catch-img

キャリア形成とは?調査でわかった「キャリア形成に効く人事施策」


働き方の多様化が進んでいる昨今、キャリア形成はすべてのビジネスパーソンにとって避けて通れない話題です。VUCAの時代を生き抜くためには、どのようなキャリア形成が求められているのでしょうか。
この記事では、キャリア形成の定義や厚生労働省が提供しているキャリア形成支援の内容、キャリア形成に必要な能力などを徹底的に解説します。社員のキャリア形成を促すための人事施策や事例も紹介するので、ぜひ最後までお読みください。


▼社員のキャリア形成に役立つ研修3選

2023年度キャリア意識調査レポート  大手企業における従業員のキャリア支援のあり方を探る


目次[非表示]

  1. 1.厚生労働省のキャリア形成支援
  2. 2.キャリア形成が注目されている背景
  3. 3.キャリア形成を行うメリット
  4. 4.キャリア形成の方法
  5. 5.キャリア形成に必要なスキル
  6. 6.社員のキャリア形成を支援する方法
  7. 7.社員のキャリア形成ならアルーにお任せください
  8. 8.まとめ


キャリア形成とは

キャリア形成とは、個人が仕事を通じて経験やスキルを蓄積し、自己実現を行うことです。
先の見通せないVUCAと呼ばれる現代において、単に働くだけでは時代に取り残されてしまいます。仕事を通じた自己実現を達成するためには、自分自身が将来どのようにありたいのかを明確にイメージし、それに向かって行動を重ねていくことが欠かせません。「理想の自分を体現するために、どのような行動ができるのか?」を考え抜くのが、キャリア形成の考え方です。
特に昨今では、フリーランスや副業なども含め、働き方が多様化しています。こうした時代を生き抜くためには、自分自身のありたい姿を明確に描き、そこへ向けてできることを1つずつ考えていくことが大変重要です。昨今では厚生労働省もキャリア形成支援を行うなど、社会的にキャリア形成への注目度が高まりつつあります。

なお、仕事におけるキャリアについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
仕事におけるキャリアとは?開発する方法やポイントをわかりやすく解説


キャリア形成と似た言葉

キャリア形成と似た言葉は、いくつかあります。代表的なものは、以下の3つです。

  • キャリアデザイン
  • キャリアパス
  • キャリアプラン

キャリアデザインは、自分自身が将来的になりたい姿を、プライベートも含めて設計することを指します。キャリア形成と似た意味合いを持ちますが、仕事におけるキャリアを考える際には、「キャリア形成」という言葉を使うことが多いです。

キャリアパスは、一つの企業の中において、目標とするポジションや職務に就くための道筋を指します。例えば「部長へ昇進するためには、2年後に係長、5年後に課長補佐、8年後に課長」といったような道筋が、キャリアパスの一例です。キャリアパスは主に一つの企業の中での道筋を指すため、より高い視座でキャリアを見つめるキャリア形成の方が広い概念といえます。

最後にキャリアプランとは、仕事における目標を達成するために立てる、これからの行動計画のことです。キャリアを実現するためにどのようなことができるのかを、具体的な行動に落とし込んだものともいえます。キャリアプランを立てることは、キャリア形成を実現するための主な手段の一つです。

2023年度キャリア意識調査レポート  大手企業における従業員のキャリア支援のあり方を探る


厚生労働省のキャリア形成支援

キャリア形成は国も重要視している概念であり、キャリア形成を支援するための体制を積極的に整えています。
例えば厚生労働省では、キャリア形成促進を目的とした「キャリア形成サポートセンター」を全国で運営しています。キャリア形成サポートセンターでは、現在在職中の人を対象としたキャリアコンサルティングサービスを無料で実施しているのが特徴です。ジョブ・カードを記載した上でキャリア形成サポートセンターへ申し込めば、今後のキャリア形成の方向についてキャリアコンサルタントへ相談することができます。
また、教育訓練給付制度では、雇用保険に加入している人が教育訓練を受講した場合、本人に対して補助金を支給しています。支給金額は、教育訓練にかかった費用の20%(上限10万円)です。
このほか、厚生労働省では人材開発支援助成金制度も設けています。人材開発支援助成金制度も、教育訓練給付制度と同様に、専門的な知識や技能の獲得に要した訓練経費に対して助成を受けることが可能です。

