保険業界は、顧客のニーズに合わせた提案や開発を行うために保険商品の知識、法規制、業界の動向などの高度な専門知識とスキルを必要とする業界であり、顧客の様々な要望に応えるために多様な商品のラインナップをもち、顧客優先のビジネスモデルが構築されています。昨今は少子高齢化に伴う人口減少によって国内における市場規模が縮小しつつあるため、業界では海外展開を促進することで課題に対応する必要があります。
近年のデジタル化の進展により、顧客はより便利で効率的なサービスを求めており、特にそのなかでも高齢者向けの保険商品の需要の増加がみられます。このように、時流によって変化する顧客ニーズに対応するためには、保険業界の各企業は顧客のエクスペクテーション(期待)を正しく捉え、迅速に行動する必要があります。
具体的な取り組みとしては、デジタル技術を活用した新しい販売チャネルの開発や、データ分析を用いた顧客理解の深化、高齢者のライフスタイルやニーズを理解した商品開発などが挙げられるでしょう。
多くの保険購入者は、世界の保険会社に対して、条件・価格・支払い方法に関するより高い柔軟性や、より総合的なロスコントロールサービスを求めていることから、能動的に顧客満足を追い求める姿勢を持つ保険会社が今後の保険業界で成長していくことが予想されます。
AIやIoT、ビッグデータなどのテクノロジーと商品を組み合わせ、新しい商品やビジネスモデルを創出する取り組みがどの業界でも広く行われていますが、保険業界は、特に「顧客対応のオンライン化」の観点で、DX化に特に注力してきた業界として知られています。今後も保険業界のDX化は進展し、従来は対面や電話で行っていた商品の契約や問い合わせ等のカスタマーサポートがすべてオンライン上で完結できるなど、業界を挙げたオンラインへの以降が進むでしょう。
日本の保険市場は少子高齢化やそれに伴う労働人口の減少などによって市場規模の減少が懸念されている一方で、海外の新興国市場やBRICsなどでは、人口の増加や経済成長を背景に保険市場が拡大する可能性があります。これらの状況から、日本の大手保険会社は、海外の現地保険会社との業務提携やM&Aなどを通じて海外事業基盤の拡大を進めています。また、低金利環境による資金調達コストの低下や、インフレの緩和による企業の株価の上昇により、株式を使ったM&A(株式交換)が有利になることも海外展開を行う企業の増加の要因となっています。
近年、日本の保険会社による海外進出やM&Aが活発に行われ、グローバル化が加速していると言われています。日本の大手損害保険会社の海外進出の歴史は長いですが、2000年代以降、国内市場の成熟化を背景に、M&A等の活用により本格的に海外ローカル市場への進出が行われるようになりました。M&Aは、多くのステークホルダーを巻き込む複雑なプロジェクトです。そのため、プロジェクトを適切に管理し、関係者をリードする能力や効果的な交渉スキル、異なる文化を理解し、それに適応する能力が求められます。
保険業界は顧客との直接的なコミュニケーションが重要です。保険は、顧客が将来のリスクから自身を守るためのものです。そのため、保険会社と顧客との間には長期的な信頼関係が求められます。この信頼関係を構築するためには、誠実さや信頼性を伝えるコミュニケーションスキルが必要です。また、保険商品は複雑で、顧客のライフスタイルやリスクにより最適な商品は異なります。新入社員や若手層は、多様化する顧客のニーズを理解し、それに応じた保険商品を提案するコミュニケーションスキルを磨く必要があります。特に、顧客からの問い合わせが多い傾向にある保険業界において、非言語的コミュニケーションの要素も含めたスキルアップは欠かせません。
※BRICs…ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)、南アフリカ(South Africa)の5カ国の英語の頭文字を並べたもの。今後、著しい経済成長の発展が見込まれる新興国の代表国で、もともとはブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国を表す造語として、2001年ゴールドマン・サックスによって「BRICs」と名付けられた。その後、南アフリカが加わり、複数形を表していた小文字の「s」が南アフリカを表す大文字の「S」となり、BRICS(新興5カ国)と称されるようになった。
注1)金融庁 2023 年 保険モニタリングレポート(https://www.fsa.go.jp/news/r4/hoken/20230630-2/02.pdf)
注2)就活の悩みや不安を相談できる就職エージェントneo powered by neo career【業界研究】生命保険業界の動向3選!仕事内容や志望動機・自己PRのポイントも紹介 更新日|2023.09.06 (https://www.s-agent.jp/column/15119 )