新入社員にストレスチェックは必要?ストレスチェックの方法・企業の対策を紹介
新入社員は、入社前に描いていた理想と現実にギャップを感じ、さまざまな悩みを感じています。悩みを感じている新入社員のストレスをチェックし、必要があれば対策を考えていきたい企業担当者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、新入社員のストレスチェックが必要な理由や、ストレスを感じる環境、方法、対策など、詳しく解説します。
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【時期別】新入社員が感じるストレス一覧
新入社員は学生時代と大きく環境が変わることで、ストレスを感じやすい状態となります。
具体的には、大きく分けて以下の3つが挙げられます。
- 環境によるストレス:住む場所や生活習慣、関わる人などの変化
- 人間関係によるストレス:学生のころと周りの人(上司や先輩など)との関わり方が変化
- 業務によるストレス:慣れない環境下で働く不安、理想と現実のギャップ
人事担当者が新入社員の悩みに対して効果的にアプローチするためには、新入社員が抱えるストレスを時期ごとに正しく把握することが大切です。
以下では、3つの時期に分けて新入社員が感じるストレスを解説します。
組織適応期(6~8月)に抱くストレス
組織適応期は、新入社員が組織やチームに馴染んでいく時期です。組織適応期には、以下のようなストレスを感じやすくなっています。
- わからないことばかりで戸惑う:やるべきことが多く、何から手につければよいかわからない
- リアリティショック:業務や組織が入社前の期待と異なり、職場への満足度やモチベーションが著しく低下してしまう
- 同期と比べて成長が遅れていると感じる:自信低下によりモチベーションが低下したり、積極性をなくしてしまったりする
業務適応期(9~12月)に抱くストレス
業務適応期は、実際に業務を担当して顧客視点や目的意識を徐々に形成していく時期です。業務適応期には、以下のようなストレスを感じやすくなっています。
- 自分の実力を過信してミスする:成長実感が裏目に出てしまい、業務で失敗してしまう
- 業務量が増えて追いつかなくなり、モチベーションが下がる:イレギュラーな対応が増え、本人のキャパシティを超えてしまう
戦力化・充実期(1~3月)に抱えるストレス
戦力化・充実期は、業務の質が安定し始めて成長実感を持つ時期です。戦力化・充実期には、以下のようなストレスを感じやすくなっています。
- 後輩に教えられるか不安に感じる:後輩への指導やコミュニケーションに不安を感じる
- 今後のキャリアに不安を感じる:実力面に対する自信のなさが、キャリアへの不安となって現れる
コミュニケーション面で新入社員が感じるストレス
新入社員は、コミュニケーション面でもストレスを感じやすくなっています。コミュニケーション面で新入社員が感じるストレスの代表例は以下の通りです。
- トレーナーやメンターとのコミュニケーションがあまりとれていない:OJTやメンター制度などが実質的に機能していない
- 先輩の業務が忙しく、質問したり相談したりすることに戸惑いがある:先輩との信頼関係が十分に構築されていない
- 自分の仕事に対するフィードバックが少ない:成長実感が得られにくい
- 単独での顧客対応に不安を感じる:イレギュラーが多い業務のため、不安を感じやすい
新入社員と上司の間で円滑なコミュニケーションがとれていないと、成長実感が得づらく不安を感じやすいため、ストレスを抱きやすいでしょう。新入社員とのOJTや1on1ミーティングを行う際には、上司側にも研修を行い、事前にスキルを高めてもらうことも必要です。
新入社員と上司のコミュニケーションのコツについて詳しくは以下のページをご覧ください。
『新入社員とのコミュニケーションがうまくいかない原因と正しい取り方。有効な研修は?』
新入社員にストレスチェックが必要な理由
新入社員に対しては、定期的にストレスチェックを実施しましょう。ストレスチェックを実施しないと、新入社員の離職率や休職率が増えたり、職場環境の悪化につながったりします。以下では、新入社員にストレスチェックが必要な理由を解説します。
離職や休職を予防できる
ストレスチェックの実施によって、新入社員の離職や休職を予防できます。定期的にストレスチェックができていれば限界になる前に予防や対策ができ、一方でストレスチェックを怠ると身体に不調をきたし離職や休職につながってしまいます。
新入社員の離職や休職予防について詳しくは以下のページをご覧ください。
『新入社員が早期退職する理由は?対策の方法6選と効果的な研修について』
労働安全衛生の確保
ストレスチェックは、労働者の心理的な健康状態を把握するための重要な手段です。
安全衛生とは、労働者の安全(労働安全)と健康(労働衛生)を守り、快適な職場環境を形成するための取り組みです。 企業にとっての重要な資産である労働者を守るために、企業は労働者の健康維持と災害防止に努めなければなりません。
新入社員を含むすべての労働者のストレスレベルの定期チェックを行うことにより、ストレスによる健康被害を予防し、労働環境の改善につなげられるのです。
パフォーマンスの向上
