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ベテラン社員のための研修戦略|おすすめのテーマや効果的な取り組み方

「研修」と聞くと、新入社員や若手社員向けのものをイメージする方が多いのではないでしょうか。
企業のナレッジを次世代へ継承していくためには、ベテラン社員を対象とした研修も重要です。
本記事では、ベテラン社員のよくある課題をはじめ、研修が必要な理由や行うための準備を解説します。
おすすめの研修テーマや効果的な研修への取り組み方なども紹介するので、ぜひ役立ててください。


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目次[非表示]

  1. 1.ベテラン社員のよくある課題
  2. 2.55歳以上の社員における課題はモチベーションの低下
  3. 3.ベテラン社員に研修が必要な理由
  4. 4.ベテラン社員研修を行うための準備
  5. 5.ベテラン社員研修におすすめのテーマ
  6. 6.ベテラン社員研修を効果的に行うポイント
  7. 7.ベテラン社員研修ならアルーにお任せください
  8. 8.アルーのベテラン社員研修の事例
  9. 9.まとめ


ベテラン社員のよくある課題

ベテラン社員が陥りがちな課題として、チャレンジ精神の不足やプライドの高さなどが挙げられます。
また、これまでの自分流のやり方に固執してしまい、新しいやり方に適応できないといったケースも少なくありません。
まずはベテラン社員が抱えがちな主な課題を確認していきましょう。


自身に求められる役割がわからない

ベテラン社員として、会社から何を求められているのかがわからないという社員は多いです。
「組織へ貢献したい」という気持ちはあるものの、周囲や会社からどういった期待をされているのかわからないのです。

まだまだ現役として働く期間が続く中で、どういった成長戦略を描けば良いのかわからないというケースがあります。
研修を通じて、どう自分を成長させていくのかを理解してもらうことが大切です。


チャレンジ精神の不足

チャレンジ精神が不足してしまうことも、ベテラン社員にありがちな課題です。
ベテラン社員は、今後に向けた明確なビジョンが描けないことがあります。
その結果、「会社に残って細く長く働き続ける」など、無意識のうちに安全策を選んでしまう傾向があります。
また、「頑張りたいが何をすれば良いのかわからない」「チャレンジに失敗したときの周囲からの視線が怖い」といった気持ちを持つ場合もあります。
研修ではこうした課題を克服し、自分らしい経験を活かした組織貢献ができる状態を目指すことが大切です。


プライドが高く融通が利かない

プライドが高く、融通が利かなくなってしまうベテラン社員は少なくありません。
ベテラン社員は経歴の長さによって周囲から自然と尊敬されることも多いですが、人によってはプライドが徐々に高くなっていき、融通が利かなくなってしまうケースがあります。
仕事のペースやスケジュールなどに関しても、自分自身のものが確立されていることが多いです。
その結果、他チームとの調整や協力が必要になる場面においてもマイペースに仕事へ取り組んでしまい、融通が利かなくなってしまうといえます。


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これまでの自分流のやり方に固執し新しいやり方に適応できない

これまでの自分流のやり方に固執してしまい、新しい業務のやり方に適応できなくなってしまうということもベテラン社員が陥りがちな課題です。
ベテラン社員は、長年自分が培ってきた経験や専門知識に自信を持っていることが少なくありません。
自信は、場合によってはネガティブな「職人気質」として現れ、新しいアイディアやアプローチを拒絶してしまいます。
その結果、多様な働き方やIT技術といったトレンドをキャッチアップできず、組織の成長の妨げとなってしまう可能性があります。


任される仕事が限定されてしまう

任される仕事が限定されてしまうことも、ベテラン社員が直面しがちな課題です。
ベテラン社員は、これまでの経験から自分自身の専門領域が確立されていることがあります。
周囲もそうした専門領域を認識しており、自然と決まった仕事しか任されなくなってしまう可能性があります。
得意な仕事しか任されないのは一見効率的に思えますが、長期的に見ると成長の機会が失われることになりかねません。
それだけでなく、ベテラン社員のチャレンジ精神や仕事のモチベーションといったメンタル面にも悪い影響を与えます。


