管理職に必要なコミュニケーションスキルとは|コツやスキルの身につけ方を解説
「管理職と現場社員のコミュニケーションが上手くいかない」このような悩みを抱えている企業は少なくありません。管理職と現場の間のコミュニケーションは企業全体のパフォーマンスにも直結するため、ぜひ気にしておきたいポイントです。この記事では、管理職に求められるコミュニケーションスキルや、その伸ばし方などを解説いたします。
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管理職におけるコミュニケーションの重要性
「管理職にはコミュニケーション能力が求められる」とよく言われますが、そもそもどうして管理職はコミュニケーションを重視する必要があるのでしょうか。
管理職がコミュニケーション能力を伸ばす意義としては、周囲との信頼関係の構築や、部下の育成や評価に役立つといった点が挙げられます。まずは管理職がコミュニケーション能力を伸ばす重要性について確認していきましょう。
周囲との信頼関係を築ける
管理職は、社内の他の管理職の社員や、外部の取引先などと接する機会が多いです。ときには「会社の顔」として、重要な商談や交渉に臨む場面も少なくありません。また、部下や他部署の社員、上司、経営層ともコミュニケーションを取って業務を行うことも増えてくるでしょう。
管理職がコミュニケーションに力を入れる意義の一つに、周囲との信頼関係の構築に役立つという点が挙げられます。管理職が高いコミュニケーション能力を身につけていれば、周囲の信頼を獲得し、円滑にやり取りをしながら仕事を進めることが可能です。特に、管理職は部下育成を行うことが業務の一つですので、部下との信頼関係を築くためにも、管理職には高いコミュニケーション能力が必要なのです。
部下の育成・評価に役立つ
管理職の重要な役割の一つに、「自分の管轄している部署を取りまとめる」というものがあります。管理職としてチームの方針を定めるのはもちろん、部下の評価や育成も重要な役割の一つです。
管理職が高いコミュニケーション能力を身につけていれば、部下の育成や評価でも役に立ちます。例えば部下へフィードバックを行う場面であれば「上手くできている点と改善点をバランスよく織り交ぜながら伝える」「部下の困りごとを的確に把握する」など、さまざまな面でコミュニケーション能力を活かすことができます。
管理職に求められるコミュニケーション能力とは?
管理職が高いコミュニケーション能力を持っていると、さまざまなメリットがあることがわかりました。それでは、具体的に管理職にはどのようなコミュニケーション能力が求められるのでしょうか。
社内外の幅広い関係者と接する機会の多い管理職では、上司や経営陣、部下やチーム内などさまざまな種類のコミュニケーション能力が求められます。管理職に求められるコミュニケーション能力を具体的に見ていきましょう。
上司・経営陣とのコミュニケーション
管理職に求められるコミュニケーションとして、第一に上司や経営陣とのやり取りが挙げられます。管理職は部署や部門の代表として、現場の状況を経営陣や事業責任者レベルの上司へ報告することが必要です。
この際に、例えば現場の課題点や現状を、事実の羅列として伝えるだけでは効果的なコミュニケーションは生まれません。管理職は会社全体の方針や経営戦略を理解した上で、自分自身で重要な内容を取捨選択しながらコミュニケーションを取る必要があるのです。
部下・チーム内とのコミュニケーション
管理職に求められるコミュニケーションとして、部下やチーム内でのコミュニケーションも重要です。管理職は会社全体の経営戦略をよく理解した上で、経営陣から与えられた指示を上手く咀嚼しながら部下へ伝える能力が求められます。
また、ときにはチームのリーダーとして社員からの相談に乗る場面もあるでしょう。社員の悩みを解決する際も、「本当に部下が悩んでいることはなんだろうか?」「どう伝えるのが効果的なのか?」といった点を多角的に考えながらコミュニケーションを取る必要があります。
部門間のコミュニケーション
管理職にとっては、部門間の連携も重要な役割の一つです。
企業においては、ときに部門間の関係がギスギスしてしまうことがあります。そのような事態が発生したときこそ、管理職としてのコミュニケーション能力の見せ所です。お互いの部署の立ち位置やリソースなどを俯瞰し、どうすれば部署間の敵対関係を解消できるかを考えながらコミュニケーションを取っていきます。
管理職は、常に「会社全体として何を達成したいのか?」を考えながら部門間でコミュニケーションを取ることが必要となってくるのです。
社外とのコミュニケーション
管理職に求められるコミュニケーションとして、社外とのコミュニケーションも重要です。社外とのコミュニケーションでは、ビジョンや目的を共有し、お互いに目標へ向かうパートナーとしての信頼関係を構築していく能力が求められます。
