DX人材を採用するポイントとは?求めるスキルや採用市場の状況を解説
デジタルトランスフォーメーション(DX)は企業が生き残るための必須課題となっています。DXを実現するためには、デジタル技術に精通し、データを活用して新しいビジネスモデルを創出できる人材、つまりDX人材の確保が欠かせません。
しかし、DX人材の需要が高まる一方で供給が追いついていないため、人材獲得競争が激しくなっているのが現状です。
本記事では、DX推進に必要なDX人材とは何か、採用市場の現状、そして効果的な採用方法について解説します。DX人材の確保は企業の命運を左右する重要な課題です。DX人材の採用に向けた課題と対策を押さえ、戦略的な人材確保を目指しましょう。
▼DX人材を社内で育成することにしたら…おすすめ社内研修3選
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DX推進に必要な人材とは?
DX人材とは、DXを推進するためのスキルを持ち、実行できる人材のことです。単にデジタル技術のスキルを持っているだけでは不十分です。経済産業省の「DXレポート2」で示されているように、DX人材には以下の2つの側面が求められます。
- 構想力を持ち、明確なビジョンを描き、自ら組織を牽引し実行できる人材
- 企業が市場に対して提案する価値を、現実のITシステムに落とし込める技術者
つまり、デジタル技術の専門知識に加えて、主体性や問題解決力、ビジネス視点などの資質が必要とされます。単なるIT技術者ではなく、自社の業務を深く理解し、他者とコミュニケーションを取りながらDXを主導できる人材が求められているのです。
また、IT推進による産業強化や情報セキュリティ向上などを目的としているIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が定める「DX推進スキル標準」では、DX推進には下記5種類の専門人材が必要とされています。
職種 |
説明 |
ビジネスアーキテクト |
DXの目的設定から導入、導入後の効果検証を |
デザイナー |
ビジネス・顧客の視点等を総合的に捉え、製品・サービスのあり方を |
データサイエンティスト |
データを活用した業務変革や新規ビジネスに向けて |
ソフトウェアエンジニア |
デジタル技術を活用した製品・サービスを提供するための |
サイバーセキュリティ |
業務プロセスを支えるサイバーセキュリティリスクの影響を |
つまり、DX人材には、製品・サービスの設計や、DX戦略の立案・実行など、さまざまな役割を担う多様な人材が含まれます。
したがって、DX人材とは、デジタル技術の知見に加え、主体性、問題解決力、ビジネス視点、リーダーシップ、コミュニケーション能力など、さまざまな能力を兼ね備えた人材と言えるでしょう。単なるIT人材ではなく、自社のビジネスを深く理解し、組織横断的に新しい価値を創出できる、総合力のある人材が求められています。
DX人材の採用に当たっては、こうした多様な能力を見極めることが重要になります。技術はもちろんですが、面接などを通じて主体性やリーダーシップなどの資質を評価する必要があります。そして、自社のDXの目標やミッションに合わせて、最適な人材を見極めましょう。
参考:DXレポート2 中間取りまとめ (概要)
デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた 企業とIT人材の実態調査
DX推進スキル標準(DSS-P)概要 | デジタル人材の育成 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
DX人材の採用市場の近況
DX人材の需要は年々高まる一方で、供給が追いついていないのが実情です。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の調査によると、DX推進に必要なあらゆる職種において人材不足が深刻化しています。データサイエンティストやAIエンジニア、ITアーキテクトなどの職種では、需要の高まりに供給が追いついていないことや、大手企業に人材が集中していることなどから、採用に苦戦しているケースが多くあります。
さらにビズリーチ社の調査では、DX関連の求人件数が2021年と比べ約6.7倍に増加しており、2024年もこの傾向が継続すると予測されています。このように、DX人材を巡る採用環境は年々厳しさを増しており、企業は創意工夫を凝らした採用活動が求められています。
参考:ビズリーチ、「2023レジュメ検索キーワードトップ30」を発表
DX人材を採用するためのポイント
次に、DX人材を採用する際のポイントを解説していきます。
- 求めるスキルや人物像を明確にする
- 応募を待たず企業側からアプローチする
- 候補者の望む雇用条件を可能な範囲で満たせるように検討する
どれも重要なポイントとなります。採用の際にはぜひ参考にしてください。
求めるスキルや人物像を明確にする
DX人材の採用においては、求めるスキルや人物像を明確にすることが重要です。
DX人材にはさまざまな職種があり、自社に不足している職種を正確に認識する必要があります。問題解決力や、コミュニケーション能力、新しい技術への好奇心と学習意欲があるかなど、専門技術以外に求められるスキルやマインドも明確にしておきましょう。
事前に求めるスキルや人物像を明確にすることで、自社に合わない応募者を受け入れるリスクを回避でき、採用後のミスマッチも減らすことができるでしょう。