年下上司との人間関係構築が難しい

ベテラン社員が直面しがちな課題には、年下上司との人間関係構築が難しくなる可能性があることも挙げられます。
最近では年功序列型からの脱却を掲げる企業も多く、後輩の管理職のもとで働くベテラン社員も増えてきています。
このような場合には人間関係と組織との対峙の仕方に対して強い恐怖感を抱いてしまい、「年下社員の方が実力がついてきた」と感じて自信を失ってしまうケースもあります。
後輩の管理職や組織と信頼関係を築くとともに広い視野で物事を捉え、自分らしい経験を活かした組織貢献を行なえるように支援しましょう。


逆パワハラ

部下が上司に対して行う逆パワハラも、ベテラン社員が直面する課題の一つです。
ベテラン社員が逆パワハラに関わるケースとしては、年下上司のもとで働くケースが挙げられます。
上記でも解説した通り、年下上司との人間関係は難しくなりがちであり、仕事の方向性やスタイルにズレを感じた場合、徐々に関係がギクシャクしてしまうことは少なくありません。
こういった些細なズレが、最終的に逆パワハラといった深刻な事態へ発展してしまうケースがあります。
研修を通じて年下上司との関わり方を伝え、ハラスメントを防ぎましょう。



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55歳以上の社員における課題はモチベーションの低下

	悩む男性上司

マンパワーグループが2023年に実施した調査では、企業で人事担当者を務める男女400名を対象に「55歳以上の社員に対する課題」を質問したところ、全体の17.3%が「仕事へのモチベーションが上がらない・低下している」と回答しています。
この調査からわかる通り、ベテラン社員研修ではモチベーションの低下へアプローチする必要があるでしょう。
豊富な経験やスキルを活かしてもらいつつ、ベテラン社員の活躍をサポートすることが肝心です。

参考:55歳以上の社員における最大の課題は「モチベーション低下」人事担当者に聞いた課題と対策とは|マンパワーグループ



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ベテラン社員に研修が必要な理由

ベテラン社員の直面しがちな課題を解説しましたが、ベテラン社員に研修が必要な理由にはどういったことが挙げられるでしょうか。
ここでは、ベテラン社員に対する研修が必要な主な理由を6つ解説します。


モチベーション維持のため

ベテラン社員に研修が必要な理由として、モチベーションの維持が挙げられます。
上記で紹介した資料からもわかる通り、ベテラン社員はモチベーションの低下が課題として挙げられます。
研修を実施して新しいことを学べる場を提供することで、本人のスキルアップを促せるほか、新たな仕事の楽しさややりがいを発見することにつながります。
また、社外研修へ参加してもらえば、社内だけでは得られない刺激を受けることで日々の業務に対するモチベーション向上も期待できるでしょう。


技術や業界の変化に対応するため

技術や業界の変化へ対応してもらうことも、ベテラン社員を対象とした研修が必要な理由の一つです。
近年ではIT技術の進展やグローバル化によって、技術革新やビジネス環境の変化が激しい傾向にあります。
そのようなビジネス環境を勝ち抜くためには、変化への対応力を鍛えることが必要不可欠です。
ベテラン社員には、研修を通じて変化を受け入れる姿勢やマインドを養ってもらうことで、仕事の業務効率改善や業績向上につながります。


新しい視点を身につけてもらうため

新しい視点を身につけてもらうことも、ベテラン社員向けの研修が必要とされる理由です。
ベテラン社員の直面しがちな課題として、業務が固定化してしまうことや自己流のやり方から離れられなくなってしまうことが挙げられます。
研修を通じて講師や他の社員と接点を持ってもらい、既存の視点からの脱却を促しましょう。
日常業務から一度離れて研修に取り組んでもらえば、ルーティン化していた業務の改善点に気づける可能性もあります。


知識やスキルの再確認と整理のため

ベテラン社員向け研修の実施が必要な理由として、知識やスキルの再確認や整理が挙げられます。
ベテラン社員は豊富な知識やスキルを保有している一方で、頭のなかで整理されていないケースがあります。
ベテラン社員の持つ豊富なナレッジを継承していくためには、知識やスキルを体系化することが欠かせません。
研修では一度知識やスキルを棚卸しを行い、今ある技術の整理や可視化に取り組んでもらいましょう。
棚卸しをして知識やスキルを再確認する過程で、本人にとって新たな学びが生まれる場合もあります。


