IT人材とは?人材不足が起こす影響や、採用・育成方法をわかりやすく解説
デジタル化の波が企業を席巻する中、ITの専門知識を持つ人材が欠かせなくなっています。しかし、日本の企業では、IT人材の確保が大きな課題となっているのが実情です。
IT人材には、従来型のプログラマーやシステムエンジニアだけでなく、最先端のIT技術を駆使して企業の事業変革を推進できる「高度IT人材」や、AIやIoTなどの先端技術に精通した「先端IT人材」も含まれます。
近年、さまざまな業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが加速し、「デジタル人材」「DX人材」と呼ばれる高度なIT人材の需要が高まっているのです。
本記事では、IT人材の定義や種類、そして日本で深刻化するIT人材不足の背景や影響、企業ができる対策について解説します。ぜひ最後までご覧ください。
▼IT人材育成におすすめの研修
目次[非表示]
IT人材とは
IT人材とは、情報技術(IT:Information Technology)に関する知識や技術を有する人材のことを指します。
経済産業省は、2019年3月に発表した「IT 人材需給に関する調査 」において、IT人材には上記の図のような種類が存在するとしており、さらに扱えるスキルの種類やレベルに応じて、「従来型IT人材」「先端IT人材」に分類しています。近年ではデジタル化がより一層進み、以下の3つに分類されることが多いです。
人材区分 |
職種例 |
役割 |
特徴 |
従来型IT人材 |
システムエンジニア |
既存のシステム開発や運用を担う |
ITを活用した戦略設計や最先端技術のスキルは持ち合わせていない |
高度IT人材 |
ITストラテジスト |
新しい技術の活用や、高度な分析を行う |
プレゼン・コミュニケーションの能力が必要とされる |
先端IT人材 |
データサイエンティスト |
最先端の革新的な技術を扱う |
運用セキュリティに関する知識、マネジメント能力などが必要とされる |
出典:経済産業省- IT 人材需給に関する調査 - 調査報告書
以下の項目で従来型IT人材・高度IT人材・先端IT人材それぞれについて解説します。
従来型IT人材
従来型IT人材とは、主にシステム開発やアプリケーション開発に従事する人材を指します。主に以下のような役割・スキルを持っています。
- ITツールの運用保守:既存のITシステムやツールを適切に運用・保守する能力
- 請負開発:顧客の要求に沿ってシステムやアプリケーションを開発する能力
- プログラミング:要件定義書に基づきプログラミングを行う能力
具体的な職種としては、システムエンジニアやプログラマー、ネットワークエンジニア、データベースエンジニアなどが該当します。
一方で、従来型IT人材には以下のような行動やスキルが欠けている場合があります。
- ITを活用した戦略を積極的に立案する
- 最先端の技術を習得するために学習する
- 変化への対応力
従来型IT人材は高い技術力を持ちながらも、ビジネス戦略やデジタル化への対応が課題とされています。デジタルトランスフォーメーションの進展に伴い、近年ではより高度なIT人材が求められる傾向にあります。
高度IT人材
高度IT人材とは、ITスキルに加えてビジネス知識やプロジェクト管理能力、課題発見・解決能力などを併せ持つ人材のことです。単なる技術者ではなく、新しい商品やサービスを生み出すなど、ITツールをビジネスで戦略的に活用できる人材のことを指します。
高度IT人材には、ITストラテジストやプロジェクトマネージャー、ITアーキテクトなどの職種が該当します。主に以下のスキルを持っています。
- 新しい商品やサービスを生み出すための戦略設計力
- ITツールをビジネスに戦略的に活用する力
- 新しいビジネス戦略をわかりやすく提案できるプレゼン力
- ビジネスニーズを理解し、高度ITスキルでシステムを設計・構築する力
つまり、高度IT人材は経営層と技術者の橋渡し役となり、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を主導できる人材と言えます。単に技術力が高いだけでなく、ビジネスを深く理解し、新しい価値創造につなげられる点が特徴です。
