【最新版】新人教育とは?目的や重要性、失敗を防ぐポイントをわかりやすく解説します!
新人教育は、新入社員が自社の社風や価値観、業務内容、社会人としての心構え、ビジネスマナーなどを理解し、スムーズに業務に従事するために行います。本記事では、人事担当者向けに新人教育の意味や実施するメリット・デメリット、各部署の新人教育担当者が新人教育を失敗しないためのポイントについて解説します。
目次[非表示]
- 1.【テンプレートプレゼント!】新人教育育成計画書
- 2.新人教育とは?
- 3.新人教育の目的
- 4.新人教育を実施する3つのメリット
- 5.新人教育を実施する2つのデメリット
- 6.新人教育でよくある3つの失敗例
- 7.新人教育の失敗を防ぐ2つのポイント
- 8.新人教育に用いる主な3つの手法
- 9.新人の教育係に必要なスキル・マインド
- 10.新人の教育係に伝えるべきOJTの流れ
- 11.新人の教育係に伝えるべきOJTのコツ
- 12.新人の教育係が抱える悩み
- 13.新人の教育係の悩みを解決する方法
- 14.アルーの新人教育の成功事例
- 15. 新人教育でよくある3つの質問
- 16.まとめ
- 17.OJTトレーナー研修ならアルー株式会社へ
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新人教育とは?
新人教育とは企業が新入社員に対して、業務に必要な知識やスキル、心構え、基礎的な能力を身につけさせる過程を意味します。ただし、業種や企業ごとに具体的な新人教育の内容は異なります。
内容が異なる一方で、新人教育の目的はどの企業もほぼ変わらないとされます。ここからは、新人教育の目的とその重要性について、より詳しくみていきましょう。
新人教育の重要性
新人教育は新入社員が自社の社風や価値観、業務内容、社会人としての心構え、ビジネスマナーなどを理解し、スムーズに業務に従事するために行います。新人教育を行うことは、企業にとって重要な意味を持ちます。
なぜなら、新入社員が企業やその製品、サービスを適切に理解し、さらに学生から社会人への意識転換を適切に行うことで、企業の「戦力」となる人材に成長するからです。
一方、適切に新人教育を行わないと、新入社員はいつまで経っても企業の「戦力」となることなく、自社への帰属意識も生まれません。自社の社員として責任を持った行動をしてもらい、企業の成長に貢献するためにも新人教育は重要といえます。
新人教育の目的
新人教育の目的は社員が一日も早く自社の業務に適応し、会社の方針や文化に理解を深め、より生産的な社員として働いてもらうことです。社会人として初めて仕事をする新入社員は、一般常識やビジネスの基礎知識を会得していません。
そのため、新入社員研修を通じてあらかじめ基礎を築き、スムーズに業務に取り組んでいけるよう指導するために必要な新人教育プログラムを設計して実施します。
新人教育を実施する3つのメリット
ここからは新人教育を実施する以下の3つのメリットを、より詳しくみていきます。
- 新入社員の早期離職を防げる
- 知識や技術の習得を早められる
- 教育担当者の成長を期待できる
新人教育を実施する具体的なメリットを把握し、適切な教育プログラムの作成に役立てましょう。
メリット1.新入社員の早期離職を防げる
新入社員が適切な教育を受けて業務に慣れると、仕事に対する自信ややりがいを感じ、次第に自らの成長を実感できるようになります。
そして、成長したことでモチベーション高く働くことができ、早期離職率を下げられる可能性が高まるでしょう。早期離職率を下げられることは採用コスト削減に繋がり会社にとっても大きなメリットになります。
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メリット2.知識や技術の習得を早められる
新人教育を適切に実施することで、新入社員が業務の基本を理解できるため、仕事に関する知識や技術の習得を早めることができます。
また「上司や先輩からの指摘を素直に受け止め、自己改善に取り組む」といった社会人としての心構えを学ぶことで、研修が終わった後も自分で学習し成長する土壌ができます。
新人教育を行うことによって新入社員の業務理解や自分で学習し成長できる心構えを身につけられることで、部署のスタッフの業務負担が軽減されるだけでなく、全体的な生産性が向上するでしょう。
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メリット3.教育担当者の成長を期待できる