マインドセットの更新のため

ベテラン社員向け研修を実施する理由に、マインドセットの更新も挙げられます。
長く在籍しているベテラン社員は、どうしても昔の体制や昔の社風を引きずってしまいがちです。
そのため、企業文化や経営方針の変更へ対応していくためには、変化に対する対応力をはじめとしたマインドセットを鍛える必要があります。
研修では、変化が必要な理由や変化が求められている背景を重点的に説明することがおすすめです。
変化の必要性について腹落ちしてもらうことで、変化に適応していくマインドセットの醸成を促せるでしょう。


企業競争力維持のため

企業の競争力を維持することも、ベテラン社員向け研修が必要な理由の一つです。
ベテラン社員が最新の知識やスキルを持っていることは、企業全体の競争力を確保する上でとても重要です。
ベテラン社員が昔のやり方に固執してしまっていると、どうしても中堅社員や若手社員はベテラン社員のやり方にとらわれてしまいます。
ベテラン社員が最新の知識やスキルを持っているからこそ、企業全体として高い競争力を維持できるといえます。
ベテラン社員研修を通じて最新の知識やスキルの獲得を促し、競争力の確保につなげましょう。



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ベテラン社員研修を行うための準備

ベテラン社員研修を行うためには、まずキャリアマップを整理する必要があります。また、研修へ参加するメリットを社員へ伝えたり、意識改革の仕掛けを取り入れたりすることも重要です。ベテラン社員研修を実施する前に行っておきたい準備をいくつか解説します。


キャリアマップを整備する

ベテラン社員研修を実施する際の準備としては、まずキャリアマップを整備するのが大切です。
キャリアマップとは、社員が社内で構築できるキャリアパスを、マップの形で明確に整理したものです。キャリアマップがあれば、どの段階でどの社員にどのような能力が必要なのかをひと目で把握できるようになります。ベテラン社員研修を実施する際にも、キャリアマップを使えばどういった内容を教育すればよいのかがわかりやすくなるでしょう。まずはキャリアパスを体系的に整理して、キャリアマップを作成してみてください。


研修に参加することのメリットを社員に伝える

研修へ参加することのメリットを社員へ伝えるのも大切です。
研修というと、どうしても新入社員や若手社員を対象としたものが多いため、ベテラン社員を対象とした研修のイメージが湧かないという社員も多いはずです。研修のイメージが湧かなければ、なぜ研修へ参加する必要があるのかもなかなか理解できません。
研修を実施する前に、研修へ参加することのメリットを社内に周知しましょう。研修に参加するメリットが明らかになれば、研修に対して前向きな姿勢を引き出すことができ、より有意義な学びの場を実現できます。


意識改革を取り入れた研修にする

意識改革を取り入れた研修内容にするというのも、ベテラン社員研修の準備段階で意識しておきたいポイントです。
一般的に研修では、知識やスキルといった技術的課題に重点が置かれがちです。一方で、ベテラン社員に求められる「変化への適応力」「固定概念からの脱却」を教育していくためには、適応課題へのアプローチが欠かせません。
アンラーニングなどの取り組みを進めるなど、意識改革を取り入れた研修内容とするよう意識してみてください。ディスカッションやグループワークを積極的に取り入れるのも効果的です。
固定概念からの脱却を促すアンラーニングの取り組みについては、以下のブログ記事で詳しく解説しています。
【具体例あり】アンラーニングとは?やり方や注意点を解説


研修後のフォロー体制を整える

ベテラン社員研修を実施する際には、研修後のフォロー体制を整えておいてください。
研修は、一度実施して終わりにしてしまっては意味がありません。研修内容を現場で活かせるようにするためには、研修後のフォロー体制が重要です。
例えば研修が終了してから2~3か月後にフォローアップ研修を実施して現場での実践を確認する、上司からのフィードバックを通じて実践状況を確認するなど、研修後の実践をサポートする体制を整えてみてください。



