
【事例あり】役員研修で取り扱うべき内容や研修目的を解説
現代における企業経営は困難を極めており、企業を維持するためには役員研修を実施し、役員を成長させることが必要不可欠です。
しかし、役員研修といっても「どのような研修を実施すれば良いか分からない」といった不安を抱える企業も少なくありません。
この記事では、役員研修の目的や取り扱うべき内容、研修効果を高めるポイントなどを解説します。
目次[非表示]
- 1.役員研修は企業の成長に不可欠
- 2.役員研修の目的
- 2.1.企業の経営理念・ミッション・ビジョンを実現するため
- 2.2.業績を高めるため
- 2.3.経営者の負担を軽減するため
- 2.4.役員に必要なスキルを高めるため
- 3.役員研修で取り上げるべき内容
- 3.1.経営に関するマネジメント力
- 3.2.決断力、実行力
- 3.3.人的ネットワーク力
- 3.4.コーポレートガバナンス(内部統制)
- 3.5.組織デザイン
- 3.6.サステナビリティ経営
- 3.7.ダイバーシティ経営
- 3.8.テクノロジーやデータサイエンス理解
- 3.9.ビジョン創造
- 3.10.コンプライアンス
- 3.11.リーダーシップ
- 3.12.リスクマネジメント
- 3.13.SDGs・DXなどの新しい取り組みに対する研修
- 4.役員研修の効果を高めるポイント
- 4.1.研修の目的を明確にする
- 4.2.経営トップとの対話
- 4.3.外部有識者との対話
- 4.4.適応課題にアプローチする
- 4.5.組織・受講者自身の課題を認識するプログラムを取り入れる
- 4.6.コーチングやアクションラーニングを取り入れる
- 4.7.外部の研修会社を利用することも大切
- 5.アルーが行っている役員研修事例
- 5.1.コミュニケーション変革研修
- 5.2.女性役員候補者育成研修
- 5.3.海外拠点長育成研修
- 6.役員研修ならアルーにお任せください
役員研修は企業の成長に不可欠
役員研修とは、企業の経営に関わる人材として必要なマネジメントスキルをはじめ、「リーダーシップ」や「変化に対応できる能力」などを身につけるための研修です。
新入社員や中堅社員に向けた研修とは異なり、高いレベルのスキルを学ぶ研修内容となっている傾向があります。
役員は責任感と的確に判断できる能力が必要であり、経営に関わる人材として意思決定にも参加するため、変化の激しい現代のなかで柔軟に対応しながら企業を成長させるためにも必要不可欠な人材です。
そのため、近年では研修を通じて役員が求められている能力を身につけ、企業を成長させていくという考えが広まっています。
役員研修の目的
役員研修の具体的な目的として、以下の4つが挙げられます。
- 企業の経営理念・ミッション・ビジョンを実現するため
- 業績を高めるため
- 経営者の負担を軽減するため
- 役員に必要なスキルを高めるため
下記では、それぞれに分けて具体的に解説します。
企業の経営理念・ミッション・ビジョンを実現するため
まず、企業の経営理念や、ミッション・ビジョンを確認し、「組織のビジョンを実現するために自身は何をするべきか」を知り、社員に向かってどのように発信するべきかを学ぶ目的があります。
役員は社員と接する機会が少ないため、心理的な距離もあり、コミュニケーションが取りづらいですが、そのような中で役員としてどう振る舞うべきか、ビジョンの実現のために必要なスキルを取得します。
業績を高めるため
役員研修には、企業の業績を高める目的が含まれています。
上述したように役員は経営に関わる幹部の一人であり、意思決定も行うため、事業運営に大きな影響を与える人材です。
そのため、研修を通じて得た知識やスキルは企業経営に直結することが多くあり、役員の能力が企業の業績を左右するといっても過言ではありません。
確実な業績向上を狙いたい場合は高度な役員研修を実施し、的確な判断と円滑に業務が進められる人材を育てることが大切です。
経営者の負担を軽減するため
役員の経営に関わる幹部としての能力が十分であれば、経営者の負担を軽減することができます。
しかし、一方で役員の能力が足りてなければ最終的な意思決定やマネジメントなどは経営者が行わなければならず、企業経営の妨げにつながってしまうかもしれません。
そのため、役員研修を通じて役員の知識やスキルを向上させ、経営者の負担を軽減することで円滑な企業経営ができるようになるでしょう。
役員に必要なスキルを高めるため
役員は経営に関わる人材であるため、役員として必要不可欠なスキルを高めることや、求められる能力を身につけることは非常に重要です。
そのため、元々ある能力を伸ばす研修や、役員候補の社員に必要な能力を学習させる研修などの実施は、定期的に行っておくことをおすすめします。
また、役員のなかから経営者になるという方は少なくないため、役員としての知識やスキルを含め、経営力も高めておくと良いでしょう。
役員研修で取り上げるべき内容
ここまで役員研修の目的について解説してきました。
それらを踏まえ、役員研修ではどのような内容を取り上げれば良いのかと疑問に思う方も多いでしょう。