2023年度キャリア意識調査レポート  大手企業における従業員のキャリア支援のあり方を探る

キャリア形成が注目されている背景

昨今では、個人が主体的にキャリアを構築するキャリア形成の重要性が急速に高まりつつあります。キャリア形成が注目されている背景は、主に以下の3つです。

  • 雇用形態の変化
  • 働き方や価値観の多様化
  • デジタル技術の発達

ここからは、キャリア形成が注目されている背景について一つずつ深掘りしていきましょう。


雇用形態の変化

キャリア形成が注目を浴びている理由の一つに、雇用形態の変化が挙げられます。
以前の日本では、終身雇用や年功序列の考え方が当たり前でした。「キャリアは会社から与えられるもの」と捉える考え方も多く、キャリア形成について考える場合も「今いる組織の中でどのようなキャリアを積むか?」に焦点が当たっていました。
しかし、昨今では雇用の流動化が進みつつあります。かつては当たり前だった終身雇用制度も崩壊し、副業や兼業、フリーランスとしての独立を目指す人も決して珍しくありません。
こうした雇用形態で自己実現を達成するためには、広い視野で自分自身の将来について真剣に考えることが必要不可欠です。雇用形態が変化しつつある昨今、自分自身のキャリアを主体的にコントロールする重要性はますます高まっています。


働き方や価値観の多様化

働き方や価値観の多様化も、キャリア形成が注目されている理由の一つです。
最近では、正社員だけではなく、副業やフリーランスといった働き方も一般的になりました。また、テレワークやフレックスタイム制など、柔軟な働き方を支援する企業も増えてきています。
働く場所や環境が多様化している昨今では、自分自身にあった働き方を主体的に選ぶ人も多いです。働き方や価値観が多様化する中で、長期的なキャリアも主体的に選択しようという意識が浸透しつつあります。


デジタル技術の発達

キャリア形成が注目を浴びている理由の一つに、デジタル技術の発達も挙げられます。
昨今、AIを筆頭としたテクノロジーの進化は目覚ましいです。例えば、ChatGPTを始めとした生成AIは、ホワイトカラーの職業のあり方を大きく変える可能性があり、メタバースやブロックチェーンなど、AI以外にも数多くのデジタル技術がビジネスに大きな影響を与えています。
こうした時代の中で、AIに代替されない仕事を続けていくためには、自分自身のキャリアに対して真剣に向き合うことが必要不可欠です。
10年後、20年後も必要とされる人材であり続けるために、キャリア形成を通じて自分にしかできない仕事を見つけることが求められています。

監修者からひと言

企業でキャリア形成が注目されている背景に、キャリア自律へ取り組む企業が増えていることがあります。社員一人ひとりがキャリアを自分で決めて、学び続けることを推進している企業が多いため、社員のキャリア形成がさらに注目されています。


2023年度キャリア意識調査レポート  大手企業における従業員のキャリア支援のあり方を探る

キャリア形成を行うメリット

キャリア形成を行うことには、社員と企業の双方にとってさまざまなメリットがあります。キャリア形成を行うことで得られるメリットは、主に以下の3点です。

  • 目指すべき未来と今やるべきことが明確になる
  • 強みや役割を認識できる
  • 組織の成長につながる

キャリア形成によって期待できるメリットについて確認していきましょう。


目指すべき未来と今やるべきことが明確になる

キャリア形成を行うメリットとして、「目指すべき未来」や「今やるべきこと」を明確化できる点が挙げられます。
ただ単に働いているだけでは、自分がどこへ向かっているのか、何になりたいと思って働いているのかが曖昧になってしまいます。ふとした時に自分の将来像が曖昧なことに気がつくと、現在の仕事に対するモチベーションが低下してしまったり、将来像を見失ってしまったりしがちです。
キャリア形成を行うことで、「自分自身が職業人生を通じて実現したい未来は何なのか?」を明確化できます。自分自身が実現したい未来を再確認すれば、そのために今自分が何をやるべきなのかも理解できるでしょう。「実現したい未来のために努力する」という心構えを形成できれば、仕事に対して前向きな気持ちで臨むことができます。