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ベテラン社員研修におすすめのテーマ

ベテラン社員研修では、ベテラン社員の役割の再認識やダイバーシティ、自己理解を深めるワークショップなどについて扱うのがおすすめです。また、年下上司を始めとするさまざまな人材と協力関係を築いていくためには、コミュニケーション研修を実施するのもよいでしょう。
ベテラン社員研修におすすめのテーマを紹介します。


ベテラン社員の役割の再認識

ベテラン社員研修では、ベテラン社員の役割を再認識してもらいましょう。ベテラン社員に役割認識を深めてもらうことで、ベテラン社員が経験しがちなモチベーションの低下といった課題を克服することができます。
研修では、役割認識を深めるワークに取り組んでもらうのがおすすめです。例えば上司からのメッセージや感謝を伝える「上司からの手紙」や、自分の経験やスキルを棚卸しするワークショップを取り入れてみましょう。役割を再認識できれば、キャリアの完結に向けた道筋を描くことができるようになります。


ダイバーシティ研修

ダイバーシティも、ベテラン社員研修で取り扱いたい内容です。
最近では、多様性のある組織づくりの重要性が指摘されています。激しい時代の変化へ組織として適応していくためには、組織に多様な視点を取り入れることが欠かせません。また、多様性のある組織づくりを行えば、対外的なアピールにつながるというメリットもあります。
ベテラン社員研修ではダイバーシティの重要性やダイバーシティの意義、具体的な内容などについて取り扱いましょう。ベテラン社員がダイバーシティに対して理解を持つことで、多様性を促進する風土が全社的に醸成されていきます。
効果的なダイバーシティ研修の実施方法や、オンラインでもできるワークの具体例は、以下のブログ記事で解説しています。
効果的なダイバーシティ研修とは?内容やオンラインでできるワークを紹介


自己理解を深めるワークショップ

ベテラン社員研修では、自己理解を深めるワークショップに取り組んでもらいましょう。
自己理解を深めるワークショップとしては、MBTI®(※注)を活用したワークがおすすめです。MBTI®を用いれば、自分自身の認知スタイルを細かく把握することができ、周囲との関わり方も見えてきます。
ベテラン社員が自己理解を深めれば、自分らしさを活かしたキャリア構築に向けたヒントが得られるでしょう。

※注:MBTI is a registered trademark of the Myers&Briggs Foundation in the United States and other countries.

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コミュニケーション研修

コミュニケーション研修も、ベテラン社員研修でぜひ実施したい内容の一つです。
ベテラン社員は、世代の離れた部下とのコミュニケーションに課題を感じるケースが少なくありません。また、年下上司と関わる際にも、コミュニケーション不足やコミュニケーションのズレによる課題を経験しがちです。
研修ではこうしたベテラン社員が経験しがちなシチュエーションを取り上げ、ベテラン社員特有のコミュニケーションの課題についてアプローチしていきましょう。

アルーの提供しているコミュニケーション研修は、以下のページからご覧ください。
コミュニケーション研修のプログラム詳細


キャリアデザイン研修

ベテラン社員研修では、キャリアデザインについて学んでもらうのもよいでしょう。
平均寿命が伸びており、公的年金の受給開始時期が繰り上がる傾向にある昨今では、50代社員のキャリア構築がますます重要視されています。
研修では、これまでの経験やキャリアを振り返るワークに取り組んでもらい、自分らしさを把握することから始めましょう。ワークで見えてきた自分らしさを起点に、これからの自分のキャリアについて考えることができるようになります。

ベテラン社員を対象としたキャリアデザイン研修を実施する際のポイントなどは、以下のブログ記事で詳しく解説しています。
50代キャリアデザイン研修のヒント


ロジカルシンキング研修

ベテラン社員研修におすすめのテーマとして、ロジカルシンキングも挙げられます。
ロジカルシンキングは、論理的に物事を考えるスキルです。新入社員・若手社員研修などで取り上げられることが多いテーマですが、ベテラン社員にも今一度教育するのがよいでしょう。経験や勘に頼った判断を行いがちなベテラン社員だからこそ、再びロジカルシンキングの考え方を意識する必要があるのです。
研修では、ロジカルシンキングのフレームワークについて紹介したあと、実際にロジカルシンキングを行う演習へ取り組んでもらってください。