企業がDXを推進するには、こうした高度IT人材の確保と育成が不可欠となっています。
先端IT人材
先端IT人材とは、AI(人工知能)、機械学習、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)、ビッグデータ解析、クラウドコンピューティングなど、最先端のIT技術に精通した人材のことです。主に、AIエンジニアやデータサイエンティストなどの職種が該当します。
近年、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速する中で、こうした先端IT技術を武器に新たな価値創造を主導できる人材が求められています。
先端IT人材には、以下のような能力が必要不可欠です。
- AIやIoT、ビッグデータ解析などの最新技術を実践で活用できるスキル
- クラウドサービスの構築・運用や、セキュリティ対策に関する高度な専門知識
- 技術動向を的確に捉え、継続的に学習を重ねる姿勢
- 技術面だけでなく、ビジネスの課題や戦略を理解した上で技術を活用するスキル
単に最新技術を習得するだけでなく、それらをビジネスにどう活かせるかを見据えた戦略的思考力が何より重要視されるのです。デジタル化が進む中で、先端IT人材の重要性は今後より一層高まっていくことが予想されます。
デジタル人材、DX人材との違い
IT人材とデジタル人材、DX人材の違いは、経済産業省の資料などにおいても明記されていません。
一般的な解釈として、IT人材は、コンピュータやソフトウェア、ネットワークなどの情報技術(IT)を扱う専門家です。主に情報システム部門に従事し、デジタル技術を活用できる環境を整備する役割を担います。
一方、デジタル人材とは、IT人材に限らず、デジタル技術を業務で活用できる人材全般を指します。デジタル人材には、IT人材、UI/UXデザイナー、IoTエンジニアなどの職種が含まれます。
さらに、DX人材とは、デジタル技術やデータを武器に、ビジネスモデルそのものを変革していく人材を指します。DX人材には、高度なデジタルリテラシーに加え、経営マインド、ビジネス知見が求められるのです。
このように、IT人材は狭義のデジタル人材の一部ですが、DX人材は別の高度な概念であると捉えることができます。デジタル化が進展する中で、今後はDX人材の需要がさらに高まるでしょう。
経済産業省の発表資料などにおいてもDX人材とデジタル人材の違いは明確に明記されていないため、一般的な解釈として上記の内容を理解しておくといいでしょう。
DX人材に関して、より詳しくは以下のページでご確認ください。
『DX人材とは?必要なスキルや人材獲得方法をわかりやすく解説』
デジタル人材に関して、より詳しくは以下のページでご確認ください。
『デジタル人材とは?求められるスキルや育成方法をわかりやすく解説』
日本で深刻化する「IT人材不足」
日本では慢性的なIT人材不足に直面しており、問題は年々深刻化しています。総務省の調査である情報通信白書(令和3年版)でも、企業の89%が「IT人材不足を感じている」と回答しています。
さらに、経済産業省が発表した「IT人材育成の状況等について」によると、2019年以降IT人材の減少と高齢化が進行し、最大で40〜80万人規模の人材不足が懸念されています。
特に需要の高いAI・ビッグデータを扱うエンジニアや、セキュリティエンジニア、フロントからバックエンドまで幅広く開発できるフルスタックエンジニアなど、高度な技術を持つ人材の確保が大きな課題となっています。
DXの浸透により企業のIT活用ニーズは高まる一方です。「2025年の崖」と呼ばれるように、デジタル化への対応が遅れることで、企業が淘汰される危機感も高まっています。
IT人材の育成には時間と実務経験の積み重ねが不可欠です。企業は今後のIT需要を見据え、中長期的な人材確保と育成計画の立案が急務となっています。採用活動の強化に加え、社員教育の充実も重要な課題となるでしょう。
「2025年の崖」について、以下のページで詳しく解説しております。
『2025年の崖とは?経済産業省が示す現状の課題と対策をわかりやすく解説』