自社に必要な人材を設定する際には、コンピテンシーモデルの作成も有効です。コンピテンシーモデルの作成については、以下の記事で詳しく解説しています。
『コンピテンシーとは?人材育成のプロがおすすめする具体例や使い方』
応募を待たず企業側からアプローチする
魅力的な人材にはスカウトが殺到するため、求人に応募してくることは期待しにくくなっています。そのため、企業側から積極的にアプローチしていく必要があるでしょう。
具体的には、リファラル採用やダイレクトリクルーティング、ヘッドハンティングサービスを活用するのが有効です。リファラル採用では、優秀な人材を紹介してもらえるよう社内外の人脈を活用します。ダイレクトリクルーティングでは、採用責任者や採用担当が求める人材を見つけ自ら直接連絡を取り、採用プロセスに移行していきます。ヘッドハンティングサービスを利用すれば、専門のコンサルタントが求める人材を直接探してくれます。
加えて、優秀だった元社員を再び迎え入れる「アルムナイ採用」も検討すべきでしょう。自社の理念や社風をすでに理解している社員を再度雇用することで、定着率アップが期待できます。
このように、募集を掲載して応募を待つだけでなく、さまざまな手段を組み合わせて企業側から積極的にアプローチすることが、DX人材の確保につながるのです。
候補者の望む雇用条件を可能な範囲で満たせるように検討する
優秀なDX人材に自社を選んでもらえるよう、候補者の要望を可能な範囲で満たす準備をしていきましょう。
近年の傾向として、柔軟な働き方を認める企業が人気です。リモートワークやフレックスタイム制を導入し、働きやすい環境を整備しましょう。DX人材は成長意欲が高いため、将来的なキャリアアップの機会を示すことも求められます。
また、DX人材の市場価値は高いことから、業界平均を上回る水準の給与を検討する必要があります。例えば、DXマネージャーなら800万円〜1000万円程度の年収相場が目安となるでしょう。
このように、採用活動では候補者の志向を把握し、適切な処遇を提示することが重要です。企業側から積極的にアプローチを行い、自社の魅力を伝えていく必要があります。
DX人材が採用だけでまかなえない場合の施策
次に、DX人材が採用だけでまかなえない場合の施策を解説します。
- 社内人材の育成
- 外部委託
DX人材の確保が難しい場合は、以下の方法を自社でも対応できないか検討してみてください。
社内人材の育成
社内人材を育成するメリットは、自社の経営方針やビジョン、事業内容、顧客の傾向などを熟知していることです。一方で、育成には時間とコストがかかります。
そのため、効率的な育成が重要となります。社内研修やeラーニングを活用しつつ、スキルアップが必要な分野については外部の専門研修機関に委託するなど、研修手法を組み合わせるのがよいでしょう。
また、単発の研修では知識は身につきにくいため、中長期的な計画を立てて継続的に研修を実施することが求められます。例えば、DXの基礎知識から始め、次第にプログラミングやデータ分析などの実践的なスキルを身につけられるよう段階を踏んだカリキュラムを用意するなど、工夫が必要です。
このように、社内育成には一定の時間とコストを要しますが、自社への深い理解があり、計画的な研修を行えば、高い実務能力を備えたDX人材を内製化できます。外部採用と社内育成を組み合わせることで、企業のDX推進を効果的に後押しできるでしょう。
DX人材を育成する方法に関しては、以下のページで詳しく解説しております。
『DX人材の育成ステップとポイントをわかりやすく解説【育成事例あり】』
外部委託
DX人材の確保が難しい場合や、スピーディな対応が必要な場合は、専門のDXコンサルティング企業に外部委託することも有効な選択肢です。DXコンサルティング企業は、他社でのDX推進を多数経験しているため、貴重な知見やノウハウを提供してくれます。また、プロジェクトベースで高度な専門性を持つ人材を迅速に投入できるメリットがあります。
一方で、外部委託にはコンサルティング費用が発生するというデメリットがあります。さらに、企業の重要な情報資産を外部に開示する必要があるため、セキュリティ面での対策が欠かせません。外部委託先の選定には細心の注意を払う必要があります。
DXの推進においては、自社の経営資源に合わせて、社内人材の育成と外部委託を適切に組み合わせることが賢明です。短期的な課題と中長期的な課題をしっかりと見極め、最適なリソース配分を行いましょう。
DX人材の外部委託ならアルーにお任せください
DX人材の外部委託に加え、社内人材のデジタル人材への育成も重要な施策の一つです。DX人材を育成するためには、デジタル技術に関する知識だけでなく、マインドセットや課題発見力といった面も含め、バランスよく成長させる必要があります。近年ではDX人材の需要は多く、採用活動もうまくいかない状況が続いています。そのため、DX人材を自社で育成していくことをおすすめします。
アルーのDX人材研修は、受講者に合わせてさまざまなカスタマイズが可能です。単発で終わらせるのではなく、数週間から数ヶ月程度の中長期の研修をおすすめしています。座学で学んだ内容をワークや職場で実践することで、知識をしっかりと定着させることができるでしょう。
企業のDX推進においては、優秀なデジタル人材の確保が鍵となります。DX人材の確保に向けた総合的なサポートをさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。
アルーのDX・デジタル活用人材研修サービス
アルーが提供しているデジタル活用人材研修のサービス資料は、以下のページからご覧いただけます。
デジタル活用人材研修サービス資料