
ファシリテーションスキルとは?必要な4つのスキルと向上させるコツ
会議やディスカッションの場をスムーズにするための取り組みとして、近年注目を集めているファシリテーション。参加者同士のコミュニケーションを円滑にすることで、より良い結論を導き出せるといった効果が期待できます。今回は、ファシリテーションを行うために必要なスキルと、それらを磨く方法について解説します。
目次[非表示]
- 1.ファシリテーションスキルとは
- 2.ファシリテーションに必要な4つのスキル
- 3.社員のファシリテーションスキルを向上させるポイント
- 3.1.目的をしっかり認識し、共有を図る
- 3.2.公平な目配り、気配り、声配り
- 3.3.どんな意見も提示させ、議論を活性化させる
- 3.4.常に中立を保つ
- 3.5.意見の深堀りをする
- 3.6.メンバー全員での現在地点の把握を促す
- 3.7.整理してまとめ、明確な到達地点へ誘導
- 4.ファシリテーションに役立つ資格
- 4.1.FIT資格認定講座
- 4.2.自律型人材育成 ファシリテーター養成講座
- 5.社員にファシリテーションスキルを身につけてもらう方法
- 6.まとめ
ファシリテーションスキルとは
ファシリテーションスキルとは、会議を円滑に進めるための取り組みであるファシリテーションを効果的に実施する求められる能力を指します。具体的には、理解力や論理的思考力、聴く力や質問力といったものがファシリテーションスキルの一例です。
ファシリテーションを行うことで会議の効率化や生産性の向上といったさまざまな効果が期待できるため、最近では社員にファシリテーションスキルを磨いてもらうための研修を実施する企業も増えてきています。
アルーでは、ファシリテーションスキルを身につけられる研修を行っています。
詳しくは、以下のページをご確認ください。
ファシリテーションに必要な4つのスキル
一般的にファシリテーションにおいては、
- 理解力
- 論理的思考能力
- 質問力・聴く力
- 交渉力
のスキルが重要だといわれています。ファシリテーションに必要なこれら4つのスキルについて、詳しく見ていきましょう。
理解力
ディスカッションを行う際には、さまざまな角度からの意見が出てくるものです。議論の流れを把握した効果的なファシリテーションを行うためには、参加者から出されるさまざまな意見の要点を素早く把握することが欠かせません。理解力は、ファシリテーターにとって最も重要なスキルのうちの一つといえるでしょう。
理解力を鍛えるためにはさまざまな方法が考えられますが、まずは視野を広げ、知識の絶対量を増やすことが効果的です。日頃から新聞やニュースなどさまざまな情報媒体に触れるようにするなど、意見のバックグラウンドとなる知識を広げるように心がけましょう。
論理的思考力
論理的思考力も、ファシリテーションを行う上では欠かせないスキルです。ディスカッションや会議では、さまざまな意見をまとめた上で一定の結論を出すことが求められます。
ファシリテーターは、「Aという意見とBという意見はこのようにまとめられる」「Cという仮説が正しいならDという仮説も正しいだろう」といった具合に、議論の中で出されるさまざまな意見をまとめ、論理的に整理していくことが重要です。行われている議論の要点が上手く把握できなければ、効果的なファシリテーションは実現できません。ファシリテーションのスキルを磨く際には、論理的思考力を高めるように心がけてみてください。
ロジカルシンキングに関しては、以下の記事で詳しく紹介しています。
『ロジカルシンキングとは?メリットや基本的な考え方・鍛え方について紹介』
質問力・聴く力
ファシリテーターの重要な役割の一つに、「Aさんはこの点についてどう考えていますか?」といったように、参加者に対して質問を投げかけるものが挙げられます。この際に、ずれた質問をしてしまったり、参加者が答えにくいような聞き方をしてしまったりすると、かえって議論が行き詰まってしまうことがあります。絶妙なタイミングで適切な質問を投げかける「質問力」も、ファシリテーターとしてぜひ身につけておきたい能力の一つです。
また、議論の場に出された意見に対してファシリテーターが積極的に傾聴する姿勢を見せれば、発言しやすい空気感を作ることもできます。議論を円滑に進行させるため、「聴く力」も合わせておさえておきましょう。
交渉力
ディスカッションの終盤に差し掛かると、ファシリテーターは会議全体としての結論を出すようにサポートしていくことが求められます。しかし、議論が深まれば深まるほど意見が対立し、なかなか一定の結論を出せないことも少なくありません。
