テレワークでのコミュニケーションの課題5つと活性化のための工夫
コロナ禍や働き方改革の推進によって、テレワークが増えてきました。テレワークは通勤時間がないため、ワークライフバランスを整えやすい反面、コミュニケーション不足になりやすいデメリットもあります。
本記事では、テレワークにおけるコミュニケーションの課題や、コミュニケーションを活性化するための工夫について詳しく解説します。また、テレワークにおけるコミュニケーションの成功事例もあわせて紹介するので参考にしてください。
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テレワークの導入においては「コミュニケーション不足」が懸念されている
総務省の公表している情報通信白書によると、34.2%の企業がテレワークの導入にあたって社内のコミュニケーション不足や情報共有の難しさが課題になっていると回答しています。
出社して業務を行う場合は、他の社員と直接顔を合わせる機会が多く、何かあればすぐに上司に相談したり、業務を進めるうえで必要な情報をすぐに関係者間で共有できたりします。
しかし、テレワークでは同じ部署やチームでも常に顔を合わせて仕事をするわけではないため、コミュニケーションが不足がちになる点が大きな課題となっています。
特に対面でのコミュニケーションを重視している企業では、テレワークを導入してから、コミュニケーションの取り方に悩まされることもあります。テレワークへ切り替えてからコミュニケーションが取りづらくなり、不安を覚える社員が増えているのであれば、早急に対策を取らなければなりません。
参考:総務省|令和5年版 情報通信白書「テレワークの導入に当たり課題となった点」
コミュニケーション以外のテレワークの課題については、以下の記事でまとめています。
関連記事『テレワークの課題とは?解決策、スムーズな導入のポイントを解説』
テレワークでのコミュニケーションにおける課題5つ
テレワークの環境でコミュニケーションを取るために、ZoomやGoogle Meetなどのビデオ会議ツールや、Slack、Microsoft Teamsなどのチャットツールを利用している企業は多いです。しかしITツールを利用しても、テレワークにおけるコミュニケーションの課題がすべて解決するわけではありません。本章では、テレワークでのコミュニケーションにおける課題を5つ解説します。
1)コミュニケーション自体が不足する
出社して業務を行う場合は、業務に必要な会話だけではなく、ときには席の近い社員と雑談やランチをしたり、終業時間が一緒のときは飲みに行ったりなど、社員同士のコミュニケーションが自然と生まれます。
しかし、テレワークではITツールを使ってミーティングややり取りを行う必要があるため、気軽な雑談の機会が減ってしまいます。またITツールでやり取りをする場合、対面のようにすぐに相手から返事がくるとは限りません。
出社していたときに無意識にできていたコミュニケーションも、テレワークでは意識して行わないと不足しがちです。
2)口頭での相談が気軽にできない
出社して勤務する場合は、ちょっとした質問や相談、確認事項などを気軽に周囲の社員や上司に話せます。しかしテレワークでは、口頭での相談が気軽にできません。
たとえば電話で話したい場合、相手が他のオンラインミーティング中ではないか確認してから電話をかける必要があります。メールで相談する場合は、文面の体裁を整えて送ったりオンラインミーティングも時間をすり合わせて設定したりしなければなりません。
出社していれば思い立ったときにすぐに会話して解決できたことも、テレワークになると段取りを整えなければならず負担に感じる社員もいます。口頭の相談のハードルが上がると、問題解決までに時間がかかってしまうこともあります。
3)テキスト中心のやり取りだと誤解が生じやすい
テレワークになると、どうしてもメールやチャットなどテキスト上でのやり取りが増えます。対面で話をするときは、相手の声のトーンや表情なども含めてコミュニケーションが取れますが、テキストだけのやり取りの場合は細かいニュアンスが伝わらないため、お互いの認識に齟齬がでることもあります。
対面のコミュニケーションを中心にしている企業の場合は、テレワークのテキストによるコミュニケーションに慣れないと感じる社員も多いでしょう。
相手の意図がわかりにくいと、お互いに気を遣ってコミュニケーションを取らなければならず、やり取りにも緊張感が生まれます。
4)雑談が少なくなり業務だけのやり取りになってしまう
テレワークの場合、社員がそれぞれの自宅で業務にあたるため、社員同士のやり取りは業務に関することだけになりやすい点も課題です。
