタル人材 |
定義 |
ITの活用や情報システムの導入を企画、推進、運用する人材 |
デジタル化によって企業に新しい価値を提供できる人材 |
主な役割 |
ITツールの運用やシステム導入 |
デジタル化を活用した企業変革の推進、新しい価値創出 |
必要なスキル |
ITスキル |
高度な技術スキル、プロジェクトマネジメント力、ビジネススキル |
特徴 |
ITツールの運用に特化 |
技術スキルとビジネススキルの両方が必要 |
IT人材の詳細については、下記の記事で詳しく解説しています。
『IT人材とは?人材不足が起こす影響や、採用・育成方法をわかりやすく解説』
デジタル人材とDX人材の違い
DX人材とはデジタル技術を活用して、企業のDXへの取り組みをリードかつ実行していく人材のことを指します。変化の激しい現代において、DX人材はDX推進のための知識やスキルを駆使し、組織やビジネスに変革をもたらすことを求められます。
一方でデジタル人材はデジタル技術やITツールに精通し、それらを活かして業務を遂行します。DX人材はリーダーシップを発揮しながら企業全体のDXを促進する存在であるのに対し、デジタル人材はデジタル技術に焦点を当て、プロジェクトの実行をバックアップします。両者は役割と目的が異なると言えます。
DX人材の詳細については、下記の記事で詳しく解説しています。
デジタルスキル標準とは
デジタルスキル標準はDXリテラシー標準とDX推進スキル標準の2種類から構成されています。DXリテラシー標準ではすべてのビジネスパーソンが身につけることを推奨される、DXに関する知識・スキル・マインドの指針が、DX推進スキル標準ではDXを推進する人材の役割や習得すべき知識・スキルが示されています。
DXリテラシー標準の詳細については、下記の記事で詳しく解説しています。
DXリテラシー標準とは?ねらいや効果、活用方法、標準に沿った教育方法を解説
日本におけるデジタル人材の状況
総務省の調査によると、58%の日本企業で、デジタル人材不足を感じているというデータが発表されました。また、経済産業省の予測では、IT人材についても継続して人材不足が続くと見られています。
デジタル人材が不足する理由として、多くの企業が「採用する体制が整っていない」「育成する体制が整っていない」「育成する方法がわからない」という点を挙げています。
今後もデジタル人材の不足は続くと予想されるため、企業はこの状況に真剣に取り組む必要があるでしょう。
この状況を改善するためには、デジタル人材の採用体制を整備するだけではなく、社員のデジタルスキルを育成する体制を整備することが重要です。
出典:総務省|令和4年版 情報通信白書|データ集(第3章第8節)
出典:参考資料 (IT人材育成の状況等について)
デジタル人材に必要なスキル
デジタル人材に必要なスキルは、下記の3つです。
- ハードスキル
- ソフトスキル
- プロジェクトマネジメントスキル
ハードスキル
ハードスキルとは、デジタル分野における技術的な能力のことです。
具体的には、下記のようなスキルが挙げられます。
- プログラミング言語
- データベース設計・管理
- ネットワーク構築・運用
- AIや機械学習の理解と活用
- クラウドコンピューティングの知識
これらのハードスキルは、新しいサービスやシステムを構築したり、データを活用して価値を生み出したりする上で欠かせません。また、テクノロジーは日々進化を遂げているため、デジタル人材には最新の技術動向を常にキャッチアップし、スキルを磨き続ける姿勢が必要です。
ソフトスキル
ソフトスキルとは、デジタル化に伴う変化に柔軟に対応し、新しいビジネスモデルや価値を創出するための能力です。
デジタル人材には、ITの知識やスキルだけでなく、下記のようなソフトスキルが求められます。
能力 |
内容 |
コミュニケーションスキル |
プロジェクトメンバーや関係者との円滑な |
リーダーシップ |
ビジョンを示し、組織を方向付け、 |
問題解決能力 |
課題を論理的に分析し、創造的な解決策を見出す力 |
論理的思考力 |
複雑な過程を体系立てて捉え、 |
ソフトスキルは、デジタル技術を活用し、ビジネスの変革を主導するために必要です。ハードスキルに加えてソフトスキルを身につけることで、デジタル人材としての価値が高まります。
プロジェクトマネジメントスキル
プロジェクトマネジメントスキルは、デジタル人材に欠かせないスキルの一つです。
DXの取り組みが全社など広範囲に渡るほど、関係する部門やステークホルダーも増えてきます。そのため、あらゆるステークホルダーとコミュニケーションを取り、プロジェクトを進めていく必要があります。
プロジェクトを成功させるためには、関係者を巻き込みながら進行管理していくプロジェクトマネジメントスキルが必要です。
プロジェクトマネジメントスキルには、リーダーシップ、リスク管理、品質管理、スケジュール管理などが含まれます。
プロジェクトマネジメントスキルを身につけることで、プロジェクトを効果的に推進し、組織の目標達成に貢献できるでしょう。
プロジェクトマネジメントについては、下記のページで詳しく解説しております。
『【事例あり】プロジェクトマネジメントとは?代表的な手法・成功させるポイントを解説』
デジタル人材に必要なマインド
デジタル人材に求められるのは、スキルだけではありません。時代の変化に柔軟に対応し、新しい価値を生み出していくためには、マインドも重要です。