役員研修において、特に取り上げるべき内容は以下の通りです。
- 経営に関するマネジメント力
- 決断力、実行力
- 人的ネットワーク力
- コンポレートガバナンス(内部統制)
- 組織デザイン
- サステナビリティ経営
- ダイバーシティ経営
- テクノロジーやデータサイエンス理解
- ビジョン創造
- コンプライアンス
- リーダーシップ
- リスクマネジメント
- SDGs・DXなどの新しい取り組みに対する研修
それぞれ詳しく解説します。
経営に関するマネジメント力
現代では、VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代といわれており、デジタルテクノロジーによる進展が加速しています。
そのため、役員には変化への対応力を向上させ、企業価値を成長させられるマネジメント力が必要不可欠です。
具体例としては、経営ビジョンや経営戦略などの経営に関わるマネジメントや、ビジネスモデルの変革などを行うことが多い傾向にあります。
決断力、実行力
決断力や実行力を保有していることも役員にとっては欠かすことができません。
役員は上から指示されて行動するのではなく、「どのように会社を動かしたら良いのか」ということを自身で考えながら行動する必要があります。
場合によっては、社運を左右するような判断やリスクを抱えながらも思い切った判断するようなこともあるため、いかに冷静な決断や実行ができるかが重要です。
人的ネットワーク力
役員であれば社内外問わず、これまでに培ってきた人脈があるという方は多いのではないでしょうか。
それらの人脈に加えて、異業種の役員との交流によって特別な人的ネットワークを構築できる能力も必要な要素です。
主に、「経験の幅を広げ、異業種の知識を深める」や「社外の業務を引き受け、新しい価値観を得る」といったことを行うと、人的ネットワークは広がりやすいでしょう。
研修では、これらを踏まえて分かりやすく実施することで役員としての人的ネットワーク力が身につきやすくなるといえます。
コーポレートガバナンス(内部統制)
コーポレートガバナンス(内部統制)とは、企業が事業活動をするうえで、健全で効率的に運営するための仕組みをいいます。
役員になって間もない方やイマイチ理解できていないという方に対しては、必ずコーポレートガバナンス(内部統制)の研修を受講させることをおすすめします。
研修を通じて、コーポレートガバナンス(内部統制)の概要や役員としての役割認識を学習することで、社内管理体制を正常に機能させることが可能です。
また、今後の企業内で行うべきコーポレートガバナンス(内部統制)強化の内容を明確化することができるようになるでしょう。
組織デザイン
組織デザインとは、在籍している社員の能力を最大限に発揮できる環境を構築しつつ効率的に業務が進められる組織をデザインすることをいいます。
役員は、各部署などに指示を出すこともあるため、組織デザインに大きく関わる人材です。
そのため、研修を通じて組織のビジョンや経営戦略を理解し、具体的に組織の構築できるようになることが求められます。
サステナビリティ経営
サステナビリティ経営とは、環境や社会、経済の3つの観点において、持続可能な状態を実現する経営のことをいいます。
サステナビリティ経営は企業の長期的な継続には欠かせないため、企業活動においても考慮すべきポイントです。
役員は、サステナビリティ経営を意識しながら企業経営を担わなければならないため、研修を通じてしっかり理解することが大切といえます。
ダイバーシティ経営
役員はダイバーシティ経営も意識しながら企業経営する必要があります。
ダイバーシティとは、多様性や相違などを意味する言葉であり、ダイバーシティ経営は多種多様な人材が活躍できる組織を作り、企業の持続的な成長を図る経営戦略をいいます。
現代における多様性はさまざまであり、表面的な多様性や深層的な多様性など、非常にデリケートな要素です。
そのため、研修ではさまざまな多様性を理解し、どのような方でも能力を十二分に発揮できる機会を提供できるようにするために学習することが求められます。
ダイバーシティに関する研修や事例に関しては、以下のページからご確認ください。
『ダイバーシティの取組み事例10選。ダイバーシティとはなにかを簡単解説』
テクノロジーやデータサイエンス理解
現代ではテクノロジーが飛躍的に進歩しており、数学や統計学、プログラミングなどの理論を活用したデータの分析や解析を行うデータサイエンスが注目されています。
そのため、役員がそれらの技術に対してしっかり理解していることは経営戦略にも大きく影響します。
研修を通じて学習することで、「画期的な技術を自社にどのように活かせるか」「その技術をどこに活かせば業務効率化を図れるか」などを考えて企業経営に活かせるようになるでしょう。
ビジョン創造
企業におけるビジョンは、将来的な目的や実現したい未来像、果たすべき使命などを指しており、企業にとって欠かすことができない要素です。
