catch-img

リスキリングとリカレント教育の違いは?メリットなどをわかりやすく解説

リスキリングは企業が社員に課す教育である一方で、リカレント教育は社員の自発的な学びである点が大きな違いです。
両者には他にも明確な違いが存在します。

本記事では、リスキリングとリカレント教育の違いやそれぞれの概要、企業がリカレント教育に取り組むメリットやデメリットなど、詳しく解説します。
リスキリングとリカレント教育について網羅的に知識を得たい企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。


▼リスキリングには公募研修やeラーニングがおすすめ!




目次[非表示]

  1. 1.リスキリングとリカレント教育の違い
  2. 2.リスキリングとは
  3. 3.リカレント教育とは
  4. 4.リスキリングならアルーにお任せ


リスキリングとリカレント教育の違い

リスキリングとリカレント教育の最も大きな違いは、リスキリングは企業が主体となり社員に教育を促すのに対して、リカレント教育は社員が自発的に学ぶ点です。

はじめに、リスキリングとリカレント教育の違いを解説していきます。リスキリングとリカレント教育は、社会人の継続的な学び直しを指す言葉で、社員に新しいスキルを身につけさせるという点で共通していますが、その目的や方法が異なります。

リスキリングとは、 企業が社員に対して新しいスキル、技術を身につけさせることです。新たな価値やサービスの創出や生産性の向上、社員の市場価値の向上につなげることを指します。リスキリングを進める主体は企業であり、企業が求めるスキルを身につけることに主眼が置かれます。

一方、リカレント教育は、社員の能力開発や人材育成を目的に、幅広い教育機会を継続的に提供するものです。学校教育から離れたあとも、必要なタイミングで再び教育を受け、就労と教育のサイクルを繰り返すことを指します。例えば、社員が自発的に休業して大学などの教育機関に通い、復職するサイクルが挙げられます。

つまり、リスキリングは企業の要請に応じた狭い範囲の教育であるのに対し、リカレント教育は社員のキャリア形成を支援する広範な教育と言えます。
リスキリングとリカレント教育の違いを表にまとめると、以下のようになります。


リスキリング

リカレント教育

目的

企業が求める新たなスキルを身につける

個人のキャリアアップ

背景

求められるスキルの変化に適応する必要があるため

人生100年という長い期間をより充実したものにするため

実施主体

企業

社員

学ぶ内容

企業が社員に求めるスキル

広範囲

期間

短期

長期


リスキリングとは

リスキリングとは、企業が社員に知識やスキルを身につけさせることです。近年では、デジタル化やグローバル化の進展に伴い、企業が求める人材像が変化しています。その中で既存の社員のスキルをアップデートする必要性が高まっており、リスキリングを取り入れる企業は増加傾向にあります。

リスキリングでは、オンライン研修やeラーニング、OJT、社内公募制度の活用、社外教育機関の研修受講支援など、さまざまな取り組みが行われます。リスキリングは単なる研修ではなく、社員の人材育成とキャリア形成を包括的に支援するための取り組みです。特に昨今はDX推進のためのリスキリング施策に多くの企業が取り組んでいます。

リスキリングについて、より詳しくは以下のページでご覧ください。
リスキリングとは?注目される理由や導入方法、注意点をわかりやすく解説


リカレント教育とは

リカレント教育とは、社会人が就労と学習を繰り返しながら、新しい知識や技術を身につける教育のことです。例えば、「社員が休業して大学などの教育機関に通い、復職する」ことを繰り返して、スキルを向上させるのもリカレント教育の一つです。職業生活の長期化に伴い、スキルを最新に保つ必要性が高まったことから、社会人の学び直しの機会を提供することが目的です。
リカレント教育は、企業ニーズに合わせた実践的な教育内容であることや、教育期間が長期にわたり、多額の費用がかかることが特徴です。また、社会人のキャリアアップや転職を支援することを目指しています。