アルーの提供しているロジカルシンキング研修は、以下のページからご覧いただけます。
ロジカルシンキング研修のプログラム詳細

▼サービス資料ダウンロードはこちら

  『ロジカルシンキング研修』資料ダウンロード 「ロジカルシンキング研修」の資料をダウンロードいただけます。分かりやすい口頭報告や簡潔でポイントを押さえたビジネス文書作成など、あらゆるビジネスの場面で役に立つロジカルシンキングの基本的な思考プロセスとスキルを身につけます。 アルー株式会社



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ベテラン社員研修を効果的に行うポイント

ベテラン社員研修を効果的に実施するためには、適応課題にアプローチした研修を実施したり、受講対象者の世界観や仕事などを把握したりするのが大切です。また、ベテラン社員の振り返りの場や、アウトプットの場を積極的に設けるのもよいでしょう。
ベテラン社員研修を効果的に行うために意識しておきたいポイントを解説します。


適応課題に対応した研修を行う

この記事の前半でも少し触れましたが、ベテラン社員研修では適応課題に対応した研修を実施するのが大切です。
適応課題とは、本人の持っている価値観や考え方に起因する問題のことです。対になる概念は技術的課題で、こちらは現時点におけるスキルや知識の不足を原因とする問題を指します。
ベテラン社員を対象とした研修を成功させるためには、適応課題に対応した研修内容とすることが欠かせません。変化への適応力など、ベテラン社員が経験しがちな適応課題を克服するサポートを行いましょう。
適応課題と技術的課題の例や、研修でアプローチする方法は以下の記事で解説しています。

適応課題と技術的課題の例を紹介。研修で適応課題にアプローチする方法


受講対象者の「世界観」「仕事」「職場環境」を把握する

	教育施策を企画するうえで重要なこと

ベテラン社員の研修を設計する際には、対象者に対する理解が必要です。
受講対象者を理解するためには、「対象者の世界観」「対象者の仕事」「対象者の仕事環境」について把握していくと良いでしょう。
例えば、「対象者の仕事環境」であれば、「人が頻繁に入れ替わる職場にいるため、周囲の人との関係性を重視していない傾向にある」などの状況を理解し、どのような課題があるのか、研修ではどのような内容を伝えれば良いかなどを含めて施策を設計していきます。


外圧を利用しない

ベテラン社員の研修におけるよくある失敗例として「外圧によって奮起を促す」ということがあります。
例えば、行動変容のきっかけにするために360度サーベイなどを活用し、本人の課題を突きつけてしまうと、フィードバックが自身の自己認識と一致しない場合、反発や無視、歪曲といった反応を引き起こす可能性があります。

外部からのフィードバックと自己認識と一致していない場合、外から強制されると、抵抗感や反発心を感じ、変化を拒んでしまい、行動変容につながりません。

そのため、ベテラン社員の研修では、360度サーベイなどの結果を利用して「課題を突き付ける」のではなく、「自己理解と成長のためのフィードバック」として提示することが重要です。また、フィードバックの受け取り方や反省の仕方を学ぶ機会を提供することで、社員自身が自己改善の主体となり、真の行動変容を促すことができます。


「個」として自立できるようサポートする

	ベテラン社員研修を効果的に行うポイント

ベテラン社員研修では、キャリアデザインについて学んでもらうことが大切であることを紹介しました。一方で、キャリアに関する研修は多くの選択肢を持つ社員にとっては有意義ですが、「キャリア」と言われても会社が敷いたレールを走るしかないと感じているベテラン社員には意義を感じてもらえない可能性があります。
選択肢がない状態になっている原因は、「個」としての自立ができておらず、会社に依存している状態にあるためです。
そのため、キャリア研修を行う前に、「個」として会社の中で自立するプロセスを支援することが求められます。

対象者が「個」として自立するためには、アンラーニングが必要です。アンラーニングは、凝り固まった固定観念を手放し、新たな視点を持つことです。アンラーニングによって自分自身の可能性を広げることで、ベテラン社員は会社が敷いたレールに縛られることなく、自分自身の道を切り拓くことができるようになるでしょう。