社外とコミュニケーションを取る際には、ときに無理難題を要求されてしまうこともあるかもしれません。そのような場面に遭遇した場合も、「どうしたらお互いが納得できる結論に着地できるか?」を考えながら、上手く難局を切り抜けるために、コミュニケーション能力を活用して交渉や折衝ができるようになる「ネゴシエーションスキル」が必要です。
アルーが行っているネゴシエーション研修に関しては以下のページでご確認いただけます。
コミュニケーションにまつわる管理職のよくある悩み
管理職にはさまざまなコミュニケーションが求められるため、管理職としてのコミュニケーションに課題を感じている社員は少なくありません。実際、アルーが行った調査によれば、コミュニケーションが十分だと感じている社員の割合は管理職側で9.5%、部下側で18.0%と、ともに課題感を持っていることが伺えます。管理職のコミュニケーションにまつわる、よくある悩みについて3つ取り上げます。
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テレワークで思うようにコミュニケーションが取れない
働き方改革推進の影響もあり、最近では出社せずに業務を行うテレワークが一般的になりました。管理職も自宅から業務を行う場面が増え、仕事上でのコミュニケーションはどうしても画面を通したものになりがちです。
しかし、画面上でのコミュニケーションには、対面でのコミュニケーションとは異なるさまざまな壁が存在します。例えば、相手の細かな表情を読み取りにくかったり、本音を引き出しにくかったりする、といったものが代表的です。このように、テレワークによるコミュニケーションの変化についていけないという悩みがあるのです。
上司・経営陣の意見を上手く部下に伝えられない
管理職にありがちな悩みとして、上司や経営陣の意見を上手く部下へ伝えられないというものも挙げられます。特にこれは、上司と部下の板挟みになりがちな中間管理職に顕著な悩みです。
このような悩みを抱えている際は、管理職自身のコミュニケーションを伸ばすと一気に課題が解決することがあります。管理職が上司や経営陣の意見をそのまま部下へ伝えるだけでは、効果的なコミュニケーションとはいえません。管理職自身が上司の指示を翻訳することが必要です。
部下と価値観が合わずコミュニケーションがうまくいかない
年功序列を採用している企業に顕著ですが、管理職と部下では世代が大きく離れていることも少なくありません。世代が離れると、どうしても価値観がお互いの想定以上に異なり、コミュニケーションに課題が発生することもあるのです。
部下と価値観が合わない場合も、管理職のコミュニケーション能力不足が潜在的な課題となっていることがほとんどです。管理職は新入社員の傾向や部下の話によく耳を傾け、世代の離れた社員の考えを丁寧に理解しようとする必要があります。
管理職が押さえておくべきコミュニケーションのコツ
管理職が高いコミュニケーション能力を身につけるためには、コミュニケーションを取る上で必要ないくつかのコツを覚えるのがおすすめです。管理職が押さえておくべきコミュニケーションのコツとして、代表的なものを4つ紹介します。
話すより聴くことを大切にする
管理職にありがちな課題として、自分の話ばかりしてしまい、相手側の社員がコミュニケーションを取る意欲を失ってしまうというものが挙げられます。管理職のコミュニケーションにおけるコツとして、「話すことよりも聴くことを大切にする」という点を意識しましょう。
特に部下が相手のコミュニケーションの場合、管理職の社員は「本人のため」という思いから、気づかないうちに話しすぎてしまうことが少なくありません。「相手のことを理解する」というコミュニケーションの原則を意識することが重要です。
管理職が傾聴力を高める方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。
『管理職が傾聴力を高める育成方法とは?傾聴力を高めるメリットと目的』
部下に対して期待を持っていることを伝える
コミュニケーションの大原則として、相手からの信頼を獲得するというものがあります。管理職が相手からの信頼を獲得するためには、部下に対して「自分はあなたに期待している」という好意を伝えることが効果的です。
まずは管理職自身が部下へ期待感を伝えれば、部下は「頼られている」「信頼されている」と感じることができます。その結果、部下との信頼関係の構築が促進されるほか、部下のモチベーション向上といった効果も期待できるため、ぜひ押さえておきたいポイントです。
ロジカルシンキングを基にして論理的に話す
仕事について話をする際には、相手に自分の意志を的確に伝える必要があります。上司や部下、関係者に自分の意見に対する納得感を持ってもらうためには、ロジカルシンキングの能力が必要不可欠です。