ストレスチェックを通じてストレスの管理や対処方法を実践すれば、ストレスが原因で生じる業務上の問題やミスを減らし、パフォーマンスを向上できます。また、新入社員のストレスが低減し元気に働けるようになれば、新入社員のみならずほかの社員のメンタル向上も期待できます。新入社員のストレスチェックを行うことで職場環境がよくなり、企業全体の生産性向上も期待できるでしょう。
ストレスチェックは義務化されている
2014年6月に成立した改正労働安全衛生法により、2015年12月から従業員50人以上の企業にはストレスチェック制度が義務化されました。
制度の主な目的として、労働者自身のストレスへの気付きを促進させること、ストレスの原因となる労働環境の改善が挙げられています。従業員50人未満の企業は当面の間は努力義務とされていますが、実施するべきであることに変わりはありません。
参考:2015年12月からストレスチェック制度が義務化されました | 滋賀労働局
新入社員のストレスチェックをする方法
新入社員のストレスチェック方法としては、厚生労働省が発表している「ストレスチェック制度 導入マニュアル」を参考にしましょう。会社内で新入社員のストレスチェックの実施方法をきちんと話し合い、決まったことは社内規程として明文化することが大切です。併せて、すべての労働者に内容を周知させましょう。
具体的なストレスチェックの項目について詳しくは以下のページをご覧ください。
参考:「国が推奨する57項目の質問票」
ストレスチェックする際の注意点
新入社員のストレスチェックは注意して実施しないと、会社との信頼関係を失ってしまう可能性があります。
具体的には、以下のような点に留意する必要があります。
- ストレスチェックを強制しない
- 社員のプライバシーを保護する
- 結果に応じて不利益な扱いをしない
それぞれ詳しく解説します。
ストレスチェックを強制しない
ストレスチェックする際の注意点として、新入社員にストレスチェックを強制しないことが挙げられます。
ストレスチェックを強制されることで、さらにストレスを感じてしまう新入社員もいるでしょう。また、ストレスチェックを実施したい新入社員がいつでも受けられるよう環境を整えておくことも大切です。
社員のプライバシーを保護する
ストレスチェックする際の注意点として、社員のプライバシーを保護することが挙げられます。
「ストレスチェックの結果を上司や先輩社員、同僚に知られてしまうのではないか」と考え、ストレスチェックに正直に回答しない新入社員もいるかもしれません。ストレスチェックに関連する情報は、プライベートな内容です。そのため、しっかりと個人情報を保護するしくみ作りが必要となります。社員のプライバシー保護は、企業の責務といってよいでしょう。また、プライバシーは厳守されていることを新入社員にしっかりと伝え、正直な回答をしてもらうようにフォローしましょう。
結果に応じて不利益な扱いをしない
ストレスチェックする際の注意点として、新入社員に結果に応じて不利益な扱いをしないことも挙げられます。
もし、新入社員がストレスチェックを受検してあまりよくない結果が出たとしても、不利になるような扱いをしてはいけません。ストレスチェックは、結果を受けて適切にサポートしていくことが目的です。業務を変えたりぞんざいに扱ったりするのは本来の目的とは異なるため、ストレスチェックの目的にあった活用をしましょう。
企業ができる新入社員のメンタルヘルスケア対策
職場環境を良好にするためにも、企業は年1回のストレスチェックだけでなく、新入社員のメンタルヘルスケア対策を実施し、ストレスをケアできるしくみを整えましょう。以下の6つは、企業ができる新入社員のメンタルヘルスケア対策のうち、とくに重要なものです。
- 心の健康づくり計画の策定
- 相談窓口の設置
- メンター制度の導入
- マネジメント研修・OJTトレーナー研修の実施
- メンタルヘルス研修の実施
- 職場全体で新入社員をサポートする風土を作る
それぞれの項目について詳しく解説します。
心の健康づくり計画の策定
「心の健康づくり計画」とは、従業員のメンタルヘルス対策を円滑に進めるために必要とされる厚生労働省が掲げる施策です。労働安全衛生法第69条第1項では、以下のように定められています。
事業者は、労働者に対する健康教育及び健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置を継続的かつ計画的に講ずるように努めなければならない
心の健康づくり計画に盛り込む事項は、以下のとおりです。
- 事業者がメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨の表明に関すること
- 事業場における心の健康づくりの体制の整備に関すること
- 事業場における問題点の把握及びメンタルヘルスケアの実施に関すること
- メンタルヘルスケアを行うために必要な人材の確保及び事業場外資源の活用に関すること
- 労働者の健康情報の保護に関すること
- 心の健康づくり計画の実施状況の評価及び計画の見直しに関すること
- その他労働者の心の健康づくりに必要な措置に関すること
企業は安全衛生委員会を社内に設置し、上記7つの項目を盛り込んだ計画書を策定しましょう。
相談窓口の設置