リカレント教育は、スウェーデンの経済学者レーンが提唱し、1969 年のヨーロッパ教育相会議で当時のスウェーデンのパルメ教育相が使用したことで知られています。

その後、OECD による 1969 年の「平等な教育機会」、1973 年の「リカレント教育-生涯学習のための戦略」という2つの文書に使用され、リカレント教育という言葉が定着しました。
企業の人材育成にも役立つだけでなく、個人のキャリア形成にも有効な教育手段と言えます。
参考:OECD のリカレント教育の理念と 今日の日本におけるリカレント教育の意味


リカレント教育の目的

リカレント教育を企業が行う目的は、時代の変化に合わせてスキルを磨き続け、キャリアを継続的に発展させることです。
求められるスキルは常に変化するため、一度身につけた知識や技術では通用しなくなる可能性があります。

リカレント教育は、そうした変化に適応し、自己実現につなげるための重要な手段です。定期的に教育を受け、その時代に求められるスキルを身につけることが重要と言えます。
リカレント教育を通して、以下の2点を実現することができます。


  • 職業能力の向上:新しい技術の習得や既存スキルの磨き上げで、より高度な職業能力を身につける
  • キャリアチェンジ:転職や新分野への挑戦に向け、新たな知識・スキルを学ぶ


社会が変化する中で、定期的に最新のスキルを身につけることが重要です。リカレント教育はその手段となり、キャリアを継続的に発展させることができるでしょう。


リカレント教育の特徴

リカレント教育の特徴として、主に以下の3つが挙げられます。


  • 社員が自主的に行う教育である
    • リカレント教育は、社員が自主的に行うことが前提の教育です。会社からの一方的な教育ではなく、個人の主体性が重視されます。
  • 学習内容の幅が広い
    • 会社が求めるスキルにとどまらず、ビジネススキルや語学、人文科学など多岐にわたる分野を学習できます。また、専門分野に捉われない汎用的な能力開発が可能です。
  • 企業以外の教育機関がコンテンツを提供
    • 企業が設置する研修施設のみならず、大学や専門学校などの外部教育機関でも学習できます。また、さまざまな機関の特色あるコンテンツを組み合わせて受講できることも特徴として挙げられます。


このように、リカレント教育では社員自身の主体性が重視され、幅広い分野の学習機会と、企業外の教育機関を活用することが特徴として挙げられます。


企業がリカレント教育に取り組むメリット

企業がリカレント教育に取り組むメリットは主に以下の3点です。


  • 人材の定着促進
    • 最新の知識・スキルを身につける機会を設けることで、社員のキャリアアップ意欲が高まり、優秀な人材が定着しやすくなります。
  • 生産性の向上
    • スキルアップにより業務が効率化され、生産性が向上します。さらに、新しい知見を取り入れることができるので、イノベーションにつながります。
  • 社会的評価の向上
    • 社員の成長を重視する姿勢が評価され、優秀な人材の確保が容易になり、企業のブランド力も向上します。


上記のように、企業がリカレント教育に取り組むことで、企業は最低限のサポートだけで社員のレベルアップが期待できます。また、リカレント教育は休職中や休暇取得中でも学びの機会が提供されるため、自身の病気や介護などによるブランクができた人にとっても役立つでしょう。 就業できない期間でも学ぶことができ、スムーズな復職がしやすくなることも社員にとって大きなメリットです。


企業がリカレント教育に取り組むデメリット

リカレント教育には多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。主に以下のようなものが挙げられます。


  • 教育にかかるコストが大きい 
    • 長期の教育プログラムを用意し、社員に受講させるために多額の教育費用が必要です。さらに、業務を離れている社員の代わりを採用したり、外注したりすると費用がかかってしまいます。また、先行投資となるため、人材育成に充てる予算の余裕も必要です。
  • 人材の流出リスクがある
    • リカレント教育を受けた人材は市場でも希少であり、リカレント教育を受けたスキルの高い社員が転職する可能性があります。その場合、企業は人材投資の恩恵を十分に受けられません。
  • 即戦力にはならない 
    • 長期の教育を終えても、その内容が実務と合致しない場合があります。結果として新しいスキルを業務で活かせず、教育投資が無駄になる恐れがあります。