管理職が意識しておきたいコミュニケーションのポイントとして、ロジカルシンキングを基に論理的に話すという点も挙げられます。「情報が散乱していて結局何を言いたいのかわからない」「検討すべき情報を抜けもれなく収集できていない」などと言われてしまわないよう、筋道立てて話をするとよいでしょう。
アルーが行っているロジカルシンキング研修に関しては、以下のページでご確認いただけます。
テレワークでは意図的にコミュニケーションの機会を作る
コミュニケーションが画面上で行われるテレワークでは、なかなか思うようにコミュニケーションを取れないことがしばしばです。「テレワーク導入後、社員同士の気軽なコミュニケーションが減った」「管理職が部下の不調に気付くことができなかった」といった悩みは少なくありません。
テレワークを実施する際には、意図的にコミュニケーションの機会を作るのがおすすめです。
その際は、何を目的にしたコミュニケーションなのかによって頻度や手段を変えましょう。たとえば、部下の日々の状況を確認するためであれば週に1回以上、1on1を短時間で実施するのがよいでしょう。一方、部門戦略やビジョンを部署全体に伝える場合、3ヶ月や一年に一回、会議の場を設けるのが適しています。
管理職が行ってはいけないコミュニケーション
管理職のコミュニケーションに課題感を抱えている際は、行ってはいけないコミュニケーションをやってしまっている可能性があります。管理職が効果的なコミュニケーションを取るためには、行ってはいけないコミュニケーションを予め知っておくことが必要です。管理職が行ってはいけないコミュニケーションとして代表的なものをご紹介します。
感情に任せて喧嘩・叱責してしまう
管理職も一人の人間として、ときに部下とのやり取りや関係先とのやり取りで熱くなってしまう場面があるかもしれません。しかし、管理職が感情に任せて喧嘩や叱責をしてしまうと、今後の周囲との信頼関係に大きな悪影響を及ぼします。また、感情に任せて部下を叱責すると、最悪の場合パワハラとして訴えられたり、退職されてしまったりといった事態に繋がりかねません。
管理職として、いっときの感情に支配されたコミュニケーションを取るのは避けましょう。部下を指導する際も、本人の感情や思いを汲みながら、「どうすれば効果的な指導になるのか?」を考えながらコミュニケーションを取る必要があります。
自分の正当性を証明しようとしてしまう
社員や関係先とのやり取りの中で対立構造に陥ってしまうと、どうしても自分自身の考えの正当性を証明したくなってしまうものです。一方で、管理職が自分の正しさにこだわって主張し続けたとしても、ほとんどの場合はよい結果に結びつきません。
管理職として自分の正しさにこだわりそうになってしまった場合は、一度冷静になり、「本当にそれが会社にとって有益なのか」と自分自身に問い直しましょう。相手を正論で言い負かそうとしていないか、常に意識することが必要です。
相手と対立してしまった場合に備えて、ネゴシエーションスキルを身につけるのも一つの手です。
相手を言い負かし、こちらの言い分を押し通すネゴシエーションではなく、双方が利益を得ることができるようなネゴシエーションを行なえるようになりましょう。
アルーでは、自分も相手も利益を得る「プラスサム交渉」のスキル習得を目的としたネゴシエーション研修をご提供しています。
▼アルーのネゴシエーション研修について詳しくはこちらのページもご覧ください。
管理職に必要なコミュニケーション能力の身につけ方
管理職として必要なコミュニケーションや、管理職として行うべきではないコミュニケーションの具体例を紹介してきました。それでは、実際にどうすれば管理職は理想的なコミュニケーション能力を身につけることができるのでしょうか。
管理職のコミュニケーション能力を伸ばすためには、研修の実施が効果的です。管理職に必要なコミュニケーション能力の身につけ方を、管理職育成の観点も交えながらご紹介します。
マネジメントスタイルの変革を促す
管理職にコミュニケーション能力を身につけてもらう場合、傾聴力やロジカルシンキングなどのスキルだけを伝えても職場でのコミュニケーションの課題は改善されないことが多いです。
これは、管理職のマネジメントスタイルを変えないまま、コミュニケーションスキルだけを取り入れようとしているからです。
たとえば、「部下は上司の指示を忠実に実行していればよい。上司は部下の意見を聞く必要はない」というマネジメントスタイルの管理職がいた場合、まずはマネジメントスタイルを変える必要があると認識してもらう必要があります。その上で、傾聴力やロジカルシンキングなどコミュニケーションに必要なスキルを身につけてもらいましょう。