具体的には、下記のようなマインドが必要でしょう。
項目 |
内容 |
自律的学習力 |
常に最新の知識やスキルを身につける |
不確実な未来への創造力 |
未知の領域に果敢に挑戦し、新しいものを創造する |
臨機応変・柔軟な対応力 |
状況の変化に素早く対応し、適切な判断ができる |
社外や異種の巻き込み力 |
社内外の多様な人材を巻き込み、協働できる |
失敗したときの姿勢・思考 |
失敗を恐れずにチャレンジし続ける |
モチベーション・意味づけする力 |
デジタル化の目的を見失わず、自身の行動に意味を見出し続ける |
いざというときの自身の突破力 |
障壁に直面したときに、前に進む強い意志と行動力 |
このようなマインドを持つことで、デジタル化の推進やイノベーションの創出に貢献できるデジタル人材として活躍できるでしょう。
DX人材に求められるマインドについては、下記の記事で詳しく解説しています。
『DX人材に求められるマインドとそのレベル』
デジタル人材を育成する方法
デジタル人材を育成する方法は、下記の3つです。
- リスキリングを推進
- 配置転換
- 資格取得を支援
リスキリングを推進
デジタル人材を育成するためには、企業内でリスキリングを推進しましょう。
リスキリングとは、社員が新しい業務や職種に対応できるよう、職業能力の再開発や再教育を行うことです。
企業のDX戦略を実現するためには、社員一人ひとりが新しいデジタルスキルを身につける必要があります。そのため、リスキリングを通じて、デジタル分野の知識やスキルを再習得することが効果的です。
具体的には、企業内で研修プログラムを設け、デジタルリテラシー、データ分析力、プログラミングスキルなどの習得機会の提供が考えられます。社内に十分な知見がない場合は、外部の専門家に研修を依頼することも有効な方法です。また、eラーニングを導入すれば、時間・場所を問わずにスキル・知識を習得することも可能です。
アルーのeラーニングシステム、etudesについては下記で詳しく解説しています。
このようにリスキリングを推進することで、デジタル時代に必要なスキルセットを身につけ、企業のデジタル変革を支える人材として活躍できるでしょう。
リスキリングについては、下記の記事で詳しく解説しています。
『リスキリングとは?注目される理由や導入方法、注意点をわかりやすく解説』
配置転換
配置転換は、デジタル人材を育成する有効な手段の一つです。
研修で習得した知識やスキルが実務で活かせるように、適切な部署や業務に配置転換を行います。
例えば、データ分析の研修を受けた社員を、データ分析、デジタルマーケティングなどの業務ができる部署に配属することで、実践を通じてスキルを向上させられます。また、新しい領域の業務に従事することで、新たな知見が得られ、さらなる学習意欲が掻き立てられるでしょう。スキルマップを活用すればその社員に相応しい配置転換先を見つけやすくなります。
資格取得を支援
デジタル人材の育成には、デジタル技術に関する資格の取得支援が有効です。
具体的には、社員に対して教材購入費用や受験費用を負担することで、資格取得へのモチベーションを高められます。また、資格取得を人事評価に組み込むことで、社員のスキルアップへの意欲を、より一層引き出すことが期待できます。
デジタル技術に関連する資格には、以下のようなものがあります。
- デジタルトランスフォーメーション検定
- DX検定
- ITストラテジスト試験
- 情報処理安全確保支援士試験
- 基本・応用情報技術者試験
- データベーススペシャリスト試験
- プロジェクトマネージャ試験
- AI実装検定
- Python3 エンジニア認定基礎試験
- AWS認定
このように、デジタル人材に求められる資格取得を支援することで、社員の知識・スキルの向上を促進できます。
まとめ
本記事では、デジタル人材の特徴、必要なスキル・マインド、育成方法を紹介しました。
デジタル人材とは、単にITスキルを持つ人材ではなく、デジタル技術を活用して付加価値を生み出せる人のことです。
デジタル人材には、プログラミングなどのハードスキルに加え、課題発見力やコミュニケーション力などのソフトスキル、プロジェクトマネジメントスキルが求められます。また、変化に対する柔軟性や好奇心、主体性といったマインドも重要です。
DXの推進に伴い、デジタル人材への需要は、今後も高まる一方です。企業は、デジタル人材の外部採用、社内のリスキリングや配置転換、資格取得支援など、既存社員のデジタル人材化を図ることが重要となっています。
アルーでは、現場社員のデジタル化に特化した研修プログラムを用意しています。
アルーが提供するDX・デジタル活用人材研修では、デジタル人材に求められるソフトスキルやプロジェクトマネジメント力、マインドの習得が可能です。また、データ分析などの専門スキルについては、デジタル技術に精通した人材でなくてもつまづかないよう、初心者でも取り組みやすいプログラムを提供しています。
デジタル技術の進展が著しい現代社会において、デジタル人材の確保と育成は重要課題です。ぜひこの機会にアルーへご相談ください。
アルーのDX・デジタル活用人材研修は、以下のページからご覧ください。
DX・デジタル活用人材研修
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