参考:令和3年「情報通信に関する現状報告」
参考:参考資料 (IT人材育成の状況等について)
IT人材不足が加速する理由
次に、なぜIT人材不足が加速しているのか、原因を解説していきます。
主に以下のようなものが挙げられます。
- IT業界の需要拡大のため
- 日本の労働人口減少のため
- 進歩や変化が激しい業界のため
- IT業界にブラック労働のイメージがあるため
以下の項目で、一つずつ確認していきましょう。
IT業界の需要拡大のため
IT人材不足が加速する理由としてまず挙げられるのが、IT業界の需要拡大です。
IT業界では、デジタル技術・通信技術の進展とともに社会、企業はさまざまな分野でIT技術の活用を迫られています。平成28年版情報通信白書によると、世界のIT市場規模は2015年の1兆9,364億ドルから2020年には約40%増の2兆7,172億ドルに達すると予測されています。
市場規模が拡大する一方で、IT人材の需要も高まっています。デジタル化の波に乗り遅れることなく競争力を維持するには、システム開発やデータ解析、セキュリティ対策などにIT人材が欠かせません。しかし、ITスキルを持つ人材が圧倒的に不足しているのが現状です。
企業は事業継続とイノベーション創出のために、IT人材の確保が急務です。採用活動の強化に加え、社内人材の育成にも注力する必要があるでしょう。eラーニングや外部研修などを活用し、計画的にIT人材を育成することが重要です。
日本の労働人口減少のため
IT人材不足が加速する理由として、日本の労働人口減少も要因の一つです。
そもそも根底には、日本の人口減少の問題があります。日本では、2010年のピーク時1.28億人だった人口が、2045年には1億人を切る0.99億人まで減少すると予想されています。割合で言うと、35年間で約4分の1(23%)もの人口が減少するという試算です。
日本はすでに人口減少社会に入っています。少子高齢化の進行により、日本の生産年齢人口(15〜64歳)は1995年をピークに減少しており、2050年には5,275万人(2021年から29.2%減)に減少すると見込まれているのです。
このように労働人口が減少する中、IT分野でも慢性的な人材不足に陥っています。一方で、IT業界の市場規模は拡大を続けており、需要と供給のミスマッチから人材不足に拍車がかかっています。デジタル化の波に乗り遅れないよう、限られた労働力の中からIT人材を効率的に育成・確保することが重要な課題と言えるでしょう。
参考:総務省令和4年版情報通信白書
進歩や変化が激しい業界のため
IT人材不足が加速する理由として、IT業界は進歩や変化が激しい業界であることも一つの要素です。
IT業界は技術の進歩が非常に早く、企業が求める人材像も日々変化しています。例えば、クラウドコンピューティング、AI/機械学習、IoT、ブロックチェーンなど、最新のIT技術が次々と登場しています。こうした技術進歩に伴い、必要となるスキルも変わってくるのです。
つまり、IT人材は一度身につけたスキルで終わりではなく、常に最新の技術動向を把握し、新しいスキルを学び続ける必要があります。この急速な変化に対応できずに、スキル向上への意欲を失う人も出てくるでしょう。
その結果、最新の技術に適応できる高度なIT人材が不足し、企業の競争力低下や情報セキュリティリスクの増大などの問題が生じかねません。企業は、社内外の研修制度を充実させるなどして、IT人材の継続的な育成に注力することが求められています。
IT業界にブラック労働のイメージがあるため
IT人材不足が加速する理由として、IT業界にブラック労働のイメージが強いことも挙げられます。
IT業界には長らく「ブラック企業」のイメージが付きまとっており、過酷な長時間労働を強いられるという印象が根強くあります。例えば、納期に間に合わせるために勤務時間が長かったり、休日出勤が多かったりなどが挙げられます。
IT業界は、過酷な労働環境が常態化している職場があることから、他の職種と比べて賃金水準が同等でも「負荷が大きすぎる」と敬遠される原因となっています。確かに一部の優秀な人材には高額な報酬が支払われる場合もありますが、一般的なホワイトカラー職と比較すると、長時間労働を強いられるデメリットが大きいと映っているのが実情です。
