新入社員への評価コメントの例文集。成長につながる評価のコツ
新入社員の能力を伸ばすために、新入社員研修を実施している企業は多いでしょう。新入社員の効果的な成長を促すためには、配属後の評価も重要です。配属後に上司から質の高いフィードバックを得ることができれば、新入社員は社会人に必要なスキルやスタンスを効率よく獲得できるでしょう。
この記事では、新入社員への評価コメントの例文集を紹介します。新入社員の成長につながる評価を行うコツも解説するので、ぜひ参考にしてください。
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新入社員への評価コメントの例文
新入社員を評価する際には、以下の3つの観点を意識してコメントするのが効果的です。
- マインド面
- 業務面
- コミュニケーション面
「業務面ばかりにコメントして、マインド面には触れていない」などとなってしまわないように、それぞれの観点をバランスよく取り入れてみてください。ここからは、3つの観点における、新入社員への評価コメントの例文を紹介します。
マインド面への評価コメント例文
マインド面への評価コメントの例文は、以下の通りです。
褒める場合 |
「厳しいフィードバックでも素直に受け入れ、次の仕事に活かせている」 |
指摘する場合 |
「指示されたこと以外の仕事を自分から見つけ、周囲にサポートを求める姿勢があると望ましい」 |
マインド面では、主体性や前向きさ、相手視点の有無などを中心にコメントするとよいでしょう。学生時代の意識が抜けきれていない場合、常に指示待ち状態となってしまう新入社員も少なくありません。自分から動けているかどうか、相手に寄り添った仕事ができているかどうかなどに触れるのがおすすめです。
また、フィードバックを素直に受け入れる姿勢や、経験から学ぼうとする姿勢なども評価してみてください。こうしたマインドは新入社員の長期的な成長に大きな影響を及ぼすため、早い段階から土台を完成させておくのが重要です。
新入社員のマインドセットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
『新入社員に研修で伝えたいマインドセット。育成方法・事例を解説』
業務面への評価コメント例文
業務面への評価コメントの例文は、以下の通りです。
褒める場合 |
「自分なりに仕事の優先順位とスケジュール調整をし、定期的に上司に報連相できている」 |
指摘する場合 |
「事前に相手の期待値を確認しなかったために、期待する成果を出せないことがある。相手の期待値を確認する癖をつけるべき」 |
業務に不慣れな新入社員の場合は、仕事の「型」となる基本動作が徹底できているかをコメントしましょう。例えば、以下のような習慣が身についているかに触れるのがおすすめです。
- 相手の期待値を確認する
- 仕事の段取りを行う
- こまめに報連相を実践する
- 仕事の優先順位をつける
- 仕事のスケジュール調整をする
- 相手の期待値を超えるようなアウトプットを出す
日頃から部下の仕事の進め方をよくチェックして、こうした観点からコメントを書けるように準備しておきましょう。
コミュニケーション面への評価コメント例文
コミュニケーション面への評価コメントの例文は、以下の通りです。
褒める場合 |
「自分から周囲に働きかけ、他部署にもネットワークを広げている」 |
指摘する場合 |
「相手から想定外の反応が返ってきた際に対応できず、Win-Winの関係を築くことができないことがある。相手視点でコミュニケーションを取り、Win-Winの関係を築くように心がけましょう」 |
コミュニケーション面では、自分とは異なる考え方の相手を受容する姿勢があるかどうか、相手を尊重する姿勢があるかどうかに触れましょう。学生時代の意識から脱却し、ビジネスで多様な人と関わる重要性を理解してもらうのが大切です。積極的に自分からコミュニケーションを取れているかどうかも確認しておきましょう。
また、一見円滑な人間関係が構築できているように見えても、実は言いづらいことを我慢していただけというケースは少なくありません。伝えたいことを我慢せずに伝える姿勢があるかどうかも、重要な観点です。
新入社員に必要なコミュニケーション能力については、以下の記事で詳しく解説しています。
『新入社員向けコミュニケーション研修の内容|事例や成功させるコツを紹介』
新入社員へ適正な評価コメントを行うメリット
新入社員へ適正な評価コメントを行うメリットは、以下の2点です。
- 新入社員の成長につながる
- 離職率の低下
それぞれのメリットについて、詳しく解説します。
新入社員の成長につながる
新入社員へ適切な評価コメントを行うことで、新入社員の成長を促すことができます。