新人教育を担当した社員の成長も、新人教育のメリットといえます。新人教育を担当する社員自身が持っている知識を整理し、業務に関する再認識ができるためです。新人に自分の知識やスキルをわかりやすく教える指導力や、責任感の高まりも期待できます。
さらに、担当者は新入社員と一緒に過ごす時間が増えるため、新人の視点を取り入れたり、担当者自身の新人時代を振り返り、新しい気づきを得ることも可能です。新人教育を通して得られるさまざまな「気づき」が教育担当者のスキルアップにつながり、会社全体の人材育成にも貢献できるのです。
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新人教育を実施する2つのデメリット
新人教育にはメリットだけでなく、いくつかのデメリットもあります。新人教育の担当者はメリットとデメリットをどちらも把握したうえで、メリットを最大化し、デメリットを最小化する教育プログラムを構築することが求められるでしょう。ここからは、新人教育を実施する以下の2つのデメリットを、より詳しくみていきます。
- 研修内容の質にばらつきが出るケースもある
- 担当社員の負担が大きくなる
デメリット1.研修内容の質にばらつきが出るケースもある
自社の社員が新人教育を担当する場合には、講師を担当する社員によって教育の質が異なる可能性があります。例えば、新入社員の人数が100名を超えるような場合には、1クラス30人程度に分けてそれぞれに講師が割り当てられます。
その結果、クラスごとに新人教育の成果に差が生まれてしまうケースが多くあります。また、複数の研修カリキュラムがある場合にはカリキュラムごとに開発者や講師が異なることもあります。このような場合にも教育の質にばらつきが発生するケースがあります。
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このデメリットを軽減するには、指導内容や方法について教育担当者任せにせず、指導計画を上司や人事部がチェックしたり、教え方のコツをレクチャーするなどの教育担当者向けの研修もしっかりと行なったりすることが大切です。
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デメリット2.各部署の新入社員研修担当者の負担が大きくなる
各部署の新入社員研修担当者が新人教育を担当する場合、通常の業務に加えて新人教育の業務を行うことになり、一時的とはいえ業務負担がかなり大きくなります。
そのため、各部署の新入社員研修担当者のみが膨大な業務を抱えることのないよう、人事部は新人教育担当者へのレクチャーや研修内容を管理することが必要です。人事部は、事前に各部署の新人教育担当者向けに研修等を行い、スムーズに研修が実施できるようにサポートしましょう。
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新人教育でよくある3つの失敗例
ここからは新人教育でよくある3つの失敗例について、詳しくみていきます。新人教育が失敗すると早期離職を招いたり新入社員の戦力化が遅れたりする原因となるため、失敗例を知り、同じ轍を踏まないよう注意してみて下さい。
1.人事部が新人教育を各部署の新人教育担当者任せにしてしまう
新人教育を現場任せにすると、失敗する原因となります。なぜなら各部署の新人教育担当者によって教育内容や方法が異なるケースがあるためです。
教育内容が各部署の新人教育担当者ごとに異なると、教育を受けた新入社員の能力や理解度に差が出てしまい、新入社員のモチベーションの低下につながる恐れがあります。
そのため、人事部としては各部署の新人教育担当者へ事前に研修を実施することや研修期間中に新人教育担当者とのコミュニケーションをしっかりと取ることで新人教育の品質、担当者の負荷の軽減に協力しましょう。
もしも、各部署の新人教育担当者へ事前に研修を実施することが困難な場合や新人教育担当者が別の業務で忙しい場合は外部の研修サービスを利用することも検討することをおすすめします。
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2.人事部が各部署の新人教育担当者に対するフォローが足りない
人事部が各部署の新人教育担当者を適切にフォローしていないと、新人教育が失敗する恐れがあります。新人教育はほとんどの企業で一時的な業務であるため、本来の業務と兼任しているでしょう。
ただでさえ業務量が増え負担がかかるところに、新入社員に教えるという責任の大きい業務が加わるため、各部署の新人教育担当者はストレスを感じることがあります。