企業としては、働き方改革を進め、社員の健康を守ることで、「ブラック」のイメージを払拭することが課題となっています。ワークライフバランスを重視し、魅力的な労働環境を整備することで、優秀な人材の確保と定着が可能になるでしょう。
IT人材不足が起こす影響
次に、IT人材が不足することによる企業への影響を解説します。
主に、以下のものが挙げられます。
- 情報セキュリティ事故の発生リスク
- 開発遅延、システム不備が放置されるリスク
- 他社との競争力低下を招くリスク
- 既存のIT人材への負荷増大のリスク
以下の項目で一つひとつ確認しておきましょう。
情報セキュリティ事故の発生リスク
IT人材不足が起こす影響として、情報セキュリティ事故が発生するリスクが挙げられます。
企業が保有する顧客情報などの重要データが漏えいすれば、企業存続の危機にもつながる重大な問題です。そのため、情報セキュリティ対策は非常に重要な経営課題です。
しかし、情報セキュリティの知識を持つIT人材が不足すると、情報セキュリティ事故の発生リスクが高まります。なぜなら、セキュリティの脆弱なシステムを構築してしまったり、セキュリティに関するインシデントアラートを見逃してしまったりする可能性があるためです。
その結果、個人情報や機密データの漏えいや、ランサムウェア感染によるシステム停止、内部不正による重要データ流出なども考えられるでしょう。
開発遅延、システム不備が放置されるリスク
開発遅延やシステム不備が放置されてしまうリスクも、IT人材不足が起こす影響の一つです。
IT人材が足りない場合、プロジェクトの納期に間に合わなくなったり、要件を全て実装できずに機能や品質が劣ってしまったりする事態に陥りかねません。
また、運用中のシステムにおいても、不具合やセキュリティ上の脆弱性などの不備が放置されがちになります。IT人材不足が長期化すれば、システム障害やクレーム対応の遅れ、機会損失も起こりうるでしょう。
競争力低下を招くリスク
IT人材不足が起こす影響として、競争力が低下することも挙げられます。
IT人材不足により企業が最新のIT技術を活用できなくなり、他社に大きく遅れをとる恐れがあるためです。
ビッグデータ解析、AI、VR・AR、IoTなどの先端技術の活用は、これからのビジネスにおいて製品やサービスを差別化し、新コンセプトのビジネス創造につながる重要なポイントです。しかし、これらの技術を扱える高度IT人材が自社で不足していると、十分に活用できなくなってしまいます。
その結果、競合他社に先行されてしまい、魅力的な商品・サービスの提供が遅れ、顧客満足度が低下してしまう可能性もあるでしょう。また、新規ビジネスの創出機会を逸することで、企業の成長が止まってしまう恐れもあります。
上記のように、IT人材不足は最新技術の活用を阻害し、企業の競争力や成長性を著しく低下させてしまうリスクがあるのです。
既存のIT人材への負荷増大のリスク
既存のIT人材への負荷増大も、IT人材不足が起こす影響の一つです。
IT人材不足が深刻化すると、限られた人数で業務を行わざるを得なくなります。IT需要は増え続ける一方で、人材が不足しているため、既存のIT人材への負荷は過剰になりがちです。
具体的には、下記のような状況になりかねません。
- 長時間労働が常態化し、心身の健康を損ねる
- 人的リソースの振り分けが上手くいかず、納期が遅延してしまう
- セキュリティ対策が後手に回り、システムに不具合が生じる
- 新しい技術習得・開発への投資が難しくなる
既存のIT人材に過剰な負荷がかかれば、離職の可能性が高まります。IT人材の定着率が下がれば、さらなる人材不足に拍車がかかる悪循環に陥るでしょう。
IT人材不足への対策はひっ迫している課題であり、適切な人員配置と働き方改革による負荷軽減が不可欠です。
IT人材の不足を解消する3つの対策
次に、IT人材の不足を解消する3つの対策を解説します。
- 採用方法、採用条件の見直し
- アウトソーシング、フリーランス、人材派遣の活用
- 社内のIT人材の育成強化
取り入れやすい方法から取り組んでいきましょう。
採用方法、採用条件の見直し
