最近の若者の「働き方に対する意識」とは?接し方や育成方法・事例も解説
新型コロナウイルス感染症拡大による働き方の変化や、20代・Z世代との価値観の違いに苦戦している上司や管理職の方は多いのではないでしょうか。
本記事では、最近の若者の働き方に対する意識を7つ紹介します。若手社員の育成方法や接し方のポイントについても触れているほか、若手社員の育成事例も3つ紹介しています。最近の若者の働き方に対する意識や接し方について知りたい方は、ぜひご活用ください。
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最近の若者の働き方に対する意識7つ
アルー株式会社では、2023年に新入社員へアンケートを実施しました。アンケートや研修を元に作成した「入社前意識調査と導入研修報告から見える、Z世代のリアルな傾向」のレポートでは、若者の仕事感や特徴を詳しく解説しています。
本章ではアンケートや研修から見えてきた、最近の若者の働き方に対する7つの意識を解説します。
参考:2023年度新入社員レポート
1)安定と堅実を好み、リスクを避ける
最近の若者は、安定と堅実を好んでリスクを避けるといった意識があります。実施したアンケートを見てみましょう。
社員1,000名以上の大企業内定者も、社員1,000名未満の企業内定者も「安定した環境で働きたい」「専門的なスキルを習得したい」という項目が上位となりました。
上記の結果は一つの会社で長く働きたいという志向に加えて、会社になにかあったときに自分の身が守れるスキルを手に入れておきたいといった、リスク回避の思考が強いと解釈できます。
また大企業内定者の場合、組織を動かすスケールの大きな仕事や、責任のある仕事がしたいと考える意向は、全体の25.1%と低い傾向です。一方で社員数1,000名以下の企業内定者は、41.1%と高い数字でした。
従業員規模によって若手社員の意識は異なるため、自社の若手社員がどのような働き方を望んでいるかを把握することが重要です。
2)一つの仕事で専門性を磨くスペシャリスト志向
一つの仕事で専門性を磨くスペシャリスト志向も、調査から見えてきた最近の若者の働き方に対する意識です。最近の若者は、一つの分野で高度な知識やスキルを身につけ、専門家としてキャリアを築くことに価値を見いだしています。
スペシャリスト志向の背景には、特定のスキルが求められる職業が増えていることや、その分野に特化した業務において、優れた結果を出せるといった考え方があります。自己成長や、専門的スキルを身につけた時の達成感を求める気持ちも影響しており、広く浅い知識よりも、特定分野で深い知識を追求する傾向です。
3)一つの会社で安定して長く勤めたい
一つの会社で安定して長く勤めたいと考える若者も、多い傾向です。
アンケートでは「今後のキャリアプランはどのようなものか」の問いに対して、社員1,000名以上の大企業内定者も、1,000名未満の企業内定者も「同じ会社で長く働きながらキャリアアップしたい」の項目が1位でした。
「キャリアアップしつつ将来的には独立したい」「転職をしながら複数の会社や業界にまたがってキャリアアップしたい」といった意向は下位であることから、強い安定志向が伺えます。
4)プライベートを大事にしたい
アルー株式会社の調査では、社員数1,000名以上の大企業内定者の51.5%が「仕事とプライベートのどちらも同じくらい大事にしたい」と回答しました。
一方、社員数1,000名未満の企業の内定者は意識が異なることが分かりました。「仕事とプライベートのどちらも同じくらい大事にしたい」と答えた割合は8.9%で、プライベートを重視する割合は低いという結果となったのです。若者だからといって、一概にプライベート重視とは限らないということがわかります。
近年では「職場がホワイトすぎるため退職する」といった若者も少なくありません。
ホワイト職場が原因で離職する理由は、変化や刺激がなく、自身の成長を感じられないことにあります。「最近の若者はプライベート重視だから、仕事はあまり振らないようにしよう」といった気遣いは逆効果になる可能性があります。一人ひとりに合わせた業務アサインや育成計画が必要です。
5)リーダーには調和・尊重・公正・公平を求める
リーダーには調和・尊重・公正・公平を求めるのも、最近の若者の働き方に対する意識です。
社員数に関わらず上位となった項目は共通しており、良好な人間関係を築き、個性を活かしメンバーの意見に耳を傾けてくれるリーダーが理想となりました。