つまり、リカレント教育には多額の初期コスト、人材流出のリスク、スキルのミスマッチの3つの大きなデメリットがあり、企業としては慎重に対応する必要があります。


リカレント教育の現状

リカレント教育の取り組みは、まだ本格化しているとは言えない状況です。

日本では、大学・大学院の正規課程で学ぶ社会人の割合がOECD諸国と比較して低い水準にあります。文部科学省の調査によれば、企業の約7割がリカレント教育の必要性を感じつつも、実際に制度を導入している企業は2割程度にとどまっています。柔軟性が低く、労働市場のニーズに合致していない傾向があると言えるでしょう。

このように、リカレント教育の必要性は認識されつつあるものの、具体的な制度設計や運用が課題となっています。政府は、リカレント教育を後押しするため、2022年度から教育訓練給付制度の拡充や、新たな支援制度の創設を検討しています。
参考:リカレント教育の現状


リカレント教育で利用できる助成金や支援制度

リカレント教育を実施する企業を支援するため、国や自治体からさまざまな助成金や支援制度が設けられています。主な制度は以下の通りです。

制度名

概要

人材開発支援助成金

労働者に対する職務に関連した専門的な知識及び技能の習得にかかる経費の一部が支給される。教育訓練経費や賃金助成がある
参考:人材開発支援助成金|厚生労働省

生産性向上支援訓練

生産管理、IoT・クラウド活用、組織マネジメント、マーケティングなど生産性向上に寄与するカリキュラムを低コストで受講できる
参考:生産性向上支援訓練

一般教育訓練給付金制度

施設に支払った金額の20%(上限10万円)が支給される
参考:教育訓練給付制度|厚生労働省

特定一般教育訓練給付金制度

厚生労働大臣指定の教育訓練の中でも特にキャリアアップ効果が高いと認定された講座に対して、通常20%の支給が40%(上限20万円)まで支給される
参考:教育訓練給付制度|厚生労働省

専門実践教育訓練給付金

教育訓練の中で、中長期のキャリア形成に寄与する専門的・実践的な教育訓練に対して、教育訓練経費の50%(上限は年間40万円)が支給される
参考:教育訓練給付制度|厚生労働省

また、都道府県や市区町村によっては、独自の助成金制度を設けているケースもあります。リカレント教育を導入する際は、国や自治体の支援制度を最大限に活用していきましょう。


リスキリングならアルーにお任せ

リカレント教育は個人の自主性を重んじてスキルアップをさせる方法であり、高い費用と長期的な取り組みが必要になります。一方リスキリングなら、社内の施策として導入しやすいと言えるでしょう。

リスキリングを活用することで、社内リソースを最大限に活かして人材を育成できます。アルーでは、DX人材育成をはじめ、リスキリングをサポートするプログラムをご用意しています。
アルーの研修は以下から一覧をご覧いただけます。
研修・人材育成サービス
貴社の課題に沿った研修プログラムを提供しますので、お気軽にご相談ください。

アルー株式会社
アルー株式会社
20年以上、企業向けに人材育成コンサルティングや研修を提供してきた。新入社員・管理職といった階層別研修や、海外駐在員やグローバルリーダーなどのグローバル人材育成、DX人材育成に強みを持つ。その実績は取引企業総数1400社以上、海外現地法人取引社数400社以上に及ぶ。京都大学経営管理大学院との産学連携など、独自の研究活動も精力的に行っている。
お問い合わせ
無料資料請求
メガメニュー格納セクション

おすすめセミナー

人気記事ランキング

タグ一覧

お問い合わせ
ページトップへ戻る