IT人材の不足を解消する対策の一つとして、採用方法、採用条件の見直しが挙げられます。IT人材を確保するためには、まず自社が求める人材像とスキルを明確にすることが大切です。募集要項に具体的なスキルや経験を明記することで、ミスマッチを防ぐことができるでしょう。
次に、IT人材の売り手市場においては、柔軟な採用条件の見直しが欠かせません。採用上限年齢の引き上げ、外国人エンジニアの積極採用、未経験者の採用枠拡大、処遇の改善など、さまざまな施策を講じる必要があるでしょう。
加えて、採用方法についても、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用など、企業側から能動的にアプローチする採用活動が求められます。SNSやCMを活用して企業のブランディングを行い、優秀な人材を惹きつける魅力ある企業イメージ作りにも注力しましょう。
そして重要なのが、働き方改革の推進です。長時間残業の是正、リモートワーク制度の導入、フレックスタイム制の活用など、多様で柔軟な働き方を実現することで、IT人材の確保と定着を図ることが可能です。
このように、自社の強みや特色を活かしつつ、多角的なアプローチで採用活動を行うことが、IT人材確保の鍵となります。
アウトソーシング、フリーランス、人材派遣の活用
アウトソーシングやフリーランス、人材派遣の活用は、IT人材の即戦力を確保する手段の一つです。社内で人材を確保することが難しい場合、外部のリソースを活用することで対応できます。
具体的には、 システム開発に関連する業務を外部に委託するアウトソーシングが有効です。海外の子会社や海外のエンジニアに委託する「オフショア開発」、国内の地方にある開発企業に委託する「ニアショア開発」などの形態があります。
また、自社でスキルが足りない場合、フリーランスのエンジニアやデザイナーなどに委託することで、即戦力の人材を確保できます。フリーランスだけではなく、人材派遣会社に依頼して必要なスキルを持つ人材を受け入れることもおすすめです。人材派遣会社を活用することで、必要な期間だけ即戦力となる人材を確保できます。
いずれの手段も、短期的な対症療法として活用することで、IT人材不足への対応が可能です。また、外部の視点やノウハウを社内に取り込むことができるメリットもあるでしょう。しかし、外部人材の活用となるため、長期的な課題解決にはなりにくいことには注意してください。
社内のIT人材の育成強化
社内のIT人材の育成も、IT人材不足を解消する有力な選択肢の一つです。新規採用に頼らず、既存の社員を高度IT人材や先端IT人材に育成できることが大きなメリットです。
社内育成には他にもメリットがあります。すでに企業文化や業務フローを理解している社員を対象にIT教育を施せば、「自社らしさ」を考慮したIT戦略を立てられるでしょう。また、社員にとっては自身のスキルアップやキャリアアップの機会になり、モチベーション向上につながります
ただし、IT技術の進化は留まるところを知らず、常に最新の知識が求められます。社内育成を行う際は、研修プログラムの内容を定期的に見直し、時代に合わせた最新の教育カリキュラムを用意する必要があるでしょう。
IT人材を育成する方法
次に、社内でIT人材を育成する方法を紹介します。主に次のものが挙げられます。
- 社内研修
- eラーニング
- 外部研修
以下の項目で詳しく確認してください。
社内研修
IT人材の育成において、社内研修は有効な手段の一つです。
自社の実情に合わせた内容を教えることができ、受講のハードルも低いというメリットがあります。
一方で、講師を社内で確保する必要があります。限られた人材から選ぶのでは、知見が偏る可能性も否定できません。そのため、社内研修は社内に適切な人材がいれば有効な方法と言えるでしょう。また、講師の負荷が大きくなるデメリットもあります。
社内研修の実施にあたっては、以下の点にも留意しましょう。
- IT人材の習熟度別にカリキュラムを用意する
- 実務に活かせるよう、実践的な演習を取り入れる
- 講師側の研修も行う
- 受講後のフォローアップを怠らない
社内研修を上手く活用することで、企業に合ったIT人材の育成が可能です。
