
【チェックシート付き】社会人基礎力とは?3つの能力と12の要素、診断方法・鍛え方を解説
社会人基礎力は、どの会社でも重要とされる、社会人が身につけておくべき基本的な能力です。人事担当者や経営者の方の中には、新入社員に社会人基礎力をつけてほしいと考えながらも、どのような研修をすればよいかわからないというお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、社会人基礎力の基本的な考え方から、3つの能力と12の能力要素、2018年に追加された3つの視点、診断方法、鍛え方、研修事例まで、体系的に解説します。あわせて、育成課題の整理に活用できるチェックシートや育成計画書テンプレートもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
社会人基礎力とは
社会人基礎力とは、経済産業省が提唱する、「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力から構成される考え方です。重要なのは、この定義を覚えることではなく、自社の新人育成課題をどの能力の不足として捉えるかです。
🔗 参考:社会人基礎力(METI/経済産業省)
たとえば、「指示待ちで動けない」は主体性や実行力、「報連相が遅い」は発信力や働きかけ力、「自分の仕事だけを優先してしまう」は柔軟性や状況把握力の不足として整理できます。社会人基礎力は、新入社員の行動を感覚的に評価するのではなく、育成すべきポイントを共通言語化するためのフレームとして有効です。
現場の悩みを社会人基礎力で整理すると、以下のようにまとめられます。
指示待ちで、自分から動けない | 主体性・実行力 |
質問や報告のタイミングが遅い | 発信力・働きかけ力 |
仕事の優先順位をつけられない | 課題発見力・計画力 |
自分本位でチーム連携が弱い | 傾聴力・柔軟性・状況把握力 |
このように、曖昧な「最近の新人は受け身だ」といった感想を、育成可能な行動課題に言い換えられるのが、社会人基礎力を活用するメリットです。
社会人基礎力のうち「考え抜く力」を伸ばすには、課題を整理し、筋道立てて考える力を育てることが重要です。考え抜く力を鍛える 🔗ロジカルシンキング研修 を組み合わせることで、課題発見力や計画力の強化にもつなげやすくなります。
社会人基礎力の3つの能力と12の能力要素
ここまで、新人育成課題の整理という観点から社会人基礎力を見てきました。最後に、用語としての定義や構成要素を簡潔に確認します。社会人基礎力は、「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力と、それらを構成する12の能力要素で成り立っています。
また、記事内でも触れた通り、社会人基礎力は単なる知識ではなく、現場の行動や協働に結びついてはじめて意味を持ちます。定義を確認したうえで、自社の育成課題をどの能力要素として捉えるかを整理し、研修・OJT・面談へつなげることが重要です。
社会人基礎力を構成する3つの能力
社会人基礎力は、経済産業省が提示している3つの能力で構成されています。
- 前に踏み出す力(アクション)
- 考え抜く力(シンキング)
- チームで働く力(チームワーク)
▼ 社会人基礎力の全体像を示す図

また、それぞれ複数の能力要素があり、能力要素は全部で12あります。次は、社会人基礎力を構成する3つの能力と12の能力要素について紹介します。
12の能力要素
12の能力要素とは、主体性、働きかけ力、実行力、課題発見力、計画力、創造力、発信力、傾聴力、柔軟性、状況把握力、規律性、ストレスコントロール力、で構成されます。詳細は、社内の育成テーマや課題に照らし合わせて確認すると、より実務的に活用しやすくなります。
前に踏み出す力
前に踏み出す力には、以下の3つの能力要素があります。
- 主体性
- 働きかけ力
- 実行力
主体性の定義や、自主性との違い、主体性を高める方法について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
🔗 主体性とは?自主性との違いや主体性のある人の特徴・高める方法を紹介
考え抜く力
考え抜く力には、以下の3つの能力要素があります。
- 課題発見力
- 計画力
- 創造力
課題発見力を高めるには、情報を整理し、筋道立てて考える力を養うことが重要です。ロジカルシンキングを強化したい方は、以下の研修ページも参考にしてください。
🔗 ロジカルシンキング研修
チームで働く力
チームで働く力には、以下の6つの能力要素があります。
- 発信力
- 傾聴力
- 柔軟性
- 状況把握力
- 規律性
- ストレスコントロール力
規律性を育てるには、ルールを守るだけでなく、社会人としてふさわしい振る舞いを具体的に理解することが大切です。ビジネスマナーの基本を整理したい方は、以下のページもご覧ください。
🔗 ビジネスマナー研修
