ファシリテーター研修とは?役割やメリット、実施方法を解説
会議の活性化と円滑な推進に必要な存在がファシリテーターです。
ファシリテーターというと会議の司会という役割がイメージされがちですが、実際の役割はそれだけではありません。
ファシリテーターを自社で育成するには、ファシリテーター研修を実施しましょう。この記事では、ファシリテーター研修の目的やメリット、実施方法を解説します。
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ファシリテーター研修の重要性とは
一般的な日本企業の特徴として、重要な意思決定は会議で行うという点が挙げられます。意見のやり取りが活発に行われる会議もありますが、中には議論が停滞してしまったり、形だけのものになったりしてしまうケースも少なくありません。
こうした状況を打開する人材が、ファシリテーターです。ファシリテーター研修を実施すれば、傾聴力や論理的思考力など、ファシリテーションに必要な幅広いスキルを持った人材を育成できます。優秀なファシリテーターを育成して会議の質を高めるため、ファシリテーター研修に取り組む企業が増えてきています。
「ファシリテーター」の定義
ファシリテーターとは、会議をスムーズに進行して参加者の意見を引き出し、合意形成を行う進行役です。参加者から様々な意見が出る会議では、必ずしも全員の意見や見解が一致するとは限りません。また、議論が込み入ってしまうといつのまにか本題から話がそれてしまうこともあるでしょう。
このようなケースにおいて、論点をうまく整理して合意形成をサポートするのがファシリテーターです。時にはホワイトボードなどを活用しながら、メンバー全員が納得できるような形で結論を導きます。
ファシリテーターの役割
ファシリテーターは、会議を有意義な時間とするために重要な存在です。それでは、ファシリテーターには具体的にどういった役割が求められるのでしょうか。
ファシリテーターの役割は大きく分けて以下の3つです。
- 活発な意見を交わしやすい雰囲気を作る
- 参加者の意見を要約し、深堀りする
- 会議の意見をまとめる
一つずつ詳しく見ていきましょう。
活発な意見を交わしやすい雰囲気を作る
会議の序盤から積極的に発言するのは難しいものです。また、本当は自分の意見を持っているのにも関わらず、周囲の雰囲気を気にして意見を言い出しづらいと感じてしまうこともあります。
せっかく会議を行っているのに、社員からの意見が出てこないため議論が活性化しないという課題を抱えている企業は多いでしょう。ファシリテーターは、こうした状況を打開して、皆が議論に参加しやすい雰囲気づくりを行う役割があります。具体的にはアイスブレイクを実施したり、積極的に参加者へ意見を求めたりして、話しやすい雰囲気を作り出します。
参加者の意見を要約し、深堀りする
議論が込み入ってくると、論点がかみ合わなくなる場合があります。参加者がそれぞれ意見を述べて、最終的な結論がまとまらないという事態に陥ってしまうこともあるでしょう。
ファシリテーターはこのような事態を防ぐため、積極的に参加者の意見を要約し、論点をまとめるという役割を担います。また、問題解決の糸口になりそうな意見が出た場合や、興味深い意見については積極的に深掘りします。「〇〇さんはこの点についてどう思いますか?」「この意見をもう少し詳しく説明してもらえますか」といった具合に、議論を深めていくのがファシリテーターの役割です。
会議の意見をまとめる
会議では、参加者の合意形成の結果として何らかの結論を出す必要があります。会議で出た意見をまとめ、議論の着地を図るのもファシリテーターの役割です。
ただし、意見をまとめるためには議論全体の流れを掴む優れたバランス感覚が必要です。時間が来たからといって強引に結論をまとめようとしてしまうと、会議全体の着地点がずれてしまいます。議論で出た意見をうまく整理して、できる限り参加者全員が納得できるようなゴールを探るのがファシリテーターとしての腕の見せ所です。
ファシリテーターに求められるスキルについて詳しくは、以下のページをご参照ください。
『ファシリテーションスキルとは?必要な4つのスキルと向上させるコツ』
ファシリテーターを研修で育成するメリット
ファシリテーターを育成するために効果的なのが、ファシリテーター研修の実施です。
ファシリテーター研修でファシリテーターを育成するメリットとして、会議のゴールが明確になることが挙げられます。また、会議の時間に無駄がなくなり、議論が有意義なものとなるため新たなアイディアが生まれやすくなるといった効果もあるでしょう。