強みや役割を認識できる

強みや役割を認識できる点も、キャリア形成に取り組むメリットです。
日々仕事に取り組んでいると、自分の強みを意識する機会はあまりないかもしれません。ミスやトラブルが発生した際に弱みを認識することはあっても、自分の強みを改めて見直す機会は少ないものです。
キャリア形成は、自分を客観的に見直すきっかけになります。例えば、「自分がなぜ成果を出せているのか?」「なぜ評価されているのか?」といった視点から自分を見直せば、自分の強みを再認識できるでしょう。こうした強みの再確認を重ねることで、自分が組織の中でどのようにバリューを発揮していくべきなのかが見えてきます。


組織の成長につながる

社員がキャリア形成を行うことで、組織の成長につながるという企業側のメリットもあります。
キャリア形成に取り組んだ社員は、自分が挑戦すべき業務や習得すべきスキルを明確にすることができます。その結果、「公募型研修へ積極的に参加する」「海外派遣プログラムに自分から手を挙げる」など、社員の主体的な学習姿勢が形成されるでしょう。社員が率先してスキルアップに取り組むようになれば、組織全体の競争力向上につながります。
また、企業が社員のキャリア形成を支援すれば、企業に対するエンゲージメントの強化も期待できます。特に、Z世代とも呼ばれる若い世代は、「自分のやりたいことができる環境かどうか?」を大切にする傾向が強いです。社員のキャリア形成支援を通じて「この環境であれば自分の成長を実現できる」と感じてもらえれば、定着率の向上やモチベーションの向上につながります。

監修者からひと言

企業が社員のキャリア形成を行うメリットの1つは、社員一人ひとりのエンゲージメント向上と生産性向上に繋がることです。価値観が多様化し、転職も活発になっている昨今、自社でのキャリアを明確化することは人材のリテンションにもなり、結果的に自社で様々なキャリアを積んだ人材が組織の業績や成果の拡大に寄与することに繋がります。


2023年度キャリア意識調査レポート  大手企業における従業員のキャリア支援のあり方を探る


キャリア形成の方法


キャリア形成は、以下の流れで実施するのがおすすめです。

  1. 自分を理解する
  2. 具体的な目標を設定する
  3. 計画を立てる
  4. 実行しながら定期的に見直す

まずは自分を理解し、自分の置かれている状況に適した具体的な目標を設定しましょう。その後、計画を立てた上でアクションを実行し、定期的に見直すサイクルに入ります。
ここからは、キャリア形成の具体的な方法についてステップごとに掘り下げていきますので、ぜひ参考にしてください。


1.自分を理解する

キャリア形成を行う際には、まず自分を理解することが必要不可欠です。まずは自己理解から取り組み、自分を客観視してみましょう。
自分を理解する際には、「Will・Can・Must」の概念を使ったフレームワークを活用するのがおすすめです。

	will can mustとは




「Will・Can・Must」を使った自己認識では、以下の3つの観点から自分の特徴を浮き彫りにしていきます。

  • Will……これからやってみたいこと、将来実現したいこと
  • Can……今の自分のスキルや知識で実現できること
  • Must……やりたいことを実現するために、今の自分は何をするべきか

キャリア形成について考える際には、まずこれまでどのような仕事に対するモチベーションが高かったのかを振り返り、経験の棚卸しを行います。その後、高いモチベーションを持って取り組むことができた仕事の共通項を探り、自分がやりたいことである「Will」を明確化しましょう。
「Will」が固まったら、次に自分のスキルで何ができるのかを「Can」にまとめます。自分の強みを把握して、今の自分に何ができるのか洗い出してみましょう。
最後に「Must」として、組織や周囲から求められている役割を考えます。その上で、Willの実現に向けてやるべきことをリストアップしてみてください。

フレームワークWill Can Mustに関して、より詳しくは以下のページで解説しています。
フレームワーク「Will Can Must」とは?