3つの能力と12の能力要素を理解すると、新入社員育成で起きている課題を「何となく」ではなく、具体的な観点で整理しやすくなります。現場で見られる行動と結びつけて捉えることで、育成テーマや支援の優先順位も明確になります。
再定義によって追加された社会人基礎力の3つの視点
社会人基礎力は経済産業省が提示している概念ですが、2018年に新たに3つの視点が加わりました。
- 学び「何を学ぶか」
- 統合「どのように学ぶか」
- 目的「どう活躍するか」
それまでの社会人基礎力は、社会人や大学生といった人々のみを対象としたものでした。しかし、人生100年時代と言われるように高齢になっても働いている人が増えたことから、対象を広げて新たな視点が加えられています。
学び「何を学ぶか」
社会人になってから全く異なる分野にチャレンジする人が増えています。企業も社員に新たな学びを与えるために研修を行うなど、ライフステージに関わらず学び続けることが重要視されるようになっています。ただし、学べれば何でも良いわけではありません。自分が持っている力を発揮するために何を学ぶかを考えることが重要で、苦手な部分を克服するため、得意な分野をさらに伸ばすためなど、目的に応じて何を学ぶべきかも変わってきます。
統合「どのように学ぶか」
何を学ぶのかを明確にした後は、どのように学ぶのかを判断する必要があります。単に新しい知識を取り入れるのではなく、自分が今まで培ってきた能力や経験と結びつけて体系的に学ぶことを意識してもらいましょう。それによって、一から全てを学ぶよりも短時間で新しい知識が定着し、経験に裏打ちされた実践的な能力が得られます。
目的「どう活躍するか」
何を学ぶのか、どのように学ぶのかを決める際には、まず社員に「自分が活躍するイメージを固めて、それに向かって行動を起こす」ようにしてもらう必要があります。明確な目的を設定すれば、何を学ぶべきか、どのように学べば良いのかが見えてきます。自己実現や社会貢献など、目的は人によって違いますが、目的に向かって自ら行動するという点は共通しています。
社会人基礎力チェックシート
新入社員の社会人基礎力を診断するために役立つチェックシートは、下記からダウンロードできます。アルーでは、階層別や課題別で整理された、今日から活用できるさまざまなお役立ち資料をご用意しています。
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【テンプレート付き】新人教育育成計画書
アルーでは、年間100社以上の企業、2.3万人の受講者へ新人研修を提供しています。新人教育に役立つ育成計画書テンプレートを無料で配布しています。
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社会人基礎力を診断する方法
社会人として必要な能力を示す社会人基礎力ですが、自分や社員にどの程度備わっているのかを知るにはどうすれば良いでしょうか。社会人基礎力を診断する主な方法としては、下記の2つが挙げられます。
- 社会人基礎力検定|一般社団法人 社会人基礎力検定協会
- 社会人基礎力診断|マイナビ
社会人基礎力検定|一般社団法人 社会人基礎力検定協会
社会人基礎力検定は、社会人基礎力検定協会が実施している検定試験です。
検定問題は60問で、90分で回答します。3級・準2級・2級があり、出題は統一問題ですが、級に応じて合格基準が設定されています。70〜80%未満で3級合格、80〜90%未満で準2級合格、90%以上で2級合格です。
個人が社会人基礎力を証明できる手段として、就職活動を有利にするために受検する人も多くいます。企業としては、社員に検定を受けてもらうことで、簡単に社会人基礎力を把握できる点がメリットです。
社会人基礎力検定について詳しく知りたい方は、一般社団法人 社会人基礎力検定協会の案内もご覧ください。
🔗 参考:社会人基礎力|一般社団法人 社会人基礎力検定協会
社会人基礎力診断|マイナビ
マイナビが実施しているWEBで回答する診断テストです。回答時間の目安は15分程度で、分析後にデータが送付されます。社会人基礎力の3つの要素や12の能力要素の発揮度合いを確認でき、ビジネスにおける自分の得意・苦手を把握し、改善行動をイメージしやすくなります。個人だけでなく、採用担当者にも活用されています。
マイナビの社会人基礎力診断について詳しくは、以下のページをご覧ください。
🔗 参考:社会人基礎力診断|マイナビ
社会人基礎力はなぜ必要か
社会人基礎力は社会人として働いていく上で必要な能力であり、多くの企業から注目されています。では、なぜ今の時代に社会人基礎力が求められているのでしょうか。その主な理由は以下の通りです。
- 社会人基礎力が新入社員の成長スピードを早める
- 生産性のアップが求められる
- 一つの会社で定年まで働き続ける人が少なくなった
- 飛躍的に変化していく環境の中でも常に求められる
- 個人・企業ともに成長できる