ファシリテーターを研修で育成するメリットを紹介します。
会議のゴールが明確になる
議論が白熱した結果、なかなか結論が出なくなってしまうケースは多いです。また、反対に議論が停滞してしまい、何も結論が出ないまま会議が終了してしまう時もあるでしょう。
ファシリテーターがいれば、会議のゴールが明確になり、ゴールに向かう議論を行なえるようになるため、議論の迷走が起こりにくくなります。参加者の意見を中立の立場でにまとめる存在がいることによって、議論の方向性に目処をつけやすくなるのです。会議のアウトプットの質が高まるため、議論の時間がより有意義なものとなるでしょう。
新たなアイディアが生まれやすくなる
ファシリテーターが議論を整理することによって、参加者同士のやり取りを促進できます。議論に参加している人同士のコミュニケーションが活性化することによって、新たなアイディアが生まれやすくなる点もメリットです。
特に、議論が対立構造に陥ってしまうケースではファシリテーターが活躍します。客観的な立場から意見をまとめることで、「AかBか」という視点にとらわれてしまっている参加者に視点の転換を促します。ファシリテーターがいることで、新たなアイディアを取り入れた生産的な方向へ議論を進めやすくなるのです。
効率よく効果的な会議が実施できる
ファシリテーターの役割は、会議の意見をまとめることだけではありません。タイムキーパーとして時間を適切に管理して、会議のペースを調整するのもファシリテーターの大切な仕事です。
ファシリテーターを自社で育成することで、効率よく効果的な会議ができるようになるというメリットもあります。ファシリテーターが議論に道筋をつけていくことによって、時間が無駄に長引いてしまう事態を防ぎ、時間内にゴールに到達できるようになるでしょう。。
ファシリテーター研修の内容
ファシリテーター研修では、ファシリテーションに必要な「場のデザイン」「意見の構造化」「合意形成」といった内容を扱うのがおすすめです。ここからは、ファシリテーター研修で具体的に扱いたい内容や、ファシリテーションの成功事例を解説します。
ファシリテーションの3ステップ
ファシリテーションを行う際には、基本となる以下の3つのステップがあります。
- 場をデザインする
- 意見を構造化する
- 合意形成する
各ステップで必要なスキルを解説します。
1.場をデザインする
ファシリテーションでまず大切なのが、場をデザインするスキルです。せっかく参加者に集まってもらったのに、意見が全く出てこなくては議論が前に進みません。
ファシリテーターは、アイスブレイクなどを実施しながら「話しやすい雰囲気」を作る必要があります。また、場合によっては席の配置や机の並べ方を変更するといった工夫も重要です。
ファシリテーターは、意見が出やすくなるよう様々な観点から場をデザインしていきます。ファシリテーター研修ではまず、どのように会議の場をデザインするのかを学んでもらいます。
2.意見を構造化する
意見が活発化してきたら、ファシリテーターは会議の主な論点や立場を整理していく必要があります。ここで役立つのが、意見を構造化するスキルです。「この意見は賛成派で、この意見は反対派ですね」「理想は〇〇で、現状は〇〇です」といったように、出された意見を具体的に構造化していきましょう。
なお、意見を構造化するためには論理的思考力や、傾聴力が欠かせません。ファシリテーター研修では、構造化に必要な論理的思考力などを磨いてもらうとよいでしょう。
論理的思考力を磨くためのロジカルシンキング研修については以下の記事をご覧ください。
『ロジカルシンキング研修の目的|成功させるポイントについてもご紹介』
3.合意形成する
ファシリテーターは、会議を着地させて合意形成を行う必要があります。参加者の間で意見の対立があった場合でも、うまく両者の意見をまとめて最終的な結論を導き出すのがファシリテーターの仕事です。
ファシリテーター研修では、合意形成に必要なネゴシエーション力やコミュニケーション力などを身につけてもらうとよいでしょう。ここでうまく合意形成する力が身につけば、他部署との折衝や顧客との交渉など、ファシリテーション以外の場面でも役立ちます。
アルーが行っているネゴシエーション研修やコミュニケーション研修は、以下のページで詳しく紹介しています。
ネゴシエーション研修
▼資料ダウンロードはこちら
ファシリテーション研修の成功事例
実際にファシリテーション研修を実施し、ファシリテーターとしての育成を成功させた事例をご紹介します。
A社では、ファシリテーターが自身の主観に基づいて会議を進める傾向にあることや、要約する力が不足していることが課題でした。