そこで役に立つのが、ファシリテーターが持っている交渉力です。交渉力とは、お互いが納得できるように上手く働きかける能力を指します。議論の終盤でもなかなか意見が収束しない場合、ファシリテーターが交渉力を発揮しながら、なるべく全員が納得できるような結論を導くことが有効です。そのため、ファシリテーターには高い交渉力が求められます。
双方のメリットを考慮し、お互いにとっての最善を探る、問題解決のための交渉力を「ネゴエーションスキル」といいます。
ネゴシエーションスキルに関する研修は、以下のページでご確認ください。
社員のファシリテーションスキルを向上させるポイント
ファシリテーションには、論理的思考力や交渉力など多角的な能力が求められると分かりました。企業がより合理的な意思決定を行う上で欠かせない存在であるファシリテーターですが、ファシリテーターとしての能力を磨く際にはどのような点に気をつければよいのでしょうか。
社員のファシリテーションスキルを向上させる際に意識したいポイントを紹介します。
目的をしっかり認識し、共有を図る
議論が白熱するうちに、「この議論のゴールはどこなのか?」「どのような結論を出すべきなのか?」といった点があやふやになってしまうのはよくある話です。議論の着地点が見えないと、会議やディスカッションの生産性そのものが低下してしまいかねません。
そのような事態を防ぐため、ファシリテーターはしっかりと議論の目的を把握して、共有することが重要です。5W1Hを参考にしながら、例えば、
- 誰がいつ、どこで会議に参加するのか?
- なぜこの話をこの場でするのだろうか?
- どのように議論を進めていくのだろうか?
といった具合に、議論の全体像を整理していきましょう。
公平な目配り、気配り、声配り
会議を進めているうちに、発言する社員が限られてしまう場合も少なくありません。例えば、先輩社員と若手社員が参加するような年齢層の広い会議を実施する場合、若手は先輩社員に対して萎縮してしまいがちです。
参加者全員が議論に参加できるようにするため、ファシリテーターによる公平な目配りや気配り、声配りは非常に重要です。場合によっては「この点についてAさんはどう思いますか?」「少し反対派の意見も聞いてみたいです」といった具合にファシリテーターが中心となって話を回し、発言する人が偏らないような配慮を行いましょう。
どんな意見も提示させ、議論を活性化させる
参加者の発言を引き出すためには、会議の参加者に対して「どんな意見でも言っていい」という安心感を持ってもらうことが非常に重要です。ファシリテーションを行う上では、どんな意見でも提示してもらえるような雰囲気作りを心がけましょう。
特に、会議が行き詰まってしまい、なかなか参加者からの意見が出ないときにはファシリテーターの出番です。参加者から意見が出ない場合、参加者は「本当は言いたいことがあるのだが、自信がない」「自分から言い出すほど自分の意見は重要ではない」などと感じてしまっている場合が少なくありません。どんな意見にも価値があることをしっかりと提示して、議論を活性化させるように促してみてください。
常に中立を保つ
ファシリテーターは、どんなときでも常に中立を保つことが重要です。意思決定を行う際にファシリテーター自身が偏った立場をとってしまうと、それとは異なる意見を出しづらくなってしまうばかりか、議論そのものが滞ってしまいかねません。常に「中立」を意識して、どんな意見でもまんべんなく拾い上げる姿勢を見せていきましょう。
また、議論の本筋から逸れた意見が出された場合でも、ファシリテーターはしっかりと受け止めてあげましょう。ホワイトボードや付箋に書き留めるなど、意見を反映させる姿勢を見せることで、発言しやすい雰囲気作りにも繋がります。
意見の深堀りをする
議論の場で斬新な視点からの意見が出された場合や、興味深い内容が出てきた場合は、ファシリテーターが積極的に深堀りしてみましょう。「その意見をもう少し詳しく聞かせてもらえますか」「〇〇とはどのような意味ですか」などと深堀りしていけば、議論の付加価値を高めることができます。
意見の深堀りをする際には、適切なタイミングで上手く意見を引き出す「質問力」が重要です。「どのような質問を投げかければより意見が深まるのだろうか?」という点を常に意識しながら、議論がより意味のあるものとなるような問いかけを心がけてみてください。
メンバー全員での現在地点の把握を促す
ファシリテーションでは、主な議題となっている事柄や主要な意見などを上手くまとめ、現在地点の把握を促すことが重要です。ファシリテーターは「今はどのような点が議論されているのか」という点を考えながら、メンバーへ議論の現在地点を共有するようにしましょう。