社会人基礎力が新入社員の成長スピードを早める
現代はVUCAとも呼ばれる変化が激しく予測困難な時代であり、新入社員にも早期に戦力となってもらい、企業としての競争力を高めていくことが求められています。
新入社員の場合、
「目標が定まっていない」
「自分ごと化できていない」
「他責にしてしまう」
などの理由で伸び悩むことがあります。
社会人基礎力を構成する3つの能力「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」を身につけることで、主体的に物事に取り組めるようになり、伸び悩んでいる新入社員の成長を促せます。
新入社員に早期の意識転換を促したい場合は、社会人としての心構えを扱う以下の研修も参考になります。
🔗 学生から社会人への意識転換
生産性のアップが求められる
ビジネスは近年、短い期間で大きな変化が起こっています。AIやIoT、ビッグデータといった技術があらゆるビジネスシーンで取り入れられるようになり、言われたことをただやるだけの人材が集まった会社では急激な変化に柔軟に対応できません。社会人基礎力を持った人材を増やし、変化に対応しながら生産性を上げていく必要があります。
変化の大きい環境で成果を出すには、課題発見だけでなく解決策を実行に移す力も重要です。問題解決力の育成について詳しく知りたい方は、以下のページもご覧ください。
🔗 問題解決力研修
一つの会社で定年まで働き続ける人が少なくなった
年功序列が崩れ、価値観の多様化が進んでいる現代では、成果や能力を重視する企業が増えています。企業が存続するためには、社会人基礎力を持った人材を育成していかなければ、現代の競争に取り残されてしまいます。
飛躍的に変化していく環境の中でも常に求められる
技術の進歩は著しく、世の中は飛躍的に変化しているため、昔は当たり前だったことが現在では通用しないということも多くあります。一方で、新しい価値を生み出すために役立つ社会人基礎力は、そういった変化に関係なく、いつの時代でも必要な能力です。
個人・企業ともに成長できる
社会人基礎力を高めることは、個人にとっても企業にとっても有益です。
個人にとってはキャリアの幅を広げ専門性を高められるだけでなく、報酬のアップにもつながります。
企業にとっても優秀な人材を確保することは会社の成長につながり、新たなニーズに応える商品やサービスを生み出す力になります。
社会人基礎力の鍛え方
社会人基礎力は働く上で欠かせない能力ですが、社員の社会人基礎力をどのように鍛えれば良いかわからないという方も多いかと思います。社会人基礎力を鍛える方法を6つご紹介します。
- 「何を鍛えるか」を明確にする
- 客観的な視点で見る
- 能力の育成を支援する
- 日々の業務の中で常に意識する
- フィードバックで客観的に評価する
- 7:2:1の法則で定期的に振り返る
「何を鍛えるか」を明確にする
社会人基礎力を上げるためにはまず、「何を鍛えるか」を明確にしてから取り組むことが重要です。
何を鍛えるかを明確にしないまま研修などを進めてしまうと、
「社会人基礎力がどうして大切なのかわからない」
「どんなことができていれば良いのかわからない」
という状態に陥り、教育の効率が落ちてしまいます。どのような目的があり、何を鍛えるのかといった具体的な目標を設定し、その道筋をシミュレーションすることが大切です。
客観的な視点で見る
具体的な目標を設定した後は、社員に今どの位置にいるのかをきちんと把握してもらう必要があります。自分の立ち位置を把握していれば、目標までどれだけの距離があるかがわかります。
自分が思う位置と周りから見えている位置がずれていると、努力の方向が間違ってしまう可能性があるため、周囲が第三者目線で評価する、社会人基礎力を測る診断ツールを活用するなど、定期的に客観的な視点を取り入れるようにしましょう。
多角的な視点から社員の能力や適性を把握したい場合は、人材アセスメントの考え方も参考になります。
🔗 人材アセスメント研修とは?目的やメリット、効果を高める3つの手法
能力の育成を支援する
社会人基礎力を向上させるための方法としては、OJTや研修、学習費用の支援、配置転換、インターンシップなどがあります。社員に効率的に社会人基礎力を身につけてもらうためには、社会人基礎力を身につけるための研修などを外部に依頼することもおすすめです。
社会人基礎力に限らず、人材育成全体の進め方を見直したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
🔗 人材育成のポイント8つ|階層別・手法別のポイントを徹底解説
日々の業務の中で常に意識する
社会人基礎力は、日々の業務の中でも少しずつ養っていけます。3つの能力や12の能力要素に関して常に意識を持っていれば、それを反映した行動を取りやすくなります。
ただし、「主体的に行動しよう」と個人が考えても、方法がわからなかったり間違った解釈をしてしまったりする可能性があります。日々の業務での実践の前に、研修などでそれぞれの力の定義や鍛え方を学ぶ場を設けましょう。