ストレスを感じながら新人教育をすることは、新入社員にも良くない影響を及ぼす可能性があるでしょう。新人教育の担当者のストレスを軽減するためにも、人事部が適切にフォローする必要があります。
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3.前年度の研修をそのまま踏襲する
新人教育は毎年行うものです。そのため、前年度に行った研修の資料が残っていることがあるでしょう。しかし前年度の研修や資料を次年度も引き続き踏襲することは、失敗の原因になることがあります。
なぜなら、新人の傾向は毎年変化するためです。そのため人事部は、毎年変わる新人の傾向に合わせたカリキュラムを組むこととそれに合わせて各部署の新人教育担当者へ研修を行うことが大切です。
さらに人事部は、新人研修を終えたら、研修を受けた社員に研修に対する報告を出してもらい、研修プログラムを評価・検証する必要があります。改善すべき点を洗い出し、次年度の研修に反映させなくてはいけません。
過去の新人研修内容をそのまま使用することはせず、必ず改善していきましょう。
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新人教育の失敗を防ぐ2つのポイント
ここからは新人教育の失敗を防ぐ以下の2つのポイントを、より詳しくみていきます。新人教育の成否は会社の今後に影響を及ぼします。人事部は、必ず各部署の新人教育担当者に伝えるようにしましょう。
- 育成施策に内発的動機付け向上の観点を入れる
- 新入社員の状況に応じてアプローチ方法を使い分ける
1.育成施策に内発的動機付け向上の観点を入れる
内発的動機付けとは、個人の内面から湧き出る興味や関心が仕事のモチベーションと結び付いていることを指します。内発的動機付けがあることで、人は自ら積極的に行動するようになるのです。
新人教育においてはこの内発的動機付けができるかどうか、内発的動機付けを高められるかどうかが重要なポイントになります。内発的動機付けを持たせるには、以下の3つの条件が揃うことが求められます。
- 自律性:指示されて動いているのではなく、自分の行動を自分でコントロールしている感覚
- 有能感:自分には結果を出すための能力がある、という感覚
- 連帯感:周囲と関わっている感覚
新人教育において内発的動機付けをもたらすには、上記3つの感覚を新入社員に持たせることが重要です。これらの感覚を新入社員にもってもらうために、教育を行う際には以下の4つの観点を見直してみるとよいでしょう。
1.質問しやすい環境をつくる
まず行うべきことは、新入社員が質問しやすい環境を作ることです。新入社員は仕事の知識やスキルがありません。そのため、配属先の新人教育担当者に聞きながら仕事を進めることになります。
質問しやすい環境があることで、新入社員自身が「自律性をもって業務を進められている」、「自分には業務を進めるための能力がある」という感覚をもちやすくなるでしょう。
もし、教育担当の社員が忙しそうで質問しづらい、どの先輩社員も黙々と自分の業務を進めていて話しかけにくいなどの状況があれば、リソース調整や関係構築の機会を増やすことで、新入社員が気軽に質問できる体制を整えましょう。
2.失敗することを前提とする
失敗を認め、挑戦を奨励する環境をつくることも自律性を育むうえで大切です。「大切なのは失敗から学び、次にどう活かすかを考えることである」という風土があることで、「まずはやってみよう」と自律的に行動する量を増やしていくことができます。
一方で、失敗を必要以上に追及したり、失敗しない行動を新入社員に求めていると、チャレンジする量も減り、指示された行動以外はとりにくい状況になってしまいます。新入社員のうちは失敗するのが当たり前であり、まずは挑戦したことを褒める、失敗したことについては、繰り返さないように一緒に改善しようというスタンスをもっておくことで自己効力感も育むことができるでしょう。
3.すぐに回答を出さず自ら思考できるよう導く
新入社員にすぐに回答を教えるのではなく、自ら考える習慣をつけてもらうことも自律性を高めるうえで重要です。ただし、配属後いきなり、全て自分で考えてやってみるように求めるのでは新入社員に負担がかかってしまいます。
前提知識がないと進められない業務については、説明したり、手本を見せたりしたうえで、同様のパターンではどのように考えるか、違うパターンではどのように対応するとよいかなど、新入社員が思考する裁量を調整しながら指導を行うとよいでしょう。そうすることで、業務に慣れながらも思考できるレベルが高まっていき、自己効力感と自律性を併せて高めていくことができるでしょう。