昔ながらの口数が少なく「背中を見て学べ」というリーダーよりも、一人ひとりの個性を理解し、公平な判断を下してくれるリーダーが求められています。リーダーは日常的にメンバーとコミュニケーションを取り、メンバー自身の意志や意見を引き出すことが重要です。
管理職に必要なコミュニケーションスキルとはどういったものか、コツやコミュニケーション能力の身につけ方については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事『管理職に必要なコミュニケーションスキルとは|コツやスキルの身につけ方を解説』
6)先輩社員からはこまめな優しい助言がほしい
OJTトレーナー像の調査では「声をかけるまで仕事の確認や助言を待ってくれる」よりも「新入社員から声をかけなくても、こまめに仕事の確認や助言をしてくれる」が大幅に上回る結果となりました。
「厳しい言葉をかけてくれる」よりも「優しい言葉をかけてくれる」が上回っている結果を合わせると、最近の若者は「自分から声をかけなくても、優しく助言してくれる先輩社員」を求めているということがわかります
図表16では少々グラフの様相が異なり、社員数1,000名未満の企業内定者に宛てた調査では「新入社員なりのやり方・考え方や試行錯誤を尊重してくれる」が「OJTトレーナー自身の成功体験やノウハウを積極的に教えてくれる」を上回る結果となりました。
OJTトレーナーは、若手社員一人ひとりの性格や求めていることを理解し、適切に行動することが求められます。
効果的なOJTの方法や実施期間、意味のないOJTにしないためのポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事『OJTとは?OFF-JTとの違いや効果的な方法をわかりやすく解説』
7)キャリアアップしたいが、具体的なイメージがもてない
キャリアアップはしたいと考えているものの、具体的なイメージを持っていない点も、最近の若者の働き方に関する意識です。
今後のキャリアプランについて尋ねた項目では「キャリアアップしたいと思うが具体的なイメージがない」と答えた若者が、社員数1,000名以上の大企業内定者では17.0%、社員数1,000名以下の企業内定者では22.6%を占める結果となりました。
キャリアアップとは仕事の能力や専門性を磨き、社会的に市場価値の高い人材になることを指します。今回は、就職を予定している学生に対しての調査であるため、具体的なイメージが持てないのは仕方のないことかもしれません。
しかし理想の自分を想像し具体的なイメージを持てば、仕事へのモチベーションも高まります。メンバーにキャリアアップについて具体的なイメージを持ってもらうためには、上司やリーダーが部下に寄り添いながら自己実現をサポートすることも大切です。
部下のキャリア形成を支援するために管理職と人事部が行うべきことは、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
関連記事『部下のキャリア形成を支援する際に管理職と人事部が行うべきこと 』
最近の若者の特徴については、以下の記事でもまとめています。
関連記事『【2024最新】最近の若者の特徴を企業112社のデータから読み解く』
若手社員の育成方法と接し方のポイント
若手社員の育成方法と接し方のポイントは、以下のとおりです。
- やり方を教えてから自分で考えさせる
- 社員の価値観を尊重する
- 個人別の育成方法を考える
- 教育担当者や管理職は傾聴スキルを身につける
- 心理的安全性を高める
- 成長に合わせた研修やOJTを行う
調査から見えてきたとおり、最近の若者は先輩社員から「こまめな優しい助言が欲しい」と考える傾向にあります。初めから考えさせて間違った際に指摘するのではなく、業務方法をしっかりと伝えてから自分で考えさせる方法を取るとよいでしょう。
また最近の若者に限らず、どの社員にも成長に合わせた研修やOJTは必要です。育成計画をきちんと立て、進捗を確認しながら育成していきましょう。
XやInstagramをはじめとするSNSで発信に慣れ親しんだ最近の若者は、自分の発信した考え方を他者に認めてほしいという思いも強い傾向です。若手社員の教育担当者や管理職は傾聴スキルを身につけ、頼られる上司になっていきましょう。
同時に心理的安全性を高め、若手社員自身が思ったことを自由に発信できる環境づくりも大切です。
以下の記事ではZ世代の特徴から見る教育方法や接し方について詳しく述べているため、ぜひ参考にしてください。
