-貴社の事業内容と部署の役割を教えてください
小林様(以下、敬称略):当社は1899年に菓子製造業として創業し、現在は菓子、冷菓、健康食品の製造、販売をしています。2021年度より、長期経営計画「2030経営計画」をスタートし、2030年の目指す姿として『森永製菓グループは、2030年にウェルネスカンパニーへ生まれ変わります。』というアグレッシブなビジョンを掲げています。
人事部は、2030ビジョンに向けて「環境変化に対応できる人材を育成すること」「キャリア自律して働ける社員を支援すること」「働きがいのある仕組みを作ること」を役割として求められています。
その中で私は、人材開発グループのマネジャーとして研修を企画、運営しています。社員のキャリア開発を進め、強くて柔軟な組織を作ることを意識しています。
課題・背景
「ビジネスパーソンの基礎習得」「会社理解」「コミュニケーションとチームワークの重要性」を目的とした新入社員研修
-新入社員研修によって達成したい目的は何ですか?
小林:新入社員研修の目的は3つあります。1つ目は「ビジネスパーソンの基礎を習得すること」、2つ目は「森永製菓がどんな会社か知ること」、3つ目は「コミュニケーションとチームワークの重要性を理解すること」です。
新入社員研修の核を「MSワーク」としており、その準備段階としてビジネスパーソンの基礎を学んでもらいます。ビジネスパーソンの基礎を学んでもらった上で、MSワークに取り組み、森永製菓のスピリットを体験し、理解してもらう流れで行っています。またMSワークを通じて、コミュニケーションとチームワークの重要性を理解してもらおうと思いました。
加えて、新入社員が自己肯定感と自己効力感を持って社会人生活をスタートできるような設計にもしています。
近年、「何も分からないなりにチャレンジしよう」という意識をもった新入社員が少ないように思います。「うまくいかなかったらどうしよう」「周りに変な風に思われたらどうしよう」という思いが先に立ってしまうようです。新入社員研修の中でも、配属後でも同じ課題があります。新入社員には、自信をもって一歩踏み出す体験を得てほしいですね。
だからといって甘い言葉をかけるという訳ではなく、元から持っている力強さを引き出し、強みに気づいてもらうことを心掛けています。
-受講者にはどのような行動変容を期待していましたか?
小林:受講者たちには、自ら考え、提案して、研修を作り上げていくような自律的な行動を期待していました。新入社員研修を通じて、「自分が価値を与える側になるのだ」という意識を持ってほしいです。2030ビジョンに向けてウェルネスカンパニーへ生まれ変わるために、社員1人1人が自律して変わっていくという意識を研修で与えていきたいと考えています。
実行施策
「仕事の進め方研修」から「MSワーク」という流れで仕事の基本を身につけ、実践する
-アルーにどのような研修を依頼しましたか?
小林:2つ依頼しており、一つは「仕事の進め方研修」、もう一つは「MSワーク」です。
「仕事の進め方研修」では、仕事で成果を出すために必要な心構えを学んでもらいました。G-PDCAサイクルや問いを立てる力、ロジカルコミュニケーションなどの社会人の基礎を身につけてもらいました。
その後に、「MSワーク」を実施しました。MSワークは、森永製菓が森永製菓たる所以を理解し、これからの時代にどう対応していくかを考えてもらうワークです。「MSワーク」の「MS」は「森永スピリット」を表しています。自分たちの言葉で森永スピリットを言語化するワークです。
具体的には4〜5人のチームに分かれて、1ヶ月半で情報収集や発表資料作りに取り組んでもらいました。中間レビューを経て最終発表に臨んでもらい、人事部が各チームの評価を行います。新入社員研修の1カ月の間に学んだことを活用しながら、プロフェッショナルとして成果物を出していくことが求められるワークです。
MSワークはアルーに10年以上実施してもらっています。弊社の新入社員研修の核となるプログラムです。
-「MSワーク」の特徴を教えてください
小林:実際の仕事を一通り体験できる流れになっている点が特徴です。よい部分も悪い部分も体験できる流れになっています。テーマを決める時もチームで行いますので、色々な意見がぶつかり合います。反対意見も出てくる中で、意見の対立を乗り越えてチームとして団結することを体験できるのです。
また、「森永製菓とはなにか」という問いに対して、我々人事部に驚きを与えるようなアウトプットを出すのは並大抵のことではありません。相手に驚きを与えるようなアウトプットを出すまでのプロセスを体験する第一歩として、とてもよいワークだと考えています。
-アルーの新入社員研修の中で、特に効果的だったことは何ですか?
小林:アルーの講師や運営事務局のフォローが効果的でした。MSワークでは1カ月半の研修の途中に中間レビューを設けています。受講者が真剣に考えてきたことに対して「ここが良かった」「ここにまだ伸びしろがある」など、的確なアドバイスやフィードバックをしてもらいました。深い質問を投げかけたり、不十分な箇所を指摘したり、プロ目線でフィードバックをしてもらうことで、チームがさらにまとまっていきました。
なかには、中間レビューを経てそれまで考えてきたことをガラッと変えるチームもあります。予定調和にいかないというのも、それもまたよしと考えています。
また、新入社員研修の初期に「仕事の進め方研修」を実施し、学んだことをMSワークで活用できる流れになっていることが効果的でした。
仕事の基本は、ゴールを見据えて、相手が納得できる価値を提供することです。ゴールを見据えるプロセスとしてPDCAサイクルを活用してもらいたいと考えています。「仕事の進め方研修」で知識として学ぶだけでなく、MSワークを通じて学んだことを実体験してもらえることがこの研修の良さです。MSワークですぐにトライできる環境を提供できていることが、有機的に機能していると思います。
成果
10年以上続く「MSワーク」が森永製菓の共通体験になっている
-今回の新入社員研修を実施してみての所感を教えてください、
小林:MSワークは、当社の新入社員研修の核となるプログラムとして機能しています。長年担当してくれている講師が、一気通貫した研修の進行や途中フォローをしてくれて、安定した素晴らしいファシリテーションをしてくれていると思います。
-目的としていた3つの育成方針は達成できましたか?