4.チームとしての目的・ゴールを明らかにする
新入社員が担当する業務の中には、その業務がどんな成果につながっているのか、後工程は何かがわかりにくいものもあります。そこで、自チームは何をミッションにしているのか、新入社員の業務の先にだれが何をすることで業務が進んでいくのかなどを併せて伝えてあげることで、周囲と関わっている感覚や周囲に価値提供をしている感覚をもつことができます。これにより、チームとしての連帯感を育むことができるでしょう。
2.新入社員の状況に応じてアプローチ方法を使い分ける
新人教育においては、新入社員の状況に応じて、いくつかの異なるアプローチを提示することが求められます。新人教育が進むに従い、順調な社員とそうではない社員が出てくるでしょう。
その場合には、個別面談を実施した上で新入社員それぞれに応じた柔軟な対応を取ることが大切です。新人教育の結果として全体で一定レベル以上の成果を上げることも目標としつつ、新入社員それぞれの習熟度の開きをできるだけ少なくする取り組みが必要です。
新入社員の状況に合わせたアプローチを行うには以下の3つの観点を意識するとよいでしょう。
1.個人としての目的・ゴールを明らかにする
新入社員にはそれぞれ適した学び方やペースがあります。新入社員の性格や能力に合わせて、いつまでに、何を、どのくらいできるようにするのかを設定することで、個人の目標に合わせて業務アサインを調整したり、指導方法を変えることができます。新入社員も自身の状況に合わせて業務に取り組むことができるため、モチベーションを保ちやすくなるでしょう。
2.個人の背景や目標を把握する
先述したような新入社員個人の目的・ゴールを設定し、本人と合意形成して進めていくためには、新入社員各々の強みやモチベーションの源泉、問題意識、キャリア意識などを把握する必要があります。日頃から新入社員との対話・関係構築の機会をもっておき、本人の思いと会社からの期待を重ね合わせて、目標設定を行いましょう。
3.個人の特性に合わせて教育方法を変える
既存の育成プログラムに無理やり当てはめるのではなく、一人ひとりに合わせた教育方法を考えることが必要です。たとえば、「前提となる知識をしっかり理解してから業務に着手したい」と考える人もいれば、「実践経験を積みながら、どのようなコツがあるのかをつかみたい」と考える人もいるかもしれません。新入社員がどのようなことを身につけたくて、どんな方法だとそれが叶いそうかを本人と話しながら教育方法を選んでいきましょう。
新人教育に用いる主な3つの手法
ここからは新人教育に用いる以下の主な3つの手法について、詳しくみていきます。これから新人教育を行う担当者の方は、ぜひ読んで下さい。
- OJT(職場内訓練)
- Off-JT(職場外研修)
- eラーニング
1.OJT(職場内訓練)
OJTとはOn the Job Trainingの略で、職場内訓練のことを指します。Off-JTとは異なり、主に新入社員を対象とし、職場内で実際の業務を通じて必要な知識や技能を身につけるために行われるものです。
OJTでは先輩や上司が新入社員の教育担当者となり、新人に対して指導やフィードバックを行います。OJTのメリットは、主に以下の3つです。
- 業務に即した実践的な学習ができる
- 教育担当者と新人のコミュニケーションや信頼関係が深まる
- 教育担当者も自分のスキルや知識を見直す機会になる
OJTを実施する際には、現場で新入社員の教育を担う教育担当者向けに研修やオリエンテーションを行ないましょう。指導に必要なスキルを習得してもらったり、OJTトレーナーとしての役割を正しく認識してもらうことが重要です。
2.Off-JT(職場外研修)
Off-JTとはOff the Job Trainingの略で、職場外研修のことを指します。研修が必要な部署やチームに職場から離れた場所で必要な知識や技能を身につけるために行われるものです。
Off-JTでは社内や社外の専門家や講師などが教育担当者となり、研修が必要な部署やチームに対して講義や演習などを行います。Off-JTのメリットは、主に以下の3つです。
- 業務に必要なビジネススキルや心構えを体系的に学べる
- 他部署や他社の人と交流や情報交換ができる
- 日常業務から離れて客観的に自分を見つめ直す機会になる
新入社員に対しては入社初期にOff-JTを取り入れることが一般的です。どの部署でも必要とされる基本のスキルやスタンスを伝えることで、一定のレベルに到達した状態で新入社員を現場に配属させることができます。
Off-JTで取り扱う内容は、新入社員に求めるレベルを定めてから決めていきましょう。