そこで、各種会議を円滑に進行するだけでなく、本来の目的や成果に繋がる合意形成を図れるようにすること、自身が参加した会議体での決定事項(場合により会社の方針・戦略)を理解・咀嚼した上で、本筋をぶらさずに関係者へ伝達するスキルを身につけるために、アルーがファシリテーション研修の支援を行いました。
各グループでファシリテーター役と参加者役に分かれて模擬会議を実施するなど、実践型の研修を行い、事前学習を利用した反転学習も行いました。
このような研修を行うことで、「実践で何度もファシリテーションを行う事で、進める側と受ける側の両方の観点で考えることが出来、良く理解できた」などの感想をいただき、実戦形式で会議を行った事で理解が進んだようです。
ファシリテーション研修の事例について詳しくは以下のページをご覧ください。
会議の目的に沿って合意形成ができるようにファシリテーションを進める方法を学ぶ
▼事例資料ダウンロードはこちら
ファシリテーター研修を効果的に実施するには
それでは、実際にファシリテーター研修を実施するにあたって重要なポイントを見ていきましょう。
ポイントは主に以下の3つです。
- 実践的な演習を行う
- より実務に近い内容で思考する
- 人材育成会社による研修を利用する
一つずつ解説していきます。
実践的な演習を行う
ファシリテーター研修では、実践的な演習を数多く取り入れるようにしましょう。ファシリテーションの理論的な知識をインプットするだけでは、なかなかファシリテーション技術は向上しません。実践を通じてファシリテーションに必要な能力を磨いてもらえば、スムーズに現場で活用できるファシリテーション技術が身に付きます。
例えば、以下のような演習を取り入れるのがおすすめです。
- 売り上げ向上に向けた施策を考える会議でのファシリテーション
- 新入社員との初めてのミーティングでのファシリテーション
- 研修で行われるディスカッションの場面でのファシリテーション
様々なケースを想定した演習を実施すれば、場面にあわせた臨機応変なファシリテーションができるようになるでしょう。
より実務に近い内容で思考する
ファシリテーションのスキルは、できる限り実務に直接役立つ形で伸ばしていく必要があります。研修を成功させるためには、実務に近い内容で思考してもらえるような工夫を行いましょう。
具体的には、ファシリテーター研修内で模擬会議を実施するといった方法が考えられます。模擬会議のテーマも、実際に社内で行われる会議を想定した内容にするとよいでしょう。実務に近い内容をファシリテーションすれば、ファシリテーションを現場で行うイメージが湧きやすくなります。
模擬会議を実施し、実践的な内容で行った研修の事例は、以下のページで詳しくご確認いただけます。
『会議の目的に沿って合意形成ができるようにファシリテーションを進める方法を学ぶ』
▼事例資料ダウンロードはこちら
人材育成会社による研修を利用する
人材育成会社の中には、ファシリテーションに必要なスキルを磨くための研修を提供している会社もあります。ファシリテーター研修を実施する際には、人材育成会社による研修を活用するのもおすすめです。
外部の研修を活用すれば、社内にはないノウハウを取り込むことができます。特にファシリテーションには様々なスキルが求められるため、ファシリテーションに必要なノウハウを体系的に教育するのは手間がかかります。研修のプロである人材育成会社を活用すれば、ファシリテーションに求められるスキルをバランスよく伸ばしてもらえるでしょう。
外部委託すべきかどうかや、外部委託する際に使える助成金、選定のポイントについては、以下のページで詳しくご確認いただけます。
『研修は外部委託すべき?委託している割合や委託先選定のポイント』
ファシリテーター研修ならアルーにお任せください
企業向けの人材育成を手がけているアルーでは、ファシリテーションスキルを伸ばすための「ファシリテーション研修」を実施しております。ファシリテーター研修の実施をご検討の場合は、ぜひアルーへお任せください。
アルーのファシリテーション研修では、ファシリテーションの原則やファシリテーションに必要な6つのポイントなどを、講義やグループワークを通じて体系的に学ぶことができます。豊富な演習を含んでいるため、実務へスムーズにつなげられるのが特徴です。アルーのファシリテーション研修については、以下のページから詳しくご覧いただけます。
アルーの研修サービス_ファシリテーション研修
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