2.具体的な目標を設定する

次に、自己理解で得られた内容をもとに、具体的な目標を設定します。「Will・Can・Must」のフレームワークなどで洗い出した内容から、今の自分が何をするべきなのか考えてみましょう。
なお、具体的な目標を設定する際には、以下の2点を意識してみてください。

  • ロールモデルを設定する
  • やりたくないことをリストアップしてみる

働き方や考え方の手本となるロールモデルを見つけると、目標に向かって行動しやすくなります。また、明確な将来像が明確化されるため、目標を具体化しやすくなるでしょう。
やりたくないことをリストアップしてみることも、目標設定の際には効果的な考え方です。自分の中で「これは取り組みたくない」という事柄を明確化することで、逆説的にやりたいことをイメージしやすくなります。特に最近は、「やりたいことがわからない」「特に実現したい夢が思い浮かばない」という人が増えてきています。そうした場合には、やりたくないことから逆説的に目標設定してみる方法を試してみてください。


3.計画を立てる

目標を明確化したあとは、目標を達成するための計画を立てます。
ここまでのステップをしっかりとこなせていれば、1番目のステップで自分自身の現状を認識し、2番目のステップで目指すべき理想が明らかになっているはずです。3番目のステップでは、両者の間に存在するギャップを埋めて、目標へ到達するための方法を考えることが求められます。
目標達成に向けた計画を立てる際には、目標を実現するために必要な行動やスキル、経験などをできる限り具体的に考えてみましょう。大きなゴールを直接実現しようとせずに、いくつかの小さな目標へ分割して考えるのが大切です。いくつかのマイルストーンなどを設定すれば、難しい目標でも実現可能性を高めることができます。


4.実行しながら定期的に見直す

計画を立てたら、計画に沿って実行し、定期的に見直す段階に入ります。ここまでのステップで明らかにした現状や目標、ギャップの内容を意識しながら、キャリア形成に向けて必要な行動を積み重ねてください。
なお、環境の変化に伴って、仕事に対する価値観や実現したい夢が変わることもあるでしょう。キャリア形成は、「最初に立てた目標や計画を必ず遂行しなければいけない」というものではありません。状況や環境、自分の価値観の変化に伴って何度変更しても構わないので、定期的にキャリア形成に向けたアクションの見直しを行いましょう。

監修者からひと言

キャリア形成の方法にスキルアップとネットワーキングがあります。必要なスキルや知識を習得することでできることが増え、描きたいキャリアを実現しやすくなります。また、業界内外の人脈を広げることで自社では得られない情報を知り、その情報や人脈をきっかけにそれまで気づかなかったキャリアを考えるようになることもあります。


2023年度キャリア意識調査レポート  大手企業における従業員のキャリア支援のあり方を探る


キャリア形成に必要なスキル


キャリア形成を行うためには、人間関係の形成能力や自己理解力、キャリアプランニング能力など、さまざまな能力が求められます。企業が社員のキャリア形成を支援するためには、こうしたキャリア形成に必要なスキルを伸ばすことが有効です。
ここからは、キャリア形成を行うために必要なスキルを解説します。


人間関係形成・社会形成能力

キャリア形成を行うためには、人間関係形成・社会形成能力が必要です。人間関係・社会形成能力とは、さまざまな他者の考え方や立場を尊重し、相手と協力しながら社会へ参画する能力のことを指します。
会社で仕事を進める際には、必ず他者と協力しなければいけません。他者からの信頼を得て、協力しながら仕事を進める能力は、自分が実現したいキャリアを歩む上で必要不可欠です。
特に、他者の個性を尊重したり、他者へ働きかけたりする能力、コミュニケーション能力やリーダーシップなどは、キャリア形成の上で強く求められます。変化の激しい現代のビジネス環境でも常に信頼されるよう積極的に周囲と関係を構築しながら仕事を進めることが、キャリア形成の近道なのです。


自己理解・自己管理能力

自己理解・自己管理能力も、キャリア形成において必要不可欠な能力です。自己理解・自己管理能力とは、自分の「Will・Can・Must」などを正しく理解しつつ、自らを正しく律しながら今後の成長のために努力を重ねる力のことを指します。
キャリア形成の方法の項目で解説したように、キャリア形成を進めるためには、まず正しい自己認識が必要です。そのためには、自己を客観的な視点から見つめ直すことで強みを再認識し、弱みを素直に受け入れる力が求められます。
自分のスキルや知識、経験を正しく評価することが、キャリア形成への第一歩です。