また、Off-JT後も現場任せにせず、新人教育の課題を随時拾い上げる必要があります。現場からの要望は新人フォローアップ研修や次年度の新人教育に活かし、常にブラッシュアップすることを心掛けてください。
3.eラーニング
eラーニングとは、パソコンやタブレット、スマートフォンなどのモバイル機器などを使用し、インターネットを活用して行う学習のことです。動画やテキストの教材を通じてインプットを行い、テストやレポートを通じてアウトプットを行うことで業務に必要なビジネススキルなどを効率的に学習することができます。
eラーニングのメリットは、主に以下の3つです。
- オンラインでも研修が実施できるため場所に捉われずに研修を実施することができる
- インプットとアウトプットを繰り返すため効率的にスキルを身につけることができる
- 人事部や各部署の新人教育担当者が、テストの点数や課題の進捗を個別にリアルタイムで把握できるため、面談などの個別対応を迅速に実施できる
新人の教育係に必要なスキル・マインド
新人教育がうまくいくかどうかには、OJTトレーナーとも呼ばれる教育係の存在が大きく影響します。新人の教育係の役割は、単に知識や技術を伝えるだけではなく、新人の成長をサポートし、彼らのポテンシャルを最大限に引き出すことにあります。これらを達成するためには、さまざまなスキルやマインドセットが求められます。以下に、新人の教育係として持っておくべき主要なスキルとマインドを説明します。
コーチングスキル
コーチングは、個人の自律性と向上心を引き出すための特別なコミュニケーション技術です。相手の気持ちや考えを深く理解するための「傾聴力」、変化や成長を感じ取り伝える「表現力」、そして相手の思考を活性化させるための「質問技術」が不可欠です。OJTトレーナーにこれらのコーチングスキルを磨いてもらうことで、効果的な新人教育を行うことができるようになります。
コーチングスキルを身につけるための研修について詳しくは以下のページをご覧ください。
『【事例あり】コーチング研修の内容や目的、メリットを解説』
ティーチングスキル
ティーチングは、上司やベテランの社員がその経験や知識を後輩や新人に伝える手法を指します。ポイントは、指導者が明瞭な答えや方法を持ち、それを効果的に伝授することです。ティーチングの利点は、短期間で具体的なスキルやノウハウを伝授できることです。特に経験が浅い対象者や、時間が限られた業務を担当する場合、ティーチングが最も効果的です。
ティーチング研修について詳しくは以下のページをご覧ください。
ティーチング研修
フィードバックスキル
新人教育の過程では、単に業務を行わせるだけでなく、その結果を評価し、次のステップや改善点を伝えるフィードバックが欠かせません。新人の言動に対して成功か失敗かを正確に判断し、プレッシャーをかけずに指摘する技術が求められます。
特に、マイナス面の指摘だけでなく「褒める」ことができるかどうかが重要です。教育係が新人を「褒める」ことで、新人はポジティブな気持ちで業務に取り組めます。フィードバックスキルを持つ教育係は、育成施策の効率を高め、新人をよりスムーズに成長させることができるでしょう。
メンタリングスキル
メンタリングは新人教育担当の基本的な役割の一つです。新人の精神的サポートを行い、相談相手になる必要があります。相手の話をしっかりと聴き、理解し、適切なアドバイスや励ましを提供することが大切です。新人が心から信頼して相談できるような環境を作る態度や心構えを持つようにしましょう。
メンタリングスキルを身につける研修について詳しくは以下のページをご覧ください。
メンタリング
周囲を巻き込む力
新人教育担当には、周囲を巻き込む力も必要です。
新人教育の成功はOJTトレーナーだけの努力ではなく、チーム全体の協力によってもたらされます。他のメンバーにも新人のサポートをお願いしたり、業務のサポートを受けながら、全員が新人の成長を支える環境を作る能力が求められます。
結果がでなくても焦らない
人によって成長ペースは異なります。予定通りに進まない場面もあるかと思いますが、そのような状況でも冷静さを保ち、焦りすぎないことが大切です。具体的な状況や問題に応じて、詳しく説明を行い、計画を柔軟に調整しながら新人の自立をサポートする姿勢が求められます。
OJTトレーナーに必要なスキルや指導のコツは、以下の記事でも紹介しておりますので、どのようなスキルが必要か参考にされたい方はぜひご覧ください。
『新入社員教育に効果的なOJT。内容や目的・研修(Off-jt)との違いを解説』
新人の教育係に伝えるべきOJTの流れ