社内研修を内製化するメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
『社員研修を内製化するメリット・デメリット|成功のポイントや流れを解説』
eラーニング
eラーニングも、IT人材を育成する手段の一つです。
eラーニングは、インターネットを介して動画や資料を活用し、オンラインで学習する方法です。以下のようなメリットがあります。
- 時間や場所を選ばず、個人のペースで学習できる
- 本業務と並行して受講が可能
- 繰り返し同じ内容を低コストで学べる
IT人材を育成するeラーニングコンテンツには、アル―株式会社が提供するetudesのデータ分析セットがおすすめです。
データ分析セットでは、データに基づいた意思決定(データドリブン)の考え方を身につけることができます。このセットでは、わかりやすいアニメーションを活用し、データの基礎知識から実践的な分析手法までを体系的に学べます。
データ分析セットの詳細は、下記からご覧ください。
eラーニング教材 セットプラン|データ分析セット
一方で、eラーニングはリアルタイムで質問ができないため、実技を伴う高度な技術の習得には向いていないというデメリットもあります。
eラーニングは、基礎的な知識の定着には有効な手段ですが、高度なスキルを身につけるには、社内研修やOJTなど、他の施策と組み合わせることが重要です。自社のIT人材育成の目的に応じて、適切な学習手段を選択しましょう。
eラーニングと複数の方法を組み合わせて育成効果を高めるブレンディッドラーニングについては、以下の記事で詳しく解説しています。
『【事例あり】ブレンディッドラーニングとは?効果的な方法や注意点を徹底解説』
外部研修
外部研修もIT人材を育成する際に有効です。外部の専門機関による研修を活用することで、IT人材の育成を効果的に進められます。
外部研修には、特定の研修会場にさまざまな企業の受講者が集まって受講する公開型研修と、人材育成会社に委託し自社に講師を招いて行う研修サービスがあります。
人材育成のプロに研修を委託することで、自社の課題を踏まえた研修が行え、効率的に人材育成ができるでしょう。
アルーが提供するDX・デジタル活用人材研修は、現場社員のデジタル化に特化した研修プログラムです。
本研修は、数週間〜数ヶ月程度の中長期で行われ、座学で学んだ内容をワークや職場で実践することで知識を定着させていきます。知識を詰め込むのではなく、受講者のDXに対する価値観の変容を促すことからはじめていきます。また、演習も充実しているため、学んだ知識を何度も繰り返しアウトプットすることが可能です。知識だけでなく、実務への応用力や問題解決スキルも身につけられるでしょう。
DX・デジタル活用人材研修の詳細は、下記からご覧ください。
DX・デジタル活用人材研修
▼サービス資料請求
IT人材を育成するステップ
最後に、IT人材を育成する流れを解説します。
- IT人材育成の目的を定める
- 育成対象を明確化する
- 育成方法、計画を決定する
上記の流れでIT人材の育成を進めましょう。詳しくは以下の項目で解説します。
ステップ1:IT人材育成の目的を定める
IT技術を習得することは重要ですが、それ自体が目的ではありません。自社の経営方針やビジョンから、必要なITスキルや活用イメージを定義し、育成対象者や関係者に共有することが重要です。例えば、経営方針が「DXを推進し業務効率化を図る」であれば、RPAやAIなどの活用ができる人材を育成することが求められます。一方、「新規事業の立ち上げ」が目的であれば、システム設計やアジャイル開発の知識を持つ人材が重要になってきます。
このように、あらかじめ企業が目指す姿から逆算して、必要なIT人材像を定義することが大切です。その人材像を育成対象者や関係部門と共有し、目標を一致させることで、効果的な育成が可能になるのです。
IT人材育成は、単なるスキルアップではなく、企業の経営戦略の実現に向けた重要な取り組みです。目的を明確にし、会社と個人の方向性を合わせることが、IT人材育成の第一歩となります。
ステップ2:育成対象を明確化する
次に、育成対象を明確化しましょう。
IT人材の定義は広範囲に及ぶため、自社が優先的に解決すべき課題に合わせて育成対象者とスキルを絞り込むことが重要です。