自己理解を正しく深める方法や、自己理解を促す研修プログラム例は、以下のページで詳しく解説しています。

自己理解とは?社員の自己理解を促すプログラムを事例付きで紹介

キャリアプランニング能力

キャリアプランニング能力は、「働く」ということの意義を正しく理解し、自ら主体的にキャリアを選択する力のことを指します。キャリア形成を行うためには、キャリアプランニングの能力も必要です。
キャリアプランニング能力を高めるためには、例えば学ぶことや働くことの意義を認識する機会を設けるのが有効です。職場の中における自らの存在意義を理解できれば、自分自身が今後何をするべきなのか明確になり、キャリア形成に活かしやすくなります。
また、高い視座で将来設計する能力も必要です。目の前の仕事内容だけにとらわれず、自分がやりたいことをゼロベースで考える能力は、キャリア形成を行う上で大いに役立つでしょう。


課題解決力

キャリア形成を行うためには、課題解決力も求められます。
キャリア形成は、課題の発見と解決の繰り返しです。自分のありたい姿を実現するために解決するべき課題を発見し、その解決へ取り組むプロセスを何度も重ねることで、徐々に自分の目指したい姿へと近づいていきます。
もし自らの課題に気づくことができないと、主体的なキャリア形成はできません。些細なことであっても、自分が解決するべき課題を発見し、それを解決する方法を模索したり実行したりすることで初めて、自分の目指すキャリアへ一歩ずつ近づいていくことができます。キャリア形成をするためには、高い課題解決力が必要です。

弊社アルーでは、課題解決力を高めるための研修プログラムである「問題解決力研修」をご用意しています。社員の問題解決力を向上させるアルーの研修プログラムについて興味がある方は、以下のページをご確認ください。
問題解決力研修


自己研鑽力

自己研鑽力も、キャリア形成を行うために必要な能力の一つです。
キャリア形成を行うためには、自分自身でキャリアの道筋を見つけ、それを実現するために努力を重ねる必要があります。自己研鑽の力が弱いと、自分のありたい姿に向けて努力を継続することが難しいです。
常に自分の内側に目を向け、「できないことを一つでもできるようにする」「できることの質をより高める」といった心構えを身につけましょう。

自己研鑽力を磨くためには、自律学習の考え方について理解を深めるのが効果的です。自律学習を行うメリットやポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。

自律学習とは?企業が支援するメリットとポイント


2023年度キャリア意識調査レポート  大手企業における従業員のキャリア支援のあり方を探る


社員のキャリア形成を支援する方法

社員のキャリア形成を支援するためには、どういった施策が有効なのでしょうか。
アルーでは、従業員規模1,000名以上の企業に所属する社員を対象に、キャリア意識に関する調査を実施しました。キャリア形成に関連する各施策の満足度とキャリア展望の度合いについて調査した結果、どのような施策が社員のキャリア展望に影響を与えるかがわかってきました。結果は以下の表のとおりです。

キャリア展望と勤務先へのキャリア形成支援満足との相関


社員のキャリア形成支援につながりやすい施策は以下の通りです。

  • キャリア形成を考慮した異動・配置
  • 仕事の意義・やりがいを見出してもらう
  • 成長機会の提供

反対に以下の施策は、社員のキャリア形成にとってあまり有効ではない可能性が高いこともわかりました。

  • 安定した働き方への支援(雇用保障など)
  • テレワークの推進
  • 定時までに仕事を終える雰囲気作り

ここからは、アルーが実施したキャリア意識に関する調査の結果をもとに、社員のキャリア形成を支援する具体的な方法を紹介します。


キャリア形成を考慮した異動・配置

キャリア形成を考慮した異動や配置は、社員のキャリア形成に大きな影響を与えることがわかりました。この施策は、アルーによる調査で用意した全項目の中でも、社員のキャリア展望に対して最も高い相関係数を示しており、最も効果が期待できる施策だと言えます。
異動や配置は、社員のキャリア形成に大きな影響を与える事柄です。社員の意思やキャリアプランに関係なく異動や配置を行うと、当然ながら社員のモチベーションに悪影響を与え、主体的なキャリア形成は阻まれるでしょう。社員の意向を重視しながら、「自分の主体性が会社に尊重されている」と感じてもらうことが大切です。