仕事に不慣れな新入社員の場合、自分は何ができていて、何ができていないのかを正しく認識できていないことも多いものです。評価コメントを通じて客観的な立場から評価してもらうことで、「自分ができていること」「できていないこと」がそれぞれ明確になります。その結果、次にどう行動していけばよいのか考えられるようになり、今後の成長につながるでしょう。成長が間違った方向へ進んでいる場合も、評価コメントを通じて軌道修正することができます。
離職率の低下
離職率を低下させられる点も、適正な評価コメントを行うメリットの一つです。
新入社員の中には、職場で孤立感を感じたり、「上司から放置されている」と感じたりして、早期退職を検討する人もいます。自分のことをしっかり評価してくれている人がいるとわかるだけで、「放置されていない」という安心感につながり、離職低下が期待できるのです。
また、自分の仕事が適正に評価されていると感じれば、業務に対するモチベーションアップも実現できます。できている点をしっかり褒めることで本人に自信が生まれ、仕事に対して前向きな姿勢を形成できるでしょう。
新入社員が早期退職する理由や、対策方法などは以下の記事で詳しく解説しています。
『新入社員が早期退職する理由は?対策の方法6選と効果的な研修について』
新入社員への評価コメントのポイント
新入社員の成長につながる評価コメントを書くためには、いくつかのポイントを意識する必要があります。具体的なポイントは、以下の7つです。
- 具体的かつ客観的に成果を挙げて評価する
- 成果を挙げるための経緯も評価する
- フィードバックのバランスを意識する
- 強み・成長の余地などに焦点をあてる
- 改善点に対するアドバイスも具体的にする
- 公平性を保つ
- 新入社員の意見も尊重する
ここからは、新入社員への評価コメントを書く際に意識しておきたいポイントを解説します。
具体的かつ客観的に成果を挙げて評価する
評価コメントを書く際には、具体的な成果を挙げつつ、客観的に評価するよう心がけましょう。
特に、何が評価につながったのかを明確に記載するようにしてみてください。新入社員は、自分のどのような行動が評価につながったのかを知ることで、自信につながります。また、評価された行動が明確になれば、どういった評価軸で評価されているのかわかりやすくなります。その結果、評価に対する納得度も高くなるでしょう。
成果を挙げるための経緯も評価する
成果を挙げるための経緯を評価することも、評価コメントを書く際に重要なポイントです。
ただ単に「〇〇を達成したのが素晴らしかった」と記載するのではなく、そこに至るまでのプロセスも評価しましょう。成果を出すまでの経緯も見てくれていたと感じてもらえれば、会社への信頼につながります。細かく見てくれているとわかれば、業務に対するモチベーションアップも期待できるでしょう。
さらに、経緯まで見ることで、直すべきポイントがあった場合でも具体的に指摘しやすくなります。短期的な成果だけにとらわれず、成果につながった経緯も細かく分析してみてください。
フィードバックのバランスを意識する
評価コメントを書く際には、フィードバックのバランスを意識してみましょう。
成長を最大限に引き出すためには、ポジティブなフィードバックとネガティブなフィードバックを「2:1」の割合で取り入れるのが理想です。「1つネガティブなことを書いたら2つポジティブなことを書く」という意識を持つと、バランスのよい評価コメントを書くことができます。
また、ポジティブな内容とネガティブな内容を書く順番も重要です。「ポジティブ→ネガティブ→ポジティブ」という順番で記載すれば、マイナス評価ばかりが目立って自信を失ってしまう、といった事態を防ぐことができます。
強み・成長の余地などに焦点をあてる
強みや成長の余地などへ焦点をあてるのも、評価コメントを書く際に重要なポイントです。
経験の浅い新入社員の場合、業務的な部分よりも強みや成長性などに重きを置いて評価してみてください。「何ができるようになったのか」「どんな優れたスキルを持っているのか」に焦点をあてつつ、それらを肯定的に評価するのが大切です。強みや成長性をしっかりと評価してあげれば、新入社員に自信を持ってもらうことができます。
改善点に対するアドバイスも具体的にする
評価コメントで改善点を記載する場合は、それに対応するアドバイスも必ず記載しましょう。改善点を書く場合は、以下のような観点を意識しながら、内容を具体化するのが大切です。
- なぜ改善する必要があるのか
- どのようにすれば改善できるのか
- 改善して成長した姿とはどのようなものか
改善点を具体的に把握できれば、新入社員は指摘された改善点を次につなげやすくなります。特に、改善方法を具体的に示すことが重要です。「次は〇〇を意識してみる」「eラーニングなどの社内学習システムを積極的に使ってみる」など、改善に向けた道筋を提示してあげましょう。
公平性を保つ
評価コメントを書く際は、公平性を保つように意識することも大切です。