新人教育を担当するOJTトレーナーには、OJTを成功させるための流れを理解し、それを正しく実践することが求められます。ここではアルーがおすすめする、OJT教育を進める上での4つの主要なステップを紹介します。
1.やってみせる
まずは、OJTトレーナー自身が新人の前で業務を実演します。この段階では、新人は業務の全体像や具体的な作業手順を視覚的に理解することを目指します。最近では、定型的な業務については実践方法を動画化し、オンラインで仕事の方法を学んでもらう企業も増えてきています。OJTトレーナーの負担も考慮しながら、随時工夫していきましょう。
2.言って聞かせる
業務の実演が終わったら、次は業務の詳細な説明を行います。業務の背景やポイント、ノウハウなどを具体的に伝え、新人の理解を深めることがこの段階の目的です。「何かわからないことはないか?」「不安な点はないか?」など、実践へ進む前に丁寧なヒアリングを行いながら進めてみてください。
3.させてみる
ここでは、新人に実際に業務を実践してもらいます。初めての業務には戸惑いも多いかと思いますが、OJTトレーナーは適切なサポートを行いながら、新人に自ら業務を体験させることが重要です。新人にとって初めてとなる業務の場合、なかなか上手くいかない場面もあるかもしれません。しかし、OJTトレーナーとなる先輩社員は新人が一通り業務をこなすまでは口を出しすぎないことが重要です。
このステップで注意が必要なのは、新人に「放置されている」「相手にされていない」と感じさせないようにすることです。新人が疑問に感じた点はいつでも答えるような姿勢を見せるようにしましょう。
4.ほめる
業務の実践が終わったら、フィードバックの時間です。新人の取り組みに対して、ポジティブな点を中心に評価し、褒めることで新人のモチベーションを維持・向上させることができます。これまでの成長を共に振り返ることで、新人は自分の仕事ぶりに自信を持つことができます。新人のモチベーションを維持してあげることで、新人は次の業務にもポジティブな気持ちで臨むことができるでしょう。
この4つのステップを基に、新人の成長をサポートすることがOJTトレーナーの役割です。適切な指導とサポートで、新人の能力を最大限に伸ばしましょう。
新人の教育係に伝えるべきOJTのコツ
OJTの効果を最大限に引き出すためには、具体的な方法や指導のポイントを把握することが必要です。以下に、OJTを成功させるためのコツをまとめました。
育成計画を作成する
成功するOJTには、明確な計画が不可欠です。新人の能力や目標に合わせて育成計画を事前に作成し、その実行に努めましょう。また、OJTトレーナー向けの研修も実施して、指導の質を向上させるのがおすすめです。育成計画の作成には負担がかかるため、企業側のサポート体制を整えておくことも重要です。OJTトレーナー向けの研修を実施し、育成計画の立て方を伝えたり、トレーナー同士の横のつながりを作り出し、OJTのクオリティを底上げするとよいでしょう。
育成マニュアルを整備する
指導内容のばらつきを無くすために、新人及びトレーナー向けの育成マニュアルを用意することをおすすめします。これにより、業務の手順や指導の方法を統一化し、指導のクオリティを一定に保つことが可能です。OJT施策を毎年行っている企業では、トレーナーの指導経験を踏まえたナレッジを集約し、マニュアルに掲載しておくとよいでしょう。
結果に焦らず悠然と
新人の成長は人それぞれ異なります。計画に遅れが出たとしても焦らず、新人のペースに合わせて指導を行うことが大切です。例えば営業向けのOJTで「なかなか契約書類の用意ができない」といったような事態が発生した場合、焦って実務へ進んでしまっては逆効果です。「なぜこの書類が必要となるのか」「この書類にはどのような目的があるのか」といった背景まで立ち入りながら丁寧な説明を行い、新人が自立して仕事を行なえるようになるまでサポートしましょう。
個人によって指導内容を変える
OJTの強みは、個別指導が可能であることです。新人の経験や能力に合わせて指導内容を柔軟に変えることで、より効果的な指導が実現できます。OJTトレーナーとなる社員は、「この社員には業界の事情について重点的に指導しよう」「この社員は基本的な事柄はできているから、応用的な内容を教えよう」といった具合に、新人の能力に合わせた指導を行いましょう。
指導内容を明確に言語化する
OJTの中心は「業務を実際に目の前で観察し学ぶ」ことです。しかし、業務の内容だけを示すことで、以下の要点が欠けることが多いです。
- この業務の背後にある目的は?
- 各工程の意義は何か?
- 更なるスキルアップのための方法は?