仕事の意義・やりがいを見出してもらう

仕事の意義ややりがいを見出してもらうことも、キャリア形成に好影響を与えることがわかりました。
仕事の意義を感じていれば、目の前の業務に対して主体性を持って取り組むことができます。業務に対する主体性が定着すれば、自然と長期的なキャリア形成にも目を向けるようになり、自分自身でキャリアを形成していこうという姿勢につながるのです。
仕事の意義ややりがいを見出してもらう方法としては、研修を通じて仕事の意義を再発見してもらうといったものが挙げられます。MVVや企業理念の浸透を行い、企業の目指している方向や、自分がそこに対してどのように関わっているのかを理解してもらうことも重要です。

企業理念を浸透させる方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

理念浸透の方法と成功事例に見るポイント



成長機会の提供

キャリア形成に好影響を与える施策として、「成長機会の提供」も3番目にランクインしました。
社員がどんなにキャリア形成を意識していても、描いたキャリアを実現できる成長環境がなければキャリアに対する主体性は失われてしまいます。その意味で、描いたキャリアの実現可能性を高める成長機会は、キャリア形成において必要不可欠な要素です。
なお、成長機会に関しては、「組織の器が大きい」と感じているグループと、「組織の器が小さい」と感じているグループにおいて、キャリア展望との相関係数に大きな差が見られました。「組織の器が小さい」と感じている社員は、組織の成長機会にあまり期待していない傾向が見られ、相関係数の値が低いのが特徴です。組織に対する社員の期待値が低い企業では、成長機会を充実させることで、器の大きな組織へと変化させられる可能性があります。


社員が楽しさを感じられる業務をアサインする

社員が楽しさを感じられる業務をアサインするのも、社員のキャリア形成を支援する上で有効な施策の一つです。
実際、「仕事内容への興味・楽しさ」は、キャリア展望との相関において4位にランクインする重要な要素であることがわかっています。社員が楽しさを感じられる業務をアサインするためには、業務をアサインする側である上司が、各社員の「Will」をしっかり把握することが大切です。1on1ミーティングを通じて、何に対して楽しさを感じるのかを上司・部下間で共有するとよいでしょう。

1on1ミーティングの進め方やポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。

1on1とは?話すことの例や意味がないと言われないための進め方


適性に合った業務をアサインする

社員のキャリア形成を支援するためには、適性に合った業務をアサインするのも有効です。
「適性に合った仕事」は、キャリア展望との相関において、前述した「仕事内容への興味・楽しさ」に続き5位にランクインしました。自分の適性に合った仕事に取り組めている場合、仕事に対する意義や価値を見出しやすくなるため、自分の今後のキャリアを前向きに捉えやすくなります。反対に自分の適性に合わない仕事ばかり取り組んでいると、どうしても長期的なキャリアに悩んでしまうことでしょう。
1on1ミーティングの導入、上司側の業務アサインスキルの強化などを通じて、各社員の適性を見極めた業務を割り当てることが大切です。


キャリア研修の実施

キャリア研修の実施も、社員のキャリア形成を支援する有効な方法です。
キャリア研修では、キャリアの棚卸しを通じて自己認識を深めたり、ワークを実施してこれからのキャリアについて再考したりします。キャリア研修によって自己認識を深めれば、自分自身の強みや課題などを把握しやすくなり、これからのキャリアと向き合うきっかけとなるでしょう。
なお、キャリア研修の具体的な内容は、業界や業種、社員の階層などによって異なります。キャリア研修を実施する際には、階層別やテーマ別など、対象となる社員に合った最適なプログラムを実施することが大切です。