出社して業務を行うと、業務に必要な会話以外にも隣の席や同じ部内で気軽に話しかけたり雑談したりできます。しかし、テレワークでは端末を使って一人で仕事をするため、仕事中の雑談が対面と比較すると格段に減ってしまうでしょう。
このように、雑談がなくなるとコミュニケーションが不足して、相互理解や連携も難しくなる傾向があります。
5)社員が孤独を感じやすくなる
テレワークでコミュニケーションが不足すると、社員が孤独を感じやすくなるリスクも高まります。メールや電話、オンラインミーティングなどでは、悩みが生じて相談しようとしてもコミュニケーションにひと手間かけなければいけないため、なかなか打ち明けられなくなってしまう社員もいるでしょう。
気軽な相談がしにくいと、社員は孤独や不安を感じて離職につながることも考えられます。自宅でコミュニケーションが少ないまま一人で仕事をしなければいけないテレワークの環境は、社員によっては大きなストレスになる場合もあります。
テレワークでのコミュニケーションを活性化させるための工夫6つ
テレワークのコミュニケーションを活性化させるためには、次のようなことを行うとよいでしょう。
- 定期的なミーティングを設定する
- コミュニケーションのルールを決める
- ローコンテクストなコミュニケーションを行う
- 業務状況を可視化する
- 雑談する機会を積極的に設ける
- テレワーク環境下でのコミュニケーション方法を研修で伝える
それぞれ詳しく解説します。
1)定期的なミーティングを設定する
社員との定期的なミーティングを設定しましょう。チームや部署全体の定例のミーティングはもちろんですが、上司と部下の1on1ミーティングも定期的な実施が望ましいです。
1on1ミーティングは、業務上の悩みや相談などだけではなく、プライベートの話題なども話せる気軽なミーティングです。そのため、部下は上司へ、内容に関係なくフラットな相談ができます。
テレワークでコミュニケーションに手間がかかり雑談の機会も減る中で、1on1ミーティングを行えば、社員が話しやすい機会を提供できます。また1on1ミーティングによって、上司は部下が何を考えているのかを把握しやすくなるでしょう。
1on1ミーティングの進め方について詳しくは以下のページをご参照ください。
『1on1とは?話すことの例や意味がないと言われないための進め方』
2)コミュニケーションのルールを決める
ITツールを使ったコミュニケーションのルールを決めましょう。やり取りが必要になったときだけオンラインミーティングやチャットを使うのではなく、あらかじめルールを決めておけばテレワークでも自然とやり取りが日常的に行えるようになります。
たとえば日報を毎日チャットで提出する、トラブルが生じた際はすぐに上司へチャットするなど、業務をスムーズに進行させるためのルールを周知しておきましょう。
また、オンライン会議では顔を映すようにすると相手の表情がわかるため、コミュニケーションがスムーズになります。
3)ローコンテクストなコミュニケーションを行う
テレワークでは、ローコンテクストなコミュニケーションを行いましょう。ローコンテクストとは、自身の考えや意思を相手に明確に伝えることを重視するコミュニケーション手法です。反対語は「ハイコンテクスト」で、敢えて明確な表現を避け、お互いに「察する」ことでコミュニケーションを取ります。
もともと日本人はハイコンテクストの文化で、直接的な表現よりもあいまいな表現を好みます。すべてを話さずとも、物事の真意を察したり察してもらったりして生きてきました。
テレワークはコミュニケーションが薄くなりやすく、相手の希望や気持ちを察することが難しい環境です。「あれやっておいて」のような曖昧な指示ではなく、5W2Hを明示して指示したり、依頼した内容を相手が理解できたかを確認したりしながら、コミュニケーションを取るとよいでしょう。
4)業務状況を可視化する
業務の進捗状況を可視化しましょう。コミュニケーションが不足するとそれぞれの社員が今何をしているのか把握しづらくなります。同じ室内で業務にあたっているわけではないからこそ、メンバーのスケジュールやタスクなどをそれぞれがひと目で分かるよう共有しておきましょう。
ITツールを活用し、カレンダーを共有したりプロジェクトごとにチャットやチャンネルをつくって情報を共有したりします。
同じ部内やチーム内の業務状況が把握できれば、相手のスケジュールに配慮して気を使う必要がなく、お互いに気軽に声がけやサポートができるようになります。
5)雑談する機会を積極的に設ける
テレワークであっても、雑談できる機会を積極的に設けましょう。一人で仕事をしていても、雑談が気軽にできれば孤独を感じにくく、コミュニケーションが取りやすくなります。