新入社員が困ったことや悩みごとがあるときに、相談できる窓口を設置しておきましょう。何かあった際に相談できる場所があれば安心感が生まれ、直属の上司や先輩には言いづらいことや誰に相談したら良いのかわからないことを気軽に相談できるでしょう。
新入社員から正直な声を聞くことができれば人事部もメンタルヘルス研修を受けてもらうことや配置替えなどを検討できます。また、相談窓口を社外にも設置することで、相談のしやすさや専門性が高まり、より効果的になるでしょう。
メンター制度の導入
企業ができる新入社員のメンタルヘルスケア対策として、メンター制度の導入も挙げられます。メンター制度とは、豊富な知識やスキルを持った先輩社員がメンターとして、後輩社員の業務やキャリアに関する幅広い支援を行う制度のことです。業務内容のみを教育するOJTトレーナーとは異なり、キャリアも含む業務以外の内容の相談にもメンターは応じます。
もし、新入社員が誰にも相談できない状況が続いてしまうと、ストレスが溜まっていきメンタル面での不調が進んでしまうでしょう。困ったときに何でも相談できるメンター制度があれば、新入社員のストレスを取り除くことができます。
メンター制度について詳しくは以下のページをご覧ください。
『メンタリングとは?メリットや進め方、効果的に実施するポイントも解説』
マネジメント研修・OJTトレーナー研修の実施
企業ができる新入社員のメンタルヘルスケア対策として、新入社員を管理・指導する上司・OJTトレーナーのマネジメントスキル・指導スキルを向上させる研修を実施しましょう。新入社員の心身が崩れる前に、管理者がいち早く予兆や変化に気づく必要があります。
そのためにはトレーナー側・上司側の知識やマインドセットが重要です。新入社員を管理・指導する上司・OJTトレーナーのマネジメントスキル・指導スキルを向上させてから新入社員の指導をしていくことが大切です。
管理者のマネジメント研修やOJT研修について、詳しくは以下のページをご覧ください。
『管理職がメンタルヘルス対策で担うべき役割とは?研修事例も紹介』
『OJT教育とは?指導やマニュアル作成のコツ、メリット・デメリット』
メンタルヘルス研修の実施
新入社員向けに実施する研修は、社会人の基礎となるビジネスマナー研修やコンプライアンス研修のみではなく、メンタルヘルスに関する研修も実施しましょう。ストレスを感じたときに、自分でストレスの程度を把握して対処できるような知識を身につけることができれば、ある程度のメンタル不調は各自で解決してもらえます。
また、メンタルヘルスの研修中には、不調が生じた場合の対処法や相談窓口を周知しましょう。メンタルヘルス不調の防止につながります。
メンタルヘルス研修の中でも、ストレスにしなやかに対応する「レジリエンス力」を新入社員に身につけてもらうことが重要です。
レジリエンス研修について、詳しくは以下のページをご覧ください。
『レジリエンス研修とは|目的や内容、成功させるポイント』
職場全体で新入社員をサポートする風土を作る
新入社員をサポートするには、「人事部だけ」・「上司だけ」・「OJTトレーナーだけ」といった誰かひとりに頼った育成ではなく、職場全体で新入社員を育てる風土を作る必要があります。また、上司やOJTトレーナー以外に新入社員が相談できる環境を整備したり、ランチ会など新入社員と先輩社員が関わる機会を設けたりすると効果的です。
そして、新入社員だけでなく経営層を含めた社員全体がコミュニケーションをとりやすい環境を作ることは、安心して働ける職場づくりにもつながります。会社としての生産性向上やチームワーク向上が期待できるでしょう。
新入社員のメンタルヘルス研修はアルーにお任せください
アルーは、人材育成を専門に手がけてきた企業です。新入社員のメンタルヘルス研修なら、ぜひアルーにお任せください。新入社員本人のメンタルヘルス研修はもちろん、上司やOJTトレーナー向けの研修の実績も多数あります。
アルーでは、決められたプログラムに沿うだけでなく、企業の課題や現状に合わせて柔軟にカスタマイズしたカリキュラムでの研修実施が可能です。
ヒアリング段階から丁寧に伴走し、社員のメンタルヘルス増進に向けた効果的な育成施策を実施いたします。
新入社員のメンタルヘルスケアに有効な「レジリエンス研修」については、以下の資料をご覧ください。
まとめ
新入社員のストレスチェックが必要な理由、新入社員がストレスを感じる環境、方法、対策を詳しく解説しました。
新入社員は学生時代と大きく環境が変わることで、ストレスを感じやすい状態です。離職や休職の予防、労働安全衛生の確保やパフォーマンス向上の観点から、企業は新入社員に対して定期的にストレスチェックを実施しましょう。
新入社員のストレスチェック方法としては、厚生労働省が発表している「ストレスチェック制度 導入マニュアル」を参考にしましょう。従業員50人以上の企業にはストレスチェック制度が義務化されているため、会社内で新入社員のストレスチェックの実施方法をきちんと話し合って決める必要があります。
そして、職場環境を良好にするためにも、企業は新入社員のメンタルヘルスケア対策を実施し、ストレスをケアできるしくみを整えましょう。この記事を参考にして、会社でメンタルヘルス研修を実施することの重要性を学び、新入社員のストレスチェック対策の参考にしてください。
※参考記事:適性検査のストレス耐性とは?6つの要素と質問例|高い人の特徴も解説