業務経験が少ない新入社員の場合、他者と比べるような評価はあまり意味がありません。持っている素質や能力は個々で違うことを意識しながら、新入社員一人ひとりの能力や成長を公平に評価しましょう。周囲の新入社員と比べて評価するのではなく、1か月前、2か月前の本人と比べてどう成長したのかに焦点をあてるのが大切です。
新入社員の意見も尊重する
評価コメントを書く際には、新入社員の意見も尊重するよう意識してみてください。
具体的には、評価コメントを伝えたあとに、評価コメントを受け取った新入社員の気持ちや意見をしっかりと聞いてあげるのが大切です。文章だけでは、書き手の意図通り伝わらなかったり、言葉足らずで本人のモチベーションを下げてしまったりする可能性もあります。「評価コメントに納得しているのか」「今後の自分の課題や動きが明確になっているか」といった点を中心に、評価後のコミュニケーションを行いましょう。
また、評価結果を伝える前に新入社員の自己評価を聞くことも重要です。自己評価を聞くことで、新入社員の自己評価と他者からの評価の乖離を明確にし、正しい自己認識ができるように支援することができます。
新入社員への評価コメントを適切に行うための方法
新入社員への評価コメントを正しく書くためには、いくつかの施策を実施するのがおすすめです。評価コメントの適正度を上げるための施策としては、以下のようなものが挙げられます。
- 評価制度を整える
- 評価担当者への研修を実施
- 評価・検証を繰り返す
- OJTシートを使用する
正しい新入社員への評価コメントを作成するために実施しておきたい施策を解説します。
評価制度を整える
正しい評価コメントを作成するためには、まず評価制度を整えることを意識しましょう。
評価制度が整っていない場合、客観的な評価ができません。評価が上司のさじ加減次第になり、曖昧で不公平な評価が行われてしまいます。
社内で統一した評価制度を設け、どういった基準で新入社員の成長を評価するのか明確化するのが大切です。「マインド面」「業務面」「コミュニケーション面」といったいくつかの観点に分けて、具体的な評価基準を策定してください。
評価担当者への研修を実施
評価担当者を対象とした研修を実施するのも、正しい評価コメントを作成するための方法です。
新入社員の評価を行う上司や人事担当者は、始めから正しい評価ができるとは限りません。研修を通じて、客観的で新入社員の成長につながるような評価を行うノウハウを学んでもらいましょう。評価基準を策定した場合は、研修を通じてそれを浸透させるのもおすすめです。
評価者研修の目的や内容、メリットは以下の記事で詳しく解説しています。
『評価者研修の目的とは?学べる内容やメリットについて』
評価・検証を繰り返す
評価と検証を繰り返すのも、新入社員の成長につながる適正な評価を行うための方法です。
新入社員への評価を行ったあとは、その後の成長をしっかりと検証し、次回の新入社員フォローアップ研修やOJTに活かしましょう。「評価で指摘した部分が想定よりも改善していない」とわかった場合は、必要に応じて研修の実施を検討してみてください。評価後の検証プロセスをしっかり行えば、「評価しっぱなし」という事態を防ぎ、評価を確実に成長へ反映させることができます。
OJTシートを使用する
OJTシートを活用することも、新入社員へ適正な評価を提供するための方法の一つです。
OJTシートとは、OJTの際に使う「育成計画シート」「コミュニケーションシート」といったシートの総称です。OJTシートには、OJTの目標やスケジュール、進捗状況を記載します。
OJTシートを活用すれば、OJTの目的や到達目標が明確になるというメリットがあります。評価の観点がはっきりするため、公平で質の高い評価を提供しやすくなるのです。また、あとからOJTの内容を振り返ることができるため、評価コメントに具体的なフィードバックを書きやすくなるでしょう。
OJTシートの書き方やメリット、ポイントは以下の記事で詳しく解説しています。
『OJTシートとは|メリットや書き方のポイントを紹介』
アルーの評価者・OJTトレーナー向け研修事例
ここからは、アルーが実施した評価者・OJTトレーナー向け研修の事例を3つご紹介します。
- 株式会社ネットドリーマーズ
- 中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京株式会社
- OJT指導員育成施策例
株式会社ネットドリーマーズ
株式会社ネットドリーマーズでは、マネージャーの評価に関する知識を平準化し、共通認識を持ってもらうために評価者研修を実施しました。
当時、株式会社ネットドリーマーズの評価方法はミッションに偏っていたため、目標を達成できない人はそのまま停滞してしまうという課題を抱えていました。評価の基準もマネージャーによってまちまちで、評価基準について全体に共有されていない状況でした。そこで、マネージャー陣の評価に関する知識の均一化が必要と考え、評価者研修を実施しました。
当研修では、研修の前に評価制度を変える理由をマネージャー陣に伝えるための時間を設けました。