OJTを進行させる時、業務内容、手順、背景を詳細に明確に伝えることが求められます。これにより、OJTトレーナーも業務内容を再評価し、業務プロセスの向上が期待できます。
フィードバックを行う
OJTの後に行う実践は、身につけた知識の定着を促進します。そのため、新人が業務を実践した後、OJTトレーナーからのフィードバックは必須です。このフィードバックを通じて新人は業務の改善を進めることができます。また、不明点や疑問点を解消するための質問の時間も設けることが大切です。次の業務へ取り掛かる前に、疑問点や不安点をしっかりと潰しておきましょう。
フィードバックの基準を作っておく
フィードバックの価値は、OJTを行う際に非常に重要です。しかし、フィードバックの際の評価基準が明確でないと、目先の業務指示が主となり、効果的な指導とは言えなくなります。したがって、OJTを開始する前に、フィードバックの明確な基準を設定することがキーとなります。具体的な達成目標や、数値で示す定量的基準、数値化し難い定性的な基準を組み合わせて使用することで、より効果的なフィードバックを実現できます。
OJT教育の成功には、上記のテクニックや指導のポイントが役立ちます。さらに詳しい情報や具体的な方法については、以下の記事で詳しく紹介していますので、確認してください。
『OJT教育とは?指導やマニュアル作成のコツ、メリット・デメリット』
新人の教育係が抱える悩み
OJT中、新人が「放置されている」と感じることはよくあることです。トレーナーからすれば放置の意図はないことが多いのですが、新人にとってはそのように感じられることがあるのです。このギャップを解消するためには、問題の原因特定が不可欠です。具体的な原因を探りながら解決策を考えてみましょう。
仕事が忙しくて余裕がない
主な原因の一つは、OJTトレーナーの業務量の多さに起因します。特に、新人の教育係には入社3年目から5年目の中堅・若手社員がOJTトレーナーとして任命されるケースが多いです。OJTトレーナーをぜひ引き受けてほしいと感じるような先輩社員ほど、プレイヤーとして優秀な場合が多く、日頃から多くの業務を抱えている傾向があります。そのために対応が後回しになり、やむを得ず放置が起こってしまうのです。
社員教育のノウハウがない
もう一つの大きな問題は、適切な社員教育のノウハウが欠けていることです。OJTの成功には、計画的なアプローチと人事との連携が欠かせません。しかし、これらのノウハウが不足している場合、OJTは計画なく、行き当たりばったりに進行され、その結果、新人はサポート不足を感じることが多くなります。
また、実務能力が優秀な社員が教育に長けているとは限りません。特に、OJTを初めて任せられた社員の中にはこれまでに育成を行なったことがないという社員も少なくないでしょう。このような場合、どのように育成すべきかを知らず、自己流で誤った指導方法を取ってしまうことがあります。
職場の人間関係があまり良くない
職場の人間関係の悪化もOJTの質に影響を及ぼします。社員間の連携が不十分だと、新人のサポートも十分に行われなくなるのです。社員が自分の業務だけ推進していればよいと考えている、業務が多すぎて余裕がないなど、職場の雰囲気がギスギスしてしまっている場合は要注意です。
新人の教育係が抱える悩みの解決策について解説しました。さらに詳しい情報は、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひ確認してください。
『OJTトレーナーに向いていない人の特徴4つ。失敗しない選出方法と支援策』
新人の教育係の悩みを解決する方法
OJTトレーナーが抱える、業務との両立や指導方法の不明瞭さなどの課題に、企業としてどう対応するかは一つの大きなテーマとなります。以下に、企業が採用できる3つのサポート策をご紹介します。
OJTトレーナー研修を行う
初めてOJTトレーナーとして指名される際の不安を軽減するため、事前に研修プログラムを提供するとよいでしょう。OJTトレーナー研修では、トレーナーに新人にどのような指導をすべきかを理解してもらうことが目的となります。研修を通じて、マニュアルの整備や指導法を学ぶことで、OJTをスムーズに進行させることができます。
OJTトレーナー研修について詳しくは以下のページをご覧ください。
OJTトレーナー研修
OJTトレーナーの業務量を調節する
OJTトレーナーは、自らの業務と新人教育とのバランスをとることが求められます。企業は、トレーナーの業務負荷を適切に管理し調整することで、教育の質を確保する必要があります。OJTトレーナーが無理なくこなせる業務量に調整することで、より効果的な新人教育を行うことができるでしょう。
OJTの進捗を共有させてサポートする
新人教育が進んだら、トレーナーからの進行状況の報告やフィードバックを受け取りましょう。これにより、OJTの目標達成度や進行具合を把握し、必要に応じて迅速に対応することができます。定期的な進捗報告をしてもらうことで、教育の遅れや問題点を早期にキャッチし、効果的な改善策を講じることができます。