アンラーニングについては、以下の記事で詳しく解説していますので、こちらも併せてご確認ください。
【具体例あり】アンラーニングとは?やり方やリスキリングとの違いを解説


ありのままの自分をさらけ出せる場を作る

上記の「個」として自立するためのサポートにおいては、自分自身の弱みや欠点も含め、個性を素直に認められるように支援することも大切です。

ベテラン社員となると、弱い自分をさらけ出すのが難しく、虚勢を張ってしまうことが多くなってしまいます。このような状況にあると、自分の課題を受け止めることができず、行動変容が阻害されてしまう可能性があります。

ベテラン社員がありのままの自分をさらけ出せる場を作るためには、ダイバーシティ研修や自己理解を深めるワークショップ、コーチ・メンターとの面談、職場での対話会などが有効です。

具体的な例として、ダイバーシティ推進に取り組むこととなり、中堅社員に対して多様性を学ぶための研修を実施した例を紹介します。研修の元々の目的は「個性的な若手社員との接し方を学ぶ」ことでした。研修の中で多様性について学んだことで、副次的な効果として自分自身の個性についても肯定的に受け止めることができるようになったのです。それまでは会社や上司に対して不平不満ばかりを言っていたベテラン社員も、「自分は自分」と思えるようになり、前向きな姿勢を示すことができるようになりました。

これらの取り組みを通じて、社員は自分自身の弱さや欠点を認識し、それを受け入れることができるようになります。そうすることで、真の「個」としての自立を達成することができるでしょう。これは、社員が自分自身のキャリアを自分自身でコントロールし、自分自身の可能性を最大限に引き出すための重要なステップです。


社員自身の振り返りの場を定期的に設ける

ベテラン社員にありがちなのが、固定観念が凝り固まってしまい、「~すべきだ」「~しないのはおかしい」などと考えてしまうことです。このような考え方を持っていると、パワハラに近い言動を取るようになってしまうなどの危険性があります。

このような固定観念を手放すためには、自分がどのように物事を見ているのかを振り返り、物事には別の見方ができることに気づく必要があります。
ベテランになると他人からフィードバックを受ける機会が少なくなるため、自分自身を立ち止まって振り返る場を会社が定期的に用意することが重要です。
そのための具体的な施策としては、ケーススタディや自分の言動を振り返るワークショップ、上司以外との1on1を行う、外部の人の話を聞くなどがあります。

施策を通じて、自分自身の視野を広げ、自分の行動や思考パターンを客観的に見つめ直す場を設けると良いでしょう。


アウトプットの場を設ける

ベテラン社員研修を成功させるためには、アウトプットの場を設けるのが大切です。
例えば、研修中にこれまでのキャリアや経験を振り返る演習を実施するとよいでしょう。アウトプットの場を設けることで、研修内容の自分ごと化を促すことができます。
また、現場での実践を想定した演習を取り入れるのもおすすめです。例えば、実際に部下と1on1ミーティングを行う場面を想定したロールプレイングなどが考えられます。こうした演習があれば、研修内容を現場で実践するイメージが湧きやすくなるでしょう。


成功事例を共有する

成功事例を共有するのも、ベテラン社員研修を成功させるためのポイントです。
ベテラン社員の中には、「どうして今までやってきたことを変えなければいけないのか」「なぜ今さら研修を受けるのか」など、研修を受けること自体にあまり前向きでない社員も少なくありません。そこで、既にベテラン社員研修を受けて成果をあげた人の事例を共有してみましょう。成功事例を知ることで、研修の意義を理解しやすくなり、学びに向けた前向きな姿勢を引き出せます。


外部講師の活用

ベテラン社員研修を実施する際には、外部講師の活用も検討してみましょう。
ベテラン社員を対象とした研修では、年下部下とのコミュニケーションなど、ベテラン社員ならではの内容を盛り込む必要があります。人材育成のプロである外部講師に研修を外注すれば、こうしたベテラン社員研修特有の内容もわかりやすく説明してくれるでしょう。
研修を外注するべきかどうかの判断基準や、委託先を選定する際のポイントは以下の記事で詳しく解説しています。
研修は外部委託すべき?委託している割合や委託先選定のポイント