そのため、ビジョンがなければ経営方針が決まっていないようなものであり、在籍している社員は不安になってしまう可能性があります。
役員は、このビジョンを創造して企業の方向性を決める場合もあり、その企業に合った的確なビジョンを作れることが求められます。
コンプライアンス
コンプライアンスとは法令順守という意味を持ち、社会的な規範に従って社会から非難されないように行動をすることを指します。
今の時代ではコンプライアンスは注意すべき要素であり、役員はコンプライアンスに関わる知識を保有していることが求められます。
そのため、研修を受講してコンプライアンスに関わる知識を学習し、コンプライアンスを守るための社内ルールの策定などを行えるようにしましょう。
コンプライアンス研修の目的や成功のポイントに関しては、以下の記事で詳しく紹介しています。
『コンプライアンス研修の目的とは?効果的な実施方法まで詳しく解説』
リーダーシップ
役員は組織をけん引していく存在であるため、リーダーシップも求められるスキルの一つです。
上記でも触れましたが、役員はビジョンの創造やビジョンの発信を行い、目標達成するために社員のモチベーションを高めていく必要があります。
そのため、マネジメントスキルやコミュニケーション能力を活用しながら、リーダーとして社員を導いていくことが求められます。
アルーが行っているリーダーシップ研修に関しては、以下のページをご確認ください。
リーダーシップ研修
リスクマネジメント
リスクマネジメントとは、将来発生するかもしれないようなリスクを想定し、あらかじめ損失や損害を最小限に抑えることをいいます。
あらゆるリスクを想定していれば、品質低下などによる企業イメージの悪化や、自然災害による被害を抑えることが可能です。
役員はさまざまなリスクの可能性を事前に想定しておき、そういった際に適切な対応ができることが求められます。
SDGs・DXなどの新しい取り組みに対する研修
SDGsやDXといった新しい取り組みに対する役員研修も実施しておくことをおすすめします。
SDGsは、サステナビリティで挙げた3つの観点について具体的な17のゴールを設定してより良い未来を築くことを目指している取り組みです。
一方、DXはテクノロジーなどをはじめ、さまざまな技術を活用して業務の自動化や働き方改革の推進を図ることをいいます。
これらは近年非常に注目を集めており、自社内で取り組むことで企業としてのさらなる成長が期待されているため、役員にとっては抑えておきたい要素でしょう。
DX人材の育成や必要スキルに関しては、以下の記事で詳しく紹介しています。
『DX人材とは?必要なスキルや人材確保の方法』
SDGsに関する研修は、以下の記事で詳しく紹介しています。
『SDGs研修の目的とは?ゲーム形式の効果的な研修例を紹介』
役員研修の効果を高めるポイント
上記では、役員研修において取り上げたい内容について解説してきました。
それらを踏まえ、研修効果をさらに高めるポイントとしてはどういったことが挙げられるのでしょうか。
下記では、効果を高められるポイントを具体的にご紹介します。
研修の目的を明確にする
役員研修のなかには定期的に行っているという理由から、なんとなく研修を行ってしまっているということは少なくありません。
その場合だと受講者は何を目的に研修しているのか分からなくなってしまい、研修効果を実感しにくい可能性があります。
そのため、「この研修で得られること」や「研修を通じて伝えたいこと」などの目的を明確にして研修を行うことが大切です。
経営トップとの対話
役員研修の前後に経営トップと対話することも大切です。
「役員に期待すること」や「これからの時代に求められる経営」などを話すことで、経営者と役員の間で認識合わせを行うことができ、方向性の相違を防ぐことにつながります。
他の階層の研修では経営トップが研修に携わることはあまりないかもしれません。
しかし、役員研修の場合は経営トップにも研修に参画してもらう必要があります。役員研修を企画する際には、経営トップとも議論しながら進めるとよいでしょう。
外部有識者との対話
経営トップとの対話に加え、外部の有識者との対話も研修効果を高めるポイントの一つです。
外部の有識者であれば、第三者の観点からの意見を聞くことができます。自社内で対話するだけでは気付けなかったような視点も得られるでしょう。
そのため、役員研修の前後に外部の方と話せる機会があれば積極的に会話するように意識すると良いでしょう。また、外部の有識者に研修講師を依頼することもおすすめです。研修の内容に外部の有識者の意見や経験を反映できるので、研修内容が充実することにもつながります。
適応課題にアプローチする
適応課題とは、自身や企業の価値観や考え方に根ざしており、今の価値観だと対応が難しいような課題のことをいいます。
例えば、「部下は上司の言うことを聞くべきだ」「自分のやり方でやれば絶対に成功する」というような考え方をしている上司は、部下のやり方を否定したり、部下の自発的な行動を制限したりしてしまいます。このように技術やスキルを身につけるだけでは解決できない課題を適応課題と呼びます。