キャリアデザイン研修を設計する方法や、年代別の内容例などは以下の記事で詳しく解説しています。

キャリアデザイン研修とは?20代から50代まで年代別の設計方法を紹介

監修者からひと言

社員のキャリア形成を促す方法の1つに、異文化環境を経験する機会を与えることが挙げられます。海外現地法人や外部企業への出向、インターンシップなど、これまでのビジネスや商習慣とは異なる環境に身を置く機会を与えてみましょう。新たな人脈と協働していくプロセスを通じて、できることできないことを再認識できます。また、逆境や困難を乗り越えるプロセスを通じて、これまで見えなかったキャリアを描くことができるようにもなるでしょう。


2023年度キャリア意識調査レポート  大手企業における従業員のキャリア支援のあり方を探る


社員のキャリア形成ならアルーにお任せください


社員のキャリア形成なら、人材育成のプロフェッショナルであるアルーへお任せください。
アルーでは、これまでに幅広い業種・業界でキャリア形成を支援する人材育成施策を支援してまいりました。アルーの研修プログラムはアウトプット中心の設計で、研修内容を定着させられるのが最大の特徴です。また、お客様が抱えている課題に合わせて、柔軟に研修プログラムをカスタマイズすることもできます。
ここからは、アルーがご用意しているキャリア形成に役立つ研修プログラムを4つ紹介します。


キャリア未来地図デザイン研修

「キャリア未来地図デザイン研修」は、「キャリア未来地図」を描きながら、人生100年時代を生き抜くためのキャリア戦略を考える研修です。
社員の中には、「漠然と将来に対する不安があるが、具体的に何をやればよいのかわからない」「自分のキャリアやスキルにどのような価値があるのかわからない」といった課題を抱える人が少なくありません。キャリア未来地図研修を実施することで、自分のキャリアを客観的に見つめ直し、自分がどのような資産を持っているのか正しく認識することができます。また、普段キャリアについて考える機会がない社員に対して、自分自身のこれからのキャリア戦略を描く機会を提供する上でも有効な研修プログラムです。
年齢や職種を問わず実施できるプログラムとなっており、キャリア形成を行いたいすべてのビジネスパーソンに役立ちます。

アルーのキャリア未来地図デザイン研修についてさらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
キャリア未来地図デザイン研修

▼サービス資料ダウンロード

  キャリア未来地図デザイン研修サービス資料ダウンロード 「キャリア未来地図デザイン研修」のサービス資料をダウンロードいただけます。「キャリア未来地図」を描きながら、 「人生100年時代」のキャリア戦略を考えることを目指します。 アルー株式会社



キャリアデザイン 新入社員研修

「キャリアデザイン 新入社員研修」は、活躍できるビジネスパーソンになるためのキャリア形成の考え方について学び、キャリアに対する主体性を定着させるための研修プログラムです。
社会人としてのマインドが十分に醸成されていない新入社員の中には、「キャリアは会社が用意してくれるもの」「自分は与えられた仕事をやっていればよい」と考えている人もいます。「キャリアデザイン 新入社員研修」を受講すれば、こうしたマインドを変革し、キャリアは自ら切り拓いていくものであるという認識を定着させることが可能です。
キャリアを主体的に切り拓く重要性を学ぶのはもちろん、キャリア形成を行うのに必要な考え方やスキルも同時に伸ばすことができる研修内容です。

「キャリアデザイン 新入社員研修」の内容やプログラム例は、以下のページで詳しくご紹介しています。
新入社員向け キャリアデザイン研修~キャリアの自己決定~

▼サービス資料ダウンロード

  キャリアデザイン新入社員研修サービス資料ダウンロード 「キャリアデザイン 新入社員研修~キャリアの自己決定~」のサービス資料をダウンロードいただけます。活躍できるビジネスパーソンになるための「キャリアの捉え方」を学び、明日から活かせるようになることを目指します。 アルー株式会社