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ベテラン社員研修ならアルーにお任せください

アルーは、人材育成を専門に手掛けている企業です。ベテラン社員研修なら、ぜひアルーへお任せください。
アルーでは、個別の企業の抱える課題にあわせた最適な研修プランを提案することが可能です。研修企画の段階から丁寧にヒアリングするため、初めてベテラン社員研修を実施する場合でも安心してお任せいただけます。オンライン研修や、eラーニングを活用した研修への対応も可能です。研修のフォローアップも含めて、一気通貫型の支援を提供させていただきます。



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アルーのベテラン社員研修の事例

アルーでは、これまでにさまざまなベテラン社員研修を実施してまいりました。ここからは、その中でも特に参考となる事例を3つピックアップして紹介します。ベテラン社員向け研修の企画を検討している人事担当者の方は、ぜひ参考にしてください。


50代向けキャリアデザイン研修

50代向けキャリアデザイン研修は、自分自身のキャリア資産の意味づけを通じてこれからの生き方や働き方を考えることを目的とした研修事例です。
研修開始前に、これまでの職業人生を振り返る事前課題に取り組んでもらっています。研修当日はイントロダクションとして、なぜキャリアデザイン研修を50代で受講するのかを役員や人事部長からの講話で理解してもらいました。その後、事前課題の共有をおこない、自身の経験を活かして価値発揮できそうなことを考えてもらっています。最後に、10年後の目標を立ててアクションプランを宣言するまとめに取り組んでもらいました。


40代向けキャリアデザイン研修

40代向けキャリアデザイン研修は、自分自身の原動力や周囲とのつながりを認識した上で、新たな一歩を踏み出すことを目的に実施する研修です。
まずは事前課題として、10代から今までを振り返るワークに取り組んでもらいました。研修当日は、40代でのキャリア形成の方向性や背景を理解するところからスタートしています。その後、事前課題を基に経験の棚卸しを行い、自分の原動力や周囲とのつながりについて理解するワークに取り組んでもらいました。その後、これからのキャリア形成に向けて一歩を踏み出す方法を考えるワークを実施して、最後にやってみたいことを具体化してまとめています。
40代向けキャリアデザイン研修のプログラム詳細は、以下のページからご覧ください。
40代キャリア研修のプログラム詳細

▼サービス資料ダウンロードはこちら

  40代キャリア研修サービス資料ダウンロード 「40代キャリア研修」のサービス資料をダウンロードいただけます。キャリアの変化に合わせて、自分がどのように変化していけばよいのかを学べます。 アルー株式会社


技術継承のための指導スキル研修

50代・60代のベテラン層に長く活躍してほしい一方で、ベテラン層が退職することによる技術継承に課題を感じていたA社では、50代以上のベテラン社員を対象とした指導スキル研修を実施しました。
まずはこれまでのキャリアをライフラインチャートとして振り返る時間を設けています。その後、自チームで「本音を言いたくなる」ような環境を実現するためにはどういった働きかけが重要なのかを、ワークも交えながら理解してもらいました。その後、指導スキルを構成する主要な要素であるフィードバックスキルや傾聴力を高めてもらっています。



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まとめ

ベテラン社員を対象とした研修について、ベテラン社員にありがちな課題から研修の必要性、研修の内容などを幅広く解説しました。
ベテラン社員は豊富な経験や知識を持っているからこそ、キャリアの方向性を見失ってしまったり、固定概念にとらわれてしまったりしがちです。こうした課題を克服するためには、研修を通じて適応課題へアプローチすることが欠かせません。
ぜひこの記事で解説した内容を参考にベテラン社員向けの研修を充実させ、ベテラン社員が長く活躍できるような環境を整えていきましょう。

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20年以上、企業向けに人材育成コンサルティングや研修を提供してきた。新入社員・管理職といった階層別研修や、海外駐在員やグローバルリーダーなどのグローバル人材育成、DX人材育成に強みを持つ。その実績は取引企業総数1400社以上、海外現地法人取引社数400社以上に及ぶ。京都大学経営管理大学院との産学連携など、独自の研究活動も精力的に行っている。
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