こういった思い込みによる適応課題は珍しいことではなく、自身の価値観の変革や偏った思想を手放すといったアプローチをすることで改善することが可能です。
適応課題について詳しくは下記の記事をご覧ください。
『適応課題と技術的課題の例を紹介。研修で適応課題にアプローチする方法』
組織・受講者自身の課題を認識するプログラムを取り入れる
役員研修の冒頭や事前課題で、自身や組織の課題を認識する時間を設けることも研修効果の向上に効果的です。
誰かから課題を押し付けられて認識するのではなく、受講者自らが考えることでその後の研修内容を自分のことのように捉えることができます。
そうすれば研修内容をより理解しやすくなるほか、さらなる成長が期待できるようになるでしょう。
コーチングやアクションラーニングを取り入れる
研修によるインプットだけで終わらせるのではなく、受講者にコーチをつけて研修後の行動の変化を支援することも有効な手段です。
そうすることで受講者はより現実的に変化を実感することができ、研修効果を体験しやすくなります。
また、課題に対する解決策をグループディスカッションで行い、解決策の実行と振り返りを繰り返しながら個人と企業の学習能力を向上させるアクションラーニングを取り入れるのも良いでしょう。
アクションラーニングに関しては、下記の記事で具体的に解説しているので併せてご確認ください。
『アクションラーニングとは|効果や進め方・注意点について』
外部の研修会社を利用することも大切
自社内で行う役員研修だけではなく、研修を専門的に扱っている外部の会社を利用して社外研修を行うのも大切です。
外部の研修会社であれば、自社にはないような価値観に触れることができ、今までになかった発想や専門的な知識を得ることができます。
また、上記でも触れた外部有識者と会話する機会にもつながるため、研修をより良いものにできるようになるでしょう。
研修を外部委託すべきかどうかや、外部の研修会社を利用している企業の割合については、以下の記事で詳しく紹介しています。
『研修は外部委託すべき?委託している割合や委託先選定のポイント』
アルーが行っている役員研修事例
アルーは人材育成を専門的に手掛けている企業であり、役員研修をはじめ数多くの研修を実施しています。
ここでは、アルーの実際に行った役員研修の事例についてご紹介します。
コミュニケーション変革研修
経営層のコミュニケーションスタイルを見直し、健全な組織を作る研修の事例です。
経営層の中にコミュニケーションスタイルに難がある方は少なからずおり、不健全な上意下達の文化が構築されている場合があります。
具体的な事象として、「反論できない雰囲気を醸成している」や「相手は知らないと決めつけて会話している」といったことが挙げられます。
こういった不健全な環境があると、社員は十分に能力を発揮することができず、萎縮してしまいかねません。
その状態を解決を図るべく、経営層には「今の自分についての振り返り」や「自身のコミュニケーションに関する認識」、「今後求められるコミュニケーションスタイルの理解」といった内容を学んでもらいました。
さらには、それらに加え、今後の企業経営において必要な「社員の心地良さ」への理解も促進しました。
女性役員候補者育成研修
今後2年以内を目安に、役員昇進が期待されている女性部長を対象に実施した研修事例です。
役員への昇進が期待されている候補者に対し、役員になるために必要な視野・視座の獲得を促すマインドセットを行いました。
また、それぞれに合わせたフォローを行うために、研修とコーチングを組み合わせた構成としています。
この研修を通じて、受講者が「今まで築いてきたキャリアや価値観を改めて振り返り、役員となることを前向きに捉えることができる」ということを目指しています。
海外拠点長育成研修
海外の拠点長として、経営マネジメントを行ううえでの重要なスキルや考え方をケーススタディやディスカッションを通じて学習した研修事例です。
はじめに受講者の間で悩んでいることや今後の不安を共有し、共通の話題づくりを行いました。
その後、「拠点長は何をするのか」や「拠点長の業務」などを上位管理職という観点から学びます。
それに加え、現地でよく起こることに関してケーススタディを通して疑似体験をし、海外現地での実践に備えました。
役員研修ならアルーにお任せください
役員研修の目的や取り上げるべき内容、役員研修の効果をさらに高めるポイントなどについて解説してきました。
役員研修を行うことで、より的確な判断力を身につけることができ、円滑な意思決定を行うことができるようになります。
また、変化が目まぐるしい現代において、柔軟に対応できる役員がいることが企業を成長させていくうえでは欠かせないといえるでしょう。
役員研修の実施を考えている場合は、人材育成を専門としているアルーへお任せください。
アルーが長年培ってきた人材育成のノウハウを活用し、貴社に最適な役員研修をご提案します。
アルーの役員研修については、以下からお気軽にお問い合わせください。
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