フィードバックで客観的に評価する
社会人基礎力の向上には、フィードバックによる客観的な評価が役立ちます。社会人基礎力は数字で示せるものではないため、周りの評価が基準になります。
上司や同僚、仕事で関わりのある人などからの評価を取り入れていけば、社員が自分では気付いていない部分に気付ける可能性があります。360度評価を取り入れたり、社会人基礎力について学ぶ研修を行い、同僚からのフィードバックの時間を設けたりと、社員の気付きを促す仕組みづくりが重要です。
フィードバックの実践方法や、未来志向の関わり方について詳しく知りたい方は、フィードフォワードに関する以下の記事も参考にしてください。
🔗 フィードフォワードとは?フィードバックとの違いや効果的におこなう方法を解説
7:2:1の法則で定期的に振り返る
「7:2:1の法則」とは、経験を成長に変えるための法則です。7は経験、2はフィードバック、1が研修などのトレーニングを意味します。
人は仕事の7割を経験から学び、2割を上司や同僚からのフィードバックから学び、残りの1割が研修などで学んだことです。フィードバックや研修などのトレーニングも経験と結びつくことで相乗効果を発揮します。
定期的に振り返りの機会を設けることで、経験がより深いものとして定着するでしょう。
事例|
社会人基礎力を軸に新入社員育成を見直した例
社会人基礎力を身につけるには、研修などのOff-JTで体系的に学ぶことや、業務経験を踏まえて自身の価値観や能力を棚卸ししていくことが大切です。
ここでは、アルーが提供している社会人基礎力を身につけるための研修事例を3社ご紹介します。
パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社
パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社では、新入社員の「仕事へのスタンス」や「主体性」にばらつきがあることが課題でした。行動指針(PBD-WAY)を組み込んだ新入社員研修を実施し、現場の業務シーンを想定した実践的な内容で、受講者が「自ら考え行動する」マインドセットを醸成しました。
現場で活かせる内容へ見直し、育成の一貫性を強化
NTTインターネット株式会社
NTTインターネットでは、従来の研修に対して「現場で活かしづらい」「毎年研修内容と研修会社が変わり、一貫性がない」といった課題がありました。そこで、全社員アンケートで現場ニーズを把握し、社会人基礎力を軸に若手社員が段階的にリーダーシップを発揮できるような研修体系へリニューアルしました。
▼ NTTインターネット の研修全体像

その結果、1・2年目研修の後には「職場で抱えていた悩みが解決した」という声が増え、フィードバック資料が現場OJTにも活用されるようになりました。社会人基礎力を“概念”ではなく、“現場の悩みを解決する力”として設計し直した好例です。
内製と外部研修を組み合わせ、自発性と協働姿勢を育成
ANA成田エアポートサービス株式会社
ANA成田エアポートサービスでは、「社会人としての意識を醸成し、早期に活躍してほしい」という課題がありました。一方で、変化の大きい時代においては、過去の経験を伝えるだけの研修では十分ではないという問題意識もありました。そこで、内製研修とアルーの外部研修、さらに現場インストラクターによる実践プログラムを組み合わせた育成体系を構築しました。
その結果、新入社員の自発性が高まり、「自分だけ合格できればよい」ではなく、チームで乗り越えるために自発的に発信する姿勢が見られるようになったとされています。社会人基礎力を、個人能力だけでなく、協働の行動変容として育てた事例です。
ここでご紹介した以外にも、新入社員育成やOJT、面談支援に関する事例があります。自社に近い取り組みを確認したい方は、🔗 新入社員育成・OJTの研修事例もあわせてご覧ください。
まとめ
社会人基礎力とは、主体性や計画力、コミュニケーション能力などの、仕事をする上で必要になる基礎的な能力です。経済産業省が2006年から提唱しており、「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力と12の能力要素で構成されています。
社会人基礎力を向上させることは、個人にとっても企業にとっても大きなメリットがあります。現代のビジネスは短期間で大きな変化が起こり続けており、その急激な変化に柔軟に対応していくためにも社会人基礎力が必要とされています。
社員のどのような能力を鍛えるべきか分からない場合や、社会人基礎力を軸にした研修設計に悩んでいる場合は、ぜひアルー株式会社にご相談ください。多種多様な研修を実施しているため、企業が抱えている人材育成の悩みを解決するサポートが可能です。
▼アルーの人材育成サービス一覧はこちら
🔗 人材育成・研修サービス一覧