たとえば、定期的にオンラインのランチミーティングを開催してもよいでしょう。業務に関することではなく、業務以外の話題を持ち寄って交流します。チャットツールに、雑談専用のチャンネルを作って、誰でも気軽に雑談やプライベートな話題を共有できる場を設けるのもおすすめです。
注意点として、公私が区別できるよう時間のメリハリをつけることが大切です。できれば、時間を決めて行うとよいでしょう。「◯時から10分間雑談タイム」などと、あらかじめ区切ってルール化しておくと安心です。
6)テレワーク環境下でのコミュニケーション方法を研修で伝える
テレワークでのコミュニケーションの取り方を、研修で伝えるのもおすすめです。研修は、テレワークを導入する前やテレワークでコミュニケーションが不足していると感じたときに行いましょう。
研修では、テレワークで用いるITツールの使い方やコミュニケーションの取り方などを伝えます。管理職向けには、テレワーク環境下における部下のマネジメント方法などをテーマにするとよいでしょう。
コミュニケーション方法の研修を実施することで、社員同士の交流の促進にもつながります。
テレワークの課題解決ならアルーにお任せください
アルー株式会社は、テレワークで発生するコミュニケーションの課題を人材育成、研修の観点から解決します。
たとえば、テレワーク下のコミュニケーション手法として有効な1on1ミーティングのコツを学ぶ「1on1ミーティングの基本」研修や、オンラインでできるチームビルディング研修などを用意しています。
オンライン研修も、多数の実績がございます。テレワークのお悩みをフルサポートしますので、お気軽にご相談ください。
「テレワーク先駆者百選」総務大臣賞受賞したアルーのテレワーク事例
アルー株式会社でも、2017年から限定的に在宅勤務制度を導入しています。令和4年度には、総務省が推進しているテレワーク先駆者百選において、十分な実績を持つ企業として「総務大臣賞」を受賞しました。
テレワーク導入当初は、社員から「聞きたいことが、聞きたいときに聞けない」「誰に質問すればよいのか分からない」との声が上がっていました。
そこで、会議時のチェックインタイムの設置、管理職のコミュニケーション改善、ポータルサイト・学びのプラットフォーム・質問サイトの改善などを行いました。新規入社者向けのチャットルームの設置や働きすぎへの抑制などのさまざまな取り組みを行ったことで、テレワークの満足度は80%以上となりました。
『人と人とのコミュニケーションを軸にした、アルーのテレワーク』
自社でもテレワークを導入し、評価を得ている当社の知見を盛り込んだ研修をご提供します。
企業のテレワーク課題解決に効果的なアルーの研修
企業のテレワークの課題解決に効果的な、アルーの研修をご紹介します。
新入社員向けテレワーク対応力強化研修
新入社員がオンラインと対面、どちらにも対応できる社会人としての心構えと行動を学ぶ研修です。事前学習で自己学習可能な範囲のインプットを行ってから、研修や現場で実践を主軸にビジネスマナーの習得を行います。
また、テレワークでもプロとして相手の期待に応えられるような仕事の進め方を学び、SNSを活用したホウレンソウなどオンラインでの仕事の進め方もレクチャーします。さらに、業務に活用できるロジカルシンキングのスキルに関する冊子を配布し、現場に出てからもロジカルシンキングを意識できるような内容にしました。
受講者からは「ロジカルシンキングについて自分が苦手な部分が浮き彫りになり、漠然とできなかったことに対し、どこが問題なのか明確になった」といった声も頂いています。
管理職向けテレワーク下でのマネジメント力強化研修
新たにリモート会議制度を導入することにした企業が、管理職がいない状態でも組織運営ができ、成果向上に迎える状態が作れるようになるための研修プログラムです。リモートワークにおいて、管理職が適切な部下の育成方法やコミュニケーションスキルを習得できるようになっています。
部下との心理的安全性を担保するために「部下との接点機会の創出」「ローコンテクストコミュニケーション」を学べます。また、リモートコミュニケーションスキルや部下との判断軸を揃え、リモート会議においてのファシリテーションのコツなどについても学習可能です。
受講者の方からは「リモート環境に対して前向きに考え、対応出来るよう、また組織運営や効率的な業務遂行が出来るよう実践していきたいと思います」といった前向きな声も聞かれました。
まとめ
テレワークには企業・社員ともにさまざまなメリットがありますが、対面で業務を行わない分、コミュニケーション不足に陥りやすいデメリットがあります。上司が部下を管理しづらく、また社員も誰にいつ相談してよいのか分からず孤独を感じやすい環境です。
テレワークにおけるコミュニケーションのルールを決め、定期的なミーティングを行ってコミュニケーションを活性化させましょう。新入社員や管理職向けに研修を行うことも効果的です。