例えば、システム開発の遅延が課題であれば、システムエンジニアやプロジェクトマネージャーの育成を優先します。一方、セキュリティインシデントが増えている場合は、セキュリティエンジニアの育成が急務となるでしょう。このように、会社の実態から最優先課題を特定し、それに合わせて育成対象者を選定しましょう。
また、社員個人の適性も無視できません。IT知識は備わっていても、業務への問題意識が希薄な社員は、育成対象から外す必要があるでしょう。逆に、基礎知識が不足していても、探究心が旺盛で成長意欲の高い社員は、積極的に育成対象に含めるべきです。
育成目的と会社の実態、社員の適性を総合的に勘案し、育成対象者とその人材に求められるスキルを明確にすることで、効率的で効果的な研修計画を立てられるでしょう。
ステップ3:育成方法、計画を決定する
IT人材の育成には、技術的なスキルだけでなく、デジタル時代に求められるマインドセットの醸成も重要です。そこで、スキルマップを作成し、社員一人ひとりの保有スキルと、会社が求める理想のスキルとのギャップを明確にすることをおすすめします。
次に、ステップ1で定めたIT人材育成の目的を改めて確認し、スキルマップと照らし合わせながら、対象者や習得が求められるスキルに最適な育成方法を選定します。
具体的には、以下のような組み合わせが考えられます。
- 基礎的なIT知識:eラーニングによる自己学習
- 最新の技術動向:外部の専門研修を受講
- 業務に密着したスキル:社内の有識者による実践的な研修
- デジタルマインドセット:外部講師を招いたワークショップ形式の研修
育成計画を立案する際は、目標に対して具体的で客観的に判断できる「基準と期限」を設けましょう。例えば、「〇〇の資格取得」「〇〇のスキルテストでの一定点数の取得」など、達成度を明確にするのがおすすめです。
また、外部の研修サービスを利用する場合は、複数の委託先を比較検討し、プログラム内容やカリキュラムについて十分に相談を行う必要があります。コストパフォーマンスと、目的に合った適切な教育内容を両立できるよう、慎重に選定しましょう。
自社に適した研修会社の選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。
『「よい研修会社の選び方は?」研修会社が正直にお答えします』
ステップ4:OJTで実践力を身につける
最後に、研修で学んだことをもとに、実務経験を通じて実践力の訓練をしていきます。そこで有効なのがOJT(On the Job Training)です。
OJTでは、社内限定の小規模なプロジェクトなどから始めましょう。いきなり大規模な開発を行うのではなく、少しずつ実行の範囲やレベルを上げていくことをおすすめします。
現場での経験を重ねることで、研修で得た知識を確実に実践力へと転換することが可能です。
OJTの効果的な方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
『OJTとは?OFF-JTとの違いや効果的な方法をわかりやすく解説』
社内のIT人材育成は、アルーのDX研修にお任せください
アルーのDX研修は、デジタル化に不慣れな社員の方々に特化した内容となっております。単なる座学ではなく、実践を重視した研修を行うことで、「わかる」だけでなく、確実な「できる」力の習得を目指しています。
一人ひとりのニーズに合わせて、研修内容のカスタマイズを行っております。デジタルリテラシーの向上はもちろん、実務で活かせるスキルの習得を重視した研修を提供いたします。
研修期間は数週間から数ヶ月と中長期の計画をおすすめしています。なぜなら、座学で学んだ知識をワークや実際の業務の中で実践することで、スキルをしっかりと定着させることができるからです。
デジタル化が進む中で、社内のIT人材の育成は企業にとって重要な課題です。アルーが提供する実践的なDX研修で、確かな「できる」力を身につけた人材を育成し、社内のデジタルトランスフォーメーションを加速させましょう。
DX・デジタル活用人材研修の詳細
「DX・デジタル活用人材研修サービス資料」は以下のページからダウンロードできます。