小林:今回の新入社員研修で目的としていた「ビジネスパーソンの基礎を習得すること」「森永製菓がどんな会社か知ること」「コミュニケーションとチームワークの重要性を認識すること」の3つの育成方針は、達成に近づいていると感じています。MSワークのプロセスや最終発表会を経ての実感です。
MSワークでは、最初はチーム内で言いたいことをなかなか言えず、議論が深まっていかないチームが多く見られました。それが途中から意見の対立を恐れず議論し合うようになっていき、最終的には1つのチームとしてまとまって最終発表してくれました。チームとしての成長を感じますね。
最終発表の内容を基に優勝チームを決めるのですが、その結果に関わらず、どのチームも達成感を味わってもらえたと思います。新入社員研修を通じて、1つのものを成し遂げたという感覚を持ってもらえたことは大きな変化でした。
-受講者以外の変化はありましたか?
小林:MSワークでの最終発表資料をイントラネットで公開しており、それを見た先輩社員が自分たちの発表と比較して「負けていられない」と感じ、いい刺激を受けているようです。
また、このMSワークは10年以上実施しているので、先輩社員もMSワークで「こんな苦労をした」「こんなことを学んだ」ということを同じ目線で共感することができます。1つの共通言語や共通体験があることは大きいと感じています。
今後の取り組み
-新入社員の育成において、今後取り組んでいきたいことはありますか?
小林:MSワークは非常によく機能しているので、チームの組み合わせを変えるなどしてより新入社員の積極性を引き出す工夫をしたいと思います。
今年は慎重で様子を見るタイプの新入社員が多く、積極性や主体性を引き出すようなアプローチが必要だと感じました。来年以降、新入社員の傾向を把握し、新入社員のコミュニケーションの殻を破るような働きかけを意識して行っていきたいです。
また、研修がリスクフリーの場であることを受講者たちに意識してもらいたいです。失敗したくない気持ちがあると思いますが、研修はいろいろなことを試す場と考えてもらえるような働きかけをしていきたいと思っています。
新入社員には、分からないことに対して分からないなりにチャレンジしていってほしいと考えています。自分から「チャレンジしてみる」という経験を積めていないことが、自己肯定感や自己効力感の低さにつながっていると思います。1歩踏み出す経験を研修の中で体験してもらえるような支援をして、新入社員が元々持っている力強さを引き出し、自分の強みに気付いてもらい、主体的に行動してもらいたいです。
アルーを選んだ理由
-新入社員研修の研修会社の選定で重視していた点は、何でしたか?
小林:新入社員研修は1カ月~1カ月半という長い期間のプログラムになります。そのため、「核となるようなプログラムを置き、一気通貫で実施してくれること」を重視していました。何社か検討したときに、アルーの「森永スピリットを考えるワーク」がすごく良くて、当社のニーズにも合致していたためアルーを選びました。当時の担当者からは「森永製菓のことを熟知した上での提案だったことが感じられた」と聞いています。
MSワークの提案内容と当時の営業担当の熱意により、アルーの新入社員研修を実施することになりましたが、それが10年以上続いているということは、講師やアルーの研修事務局のきめ細やかさがあるからだとも感じています。また、営業担当も早い時期から準備をしてくれて、こちらの要望や問い合わせにも素早いレスポンスで対応してくれます。
この10年の中で、MSワークは毎年ブラッシュアップされています。当社の人事担当者以上に、アルーの営業担当が研修のことを考え、MSワークをよいものにしていこうと努力してくれています。
例えば最近ですと、コロナ禍でのオンライン研修に対応していただきました。柔軟に対応いただいたおかげで、オンラインでも効果は落ちなかったと思います。今ではオンラインと対面のハイブリッドで行っており、両方の良さを取り入れていて、アルーの対応の柔軟さをとても感じています。
実際の仕事をしていく上で、オンラインのコミュニケーションは今後も必要になります。オンラインのコミュニケーションの難しさを新入社員研修で体験してもらい、対面でのディスカッションの熱量をオンラインでもできるようになってほしいです。
-アルーは小林様にとってどのような存在でしょう。
小林:アルーは、当社の人材を自律的に育成していくための戦略的パートナーです。先回りした提案や素早いレスポンスで、一緒に研修を考えて作り上げてくれる存在だと思っています。研修プログラムやテキストが受講者のことを考えた作りになっており、持ち帰りやすい内容になっているところや、優秀な講師陣との繋がりがあるところが素晴らしいです。
当社からの少し無理な要望にも真摯に対応してくれ、一緒に研修を作り上げていくという意識を持ってもらっているところがありがたいです。
引き続き、アルーには研修後のフォローを期待しています。新入社員研修を通じて受講者がどのように行動変容していくかが大事だと考えていますので、受講者にとってよい気付きに繋がるようなフォローをお願いしたいです。
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アルー営業担当からの一言