マネジメント手法に「絶対の正解」はなく、普遍的に有能な管理職というものも存在しません。管理職は、常に部署や周囲の状況を見ながら、自分のマネジメント手法をブラッシュアップし続けていく必要があります。
しかし自分のマネジメントスタイルが周囲の状況に合っていないことに自分で気づける管理職は多くはありません。そこで、人事部は管理職に対しマネジメントスタイルの変革のきっかけを与える必要があります。コミュニケーションスキルを身につけるための研修だけでなく、管理職の価値観や信念の変更を促すような研修を取り入れましょう。
新任管理職だけでなく既任管理職向けのプログラムも必要
管理職育成のための研修は、新任管理職に向けて行われることがほとんどです。確かにマネジメント経験の乏しい新任管理職へ研修を行うのは効果的ですが、それだけでは管理職全体のマネジメント能力は十分に向上しません。
管理職に就任してから2〜3年、さらにはそれ以上が経過した既任管理職向けの研修も、管理職のコミュニケーション能力を磨く上では効果的です。「新入社員の傾向が思っていたのと異なる」「部署間のコミュニケーションに課題感がある」といった、マネジメント経験を積んだからこそ見えてきた課題点を、研修という形で解決するのがよいでしょう。
アルーが行っている管理職向けコミュニケーション能力研修
アルーは、人材育成を専門に手掛けている企業です。中小企業から大企業まで、幅広い人材育成の実績があり、管理職向けコミュニケーション能力研修のノウハウも豊富に蓄積されています。この記事の最後に、アルーの実施している管理職向けコミュニケーション能力研修をまとめてご紹介します。
管理職社員向けコミュニケーション研修
管理職社員向けコミュニケーション研修では、部署運営の際に必要となるさまざまなコミュニケーション能力をバランスよく伸ばすことができます。管理職として身につけておきたいコミュニケーション能力を幅広く学べる研修です。
OJTなど具体的な場面を想定して指導方法を学んだり、部下との1on1ミーティングの実施方法を集中的に学んだりすることができます。部下と話す際のコツや指導の心構えなどを知りたい場合にもおすすめです。
管理職社員向けリモートコミュニケーション研修
テレワークが珍しくなくなった昨今、管理職はリモートでのコミュニケーション手法も学ぶ必要があります。管理職社員向けリモートコミュニケーション研修は、リモートでのやり取りが求められる今どきの管理職におすすめの研修です。
自分と部下のコミュニケーションタイプをそれぞれ把握します。ソーシャルスタイル診断や上司タイプ診断に基づき、自分自身とチームメンバーとの効果的な関わり方について学んでいく研修です。
コーチング研修
コーチング研修は、管理職としてのコミュニケーションの中でも、特に部下をコーチングする場面に特化した研修です。
- マネージャーとしての役割
- GROWモデルコーチングの方法
- 状況別のコミュニケーションの方法
- モチベーションマネジメントの方法
といった、部下のコーチングを行う上で重要なトピックについて、2日程度のプログラムで学んでいきます。組織としての成果創出を目指したい新任管理職はもちろん、管理職としての経験を積んだ課長職などにもおすすめの研修です。
部下育成力研修
部下の育成は、管理職にとって極めて重要な役割の一つです。部下育成力研修では、管理職やリーダー層として必要な部下育成のスキルを体系的に学ぶことができます。
特に最近では、年上の部下や外国人の部下など、多様なメンバーの育成に直面する管理職も多いです。アルーの部下育成力研修では、最近の新入社員の傾向も踏まえた研修プログラムをご用意しています。若手社員の仕事に対する価値観が大きく変化している今だからこそ、育成方法を学びたい管理職におすすめの研修です。
アサーティブコミュニケーション研修
アサーティブコミュニケーションとは、自分自身の意思を効果的に相手に伝えながら行うコミュニケーションのことです。例えば「無理難題を指示されたとき、相手の感情を損ねずに断りたい」といった場面で、アサーティブコミュニケーションのスキルが役立ちます。
管理職は、さまざまな場面で自分自身の意思を相手に効果的に伝える必要があります。管理職としてのコミュニケーション能力に一層磨きをかけることができる研修です。
まとめ
管理職として求められるコミュニケーション能力や、それらの伸ばし方などについて解説しました。管理職として求められるコミュニケーションは年々変化しており、常に管理職は自分自身のコミュニケーション手法をアップデートし続ける必要があります。
企業として管理職のコミュニケーション能力を底上げするためには、管理職を対象とした研修の実施が極めて効果的です。
管理職のコミュニケーション能力を改善し、企業のパフォーマンス向上につなげていきましょう。
▼アルーのコミュニケーション研修について詳しくはこちらのページをご覧ください。