議論の現在地点を共有する上では、議論の状況をホワイトボードや付箋などを用いて可視化することが効果的です。例えばホワイトボードを用いる場合は、ホワイトボードを縦に2分割して「賛成と反対」「理想と現状」といった議題を整理していきます。出された意見を随時ホワイトボードなどへ書き留めていけば、議論の進行状況がメンバー全体にも伝わりやすくなるでしょう。
整理してまとめ、明確な到達地点へ誘導
ファシリテーターには、議論がゴールへ到達するように上手く誘導する役割があります。先述した「現在地点の把握」とも繋がりますが、会議やディスカッションを一定の着地点へ導くためには、議論の要点をしっかりと整理しておくことが重要です。ホワイトボードや模造紙などを上手く活用しながら、議論の要点をまとめていきましょう。
議論を行う際には、ときに「対立構図」へ突入してしまう場合があります。双方とも自分の立場でしか物事を考えられなくなってしまうと、いつまで議論をしても合意形成へ至らないことも少なくありません。このようなケースではファシリテーターが率先して視点の切り替えを促し、事態の打開を図る必要があります。
ファシリテーションに役立つ資格
ファシリテーションは、会議やディスカッションを始めとした多くのビジネスの現場で活用されている概念です。最近はファシリテーションに対する需要が増していることもあり、ファシリテーションのスキルを認定する資格も増えてきています。
ファシリテーションを行う上で資格は必須ではありませんが、これらを活用すれば社員のファシリテーションのスキルを公平に測ることができます。ファシリテーションに関連する資格について紹介します。
FIT資格認定講座
FIT資格認定講座とは、日本プロカウンセリング協会が実施しているファシリテーターの資格認定講座です。未来のファシリテーターを養成することを目的に、全国各地でファシリテーションの講座が実施されています。
FIT資格認定講座では、組織力を最適化するための存在であるFITファシリテーターとして必要なスキルを2日間で身につけます。シミュレーション形式の実践的な内容が多く含まれているため、ファシリテーションに必要なスキルを効果的に学ぶことが可能です。
自律型人材育成 ファシリテーター養成講座
自律型人材育成 ファシリテーター養成講座は、一般社団法人日本きらめき協会が実施しているファシリテーターの養成講座です。科学的な根拠に基づいた「自律型人材育成」の内容について学ぶことで、議論をファシリテートできるプロの人材育成が可能です。
自律型人材育成ファシリテーター養成講座では、決められたマニュアルに従うだけでなく、自分自身で考えて問題に対処することができる人材の育成を目指している点が特色です。2日間の研修を通して、ファシリテーションに必要なさまざまなスキルを身につけられます。
社員にファシリテーションスキルを身につけてもらう方法
ファシリテーションには、論理的思考力や質問力を始めとしたさまざまなスキルが求められます。もちろん座学やマニュアルを通じてファシリテーションの基本的な知識を身につけるのも大切ですが、多角的な能力が求められるファシリテーションのスキルを高めるためにはやはり実践的な練習を積むことが大切です。
ファシリテーションスキルについては、社員にファシリテーションの能力を高めてもらうことを目的とした研修やセミナーが数多く開催されています。これらの研修で実際にファシリテーションへ挑戦してスキルを磨くことが、社員にファシリテーションスキルを身につけてもらうための近道です。
アルーのファシリテーションスキル研修については、以下のページをご確認ください。
まとめ
ファシリテーションスキルの具体的な内容や、ファシリテーションスキルを向上させる上で気をつけておきたいポイントなどについて解説しました。論理的思考力や質問力などファシリテーションに求められるさまざまな能力を伸ばすためには、ファシリテーションを実践できる研修やセミナーへの参加が効果的です。
人材育成企業である「アルー株式会社」では、ファシリテーションスキルを向上させるための「ファシリテーション研修」をご用意しております。若手社員から中堅社員に向けて、ファシリテーションスキルの原則や、ファシリテーションに必要な6つのポイントなど、分かりやすくかつ詳しく紹介していきます。たくさんのグループワークを用いて、実践的にファシリテーションスキルを磨くことができるでしょう。
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