評価制度を変えようとしている背景や理由、マネージャー陣がいま思っていることを吸い上げることで、評価制度の不安や要望をみんなで共有できました。
結果として、受講者がマネージャーとしての意識を持つことができるようになった事例です。
株式会社ネットドリーマーズの評価者研修実施事例は、以下から詳しくご覧いただけます。
株式会社ネットドリーマーズ 人材育成研修 導入事例
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中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京株式会社
中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京株式会社様では、2014年度に新入社員OJT育成活動(以下、OJT活動)を導入されました。
それまでは、OJTに近い形の活動や風土が無く、40代の課長の直下に新入社員が配属されるなど、社員育成の観点からもあまり理想的とは言えない状況が多くの現場で見られていました。そこでOJTの仕組みを早々に整備し、2014年度の新入社員に対応するという目標を掲げ、OJT活動を導入しました。
OJTという文化や風土がなかったため、「OJTとは」というところからはじまり、アルーが提供した関連資料、OJTハンドブックなども活用しながらOJT活動を実施しました。
次年度に向けて猛スピードでOJT環境を整える必要があり、導入にあたってのアルーの工夫や仕掛けの提案がよかったとのお声を頂きました。
また、OJTトレーナーを担当した社員の方からは、「教えることの難しさを感じながらも、自分の成長につながった」という感想を頂け、OJTトレーナーに教わった新入社員からも、「色々とよい影響を受けて知識も経験も増えました」という感想を頂くことができました。
中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京株式会社のOJTトレーナー向け研修事例は、以下から詳しくご覧いただけます。
中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京株式会社 人材育成研修 導入事例
OJT指導員育成施策例
サービス業を行っているA社では、採用者の早期戦力化に対し、管理職やリーダークラスの社員が限られた時間でOJT実施ができるようになる必要がありました。
そこで、アルーでは、管理者に対して、育成の「マインドセット」「考え方」「育成スキル」を学習する研修を企画しました。
研修のゴールを後輩社員のOJT指導のための適切な心構えと基本的スキルを身につけるとし、下記のポイントを抑えながら研修を実施しました。
- 技術的な課題の解決:OJT指導の為の考え方やスキルを学習し、OJTの方法を知る
- 適応課題の解決:OJT担当者の役割認識やOJTの意義を学び、マインドセットを行う
- OJTの心構え:自分が教えるのではなく、相手の考えや力を引き出す
受講者からは、「メンバーへの関わり方、自身の行動・発言を見直すきっかけになりました」「グループワークの中で、すぐに実行できるアクションをたくさん仕入れることができました」など有意義な研修になったという感想が聞かれました。
A社のOJT指導員育成施策例は、以下から詳しくご覧いただけます。
後輩社員のOJT指導のための適切な心構えと基本的スキルを身につけるOJT指導員育成施策例
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新入社員の上司向けの評価者研修ならアルーにお任せください。
人材育成を手掛けているアルーでは、評価コメントを作成する際に役立つ評価者研修を提供しています。
アルーの評価者研修では、新入社員の成長につながる評価を行うノウハウを学べるのが特長です。研修プログラムには演習が豊富に取り入れられており、評価の場面で役立つ実践的なスキルを定着させることができます。「評価が上司のさじ加減になってしまっている」「新入社員の成長につながるフィードバックができていない」と感じる場合は、ぜひアルーの評価者研修を活用してみてください。
アルーの評価者研修は、以下のページから詳しく確認いただけます。
評価者研修
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まとめ
新入社員に対する評価コメントについて、例文や適正な評価を行うためのポイントを解説しました。
不慣れなことも多い新入社員が成長していく上で、上司からのフィードバックは大切な存在です。成長した点、できていた点をしっかりと上司が褒めてあげれば、新入社員は自信を持ってステップアップしていくことができます。また、客観的な視点から改善点を指摘することも、新入社員の成長にとって重要です。
ぜひこの記事をきっかけに評価コメントへの理解を深め、新入社員の成長を引き出す質の高い評価を実践しましょう。