30代社員向けキャリアデザイン研修

「30代社員向けキャリアデザイン研修」は、自分のキャリアへ自律的に向き合うことを通じて、仕事に対する当事者意識の醸成とパフォーマンスの向上を実現できる研修プログラムです。
30代の社員は、「なんとなく自分のキャリアの方向性をイメージできているが、実現のために踏み出すことまでは考えられていない」「会社からの要求に、これまで通り応えていく」といった課題を抱えがちです。ある程度経験を積んで自走できるようになったからこそ、惰性で日々の仕事をこなしてしまい、キャリアに対する主体性を損なってしまうケースもあります。
「30代社員向けキャリアデザイン研修」を受講すれば、これまでに自分が培ってきた価値観からキャリアの方向性を見出し、キャリアの実現に向けた第一歩を踏み出すことが可能です。アルーの研修プログラムでは、「働き方」だけでなく「生き方」から考えるのが特徴となっており、会社からの要求と自分らしさの実現を両立するキャリアの実現が期待できます。

「30代社員向けキャリアデザイン研修」の詳細は、以下のページからご確認ください。
30代向けキャリアデザイン研修~キャリアを切り拓く~

▼サービス資料ダウンロード

  キャリアを切り拓く 30代社員向けサービス資料ダウンロード 「キャリアを切り拓く 30代社員向け」のサービス資料をダウンロードいただけます。受講者が自分のキャリアデザインに自律的に取り組むことにより、仕事を自分事として捉えパフォーマンスを向上させると共に、自己成長のために能動的に仕事の幅を広げていくことを目指します。 アルー株式会社



40代社員向けキャリアデザイン研修

「40代社員向けキャリアデザイン研修」は、自分自身の原動力や周囲とのつながりを再認識し、自分の向かいたい方向へ向けた新たな一歩を踏み出すための研修です。
30代の社員よりもさらに経験を積んだ40代の社員の場合、「現状を変える気持ちや挑戦する勇気が足りない」といった課題に直面しがちです。また、現在の40代の社員の中には、「キャリアは会社が与えるもの」「異動や配置、昇進昇格は会社主導で進めるもの」といった、従来のキャリア観を持ったままの人も見られます。
「40代社員向けキャリアデザイン研修」を受講すれば、自分のキャリアについて考える重要性を理解し、自らの向かいたい方向を主体的に見出すことが可能です。自分の行動原理を正しく把握した上で、キャリアの実現に向けた一歩を踏み出すことができます。

「40代社員向けキャリアデザイン研修」の詳細は、以下のページからご確認ください。
40代キャリア研修

▼サービス資料ダウンロード

  40代キャリア研修サービス資料ダウンロード 「40代キャリア研修」のサービス資料をダウンロードいただけます。キャリアの変化に合わせて、自分がどのように変化していけばよいのかを学べます。 アルー株式会社

2023年度キャリア意識調査レポート  大手企業における従業員のキャリア支援のあり方を探る

まとめ


キャリア形成について、注目されている背景や必要な能力、キャリア形成を支援するために必要な施策などを幅広く解説しました。
雇用の流動化が進んでいる昨今では、「キャリアは会社が与えるもの」という従来のキャリア観が大きく変化しつつあります。AIをはじめとしたデジタル技術が進歩した現代において価値を発揮する個人となるためには、自分自身について客観的な認識を深め、戦略的にキャリアを歩むことが必要不可欠です。ぜひこの記事の内容を参考にキャリア形成を進め、個人の成長や企業の競争力強化へつなげていきましょう。

アルーのキャリア未来地図デザイン研修についてさらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
キャリア未来地図デザイン研修

▼サービス資料ダウンロード

  キャリア未来地図デザイン研修サービス資料ダウンロード 「キャリア未来地図デザイン研修」のサービス資料をダウンロードいただけます。「キャリア未来地図」を描きながら、 「人生100年時代」のキャリア戦略を考えることを目指します。 アルー株式会社



アルー株式会社
アルー株式会社
20年以上、企業向けに人材育成コンサルティングや研修を提供してきた。新入社員・管理職といった階層別研修や、海外駐在員やグローバルリーダーなどのグローバル人材育成、DX人材育成に強みを持つ。その実績は取引企業総数1400社以上、海外現地法人取引社数400社以上に及ぶ。京都大学経営管理大学院との産学連携など、独自の研究活動も精力的に行っている。
お問い合わせ
無料資料請求
メガメニュー格納セクション

おすすめセミナー

人気記事ランキング

タグ一覧

お問い合わせ
ページトップへ戻る