新人の教育係の悩みについて解決する方法を解説しました。新人の教育係をサポートすることが新人教育の成功の秘訣です。アルーではOJTトレーナーをサポートするための研修を実施しています。OJT指導研修について、さらに詳しい情報は下記ページより資料ダウンロードいただけます。
アルーの新人教育の成功事例
アルーでは、新入社員の教育担当である上長やOJTトレーナー向けに、新入社員の育成に必要な心構えやスキルを身につけるための研修を提供しています。ここでは、組織ぐるみで新人育成を行うことのできる環境づくりをおこなった成功事例を紹介します。
製造業のA社では、育成風土が根付いておらず体系的なOJT施策を整える必要がありました。特に、部下の育成を担っているという意識が希薄な上長が多いことが課題でした。OJTトレーナーだけでなく、上長にも部下育成の必要性を知ってもらうことが求められていたのです。
そこで、OJTトレーナーが中心となり、上長や新人を巻き込みながら組織ぐるみで新人育成を行う研修を設計しました。
組織ぐるみの育成を行うために、プログラムとしては以下のような工夫を行いました。
- 組織ぐるみで育成計画を立てる:上長と共に、環境づくり・OJT計画の策定と「OJTプラン進捗確認シート」の作成を行い、組織ぐるみで新人育成を行う
- チームビルディングを実施:新人とOJTトレーナーが合同で計画の振り返りや人生曲線のワークを行い、相互理解し、共通の目標を持ち、チームとして団結する
- 育成風土を浸透させる:1年間に3回の研修を通じて、OJT計画の振り返りとブラッシュアップを行う事で育成風土を浸透させる
施策の結果として、受講者のうち88%の方が研修内容を業務上活かせそうと回答しました。具体的な声として、新入社員の上長からは、「新人教育はOJTトレーナーに任せきりでなく、全員で育成していくことが必要なのだと実感した。環境づくりの大事さを再認識した」と声が上がりました。
また、OJTトレーナーからは、「新入社員とはよくコミュニケーションをとっているが、改めてワークをすることで共通認識を持つことができた」などの声が上がりました。
A社で実施した新人育成事例については下記より詳しい資料をダウンロードいただけます。
新人教育でよくある3つの質問
ここからは新人教育でよくある3つの質問の、詳しい回答をみていきます。人事部の方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
質問1.教育担当者向けの指導マニュアルを作成したほうがよいですか?
作成したほうが良いです。人事部が作成した教育担当者向けの指導マニュアルがあることで、新人教育担当者の教育の質を一定以上にすることが期待できるためです。
人事部は、毎年変わる新人の傾向に合わせたカリキュラムを組むことだけでなく、新人の傾向に合わせた教育担当者向けの指導マニュアルも作成しましょう。
また、マニュアル作成とともに新人教育担当向けにOJTトレーナー研修を実施することもおすすめです。
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質問2.新人教育で用いられるメンター制度とは何ですか?
メンター制度とはメンター(相談相手や支援者)と新入社員がペアになり、お互いに成長を目指す制度です。メンターを決める際には「仕事の指示を直接下す上司や先輩以外の社員」であることが大切になります。
なぜなら、メンターの重要な役割のひとつが、新入社員の事やプライベートのことを自由に相談できる存在になることだからです。上司ではないメンターに頼ったり相談したりすることで、新入社員は仕事や会社に対する不安やストレスを軽減できるでしょう。
質問3.新入社員の教育担当者が抱えやすい悩みはありますか?
新入社員の教育係が抱えやすい悩みの例は、主に以下の4つです。
- 自分の仕事ができなくなるほど新人教育に時間がかかる
- 新入社員とコミュニケーションがうまくいかない
- 新入社員によって習得のスピードが異なる
- 教えるべき内容が多すぎる
新入社員の教育係が抱えがちなこれらの悩みを解決する方法は、担当者ひとりで悩みも業務も抱え込まないことです。新人教育は部署、ひいては会社全体で取り組むべき業務です。
教育係が抱える悩みを放置すると、新人教育がおざなりになるといったネガティブな影響が出る可能性があります。そのため、新人教育の教育係のメンタル面を適切にフォローし、悩みを抱えていないかを上司や部署全体で把握することが求められます。
まとめ
新人教育は企業にとって優秀な人材を育成するための重要なプロセスです。新入社員が組織文化や自社のビジネスを理解し、会社の目的や価値観に共感できるような教育をする必要があります。この記事を読んで、ぜひ自社に最適な新人教育プログラムを構築してみてください。
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