関連記事『Z世代の特徴から見る教育方法。接し方のポイント 』
若手社員の育成事例
若手社員の育成事例として、以下の3社を見ていきましょう。
順番に紹介します。
伊藤忠商事株式会社 新入社員研修事例
最初に紹介する若手社員の育成事例は、伊藤忠商事株式会社です。伊藤忠商事株式会社では、新入社員に対して3週間の導入研修を実施し、アルー株式会社は研修期間のうち4日間を担当しています。
2023年の研修では、新入社員の課題を抽出し、求められるスキルインプットの前に、学生から社会人への変化に伴うマインドチェンジを図りました。顧客や社内の同僚からどう見られるかを踏まえ、社会人に必要な心構えを自分の言葉で考えてもらうよう研修を行っていきました。
4日間の研修を通じて、社会人としての基本動作の徹底だけでなく相手の期待に応えて信頼を得られる土台作りができ、自らの志を新たにすることが達成できたと、お喜びの声をいただいています。
第一生命保険株式会社 新入社員研修事例
次に紹介する若手社員の育成事例は、第一生命保険株式会社です。第一生命保険株式会社では新入社員研修を全2週間行っており、アルー株式会社はそのうち2. 5日間のオンライン研修を提供しました。
2023年の研修では「つながり」「たくましさ」「しなやかさ」が目的として設定され、アルー株式会社は社会人として求められるマインドセットなどのインプット部分の研修を行いました。自分から発信して周囲とつながり、何度でも挑戦し続ける人財となるほか、率直にフィードバックし合える人間関係の構築が目的です。
研修の最終日には、発言のなかった社員が手を挙げて発言するようになったり、目標設定と振り返りの習慣を身につけてもらえたりと、効果を発揮しました。
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森永製菓株式会社 新入社員研修事例
最後に紹介する若手社員の育成事例は、森永製菓株式会社です。アルー株式会社は「仕事の進め方」および森永製菓株式会社について深く知ってもらう「MSワーク」の研修担当をしています。
MSワークは「ビジネスパーソンの基礎習得」および「会社理解」「コミュニケーションとチームワークの重要性」を目的とした研修です。新入社員研修の核となるプログラムで、森永製菓株式会社がこれからの時代にどう対応していくか考えてもらいます。
MSワークは、森永製菓株式会社で10年も続いており、研修目的は達成できたと実感いただけています。新入社員が議論しあいチームとしてまとまっていくことで、他の社員も良い刺激を受けているようです。
▼事例資料ダウンロード
若手社員の育成に外部研修を利用するのも一つの手
若手社員の働き方に対する意識は、時代とともに変化し「今どきの若手社員とどのように接すればよいのかわからない」「自分の時代とは違う」と考える方もいるでしょう。せっかく採用した人材を、立派な戦力として育て上げたい気持ちはあるものの、どこまで注意してどのように育てればよいのか悩む方も少なくありません。
若手社員の育成に悩んだら、外部研修を利用するのも一つの方法です。内部研修と併せて外部研修を取り入れれば、より専門的な知識やスキルを習得できます。
アルー株式会社の若手社員研修は、自ら考えて行動できる、自立型人材へと若手社員を育てます。自己変容や業務・課題への取り組み、人や組織への関わり、ビジネススキルを習得し、時代に対応した人材へと育成していきましょう。
さまざまな業界の企業で、人材育成の課題解決パートナーとして選ばれているアルー株式会社の研修について詳しくは、以下のページで解説しています。サービス一覧や選ばれる理由、導入事例なども載っていますので、ぜひ参考にしてください。
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まとめ
最近の若者の働き方に対する意識は「リスクを避けて安定と堅実を求める」ことや「一つの仕事で専門性を磨くスペシャリスト志向」「プライベートを大事にしたい」など、時代とともに変化しています。企業の育成担当者においては「自分の志向と違って接しにくい」「どのように育成していけばよいか分からない」と思うこともあるでしょう。
若手社員の育成には、内部研修のみならず外部研修を取り入れるのも一つの手です。研修のスペシャリストが人材育成に関する悩みを可視化し、解決へと導きます。
アルー株式会社の若手社員の育成研修の詳細は、以下のページで詳しく解説していますので、興味のある方はぜひご覧ください。